JP4442001B2 - 車両用空調装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ルーフを開閉可能に構成した車両(いわゆるオープンカー)に搭載される空調装置の日射補正制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特開平5−38926号公報には、ルーフの開閉状態に応じて空調制御を切り替えるようにしたオープンカー用空調装置が記載されている。この従来技術では、車室内への吹出空気の目標吹出温度TAOを乗員により設定される設定温度Tset、内気温Tr、外気温Tam、日射量Tsに基づいて算出し、この目標吹出温度TAOに基づいて吹出空気の温度制御、風量制御等を行うようにしている。
【0003】
そして、目標吹出温度TAOの算出に際して、ルーフの開放時には内気温Trのセンサ検出値に対応するゲイン(補正係数)を小さくするとともに、外気温Tamと日射量Tsの各センサ検出値に対応するゲイン(補正係数)を大きくしている。
【0004】
ここで、ルーフの開放時には車室内乗員への日射量が増大して日射による温熱感が増大するが、日射量Tsのセンサ検出値に対応するゲイン(補正係数)を大きくすることにより、ルーフの開放時における日射による温熱感をより一層反映した目標吹出温度TAOを算出できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ルーフの開放時は外気が直接乗員の上半身に接触するので、乗員の実際の温熱感には外気温が強く影響する。しかるに、上記従来技術では、日射ゲインをルーフの開放時に単に一律に大きくしているだけであり、外気温を考慮していないので、年間を通して外気温の変動に対応した適切な日射補正制御を行うことができない。
【0006】
このことをより具体的に述べると、夏期の高外気温時に適合するように日射ゲインを設定すると、春秋の中間外気温時にルーフ開放時の日射補正が過大となり、吹出空気の温度や風量が必要以上に変動するという不具合を引き起こす。また、逆に、中間外気温時に適合するように日射ゲインを設定すると、高外気温時にルーフ開放時の日射補正が過小となり、冷房不足の原因となる。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、ルーフを開閉可能に構成した車両に搭載される空調装置において、ルーフ開放時での日射補正を年間を通して適切に行うことを目的とする。
【0008】
また、本発明は、ルーフを開閉可能に構成した車両に搭載される空調装置において、日射センサ検出値の変化を緩和する緩和処理を行う場合に、この緩和処理をルーフの開閉に応じて適切に行うことを他の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、ルーフを開閉可能に構成した車両に搭載される空調装置において、
乗員により手動操作されて設定温度(Tset)を発生する温度設定スイッチ(32)、内気温(Tr)を検出する内気センサ(27)、外気温(Tam)を検出する外気センサ(28)、および車室内への日射量(Tsa)を検出する日射センサ(29)を備え、
前記設定温度(Tset)、前記内気温(Tr)、前記外気温(Tam)および前記日射量(Tsa)に基づいて車室内へ吹き出される空調風の目標吹出空気温度(TAO)を算出し、
前記目標吹出空気温度(TAO)に基づいてブロワ電圧レベル、吹出モードおよびエアミックスドア開度を制御するように構成されており、
前記目標吹出空気温度(TAO)は、前記日射センサ(29)が検出した日射量(Tsa)を時定数処理した出力値(Tsb)に日射ゲイン(Ks、Ksa、Ksb)を乗じた値を用いて算出されるようになっており、
更に、前記日射ゲイン(Ks、Ksa、Ksb)前記ルーフ(40)の閉塞時より開放時に大きくするとともに、前記ルーフ(40)の開放時における前記日射ゲイン(Ks、Ksa、Ksb)を低外気温時より高外気温時に大きくすることを特徴とする。
【0010】
これによると、目標吹出空気温度(TAO)に基づいてブロワ電圧レベル、吹出モードおよびエアミックスドア開度を制御するに際して、目標吹出空気温度(TAO)の算出に用いられる日射ゲイン(Ks、Ksa、Ksb)を上記のようにルーフ(40)の開閉及び外気温の変化に連動して切り替えることにより、ルーフ開放に伴う日射量増加、およびルーフ開放に伴う外気との直接接触による温熱感変化に対応した適切な日射補正を行うことができる。
そのため、年間を通してルーフ開放時における空調制御、具体的にはブロワ電圧レベル、吹出モードおよびエアミックスドア開度の制御を良好に行うことができる。
【0013】
請求項に記載の発明では、ルーフ(40)を開閉可能に構成した車両に搭載される空調装置において、
日射量を検出する日射センサ(29)を備え、
前記日射センサ(29)が検出した日射量(Tsa)を時定数処理した出力値(Tsb)に日射ゲイン(Ks、Ksa、Ksb)を乗じた値を少なくとも包含する熱負荷条件に基づいて車室内の空調状態を制御するようになっており、
更に、前記ルーフ(40)の開放時における時定数(τa)を前記ルーフ(40)の閉塞時における時定数(τb)より大きくしたことを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明では、市街地のビルの谷間走行時のように日射量が頻繁に急変動するような場合にも日射量変化の緩和処理により車室内の空調状態を安定させることができるものである。具体的には、日射センサ(29)の検出日射量(Tsa)を時定数処理するに当たり、ルーフ開放時における時定数(τa)をルーフ閉塞時における時定数(τb)より大きくすることで、日射量変化の緩和処理の度合いをルーフ閉塞時よりルーフ開放時に大きくすることができ、空調状態の安定効果をより一層有効に発揮できる。
【0015】
すなわち、ルーフ開放時には日射量が増大するので、ビルの谷間の走行時等における日射量変動の影響がルーフ閉塞時より一層強く現れ、このことが空調制御の変動を引き起こす原因となるが、請求項では、日射センサ(29)が検出した日射量(Tsa)を時定数処理した出力値(Tsb)に日射ゲイン(Ks、Ksa、Ksb)を乗じた値を少なくとも包含する熱負荷条件に基づいて車室内の空調状態を制御するとともに、ルーフ(40)の開放時における時定数(τa)をルーフ(40)の閉塞時における時定数(τb)より大きくしたているから、日射量変化の緩和処理の度合いをルーフ閉塞時よりルーフ開放時に大きくすることができる。
それ故、ルーフ開放時の日射センサ検出値(Tsa)の変化緩和作用をルーフ閉塞時に比較して増大できる。これにより、日射量変動に起因する、ルーフ開放時での空調制御の過剰な変動を未然に防止できる。
【0017】
請求項に記載の発明では、請求項2に記載の車両用空調装置において、車室内へ吹き出される空気の目標吹出温度(TAO)を、前記日射量(Tsa)を時定数処理した出力値(Tsb)に日射ゲイン(Ks、Ksa、Ksb)を乗じた値を少なくとも包含する前記熱負荷条件に基づいて算出し、前記目標吹出温度(TAO)に基づいて前記車室内の空調状態を制御することを特徴とする。
【0018】
これにより、目標吹出温度(TAO)に基づいて車室内の空調制御を行うものにおいて請求項の効果を発揮できる。
【0019】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態による車両用空調装置の全体構成の概要図であり、車両用空調装置の室内ユニット部は、大別して送風ユニット1と、空調ユニット2とにより構成される。室内ユニット部のうち、空調ユニット2は通常、車室内前部の計器盤内側において車両幅方向の中央位置に配置され、送風ユニット1は空調ユニット2部に対して助手席側にオフセット配置される。
【0021】
送風ユニット1は内外気切替箱3と送風機4とから構成され、内外気切替箱3内の内外気切替ドア5により外気導入口6と内気導入口7を開閉する。これにより、内外気切替箱3内に外気(車室外空気)または内気(車室内空気)が切替導入される。内外気切替ドア5はサーボモータからなる電気駆動装置8により駆動される。送風機4には遠心式送風ファン9と駆動用モータ10が備えられている。
【0022】
空調ユニット2には空気通路を形成する空調ケース2aが備えられ、この空調ケース2aの上流側に冷凍サイクルの蒸発器(冷房用熱交換手段)11が配置され、この蒸発器11の下流側にはエアミックスドア12が配置されている。このエアミックスドア12の下流側には車両エンジンの温水(冷却水)を熱源として空気を加熱する温水式ヒータコア(暖房用熱交換手段)13が設置されている。この温水式ヒータコア13の側方(上方部)には、温水式ヒータコア13をバイパスして空気を流すバイパス通路14が形成されている。
【0023】
エアミックスドア12は回動可能な板状ドアであり、サーボモータからなる電気駆動装置15により駆動される。エアミックスドア12は、温水式ヒータコア13を通過する温風とバイパス通路14を通過する冷風との風量割合を調節するものであって、この冷温風の風量割合の調節により車室内への吹出空気温度を調節する。従って、本例においては、エアミックスドア12により車室内への吹出空気の温度調節手段が構成される。
【0024】
温水式ヒータコア13の下流側には下側から上方へ延びる温風通路16が形成され、この温風通路16からの温風とバイパス通路14からの冷風が空気混合部17で混合して、所望温度の空気を作り出すことができる。
【0025】
さらに、空調ケース2a内で、空気混合部17の下流側に吹出モード切替部が構成されている。すなわち、空調ケース2aの上面部にはデフロスタ開口部18が形成され、このデフロスタ開口部18は図示しないデフロスタダクトを介して車両フロントガラス内面に空気を吹き出すものである。デフロスタ開口部18は、回動自在な板状のデフロスタドア19により開閉される。
【0026】
また、空調ケース2aの上面部で、デフロスタ開口部18より車両後方側の部位にフェイス開口部20が形成され、このフェイス開口部20は図示しないフェイスダクトを介して車室内乗員の上半身に向けて空気を吹き出すものである。フェイス開口部20は回動自在な板状のフェイスドア21により開閉される。
【0027】
また、空調ケース2aにおいて、フェイス開口部20の下側部位にフット開口部22が形成され、このフット開口部22から車室内乗員の足元に向けて空気を吹き出す。フット開口部22は回動自在な板状のフットドア23により開閉される。
【0028】
上記した吹出モードドア19、21、23は共通のリンク機構(図示せず)に連結され、このリンク機構を介してサーボモータからなる電気駆動装置24により駆動される。
【0029】
次に、本実施形態における電気制御部の概要を説明すると、空調用電子制御装置25はCPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータと、その周辺回路にて構成されるものである。蒸発器11の温度センサとしてサーミスタからなる温度センサ26を有している。この温度センサ26は空調ケース2a内で蒸発器11の空気吹出直後の部位に配置され、蒸発器吹出温度Teを検出する。
【0030】
空調用電子制御装置25には、上記の温度センサ26の他に、空調制御のために、内気温(車室内温度)Trを検出する内気センサ27、外気温Tamを検出する外気センサ28、車室内への日射量Tsaを検出する日射センサ29、温水式ヒータコア13の温水温度Twを検出する水温センサ30等から検出信号が入力される。
【0031】
また、車室内計器盤近傍に設置される空調制御パネル31には乗員により手動操作される操作スイッチ32〜36が備えられ、この操作スイッチ32〜36の操作信号も空調用電子制御装置25に入力される。
【0032】
この操作スイッチとして、具体的には、温度設定信号Tsetを発生する温度設定スイッチ32、風量切替信号を発生する風量スイッチ33、吹出モード信号を発生する吹出モードスイッチ34、内外気切替信号を発生する内外気切替スイッチ35、冷凍サイクルの圧縮機(図示せず)の運転を断続するエアコンスイッチ36等が設けられている。
【0033】
さらに、空調用電子制御装置25にはルーフスイッチ38の検出信号が入力される。ここで、図2に示す車両39はルーフ40を開閉可能に構成した車両、いわゆるオープンカーであって、図2(a)はルーフ40の閉塞(全閉)状態を示し、図2(b)はルーフ40が車両後部の収納スペース内に収納された開放(全開)状態を示す。ルーフ40は図2(a)の全閉位置と図2(b)の全開位置との中間に位置する半開状態も選択できる。
【0034】
ルーフスイッチ38はこのようなルーフ40の開閉に応じた開閉動作を行うもので、本例ではルーフ40が所定開度(例えば、50%)以上開くと、ルーフスイッチ38が閉状態となり、ルーフ40の開度が所定開度未満であるときはルーフスイッチ38が開状態となるようにしてある。
【0035】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。図3のフローチャートは空調用電子制御装置25のマイクロコンピュータにより実行される制御処理の概要を示し、図3の制御ルーチンは、図示しない車両エンジンのイグニッションスイッチがオンされて制御装置25に電源が供給されとスタートする。
【0036】
先ず、ステップS1ではフラグ、タイマー等の初期化がなされ、次のステップS2で空調制御パネル31の操作スイッチ32〜36の操作信号を読み込む。次のステップS3で車両環境状態の信号、すなわち、センサ26〜30からの検出信号、車速センサ37およびルーフスイッチ38の検出信号等を読み込む。
【0037】
次に、ステップS4にて、日射センサ29により検出される日射量検出値Tsaの補正処理を行う。この補正処理は具体的には図4に示す通りであり、ステップS41では、日射センサ29により検出される日射量検出値(生値)Tsaに対する緩和処理、具体的には時定数処理を行う。この時定数処理を図5により具体的に説明すると、図5の例では日射センサ29の日射量検出値(生値)Tsaが時刻t1にて急増した場合(車両がビルの日陰から抜け出た場合等)、また、日射量検出値(生値)Tsaが時刻t2にて急減した場合(車両が明るい場所からビルの日陰内に進入した場合等)を示している。時定数処理では、入力値である日射量検出値Tsaの急変化に対して出力値Tsbを時間に対して指数関数的に変化させるように演算する処理である。
【0038】
ここで、時定数τは、日射量検出値Tsaの変化量に対して出力値Tsbの変化量が63.2%の割合に到達するまでの時間(秒)であり、この時定数τは例えば30秒である。
【0039】
次のステップS42では、ルーフスイッチ38の信号に基づいて車両のルーフ40が開放状態であるかを判定する。車両のルーフ40が開放状態(ルーフスイッチ38が閉状態)であるときは次のステップS43に進み、日射ゲインKsとしてルーフ開放時の日射ゲインKsaを図6のマップにより決定する。また、ルーフ40の閉塞時にはステップS44に進み、日射ゲインKsとしてルーフ閉塞時の日射ゲインKsbを図6のマップにより決定する。
【0040】
ここで、ルーフ閉塞時の日射ゲインKsbは図6に示すように外気温の高低にかかわらず、常に一定値b(例えば、b=1.1)である。これに対し、ルーフ開放時の日射ゲインKsaはルーフ閉塞時の日射ゲインKsbより常に大きい値であり、且つ、ルーフ開放時の日射ゲインKsaは外気温Tamに応じて変化する。
【0041】
より具体的に、ルーフ開放時の日射ゲインKsaを説明すると、外気温Tamが春秋の中間期温度に相当する第1所定温度Tam1(例えば、20℃)より低いときはKsaは常に一定値a(例えば、a=1.2)であり、そして、外気温Tamが第1所定温度Tam1より高くなると、Ksaは外気温Tamの上昇とともに増大する。外気温Tamが夏期の温度に相当する第2所定温度Tam2(例えば、28℃)に到達すすると、Ksaは最大値c(例えば、c=3.2)となり、このTam2以上に外気温が上昇してもKsaは最大値cに維持される。
【0042】
次に、図3のステップS5に進み、車室内へ吹き出される空調風の目標吹出温度TAOを車室内の熱負荷条件に基づいて算出する。この目標吹出温度TAOは車室内を温度設定スイッチ32の設定温度Tsetに維持するために必要な吹出温度であり、下記数式1に基づいて算出される。
【0043】
【数1】
TAO=Kset ×Tset −Kr ×Tr −Kam×Tam−Ks ×Tsb+C
但し、Tr:内気センサ27により検出される内気温
Tam:外気センサ28により検出される外気温
Tsb:日射センサ29の検出値Tsaを時定数処理した出力値
Kset、Kr、Kam、Ks:制御ゲイン
C:補正用の定数
なお、ルーフ開放時には日射ゲインKsとしてKsaを用い、ルーフ閉塞時には日射ゲインKsとしてKsbを用いる。
【0044】
次に、ステップS6にて送風機4により送風される空気の目標送風量、具体的には送風機駆動用モータ10の印加電圧であるブロワ電圧レベルを上記TAOに基づいて決定する。このブロワ電圧レベルの具体的決定方法は周知のように上記TAOの高温側(最大暖房側)および低温側(最大冷房側)でブロワ電圧レベルを増大させ、そして、上記TAOの中間温度域でブロワ電圧レベルを減少させる。
【0045】
次に、ステップS7にて内外気モードを決定する。この内外気モードは例えば設定温度Tsetに対して内気温Trが所定温度以上、大幅に高いとき(冷房高負荷時)に内気モードとし、その他の時は外気モードとする。あるいは、上記TAOが低温側から高温側へ上昇するにつれて、全内気モード→内外気混入モード→全外気モードと切替設定してもよい。
【0046】
次に、ステップS8にて上記TAOに応じて吹出モードを決定する。この吹出モードは周知のごとくTAOが低温側から高温側へ上昇するにつれてフェイスモード→バイレベルモード→フットモードと切替設定される。
【0047】
次に、ステップS9にて、エアミックスドア12の目標開度SWを上記TAO、蒸発器吹出温度Te、及び温水温度Twに基づいて次の数式2により算出する。
【0048】
【数2】
SW=〔(TAO−Te)/(Tw−Te)〕×100(%)
ここで、エアミックスドア12の目標開度SWは、エアミックスドア12の最大冷房位置(図1の実線位置)を0%とし、エアミックスドア12の最大暖房位置(図1の一点鎖線位置)を100%とする百分率で表される。
【0049】
次に、ステップS10に進み、温度センサ26により検出される実際の蒸発器吹出温度Teと、上記TAO等に基づいて決定される目標蒸発器温度TEOとを比較して図示しない空調用圧縮機の電磁クラッチへの印加電圧を決定し、圧縮機作動の断続(ON−OFF)を決定する。
【0050】
次に、ステップS11に進み、上記ステップS6〜S10で決定された制御状態が得られるように、各種アクチュエータ部(8、10、15、24等)に制御信号が出力される。次のステップS12で制御周期t0の間待機し、制御周期t0の経過を判定すると、ステップS2に戻る。
【0051】
ところで、晴れた日に市街地のビルの谷間を走行すると、車両への日射が頻繁に断続されるので、日射センサ29の検出値(生値)Tsaが大きく上下動して、車室内の空調状態の自動制御が不安定となるが、図4のステップS41による日射緩和処理(時定数処理)を行うと、その出力値Tsbは図5のように検出値(生値)Tsaの変化を緩和した値となるから、車両への日射量が頻繁に変動する場合(ビルの谷間の走行時等)でもTAOの頻繁な変動を防止できる。
【0052】
このことから、市街地のビルの谷間走行等においても、TAOに基づいて決定される吹出風量(ステップS6)、吹出モード(ステップS8)、エアミックスドア開度(ステップS9)等の制御を安定させることができる。
【0053】
一方、図6に示すように、ルーフ開放時の日射ゲインKsaをルーフ閉塞時の日射ゲインKsbより大きくし、これに加え、ルーフ開放時の日射ゲインKsaを低外気温時より高外気温時に大きくしているから、次の作用効果を発揮できる。すなわち、ルーフ開放時には車室内乗員への日射量が増大して日射による温熱感が増大するが、このルーフ開放に伴う温熱感の増大に対してはルーフ開放時の日射ゲインKsaをルーフ閉塞時の日射ゲインKsbより大きくすることにより、TAOが低温側に移動して、温熱感の増大を抑制する。
【0054】
また、ルーフの開放時は外気が直接乗員の上半身に接触するので、乗員の実際の温熱感には外気温が強く影響する。従って、夏期の高外気温時にはルーフ開放に伴う日射量増大に高温外気の影響が重なるので、乗員の温熱感はより一層増大するが、本第1実施形態によると、Ksaを低外気温時より高外気温時に大きくしているから、夏期の高外気温時にTAOが一層低温側に移動してルーフ開放時の温熱感増大を良好に抑制できる。
【0055】
一方、春秋の中間外気温時には外気による温熱感への影響が小さくなるので、ルーフ開放時の日射ゲインKsaを夏期の高外気温時に適合する最大値cのままにすると、中間外気温時にとってKsaが過大となり、その結果、ルーフの開閉に伴ってTAOが急変動して吹出空気の温度や風量が必要以上に変動するという不具合を引き起こすが、本第1実施形態によると、Ksaを春秋の中間外気温時には小さくできるので、ルーフ40の開閉に伴う吹出空気の温度や風量の急変動を防止でき、空調フィーリングの悪化を抑制できる。
【0056】
なお、図6の例では、外気温Tamが第1所定温度Tam1より低い領域でもルーフ開放時の日射ゲインKsaをルーフ閉塞時の日射ゲインKsbより大きくしているが、このTam<Tam1となる低温域ではKsaをKsbより大きくする必要性が減少するので、KsaをKsbと同一としてもよい。
【0057】
(第2実施形態)
第1実施形態では、図4のステップS41による時定数処理においてルーフ40の開閉にかかわらず、時定数τを一定値(例えば、30秒)としているが、第2実施形態はこの時定数τをルーフ40の開閉に応じて切り替えるものである。
【0058】
図7は第2実施形態による日射補正処理(ステップS4)の詳細を示すもので、ルーフ開放時にはステップS42からステップS410に進み、時定数τをルーフ開放時の時定数τa、例えば、60秒とし、このτaにより時定数処理をして日射検出値(生値)Tsaを出力値Tsbに変換する。
【0059】
一方、ルーフ閉塞時にはステップS42からステップS415に進み、時定数τをルーフ閉塞時の時定数τb、例えば、30秒とし、このτbにより時定数処理をして日射検出値(生値)Tsaを出力値Tsbに変換する。
【0060】
このように、ルーフ開放時の時定数τaを大とし、ルーフ閉塞時の時定数τbを小とするのは次の理由による。すなわち、ルーフ開放時には日射量が増大し、且つ、ルーフ開放時の日射ゲインKsaをルーフ閉塞時の日射ゲインKsbより大きくするから、ビルの谷間の走行時等における日射量変動の影響がルーフ開放時にはより一層強く現れ、このことがTAOの変動→空調制御の変動を引き起こす原因となる。
【0061】
そこで、第2実施形態ではτa>τbの関係を設定することにより、ルーフ開放時における時定数処理による日射検出値(生値)Tsaの変化緩和作用をルーフ閉塞時に比較して増大させる。これにより、ビルの谷間の走行時等における日射量変動に起因する、ルーフ開放時での空調制御の過剰な変動を未然に防止できる。
【0062】
(第3実施形態)
第2実施形態では、ルーフ開放時の時定数τaを、ルーフ閉塞時の時定数τbより大きい所定値(例えば、60秒)に固定しているが、ルーフ開放時の時定数τaを、ルーフ閉塞時の時定数τbより大きい範囲で可変してもよい。
【0063】
図8は第3実施形態によるルーフ開放時の時定数τaの具体的決定方法を例示するもので、第3実施形態ではルーフ開放時にまず、図6のマップに従ってルーフ開放時の日射ゲインKsaを決定し、このルーフ開放時の日射ゲインKsaの値が増加するにつれてルーフ開放時の時定数τaを増加させる。図8のKsaにおけるa,cは図6のa,cと同一値である。図8において、Ksa=aのとき、τa=τa1(例えば、30秒)とし、Ksa=cのとき、τa=τa2(例えば、60秒)としている。
【0064】
第3実施形態によると、ルーフ開放時の時定数τaがルーフ開放時の日射ゲインKsaの増加につれて増加するから、Ksaの増加に伴うTAOの変動要因をルーフ開放時の時定数τaの増加により抑制することが可能となる。従って、日射量変動に起因する、ルーフ開放時での空調制御の過剰な変動をより一層良好に防止できる。
【0065】
(他の実施形態)
なお、ルーフ開放時における日射による温熱感の影響は車速が上昇すると緩和される傾向にあるので、車速を検出して、低車速時に比較して高車速時には図6のルーフ開放時の日射ゲインKsaの最大値cを小さくするように補正してもよい。
【0066】
また、上述の実施形態では、センサ検出値Tsaの変化度合いを緩和する「緩和処理」として時定数処理を用いているが、時定数処理に限らず、センサ検出値Tsaが変化したときに出力値Tsbを時間に対して所定の関数で緩慢に変化させる適宜の徐変制御(例えば、出力値が直線的、ステップ的等に変化する制御)を緩和処理に用いてもよいことはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の全体構成図である。
【図2】第1実施形態を適用するオープンカーの説明図である。
【図3】第1実施形態の全体制御を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態の制御の要部を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態の時定数処理の説明図である。
【図6】第1実施形態の日射ゲインの説明図である。
【図7】第2実施形態の制御の要部を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態の時定数処理の説明図である。
【符号の説明】
4…送風機(送風手段)、11…蒸発器(熱交換手段)、
13…ヒータコア(熱交換手段)、40…ルーフ。

Claims (3)

  1. ルーフ(40)を開閉可能に構成した車両に搭載される空調装置において、
    乗員により手動操作されて設定温度(Tset)を発生する温度設定スイッチ(32)、内気温(Tr)を検出する内気センサ(27)、外気温(Tam)を検出する外気センサ(28)、および車室内への日射量(Tsa)を検出する日射センサ(29)を備え、
    前記設定温度(Tset)、前記内気温(Tr)、前記外気温(Tam)および前記日射量(Tsa)に基づいて車室内へ吹き出される空調風の目標吹出空気温度(TAO)を算出し、
    前記目標吹出空気温度(TAO)に基づいてブロワ電圧レベル、吹出モードおよびエアミックスドア開度を制御するように構成されており、
    前記目標吹出空気温度(TAO)は、前記日射センサ(29)が検出した日射量(Tsa)を時定数処理した出力値(Tsb)に日射ゲイン(Ks、Ksa、Ksb)を乗じた値を用いて算出されるようになっており、
    更に、前記日射ゲイン(Ks、Ksa、Ksb)を前記ルーフ(40)の閉塞時より開放時に大きくするとともに、前記ルーフ(40)の開放時における前記日射ゲイン(Ks、Ksa、Ksb)を低外気温時より高外気温時に大きくすることを特徴とする車両用空調装置。
  2. ルーフ(40)を開閉可能に構成した車両に搭載される空調装置において、
    日射量を検出する日射センサ(29)を備え、
    前記日射センサ(29)が検出した日射量(Tsa)を時定数処理した出力値(Tsb)に日射ゲイン(Ks、Ksa、Ksb)を乗じた値を少なくとも包含する熱負荷条件に基づいて車室内の空調状態を制御するようになっており、
    更に、前記ルーフ(40)の開放時における時定数(τa)を前記ルーフ(40)の閉塞時における時定数(τb)より大きくしたことを特徴とする車両用空調装置。
  3. 車室内へ吹き出される空気の目標吹出温度(TAO)を、前記日射量(Tsa)を時定数処理した出力値(Tsb)に日射ゲイン(Ks、Ksa、Ksb)を乗じた値を少なくとも包含する前記熱負荷条件に基づいて算出し、前記目標吹出温度(TAO)に基づいて前記車室内の空調状態を制御することを特徴とする請求項に記載の車両用空調装置。
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