JP4444472B2 - リフローはんだ付け方法とその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板等の被加熱物に電子部品をはんだ付けするためのリフローはんだ付け方法とその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のリフローはんだ付け装置の代表的な例について、図7を参照して説明する。図7はこのリフローはんだ付け装置を概略して示し、(a)は基板搬送方向の縦断面図、(b)は基板搬送方向の横断面図である。このリフローはんだ付け装置は図7(a)に示すように、加熱室がある炉体1内が複数の部屋に分割されている。分割された各部屋ごとで駆動モータ19により回転する円筒型多翼ファン15により熱風を循環させるの熱風循環加熱方式が主流となっている。この方式の場合、炉体1内に配置される前記円筒型多翼ファン15あるいは軸流ファンによって、炉体1内の加熱室の気体2を一括して吸い込み、円筒型多翼ファン15の場合は回転軸に対して垂直方向に、軸流ファンの場合は回転軸方向に、気体2をそれぞれ吹き出す。吹き出した気体2は図7(b)に示すように、加熱室とつながる流路を通過し、電子部品の実装されたプリント基板(被加熱物)11に、ノズル16等を介して熱風として吹き付けられる。
【0003】
このとき、プリント基板11の加熱が、プリント基板11上で均一に行われるように、加熱平面での風速の均一化を図る必要がある。このため、熱風の流れ方向を制御する整流板17やノズル16等により、この熱風を均等に分割して吹き付けるようにする。吹き付けられた熱風は再び前記ファン15によって吸い込まれる。この繰り返しにより、炉体1内の気体2は循環され、循環経路に配置される電気ヒータもしくは赤外線加熱ヒータ等の加熱ヒータ24によって、所望の温度に上昇するように制御される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のリフローはんだ付け方法では、大型の円筒型多翼ファン15もしくは軸流ファンの配置が必要となる上、これらを駆動する駆動モータ19が大きな容積を占めることとなり、装置の小型化が困難になる。さらには、前述した気体2の循環経路についても、流路の断面積が小さい場合は熱風の圧力損失が大きくなるために、安全率を見て大きめの断面積を選択せざるを得ないが、炉体1全体の限られた容積の中では、流路の断面積を際限なく大きくすることも不可能である。
【0005】
また循環経路には、炉体1内の気体2の吸い込み位置と吹き出し位置とが必然的に隣接するために、熱風の循環経路に配管の屈折部が必ず存在し、ここで圧力損失が発生する。このため、円筒型多翼ファン15もしくは軸流ファンの発生静圧に対して、ノズル16からの熱風の吹き出し風速を見ると、風速発生効率が低くなっている。
【0006】
また、被加熱物であるプリント基板11に対する熱風の吹き付け速度および吹き付け角度を均一にするために、流路内に設けられる整流板17の形状と配置位置の決定が非常に困難になるという問題がある。
【0007】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、炉体の小型化を図り、均一な風速の熱風を安定して供給することができるリフローはんだ付け方法とその装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本願の第1発明のリフローはんだ付け方法は、被加熱物に対して熱風を吹き付けてはんだ付けを行うリフローはんだ付け方法において、炉体内に配置された送風手段によって被加熱物の近傍の気体を取り入れ、加熱手段により加熱しながら被加熱物の近傍で循環させることによって、前記気体に所定の風速を与えて前記熱風にすることを前提とする。
【0009】
上記発明の前提によれば、循環させた熱風を被加熱物に吹き付けることを、従来のように炉体内全体の気体を循環させることなく、被加熱物の近傍の気体がその場所で、炉体内に配置された送風手段によって行わせることができる。送風手段より吹き出された熱風は、均一な風速で効率良く被加熱物に熱伝達されリフローはんだ付けすることができるので、装置の小型化を図ることができると共に、熱風風速のバラツキも最小限に抑制することができる。また熱風の循環経路が短縮されることにより、熱風の圧力損失と熱の外部への損失を抑制することもできる。
【0010】
上記発明は、また、電磁誘導により発熱する発熱体で送風手段を構成し、この送風手段により、被加熱物の近傍の気体の循環と加熱とを行うので、特別な加熱手段が不要となり部品点数を減らし、その設置スペースが不要となり構造を簡単化でき、好適である。
【0013】
上記目的を達成するために本願の第発明のリフローはんだ付け装置は、被加熱物に対して熱風を吹き付けてはんだ付けを行うリフローはんだ付け装置において、炉体内に配置され、被加熱物の近傍の気体を加熱する加熱手段としての電磁誘導により発熱する発熱体で構成され、被加熱物近傍で気体を加熱しながら循環させて所定の風速を与えて前記熱風にする送風手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
上記発明によれば、本願の第1発明の方法を具体的に実施することができ、同様の作用を奏することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における実施形態のリフローはんだ付け方法とその装置について具体的に説明する。尚、図7に示した従来例と同じ構成部分については同符号を付している。
【0018】
図1〜図3は第1実施形態を示し、図1はリフローはんだ付け装置の基板搬送方向の断面図、図2はクロスフローファンの形状と動作及び風の流れを説明するための拡大図、図3は炉体内部の詳細図である。第1実施形態では、炉体1内の気体2の加熱方法として、クロスフローファン(送風手段)4を構成する羽根車3を電磁誘導加熱によって加熱しながら、羽根車3を通過する気体2を循環する方法を採っている。
【0019】
図1において、第1実施形態のリフローはんだ付け装置は、搬入されるプリント基板(被加熱物)11を搬送手段12によって搬送しながら、炉体1内の予備加熱室において予備加熱した後、リフロー加熱室でリフロー加熱してはんだ付けされたプリント基板11を、冷却手段18により冷却する構造となっている。
【0020】
図2において、クロスフローファン4は、回転軸7に取付けられた羽根車3、外周側ガイド部6aと内周側ガイド部6bとからなるケーシング6から構成され、回転軸7方向と直交する方向に風速を発生させる送風手段である。外周側ガイド部6aは羽根車3の周りに気体2の吸い込み口8と吹き出し口9、そしてそれらの間の風路16を形成し、内周側ガイド部6bは吹き出し口9で羽根車3に随伴している風の流れを掻き取っている。この構成によって、プリント基板11の近傍の気体2は、吸い込み口8より羽根車3に吸い込まれ、回転軸7の直交方向に風速を発生させ、羽根車3の中を通過して吹き出し口9から所定の風速を得て熱風2aとして吹き出される。クロスフローファン4は、炉体1内の加熱室で気体2の吸い込み口8から吹き出し口9への風の流れがほぼ90°屈曲するようにケーシング6の形状が定められているので、プリント基板11に対し直下(回転軸7の垂直方向)に熱風2aが吹き出されることになる。
【0021】
図3において、炉体1内にはクロスフローファン4が複数個、回転軸7を炉体1の幅方向に向け且つプリント基板11の表面に平行になるように並列に配置されている。炉体1の壁面には断熱材5が挟み込まれ、外気への熱の逃げを防ぎ、炉内温度を保っている。また、炉体1の基板搬送方向と平行な壁面を挟んだ羽根車3との対称位置には、各羽根車3に対応し、これらに誘導加熱を発生させる小片のブロック状のコイル(電磁誘導機構)10が複数個配置されている。この羽根車3はステンレス材等の誘導加熱を効率良く発生させる材質から形成されることにより、羽根車3を電磁誘導によって発熱する発熱体として構成される。またコイル10とそれによって発熱される羽根車3とが加熱手段として機能する。ケーシング6および炉体1の壁面材質は、コイル10から発生する電磁場を羽根車3まで妨げることなく伝えて炉内気体2を加熱できる構造および材質を採用する。
【0022】
この構成によって、羽根車3はコイル10による電磁誘導加熱によって加熱され、プリント基板11の近傍の気体2がクロスフローファン4内で羽根車3の中を通過する際に気体2を加熱し、吹き出し口9から吹き出される。気体2は、この繰り返しによる強制循環によって加熱され、所望の温度に達した時点で、搬送手段12上を搬送するプリント基板11に熱風2aを吹き付けることができる。
【0023】
図4は第2実施形態の炉体1内部を示す。第2実施形態では、クロスフローファン4の羽根車3自身に電熱線を内蔵することにより、羽根車3を自ら発熱する機構を有する発熱体として構成してプリント基板11の近傍の気体2を加熱する加熱手段をも兼ねているので、従来例のような加熱ヒータ24を不要とすることができる。回転動作を行う羽根車3自身が発熱体となっていることで、羽根車3の羽根部分を通過する気体2を、熱伝導によって加熱することが可能である。
【0024】
図5は第3実施形態の炉体1内部を示す。第3実施形態では、クロスフローファン4に吸い込まれるまたは吐き出される気体2の通過する流路の途中に電熱線等の加熱ヒータ(加熱手段)14を配置することによって、ここを通過する気体2に熱伝達を行い、気体2が強制的に循環される過程において昇温し、熱風2aを所望の温度にすることができる。尚、加熱ヒータ14の配置は図5(a)(b)に示すように、吸い込み口8付近でも吐き出し口9付近のいずれでも良い。
【0025】
尚、送風手段としてクロスフローファン4の代わりに、それと同様に回転軸7方向と直交する方向に風速を発生させる回転軸7方向に長い遠心型羽根車を採用しても良い。この場合においても加熱手段の機構や熱風吹き付け作用はクロスフローファン4と同様である。
【0026】
図6は第4実施形態を示す。第4実施形態では上記第1〜第3実施形態における送風手段の代わりに攪拌手段を採用してプリント基板11の近傍の気体2を加熱しながら循環させるものである。つまり、この攪拌手段として回転軸7方向と平行する羽根部分を有し気体2の攪拌が可能な羽根車13を採用している。この羽根車13を、回転軸7を炉体1の幅方向に向け且つプリント基板11の平面に平行になるように複数個配置し、これを所定の回転数で回転することでプリント基板11の近傍の気体2を攪拌する。これにより、プリント基板11に対して気体2が所定の風速を持つことによって、熱風2aからプリント基板11への熱伝達が可能となる。
【0027】
気体2の加熱方法としては、図3で示した上記第1実施形態におけるコイル10による誘導加熱による羽根車13自身(電磁誘導によって発熱する発熱体)の加熱による方法と同様の方法を図6に示している。しかしそれに限定されずその他、第2実施形態における羽根車13に電熱線等を内蔵して羽根車3自身を発熱体として加熱する方法、第3実施形態における循環気体2の流路途中に電熱線等の加熱ヒータ14を配置して加熱する方法のいずれを用いても可能である。
【0028】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明のリフローはんだ付け方法とその装置によれば、リフローはんだ付けを行う炉体の小型化が可能となり、熱風風速のバラツキを最小限に抑制して被加熱物に対して均一な風速の熱風を安定して供給することができる。また、熱風の循環経路が短縮されることにより、熱風の圧力損失と熱の外部への損失が抑制されることにより、消費電力の抑制と生産品質の向上を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のリフローはんだ付け装置の基板搬送方向の縦断面図。
【図2】同実施形態における送風手段であるクロスフローファンの動作説明図。
【図3】同実施形態における炉体詳細図。
【図4】本発明の第2実施形態の炉体詳細図。
【図5】本発明の第3実施形態の炉体詳細図。
【図6】本発明の第4実施形態の炉体詳細図。
【図7】従来例のリフローはんだ付け装置を示す概略図であり、(a)は基板搬送方向の縦断面図、(b)は基板搬送方向の横断面図。
【符号の説明】
1 炉体
2 気体
2a 熱風
4 クロスフローファン(送風手段)
7 回転軸
10 コイル(電磁誘導機構)
11 プリント基板(被加熱物)
13 羽根車(攪拌手段)
14 加熱ヒータ(加熱手段)

Claims (7)

  1. 被加熱物に対して熱風を吹き付けてはんだ付けを行うリフローはんだ付け方法において、炉体内に配置され電磁誘導により発熱する加熱手段としての発熱体で構成した送風手段によって被加熱物の近傍の気体を取り入れ、前記発熱体により加熱しながら被加熱物の近傍で循環させることによって、前記気体に所定の風速を与えて前記熱風にし、前記送風手段により、被加熱物の近傍の気体の循環と加熱とを行うことを特徴とするリフローはんだ付け方法。
  2. 小片のブロック状のコイルを、発熱体に隣接して複数個配置することによって、電磁誘導を発生させている請求項記載のリフローはんだ付け方法。
  3. 送風手段の近傍に加熱手段を配置することによって、被加熱物の近傍の気体を熱風にしている請求項1記載のリフローはんだ付け方法。
  4. 送風手段としてクロスフローファンを用い、その回転軸を炉体の幅方向に向け且つ被加熱物表面に平行になるように配置した請求項1〜のいずれかに記載のリフローはんだ付け方法。
  5. 送風手段として遠心型羽根車を用い、その回転軸を炉体の幅方向に向け且つ被加熱物表面に平行になるように配置した請求項1〜のいずれかに記載のリフローはんだ付け方法。
  6. 被加熱物に対して熱風を吹き付けてはんだ付けを行うリフローはんだ付け装置において、炉体内に配置され、被加熱物の近傍の気体を加熱する加熱手段としての電磁誘導により発熱する発熱体で構成され、被加熱物近傍で気体を加熱しながら循環させて所定の風速を与えて前記熱風にする送風手段を備えたことを特徴とするリフローはんだ付け装置。
  7. 電磁誘導機構は、複数個配置された小片のブロック状のコイルである請求項記載のリフローはんだ付け装置。
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