JP4443811B2 - ゴム組成物の混練状態の試験方法およびゴム組成物の製造方法 - Google Patents

ゴム組成物の混練状態の試験方法およびゴム組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、ゴム組成物の混練状態の試験方法、およびゴム組成物の製造方法、たとえばフィラー分散性が良好で混練状態が安定している架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物の製造方法、さらに詳しくは、少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラー、たとえばカーボンブラック、特に該エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム100重量部に対して30重量部以上の量のカーボンブラックとを密閉式混練機により混練し、得られた混練物に加硫剤もしくは架橋剤と、加硫促進剤もしくは架橋助剤を配合して、フィラー分散性が良好で、混練状態が安定している架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物を製造する方法に関する。
【0002】
【背景技術】
ゴム製品の品質には、ゴムのコンパウンド技術が大きく影響している。特にEPR、EPDM等のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、それ自体に機械的強度がないため、カーボンブラック等の補強性フィラーを多く必要とする。
【0003】
しかしながら、このフィラーをエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム中に分散させるに当たり、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムのようなゴムの粘度は、樹脂に比べて一般に高いため、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム中にフィラーを微分散させることは難しい技術である。
【0004】
そこで、従来は、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとフィラーとの混練に際し、より大きな剪断を加えるか、あるいは混練時間を長くしてフィラーを微分散させる方法を採用し、設備投資コストや生産性を低下させたくないため、製品物性を、加工性を観ながら、なるべく効率よく混練できる条件を選び出し混練条件を決定している。
【0005】
しかしながら、その混練状態、フィラー分散性に対する明確な指標がなかったため、曖昧な条件決めしかできないでいるのが現状である。
また、季節によって気温よび湿度が大きく変化することで、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとフィラーとの混練状態は大きく変化することは知られている。従来は、この変化した混練状態について簡便に解析する指標がなかったため、生産現場で、押出製品の断面形状(ダイスウェル)が変化したり、製品に原因不明の気泡が多発するなどの現象が起こっていても対策が打てないことも多々あった。このような場合、天候による温度、湿度や、混練機の混練能力(剪断力、分散力)とが、偶然かみ合わさって上記のような不具合を生じていることが多く、一定時間(期間)が過ぎると、あるいは同一配合であっても混練機が異なると不具合が生じないなど、その原因が捕らえ難いため十分に解析されてこなかったのが現状である。
【0006】
フィラー分散性については、これまで電気抵抗値の測定法や顕微鏡による方法、ゴムコンパウンドに光を当てて、その表面反射の程度によって判断する方法が知られているが、上記不具合の原因対策の指標としては不十分である。その理由は、フィラー分散によって変化する値であることは確かであるが、逆に水分の影響やポリマーの分子量分布などの影響により変化するため、はっきりした結果が得られないのである。さらに、EPR、EPDM等のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、非極性のポリマーであるため、極性を示すカーボンブラックと混練する場合、密閉式混練機で混練すればするほどダイスウェルが変化したり、物性が悪化することが知られている。これは、一般に擬似ゲル化現象として知られており、ML(1+4)100℃ムーニー粘度では現れることは少ないが、ML(1+59)100℃:約1時間回し続けると、その測定時間の中で、ムーニー粘度(トルク)が大幅に上昇する現象を容易に観察することができる。いわゆるムーニー粘度計で回転した状態は、すなわち、ゴム加工機の押出機のバレル中や射出成形機のポット中を想定したものであり、加硫剤、加硫促進剤が入っていないにもかかわらず起こる現象である。そのため、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムにカーボンブラックが配合されているゴム組成物は、これまでの通常のフィラー分散性指標とは別に、混練状態を把握する指標も必要であった。
【0007】
このほかに、フィラー分散指標と混練状態把握指標の両方を評価可能な精度の高い分析手段として、広幅NMRによる方法(木内 保太郎・伊藤 眞義:日本ゴム協会誌,72,1999)が知られている。しかしながら、分析コストが高いこと、評価結果のレスポンスが遅いことから、工場での品質安定のために用いる分析手段としては不適である。
【0008】
したがって、少なくともゴムとフィラーとを含有するゴム組成物の混練状態を客観的に評価できる、ゴム組成物の混練状態の試験方法、およびその試験方法を採用した、フィラー分散性が良好で、混練状態が安定しているゴム組成物の製造方法の出現が望まれている。具体的には、たとえば密閉式混練機によって得られる架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物中のフィラー分散性と混練状態を客観的に評価できる、新たな分析指標を見出し、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラーたとえばカーボンブラックとを密閉式混練機により混練し、得られた混練物と、加硫剤もしくは架橋剤と、加硫促進剤もしくは架橋助剤とを8インチロールなどの混練機により混練して、フィラー分散性が良好で、混練状態が安定している架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物を製造する方法の出現が望まれている。
【0009】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、少なくともゴムとフィラーとを含有するゴム組成物の混練状態を客観的に評価できる試験方法を提供することを目的としている。
【0010】
また、本発明は、この試験方法を採用した、フィラー分散性が良好で、混練状態が安定しているゴム組成物の製造方法を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の開示】
本発明に係るゴム組成物の混練状態の第1の試験方法は、少なくともゴム(A)と、フィラー(B)とを含有するゴム組成物(I)の混練状態の試験方法であって、
(1)該ゴム組成物(I)の、任意の歪み値εaにおける複素弾性率E*(a)、および該歪み値εaとは異なる任意の歪み値εbにおける複素弾性率E*(b)を測定する、複素弾性率測定工程、
(2)前記複素弾性率測定工程(1)で得られた複素弾性率E*(a)およびE*(b)から、下式
フィラー分散性指標(N)=|E * (b)|/|E * (a)|)×100
に従い、該ゴム組成物(I)のフィラー分散性指標(N)を算出する、フィラー分散性指標算出工程、および、
(3)予め設定されたフィラー分散性目標値(R)と、前記フィラー分散性指標算出工程(2)で算出したフィラー分散性指標(N)とを比較する比較工程を有することを特徴としている。
【0012】
前記フィラー分散性目標値(R)は、通常、前記ゴム組成物(I)と同一配合のゴム組成物を実質的に完全分散状態としてから、前記複素弾性率測定工程(1)および前記フィラー分散性指標算出工程(2)を行なって得られた、目標フィラー分散性指標(N0)である。
【0013】
前記完全分散は、オープンロールによる混練により行われることが望ましい。
本発明に係るゴム組成物の混練状態の第1の試験方法の簡便な試験方法として、次の試験方法を採用することができる。
【0014】
すなわち、この簡便な試験方法は、少なくともゴム(A)と、フィラー(B)とを含有するゴム組成物(I)の混練状態の試験方法であって、
(1')該ゴム組成物(I)を架橋して得られる架橋ゴムシートの、任意の歪み値εaにおける動的弾性率E'(a)、および該歪み値εaとは異なる任意の歪み値εbにおける動的弾性率E'(b)を測定する、動的弾性率測定工程、
(2')前記動的弾性率測定工程(1')で得られた動的弾性率E'(a)およびE'(b)から、下式
フィラー分散性指標(N')=E'(b)/E'(a)×100
に従い、該ゴム組成物(I)のフィラー分散性指標(N')を算出する、フィラー分散性指標算出工程、および、
(3')予め設定されたフィラー分散性目標値(R')と、前記フィラー分散性指標算出工程(2')で算出したフィラー分散性指標(N')とを比較する、比較工程を有することを特徴としている。
【0015】
前記フィラー分散性目標値(R')は、通常、前記ゴム組成物(I)と同一配合のゴム組成物を実質的に完全分散状態としてから、前記動的弾性率測定工程(1')および前記フィラー分散性指標算出工程(2')を行なって得られた目標フィラー分散性指標(N0')である。前記完全分散は、オープンロールによる混練により行われることが望ましい。
【0016】
上記の動的弾性率E'は、複素弾性率E*の実部に当たるもので、両者の関係は、下式で表わすことができる。
*=E'+iE"
通常のゴムでは、実部E'が虚部E"よりも1桁程度大きいので、実部E'同士の比を取ることで、E*の絶対値の比とほぼ同様の結果を得ることができる。したがって、この動的弾性率E'を採用した試験方法は、フィラー分散性指標算出工程における計算が簡略化され、簡便である点で優れている。なお、動的弾性率E'の測定は、後述する複素弾性率E*と同様の測定装置、測定法によって実施することができる。
【0017】
本発明に係るゴム組成物の第1の製造方法は、上記の、本発明に係るゴム組成物の混練状態の第1の試験方法(上記の簡便な試験方法も含む)を実施することを特徴としている。
【0018】
この製造方法は、通常、さらに、(4)または(4')前記比較工程(3)または(3')の結果を受けて、フィラー分散性指標(N)/フィラー分散性目標値(R)の値、またはフィラー分散性指標(N')/フィラー分散性目標値(R')の値が一定の数値範囲内になるように、ゴム組成物(I)の混練条件を調整する、フィードバック工程を有する。
【0019】
前記のフィラー分散性指標(N)/フィラー分散性目標値(R)(|E*(a)|≦|E*(b)|の場合)の数値範囲、またはフィラー分散性指標(N')/フィラー分散性目標値(R')の数値範囲は、0.8〜1.0であることが好ましい。
【0020】
また、本発明に係るゴム組成物の混練状態の第2の試験方法は、少なくともゴム(A)と、フィラー(B)とを含有するゴム組成物(I)の混練状態の試験方法であって、
(5)該ゴム組成物(I)の複素粘性率η*を、少なくとも2つの異なる温度において測定する、複素粘性率測定工程、
(6)前記複素粘性率測定工程(5)で得られた複素粘性率η*の温度依存性から、下式 |η*(T)|=Aexp(M/RT)
〔η*:複素粘性率、A:定数、R:気体定数、T:測定温度(°K)〕
に従い、該ゴム組成物(I)の混練状態把握指標(M)を算出する、混練状態把握指標算出工程、および、
(7)予め設定された混練状態目標値(P)と、前記混練状態把握指標算出工程(6)で算出した混練状態把握指標(M)とを比較する、比較工程を有することを特徴としている。
【0021】
前記混練状態目標値(P)は、通常、前記ゴム組成物(I)と同一配合のゴム組成物を実質的に完全分散状態としてから、前記複素弾性率測定工程(5)および前記混練状態把握指標算出工程(6)を行なって得られた、目標混練状態把握指標(M0)である。
【0022】
前記完全分散は、オープンロールによる混練により行われることが望ましい。
本発明に係るゴム組成物の混練状態の第2の試験方法の簡便な試験方法として、次の試験方法を採用することができる。
【0023】
すなわち、この簡便な試験方法は、少なくともゴム(A)と、フィラー(B)とを含有するゴム組成物(I)の混練状態の試験方法であって、
(5')該ゴム組成物(I)の複素粘性率η*の実部η'を、少なくとも2つの異なる温度において測定する、複素粘性率測定工程、
(6')前記複素粘性率測定工程(5')で得られた複素粘性率η*の実部η'の温度依存性から、下式
η'(T)=Aexp(M'/RT)
〔A:定数、R:気体定数、T:測定温度(°K)〕
に従い、該ゴム組成物(I)の混練状態把握指標(M')を算出する、混練状態把握指標算出工程、および、
(7')予め設定された混練状態目標値(P')と、前記混練状態把握指標算出工程(6')で算出した混練状態把握指標(M')とを比較する、比較工程を有することを特徴としている。
【0024】
前記混練状態目標値(P')は、前記ゴム組成物(I)と同一配合のゴム組成物を実質的に完全分散状態としてから、前記複素弾性率測定工程(5')および前記混練状態把握指標算出工程(6')を行なって得られた目標混練状態把握指標(M0')である。前記完全分散が、オープンロールによる混練により行われることが望ましい。
【0025】
上記のη'は、複素粘性率η*の実部を取り出したもので、両者の関係は、下式で表わすことができる。
η*=η'+iη"
通常のゴムでは、実部η'が虚部η"よりも1桁程度大きいので、実部η'についていわゆるアレニウスプロットを行なっても、η*の絶対値についてアレニウスプロットを行なった場合とほぼ同様の結果を得ることができる。したがって、この複素粘性率η*の実部η'を採用した試験方法は、混練状態把握指標算出工程における計算が簡略化され、簡便である点で優れている。なお、複素粘性率η*の実部η'の測定は、後述する複素粘性率η*と同様の測定装置、測定法によって実施することができる。
【0026】
また、本発明に係るゴム組成物の第2の製造方法は、上記の、本発明に係るゴム組成物の混練状態の第2の試験方法(上記の簡便な試験方法も含む)を実施することを特徴としている。
【0027】
この第2の製造方法は、通常、さらに、(8)または(8')前記比較工程(7)または(7')の結果を受けて、混練状態把握指標(M)/混練状態目標値(P)の値、または混練状態把握指標(M')/混練状態目標値(P')の値が一定の数値範囲内になるように、ゴム組成物(I)の混練条件を調整する、フィードバック工程を有する。
【0028】
前記の混練状態把握指標(M)/混練状態目標値(P)の数値範囲、または混練状態把握指標(M')/混練状態目標値(P')の数値範囲は、0.85〜1.0であることが好ましい。
【0029】
本発明に係るゴム組成物の第1の製造方法は、さらに、本発明に係るゴム組成物の第2の製造方法における工程((5)〜(7)、さらに(8))を含んでいてもよい。逆に、本発明に係るゴム組成物の第2の製造方法は、さらに、本発明に係るゴム組成物の第1の製造方法における工程((1)〜(3)、さらに(4))を含んでいてもよい。
【0030】
本発明は、ゴム組成物の種類、性状、用途に応じて様々な態様で実施することができるが、本発明に係るゴム組成物の製造方法の具体例を挙げると、たとえば架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物の製造方法は、少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラーたとえば該エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム100重量部に対して30重量部以上の量の補強性フィラーとを密閉式混練機により混練し、加硫剤もしくは架橋剤と、必要に応じ加硫促進剤もしくは架橋助剤を含む架橋用ゴム組成物の製造方法において、
予め下記の方法により分析してフィラー分散目標値(R)および/または混練状態把握目標値(P)を求めておき、
下記の方法により分析して得られたフィラー分散指標(N)が、次式
フィラー分散性指標(N)/フィラー分散性目標値(R)=1〜0.8および/または下記の方法により分析して得られた混練状態把握指標(M)が、次式
混練状態把握指標(M)/混練状態把握目標値(P)=1〜0.85を満足するように、密閉式混練機による混練条件をコントロールする。
【0031】
(1)フィラー分散性目標値(R):少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラーと、加硫剤もしくは架橋剤と、必要に応じ加硫促進剤もしくは架橋助剤とを8インチオープンロールにより、100℃以下で混練して得られた未架橋ゴム組成物から成形した、厚みが均一な架橋ゴムシートの動的弾性率の歪み依存性を測定し、歪みに対して動的弾性率(より正確には複素弾性率)が変化しない部分から、ある特定の歪みを特定して求めた動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(a)と、歪みによって動的弾性率(より正確には複素弾性率)が大きく変化する部分から、ある特定の歪みを特定して求めた動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(b)との百分率[(E*(b)/E*(a))×100](より正確には(|E*(b)|/|E*(a)|)×100)を基準となるフィラー分散性目標値(R)とする。
【0032】
なお、本具体例における「基準となるフィラー分散性目標値(R)」は、本発明の第1の試験方法における「フィラー分散性目標値(R)」に相当し、さらに、本発明の第1の試験方法における目標フィラー分散性指標(N0)に相当する。
【0033】
(2)混練状態把握目標値(P):少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラーとを8インチオープンロールにより、100℃以下で混練して得られた、加硫剤、架橋剤、加硫促進剤および架橋助剤を含まない未架橋ゴム組成物の複素粘性率と測定温度との関係を示す式
η*=Aexp(−Ea/RT)
〔η*:複素粘性率、Ea:見かけの活性化エネルギー、T:測定温度(°K)、R:気体定数、A:前指数項〕、または
T=Aexp(−Ea/RT)
〔aT:シフトファクター、Ea:見かけの活性化エネルギー、T:測定温度(°K)、R:気体定数、A:前指数項〕
から求められるEaを基準となる混練状態把握目標値(P)とする。
【0034】
なお、本具体例における「基準となる混練状態把握目標値(P)」は、本発明の第2の試験方法における「混練状態目標値(P)」に相当し、さらには、目標混練状態把握指標(M0)に相当する。
【0035】
(3)フィラー分散性指標(N):少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラーとを密閉式混練機により混練し、得られた混練物と、加硫剤もしくは架橋剤と、必要に応じ加硫促進剤もしくは架橋助剤とを8インチオープンロールで混練して得られた未架橋ゴム組成物(前記(1)の未架橋ゴム組成物と同じ組成)から成形した、厚みが均一な架橋ゴムシートの動的弾性率の歪み依存性を測定し、歪みに対して動的弾性率(より正確には複素弾性率)が変化しない部分から、ある特定の歪みを特定して求めた動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(a)と、歪みによって動的弾性率(より正確には複素弾性率)が大きく変化する部分から、ある特定の歪みを特定して求めた動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(b)との百分率[(E*(b)/E*(a))×100](より正確には(|E*(b)|/|E*(a)|)×100)をフィラー分散性指標(N)とする。
【0036】
(4)混練状態把握指標(M):少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラーとを密閉式混練機で剪断を加えながら、あるいは熱と剪断を加えながら混練して得られた、加硫剤、架橋剤、加硫促進剤および架橋助剤を含まない未架橋ゴム組成物(前記(2)の未架橋ゴム組成物と同じ組成)の複素粘性率と測定温度との関係を示す式
η*=Aexp(−Ea/RT)
〔η*:複素粘性率、Ea:見かけの活性化エネルギー、T:測定温度(°K)、R:気体定数、A:前指数項〕、または
T=Aexp(−Ea/RT)
〔aT:シフトファクター、Ea:見かけの活性化エネルギー、T:測定温度(°K)、R:気体定数、A:前指数項〕
から求められるEaを混練状態把握指標(M)とする。
【0037】
前記補強性フィラーとしては、カーボンブラックが好ましく用いられる。
本発明に係るゴム組成物の製造方法、たとえば上記の架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物の製造方法によれば、フィラー分散性が良好で、混練状態が安定している架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物が得られる。
【0038】
上記の架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物は、少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラーたとえば該エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム100重量部に対して30重量部以上の量の補強性フィラーとを密閉式混練機により混練し、加硫剤もしくは架橋剤と、必要に応じ加硫促進剤もしくは架橋助剤を含む架橋用ゴム組成物において、
前記の方法により分析して得られたフィラー分散性指標(N)とフィラー分散性目標値(R)との比(N/R)が1〜0.8の範囲内、および/または混練状態把握指標(M)と混練状態把握目標値(P)との比(M/P)が1〜0.85の範囲内にあることを特徴としている。
【0039】
前記補強性フィラーとしては、カーボンブラックが好ましく用いられる。
この架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物は、フィラー分散性が良好で、混練状態が極めて安定している。
【0040】
本発明者らが新に見出した、上記のフィラー分散性指標の比(N/R)および混練状態把握指標の比(M/P)をそれぞれフィラー分散性、混練状態の客観的な評価指標として採用することにより、始めて、季節によって変化する温度、湿度、剪断状態に応じた密閉式混練機の混練条件を容易に設定することが可能となり、その結果、混練機として密閉式混練機を用いても、フィラー分散性に優れ、良好な押出加工性、射出成形性を有し、良好な物性を有する成形体を成形できる架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物を安定して製造することが可能になった。
【0041】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明に係るゴム組成物の混練状態の試験方法およびゴム組成物の製造方法について具体的に説明する。
【0042】
まず、本発明に係るゴム組成物の混練状態の試験方法およびゴム組成物の製造方法の際の用いられるゴム組成物(I)について説明する。
ゴム組成物(I)
本発明で用いられるゴム組成物(I)を構成するゴム(A)としては、天然ゴム(NR)または合成ゴムが用いられる。
【0043】
合成ゴムとしては、具体的には、イソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPM)等のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)等のエチレン・α−オレフィン・(非)共役ポリエン共重合体ゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴムなどが挙げられる。
【0044】
また、本発明で用いられるゴム組成物(I)を構成するフィラー(B)は、従来公知の補強性フィラーであってもよいし、また従来公知の補強性のないフィラーであってもよい。
【0045】
また、上記ゴム組成物(I)においては、必要に応じて、従来公知の加硫剤、架橋剤、加硫促進剤、架橋助剤、軟化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、加工助剤、擬似ゲル化防止剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で用いることができる。
次に、本発明に係るゴム組成物の混練状態の第1の試験方法およびゴム組成物の第1の製造方法について説明する。
【0046】
ゴム組成物の混練状態の第1の試験方法
本発明に係るゴム組成物の混練状態の第1の試験方法は、少なくともゴム(A)と、フィラー(B)とを含有するゴム組成物(I)に適用される試験方法であり、下記の複素弾性率測定工程(1)、フィラー分散性指標算出工程(2)、および比較工程(3)を有する。
【0047】
この試験方法の技術思想を説明すると、少なくともゴム(A)とフィラー(B)とを含有するゴム組成物(I)の複素弾性率E*は、歪みεが増大するにつれて変化(減少)する。このような変化は、歪みεの増大に伴い、組成物(I)中のフィラー(B)の凝集や結合が破壊され、複素弾性率E*が低下することに対応している。
【0048】
したがって、フィラー分散性の良いゴム組成物(I)は、初めからフィラー(B)の凝集や結合が破壊されているので、複素弾性率E*の変化率が小さい筈である。すなわち、歪みεに対する複素弾性率E*の変化率が小さいゴム組成物(I)は、フィラー分散性の良い組成物であり、歪みεに対する複素弾性率E*の変化率が大きいゴム組成物(I)は、フィラー分散性の悪い組成物であると云うことができる。
【0049】
この歪みεに対する複素弾性率E*の変化率は、異なる2つの歪み値(εa、εb)で測定した複素弾性率(E*(a)、E*(b))の比[E*(b)/E*(a)]で評価することができる。また、より簡便には、E*(a)の実部E'(a)とE*(b)の実部E'(b)との比で評価することもできる。
【0050】
[複素弾性率測定工程(1)]
この複素弾性率測定工程(1)では、上記ゴム組成物(I)の、任意の歪み値εaにおける複素弾性率E*(a)、およびこの歪み値εaとは異なる任意の歪み値εbにおける複素弾性率E*(b)を測定する。
【0051】
複素弾性率の測定は、各種の粘弾性測定装置によって行なうことができる。たとえば、レオメトリックス社のRDS、RSAII、α−テクノロジーズ社のRPA−2000等
の測定装置を挙げることができるが、これらに限定されない。要は、異なる歪み値における複素弾性率を一定の精度で評価できる測定装置であればよい。
【0052】
複素弾性率測定の原理は、たとえば社団法人日本ゴム協会発行の「ゴム技術の基礎」39〜42頁に詳述されている。この原理に従い、複素弾性率を測定することが可能ならば、いかなる測定装置であっても本発明に適用しうる。
【0053】
複素弾性率の測定は、加硫ゴム(好ましくはゴムシート)、未加硫ゴム(好ましくはゴムシート)のいずれについても行なうことができる。ただし、未加硫ゴムの状態で複素弾性率を測定する場合には、測定中に加硫反応が進まないよう、加硫剤等が含まれていない未加硫ゴムコンパウンドをサンプルとして使用することが好ましい。
【0054】
複素弾性率としては、ヤング率方向(縦方向)についての測定で得られる複素弾性率E*のみならず、ネジリ方向についての測定で得られる複素弾性率G*も本発明に適用することができる。
【0055】
それぞれの測定法の具体例を以下に述べる。
(1)ヤング率方向(縦方向)における複素弾性率E*の測定法
1mm厚の加硫ゴムシートを10mm×30mmに打ち抜き、サンプル固定具に縦方向に取り付ける。取り付け時に、加硫ゴムシートのたるみがないようにサンプルを固定具に取り付ける。レオメトリックス社製のRSA粘弾性測定装置などで、歪み率0.01〜2.2%変化させたときの複素弾性率E*を求める。
なお、同様の指標として、E'(動的弾性率)の歪み依存性からも求めることができる。
【0056】
(2)ネジリ方向における複素弾性率G*の測定法
この複素弾性率G*は、2mm厚の加硫ゴムシートにネジリ方向の歪みを加え、G*の歪み依存性からも求めることが可能で、G'(動的弾性率)からも同様の指標として扱うことができる。
【0057】
また、加硫ゴムシートでなくとも未加硫ゴムコンパウンドでの評価が可能で、複素弾性率G*の測定は上記と同様にして行なうことができる。
未加硫ゴムコンパウンドでの複素弾性率G*の測定は、未加硫ゴムコンパウンド中に加硫剤、助剤が存在していても可能であるが、測定中に架橋反応が進行しないよう、測定温度に注意することが必要である。
【0058】
[フィラー分散性指標算出工程(2)]
このフィラー分散性指標算出工程(2)では、前記複素弾性率測定工程(1)で得られた複素弾性率E*(a)およびE*(b)から下式に従い、ゴム組成物(I)のフィラー分散性指標(N)を算出する。
フィラー分散性指標(N)=|E * (b)|/|E * (a)|)×100
【0059】
[比較工程(3)]
この比較工程(3)では、予め設定されたフィラー分散性目標値(R)と、前記フィラー分散性指標算出工程(2)で算出したフィラー分散性指標(N)とを比較する。
【0060】
このフィラー分散性目標値(R)は、通常、ゴム組成物(I)と同一配合のゴム組成物を実質的に完全分散状態としてから、前記複素弾性率測定工程(1)および前記フィラー分散性指標算出工程(2)を行なって得られた、目標フィラー分散性指標(N0)である。このフィラー分散性目標値(R)は、コンピューターシミュレーション等による理論計算値であってもよいし、また実測値であってもよい。
【0061】
ここに、上記の、「実質的に完全分散状態」とは、当該組成物中のフィラーの分散が十分に進み、更に混練のためのエネルギーを加えても、フィラーの分散がそれ以上は進まない状態をいう。混練のためのエネルギーは、たとえば混練機が消費する電力で測定することができる。フィラーの分散は、たとえば当該組成物を加硫して得られるゴムの諸物性(硬度、引張強度、引張伸び等)を測定することで間接的に把握することができる。したがって、たとえば混練機の消費電力に対する加硫ゴムの諸物性の変化が飽和した実質的な「完全分散状態」と捉えることができる。完全分散状態は、組成物の配合が異なれば、その異なる配合組成物毎に存在する。
【0062】
完全分散は、オープンロールによる混練により行われることが望ましい。オープンロールによる混練を行なうことにより、ほぼ理想的な混練状態が得られる。したがって、オープンロールで混練された組成物を実質的に完全分散状態にある組成物として、目標フィラー分散性指標(N0)の測定に好適に用いることができる。
上記の、本発明に係るゴム組成物の混練状態の第1の試験方法の簡便な試験方法については、既に上述した通りである。
【0063】
ゴム組成物の第1の製造方法
本発明に係るゴム組成物の第1の製造方法では、上記の、本発明に係るゴム組成物の混練状態の第1の試験方法(簡便な試験方法も含む)を実施する。この実施により、ゴム組成物(I)中におけるフィラー分散性を客観的に評価することができる。
【0064】
この製造方法は、通常、さらに、(4)前記比較工程(3)の結果を受けて、フィラー分散性指標(N)/フィラー分散性目標値(R)が一定の数値範囲内になるように、ゴム組成物(I)の混練条件を調整する、フィードバック工程を有する。
【0065】
前記のフィラー分散性指標(N)/フィラー分散性目標値(R)(|E*(a)|≦|E*(b)|の場合)の数値範囲は、0.8〜1.0であることが好ましい。
【0066】
ゴム組成物の(I)の混練条件としては、混練温度、混練時間、剪断速度、フローティングウェイト圧力、フローティングウェイト上下の回数および/またはタイミング、混練機充填率、混練羽の密度、混練羽とケーシングとのクリアランス、ローターとローターとの間のクリアランスなどが挙げられる。
次に、本発明に係るゴム組成物の混練状態の第2の試験方法およびゴム組成物の第2の製造方法について説明する。
【0067】
ゴム組成物の混練状態の第2の試験方法
本発明に係るゴム組成物の混練状態の第2の試験方法は、少なくともゴム(A)と、フィラー(B)とを含有する、未架橋のゴム組成物(I)に適用される試験方法であり、下記の複素粘性率測定工程(5)、混練状態把握指標算出工程(6)、および比較工程(7)を有する。
【0068】
この試験方法の技術思想を説明すると、下式から明らかなように、式中のMは、複素粘性率η*の温度依存性を表わしている。
|η*(T)|=Aexp(M/RT)
この式において、Aは定数であり、Rは気体定数でり、Tは測定温度(°K)である。Mが大であるほど、複素粘性率η*の温度依存性は低くなり、Mが小であるほど、複素粘性率η*の温度依存性は高くなる。
【0069】
この複素粘性率η*の温度依存性が高くなるに従って、ゴム組成物(I)における擬似ゲルの生成、消滅の影響が大となる。良好な混練状態にあるゴム組成物(I)では、擬似ゲルの生成、消滅は殆ど起こらないので、複素粘性率η*の温度依存性は極小となり、Mは極大となる。すなわち、Mが大であるゴム組成物(I)は、混練状態の良い組成物であり、Mが小であるゴム組成物(I)は、混練状態の悪い組成物と云うことができる。
【0070】
したがって、2以上の温度で複素粘性率η*を測定し、アレニウスプロットによりMを算出することにより、ゴム組成物(I)の混練状態を客観的に評価することができる。
【0071】
なお、Mの計算方法には2種類ある。すなわち、Mは下記の式(1)または式(2)のそれぞれから求めることができる。これらの式における−EaがMに相当する。
|η*|=Aexp(−Ea/RT) ・・・(1)
この式(1)において、η*は複素粘性率、Eaは見かけの活性化エネルギー、Tは測定温度(°K)、Rは気体定数、Aは前指数項(定数)である。
T=Aexp(−Ea/RT) ・・・(2)
この式(2)において、aTはシフトファクター、Eaは見かけの活性化エネルギー、Tは測定温度(°K)、Rは気体定数、Aは前指数項(定数)である。
【0072】
[複素粘性率測定工程(5)]
この複素粘性率測定工程(5)では、ゴム組成物(I)の複素粘性率η*を、少なくとも2つの異なる温度において測定する。
【0073】
[混練状態把握指標算出工程(6)]
複素粘性率の測定は、各種の粘弾性測定装置によって行なうことができる。たとえば、レオメトリックス社のRDS、RSAII、α−テクノロジーズ社のRPA−2000等の測定装置を挙げることができるが、これらに限定されない。要は、複素粘性率を一定の精度で評価できる測定装置であればよい。
【0074】
複素粘性率測定の原理は、たとえば社団法人日本ゴム協会発行の「ゴム技術の基礎」39〜42頁に詳述されている。この原理に従い測定することが可能ならば、いかなる測定装置であっても本発明に適用しうる。
【0075】
複素粘性率の測定は、未加硫ゴムコンパウンドについて行なうことができる。この場合には、測定中に加硫反応が進まないよう、加硫剤等が含まれていない未加硫ゴムコンパウンドをサンプルとして使用することが好ましい。また、加硫剤等が含まれている未加硫ゴムパウンドをサンプルとして使用する場合には、加硫反応が進行しないよう、加硫温度未満に温度コントロールすることが好ましい。
【0076】
複素粘性率は、未加硫ゴムの状態で測定することができるが、加硫ゴムでは測定できない。未加硫ゴムパウンドは、加硫剤、助剤を含んでいてもよいが、測定中に加硫反応が起こらないように、測定温度の設定が必要である。したがって、サンプルとしては、加硫剤、助剤が入っていない未加硫ゴムコンパウンドが好ましい。よって、バンバリーミキサー等から混練直後にサンプリングした未加硫ゴムコンパウンドが好ましい。
【0077】
複素粘性率は、レオメトリックス社のRDSやα−テクノロジーズ社RPA−2000で測定することが可能である。測定用プレートに未加硫ゴムコンパウンドを載せ、挟み込むことによって各測定温度で複素粘性率η*、シフトファクターaTを求め、前記式(1)、(2)より活性化エネルギー(Ea)を算出する。測定温度は、原理的には2条件で十分であるが、測定精度の観点からは3条件以上であることが好ましい。
【0078】
α−テクノロジーズ社のRPA−2000では、予め未加硫ゴムコンパウンドのシートを作製する必要はなく、キャビティの容量以上のコンパウンドを秤量し試験すれば、複素粘性率を測定することができる。
【0079】
この混練状態把握指標算出工程(6)では、前記複素粘性率測定工程(5)で得られた複素粘性率η*の温度依存性から、下式に従い、該ゴム組成物(I)の混練状態把握指標(M)を算出する。
|η*(T)|=Aexp(M/RT)
〔η*:複素粘性率、A:定数、R:気体定数、T:測定温度(°K)〕
【0080】
[比較工程(7)]
この比較工程(7)では、予め設定された混練状態目標値(P)と、前記混練状態把握指標算出工程(6)で算出した混練状態把握指標(M)とを比較する。
この混練状態目標値(P)は、通常、前記ゴム組成物(I)と同一配合のゴム組成物を実質的に完全分散状態としてから、前記複素弾性率測定工程(5)および前記混練状態把握指標算出工程(6)を行なって得られた、目標混練状態把握指標(M0)である。この混練状態目標値(P)は、コンピューターシミュレーション等による理論計算値であってもよいし、また実測値であってもよい。
【0081】
ここに、上記の、「実質的に完全分散状態」とは、当該組成物中のフィラーの分散が十分に進み、更に混練のためのエネルギーを加えても、フィラーの分散がそれ以上は進まない状態をいう。混練のためのエネルギーは、たとえば混練機が消費する電力で測定することができる。フィラーの分散は、たとえば当該組成物を加硫して得られるゴムの諸物性(硬度、引張強度、引張伸び等)を測定することで間接的に把握することができる。したがって、たとえば混練機の消費電力に対する加硫ゴムの諸物性の変化が飽和した実質的な「完全分散状態」と捉えることができる。完全分散状態は、組成物の配合が異なれば、その異なる配合組成物毎に存在する。
【0082】
完全分散は、オープンロールによる混練により行われることが望ましい。オープンロールによる混練を行なうことにより、ほぼ理想的な混練状態が得られる。したがって、オープンロールで混練された組成物を実質的に完全分散状態にある組成物として、目標混練状態把握指標(M0)の測定に好適に用いることができる。
【0083】
ゴム組成物の第2の製造方法
本発明に係るゴム組成物の第2の製造方法は、上記の、本発明に係るゴム組成物の混練状態の第2の試験方法を実施することを特徴としている。この実施により、ゴム組成物(I)の混練状態を客観的に評価することができる。
【0084】
この第2の製造方法は、通常、さらに、(8)前記比較工程(7)の結果を受けて、混練状態把握指標(M)/混練状態目標値(P)が一定の数値範囲内になるように、ゴム組成物の混練条件を調整する、フィードバック工程を有する。
【0085】
前記の混練状態把握指標(M)/混練状態目標値(P)の数値範囲は、0.85〜1.0であることが好ましい。
ゴム組成物の(I)の混練条件としては、混練温度、混練時間、剪断速度、フローティングウェイト圧力、フローティングウェイト上下の回数および/またはタイミング、混練機充填率、混練羽の密度、混練羽とケーシングとのクリアランス、ローターとローターとの間のクリアランスなどが挙げられる。
【0086】
本発明に係るゴム組成物の第1の製造方法は、さらに、本発明に係るゴム組成物の第2の製造方法における工程((5)〜(7)、さらに(8))を含んでいてもよい。逆に、本発明に係るゴム組成物の第2の製造方法は、さらに、本発明に係るゴム組成物の第1の製造方法における工程((1)〜(3)、さらに(4))を含んでいてもよい。すなわち、本発明に係るゴム組成物の製造方法において、前記の、本発明に係るゴム組成物の混練状態の第1の試験方法と第2の試験方法の両方を実施することができる。
【0087】
本発明は、ゴム組成物の種類、性状、用途に応じて、様々な実施態様で実施することが可能であるが、たとえば、以下のような架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物の製造方法が挙げられる。
【0088】
本発明に係る架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物の製造方法では、少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラーたとえば該エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム100重量部に対して30重量部以上の量の補強性フィラーとを密閉式混練機により混練し、加硫剤もしくは架橋剤と、必要に応じ加硫促進剤もしくは架橋助剤と、軟化剤等のオレフィン系ゴムの添加剤として通常使用されている添加剤とを含む架橋用ゴム組成物を製造する。
【0089】
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとしては、特に制限はなく、従来公知のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムを用いることができ、たとえばEPR等のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、EPDM等のエチレン・α−オレフィン・(非)共役ポリエン共重合体ゴムなどが挙げられる。
【0090】
本発明で用いられる補強性フィラーとしては、従来公知の補強性フィラーを用いることができ、具体的には、カーボンブラック、無水ケイ酸、含水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、クレー、タルク、炭酸カルシウムなどが挙げられる。中でも、カーボンブラックが好ましく用いられる。
【0091】
カーボンブラック等の補強性フィラーの添加量は、架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物の用途によって異なるが、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム100重量部に対して、30重量部以上、通常は30〜300重量部、好ましくは60〜300重量部、さらに好ましくは100〜300重量部の割合で用いられる。
【0092】
本発明で用いられる加硫剤としては、加硫剤として従来公知のイオウ、イオウ化合物などが挙げられる。 本発明においては、これらの加硫剤とともに、加硫促進剤を併用することが望ましい。加硫促進剤としては、従来公知の加硫促進剤であれば特に制限はない。
【0093】
また、本発明で用いられる架橋剤としては、有機過酸化物などが挙げられる。有機過酸化物は、従来よりEPR、EPDMの架橋に際して使用されている有機過酸化物であれば特に制限はない。
【0094】
本発明においては、有機過酸化物とともに、架橋助剤を併用することが望ましい。架橋助剤としては、従来公知の架橋助剤であれば特に制限はない。
また、本発明に係る架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物の製造方法においては、必要に応じて、従来公知の軟化剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、滑剤、加工助剤、擬似ゲル化防止剤などの添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で用いることができる。
【0095】
密閉式混練機としては、具体的には、バンバリーミキサー、ニーダー、インターミックス、ウェルナーと言われているものが挙げられる。
本発明に係る架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物の製造方法では、先ず、予め下記の方法により分析してフィラー分散目標値(R)および/または混練状態把握目標値(P)を求めておく。
【0096】
(1)フィラー分散性目標値(R):少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラーと、加硫剤もしくは架橋剤と、必要に応じ加硫促進剤もしくは架橋助剤とを8インチオープンロールにより、100℃以下で混練して得られた未架橋ゴム組成物から成形した、厚みが均一な架橋ゴムシートの動的弾性率の歪み依存性を測定し、歪みに対して動的弾性率(より正確には複素弾性率)が変化しない部分から、ある特定の歪みを特定して求めた動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(a)と、歪みによって動的弾性率(より正確には複素弾性率)が大きく変化する部分から、ある特定の歪みを特定して求めた動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(b)との百分率[(E*(b)/E*(a))×100](より正確には(|E*(b)|/|E*(a)|)×100)を基準となるフィラー分散性指標(R)とする。
【0097】
この厚みが均一な架橋ゴムシートの動的弾性率の歪み依存性は、レオメトリックス社製の粘弾性試験器RSA IIを用いて測定することができるが、この測定法に限定されない。この測定方法の詳細は、実施例の項で説明する。
【0098】
上記の「歪みに対して動的弾性率が変化しない部分」とは、上記加硫ゴムシート(架橋ゴムシートを含む)のうち、動的弾性率の変化率が3%未満となる部分を指す(以下同じ)。また、上記の「歪みによって動的弾性率が大きく変化する部分」とは、上記加硫ゴムシートのうち、動的弾性率の変化率が3%以上となる部分を指す(以下同じ)。
【0099】
(2)混練状態把握目標値(P):少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラーとを8インチオープンロールにより、100℃以下で混練して得られた、加硫剤、架橋剤、加硫促進剤および架橋助剤を含まない未架橋ゴム組成物の複素粘性率と測定温度との関係を示す式
η*=Aexp(−Ea/RT)〔η*:複素粘性率、Ea:見かけの活性化エネルギー、T:測定温度(°K)、R:気体定数、A:前指数項〕、または
T=Aexp(−Ea/RT)〔aT:シフトファクター、Ea:見かけの活性化エネルギー、T:測定温度(°K)、R:気体定数、A:前指数項〕から求められるEaを基準となる混練状態把握目標値(P)とする。
【0100】
上記混練状態把握目標値(P)は、レオメトリックス社製の粘弾性試験器RSA IIを用いて測定することができるが、この測定法に限定されない。この測定方法の詳細は、実施例の項で説明する。
【0101】
次に、少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラーとを上記と全く同じ組成割合で密閉式混練機により混練し、加硫剤もしくは架橋剤と、必要に応じ加硫促進剤もしくは架橋助剤と、軟化剤等のオレフィン系ゴムの添加剤として通常使用されている添加剤とを上記と全く同じ組成割合で含む架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物を製造するに際して、下記の方法により分析して、フィラー分散性指標(N)および/または混練状態把握指標(M)を求める。
【0102】
(3)フィラー分散性指標(N):少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラーとを密閉式混練機により混練し、得られた混練物と、加硫剤もしくは架橋剤と、必要に応じ加硫促進剤もしくは架橋助剤とを8インチオープンロールで混練して得られた未架橋ゴム組成物(前記(1)の未架橋ゴム組成物と同じ組成)から成形した、厚みが均一な架橋ゴムシートの動的弾性率の歪み依存性を測定し、歪みに対して動的弾性率(より正確には複素弾性率)が変化しない部分から、ある特定の歪みを特定して求めた動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(a)と、歪みによって動的弾性率(より正確には複素弾性率)が大きく変化する部分から、ある特定の歪みを特定して求めた動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(b)との百分率[(E*(b)/E*(a))×100](より正確には(|E*(b)|/|E*(a)|)×100)をフィラー分散性指標(N)とする。
【0103】
フィラー分散性指標(N)は、レオメトリックス社製の粘弾性試験器RSA IIを用いて測定することができるが、この測定法に限定されない。この測定方法の詳細は、実施例の項で説明する。
【0104】
(4)混練状態把握指標(M):少なくともエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムと、補強性フィラーとを密閉式混練機で剪断を加えながら、あるいは熱と剪断を加えながら混練して得られた、加硫剤、架橋剤、加硫促進剤および架橋助剤を含まない未架橋ゴム組成物(前記(2)の未架橋ゴム組成物と同じ組成)の複素粘性率と測定温度との関係を示す式
η*=Aexp(−Ea/RT)
〔η*:複素粘性率、Ea:見かけの活性化エネルギー、T:測定温度(°K)、R:気体定数、A:前指数項〕、または
T=Aexp(−Ea/RT)
〔aT:シフトファクター、Ea:見かけの活性化エネルギー、T:測定温度(°K)、R:気体定数、A:前指数項〕
から求められるEaを混練状態把握指標(M)とする。
【0105】
混練状態把握指標(M)は、レオメトリックス社製の粘弾性試験器RSA IIを用いて測定することができるが、この測定法に限定されない。この測定方法の詳細は、実施例の項で説明する。
【0106】
そして、上記のようにして得られたフィラー分散指標(N)が、次式
フィラー分散性指標(N)/フィラー分散性目標値(R)=1〜0.8
および/または上記のようにして得られた混練状態把握指標(M)が、次式
混練状態把握指標(M)/混練状態把握目標値(P)=1〜0.85
を満足するように、密閉式混練機による混練条件をコントロールする。
【0107】
フィラー分散性指標(N)/フィラー分散性目標値(R)の値が1〜0.8の範囲内にある場合は、密閉式混練機で混練されたゴム組成物中におけるフィラー分散性は良好であると評価することができる。
【0108】
また、混練状態把握指標(M)/混練状態把握目標値(P)の値が0.85よりも小さい場合は、密閉式混練機で混練されたゴム組成物中に、擬似的ゲルが発生する可能性があることを示しており、擬似的ゲルが発生した場合には押出成形においてダイスウェルが小さくなり、その加硫(架橋)ゴム物性が悪化することとなる。なお、混練り状態を把握する指標として通常管理されているムーニー粘度[ML(1+4)100℃]値では、その変化を見ることはできない。
【0109】
本発明者らは、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとカーボンブラックとを配合する系において、混練すればするほど変化するものは、ポリマーとフィラー(カーボンブラック)との界面に生じる擬似的ゲル生成であり、この擬似的ゲルを生じさせないようにするためには、そのゲル発生点にラジカル捕捉効果として働く、酸素(空気)を供給すればよいことを見出した。
【0110】
密閉式混練機中への酸素の供給は、フローティングウエイトを上下動させることにより可能である。ただ、本操作を何度も繰り返すと、ゴム組成物を押さえ付ける力を除くことになり、フィラーを充分に分散させることができなくなるため、混練時間が長くなり、その結果、目的とする架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物の生産速度が低下することになる。
【0111】
本発明に係る架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物の製造方法においては、本発明者らが新に見出した、フィラー分散性を客観的に評価できるフィラー分散性指標と、混練状態を客観的に評価できる混練状態把握指標を採用し、フィラー分散指標(N)が、次式
フィラー分散性指標(N)/フィラー分散性目標値(R)=1〜0.8
および/または混練状態把握指標(M)が、次式
混練状態把握指標(M)/混練状態把握目標値(P)=1〜0.85を満足するように、密閉式混練機による混練条件をコントロール、たとえば密閉式混練機に備え付けられているフローティングウエイトを上下動させて密閉式混練機に酸素を供給するので、擬似的ゲルを発生させることなく、フィラー分散性が良好で、混練状態が安定している架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物を最も経済的に生産することができる。フローティングウエイトとは、混練機密閉部の重しの役目をするものであり、その上下動は、通常は、その上部にふき上がった配合材をかき落とす(掃除)ために行われる行為である。
【0112】
本発明で設定したゴム組成物のフィラー分散性目標値(R)および混練状態把握目標値(P)は、評価するゴム組成物の組成が異なると、評価するゴム組成物のフィラー分散性指標(N)および混練状態把握指標(M)と比較することはできないので、評価するゴム組成物の組成を上記設定したゴム組成物の組成と同一にする必要がある。すなわち、設定するゴム組成物の組成を他の組成に変更する場合には、その変更したゴム組成物のフィラー分散性目標値(R)および混練状態把握目標値(P)を新に求めておく必要がある。
【0113】
本発明では、ゴム組成物として最も良好な状態を得ることができていると考えられる、8インチオープンロールで得られたゴム組成物のフィラー分散性目標値(R)および/または混練状態把握目標値(P)を求め、これらの指標を基準として、フィラー分散性目標値(R)および/または混練状態把握目標値(P)と、密閉式混練機で得られたゴム組成物のフィラー分散性指標(N)および/または混練状態把握指標(M)との比較を行なうことで、理想的な状態からのずれを把握し、その理想的な状態となるように、密閉式混練機の混練条件、具体的には、配合充填率、回転速度、フローティングウエイトの上下動のタイミングをコントロールする。
【0114】
なお8インチオープンロールによる混練法では、混練状態を良好にすることができるが、ゴム組成物の大量生産には向いていない。 8インチオープンロールでは、ゴム組成物のうち剪断が加わっている部分には常に酸素供給されているため、擬似的ゲルが発生しないこと、また、ロール間間隙が狭く、せん断力が強いこと、材料の流動を手でコントロールしながら混練できるため、フィラー分散性が極めて良好で、混練状態が安定している。8インチオープンロールにより混練したゴム組成物は、密閉式混練機により混練するゴム組成物のフィラー分散性および混練状態を把握する上で、基準とするゴム組成物として採用することができる。
【0115】
本発明に係る架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物の製造方法によれば、フィラー分散性が良好で、混練状態が安定している架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物を経済的に得ることができる。具体的には、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム、補強性フィラー等の混練時に、リボン割れを起こすこともなく、また、得られたゴム組成物は、押出加工性、射出成形性が良好で、引張強度等の機械的強度特性、圧縮永久歪み性などが良好な成形体を提供することができる。
【0116】
本発明に係る架橋用エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム組成物は、前記のフィラー分散性指標(N)とフィラー分散性目標値(R)との比(N/R)が1〜0.8の範囲内、および/または混練状態把握指標(M)と混練状態把握目標値(P)との比(M/P)が1〜0.85の範囲内にあるので、フィラー分散性が良好で、混練状態が安定している。
【0117】
【発明の効果】
本発明に係るゴム組成物の混練状態の試験方法によれば、少なくともゴムとフィラーとを含有するゴム組成物の混練状態を客観的に評価できる。
【0118】
また、本発明に係るゴム組成物の製造方法によれば、ゴム組成物の混練状態を客観的に評価できる試験方法を採用するので、フィラー分散性が良好で、混練状態が安定しているゴム組成物を提供することができる。
【0119】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例により何ら限定されるものではない。
【0120】
なお、実施例および比較例における引張強度(TB)、引張伸び(EB)、および圧縮永久歪み(CS)は、JIS K6253に従って行なった。
また、実施例等におけるフィラー分散性指標および混練状態把握指標は、それぞれ以下の条件で求めた。
【0121】
(1)フィラー分散性指標
レオメトリックス社製の粘弾性試験器 RSAII;
周波数範囲 0.0016〜16Hz
振幅範囲 ±0.5mm
歪み分解能 ±0.05μm
最大加重 9.81N
位相角分解能 ±0.1度
測定感度 1g
温度勾配速度 0.1度から50度/分
測定条件;
初期加重 50g(取り付けた短冊状試料のたわみ解消のため)
歪み 0.01から2%
周波数 10Hz
測定温度 25℃(温度制御により)
測定 動的弾性率(動的ヤング率)(より正確には複素弾性率)(E*
の歪み依存性
上記の粘弾性試験器に動的弾性率測定用の短冊状試料を取り付け、取り付けた後、短冊状試料に撓みがないことを確認して、動的弾性率(より正確には複素弾性率)(E*)の
歪み依存性を測定した。
【0122】
(2)混練状態把握指標
レオメトリックス社製の粘弾性試験器 RDSII
変換器
トルク範囲 2,000mg・cm
ドリフト(Drift) 0.1% フルスケール時間
測定条件
初期加重 0g
歪み 1%
周波数 10Hz
測定温度 210℃、190℃、170℃
(温度制御により)
測定 複素粘性率(η*)の温度依存性から求まる190℃でのシフ
トファクターaTの(図3)温度依存性からEa(kJ/mol
)の活性化エネルギー)を算出
【0123】
<活性化エネルギー値の求め方>
(1)図2のように、混練したコンパウンドの温度に対する複素粘性率(η*)と周波数との関係を測定して求める。
(2)WLFの関係より、190℃での複素粘性率(η*)と周波数との関係を求めるべくシフトファクター(aT)を下式より求め、シフトファクター(aT)の温度依存性(aT=Aexp[−Ea/R(T−Tref.)])から、活性化エネルギー(kJ/mol;Ea)を算出する。
WLF式;
温度Tの粘度をηT、ある基準温度T0の粘度をηT0とする。
ηT=aTηT0
【0124】
実施例1〜6
[混練状態把握目標値(P)]
エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとしてエチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン/プロピレンのモル比=70/30、ヨウ素価=20]100重量部と、カーボンブラック[商品名 旭60HG、旭カーボン(株)製]165重量部と、軟化剤として[商品名 PW−380]70重量部とを、8インチオープンロールを用い、60℃で混練し、加硫剤および加硫促進剤を含まない未加硫ゴム組成物を得た。
【0125】
次に、この未加硫ゴム組成物を約20gサンプリングし、50トンプレス機を用い、160℃で6分、余熱で2分加圧し、水で5分間冷却し、厚み2mmの10cm角の未加硫ゴムシートを得た。
【0126】
この未加硫ゴムシートを、直径25mmの円状に打ち抜いて、複素粘性率測定用試験片とした。この試験片について、上記レオメトリックス社製の粘弾性試験器RDSIIでパラレルプレートを用いて複素粘性率(η*)を前記条件で測定した。
【0127】
すなわち、この試験片を210℃に加熱して層内が210℃で安定するまで6分間保持し、その後、210℃、190℃、170℃での複素粘性率(η*)を測定し、前記式よりシフトファクター(aT)を算出した。具体的には、この試験片を210℃に加熱して層内が210℃で安定するまで6分間保持し、その後、210℃から190℃、170℃と連続的に複素粘性率(η*)を測定するに当たり、210℃での複素粘性率測定終了後、−5℃/分の速度で190℃とした。層内が190℃で安定するまで6分間保持したのち、190℃での複素粘性率(η*)を測定し、同上条件で170℃として170℃での複素粘性率(η*)の測定を行なった。そして、シフトファクター(aT)と測定温度(T)との関係から見かけの活性化エネルギー(Ea)値(kJ/mol)すなわち混練状態把握目標値(P)を算出した。
【0128】
[フィラー分散性目標値(R)]
次に、上記の加硫剤および加硫促進剤を含まない未加硫ゴム組成物を8インチオープンロールに300g巻き付け、これに、加硫剤として硫黄1.5phr、加硫促進剤としてノクセラーM[商品名;大内新興化学工業(株)製]0.5phr、ノクセラーTT[商品名;大内新興化学工業(株)製]1.0phrを投入し、70℃で混練し、未加硫ゴム組成物を得た。
【0129】
この未加硫ゴム組成物から、50トンプレス機を用い、160℃、8分の条件でプレス加硫し、厚み1mmの加硫ゴムシートを得た。そして、この加硫ゴムシートから、幅10mm、長さ30mmとなるように打ち抜き、短冊状試料を作製した。
【0130】
この短冊状試料について、上記レオメトリックス社製の粘弾性試験器RSAIIを用い、前記条件で動的弾性率の歪み依存性を測定した。 この動的弾性率の歪み依存性をグラフにとり、たとえば図1のように、歪み(ε)に対して動的弾性率(より正確には複素弾性率)(E*)が変化しない部分から、歪み(ε)が0.01%のときの加硫ゴムシートの動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(a)と、動的弾性率(より正確には複素弾性率)(E*)が大きく変化した部分から、歪み(ε)が2%のときの動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(b)を求め、下記の式よりフィラー分散性目標値(R)を
算出した。
R(%)=(E*(b)/E*(a))×100
(より正確には、R(%)=(|E*(b)|/|E*(a)|)×100)
【0131】
[混練状態把握指標(M)]
エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムとしてエチレン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重合体ゴム[エチレン/プロピレンのモル比=70/30、ヨウ素価=20]100重量部と、カーボンブラック[商品名 旭60HG、旭カーボン(株)製]30重量部と、軟化剤として[商品名 PW−380]70重量部とを、密閉式混練機(バンバリーミキサー、以下同じ)として、神戸製鋼所社製の1.7リットルBB2型バンバリーミキサーを用い、混練前温度を50℃に合わせて混練した。50、110、240、360秒後のダンプアウト時の温度は、それぞれ132℃、145℃、175℃であった。この混練り条件によって加硫剤および加硫促進剤を含まない未加硫ゴム組成物を得た。
【0132】
実施例1、実施例2、実施例3および実施例5における上記の密閉式混練機による混練は、JIS K 6299に規定されている混練法(A1法)により行ない、混練時間はそれぞれ110秒、50秒、240秒、360秒であった。
【0133】
また、実施例4および実施例6における上記の密閉式混練機による混練は、JIS K 6299に規定されている混練法(A2法)で行ない、その混練中に、掃除のために使用されるフローティングウエイトの上下動を2回行なった。混練時間はそれぞれ240秒、360秒であった。
【0134】
次に、上記の加硫剤および加硫促進剤を含まない未加硫ゴム組成物を約20gサンプリングし、50トンプレス機を用い、160℃で6分、余熱で2分加圧し、水で5分間冷却し、厚み2mmの10cm角の未加硫ゴムシートを得た。
【0135】
この未加硫ゴムシートを、直径25mmの円状に打ち抜いて、複素粘性率測定用試験片とした。この試験片について、上記レオメトリックス社製の粘弾性試験器RDSIIでパラレルプレートを用いて複素粘性率(η*)を前記条件で測定した。
【0136】
すなわち、この試験片を210℃に加熱して層内が210℃で安定するまで6分間保持し、その後、210℃、190℃、170℃での複素粘性率(η*)を測定し、前記式よりシフトファクター(aT)を算出した。そして、シフトファクター(aT)と測定温度(T)との関係から見かけの活性化エネルギー(Ea)値(kJ/mol)すなわち混練状態把握指標(M)を算出した。
【0137】
[フィラー分散性指標(N)]
次に、密閉式混練機内から加硫剤および加硫促進剤を含まない未加硫ゴム組成物300gを8インチオープンロールに巻き付け、さらに加硫剤として硫黄1.5phr、加硫促進剤としてノクセラーM[商品名;大内新興化学工業(株)製]0.5phr、ノクセラーTT[商品名;大内新興化学工業(株)製]1.0phrを投入、混練した。
この際のロール混練条件は、
(1)フロントロール温度/バックロール温度:60℃/60℃
(2)ロールガイド幅:40cm
(3)ロール間隙:1mmとした。
【0138】
練り方法として切り返し左右各3回丸目通し8回を行なった後、ロール間隙を3mmとして未加硫ゴム組成物の3mmシートを作製した。
この未加硫ゴム組成物から、50トンプレス機を用い、160℃、8分の条件でプレス加硫し、厚み1mmの加硫ゴムシートを得た。そして、この加硫ゴムシートから、幅10mm、長さ30mmとなるように打ち抜き、短冊状試料を作製した。
【0139】
この短冊状試料について、上記レオメトリックス社製の粘弾性試験器 RSAIIを用い、前記条件で動的弾性率の歪み依存性を測定した。
この動的弾性率の歪み依存性をグラフにとり、たとえば図1のように、歪みに対して動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*が変化しない部分から、歪みが0.01%のときの加硫ゴムシートの動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(a)と、動的弾性率(より正確には複素弾性率)が大きく変化した部分から、歪みが2%のときの動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(b)を求め、下記の式よりフィラー分散性指標(N)を算出した。
N(%)=(E*(b)/E*(a))×100
(より正確にはN(%)=(|E*(b)|/|E*(a)|)×100)
結果を第1表に示す。
【0140】
また、上記の加硫剤および架橋促進剤を含む未加硫ゴム組成物を用いて、下記の条件で押出成形し、ダイスウェル比を求めるとともに、得られた押出成形品の押出し肌を観察し、下記の評点で評価した。
【0141】
<押出成形条件>
50mmφ押出成形機
ダイス開口部の幅 :φ8mm
長さ:5mm
押出樹脂温度:80℃
樹脂押出速度:20m/分
【0142】
<押出し肌の評点>
5・・・・光沢を持った平滑な表面
4・・・・平滑な表面
3・・・・くすみがあるが、平滑な表面
2・・・・くすみがあり、部分部分に凸凹がある表面
1・・・・さらさらとした表面
【0143】
比較例1
実施例1において、実施例1と同じ配合、同じ混練時間(50秒)で、密閉式混練機温度を予めスチームによって170℃まで上昇した状態で混練した以外は、実施例1と同様に行なった。
結果を第1表に示す。
【0144】
【表1】
Figure 0004443811
実施例7および比較例2、3
[混練状態把握目標値(P)]
天然ゴム(RSS#1)100重量部と、HAFカーボンブラック[商品名 旭#70、旭カーボン(株)製]48重量部と、亜鉛華1号5重量部と、加硫剤として硫黄2重量部と、加硫促進剤としてN−テトラブチル−2−ベンゾチアゾルスルフェンアミド[商品名 ノクセラーNS−P、大内新興化学工業(株)製]1.35重量部とを、8インチオープンロールを用い、60℃で混練し、未加硫ゴム組成物を得た。
【0145】
次に、この未加硫ゴム組成物を約20gサンプリングし、50トンプレス機を用い、160℃で6分、余熱で2分加圧し、水で5分間冷却し、厚み2mmの10cm角の未加硫ゴムシートを得た。
【0146】
この未加硫ゴムシートを、直径25mmの円状に打ち抜いて、複素粘性率測定用試験片とした。この試験片について、上記レオメトリックス社製の粘弾性試験器RDSIIでパラレルプレートを用いて複素粘性率(η*)を前記条件で測定した。
【0147】
すなわち、この試験片を130℃に加熱して層内が130℃で安定するまで6分間保持し、その後、130℃、110℃、90℃での複素粘性率(η*)を測定し、前記式よりシフトファクター(aT)を算出した。具体的には、この試験片を130℃に加熱して層内が130℃で安定するまで6分間保持し、その後、130℃から110℃、90℃と連続的に複素粘性率(η*)を測定するに当たり、130℃での複素粘性率測定終了後、−5℃/分の速度で110℃とした。層内が110℃で安定するまで6分間保持したのち、110℃での複素粘性率(η*)を測定し、同上条件で90℃として90℃での複素粘性率(η*)の測定を行なった。そして、シフトファクター(aT)と測定温度(T)との関係から、基準温度を110℃としたときの見かけの活性化エネルギー(Ea)値(kJ/mol)すなわち混練状態把握目標値(P)を算出した。
【0148】
[フィラー分散性目標値(R)]
天然ゴム(RSS#1)100重量部と、HAFカーボンブラック[商品名 旭#70、旭カーボン(株)製]48重量部と、亜鉛華1号5重量部と、加硫剤として硫黄2重量部と、加硫促進剤としてN−テトラブチル−2−ベンゾチアゾルスルフェンアミド[商品名 ノクセラーNS−P、大内新興化学工業(株)製]1.35重量部とを、8インチオープンロールを用い、70℃で混練し、未加硫ゴム組成物を得た。
【0149】
この未加硫ゴム組成物から、50トンプレス機を用い、160℃、8分の条件でプレス加硫し、厚み1mmの加硫ゴムシートを得た。そして、この加硫ゴムシートから、幅10mm、長さ30mmとなるように打ち抜き、短冊状試料を作製した。
【0150】
この短冊状試料について、上記レオメトリックス社製の粘弾性試験器 RSAIIを用い、前記条件で動的弾性率(より正確には複素弾性率)の歪み依存性を測定した。
【0151】
この動的弾性率(より正確には複素弾性率)の歪み依存性をグラフ(図示せず)にとり、たとえば歪み(ε)に対して動的弾性率(より正確には複素弾性率)(E*)が変化しない部分から、歪み(ε)が0.01%のときの加硫ゴムシートの動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(a)と、動的弾性率(より正確には複素弾性率)(E*)が大きく変化した部分から、歪み(ε)が2%のときの動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(b)を求め、下記の式よりフィラー分散性目標値(R)を算出した。
R(%)=(E*(b)/E*(a))×100
(より正確にはR(%)=(|E*(b)|/|E*(a)|)×100)
【0152】
[混練状態把握指標(M)]
天然ゴム(RSS#1)100重量部と、HAFカーボンブラック[商品名 旭#70、旭カーボン(株)製]48重量部と、亜鉛華1号5重量部と、硫黄2重量部と、加硫促進剤[N−テトラブチル−2−ベンゾチアゾルスルフェンアミド;商品名 ノクセラーNS−P、大内新興化学工業(株)製]1.35重量部とを、密閉式混練機(バンバリーミキサー、以下同じ)として、神戸製鋼所社製の1.7リットルBB2型バンバリーミキサーを用い、混練前温度を50℃に合わせて混練した。この混練り条件によって未加硫ゴム組成物を得た。
【0153】
実施例7における上記の密閉式混練機による混練は、JIS K 6299に規定されている混練法(A1法)により行ない、混練時間は180秒であった。また、密閉式混練機から排出した直後のコンパウンド温度は115℃であった。
【0154】
また、比較例2および比較例3における上記の密閉式混練機による混練は、JIS K 6299に規定されている混練法(A1法)により行ない、混練時間はそれぞれ40秒、480秒であった。また、密閉式混練機から排出した直後の比較例2および比較例3におけるコンパウンド温度はそれぞれ75℃、155℃であった。
【0155】
次に、上記の未加硫ゴム組成物を約20gサンプリングし、50トンプレス機を用い、160℃で6分、余熱で2分加圧し、水で5分間冷却し、厚み2mmの10cm角の未加硫ゴムシートを得た。
【0156】
この未加硫ゴムシートを、直径25mmの円状に打ち抜いて、複素粘性率測定用試験片とした。この試験片について、上記レオメトリックス社製の粘弾性試験器RDSIIでパラレルプレートを用いて複素粘性率(η*)を前記条件で測定した。
【0157】
すなわち、この試験片を130℃に加熱して層内が130℃で安定するまで6分間保持し、その後、130℃、110℃、90℃での複素粘性率(η*)を測定し、前記式よりシフトファクター(aT)を算出した。そして、シフトファクター(aT)と測定温度(T)との関係から、基準温度を110℃としたときの見かけの活性化エネルギー(Ea)値(kJ/mol)すなわち混練状態把握指標(M)を算出した。
【0158】
[フィラー分散性指標(N)]
天然ゴム(RSS#1)100重量部と、HAFカーボンブラック[商品名 旭#70、旭カーボン(株)製]48重量部と、亜鉛華1号5重量部とを、密閉式混練機(バンバリーミキサー、以下同じ)として、神戸製鋼所社製の1.7リットルBB2型バンバリーミキサーを用い、混練前温度を50℃に合わせて混練した。この混練り条件によって加硫剤および加硫促進剤を含まない未加硫ゴム組成物を得た。
【0159】
次いで、密閉式混練機内から取り出した上記未加硫ゴム組成物153重量部を8インチオープンロールに巻き付け、さらに加硫剤として硫黄2重量部と、加硫促進剤としてN−テトラブチル−2−ベンゾチアゾルスルフェンアミド[商品名 ノクセラーNS−P、大内新興化学工業(株)製]1.35重量部を投入、混練した。
この際のロール混練条件は、
(1)フロントロール温度/バックロール温度:60℃/60℃
(2)ロールガイド幅:40cm
(3)ロール間隙:1mmとした。
【0160】
練り方法として切り返し左右各3回丸目通し8回を行なった後、ロール間隙を3mmとして未加硫ゴム組成物の3mmシートを作製した。
この未加硫ゴム組成物から、50トンプレス機を用い、160℃、8分の条件でプレス加硫し、厚み1mmの加硫ゴムシートを得た。そして、この加硫ゴムシートから、幅10mm、長さ30mmとなるように打ち抜き、短冊状試料を作製した。
【0161】
この短冊状試料について、上記レオメトリックス社製の粘弾性試験器RSAIIを用い、前記条件で動的弾性率(より正確には複素弾性率)の歪み依存性を測定した。
【0162】
この動的弾性率(より正確には複素弾性率)の歪み依存性をグラフ(図示せず)にとり、たとえば歪みに対して動的弾性率(より正確には複素弾性率)が変化しない部分から、歪みが0.01%のときの加硫ゴムシートの動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(a)と、動的弾性率(より正確には複素弾性率)が大きく変化した部分から、歪みが2%のときの動的弾性率(より正確には複素弾性率)E*(b)を求め、下記の式よりフィラー分散性指標(N)を算出した。
N(%)=(E*(b)/E*(a))×100
(より正確にはN(%)=(|E*(b)|/|E*(a)|)×100)
結果を第2表に示す。
【0163】
【表2】
Figure 0004443811

【図面の簡単な説明】
図1は、フィラー分散性指標の測定法を説明するための動的弾性率の歪み依存性を示すグラフの例である。図2 HYPERLINK "http://www.patent.ne.jp/patent/cache/" \l "fig2" は、溶融粘度の活性化エネルギーの求め方を説明するための複素粘性率(η*)と周波数との関係を示すグラフである。図3の(a)は、溶融粘度の活性化エネルギーの求め方を説明するための複素粘性率(η*)と周波数との関係を示すグラフであり、(b)は、
シフトファクター(aT)と温度との関係を示すグラフである。

Claims (18)

  1. 少なくともゴム(A)と、フィラー(B)とを含有するゴム組成物(I)の混練状態の試験方法であって、
    (1)該ゴム組成物(I)の、任意の歪み値εaにおける複素弾性率E*(a)、および該歪み値εaとは異なる任意の歪み値εbにおける複素弾性率E*(b)を測定する、複素弾性率測定工程、
    (2)前記複素弾性率測定工程(1)で得られた複素弾性率E*(a)およびE*(b)から、下式
    フィラー分散性指標(N)=|E * (b)|/|E * (a)|)×100
    に従い、該ゴム組成物(I)のフィラー分散性指標(N)を算出する、フィラー分散性指標算出工程、および、
    (3)予め設定されたフィラー分散性目標値(R)と、前記フィラー分散性指標算出工程(2)で算出したフィラー分散性指標(N)とを比較する、比較工程を有することを特徴とするゴム組成物の混練状態の試験方法。
  2. 前記フィラー分散性目標値(R)が、前記ゴム組成物(I)と同一配合のゴム組成物を実質的に完全分散状態としてから、前記複素弾性率測定工程(1)および前記フィラー分散性指標算出工程(2)を行なって得られた目標フィラー分散性指標(N0)であることを特徴とする請求項1に記載の試験方法。
  3. 前記完全分散が、オープンロールによる混練により行われることを特徴とする請求項2に記載の試験方法。
  4. 少なくともゴム(A)と、フィラー(B)とを含有するゴム組成物(I)の混練状態の試験方法であって、
    (1')該ゴム組成物(I)を架橋して得られる架橋ゴムシートの、任意の歪み値εaにおける動的弾性率E'(a)、および該歪み値εaとは異なる任意の歪み値εbにおける動的弾性率E'(b)を測定する、動的弾性率測定工程、
    (2')前記動的弾性率測定工程(1')で得られた動的弾性率E'(a)およびE'(b)から、下式
    フィラー分散性指標(N')=E'(b)/E'(a)×100
    に従い、該ゴム組成物(I)のフィラー分散性指標(N')を算出する、フィラー分散性指標算出工程、および、
    (3')予め設定されたフィラー分散性目標値(R')と、前記フィラー分散性指標算出工程(2')で算出したフィラー分散性指標(N')とを比較する、比較工程を有することを特徴とするゴム組成物の混練状態の試験方法。
  5. 前記フィラー分散性目標値(R')が、前記ゴム組成物(I)と同一配合のゴム組成物を実質的に完全分散状態としてから、前記動的弾性率測定工程(1')および前記フィラー分散性指標算出工程(2')を行なって得られた目標フィラー分散性指標(N0')であることを特徴とする請求項4に記載の試験方法。
  6. 前記完全分散が、オープンロールによる混練により行われることを特徴とする請求項5に記載の試験方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の、ゴム組成物の混練状態の試験方法を実施することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
  8. さらに、(4)または(4')前記比較工程(3)または(3')の結果を受けて、フィラー分散性指標(N)/フィラー分散性目標値(R)の値、またはフィラー分散性指標(N')/フィラー分散性目標値(R')の値が一定の数値範囲内になるように、ゴム組成物(I)の混練条件を調整する、フィードバック工程を有することを特徴とする請求項7に記載のゴム組成物の製造方法。
  9. 前記のフィラー分散性指標(N)/フィラー分散性目標値(R)(|E*(a)|≦|E*(b)|の場合)の数値範囲、またはフィラー分散性指標(N')/フィラー分散性目標値(R')の数値範囲が0.8〜1.0であることを特徴とする請求項8に記載のゴム
    組成物の製造方法。
  10. 少なくともゴム(A)と、フィラー(B)とを含有するゴム組成物(I)の混練状態の試験方法であって、
    (5)該ゴム組成物(I)の複素粘性率η*を、少なくとも2つの異なる温度において測定する、複素粘性率測定工程、
    (6)前記複素粘性率測定工程(5)で得られた複素粘性率η*の温度依存性から、下式 |η*(T)|=Aexp(M/RT)
    〔η*:複素粘性率、A:定数、R:気体定数、T:測定温度(°K)〕
    に従い、該ゴム組成物(I)の混練状態把握指標(M)を算出する、混練状態把握指標算出工程、および、
    (7)予め設定された混練状態目標値(P)と、前記混練状態把握指標算出工程(6)で算出した混練状態把握指標(M)とを比較する、比較工程を有することを特徴とするゴム組成物の混練状態の試験方法。
  11. 前記混練状態目標値(P)が、前記ゴム組成物(I)と同一配合のゴム組成物を実質的に完全分散状態としてから、前記複素弾性率測定工程(5)および前記混練状態把握指標算出工程(6)を行なって得られた目標混練状態把握指標(M0)であることを特徴とする請求項10に記載の試験方法。
  12. 前記完全分散が、オープンロールによる混練により行われることを特徴とする請求項11に記載の試験方法。
  13. 少なくともゴム(A)と、フィラー(B)とを含有するゴム組成物(I)の混練状態の試験方法であって、
    (5')該ゴム組成物(I)の複素粘性率η*の実部η'を、少なくとも2つの異なる温度において測定する、複素粘性率測定工程、
    (6')前記複素粘性率測定工程(5')で得られた複素粘性率η*の実部η'の温度依存性から、下式
    η'(T)=Aexp(M'/RT)
    〔A:定数、R:気体定数、T:測定温度(°K)〕
    に従い、該ゴム組成物(I)の混練状態把握指標(M')を算出する、混練状態把握指標算出工程、および、(7')予め設定された混練状態目標値(P')と、前記混練状態把握指標算出工程(6')で算出した混練状態把握指標(M')とを比較する、比較工程を有することを特徴とするゴム組成物の混練状態の試験方法。
  14. 前記混練状態目標値(P')が、前記ゴム組成物(I)と同一配合のゴム組成物を実質的に完全分散状態としてから、前記複素弾性率測定工程(5')および前記混練状態把握指標算出工程(6')を行なって得られた目標混練状態把握指標(M0')であることを特徴とする請求項13に記載の試験方法。
  15. 前記完全分散が、オープンロールによる混練により行われることを特徴とする請求項14に記載の試験方法。
  16. 請求項10〜15のいずれかに記載の、ゴム組成物の混練状態の試験方法を実施することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
  17. さらに、(8)または(8')前記比較工程(7)または(7')の結果を受けて、混練状態把握指標(M)/混練状態目標値(P)の値、または混練状態把握指標(M')/混練状態目標値(P')の値が一定の数値範囲内になるように、ゴム組成物(I)の混練条件を調整する、フィードバック工程を有することを特徴とする請求項16に記載のゴム組成物の製造方法。
  18. 前記の混練状態把握指標(M)/混練状態目標値(P)の数値範囲、または混練状態把握指標(M')/混練状態目標値(P')の数値範囲が、0.85〜1.0であることを特徴とする請求項17に記載のゴム組成物の製造方法。
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