JP4442075B2 - 安全カミソリ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、刃台と天板との間に入った髭滓等の汚れを除去できる安全カミソリに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、図13、図14に示すような安全カミソリが知られている。この従来の安全カミソリは把持部9′を有するハウジング30と、ハウジング30の上端部に設けたヘッド部1′とで構成されており、ヘッド部1′は刃台2′と天板3′とを有している。刃台2′と天板3′との隙間には先端に刃先を有する刃4が平行に2枚設けられており、刃4と刃4、刃4と刃台2′、刃4と天板3′との間には隙間が形成されている。ハウジング30にはヘッド部1全体を振動させるモータ10が設けられている。図中11はモータ10を駆動するための電池である。
【0003】
上記従来の安全カミソリはヘッド部1′を皮膚表面に当て、スライドさせることで皮膚を刃で傷付けることなく安全に髭を処理することができる。
【0004】
ところでこのように髭剃りをした後は、刃4と刃4、刃4と刃台2′、刃4と天板3′との間の隙間に髭滓や、皮膚の角質、皮脂等の肌の汚れ(以下髭滓等の汚れ)が入り込んでしまい、さらにこの入り込んだ髭滓等の汚れは刃4の表裏面に付着してしまう。上記従来の安全カミソリでは、この髭滓等の汚れを除去する場合は、ヘッド部1′を水中に浸し、ヘッド部1′をモータ10によって振動させることで、刃4を振動させ、刃4に付着した髭滓等の汚れを除去していた。
【0005】
しかしながら、上記従来の安全カミソリはモータ10によってヘッド部1全体を振動させなければならないため、刃4をあまり振動させることができず、刃4に付着した髭滓等の汚れを十分に除去できないという問題があった。
【0006】
また上記とは別に、2枚の刃4の間に刃4に沿って摺動する移動片を設けた安全カミソリも知られている(図示せず)。この従来の安全カミソリの移動片は使用者が手動で刃4の上下面と平行且つ先端側に向かって移動できるように設定しており、使用者は手動で移動片を動かして刃4と刃4の間に溜まった髭滓等の汚れをヘッド部1′から押し出していた。しかし、この場合、移動片を手動で動かさなければならず手間がかかってしまうという問題があった。また移動片は刃4の刃先を除いた表裏面にのみ付着した汚れを除去することしかできないため、刃先に付着した髭滓等の汚れを除去することができなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単に刃についた髭滓等の汚れを除去でき、且つ刃に付着した髭滓等の汚れを完全に除去できる安全カミソリを提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係る安全カミソリは、ヘッド部1に刃台2と天板3とを有し、刃台2と天板3との間に平行な複数の刃4を設けた安全カミソリであって、振動発生装置によって振動する、刃4と平行な板状の髭滓除去部材5を備え、該髭滓除去部材5を隣合う刃4と刃4の間に設けると共に該髭滓除去部材5の先端部を隣合う刃4の刃先と刃先の間に配置し、上記髭滓除去部材5の振動方向を刃4の厚み方向と平行に設定して成ることを特徴とするものである。
【0009】
このように構成することで、ヘッド部1を水洗いする際に、ヘッド部1を水中に浸し髭滓除去部材5を振動させるだけで刃4付近の水を振動させ且つ対流させて攪拌することができ、これによって刃4に付着した髭滓等の汚れを除去することができる。また振動発生装置はヘッド部1を振動させず髭滓除去部材5のみを振動させるので、振動発生装置から伝わる振動を損失なく水に伝達して攪拌することができ、刃4の上下面や刃先6に付着した髭滓等の汚れを除去することができる。また、髭滓除去部材5を刃4と平行な板状に形成し、髭滓除去部材5を刃4の厚み方向と平行に振動させることで、髭滓除去部材5の最も面積の広い面で効率良く水を攪拌させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0011】
本実施形態における安全カミソリは図1に示すように、把持部9と、把持部9の上端部に設けられた側断面略コ字状のヘッド部1とで形成されている。
【0012】
把持部9の内部には後述するモータ10と把持部9に内装した電池11とを接続するスイッチ回路12が設けられており、このスイッチ回路12は例えば把持部9の表面に設けた操作部(図示せず)に接続されており、操作部にてモータ10のON、OFFを切り替えられるようになっている。
【0013】
ヘッド部1は図2に示すように下端部を把持部9に接続したモータ保持部13を有しており、モータ保持部13にはモータ10が内装されている。
【0014】
モータ保持部13の上部には天板3が突出しており、モータ保持部13の下部には天板3と同一方向に突出し且つ先端が天板3の先端よりも突出する刃台2が設けられている。天板3と刃台2の先端部上面は先端側に行く程下方に傾斜しており、この傾斜した面を髭を剃る際に肌を当てる肌当て面14としている。天板3と刃台2との幅方向の両端部は側板15によって接続されており、両側板15と刃台2と天板3とに囲まれた部分を肌当て面14に開口する刃取付け部16としている。
【0015】
刃取付け部16の上部と下部には互いに平行な2枚の刃4である上刃4aと下刃4bとが設けられており、上刃4aと下刃4bの刃先6の尖端は刃台2の肌当て面14の上端と天板3の肌当て面14の下端とを結ぶ線イ上付近に位置している。また刃取付け部16の上部と下部の先端部には段部22を形成しており、刃4と刃台2及び刃4と天板3との間に隙間を形成している。
【0016】
上記上刃4aと下刃4bの間には合成樹脂で成形された板状の髭滓除去部材5を配置している。図3に示す髭滓除去部材5の幅方向の両側端面は刃取付け部16の両内側面に夫々設けられたばね17に接続されており、このばね17によって髭滓除去部材5を保持している。また上刃4aと髭滓除去部材5との間及び下刃4bと髭滓除去部材5との間には夫々滑性の優れた滑り板18が配設されており、この滑り板18は髭滓除去部材5が幅方向に振動するようにガイドしている。
【0017】
上記髭滓除去部材5の先端部は尖っており、髭滓除去部材5の先端部と2枚の刃4の間に隙間を形成している。髭滓除去部材5の基部側端面の中央部には図3、4に示すように縦長のカム収納溝19が設けられている。
【0018】
カム収納溝19には偏心カム20が設けられている。偏心カム20の偏心軸21は前述したモータ10に接続しており、操作部にてモータ10をONにした場合、偏心カム20がモータ10の回転を髭滓除去部材5の幅方向(図3の矢印ロ方向)の振動に変換する。上記偏心カム20、モータ10、スイッチ回路12、電池11、操作部とで振動発生装置を構成している。
【0019】
上記安全カミソリにて髭を剃る場合は、肌当て面14に肌を沿わせた状態で安全カミソリをスライドさせる。この場合、カミソリによって肌を傷付けることなく髭を剃ることができる。
【0020】
上記のように髭を剃った後は刃4と刃4の間に髭滓や、皮膚の角質、皮脂等の肌の汚れ(以下髭滓等の汚れ)が入り、またこの髭滓等の汚れが刃4の上下面や刃先6に付着してしまう。そこで本実施形態では以下のようにしてヘッド部1を水洗いし、髭滓等の汚れを除去する。髭滓等の汚れの除去は、ヘッド部1を水に漬けると共に、操作部を操作してモータ10をONにすることで行う。なおこの場合、髭滓除去部材5は前述したように合成樹脂によって成形されているため、錆びることがない。モータ10をONにすることで、前述したように髭滓除去部材5は幅方向に振動する。すなわち、刃4の幅方向と平行に振動することとなる。このように水に漬けられた髭滓除去部材5が振動することで、刃4と刃4の間の水は振動し且つ対流を起こし、この水の振動と対流によって刃4の上下面や刃先6に付着した髭滓等の汚れや、刃4と刃4の間に溜まった髭滓等の汚れを除去することができる。また上記のように振動発生装置によって髭滓除去部材5を振動させることができるため、操作部を操作するだけで簡単に髭滓等の汚れを除去することができる。
【0021】
なお、上記では刃4と刃4の間に髭滓除去部材5を設けた例について説明したが、振動発生装置によって振動する髭滓除去部材5を刃台2と刃4の間の隙間乃至天板3と刃4の間の隙間の少なくてもどちらか一方の隙間に設けてもよく、この場合、髭剃り後に刃4と刃台2との間の隙間及び刃4と天板3との間の隙間に溜まった髭滓等の汚れを髭滓除去部材5の振動によって除去することができるものである。また、上記では刃取付け部16に2枚の刃4を設けたいわゆる2枚刃の安全カミソリについての説明を記載したが、刃取付け部16の上下方向における中央部付近に1枚だけ刃4を有するいわゆる1枚刃の安全カミソリの刃4と刃台2との間の隙間や刃4と天板3との間の隙間に髭滓除去部材5を設けても良く、また刃台2との間の隙間と刃4と天板3との間の隙間の両方に髭滓除去部材5を設けても良いものである。さらに刃取付け部16に3枚以上の複数の刃4を設け、隣合う刃4間に複数の髭滓除去部材5を設けてもよいものである。
【0022】
次に上記例とは異なる例について説明する。本例においては髭滓除去部材5の振動方向を刃4の厚み方向と平行に設定することに特徴があり、以下に示す説明では上記の例と重複する点については説明を省略する。
【0023】
以下に具体的構成を示す。図5に示すように髭滓除去部材5の上下面は上刃4aの下面と下刃4bの上面とに夫々設けられたばね17に接続されており、このばね17によって髭滓除去部材5を保持している。また上記例の滑り板18は本例では設けられていない。
【0024】
髭滓除去部材5の基部側端面の中央部には図6に示すように横長のカム収納溝19が設けられている。このカム収納溝19に設けられた偏心カム20の偏心軸21はモータ10に接続しており、モータ10をONにした場合、偏心カム20がモータ10の回転を髭滓除去部材5の上下方向(図5矢印ハの方向)の振動に変換する。すなわち、髭滓除去部材5は刃4の厚み方向と平行に振動することとなる。
【0025】
このように髭滓除去部材5を刃4の厚み方向と平行に振動させることで、髭滓除去部材5を刃4と平行な板状に形成した場合、髭滓除去部材5の最も面積の広い上下面で水を振動させ且つ対流させることができ、これによって髭滓除去部材5の最も面積の広い面で効率良く水を攪拌させることができ、刃4の上下面や刃先4に付着した髭滓等の汚れをより一層除去することができる。
【0026】
次に上記図2、図5に示した例とは更に異なる例を示す。本例においては、髭滓除去部材5に先端側に突出する櫛状歯7を複数設けたことに特徴がある。図8に示すように髭滓除去部材5を板状部27と、板状部27の先端部に設けた前方に突出する複数の櫛状歯7とで構成している。各櫛状歯7は板状部27の前端面の厚み方向における全長に亘って設けられており、夫々の櫛状歯7は平行に設けられている。このような形状の髭滓除去部材5は櫛状歯7が2枚の刃先6間に位置するように配置されている。また髭滓除去部材5の振動方向は刃4の厚み方向と平行な方向以外の方向に振動するように設定されている。
【0027】
上記のように2枚の刃4の髭滓除去部材5に先端側に突出する櫛状歯7を複数設けることで、複数の櫛状歯7によって複雑な流れで水を攪拌することができ、刃先6に付着した髭滓等の汚れをより多く除去することができる。また、特に髭滓除去部材5の振動方向を上記図2の例と同様に刃4の幅方向と平行に設定することが好ましい。このように滓除去部材5の振動方向を刃4の幅方向と平行に設定することで、櫛状歯7の最も面積の広い面で効率良く水を攪拌することができ、これによって刃先6に付着した髭滓等の汚れをより一層除去することができる。
【0028】
次に上記図2、図5、図8に示した例とはさらに異なる例を示す。本例においては、髭滓除去部材5に刃4の厚み方向と平行に突出する凸部8を設けた点に特徴がある。図9に示すように先端部が尖った板状の髭滓除去部材5の上面に刃4の厚み方向と平行に突出する複数の凸部8を設け、各凸部8は前後方向の全長に亘って設けられている。各凸部8の前端部は図10に示すように髭滓除去部材5の前端部よりもやや前方まで伸びている。また上記各凸部8は板状の髭滓除去部材5に部分メッキ等をすることで製造することができる。本例における髭滓除去部材5の振動方向は特に限定しない。
【0029】
このように髭滓除去部材5に刃4の厚み方向と平行に突出する凸部8を設けることで、髭滓除去部材5上方の刃4と刃4の間の水を幅方向に対流させて複雑な流れで攪拌することができ、これによって刃4の上下面や刃先6に付着した髭滓等の汚れやより多く除去することができものである。
【0030】
また、この場合、髭滓除去部材5の振動方向を刃4の幅方向と平行に設定することが好ましい。このように、髭滓除去部材5の振動方向を刃4の幅方向と平行に設定することで、振動方向と垂直な面の面積が大きくなり、刃4に付着した髭滓等の汚れをより一層除去することができる。
【0031】
なお本例では髭滓除去部材5の上面にのみ凸部8を設けた実施形態について説明したが、髭滓除去部材5の下面にのみ凸部8を設けてもよいし、また上下面の両面に凸部8を設けても良いものである。
【0032】
また、上記図9に示す髭滓除去部材5を図12に示すように波板状に形成してもよい。この場合、髭滓除去部材5の振動方向は幅方向に設定されている。このように髭滓除去部材5を形成することで髭滓除去部材5の水と接触する面積を大きくすることができ、より一層水を攪拌することができる。
【0033】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、振動発生装置によって振動する髭滓除去部材を設けることで、ヘッド部を水洗いする際に、ヘッド部を水中に浸し髭滓除去部材を振動させるだけで刃付近の水を振動させ且つ対流させて攪拌することができ、これによって刃に付着した髭滓等の汚れを簡単に除去することができる。また振動発生装置はヘッド部を振動させず髭滓除去部材のみを振動させるので、振動発生装置から伝わる振動を損失なく水の攪拌に伝えることができ、より一層刃に付着した髭滓等の汚れを除去することができる。また、髭滓除去部材を刃と平行な板状に形成し、髭滓除去部材を刃の厚み方向と平行に振動させることで、髭滓除去部材の最も面積の広い面で効率良く水を攪拌させることができ、刃に付着した髭滓等の汚れをより一層除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】 一例のヘッド部の断面図である。
【図3】 図2のA−A断面図である。
【図4】 図3の一部拡大図である。
【図5】 図1のヘッド部の断面図である
【図6】 図5のB−B断面図である。
【図7】 図6の一部拡大図である。
【図8】 髭滓除去部材に櫛状歯を設けた例を示す斜視図である。
【図9】 髭滓除去部材に凸部を設けた実施形態を示すものであり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(a)のD−D断面図である。
【図10】 図9(a)のC部拡大図である。
【図11】 図9(c)の一部拡大図である。
【図12】 髭滓除去部材を波板状に形成した例を示す斜視図である。
【図13】 従来の安全カミソリを示す斜視図である。
【図14】 同上の断面図である。
【符号の説明】
1 ヘッド部
2 刃台
3 天板
4 刃
5 髭滓除去部材
6 刃先
7 櫛状歯
8 凸部
Claims (1)
- ヘッド部に刃台と天板とを有し、刃台と天板との間に平行な複数の刃を設けた安全カミソリであって、振動発生装置によって振動する、刃と平行な板状の髭滓除去部材を備え、該髭滓除去部材を隣合う刃と刃の間に設けると共に該髭滓除去部材の先端部を隣合う刃の刃先と刃先の間に配置し、上記髭滓除去部材の振動方向を刃の厚み方向と平行に設定して成ることを特徴とする安全カミソリ。
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