JP4443663B2 - 電子部品焼成用冶具の製造方法 - Google Patents

電子部品焼成用冶具の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品等の各種セラミックスの焼成に用いられる電子部品焼成用治具に使用されるジルコニア被覆材料に関し、詳しくはセラミックスとの反応性が低く、かつ耐磨耗性に優れ、耐熱衝撃性、ヒートサイクル性にも極めて優れたジルコニア被覆材料、並びに該被覆材料を基材に被覆してなる電子部品焼成用冶具及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、コンデンサー、センサー、バリスタ等の電子部品(ワーク)には、チタン酸バリウム等のセラミックが用いられている。この電子部品の焼成に用いられる電子部品焼成用冶具(セッター)は、アルミナ等の基材にジルコニア被覆材料を被覆し、焼成用冶具を構成する成分と電子部品を構成する成分との反応を防止している。
【0003】
このジルコニア被覆材料については、未安定化ジルコニアとCaO、MgO、Y2 3 、Ce2 3 又はCeO2 等で部分安定化又は完全安定化されたジルコニアが殆どであった。未安定化ジルコニアは室温近傍では単斜晶系(monoclinic)であるが、約1200℃で正方晶系(tetragonal)に相転移を生じる。この相転移においては、体積の収縮と膨張を繰り返すために被覆材料に粉化現象を引き起こし、被覆材料として長期に使用に耐えないという問題があった。
【0004】
一方、CaO、MgO、Y2 3 、Ce2 3 等で部分安定化又は完全安定化されたジルコニア(例えば特開平1−158718号公報、特開平6−116066号公報等)においては、相転移が起こらないため粉化現象は起こらないが、正方晶系(tetragonal)及び立方晶系(cubic)においては、イオン結合性が大きくなるために、熱膨張係数が9〜10と大きくなり、基材との熱膨張差によって応力破壊を起こし長期使用に耐えないという問題があった。また、部分安定化及び完全安定化ジルコニア材料においては、熱膨張率が大きくなる現象以外にも固体電解質(酸素イオン伝導体)の特徴があるために、使用環境の酸素分圧によって、酸素の化学量論比が変化し、焼成する材料の抵抗、誘電率等の電気物性に対して影響を与える等の問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、セラミックスとの反応性が低く、基材との密着性に優れ、かつ固体電解質による酸素の化学量論比の変化を伴わないジルコニア被覆材料を提供することにあり、また基材と被覆材料との剥離が生じ難い該被覆材料を用いた電子部品焼成用冶具及び基材からのガス発生を抑制し、焼結性を向上させたその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、単斜晶系から正方晶系への相転移を防ぐ目的として、その中間と考えられる斜方晶系(orthorhombic)ジルコニア材料を上記被覆材料とすることによって、上記目的が達成し得ることを知見した。
【0007】
すなわち、本発明は、イオン半径Ra(Å)において、0.60<Ra<0.80からなるイオンによって置換され、結晶構造が斜方晶系であるジルコニア固溶体を含むことを特徴とするジルコニア被覆材料を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、上記ジルコニア被覆材料を基材の被覆層として用いる電子部品焼成用冶具を提供するものである。
【0009】
また、本発明は、上記ジルコニア被覆材料を基材と被覆層との中間層として用いる電子部品焼成用冶具基材を提供するものである。
【0010】
さらに、本発明は、上記ジルコニア被覆材料を焼結により基材に被覆するに際し、該ジルコニア被覆材料を液相状態で焼結することを特徴とする電子部品焼成用冶具の製造方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のジルコニア被覆材料は、イオン半径Ra(Å)において、0.60<Ra<0.80からなるイオンによって置換され、結晶構造が斜方晶系であるジルコニア固溶体を含むものである。このように、本発明では、+4価のジルコニアイオン半径の0.80Åよりイオン半径の小さい材料を固溶させて応力緩和を図ることにより斜方晶系ジルコニアを得ている。
【0012】
このような固溶体としては、Nb2 5 とZrO2 との2つの酸化物の固溶体であり、本発明のジルコニア被覆材料としては、該固溶体又は該固溶体と6ZrO2 ・Nb2 5 との複合材料からなるものが好ましく用いられる。
【0013】
また、本発明の電子部品焼成用冶具は、燃焼電池のセル、半導体基板のサセプター、棚板、セッターの形態として使用されるもので、上記ジルコニア被覆材料を基材表面の全体及び一部を被覆する被覆層及び接着層として使用されるものである。ここに用いられる基材としては、アルミナ、シリカ、ムライト、炭化ケイ素、窒化ケイ素等が例示されるが、ジルコニウム被覆材料の熱膨張係数5×10ー6Kー1から11×10ー6Kー1とジルコニアと酸化ニオブの比率を変えることにより変化させることが可能であるため、特にアルミナ、ムライト、炭化ケイ素等の比較安価で低熱膨張係数の材料を用いることができる。。
【0014】
本発明電子部品焼成用冶具は、ジルコニア被覆材料の原料成分である粉末混合物を基材の表面にスプレー等の手段により単層被覆(被覆層又は接着層)又はその上に別の材料を複層被覆し、1000〜1500℃で焼結することによって得られるものである。
【0015】
このようにして得られる被覆層及び接着層においては、ジルコニアと酸化ニオブとの混合の範囲はジルコニアのモル比で50%〜100%未満の範囲である。また、被覆層及び接着層の厚みは0.1μm〜1000μmの範囲であることが望ましい。
【0016】
また、本発明では、ジルコニア被覆材料を焼結により基材に被覆するに際し、該ジルコニア被覆材料を液相状態で焼結する。ジルコニア被覆材料を焼結により基材に被覆する場合、焼結した基材にジルコニア被覆材料を被覆し、ジルコニア材料を焼結しても、あるいは未焼結の基材にジルコニア材料を被覆して基材とジルコニア材料の両方の焼結を併せて行ってもよい。このようにジルコニア材料を液相焼結することによって、ジルコニア被覆材料と基材との密着性に優れ、基材からのガスの発生を抑制することができる。
【0017】
本発明は、上記のように単斜晶系から正方晶系への相転移を防ぐ目的として、その中間と考えられる斜方晶系ジルコニア材料を上記ジルコニア被覆材料とするものである。
【0018】
すなわち、単斜晶から正方晶系への相転移は、熱膨張による結晶格子の応力緩和が原因と考えられる。単斜晶とは、a≠b≠c、α=β=90°≠γで表現される。これらのジルコニア材料に対して、通常イオン半径が大きい材料を予めドープすることにより対称性の高い正方晶(a=b≠c、α=β=γ=90°)と立方晶(a=b=c、α=β=γ=90°)材料を得ているのに対して、本発明においては、上述のように+4価のジルコニアイオン半径の0.80Åよりイオン半径の小さい材料を固溶させて応力緩和を図ることにより、斜方晶系ジルコニアを得るものである。
【0019】
従って、相転移を伴わないために熱サイクルにおいても体積の膨張収縮が起こらず、被覆材料の粉化現象が起こらない。しかも、立方晶ジルコニアのようなイオン結合性が高い蛍石型構造ではないことから熱膨張係数は大きくならず、上述のように、安価で熱膨張係数の小さい基材のアルミナ、ムライト、炭化ケイ素素、窒化ケイ素等を用いることができる。
【0020】
また、電子部品焼成用被覆材料としては、被覆材料の化学量論組成の安定化が重要である。CaOのようなアルカリ土類酸化物の固溶については、固溶量1モルに対して酸素空孔1モルが生成する。一方、Y2 3 のような+3価の酸化物については固溶量1モルに対して1.5モルの酸素空孔が発生する。これらの酸素空孔量は酸素分圧に対して影響を受け、焼成用炉内の酸素分圧と平衡状態に達するまで、酸素の吸蔵と放出を繰り返すし、焼成炉内の酸素分圧が一定になるまで時間がかかる等の問題があった。しかし、本発明のジルコニア被覆材料は、このような問題が生じることがない。
【0021】
【実施例】
以下、実施例等に基づいて本発明を具体的に説明する。なお、以下の例中、実施例1〜6が本発明の実施例であり、実施例7〜14は本発明の範囲外のものである。
【0022】
〔実施例1〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が58モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてアルミナ基板に1μmの被覆層を形成した。被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は41重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。形成した被覆層の熱膨張係数は5.9×10-6-1であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。10000回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。また、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応しなかった。
【0023】
〔実施例2〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が58モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてアルミナ基板に10μmの被覆層を形成した。被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は41重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。形成した被覆層の熱膨張係数は5.9×10-6-1であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。1000回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。また、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応しなかった。
【0024】
〔実施例3〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が58モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてアルミナ基板に100μmの被覆層を形成した。被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は41重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。形成した被覆層の熱膨張係数は5.9×10-6-1であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。500回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。また、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応しなかった。
【0025】
〔実施例4〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が58モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてアルミナ基板に1000μmの被覆層を形成した。被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は41重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。形成した被覆層の熱膨張係数は5.9×10-6-1であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。300回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。また、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応しなかった。
【0026】
〔実施例5〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が58モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてSiC基板に10μmの被覆層を形成した。被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は41重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。形成した被覆層の熱膨張係数は5.9×10-6-1であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。3000回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。また、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応しなかった。
【0027】
〔実施例6〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が58モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてムライト基板に10μmの被覆層を形成した。被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は41重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。形成した被覆層の熱膨張係数は5.9×10-6-1であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。2000回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。また、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応しなかった。
【0028】
〔実施例7〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が64モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてアルミナ基板に10μmの被覆層を形成した。被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は40重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。形成した被覆層の熱膨張係数は6.1×10-6-1であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。800回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。また、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応しなかった。
【0029】
〔実施例8〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が70モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてアルミナ基板に10μmの被覆層を形成した。被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は28重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。形成した被覆層の熱膨張係数は6.8×10-6-1であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。600回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。また、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応しなかった。
【0030】
〔実施例9〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が80モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてアルミナ基板に10μmの被覆層を形成した。被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は11重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。形成した被覆層の熱膨張係数は8.1×10-6-1であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。400回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。また、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応しなかった。
【0031】
〔実施例10〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が90モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてアルミナ基板に10μmの被覆層を形成した。被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は5重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。形成した被覆層の熱膨張係数は9.0×10-6-1であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。300回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。また、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応しなかった。
【0032】
〔実施例11〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が64モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてアルミナ基板に10μmの被覆層を形成した。その後同様な噴射装置で未安定化ジルコニア粉末をスラリー化したものを50μmの厚みで塗布した。それらの被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は40重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。1000回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。また、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応しなかった。
【0033】
〔実施例12〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が64モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてアルミナ基板に10μmの被覆層を形成した。その後同様な噴射装置でYSZ(イットリア安定化ジルコニア)粉末をスラリー化したものを50μmの厚みで塗布した。それらの被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は40重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。800回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。また、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応しなかった。
【0034】
〔実施例13〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が64モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてアルミナ基板に10μmの被覆層を形成した。その後同様な噴射装置でCSZ(カルシア安定化ジルコニア)粉末をスラリー化したものを50μmの厚みで塗布した。それらの被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は40重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。800回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。また、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応しなかった。
【0035】
〔実施例14〕
未安定化ジルコニアと酸化ニオブとの混合物で未安定化ジルコニアのモル比が64モル%になるように酸化物混合スラリーを調整し、噴射装置にてアルミナ基板に10μmの被覆層を形成した。その後同様な噴射装置でMgO(マグネシア)粉末をスラリー化したものを50μmの厚みで塗布した。それらの被覆物を100℃で1時間乾燥した後、1450℃で1時間大気中で焼成した。液相焼結における液相量は40重量%であり、焼結後の組織は緻密であった。ヒートサイクル試験として室温から1400℃まで2時間で昇温し、1400℃で1時間保持し、3時間で室温まで冷却するパターンを1サイクルとした。800回までヒートサイクル試験を行ったが、表面には亀裂、剥離等の問題は生じなかった。この場合、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコニウムと被覆層は反応を起こした。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のジルコニア被覆材料は、セラミックスとの反応性が低く、基材との密着性に優れ、かつ固体電解質による酸素の化学量論比の変化を伴わない。従って、電子部品焼成用冶具とした時に、基材と被覆材料との剥離が生じ難い。また、本発明の電子部品焼成用冶具の製造方法によって、基材からのガス発生を抑制し、焼結性を向上させることができる。

Claims (1)

  1. イオン半径Ra(Å)において、0.60<Ra<0.80からなるイオンによって置換され、結晶構造が斜方晶系であるジルコニア固溶体を含み、
    上記ジルコニア固溶体がNb 2 5 とZrO 2 との2つの酸化物の固溶体であり、該固溶体又は該固溶体と6ZrO 2 ・Nb 2 5 との複合材料からなり、
    ジルコニアのモル比が50〜100%未満であるジルコニア被覆材料を、焼結により基材に被覆するに際し、該ジルコニア被覆材料が液相状態で焼結することを特徴とする電子部品焼成用冶具の製造方法
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