以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態における包装容器の斜視図、図3は本発明の第1の実施の形態における原型容器の正面図である。
図において、10はブリック状の包装容器、18は原型容器であり、前記包装容器10は、前面壁10a、後面壁10b、側面壁10c、10d、頂面壁10e及び底面壁10f、前記頂面壁10e側から側面壁10c、10d側に折り曲げられた第1の耳片としての一対のトップフラップ(図2においてはそのうちのトップフラップ10gだけが示される。)、及び前記側面壁10c、10d側から底面壁10f側に折り曲げられた第2の耳片としての図示されない一対のボトムフラップを備える。
この場合、縦シール部分S1は頂面壁10e、後面壁10b及び底面壁10fにわたって、横シール部分S2は、頂面壁10e側において頂面壁10e及びトップフラップにわたって、底面壁10f側において底面壁10f及び前記ボトムフラップにわたって形成される。
前記包装容器10は、例えば、ウェブ状の包材を図示されない充填機によって加工することにより形成される。
すなわち、該充填機において、ウェブ状の包材が繰出機にセットされ、該繰出機によって繰り出され、送り装置によって充填機内を搬送される。前記包材は、紙基材の両側にポリエチレン樹脂等の樹脂から成る樹脂層を被覆することによって形成された積層構造を有し、必要に応じて、前記紙基材より包装容器10内の内側に、ガスバリヤ性を有するバリヤ層、例えば、アルミ箔(はく)層が形成される。
そして、前記包材は、搬送されている間にパンチ穴が形成され、該パンチ穴を覆うように、インナテープ及びプルタブが貼(ちょう)着される。続いて、前記包材は、垂直方向に搬送され、搬送方向における複数の箇所に配設されたフォーミングリングによって案内され、かつ、変形させられてチューブ状にされ、第1のシール装置としての縦シール装置によって縦方向にシールされて包材チューブになる。このとき、縦シール部分S1が形成される。
続いて、包材チューブ内に内容物としての液体食品が、充填管を介して上方から供給され、包材チューブ内に充填される。次に、該包材チューブは、第2のシール装置としての横シール装置によって両側から挟持され、所定の間隔で横方向にシールされ、このとき、横シール部分S2が形成され、該横シール部分S2において包材チューブは切断され、成形フラップによって変形させられ、図3に示されるような枕状の原型容器18が形成される。
続いて、該原型容器18は、所定の成形装置によって成形され、各トップフラップが側面壁10c、10d側に、各ボトムフラップが底面壁10f側に向けて折り曲げられ、かつ、融着されて包装容器10が形成される。
ところで、前記包材をシールするために、包材を両側から所定の挟持圧で挟むとともに、熱を加えて包材の表面の樹脂を溶融させ、包材間を融着するようになっているが、例えば、前記挟持圧、シール温度、樹脂の性状等の条件によって、溶融させられた樹脂が、前記縦シール部分S1、横シール部分S2等のシール部分から逃げ、シール部分に残留する樹脂の量が不足し、シール不良が発生することがある。そして、シール不良が発生するのに伴い、包装容器10内の液体食品が漏れたり、包装容器10内に空気が入り込んだりして液体食品の品質が低下してしまう。
そこで、オペレータは、完成された包装容器10のうちの所定のものを抜き取り、抜き取られた包装容器10を切断して開封することによって被検体を作成し、各被検体について、所定の被検査部の状態、本実施の形態においては、シール部分のシール状態の検査を行うようにしている。
次に、シール状態を検査するための包材検査装置について説明する。
図4は本発明の第1の実施の形態における被検体を作成する状態を示す斜視図、図5は本発明の第1の実施の形態における被検体の斜視図、図6は本発明の第1の実施の形態における包材検査装置の概念図である。
図において、10は包装容器であり、該包装容器10は、頂面壁10e側から側面壁10c、10d側に折り曲げられた一対のトップフラップ10g、10h、及び前記側面壁10c、10d側から底面壁10f側に折り曲げられた一対のボトムフラップ10i、10jを備え、充填機から抜き取られた状態において、前記トップフラップ10g、10hは側面壁10c、10dに、ボトムフラップ10i、10jは底面壁10fに融着されている。
そこで、充填機から検査用として抜き取られた包装容器10は、図示されない伸展装置によって伸展させられ、前記トップフラップ10g、10hは側面壁10c、10dから、ボトムフラップ10i、10jは底面壁10fから剥(は)がされ、原型容器18(図3)と同様の枕状の形状にされる。
続いて、前記包装容器10は、図示されない切断装置に送られ、該切断装置によって切断され、開封される。すなわち、まず、前記前面壁10a、及び側面壁10c、10dのほぼ半分程度が後面壁10bを残して切断線L1に沿って切断され、続いて、前面壁10a、後面壁10b、頂面壁10e及び底面壁10fが切断線L2、L3に沿って切断される。
次に、前面壁10a、後面壁10b、頂面壁10e及び底面壁10fの内周面が洗浄され、図5に示されるようなシール状態の検査の対称となる被検体12が作成される。該被検体12は、少なくとも二つの板状部を備え、各板状部が少なくとも一つの融着部で融着され、本実施の形態においては、後面壁10b、頂面壁10e及び底面壁10fの各壁の一部によって構成された第1の板状部13、前面壁10a及び頂面壁10eの各壁の一部によって構成された第2の板状部14、前面壁10a及び底面壁10fの各壁の一部によって構成された第3の板状部15、横シール部分S2の一部によって構成され、第1、第2の板状部13、14を融着して接続する第1の融着部16、並びに横シール部分S2の一部によって構成され、第1、第3の板状部13、15を融着して接続する第2の融着部17から成る。
そして、前記第1の板状部13は、矩(く)形の胴部21、及び該胴部21の両端において、第1、第2の融着部16、17にかけて次第に広くなるように形成された拡開部22、23を備え、第2の板状部14は、矩形の胴部24、及び該胴部24の一端において、第1の融着部16にかけて次第に広くなるように形成された拡開部25を備え、第3の板状部15は、矩形の胴部26、及び該胴部26の一端において、第2の融着部17にかけて次第に広くなるように形成された拡開部27を備える。
このようにして被検体12が作成されると、該被検体12は、図6に示される包材検査装置31に送られる。該包材検査装置31は、被検体12を搬送するための搬送用の駆動部としての図示されないモータ、及び該モータを駆動することによって、所定の時間が経過するごとに間欠的に矢印A方向に回転させられる回転体ユニット32を備える。そして、該回転体ユニット32は、前記モータの出力軸に連結されたハブ33、及び該ハブ33から径方向外方に等ピッチで突出させて形成された複数の、本実施の形態においては、4個のマンドレル34を備える。
該各マンドレル34は、前記ハブ33に取り付けられた円柱状の本体部36、及び該本体部36の先端に取り付けられ、被検体12を保持する被検体保持部としての被検体ホルダ37を備える。そして、各マンドレル34は、回転に伴って、被検体12を、回転体ユニット32の回転方向における複数の箇所、本実施の形態においては、4箇所に設定されたステーションST1〜ST4に送り、該各ステーションST1〜ST4において所定の時間だけ停止させられる。
前記ステーションST1は、搬入・位置決め部として使用され、ステーションST1に所定のタイミングごとに被検体12が搬入され、マンドレル34にセットされる。そのために、前記ステーションST1に搬送装置としてのコンベヤ39が配設され、該コンベヤ39によって搬送された被検体12がステーションST1に搬入される。このとき、被検体12は、第1の板状部13を被検体ホルダ37と対向させた状態で、マンドレル34にセットされ、保持される。
続いて、被検体12は、前記第2、第3の板状部14、15が被検体ホルダ37によって開かれた状態で、ステーションST2に送られる。
該ステーションST2は、第1の検査部として使用され、ステーションST2においてシール状態の第1の検査が行われる。そのために、前記被検体ホルダ37と対向させて静電容量式の検査機構41が配設される。該検査機構41は、矢印B方向に進退(図6において左右方向に移動)自在に配設された第1の検査要素としての検査ヘッド42、該検査ヘッド42を進退させるための図示されない第1の駆動機構等を備える。
そして、図示されない制御部の包材検査処理手段は、包材検査処理を行い、前記検査ヘッド42を被検体12のシール部分に押し付け、該シール部分が有する静電容量に基づいて、シール状態の検査を行う。そのために、前記検査機構41は、図示されない電源装置、電流センサ、電流・電圧変換部、同位相成分検出部、位相差成分検出部等を備え、前記電流センサによってシール部分を流れる電流が検出され、前記電流・電圧変換部によって前記電流が電圧に変換され、前記同位相成分検出部及び位相差成分検出部によって、電圧中の同位相成分及び位相差成分が検出される。そして、前記包材検査処理手段は、前記同位相成分及び位相差成分を読み込み、同位相成分及び位相差成分に基づいて前記シール部分の静電容量成分及び抵抗成分を算出し、該静電容量成分及び抵抗成分に基づいてシール状態の検査を行う。
また、前記ステーションST3は、第2の検査部として使用され、ステーションST3においてシール状態の第2の検査が行われる。そのために、前記被検体ホルダ37と対向させて撮像式の検査機構44が配設される。該検査機構44は、矢印C方向に進退自在に配設された第2の検査要素及び撮像装置としてのCCDカメラ43、該CCDカメラ43を進退させるための図示されない第2の駆動機構等を備える。
そして、前記包材検査処理手段は、前記CCDカメラ43を被検体12のシール部分の所定の箇所に置いたり、シール部分に沿って走査させたりして、CCDカメラ43によってシール部分を撮影し、撮影されたシール部分の画像に基づいて、シール状態の検査を行う。そのために、前記包材検査処理手段の画像処理手段は、画像処理を行い、前記シール部分の画像のデータを読み込み、所定の処理を行う。
また、前記ステーションST4は、第3の検査部及び被検体12の搬出部として使用され、ステーションST4においてシール状態の第3の検査が行われるとともに、シール状態の検査が行われた後の被検体12が搬出される。そのために、前記被検体ホルダ37と対向させて放電式の検査機構45が配設される。該検査機構45は、矢印D方向に回転自在に配設された第3の検査要素としての放電電極46、該放電電極46を回転させるための図示されない第3の駆動機構、図示されないアース電極等を備える。
そして、前記包材検査処理手段は、放電電極46を被検体12のシール部分に押し付け、放電電極46から被検体12を介してアース電極に流れる放電電流を読み込み、該放電電流が通常の値より大きいかどうかによって、ピンホールが発生しているかどうかを判断し、シール状態の検査を行う。
また、被検体12を搬出するために前記検査機構45の下方に、マンドレル34から解放された被検体12を受けるための搬出装置47が配設され、該搬出装置47は被検体12を外部に搬出する。
このように、前記被検体12は、ステーションST1においてマンドレル34にセットされ、ステーションST1〜ST4において被検体ホルダ37によって保持され、ステーションST4においてマンドレル34から解放される。
次に、前記被検体ホルダ37について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における被検体の位置決めをする際の概念図、図7は本発明の第1の実施の形態における被検体ホルダの平面図、図8は本発明の第1の実施の形態における被検体ホルダの断面図、図9は本発明の第1の実施の形態における被検体を搬入する際の状態を示す図、図10は本発明の第1の実施の形態における被検体の位置決めをする際の状態を表す第1の図、図11は本発明の第1の実施の形態における被検体の位置決めをする際の状態を表す第2の図である。
図において、37は被検体ホルダ、51はベース、52は該ベース51上の中央においてベース51に取り付けられた主保持部としてのセンタプレート、53、54は前記ベース51上において、ベース51に対して、矢印E、F方向に移動自在に、かつ、接離自在に配設された副保持部としてのサイドプレートである。
前記ベース51の下面における前記サイドプレート53、54と対応する箇所に、サイドプレート移動用の駆動部、すなわち、引張駆動装置としての空気シリンダ71が取り付けられ、該各空気シリンダ71のピストンロッド72と前記サイドプレート53、54とが連結部材73によって連結される。したがって、前記各空気シリンダ71を駆動することによって、前記サイドプレート53、54を移動させ、該サイドプレート53、54がセンタプレート52と接触する通常位置、及びサイドプレート53、54がセンタプレート52から離れ、第1、第2の融着部16、17を引っ張る引張位置に選択的に置くことができる。なお、74は、ピストンロッド72の先端と所定の距離をおいて配設され、サイドプレート53、54の前進限位置を設定するストッパである。
また、前記センタプレート52には第1の板状部13を吸引して保持する領域AR1が、サイドプレート53には第2の板状部14を吸引して保持する領域AR2が、サイドプレート54には第3の板状部15を吸引して保持する領域AR3が形成される。そして、前記領域AR1において、胴部21(図5)に対応する部分に、第1の負圧発生部としての複数の、本実施の形態においては8個の真空パッドa1が、拡開部22、23に対応する部分に、第2の負圧発生部としての複数の、本実施の形態においてはそれぞれ4個の真空パッドb1、c1が、領域AR2において、胴部24に対応する部分に、第3の負圧発生部としての複数の、本実施の形態においては2個の真空パッドd1が、拡開部25に対応する部分に、第4の負圧発生部としての複数の、本実施の形態においては3個の真空パッドe1が、領域AR3において、胴部26に対応する部分に、第5の負圧発生部としての複数の、本実施の形態においては2個の真空パッドf1が、拡開部27に対応する部分に、第6の負圧発生部としての複数の、本実施の形態においては3個の真空パッドg1が、それぞれ表面で開口させて形成される。
そして、前記各真空パッドa1〜g1は、いずれも、図示されない真空発生源としての真空ポンプに、図示されない弁等の開閉機構を介して接続され、該開閉機構を選択的に開放することによって前記各真空パッドa1〜g1に負圧を発生させ、領域AR1〜AR3において第1〜第3の板状部13〜15をそれぞれ選択的に吸引して保持することができる。
また、前記センタプレート52の両端には、第1、第2の融着部16、17を挟持するための第1、第2の保持部56、57が軸CN1、CN2を揺動中心として揺動自在に配設され、図8において破線で、図9において実線で示される初期位置、及び前記初期位置に対して90〔°〕回動させられた図8において実線で示される検査位置を採り、前記初期位置でステーションST1(図6)においてセットされた被検体12を、図9に示されるように第2、第3の板状部14、15を閉じた閉鎖状態で挟持し、前記検査位置において、第2、第3の板状部14、15を開くことによって、図7に示されるように、被検体12を開放状態に置く。
前記第1、第2の保持部56、57は、センタプレート52に隣接する側に第1のアームm1を、サイドプレート53、54に隣接する側に第2のアームm2を備え、各第1、第2のアームm1、m2によって前記第1、第2の融着部16、17を挟持することができるようになっている。なお、前記軸CN1、CN2は、第1のアームm1の先端に設定される。
そして、前記第1、第2の保持部56、57を回動させるために、開閉機構が配設される。すなわち、第1の保持部56の一方の端部、本実施の形態においては、被検体ホルダ37の背面(図7において上面)側の端部に、ピニオン61が取り付けられ、該ピニオン61とラック62とが噛(し)合させられる。また、被検体ホルダ37の背面に開閉用の第1の駆動部としての空気シリンダ63が取り付けられ、該空気シリンダ63のピストンロッド64と前記ラック62とが連結される。したがって、空気シリンダ63を駆動することによって、ラック62を進退(図7において左右方向に移動)させ、ピニオン61を回転させ、第1の保持部56を回動させることができる。
また、第2の保持部57の一方の端部、本実施の形態においては、被検体ホルダ37の正面(図7において下面)側の端部に、ピニオン68が取り付けられ、該ピニオン68とラック65とが噛合させられる。また、被検体ホルダ37の正面に開閉用の第2の駆動部としての空気シリンダ66が取り付けられ、該空気シリンダ66のピストンロッド67と前記ラック65とが連結される。したがって、空気シリンダ66を駆動することによって、ラック65を進退させ、ピニオン68を回転させ、第2の保持部57を回動させることができる。
さらに、前記センタプレート52は、被検体12を吸引する際に、被検体ホルダ37に対する被検体12の位置決めをするために、所定の厚さを有する位置決め部材としてのストッパ81を備える。
ところで、包材をチューブ状にしたときの誤差によって、前記縦シール部分S1が形成される位置にばらつきが生じる。また、包装容器10(図2)の種類が異なると、被検体12を作成したときに、第1、第2の融着部16、17の端部tm1、tm2から縦シール部分S1までの距離L11が異なる。したがって、被検体12の位置決めをするに当たり、第1、第2の融着部16、17の端部tm1、tm2を位置決め用の基準線として設定すると、被検体12の位置決めをしたにもかかわらず、縦シール部分S1を適正な位置に置くことができない。
そこで、縦シール部分S1は、包材と包材とを重ねることによって形成されたオーバラップ部分から成り、該オーバラップ部分の外側及び内側に段差が形成されているので、前記第1の板状部13の縦シール部分S1によって構成されるオーバラップ部分の外側の縁部eg1を位置決め用の基準部位を表す基準線として設定するようにしている。
そのために、前記ストッパ81は、縁部eg1を当てることができるだけの厚さを有し、センタプレート52の長手方向においてセンタプレート52の正面側の縁部に沿って延びる連結部82、及び該連結部82の両端からセンタプレート52の中央までセンタプレート52の短手方向に延びる腕部83、84から成る。そして、前記被検体12は、前記縁部eg1を前記ストッパ81と対向させて前進(図9において上方向に移動)させられ、前記腕部83、84の前端(図1及び9において下端)に当てることによって位置決めがされる。そして、該腕部83、84の前端によって被検体12の停止位置ラインが形成される。
前記構成の被検体ホルダ37においては、初期状態において、サイドプレート53、54は通常位置に置かれ、第1、第2の保持部56、57は初期位置に置かれる。前記被検体12は、図示されない保持具によって保持された状態でセンタプレート52の側部に搬送され、続いて、図9の矢印で示されるように、第1、第2の融着部16、17が前記第1、第2の保持部56、57内に挿入される。
これに伴って、前記真空パッドa1〜c1に負圧が発生させられ、被検体12はセンタプレート52によって吸引され、保持される。このようにして、第1、第2の保持部56、57によって、被検体12は第2、第3の板状部14、15が閉じた閉鎖状態で挟持される。また、このとき、図10及び11に示されるように、縦シール部分S1が腕部83、84の前端に当たり、前記ストッパ81によって被検体12の位置決めが行われる。なお、図11において、90は、前記縦シール部分S1の内側において、縦シール部分S1に沿って貼付されるインナテープであり、包装容器10の内側において、液体食品がオーバラップ部分の内側の縁部eg2から紙基材にしみ込むのを防止する。
続いて、前記サイドプレート53、54が通常位置に置かれたまま、第1、第2の保持部56、57は回動させられ、検査位置に置かれる。これに伴って、前記被検体12は、第1の板状部13がセンタプレート52によって保持されたまま、第2、第3の板状部14、15が開かれる。
続いて、サイドプレート53、54が通常位置に置かれ、第1、第2の保持部56、57が検査位置に置かれたまま、図示されない押圧機構によって前記第2、第3の板状部14、15が更に開かれ、これに伴って、前記真空パッドa1〜c1に加えて、真空パッドd1〜g1に負圧が発生させられ、第1の板状部13がセンタプレート52によって吸引されるだけでなく、第2、第3の板状部14、15がサイドプレート53、54によって吸引される。その結果、第2、第3の板状部14、15が開かれ、被検体12が開放状態で保持される。
次に、第1、第2の保持部56、57が検査位置に置かれ、第2、第3の板状部14、15がサイドプレート53、54に保持された状態のまま、該サイドプレート53、54が矢印E方向に移動させられて引張位置に置かれ、これに伴って、第2、第3の板状部14、15が引っ張られる。
このように、第2、第3の板状部14、15が開かれ、被検体12が開放状態に置かれるので、シール部分のシール状態の検査を行うことができる。
なお、この場合、シール状態の検査には、ストリップテープ90の位置の確認、オーバラップ量w1の測定、エアギャップ量w2の測定、ヒートシールゾーンの幅w3の測定、シール部分からはみ出した樹脂によって突条部(ポリ玉)が形成されているかどうか、ブリスタリングの有無の判断、シール部分の近傍のピンホールの有無の判断等が含まれる。
ところで、前述されたように、前記第1、第2の融着部16、17が第1、第2の保持部56、57内に挿入されたときに、ストッパ81によって被検体12の位置決めが行われるようになっているが、前記縁部eg1が腕部83、84の前端に当たっていない場合には、被検体12の位置決めを確実に行うことができず、シール部分のシール状態の検査を精度よく行うことができない。
そこで、本実施の形態においては、縁部eg1が腕部83、84の前端に当たっているかどうかを判断することができるように、ストッパ81がステンレス鋼等のような導電性の材料によって形成され、図1に示されるように、連結部82が所定の部分において分割され、第1、第2の分割部92、93が形成される。そして、前記腕部83及び第1の分割部92によって第1の端子部94が、前記腕部84及び第2の分割部93によって第2の端子部95が形成され、前記第1、第2の分割部92、93間に絶縁部p1が形成される。また、前記被検体ホルダ37は絶縁性の材料で形成される。
そして、前記第1、第2の端子部94、95間が、抵抗R、導通検査用の位置検出部としての電流計96及び電源Eが直列に接続され、電気的な導通検査回路CIR1が形成される。前記電流計96は、被検体12が被検体ホルダ37に対して正確に位置決めされたかどうかの判定を行うために配設される。
ところで、前述されたように、ガスバリヤ層としてアルミ箔層が使用された包材においては、前記オーバラップ部分の端面にはアルミ箔層が露出している。したがって、前記縁部eg1が腕部83、84の前端に当たっていない場合は、前記導通検査回路CIR1は非導通状態に置かれ、電流計96は電流を検出しない。そして、前記縁部eg1が腕部83、84の前端に当たると、前記導通検査回路CIR1は導通状態に置かれ、電流計96は電流を検出する。
したがって、前記ステーションST1において被検体12が被検体ホルダ37にセットされたときに、前記電流計96の検出結果を見ることによって、所定の電流が流れている場合、縁部eg1が腕部83、84の前端に当たっていると判断し、電流が流れていない場合に、縁部eg1が腕部83、84の前端に当たっていないと判断することができる。その結果、被検体12の位置決めを確実に行うことができ、シール部分のシール状態の検査の精度を十分に高くすることができる。
なお、前記電流計96は、縁部eg1が腕部83、84の前端に当たっているかどうかを通知する通知部として機能する。前記電流計96に代えて表示ランプを使用し、導通検査回路CIR1が導通状態に置かれたときに表示ランプを点灯するようにすることもできる。
また、前記電流計96の検出結果を制御部に送ることもできる。この場合、該制御部の位置判定処理手段は、位置判定処理を行い、縁部eg1が腕部83、84の前端に当たっているかどうかを判断することができる。そして、前記制御部の通知処理手段は、通知処理を行い、前記位置判定処理の判定結果を操作者に通知する。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図12は本発明の第2の実施の形態における被検体の位置決めをする際の状態を表す第1の図、図13は本発明の第2の実施の形態における被検体の位置決めをする際の状態を表す第2の図、図14は本発明の第2の実施の形態における被検体の位置決めをする際の状態を表す第3の図、図15は本発明の第2の実施の形態における被検体の位置決めをする際の状態を表す第4の図である。
図において、SLは、あらかじめ被検体ホルダ37に設定され、縁部eg1が腕部83、84の前端(図12において下端)に当たる位置であり、被検体12(図5)が停止する位置を表す停止位置ラインである。この場合、図12に示されるように停止位置ラインSLに隣接させて、約1〔mm〕の直径を有する第1、第2の被検出部分としての検出穴98、99が形成され、図13に示されるように、該各検出穴98、99と圧力発生部としての図示されない真空源とが流路101、102を介して接続され、該各流路101、102に圧力検出用の第1、第2の検出部としての圧力計103、104が配設される。なお、図13において、90はストリップテープ、eg2は縁部である。
ところで、前記縦シール部分S1において、オーバラップ部分の外側に段差が形成されているので、縁部eg1が前記腕部83、84の前端に当たると、図13に示されるように、被検体12は停止位置ラインSLで停止させられ、正確に位置決めがされる。このとき、検出穴98は包材100によって塞(ふさ)がれるのに対して、検出穴99は包材100によって塞がれず、検出穴99と包材100との間に、オーバラップ部分の段差分の空間106が形成される。該空間106は、包材100の厚さとほぼ等しい高さ、本実施の形態においては、例えば、約0.3〔mm〕の高さを有し、縁部eg1とストッパ81とによって包囲される面積を有する。
そして、検出穴98はほぼ閉鎖されているのに対して、検出穴99はほぼ開放されていることになるので、圧力計103によって検出される検出出力、すなわち、検出穴98及び流路101内の圧力は十分に低くなるのに対して、圧力計104によって検出される検出出力、すなわち、検出穴99及び流路102内の圧力は低くならず、二つの圧力の差が大きくなる。
これに対して、縁部eg1が前記腕部83、84の前端に当たらず、図14に示されるように、被検体12が停止位置ラインSLより手前で停止させられると、被検体12は正確に位置決めがされない。このとき、各検出穴98、99はいずれも包材100によって塞がれず、検出穴98、99と包材100との間に、空間106が形成される。
そして、各検出穴98、99はいずれもほぼ開放されていることになるので、圧力計103、104によって検出される検出穴98及び流路101内の圧力、検出穴99及び流路102内の圧力はいずれも低くならず、二つの圧力の差が小さくなる。
また、縁部eg1が前記腕部83、84の前端に正確に当たらず、図15に示されるように、被検体12が停止位置ラインSLより奥で停止させられると、被検体12は正確に位置決めがされない。このとき、各検出穴98、99はいずれも包材100によって塞がれる。
そして、各検出穴98、99はいずれもほぼ閉鎖されていることになるので、圧力計103、104によって検出される検出穴98及び流路101内の圧力、検出穴99及び流路102内の圧力はいずれも低くなり、二つの圧力の差が小さくなる。
したがって、ステーションST1(図6)において被検体12が被検体ホルダ37にセットされたときに、前記圧力計103、104による検出結果を見ることによって、二つの圧力の差が大きい場合、縁部eg1が腕部83、84の前端に正確に当たっていると判断し、二つの圧力の差が小さい場合、縁部eg1が腕部83、84の前端に正確に当たっていないと判断することができる。その結果、被検体12の位置決めを確実に行うことができ、シール部分のシール状態の検査を精度よく行うことができる。
なお、この場合、ストッパ81を導電性の材料で形成する必要はなく、被検体ホルダ37を絶縁性の材料で形成する必要もない。
前記圧力計103、104は、縁部eg1が腕部83、84の前端に正確に当たっているかどうかを通知する通知部として機能する。前記圧力計103、104に代えて表示ランプを使用し、二つの圧力の差が大きい場合に表示ランプを点灯するようにすることができる。
また、前記圧力計103、104の検出結果を制御部に送ることができる。この場合、該制御部の位置判定処理手段は、位置判定処理を行い、縁部eg1が腕部83、84の前端に正確に当たっているかどうかを判断することができる。そして、前記制御部の通知処理手段は、通知処理を行い、前記位置判定処理の判定結果を操作者に通知する。
本実施の形態においては、各検出穴98、99と圧力発生部としての真空源とが流路101、102を介して接続されるようになっているが、圧力発生部として圧縮空気源を使用し、該圧縮空気源と各検出穴98、99とを流路101、102を介して接続することができる。この場合、縁部eg1が前記腕部83、84の前端に当たると、検出穴98は包材100によって塞がれるのに対して、検出穴99は包材100によって塞がれない。
そして、検出穴98はほぼ閉鎖されているのに対して、検出穴99はほぼ開放されていることになるので、圧力計103によって検出される検出穴98及び流路101内の圧力は十分に高くなるのに対して、圧力計104によって検出される検出穴99及び流路102内の圧力は高くならず、二つの圧力の差が大きくなる。
これに対して、縁部eg1が前記腕部83、84の前端に当たらず、被検体12が停止位置ラインSLより手前で停止させられると、各検出穴98、99は、いずれも包材100によって塞がれず、いずれもほぼ開放されていることになるので、圧力計103、104によって検出される検出穴98及び流路101内の圧力、検出穴99及び流路102内の圧力はいずれも高くならず、二つの圧力の差が小さくなる。また、縁部eg1が前記腕部83、84の前端に正確に当たらず、被検体12が停止位置ラインSLより奥で停止させられると、各検出穴98、99は、いずれも包材100によって塞がれ、ほぼ閉鎖されていることになるので、圧力計103、104によって検出される検出穴98及び流路101内の圧力、検出穴99及び流路102内の圧力はいずれも高くなり、二つの圧力の差が小さくなる。
前記各実施の形態においては、第1、第2の被検出部分として検出穴98、99を形成するようにしているが、各検出穴98、99が形成される箇所に、スポット径が小さい第1、第2のフォトセンサをそれぞれ第1、第2の被検出部分として配設することができる。この場合、各第1、第2のフォトセンサは、発光部としてのフォトダイオード、及び受光部としてのフォトトランジスタを備え、フォトダイオードによって放射された光をフォトトランジスタによって受けたかどうかに基づいて、縁部eg1が前記腕部83、84の前端に正確に当たっているかどうかを判断することができるようになっている。
すなわち、第1、第2のフォトセンサが包材100によって塞がれると、各フォトセンサのフォトダイオードによって放射された光を包材100が遮ってしまうのに対して、第1、第2のフォトセンサが包材100によって塞がれないと、各フォトセンサのフォトダイオードによって放射された光は包材100によって反射されてフォトトランジスタによって受けられ、所定の検出出力を発生させる。したがって、各フォトトランジスタの検出出力の差、すなわち、フォトトランジスタによって検出された光の量が大きい場合、縁部eg1が前記腕部83、84の前端に正確に当たっていると判断することができ、各フォトトランジスタによって検出された光の量が小さい場合、縁部eg1が前記腕部83、84の前端に正確に当たっていないと判断することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。