JP4444384B2 - レーザ加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の工作機械としての例えばレーザ加工装置においては、レーザ発振器から出力されたレーザビームが複数のベンドミラーで変向され、レーザ加工装置の本体フレームに左右方向に移動自在に設けたキャレッジを経て、このキャレッジに設けた加工ヘッド内部の集光レンズで集束され、この集光されたレーザビームをノズルからワークテーブル上に載置されたワークに照射して切断、穿孔、溶接等のレーザ加工が行われる。
【0003】
なお、上記のキャレッジを支持するフレームが前後方向に移動位置決めされるか、あるいはワークテーブル上に設けたワーククランプ装置により把持されたワークが前後方向に移動位置決めされることにより、上記のキャレッジの左右方向の移動位置決めと協働してワークの前後左右方向の移動位置決めが行われる。
【0004】
キャレッジが左右方向に移動されるときには図8に示されているように本体フレーム側に固定された固定側ベンドミラー101で変向されたレーザビームLBはキャレッジに設けた可動ベンドミラー103により変向されて加工ヘッド内へ導かれる。このとき、キャレッジの移動に伴って可動ベンドミラー103と固定側ベンドミラー101との距離が変化するので、可動ベンドミラー103と固定側ベンドミラー101との間は図8に示されているように密閉された可変式の光路として例えば蛇腹式光路105が設けられ、この蛇腹式光路105内をレーザビームLBが通過するように構成されている。
【0005】
上記の蛇腹式光路105は図8及び図9に示されているように蛇腹部107が本体フレームに設けたガイドレールとしてのガイドパイプ109に走行自在な複数のガイド体111で吊り下げられて移動自在に設けられている。あるいは、上記の蛇腹部107が図10に示されているように本体フレームに設けたガイドレールとしてのサポートブラケット113に走行自在な複数のガイド体115で吊り下げられて移動自在に設けられている。
【0006】
あるいは、上記の図8及び図9に示されている蛇腹式光路105には、図11に示されているようにカウンタ蛇腹117を追加して軸移動による蛇腹内の容積変化により空気流が光路内を図11の矢印で示されているように移動して隙間部等からのゴミの吸入などを防ぐ構造のものもある。
【0007】
また、工作機械において移動体119を走行駆動せしめる駆動部としては、図12及び図13に示されているように移動体119には例えばガイドレール121の上を走行駆動するリニアガイド123が取り付けられ、モータ125等の駆動手段により回転されるボールネジ127が前記ガイドレール121と同方向に延伸して設けられている。この移動体119にはボールネジ127に螺合するナット部材129が設けられている。
【0008】
上記の駆動部としてのボールネジ127の周囲を粉塵から保護するために、図12に示されているようにボールネジ127の周囲がリニアガイド用蛇腹131からなる防塵装置により被覆されている。このリニアガイド用蛇腹131は複数の支持体133間に連結されており、支持体133はガイドローラ135により工作機械のフレーム137上を走行可能に設けられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の防塵装置の蛇腹においては、例えば図8及び図9、あるいは図10に示されている蛇腹式光路105では、ガイド体111,115がガイドパイプ109またはサポートブラケット113に引っかかるために蛇腹部107が破断してしまうという問題点があった。
【0010】
上記の理由から、従来の防塵装置の蛇腹では高速で移動することには限度があり高速駆動することが構造上難しいという問題点があった。
【0011】
また、図11に示されているようにカウンタ蛇腹117を追加した蛇腹式光路105では、装置的にコストアップとなっていた。
【0012】
また、図12及び図13に示されている駆動部の防塵装置はリニアガイド用蛇腹131とフレーム137との隙間から粉塵が侵入してしまうという問題点があった。
【0013】
また、従来の防塵装置の蛇腹は、難燃性、自己消火性の材質を使用したとしてもレーザ加工やプラズマ加工により発生するスパッタによって穴が開くという問題点があった。
【0014】
本発明は上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、高速駆動可能で、防火可能で、安価な駆動部の防塵装置を用いたレーザ加工装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、レーザ加工装置におけるワークテーブル上のワークに、加工ヘッドからレーザビームを照射してレーザ加工を行うレーザ加工装置において、レーザ加工装置の本体フレーム(3)の側面に、前記加工ヘッド(9)を設けたキャリッジ(7)の移動方向であるY軸方向に長くかつ上面にY軸方向の開口部(27)を備えた防塵カバー(25)を設け、前記防塵カバー(25)内にY軸方向に長くかつループ状に移動可能に設けられたループ状の平ベルト(29)の上面を前記開口部(27)の端縁に接触して設け、前記防塵カバー(25)内でかつ前記平ベルト(29)に囲まれた領域内にY軸方向へ移動自在に設けたキャリッジベース(13)の上面に、前記開口部(27)内をY軸方向に移動可能かつ前記加工ヘッド(9)を備えた加工ヘッド支持ビーム(23)を立設して備えると共に前記平ベルト(29)を当該加工ヘッド支持ビーム(23)に連結して設け、前記平ベルト(29)に囲まれた領域内でY軸方向の一端側に、前記防塵カバー(25)の側面に設けた第1固定ベンドミラー(BM1)を経て内部に取り込れられたレーザビーム(LB)を、前記キャリッジベース(13)に備えた可動ベンドミラー(55)へ反射する第2固定ベンドミラー(BM2)を備え、前記可動ベンドミラー(55)によって上方向へ反射されたレーザビーム(LB)を、前記加工ヘッド支持ビーム(23)の内部を通過して前記加工ヘッド(9)へ導く構成であることを特徴とするものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の駆動部の防塵方法及びその装置、並びに前記防塵方法を用いたレーザ加工方法及びその装置の実施の形態について、図面参照して説明する。
【0028】
図1を参照するに、本実施の形態に係わる工作機械としての例えばレーザ加工装置1は、図示せざるレーザ発振器から出力されたレーザビームLBが複数のベンドミラーBMで変向され、レーザ加工装置1の本体フレーム3に駆動部5により左右方向(図1においてY軸方向)に移動位置決め自在に設けられた移動体としての例えばキャレッジ7を経て、このキャレッジ7に設けた加工ヘッド9の内部の集光レンズ(図示省略)で集束され、この集光されたレーザビームLBがノズル11からワークテーブル(図示省略)の上に載置されたワークに照射して切断、穿孔、溶接等のレーザ加工が行われる。
【0029】
なお、ワークをレーザ加工する際にワークの加工位置を移動位置決めする方法としては、例えば上記のキャレッジ7をキャリア(図示省略)に左右方向(図1においてY軸方向)に移動自在に設け、前記キャリアを前後方向(図1においてX軸方向)に移動位置決め自在に設けることができる。あるいは、ワークテーブル上に設けたワーククランプ装置により把持されたワークが前後方向に移動位置決めされることにより、上記のキャレッジ7の左右方向の移動位置決めと協働してワークの加工位置に対する前後左右方向(X軸方向、Y軸方向)の移動位置決めが行われるようにしても構わない。
【0030】
図2及び図3を併せて参照するに、移動体としてのキャレッジ7の駆動部5は、キャレッジ7の一部を構成するキャレッジベース13が本体フレーム3の側面に図2においてY軸方向に延伸して設けられたガイドレール15に沿って移動自在なリニアガイド17を介してY軸方向に移動自在に設けられている。このリニアガイド17の代りにガイドレール15を上下からカムフォロワーでもって支持して移動させるようにしても構わない。さらに、本体フレーム3の側面には磁石板19がY軸方向に延伸して設けられており、この磁石板19に僅かな隙間を介して対向する位置にスライダ21がキャレッジベース13の側面に設けられている。上記のスライダ21には電源に接続されている電磁石が設けられており、スライダ21に通電されるとキャレッジベース13をY軸方向に走行駆動せしめるよう構成されている。
【0031】
上記のキャレッジベース13の図1ないしは図3において上面には逆L字状の加工ヘッド支持ビーム23が立設されており、この加工ヘッド支持ビーム23の側面には加工ヘッド9が設けられている。
【0032】
上記のキャレッジ7の駆動部5の周囲を被覆する防塵カバー25が本体フレーム3の側面に設けられており、防塵カバー25の図1において上面にはキャレッジ7の加工ヘッド支持ビーム23がY軸方向に移動可能な開口部27を備えている。
【0033】
また、上記の防塵カバー25の内部には、開口部27を常時被蓋する帯状体としての例えば平ベルト29が図1においては本体フレーム3に軸承されている回転体としての例えば4個のローラ31によりループ状に支持された状態で配設されている。なお、平ベルト29はキャレッジ7の加工ヘッド支持ビーム23の付け根に連結されているのでキャレッジ7に連動してループ状に移動可能に設けられている。
【0034】
また、開口部27の端縁と平ベルト29の上面との接触部の構造は、図3のIV部詳細を示した図4(A)に示されているように防塵カバー25の内側にサポートブラケット33が平ベルト29の内面にほぼ一定間隔を設けて平行に取り付けられており、平ベルト29の両面は上記のサポートブラケット33の上面に設けたサポート用シール材35と防塵カバー25の開口部27の端縁に設けたシール材37とで挟み込まれるようにして常時シールされている。
【0035】
または、図4(B)に示されているように、サポート用シール材35、シール材37を平ベルト29にバネ38A,38Bの付勢力で付勢してシールするようにしてもよい。この場合、サポートブラケット33の隅に溝33Vを設けて平ベルト29より摩耗粉が出た場合に収容できるようにしている。
【0036】
さらに、図4(C)に示されているように、防塵カバー25の外に別の防塵カバー25Aを設けると共に、バネ38C,38D,38Eをそれぞれ図に示されているごとくに設けて、バネ38C,38D,38Eの付勢力の加減を操作することで、円滑に平ベルト29を移動させることも可能である。
【0037】
なお、上記の平ベルト29を支持する4個のローラ31に換えて歯車であっても構わない。この場合は平ベルト29の内側にはラック状の歯が設けられる。
【0038】
あるいは、図5に示されているように平ベルト29の内側にチェーン39を無端状に設けると共に、図5において左右に2個のスプロケット41を本体フレーム3に軸承し、この2個のスプロケット41に上記のチェーン39を噛合するするように構成することもできる。この構造では、キャレッジ7の移動時によるイナーシャ(慣性力)の影響は殆ど受けないという点で効果的である。
【0039】
前述したローラ31や歯車やスプロケット41等の回転体は少なくとも1つを回転駆動装置により回転されるように設けることによって、移動体としてのキャレッジ7を駆動する駆動部5とすることができる。
【0040】
さらに、図6に示されているような帯状体たわみ防止装置43で平ベルト29の内側を例えばスプリング45の付勢力によりアーム47の先端に設けたローラ49で常時防塵カバー25に押しつけるように設けることもできる。あるいは、上記の帯状体たわみ防止装置43は図5に示されているように平ベルト29の内側をローラ49により下方へ押圧するか、あるいは図5の2点鎖線で示されているように平ベルト29の外側をローラ49により上方へ押圧するか、いずれかの方法で平ベルト29にテンションを与えてたわみを除去することもできる。
【0041】
あるいは、帯状体たわみ防止装置43の他の例としては、図7に示されているように固定ローラ51とテンションローラ53を用いて平ベルト29にテンションを与えて平ベルト29の上面を防塵カバー25の開口部27の端縁に常時当接して被蓋するように構成しても構わない。
【0042】
あるいは、帯状体たわみ防止装置43の他の例としては、前述したローラ31や歯車やスプロケット41等の複数の回転体のうちの少なくとも1つを、平ベルト29にテンションを与えることができるように回転体の支軸を移動調整可能に設けることもできる。
【0043】
図1を参照するに、図示せざるレーザ発振器から発振されたレーザビームLBは防塵カバー25の図1において右下側の側面に設けた第1固定ベンドミラーBM1により防塵カバー25の内部に取り入れられ、防塵カバー25の内部に固定された第2固定ベンドミラーBM2を経てキャレッジベース13に固定された可動ベンドミラー55により上方へ変向される。その後、レーザビームLBは加工ヘッド支持ビーム23の内部を通過して上部の第3、第4、第5固定ベンドミラーBM3,BM4,BM5により変向されて加工ヘッド9内を下方へ進行し、加工ヘッド9内の図示せざる集光レンズにより集光されてノズル11から下方のワークへ照射される。
【0044】
上記構成により、キャレッジ7がY軸方向に移動されるときには平ベルト29が防塵カバー25の開口部27を被蓋しつつループ状に移動するので、防塵カバー25内は常時密閉された状態が保たれ、確実に防塵される。また、キャレッジ7の移動に伴って第2固定ベンドミラーBM2と可動ベンドミラー55間の距離は変化するが、キャレッジ7が高速駆動されても何の妨げもなくレーザビームLBが良好な状態で通過する。
【0045】
なお、上記の平ベルト29を金属製にすれば、確実な防火対策となる。
【0046】
なお、この発明は前述した発明の実施の形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことによりその他の態様で実施し得るものである。本実施の形態では工作機械としてレーザ加工装置を例にとって説明したがプラズマ加工機やパンチプレス等の工作機械およびその他の工作機械であっても構わない。
【0047】
なお、前述した実施の形態ではレーザ加工装置1における移動体としての例えばキャレッジ7の駆動部5の防塵装置を説明したが、この防塵装置は幅広く適用できる。
【0048】
例えば工作機械の構造物の移動体を走行駆動せしめる駆動部が、駆動モータにより回転駆動されるボールねじに螺合するナット部材を備えた移動体を、ボールねじの回転により往復移動せしめる構造である場合で説明すると、上記の移動体が走行可能な開口部を備えた防塵カバーでボールねじの周囲を被覆し、防塵カバーの内部に平ベルトを移動体に連動してループ状に移動するように設けることができる。移動体は防塵カバーの開口部より外側に突出した状態で移動することができ、防塵カバーの内部は防塵カバーの開口部が平ベルトにより常時被蓋された状態であるので粉塵の侵入を確実に防ぐことができる。
【0049】
【発明の効果】
以上のごとき発明の実施の形態の説明から理解されるように、本発明によれば、キャレッジベースを左右方向に移動するときには帯状体も防塵カバーの開口部を被蓋しつつループ状に移動するので、防塵カバー内を常時密閉された状態に保つことができ確実に防塵できる。また、キャレッジベースの移動に伴って固定されたベンドミラーと可動するベンドミラーとの間の距離は変化するが、キャレッジベースが高速駆動されても何の妨げもなくレーザビームLBを良好な状態で通過させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すもので、レーザ加工装置のキャレッジの駆動部の防塵装置の斜視図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿った断面図である。
【図4】(A)は図3におけるIV矢視部の拡大詳細図で、(B),(C)は(A)に代る他の例を示す図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示すもので、レーザ加工装置のキャレッジの駆動部の防塵装置の正面図である。
【図6】図5における帯状体たわみ防止装置の一例を示す詳細図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を示すもので、レーザ加工装置のキャレッジの駆動部の防塵装置の正面図である。
【図8】従来のレーザ加工装置における蛇腹式光路の正面図である。
【図9】図8におけるIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】図8におけるIX−IX線に沿った他の例を示す断面図である。
【図11】従来のレーザ加工装置における他の例の蛇腹式光路の正面図である。
【図12】従来の工作機械における駆動部の防塵装置の正面図である。
【図13】図12におけるXIII−XIII線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 レーザ加工装置
3 本体フレーム
5 駆動部
7 キャレッジ(移動体)
9 加工ヘッド
17 リニアガイド
25 防塵カバー
27 開口部
29 平ベルト(帯状体)
31 ローラ(回転体)
43 帯状体たわみ防止装置
45 スプリング
49 ローラ
53 テンションローラ
55 可動ベンドミラー
BM1〜BM5 固定ベンドミラー
Claims (1)
- レーザ加工装置におけるワークテーブル上のワークに、加工ヘッドからレーザビームを照射してレーザ加工を行うレーザ加工装置において、レーザ加工装置の本体フレーム(3)の側面に、前記加工ヘッド(9)を設けたキャリッジ(7)の移動方向であるY軸方向に長くかつ上面にY軸方向の開口部(27)を備えた防塵カバー(25)を設け、前記防塵カバー(25)内にY軸方向に長くかつループ状に移動可能に設けられたループ状の平ベルト(29)の上面を前記開口部(27)の端縁に接触して設け、前記防塵カバー(25)内でかつ前記平ベルト(29)に囲まれた領域内にY軸方向へ移動自在に設けたキャリッジベース(13)の上面に、前記開口部(27)内をY軸方向に移動可能かつ前記加工ヘッド(9)を備えた加工ヘッド支持ビーム(23)を立設して備えると共に前記平ベルト(29)を当該加工ヘッド支持ビーム(23)に連結して設け、前記平ベルト(29)に囲まれた領域内でY軸方向の一端側に、前記防塵カバー(25)の側面に設けた第1固定ベンドミラー(BM1)を経て内部に取り込れられたレーザビーム(LB)を、前記キャリッジベース(13)に備えた可動ベンドミラー(55)へ反射する第2固定ベンドミラー(BM2)を備え、前記可動ベンドミラー(55)によって上方向へ反射されたレーザビーム(LB)を、前記加工ヘッド支持ビーム(23)の内部を通過して前記加工ヘッド(9)へ導く構成であることを特徴とするレーザ加工装置。
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