JP4441489B2 - マクロライド系化合物の水酸化に関与するdna - Google Patents

マクロライド系化合物の水酸化に関与するdna Download PDF

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Description

本発明はマクロライド系化合物の水酸化に関与するDNA、その単離方法、そのDNAによりコードされるタンパク質、そのDNAを担持するプラスミド、そのプラスミドで形質転換した形質転換体およびその形質転換体を用いた16位水酸化マクロライド系化合物の生産方法に関する。
従来技術
式(II)
Figure 0004441489
で表される12員環マクロライド系化合物11107Dは、優れた抗腫瘍活性を有する12員環マクロライド系化合物であり、式(I)
Figure 0004441489
で表される12員環マクロライド系化合物11107Bとともにストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)Mer−11107株の培養物より見出されている(WO 02/060890)。マクロライド系化合物11107Dは、マクロライド系化合物11107Bの16位水酸化体に相当するが、その生産性はマクロライド系化合物11107Bの生産性よりも低く、効率的な製造方法の確立が望まれていた。
本発明の課題は、マクロライド系化合物11107Bの水酸化に関与するDNAを見出し、マクロライド系化合物11107Dの新規な生産方法を提供することにある。
本発明は、以下の[1]〜[15]に関する。
[1]:式(I)
Figure 0004441489
で示されるマクロライド系化合物(以下マクロライド系化合物11107Bという)の、
式(II)
Figure 0004441489
で示される16位水酸化マクロライド系化合物(以下マクロライド系化合物11107Dという)への生物学的変換に関与するDNAであって、16位水酸化酵素活性を有するタンパク質もしくはフェレドキシンを一部にもしくは全体としてコードするDNAまたはその改変体を含んでなる単離された純粋なDNA。
[2]:下記の(a)、(b)または(c)で示される[1]記載のDNA。
(a) マクロライド系化合物11107Bの16位水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAであって、配列番号1の塩基1322から塩基2548までの連続した塩基配列、配列番号2の塩基420から塩基1604までの連続した塩基配列および配列番号3の塩基172から塩基1383までの連続した塩基配列からなる群より選択されるDNA。
(b) 前記(a)で示されるDNAの改変体であって、
(i) 前記(a)で示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、
(ii) マクロライド系化合物11107Bの16位水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(c) 遺伝子コドンの縮重のため、前記(a)に示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないが、前記(a)または(b)で示されるDNAによりコードされるタンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
[3]:[2]記載のDNAによりコードされるタンパク質。
[4]:[2]のDNAを担持する自立複製性または組み込み複製性の組み換えプラスミド。
[5]:[4]の組み換えプラスミドで形質転換した形質転換体。
[6]:[2]に記載されたDNAまたはその一部からなるDNAをプローブまたはプライマーとして用いることを特徴とする、マクロライド系化合物11107Bの16位水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAの単離方法。
[7]:下記の(d)、(e)または(f)で示される[1]記載のDNA。
(d) フェレドキシンをコードするDNAであって、配列番号1の塩基2564から塩基2761までの連続した塩基配列、配列番号2の塩基1643から塩基1834までの連続した塩基配列および配列番号3の塩基1399から塩基1593までの連続した塩基配列からなる群より選択されるDNA。
(e) 前記(d)で示されるDNAの改変体であって、
(i) 前記(d)で示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、
(ii) フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(f) 遺伝子コドンの縮重のため、前記(d)に示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないが、前記(d)または(e)で示されるDNAによりコードされるタンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
[8]:[7]記載のDNAによりコードされるタンパク質。
[9]:[7]記載のDNAを担持する自立複製性または組み込み複製性の組み換えプラスミド。
[10]:[9]記載の組み換えプラスミドで形質転換した形質転換体。
[11]:[7]に記載されたDNAもしくはその一部からなるDNAをプローブまたはプライマーとして用いることを特徴とする、フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAの単離方法。
[12]:[5]または[10]記載の形質転換体を培地で培養し、培養中又は培養後に、増殖した形質転換体と、式(III)
Figure 0004441489
〔式中、
Figure 0004441489
12、R16b、R17a、R17b、R18、R20a、R20b、R21aおよびR21bは同一または異なって、
(1)水素原子、
(2)置換基を有していても良いC1−22アルキル基、
(3)−OR(式中、Rは
1)水素原子、
置換基を有していても良い、
2)C1−22アルキル基、
3)C7−22アラルキル基、
4)5員環ないし14員環ヘテロアリールオキシアルキル基、
5)C2−22アルカノイル基、
6)C7−15アロイル基、
7)C3−23不飽和アルカノイル基、
8)−CORco(式中、Rcoは置換基を有していても良い、
8−1)5員環ないし14員環ヘテロアリール基、
8−2)C1−22アルコキシ基、
8−3)不飽和C2−22アルコキシ基、
8−4)C6−14アリールオキシ基、
8−5)5員環ないし14員環ヘテロアリールオキシ基、
もしくは
8−6)3員環ないし14員環含窒素非芳香族複素環を表す)、
9)C1−22アルキルスルホニル基、
10)C6−14アリールスルホニル基
または
11)−SiRs1s2s3(式中、Rs1、Rs2およびRs3は同一または異なって、C1−6アルキル基またはC6−14アリール基を表す)を表す)、
(4)ハロゲン原子
または
(5)−R−NRN1N2
{式中、Rは単結合または−O−CO−を表す;
N1およびRN2
1)同一または異なって、
1−1)水素原子もしくは
1−2)置換基を有していても良い、
(i)C1−22アルキル基、
(ii)不飽和C2−22アルキル基、
(iii)C2−22アルカノイル基
(iv)C7−15アロイル基、
(v)不飽和C3−23アルカノイル基、
(vi)C6−14アリール基、
(vii)5員環ないし14員環ヘテロアリール基、
(viii)C7−22アラルキル基、
(ix)C1−22アルキルスルホニル基もしくは
(x)C6−14アリールスルホニル基を表すか、
または
2)RN1およびRN2は結合する窒素原子と一緒になって置換基を有していても良い3員環ないし14員環含窒素非芳香族複素環を形成する}を表す;
ただし、
21aおよびR21bは一緒になって、(i)ケトン構造(=O)または(ii)オキシム構造{=NORox(式中、Roxは置換基を有していても良い、C1−22アルキル基、不飽和C2−22アルキル基、C6−14アリール基、5員環ないし14員環ヘテロアリール基またはC7−22アラルキル基を表す)}を形成しても良い;
16aは水素原子を表す;
21c
(1)水素原子または
(2)
Figure 0004441489
(式中、R22a、R22bおよびR22cは同一または異なって、
1)水素原子、
2)C1−6アルキル基、
3)−OR(式中、Rは前記の意味を有する)、
4)−R−NRN1N2(式中、R、RN1およびRN2は前記の意味を有する)または
5)ハロゲン原子
を表す;
あるいは、
21aおよびR21bのどちらか一方とR22aおよびR22bのどちらか一方とが一緒になって部分構造
Figure 0004441489
を形成しても良い;

(1)式(GM−I)で示される基
Figure 0004441489
{式中、
およびR10は同一または異なって、水素原子またはC1−22アルキル基を表す;
3a、R3b、R5a、R5b、R6aおよびR6bは同一または異なって、
1)水素原子、
2)ヒドロキシ基、
3)置換基を有していても良い、
3−1)C1−22アルキル基、
3−2)C1−22アルコキシ基、
3−3)C6−14アリールオキシ基
3−4)5員環ないし14員環ヘテロアリールオキシ基、
3−5)C2−22アルカノイルオキシ基、
3−6)C7−15アロイルオキシ基
3−7)C3−23不飽和アルカノイルオキシ基、
3−8)−OCORco(式中、Rcoは前記の意味を有する)、
3−9)C1−22アルキルスルホニルオキシ基、
3−10)C6−14アリールスルホニルオキシ基
もしくは
3−11)−OSiRs1s2s3(式中、Rs1、Rs2およびRs3は前記の意味を有する)、
4)ハロゲン原子
または
5)−R−NRN1N2(式中、R、RN1およびRN2は前記の意味を有する)を表す;
あるいは、
5aおよびR5bは一緒になってケトン構造(=O)を形成しても良い;
あるいは、
6aおよびR6bは一緒になって、スピロオキシラニル基またはエキソメチレン基を形成しても良い;あるいは、
7aおよびR7bは同一または異なって、水素原子または−OR(式中、Rは水素原子、C1−22アルキル基またはC2−22アルカノイル基を表す)を表す}、
(2)式(GM−II)で示される基
Figure 0004441489
(式中、R、R3a、R3b、R6a、R6b、R7a、R7bおよびR10は式(GM−I)の定義と同義である)、
(3)式(GM−III)で示される基
Figure 0004441489
(式中、R、R5a、R5b、R6a、R6b、R7a、R7bおよびR10は式(GM−I)の定義と同義である)、
(4)式(GM−IV)で示される基
Figure 0004441489
(式中、R、R6a、R7a、R7bおよびR10は式(GM−I)の定義と同義である)
または
(5)式(GM−V)で示される基
Figure 0004441489
(式中、R、R3a、R6a、R6bおよびR10は式(GM−I)の定義と同義である)を表す〕
で示されるマクロライド系化合物とを接触させ、式(IV)
Figure 0004441489
(式中、W、R12、R16b、R17a、R17b、R20a、R20b、R21a、R21b、R21cおよびGは式(III)の定義と同義を表す)
で示される16位水酸化マクロライド系化合物に変換し、こうして変換された16位水酸化マクロライド系化合物を採取することを特徴とする16位水酸化マクロライド系化合物の生産方法。
[13]:形質転換体が、[5]記載の形質転換体であり、かつフェレドキシンをコードするDNAを有する形質転換体である[12]記載の生産方法。
[14]:式(III−a)
Figure 0004441489
(式中、
Figure 0004441489
’は水素原子またはアセトキシ基、R’は水素原子またはヒドロキシ基、R’は水素原子またはアセチル基を表す)で示される化合物を、式(IV−a)
Figure 0004441489
(式中、
Figure 0004441489
W’、R’、R’およびR’は式(III−a)の定義と同義である)で示される化合物に変換することを特徴とする[12]記載の生産方法。
[15]:式(III−a)の化合物の、式(IV−a)の化合物への変換において、
(1)
Figure 0004441489
’、R’およびR’が水素原子である化合物、
(2)
Figure 0004441489
’およびR’が水素原子、R’がアセチル基である化合物、
(3)
Figure 0004441489
’およびR’が水素原子、R’がヒドロキシ基である化合物、
(4)
Figure 0004441489
’が水素原子、R’がヒドロキシ基、R’がアセチル基である化合物、
(5)
Figure 0004441489
W’が二重結合、R’、R’およびR’が水素原子である化合物、
(6)
Figure 0004441489
W’が二重結合、R’およびR’が水素原子、R’がアセチル基である化合物、
(7)
Figure 0004441489
W’が二重結合、R’およびR’が水素原子、R’がヒドロキシ基である化合物、
(8)
Figure 0004441489
W’が二重結合、R’が水素原子、R’がヒドロキシ基、R’がアセチル基である化合物、
(9)
Figure 0004441489
’およびR’が水素原子、R’がヒドロキシ基である化合物、
(10)
Figure 0004441489
’が水素原子、R’がヒドロキシ基、R’がアセチル基である化合物、
(11)
Figure 0004441489
’がアセトキシ基、R’がヒドロキシ基、R’が水素原子である化合物および
(12)
Figure 0004441489
’がアセトキシ基、R’がヒドロキシ基、R’がアセチル基である化合物からなる群から選択される化合物を対象とする[14]記載の生産方法。
[16]:[5]または[10]記載の形質転換体を、16位水酸化マクロライド系化合物の生産に用いる用途。
本発明により、マクロライド系化合物11107Bの16位水酸化酵素活性を有するタンパク質またはフェレドキシンをコードするDNAを単離して、その塩基配列を決定することができ、更に、そのDNAを担持するプラスミド、そのプラスミドで形質転換した形質転換体を作成し、その形質転換体を用いて、16位水酸化マクロライド系化合物を効率よく生産することができた。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
マクロライド系化合物11107Bからマクロライド系化合物11107Dへ変換する能力を有する微生物
本発明においては、マクロライド系化合物11107Bからマクロライド系化合物11107Dへ変換する能力を有する微生物を培養した培養液から集めた菌体から、16位水酸化酵素活性を有するタンパク質またはフェレドキシンを一部にまたは全体としてコードするDNAを単離し、塩基配列を決定することができる。そして、このDNAを担持する自立複製性または組み込み複製性の組み換えプラスミドを構築し、そのプラスミドを用いて形質転換体を調製する。
このようにして調製した形質転換体を培地で培養し、培養中又は培養後に、増殖した形質転換体と、前記式(III)で表されるマクロライド系化合物を接触させることにより、式(IV)で表される16位水酸化マクロライド系化合物に変換し、変換された16位水酸化マクロライド系化合物を採取することにより、16位水酸化マクロライド系化合物を得ることができる。
マクロライド系化合物11107Bからマクロライド系化合物11107Dへ変換する能力を有する微生物としては、このような能力を有するものであれば、種および株の種類を問うことなく使用できるが、好ましい微生物として、いずれも土壌から分離されたストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)Mer−11107、A−1544株や、未同定の放線菌A−1560株を挙げることができる。
尚、Streptomyces sp.Mer−11107は、FERM P−18144として平成12年12月19日付で日本国305−8566茨城県つくば市東1丁目1番3号在の工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託され、さらに平成13年11月27日付で日本国305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6在の独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センター(IPOD)において、国際寄託FERM BP−7812に移管された。A−1544株は、FERM P−18943として平成14年7月23日付で日本国305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6在の独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センターに寄託され、さらに平成15年7月30日付で日本国305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6在の独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センター(IPOD)において、国際寄託FERM BP−8446に移管された。A−1560株は、FERM P−19585として平成15年11月13日付で日本国305−8566茨城県つくば市東1丁目1番3号在の工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託され、さらに平成16年8月19日付で日本国305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6在の独立行政法人産業技術総合研究所、特許生物寄託センター(IPOD)において、国際寄託FERM BP−10102に移管された。
上記菌株の菌学的性状は次のとおりである。
[Mer−11107株の菌学的性状]
(1) 形態
基生菌糸より螺旋状(Spirales)の気中菌糸を伸長する。成熟した気中菌糸の先に10〜20個程度の円筒形の胞子からなる胞子鎖を形成する。胞子の大きさは0.7×1.0μm位で、胞子の表面は平滑(smooth)を示し、胞子のう、菌核、鞭毛などの特殊な器官は認められない。
(2) 各種培地における生育状態
各種培地上で28℃、2週間培養後の培養性状を以下に示す。色調の記載はトレズナーのカラー・ホイールズ(TresnerのColor wheels)の色標名と括弧内に示す符号で表示する。
1)イースト・麦芽寒天培地
生育は良好で、その表面に気中菌糸を着生し、灰色の胞子(Light gray;d)が見られる。培養裏面はLight melon yellow(3ea)である。溶解性色素は産生しない。
2)オートミール寒天培地
生育は中程度で、その表面に気中菌糸を僅かに着生し、灰色の胞子(Gray;g)が見られる。培養裏面はNude tan(4gc)またはPutty(1 1/2 ec)である。溶解性色素は産生しない。
3)スターチ・無機塩寒天培地
生育は良好で、その表面に気中菌糸を着生し、灰色の胞子(Gray;e)が見られる。培養裏面はFawn(4ig)またはGray(g)である。溶解性色素は産生しない。
4)グリセリン・アスパラギン寒天培地
生育は良好で、その表面に気中菌糸を着生し、白色の胞子(White;a)が見られる。培養裏面はPearl pink(3ca)である。溶解性色素は産生しない。
5)ペプトン・イースト・鉄寒天培地
生育は悪く、その表面に気中菌糸を着生しない。培養裏面はLight melon yellow(3ea)である。溶解性色素は産生しない。
6)チロシン寒天培地
生育は良好で、その表面に気中菌糸を着生し、白色の胞子(White;a)が見られる。培養裏面はPearl pink(3ca)である。溶解性色素は産生しない。
(3) 各種炭素源の同化性
プリードハム・ゴトリーブ寒天培地に各種の炭素源を加え、28℃、培養2週間後の生育状況を以下に示す。
1)L−アラビノース ±
2)D−キシロース ±
3)D−グルコース +
4)D−フルクトース +
5)シュークロース +
6)イノシトール +
7)L−ラムノース −
8)D−マンニトール +
9)ラフィノース +
(+は同化する、±は多少同化する、−は殆ど同化しない。)
(4) 生理学的諸性質
本菌の生理学的諸性質は以下の通りである。
(a)生育温度範囲(イースト・麦芽寒天培地、2週間培養):12℃〜37℃
(b)最適温度範囲(イースト・麦芽寒天培地、2週間培養):21℃〜33℃
(c)ゼラチンの液化(グルコース・ペプトン・ゼラチン培地):陰性
(d)ミルクの凝固(スキムミルク培地):陰性
(e)ミルクのペプトン化(スキムミルク培地):陰性
(f)スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地):陽性
(g)メラニン様色素の産生(ペプトン・イースト・鉄寒天培地):陰性
(チロシン培地):陰性
(h)硫化水素の産生(ペプトン・イースト・鉄寒天培地):陰性
(i)硝酸塩の還元(0.1%硝酸カリ含有ブロス):陰性
(j)食塩の耐性(イースト・麦芽寒天培地、2週間培養):食塩含有量4%以下で生育
(5) 菌体成分
本菌の細胞壁からLL−ジアミノピメリン酸及びグリシンが検出された。
[A−1544株の菌学的性状]
(1) 形態
基生菌糸より螺旋状(Spira type)の気中菌糸を伸長する。成熟した気中菌糸の先に10〜20個程度の円筒形の胞子からなる胞子鎖を形成する。胞子の大きさは1.0×1.2〜1.4μm位で、胞子の表面はトゲ状(spiny)を示し、胞子のう、菌核、鞭毛などの特殊な器官は認められない。
(2) 各種培地における生育状態
各種培地上で28℃、約2週間培養後の培養性状を表1に示す。色調の記載はトレズナーのカラー・ホイールズ(TresnerのColor wheels)の色標名と括弧内に示す符号で表示する。
Figure 0004441489
(3) 各種炭素源の同化性
プリードハム・ゴトリーブ寒天培地に各種の炭素源を加え、28℃、培養2週間後の生育状況を表2に示す。
Figure 0004441489
(4) 生理学的諸性質
本菌の生理学的諸性質は以下の通りである。
(a)生育温度範囲(イースト・麦芽寒天培地、2週間培養):15℃〜41℃
(b)生育至適温度(イースト・麦芽寒天培地、2週間培養):20℃〜37℃
(c)ゼラチンの液化(グルコース・ペプトン・ゼラチン培地):陽性
(d)ミルクの凝固(スキムミルク培地):陽性
(e)ミルクのペプトン化(スキムミルク培地):陽性
(f)スターチの加水分解(スターチ・無機塩寒天培地):陽性
(g)メラニン様色素の産生(ペプトン・イースト・鉄寒天培地):陽性
(チロシン培地):陰性
(h)硫化水素の産生(ペプトン・イースト・鉄寒天培地):陽性
(i)硝酸塩の還元(0.1%硝酸カリウム含有ブロス):陰性
(j)食塩の耐性(イースト・麦芽寒天培地、2週間培養):食塩含有量7%以下で生育
(5) 菌体成分
本菌の細胞壁からLL型のジアミノピメリン酸が検出された。
本発明のDNA
本発明者らは、上記微生物からマクロライド系化合物の16位水酸化に関与するDNA、すなわち16位水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAおよびフェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAを単離し、その塩基配列を決定した。以下、16位水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAおよびフェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAを総称して、「16位水酸化酵素関連DNA」ということもある。
本発明の16位水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAは、下記(1−1)、(1−2)または(1−3)で示されるものである。
(1−1) 配列番号1の塩基1322から塩基2548までの連続した塩基配列、配列番号2の塩基420から塩基1604までの連続した塩基配列および配列番号3の塩基172から塩基1383までの連続した塩基配列からなる群より選択されるDNA。
(1−2) 前記(1−1)で示されるDNAの改変体であって、
(i)前記(1−1)で示されるいずれかのDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列であり、かつ、
(ii)マクロライド系化合物の16位水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(1−3) 遺伝子コドンの縮重のため、前記(1−1)に示されるいずれのDNAともストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないが、前記(1−1)または(1−2)で示されるDNAによりコードされるタンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
なお、「16位水酸化酵素活性」とは、前記式(I)で示されるマクロライド系化合物11107Bの16位を水酸化し、前記式(II)で示されるマクロライド系化合物11107Dへ変換する酵素活性を意味する。
また本発明のフェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAは、下記(2−1)、(2−2)または(2−3)で示されるものである。
(2−1) フェレドキシンをコードするDNAであって、配列番号1の塩基2564から塩基2761までの連続した塩基配列、配列番号2の塩基1643から塩基1834までの連続した塩基配列および配列番号3の塩基1399から塩基1593までの連続した塩基配列からなる群より選択されるDNA。
(2−2) 前記(2−1)で示されるDNAの改変体であって、
(i)前記(2−1)で示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、
(ii)フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNA。
(2−3) 遺伝子コドンの縮重のため、前記(2−1)に示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないが、前記(2−1)または(2−2)で示されるDNAによりコードされるタンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
なお、「フェレドキシン機能」とは、前記16位水酸化酵素へ電子を伝達し、前記16位水酸化酵素とともに水酸化反応を担うタンパク質機能を意味する。
また前記DNAの説明における「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列」とは、前記(1−1)または(2−1)のいずれかのDNAをプローブとして使用し、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAの塩基配列を意味し、例えば、コロニーあるいはプラーク由来のDNA又は該DNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2×SSC溶液(1×SSC溶液は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNA等を挙げることができる。ハイブリダイゼーションは、Molecular Cloning:A laboratory Mannual,2nd Ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY.,1989(以下、モレキュラークローニング第2版と略す)等に記載されている方法に準じて行うことができる。
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、プローブとして使用するDNAの塩基配列と一定以上の相同性を有するDNAが挙げられ、例えば80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するDNAが挙げられる。
本発明の16位水酸化酵素関連DNAの取得方法は特に限定されない。本明細書中の配列表の配列番号1、配列番号2または配列番号3に記載した塩基配列の情報に基づいて適当なプローブやプライマーを調製し、それらを用いて放線菌に属する微生物のDNAライブラリーをスクリーニングすることにより本発明のDNAを単離することができる。DNAライブラリーは、前記の16位水酸化酵素活性を発現している微生物から常法により作製することができる。
またPCR法により本発明の16位水酸化酵素関連DNAを取得することもできる。上記した微生物由来のDNAライブラリーを鋳型として使用し、配列番号1、配列番号2または配列番号3に記載したいずれかの塩基配列を増幅できるように設計した1対のプライマーを用いてPCRを行う。PCRの反応条件は適宜設定することができ、例えば、94℃で30秒間(変性)、55℃で30秒〜1分間(アニーリング)、72℃で2分間(伸長)からなる反応工程を1サイクルとして、例えば30サイクル行った後、72℃で7分間反応させる条件などを挙げることができる。次いで、増幅されたDNA断片を、適当な宿主中で増幅可能なベクター中にクローニングすることができる。
上記したプローブ又はプライマーの調製、DNAライブラリーの構築、DNAライブラリーのスクリーニング、並びに目的遺伝子のクローニングなどの操作は当業者に既知であり、例えば、モレキュラークローニング第2版、Current Protocols in Molecular Biology,Supplement 1〜38,John Wiley & Sons(1987−1997)等に記載の方法に準じて行うことができる。
本発明のタンパク質の取得方法は特に制限されず、化学合成により合成したタンパク質でもよいし、遺伝子組み換え技術により作製した組み換えタンパク質でもよい。組み換えタンパク質を作製する場合には、先ず、本明細書の上記に記載した当該タンパク質をコードするDNAを取得する。このDNAを適当な発現系に導入することにより、本発明のタンパク質を産生することができる。発現系でのタンパク質の発現については本明細書中後記する。
本発明の組み換えベクター
本発明のDNAは適当なベクター中に挿入して使用することができる。本発明で用いるベクターの種類は特に限定されず、例えば、自立的に複製するベクター(例えばプラスミド等)でもよいし、あるいは、宿主細胞に導入された際に宿主細胞のゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体と共に複製されるものであってもよい。発現ベクターにおいて本発明のDNAは、転写に必要な要素(例えば、プロモーター等)が機能的に連結されている。プロモーターは宿主細胞において転写活性を示すDNA配列であり、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。
本発明の形質転換体及びそれを用いた組み換えタンパク質の製造
本発明のDNA又は組み換えベクターを適当な宿主に導入することによって形質転換体を作製することができる。本発明のDNAまたは組み換えベクターが導入される宿主細胞は、本発明の遺伝子を発現できれば任意の細胞でよく、細菌、酵母、真菌および高等真核細胞等が挙げられる。細菌細胞の例としては、バチルスまたはストレプトミセス等のグラム陽性菌又は大腸菌等のグラム陰性菌が挙げられる。これら細菌の形質転換は、プロトプラスト法、エレクトロポレーション法またはその他の公知の方法でコンピテント細胞を用いることにより行えばよい。例えば、エレクトロポレーション法は以下のように行うことができる。外来遺伝子が挿入されたプラスミドをコンピテント細胞の懸濁液に加え、この懸濁液をエレクトロポレーション法専用のキュベットに入れ、そのキュベットに高電圧の電気パルスをかける。その後選択培地で培養し、平板寒天培地上で形質転換体を単離する。
酵母細胞の例としては、サッカロミセスまたはシゾサッカロミセスに属する細胞が挙げられ、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)またはサッカロミセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)等が挙げられる。酵母宿主への組み換えベクターの導入方法としては、例えば、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等を挙げることができる。他の真菌細胞の例は、糸状菌、例えばアスペルギルス、ニューロスポラ、フザリウム、またはトリコデルマに属する細胞である。宿主細胞として糸状菌を用いる場合、DNA構築物を宿主染色体に組み込んで組換え宿主細胞を得ることにより形質転換を行うことができる。DNA構築物の宿主染色体への組み込みは、公知の方法に従い、例えば相同組換えまたは異種組換えにより行うことができる。
上記の形質転換体は、導入された遺伝子の発現を可能にする条件下で適切な栄養培地中で培養する。形質転換体の培養物から、本発明のタンパク質を単離精製するには、通常のタンパク質の単離、精製法を用いればよい。
例えば、本発明のタンパク質が、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離により回収し水系緩衝液に懸濁後、超音波破砕機等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、通常のタンパク質の単離精製法、即ち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)セファロース等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、SP−Sepharose FF(アマシャムバイオサイエンス社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を単独あるいは組み合わせて用い、精製標品を得ることができる。
16位水酸化マクロライド系化合物の生産方法
本発明は、16位水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAまたはフェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAを導入した形質転換体を用い、この形質転換体の存在下で前記式(III)で表されるマクロライド系化合物を水酸化させることを含む、前記式(IV)で表される16位水酸化マクロライド系化合物の生産方法を包含する。
本発明の形質転換体で水酸化できるマクロライド系化合物は、前記式(III)で表されるマクロライド系化合物(前記式(IV)で表されるマクロライド系化合物)であり、好ましくは、前記式(III−a)で表されるマクロライド系化合物(前記式(IV−a)で表されるマクロライド系化合物)であり、さらに好ましくはマクロライド系化合物11107B(マクロライド系化合物11107D)である。なお、括弧内は水酸化生成物である16位水酸化マクロライド系化合物である。
形質転換体の存在下でマクロライド系化合物を水酸化させる条件は、以下の通りである。
まず形質転換体中の16位水酸化酵素関連DNAを必要により誘導物質を添加し菌体内で発現させる。これらのDNAが発現した菌体を基質である前記式(III)で表されるマクロライド系化合物と接触させ、変換反応をさせる。変換反応の温度は、形質転換体の至適温度を考慮して、適宜決定できる。また反応時間も、16位水酸化マクロライド系化合物への変換率(反応の進行度合い)等を考慮して、適宜決定することができる。例えば、20〜31℃で、1〜5日が好適である。さらに、反応様式は、バッチ式でも連続式でも、いずれの形式でも実施することができる。
生成した16位水酸化マクロライド系化合物の単離及び精製は、一般に微生物代謝産物をその培養液から単離するために用いられる分離、精製の方法が利用できる。例えば、メタノール、エタノール、アセトン、ブタノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロホルム、トルエン等を用いた有機溶媒抽出、ダイヤイオンHP−20などの疎水性吸着樹脂を用いた吸脱着処理、セファデックスLH−20等を用いたゲル濾過クロマトグラフィー、活性炭、シリカゲル等による吸着クロマトグラフィー、もしくは薄層クロマトグラフィーによる吸脱着処理、あるいは逆相カラム等を用いた高速液体クロマトグラフィー等の公知のあらゆる方法がこれにあたる。また、ここに示した方法に特に限定されるものではない。これらの方法を単独あるいは任意の順序に組み合わせ、また反復して用いることにより、目的の16位水酸化マクロライド系化合物を単離精製することができる。
尚、本発明において、DNAの改変体とは、構成塩基の削除、変換、付加、挿入などにより修飾されたもの、あるいはその誘導体を意味し、もとのものと同じ効果を発現するDNAを意味する。
また、本願明細書において用いる「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
本願明細書において用いる「C1−22アルキル基」とは、炭素数が1ないし22個の直鎖または分枝状アルキル基を示し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等があげられ、好ましくは炭素数が1ないし6個の直鎖または分枝状アルキル基を示し、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等である。
本願明細書において用いる「不飽和C2−22アルキル基」とは、炭素数2ないし22個の直鎖または分枝状アルケニル基、あるいは炭素数が2ないし22個の直鎖または分枝状アルキニル基を示し、例えばビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1,3−ヘキサンジエニル基、1,5−ヘキサンジエニル基、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1−エチニル−2−プロピニル基、2−メチル−2−プロピニル基、1−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1,3−ヘキサンジインイル基、1,5−ヘキサンジインイル基等があげられ、好ましくは炭素数2ないし10個の直鎖または分枝状アルケニル基、あるいは炭素数が2ないし10個の直鎖または分枝状アルキニル基を示し、例えばビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等である。
本願明細書において用いる「C6−14アリール基」とは、6ないし14個の炭素原子で構成された芳香族炭化水素環式基を意味し、例えば単環式基、二環式基、三環式基等の縮合環も含まれる。例えばフェニル基、インデニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基等があげられ、好ましくはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等である。
本願明細書における「5員環ないし14員環ヘテロアリール基」とは、窒素原子、硫黄原子および酸素原子からなる群より選ばれるヘテロ原子を1個以上含んでなる単環式、二環式または三環式の5ないし14員芳香族複素環式基等をいう。好適な例をあげると、含窒素芳香族複素環式基としては、例えばピロリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンツイミダゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、プリニル基、インダゾリル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キノリジニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、イミダゾトリアジニル基、ピラジノピリダジニル基、アクリジニル基、フェナントリジニル基、カルバゾリル基、カルバゾリニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナシニル基、イミダゾピリジニル基、イミダゾピリミジニル基、ピラゾロピリジニル基、ピラゾロピリジニル基等;含硫黄芳香族複素環式基としては、例えばチエニル基、ベンゾチエニル基等;含酸素芳香族複素環式基としては、例えばフリル基、ピラニル基、シクロペンタピラニル基、ベンゾフリル基、イソベンゾフリル基等;2個以上の異種複素原子を含んでなる芳香族複素環式基としては、例えばチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズチアジアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、オキサゾリル基、イソキサゾイル基、ベンゾオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、ピラゾロオキサゾリル基、イミダゾチアゾリル基、チエノフラニル基、フロピロリル基、ピリドオキサジニル基等があげられ、好ましくはチエニル基、フリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等である。
本願明細書において用いる「3員環ないし14員環含窒素非芳香族複素環」とは、窒素原子を1個以上含む単環式、二環式または三環式の3ないし14員環非芳香族複素環をいう。好適な例をあげると、例えばアジリジニル基、アゼチジル基、ピロリジニル基、ピロリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、ホモピペリジニル基、ホモピペラジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、イミダゾリニル基、オキサゾリニル基、キヌクリジニル基等があげられる。また、当該含窒素非芳香族複素環には、ピリドン環から誘導される基や、非芳香族性の縮合環(例えばフタルイミド環、スクシンイミド環等から誘導される基)も含まれる。
本願明細書において用いる「C2−22アルカノイル基」とは、前記定義の「C1−22アルキル基」において、その末端がカルボニル基である基を意味し、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、iso−ブチリル基、バレリル基、iso−バレリル基、ピバリル基、カプロイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、アラキドイル基等があげられ、好ましくは炭素数2ないし6個のアルカノイル基であり、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、iso−ブチリル基等である。
本願明細書において用いる「C7−15アロイル基」とは、前記定義の「C6−14アリール基」、「5員環ないし14員環ヘテロアリール基」において、その末端にカルボニル基が結合した基を意味し、例えばベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、ピコリノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基等があげられる。
本願明細書において用いる「C3−23不飽和アルカノイル基」とは、前記定義の「不飽和C2−22アルキル基」において、その末端にカルボニル基が結合した基を意味し、例えばアクリロイル基、プロピオロイル基、クロトノイル基、iso−クロトノイル基、オレロイル基、リノレノイル基等があげられ、好ましくは炭素数2ないし6個の不飽和アルカノイル基であり、例えばアクリロイル基等である。
本願明細書において用いる「C7−22アラルキル基」とは、前記定義の「C1−22アルキル基」において、置換可能な部分が前記定義の「C6−14アリール基」で置換される7ないし22個の炭素原子で構成された基を意味し、具体的には例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基等があげられ、好ましくは炭素数7ないし10個のアラルキル基であり、例えばベンジル基、フェネチル基等である。
本願明細書において用いる「C1−22アルコキシ基」とは、前記定義の「C1−22アルキル基」において、その末端に酸素原子が結合した基を意味し、好適な基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、iso−ペンチルオキシ基、sec−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、iso−ヘキシルオキシ基、1,1−ジメチルプロポキシ基、1,2−ジメチルプロポキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、2−エチルプロポキシ基、1−エチル−2−メチルプロポキシ基、1,1,2−トリメチルプロポキシ基、1,2,2−トリメチルプロポキシ基、1,1−ジメチルブトキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、2,2−ジメチルブトキシ基、2,3−ジメチルブトキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、2−エチルブトキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等があげられる。
本願明細書において用いる「不飽和C2−22アルコキシ基」とは、前記定義の「不飽和C2−22アルキル基」において、その末端に酸素原子が結合した基を意味し、好適な基としては例えばビニロキシ基、アリロキシ基、1−プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、2−メチル−1−プロペニルオキシ基、2−メチル−2−プロペニルオキシ基、1−ブテニルオキシ基、2−ブテニルオキシ基、3−ブテニルオキシ基、1−ペンテニルオキシ基、1−ヘキセニルオキシ基、1,3−ヘキサンジエニルオキシ基、1,5−ヘキサンジエニルオキシ基、プロパルギルオキシ基、2−ブチニルオキシ基等があげられる。
本願明細書において用いる「C6−14アリールオキシ基」とは、前記定義の「C6−14アリール基」において、その末端に酸素原子が結合した基を意味し、具体的には例えばフェノキシ基、インデニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、アズレニルオキシ基、ヘプタレニルオキシ基、インダセニルオキシ基、アセナフチルオキシ基、フルオレニルオキシ基、フェナレニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、アントラセニルオキシ基等があげられる。
本願明細書において用いる「5員環ないし14員環ヘテロアリールオキシ基」とは、前記定義の「5員環ないし14員環ヘテロアリール基」において、その末端に酸素原子が結合した基を意味し、具体的には例えばピロリルオキシ基、ピリジニルオキシ基、ピリダジニルオキシ基、ピリミジニルオキシ基、ピラジニルオキシ基、トリアゾリルオキシ基、テトラゾリルオキシ基、ベンゾトリアゾリルオキシ基、ピラゾリルオキシ基、イミダゾリルオキシ基、ベンツイミダゾリルオキシ基、インドリルオキシ基、イソインドリルオキシ基、インドリジニルオキシ基、プリニルオキシ基、インダゾリルオキシ基、キノリニルオキシ基、イソキノリニルオキシ基、キノリジニルオキシ基、フタラジニルオキシ基、ナフチリジニルオキシ基、キノキサリニルオキシ基、キナゾリニルオキシ基、シンノリニルオキシ基、プテリジニルオキシ基、イミダゾトリアジニルオキシ基、ピラジノピリダジニルオキシ基、アクリジニルオキシ基、フェナントリジニルオキシ基、カルバゾリルオキシ基、カルバゾリニルオキシ基、ペリミジニルオキシ基、フェナントロリニルオキシ基、フェナシニルオキシ基、イミダゾピリジニルオキシ基、イミダゾピリミジニルオキシ基、ピラゾロピリジニルオキシ基、ピラゾロピリジニルオキシ基、チエニルオキシ基、ベンゾチエニルオキシ基、フリルオキシ基、ピラニルオキシ基、シクロペンタピラニルオキシ基、ベンゾフリルオキシ基、イソベンゾフリルオキシ基、チアゾリルオキシ基、イソチアゾリルオキシ基、ベンゾチアゾリルオキシ基、ベンズチアジアゾリルオキシ基、フェノチアジニルオキシ基、イソキサゾリルオキシ基、フラザニルオキシ基、フェノキサジニルオキシ基、オキサゾリルオキシ基、イソキサゾイルオキシ基、ベンゾオキサゾリルオキシ基、オキサジアゾリルオキシ基、ピラゾロオキサゾリルオキシ基、イミダゾチアゾリルオキシ基、チエノフラニルオキシ基、フロピロリルオキシ基、ピリドオキサジニルオキシ基等があげられ、好ましくはチエニルオキシ基、フリルオキシ基、ピリジルオキシ基、ピリダジルオキシ基、ピリミジルオキシ基、ピラジルオキシ基である。
本願明細書において用いる「5員環ないし14員環ヘテロアリールオキシアルキル基」とは、前記のC1−6アルキル基に前記の「5員環ないし14員環ヘテロアリールオキシ基」が置換した基を示す。
本願明細書において用いる「C1−22アルキルスルホニル基」とは、前記定義の「C1−22アルキル基」が結合したスルホニル基を意味し、具体的には例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、iso−プロパンスルホニル基等があげられる。
本願明細書において用いる「C6−14アリールスルホニル基」とは、前記定義の「C6−14アリール基」が結合したスルホニル基を意味し、具体的には例えばベンゼンスルホニル基、1−ナフタレンスルホニル基、2−ナフタレンスルホニル基等があげられる。
本願明細書において用いる「C1−22アルキルスルホニルオキシ基」とは、前記定義の「C1−22アルキルスルホニル基」において、その末端に酸素原子が結合した基を意味し、例えば、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、n−プロピルスルホニルオキシ基、iso−プロピルスルホニルオキシ基等があげられる。
本願明細書において用いる「置換基を有していても良い」の置換基とは、
(1)ハロゲン原子、
(2)水酸基、
(3)チオール基、
(4)ニトロ基、
(5)ニトロソ基、
(6)シアノ基、
(7)カルボキシル基、
(8)スルホニルオキシ基、
(9)アミノ基、
(10)C1−22アルキル基
(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等)、
(11)不飽和C2−22アルキル基
(例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、イソプロペニル基、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基等)、
(12)C6−14アリール基
(例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等)、
(13)5員環ないし14員環ヘテロアリール基
(例えば、チエニル基、フリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基等)、
(14)3員環ないし14員環含窒素非芳香族複素環
(例えば、アジリジニル基、アゼチジル基、ピロリジニル基、ピロリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、イミダゾリル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリジニル基、モルホリニル基、イミダゾリニル基、オキサゾリニル基、キヌクリジル基等)
(15)C1−22アルコキシ基
(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、sec−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等)、
(16)C6−14アリールオキシ基
(例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等)、
(17)C7−22アラルキルオキシ基
(例えば、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基、3−フェニルプロピルオキシ基、4−フェニルブチルオキシ基、1−ナフチルメチルオキシ基、2−ナフチルメチルオキシ基等)
(18)5員環ないし14員環ヘテロアリールオキシ基
(例えば、チエニルオキシ基、フリルオキシ基、ピリジニルオキシ基、ピリダジニルオキシ基、ピリミジニルオキシ基、ピラジニルオキシ基等)、
(19)C2−23アルカノイル基
(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、iso−ブチリル基、バレリル基、iso−バレリル基、ピバリル基、カプロイル基、デカノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、アラキドイル基等)、
(20)C7−15アロイル基
(例えば、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基等)、
(21)C3−23不飽和アルカノイル基
(例えば、アクリロイル基、プロピオロイル基、クロトノイル基、iso−クロトノイル基、オレロイル基、リノレイル基等)、
(22)C2−23アルカノイルオキシ基
(例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、アクリルオキシ基等)、
(23)C2−22アルコキシカルボニル基
(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、iso−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、iso−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等)
(24)不飽和C3−22アルコキシカルボニル基
(ビニロキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、1−プロペニルオキシカルボニル基、イソプロペニルオキシカルボニル基、プロパルギルオキシカルボニル基、2−ブチニルオキシカルボニル基)、
(25)C1−22アルキルスルホニル基
(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、iso−プロパンスルホニル基等)、
(26)C6−14アリールスルホニル基
(例えば、ベンゼンスルホニル基、1−ナフタレンスルホニル基、2−ナフタレンスルホニル基等)および
(27)C1−22アルキルスルホニルオキシ基
(例えば、メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、n−プロパンスルホニルオキシ基、iso−プロパンスルホニルオキシ基等)
からなる群から選ばれる基が挙げられる。
参考例1(原料であるマクロライド系化合物11107Bの製造)
ストレプトミセス エスピー(Streptomyces sp.)Mer−11107株(FERM BP−7812)の斜面培養(ISP−2培地)から1白金耳を50mlの種母培地[グルコース2%、エスサンミート(味の素(株)製)1%、酵母エキス(オリエンタル酵母工業(株)製)0.5%、塩化ナトリウム0.25%、炭酸カルシウム0.32%、殺菌前pH6.8]を入れた500ml容の三角フラスコに接種し、28℃で2日間培養して第一段種母培養液を得た。この培養液0.1mlを同じ種母培地100mlを入れた500ml容の三角フラスコに接種し、28℃で1日間培養して第二段種母培養液を得た。このようにして得た第二段種母培養液800mlを生産培地[可溶性澱粉5%、ファルマメディア0.8%、グルテンミール0.8%、酵母エキス0.5%、炭酸カルシウム0.1%、殺菌前pH6.8]100Lを入れた200Lタンクに接種し、培養温度28℃で攪拌数90rpm、通気量1.0vvm、内圧20kPaの条件で5日間通気攪拌培養を行って培養液を得た。
このようにして得た培養液の一部(10L)を10Lの1−ブタノールにて抽出後、ブタノール層を減圧乾固し、100gの粗活性画分を得た。この粗活性画分をセファデックスLH−20(ファルマシア社製、1500ml)上に添加し、テトラヒドロフラン−メタノール(1:1)の溶媒で溶出した。540mlから660mlまでに溶出した画分を減圧下で濃縮乾固し、残渣(660mg)を得た。さらにこの残渣を酢酸エチルおよびメタノール(9:1;v/v)の混液に溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ワコーゲルC−200、50g)に付した。このカラムをn−ヘキサンおよび酢酸エチル(1:9;v/v)の混液(2L)で溶出し、468mlから1260mlまでに溶出した画分を集め、減圧下で濃縮し、粗活性画分を25mg得た。
得られた粗活性画分を下記のHPLC分取条件(A)で分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に付し、保持時間34分に溶出される画分を集め、アセトニトリルを留去後、下記HPLC分取条件(B)にてその画分をHPLCによる脱塩を行うことによりマクロライド系化合物11107B(保持時間:37分)を6mg得た。
HPLC分取条件(A)
カラム:YMC−PACK ODS−AM SH−343−5AM,φ20mm×250mm(ワイエムシー社製)
温度:室温
流速:10ml/分
検出:240nm
溶出液:アセトニトリル/0.15%リン酸二水素カリウム(pH3.5)(2:8〜8:2,v/v,0〜50分,リニアグラジェント)
HPLC分取条件(B)
カラム:YMC−PACK ODS−AM SH−343−5AM,φ20mm×250mm(ワイエムシー社製)
温度:室温
流速:10ml/分
検出:240nm
溶出液:メタノール/水(2:8〜10:0,v/v,0〜40分,リニアグラジェント)。
[実施例1]ストレプトミセス・エスピーA−1544株(FERM BP−8446)由来遺伝子の塩基配列の決定
(1) ストレプトミセス・エスピーA−1544株染色体のDNAの調製
グルコース1%、麦芽エキス0.4%、酵母エキス1%からなる培地にA−1544株を接種し、28℃、3日間培養した。得られた培養液を3000rpm、10分間遠心して菌体を集めた。その菌体からBlood & Cell Culture kit(QIAGEN社)を用いて染色体DNAを調製した。
(2) マクロライド系化合物11107の16位水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの部分的配列のクローニング
ストレプトミセス・セリカラーA3(2)のチトクロムP450(CYP105D5)と推定されるアミノ酸配列を参考にして、ミックス・プライマー(5Dm−3F(配列番号4)および5Dm−3R(配列番号5))を設計し作成した。
コドンの揺らぎを考慮して反応性を高めるために、混合塩基S(=C+G)、Y(=C+T)を使用した。
次に、この2種のプライマー(5Dm−3Fおよび5Dm−3R)と前項(1)で得たA−1544株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(宝酒造社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングを50℃、2分間、伸長を68℃、30秒間行う3段階の反応を35回繰り返した。その結果、約500bpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片−A1という)が増幅された。このDNA断片−A1は水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの一部分である可能性が高い。PCR反応にて増幅したDNA断片−A1を、反応液からSUPREC PCR(宝酒造社)によって回収した。
次に得られたDNA断片−A1の塩基配列を解析するに足る量のDNA断片−A1を得るために、プラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)にDNA Ligation kit ver.2(宝酒造社)を用いてDNA断片−A1を連結し、大腸菌JM109株を形質転換した。その後、アンピシリン(50μg/mL)、X−gal(5−bromo−4−chloro−3−indolyl−β−D−galactoside;40μg/mL)、IPTG(isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside;100μM)を含むL−Broth寒天培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、1.5%寒天)を用いて、形質転換された大腸菌を選択した。こうして分離した形質転換大腸菌のコロニーをアンピシリン(50μg/mL)を含むL−Broth液体培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)で培養した。増殖した形質転換大腸菌の菌体からプラスミド精製キット(QIAfilter Plasmid Midi Kit,QIAGEN社)を用いてプラスミドDNAの分離精製を行い、一定量のDNA断片−A1を得た。
(3) クローニングされたDNA断片−A1の塩基配列の解析
前項(2)で得られたDNA断片−A1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(PE Biosystems 377XL)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。塩基配列解析の結果、PCR反応で増幅されたDNA断片−A1は電気泳動で約500bpと測定されたが、塩基配列分析の結果、正確には528bpであることが明らかとなった(配列番号1の塩基1775〜塩基2302参照)。クローニングされた前記の528bpのDNA配列の両端には前記のPCR反応の時に使用した2種類のプライマーに対応するDNA配列が見出されたので、前記のPCR反応ではDNA断片−A1がこの2種類のプライマー(5Dm−3Fおよび5Dm−3R)により特異的に増幅されたことが明らかとなった。
(4) DNA断片−A1の周辺領域の解析
前記のとおり、A−1544株由来の水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの部分的配列が決定されたのでインバースPCR法(細胞工学14巻、p.591−593,1995年)によって、クローニング断片の上流、下流域に広がる周辺領域の塩基配列を増幅、クローニング、配列解析した。すなわち、A−1544株染色体DNA((1)参照)をH緩衝液(50mM Tris−HCl,pH7.5,10mM MgCl,10mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中において制限酵素PstIとSalIでそれぞれ消化した。得られた各制限酵素切断DNA断片をDNA Ligation Kit ver.2(宝酒造社)を用いて自己環状化させた。
他方、DNA断片−A1の塩基配列から、プライマー(6PIN−2F(配列番号6)および6PIN−2R(配列番号7))を設計し作成した。
次にこの2種のプライマー(6PIN−2Fおよび6PIN−2R)と前記の自己環状化させたA−1544株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(宝酒造社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、5分間行う2段階の反応を35回繰り返した。
この結果、約3.5kbpの大きさのDNA断片(DNA断片−B1)と約2.8kbpの大きさのDNA断片(DNA断片−C1)が増幅したが、これらは、水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAおよびその上流と下流領域を含むDNA配列を有するDNAである可能性が高い。
このPCR増幅反応液からDNA断片−B1およびDNA断片−C1をSUPREC PCR(宝酒造社)によって回収した。次に得られたDNA断片−B1およびDNA断片−C1について、塩基配列を解析するに足る量の各DNA断片を得るために、前記(2)と同様にプラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)、DNA Ligation kit ver.2(宝酒造社)、大腸菌JM109株およびプラスミド精製キット(QIAfilter Plasmid Midi Kit,QIAGEN社)を用いて、一定量の各DNA断片を得た。
(5) DNA断片−B1(約3.5kbpのサイズ)およびDNA断片−C1(約2.8kbpのサイズ)の塩基配列の解析
前項(4)で得られたDNA断片−B1およびDNA断片−C1の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(PE Biosystems 377XL)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。このように塩基配列の解析を行い、DNA断片−B1およびDNA断片−C1配列から、配列番号1に示された3793bpの塩基配列の情報を得た。
この3793bp中のオープン・リーディング・フレーム(ORF)を検索したところ、2種類のタンパク質がコードされていることが判明した。これらのタンパク質のアミノ酸配列をBLAST searchにて検索した結果、配列番号1の塩基1322〜塩基2548にチトクロムP450と高い相同性を有する409個のアミノ酸からなるタンパク質をコードするORF(以下、psmAという)が存在した。そしてpsmAは、ストレプトミセス・セリカラーA3(2)のチトクロムP450(CYP105D5)と推定されるアミノ酸配列と、ストレプトミセス・リビダンスのチトクロムP450(CYP105D4)と推定されるアミノ酸配列に最も高い相同性を有し(相同性72.6%)、さらにストレプトミセス・グリセウスのチトクロムP450soy(SoyC)にも比較的高い相同性を有した(相同性69.4%)。このことからpsmAはチトクロムP450タイプの水酸化酵素をコードする遺伝子である可能性が高いと考えられた。
またpsmAのすぐ下流(配列番号1の塩基2564〜塩基2761)には3F−4Sタイプのフェレドキシンに高い相同性を有するタンパク質をコードするORF(以下、psmBという)が存在した。psmBがコードするタンパク質は66個のアミノ酸からなり、ストレプトミセス・セリカラーA3(2)のチトクロムP450(CYP105D5)と推定されるアミノ酸配列のすぐ下流のフェレドキシンと推定されるアミノ酸配列に最も高い相同性を有し(83.3%)、さらにストレプトミセス・グリセウスのフェレドキシンsoy(soyB)にも比較的高い相同性を有した(相同性57.6%)。そのため、psmBは電子伝達を担い、psmAと共に水酸化を行うフェレドキシンをコードしていると考えられた。
[実施例2]psmAおよびpsmBをもつ形質転換体の作成
(1) A−1544株由来のpsmAおよびpsmBの両方を含有するDNA断片の調製
実施例1において解析した配列番号1の塩基配列を参考にして、5’末端にNdeIサイトを付加したプライマーDM−NdeF(配列番号8)および5’末端にSpeIサイトを付加したプライマーDM−SpeR(配列番号9)を設計し作成した。次に、この2種のプライマー(DM−NdeFおよびDM−SpeR)と実施例1(1)で得たA−1544株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(宝酒造社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、2分間行う2段階の反応を30回繰り返した。
この結果、psmAおよびpsmBを含む約1.5kbpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片−D1という)が増幅された。このPCR増幅反応液からDNA断片−D1をSUPREC PCR(宝酒造社)によって回収した。
(2) プラスミドpTC−DMの構築
pT7NS−CamAB(WO03/087381参照)をH緩衝液(50mM Tris−HCl,pH7.5,10mM MgCl,10mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中で制限酵素NdeIとSpeIにより消化してプラスミド消化物を得た。同様に前項(1)で得たDNA断片−D1を制限酵素NdeIとSpeIで消化し、得られたDNA断片−D1の消化物とプラスミド消化物とを、DNA Ligation Kit ver.2(宝酒造)を用いて連結した。これによって、psmAおよびpsmBの両方を内部に含有するDNA断片−D1と、プラスミドpT7NS−CamABとが連結された約9.5kbpのサイズのプラスミド(プラスミドpTC−DMと称する)が構築された。
(3) 大腸菌形質転換株BL21(DE3)/pTC−DMの調製
前項(2)で調製したプラスミドpTC−DMを用いて、大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換した。こうして、プラスミドpTC−DMで形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pTC−DM株を得た。
[実施例3]psmAおよびpsmBをもつ大腸菌形質転換体による下記式で表されるME−265のME−282への変換
Figure 0004441489
(1) 形質転換体反応液の調製
実施例2(3)で得た形質転換大腸菌BL21(DE3)/pTC−DM株およびBL21(DE3)/pT7NS−CamAB株の凍結種母をアンピシリン50μg/mLを含むL−Broth培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)3mLの入った15mL容の試験管に植菌し37℃で20時間振とう培養した。この種母培養液の500μLをアンピシリン50μg/mLを含むL−Broth培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)50mLの入った250mL容の三角フラスコに植菌し32℃で3時間振とう培養した後、100mM IPTG(isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)を50μL、80mg/mL5−アミノレブリン酸を50μL順次添加し、32℃で6時間振とう培養した。得られた培養液を遠心分離(5000rpm、10分間)し、菌体を集めた。これを100mMリン酸緩衝液(pH6.1)1.75mLに懸濁し、これに80%グリセロールを250μL、8mg/mL ME−265を50μL添加した。こうして得られた変換反応液を28℃、24時間反応させた。反応液200μLをアセトニトリル1mLで抽出し、HPLCでME−265およびME−282量を測定した。測定結果を表3に示す。
また、HPLCの詳しい条件を以下に示す。
分析装置:Shimadzu HPLC 10Avp
カラム:CAPCELL PAK C18 SG120(φ4.6mm×250mm)
移動相:45%アセトニトリル(0〜15分)
60%アセトニトリル(15〜30分)
45%アセトニトリル(30〜45分)
流速:1mL/分
検出:UV240nm
インジェクション容量:10μL
カラム温度:40℃
分析時間:45分
保持時間:ME−265 24.8分
ME−282 12.7分
Figure 0004441489
(2) 形質転換体反応液からのME−282の取得
24時間反応した反応液1.8mLに水4mLを加え、酢酸エチル8mLで1回、4mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせ、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を除去した。得られた残渣を薄層クロマトグラフィー(MERCK Silicagel 60 F254 0.25mm展開液;ヘキサン:酢酸エチル=1:2)により精製し、ME−282を0.2mg得た。
H−NMRスペクトル(CDOD,500MHz):δppm(積分,多重度,結合定数J(Hz)):0.87(3H,d,J=7.0Hz),0.90(3H,d,J=7.0Hz),0.94(3H,t,J=7.3Hz),0.97(3H,d,J=6.6Hz),1.21−1.26(1H,m),1.29−1.37(3H,m),1.34(3H,s),1.44−1.52(2H,m),1.60−1.64(1H,m),1.65(1H,dd,J=6.2,13.9Hz),1.77(3H,d,J=1.1Hz),1.86(1H,dd,J=5.4,13.9Hz),1.89−1.94(1H,m),2.00(3H,s),2.43(1H,dd,J=5.5,13.9Hz),2.50−2.60(1H,m),2.56(1H,dd,J=3.3,13.9Hz),2.66(1H,dd,J=2.2,7.7Hz),2.89(1H,dt,J=2.2,6.2Hz),3.52(1H,dt,J=4.8,8.4Hz),3.75−3.80(1H,m),4.90(1H,overlapped with DO),5.01(1H,d,J=10.6Hz),5.42(1H,dd,J=9.2,15.0Hz),6.13(1H,d,J=10.6Hz),6.52(1H,dd,J=11.0,15.0Hz)。
この結果、コントロールである大腸菌BL21(DE3)/pT7NS−CamAB株ではME−282とみられるピークは得られなかったのに対して、psmAおよびpsmBを含むBL21(DE3)/pTC−DM株では、ME−265をほとんど消費してME−282とみられるピークが得られた。このことより、psmAおよびpsmBがME−265からME−282への変換に関与していることを示唆している。
[実施例4]psmAおよびpsmBをもつ大腸菌形質転換体によるマクロライド系化合物11107Bのマクロライド系化合物11107Dへの変換
(1) 形質転換体反応液の調製
実施例3と同様にマクロライド系化合物11107Bを基質とした試験を行った。実施例2(3)で得た形質転換大腸菌BL21(DE3)/pTC−DM株、およびBL21(DE3)/pT7NS−CamAB株の凍結種母をアンピシリン50μg/mLを含むL−Broth培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)3mLの入った15mL容の試験管に植菌し30℃で20時間振とう培養した。この種母培養液の500μLをアンピシリン50μg/mLを含むL−Broth培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)50mLの入った250mL容の三角フラスコに植菌し28℃で5時間振とう培養した後、100mM IPTG(isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)を50μL、80mg/mL 5−アミノレブリン酸を50μL順次添加し、25℃で20時間振とう培養した。得られた培養液を遠心分離(5000rpm、10分間)し、菌体を集めた。これを100mMリン酸緩衝液(pH6.1)1.75mLに懸濁し、これに80%グリセロールを250μL、40mg/mL 11107Bを50μL添加した。こうして得られた変換反応液を28℃、24時間反応させた。反応液200μLをアセトニトリル1mLで抽出し、HPLCでマクロライド系化合物11107Bおよび11107Dの量を測定した。その測定結果を表4に示す。また、HPLCの詳しい条件を以下に示す。
分析装置:Shimadzu HPLC 10Avp
カラム:CAPCELL PAK C18 SG120(φ4.6mm×250mm)
移動相:35% アセトニトリル(0〜10分)
35%〜65% アセトニトリル(10〜12分)
65% アセトニトリル(12〜15分)
35%アセトニトリル(15〜20分)
流速:1mL/分
検出:UV240nm
インジェクション容量:10μL
カラム温度:40℃
分析時間:20分
保持時間:11107B 14.3分
11107D 7.9分
Figure 0004441489
(2) 形質転換体反応液からのマクロライド系化合物11107Dの取得
24時間反応した反応液1.8mLに水4mLを加え、酢酸エチル8mLで1回、4mLで2回抽出した。酢酸エチル層を合わせ、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶媒を除去した。得られた残渣を薄層クロマトグラフィー(MERCK Silicagel 60 F254 0.25mm展開液;酢酸エチル)により精製し、11107Dを0.1mg得た。
H−NMRスペクトル(CDOD,500MHz):δppm(積分,多重度,結合定数J(Hz)):0.87(3H,d,J=7.0Hz),0.88(3H,d,J=7.0Hz),0.93(3H,t,J=7.0Hz),1.18(3H,s),1.18−1.69(8H,m),1.33(3H,s),1.77(3H,d,J=1.1Hz),1.82−1.90(1H,m),2.05(3H,s),2.49−2.60(3H,m),2.66(1H,dd,J=2.2,8.2Hz),2.89(1H,dt,J=2.4,5.7Hz),3.52(1H,dt,J=4.8,8.3Hz),3.73−3.82(1H,m),5.04(1H,d,J=9.8Hz),5.05(1H,d,J=10.6Hz),5.56(1H,dd,J=9.8,15.2Hz),5.70(1H,dd,J=9.8,15.2Hz),5.86(1H,d,J=15.2Hz),6.3(1H,d,J=10.8Hz),6.52(1H,dd,J=10.8,15.2Hz)。
この結果、コントロールである大腸菌BL21(DE3)/pT7NS−CamAB株ではマクロライド系化合物11107Dとみられるピークは得られなかったのに対して、psmAおよびpsmBを含むBL21(DE3)/pTC−DM株では、マクロライド系化合物11107Dとみられるピークが得られた。このことより、psmAおよびpsmBがマクロライド系化合物11107Bから11107Dへの変換に関与していることを示唆している。
[実施例5]A−1544セルフクローニング株での変換試験
(1) A−1544株由来のpsmAおよびpsmBの両方を含有するDNA断片の調製(セルフクローニング用)
実施例1において解析した配列番号1の塩基配列を参考にして、5’末端にBglIIサイトを付加したプライマーDM−BglF(配列番号10)および5’末端にBglIIサイトを付加したプライマーDM−BglR(配列番号11)を設計し作成した。
次に、この2種のプライマー(DM−BglFおよびDM−BglR)と実施例1(1)で得たA−1544株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(宝酒造社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングを63℃、30秒間、伸長を68℃、4分間行う3段階の反応を30回繰り返した。
この結果、psmAおよびpsmBを含む約3.5kbpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片−E1という)が増幅された。このPCR増幅反応液を、アガロースゲル電気泳動にかけて分画した。上記の約3.5kbpの大きさのDNA断片−E1をアガロースゲルから切り出して、SUPREC 01(宝酒造社)によって回収した。
(2) プラスミドpIJDMGの構築
pIJ702をH緩衝液(50mM Tris−HCl,pH7.5,10mM MgCl,10mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中で制限酵素BglIIにより消化してプラスミド消化物を得た。同様に前項(1)で得たDNA断片−E1を制限酵素BglIIで消化し、得られたDNA断片−E1の消化物とプラスミド消化物とを、DNA Ligation Kit ver.2(宝酒造)を用いて連結した。これによって、psmAおよびpsmBの両方を内部に含有するDNA断片−E1と、プラスミドpIJ702とが連結された約8.5kbpのサイズのプラスミド(プラスミドpIJDMGと称する)が構築された。
(3)セルフクローニング株A−1544/pIJDMG株の調製
前項(2)で調製したプラスミドpIJDMGを用い、A−1544株を、Genetic Manipulation of Streptomyces:A Laboratory Manual.John Innes Foundation,Norwich,1985に記載された方法に従い形質転換した。こうして、プラスミドpIJDMGで形質転換されたA−1544/pIJDMG株を得た。
[実施例6]セルフクローニング株による11107Bから11107Dへの変換
実施例5(3)で得た形質転換体A−1544/pIJDMG株、A−1544/pIJ702株、および元のA−1544株の凍結種母を、チオストレプトン25μg/mLを含むSMN培地(スタビローズ2%、グルコース2%、エスサンミート2%、酵母エキス0.5%、NaCl 0.25%、CaCO3 0.32% pH7.4)50mLの入った250mL容の三角フラスコに植菌し28℃で48時間振とう培養した(種母培養、但し、A−1544株にはチオストレプトンを加えない)。得られた種母培養液の0.5mLをチオストレプトン25μg/mLを含むSMN培地50mLの入った250mL容の三角フラスコに植菌し28℃で72時間振とう培養した(但し、A−1544株にはチオストレプトンを加えない)。得られた培養液2mLを分注し、これに1Mリン酸緩衝液(pH6.5)を100μL、40mg/mL 11107Bを50μL添加した。こうして得られた変換培養液を28℃、12時間反応させた。反応液200μLをアセトニトリル1mLで抽出し、HPLCで11107Bおよび11107D量を測定した。測定結果を表5に示す。また、HPLCの詳しい条件を以下に示す。
分析装置:Shimadzu HPLC 10Avp
カラム:CAPCELL PAK C18 SG120(φ4.6mm×250mm)
移動相:35%アセトニトリル(0〜10分)
35%〜65%アセトニトリル(10〜12分)
65%アセトニトリル(12〜15分)
35%アセトニトリル(15〜20分)
流速:1mL/分
検出:UV240nm
インジェクション容量:10μL
カラム温度:40℃
分析時間:20分
保持時間:11107B 14.3分
11107D 7.9分
Figure 0004441489
この結果、psmAおよびpsmBを含むプラスミドが形質転換されたA−1544/pIJDMG株は、元のA−1544株に比べ、12時間の反応で約2.7倍の変換活性を示した。このことは、psmAおよびpsmBのセルフクローニングが、マクロライド系化合物11107Bから11107Dへの変換に貢献できることを示唆している。
[実施例7]ストレプトミセス・エスピーMer−11107株(FERM BP−7812)由来遺伝子の塩基配列の決定
(1) ストレプトミセス・エスピーMer−11107株染色体のDNAの調製
グルコース1%、麦芽エキス0.4%、酵母エキス1%からなる培地にMer−11107株を接種し、28℃、3日間培養した。得られた培養液を3000rpm、10分間遠心して菌体を集めた。その菌体からBlood & Cell Culture kit(QIAGEN社)を用いて染色体DNAを調製した。
(2) マクロライド系化合物11107の16位水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの部分的配列のクローニング
ストレプトミセス・セリカラーA3(2)のチトクロムP450(CYP105D5)と推定されるアミノ酸配列を参考にして、ミックス・プライマー(5Dm−3F(配列番号4)および5D−1R(配列番号12))を設計し作成した。
コドンの揺らぎを考慮して反応性を高めるために、混合塩基S(=C+G)、Y(=C+T)を使用した。
次に、この2種のプライマー(5Dm−3Fおよび5D−1R)と前項(1)で得たMer−11107株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(宝酒造社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングを50℃、2分間、伸長を68℃、30秒間行う3段階の反応を35回繰り返した。その結果、約300bpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片−A2という)が増幅された。このDNA断片−A2は水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの一部分である可能性が高い。PCR反応にて増幅したDNA断片−A2を、反応液からSUPREC PCR(宝酒造社)によって回収した。
次に得られたDNA断片−A2の塩基配列を解析するに足る量のDNA断片−A2を得るために、プラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)にDNA Ligation kit ver.2(宝酒造社)を用いてDNA断片−A2を連結し、大腸菌JM109株を形質転換した。その後、アンピシリン(50μg/mL)、X−gal(5−bromo−4−chloro−3−indolyl−β−D−galactoside;40μg/mL)、IPTG(isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside;100μM)を含むL−Broth寒天培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5% NaCl、1.5%寒天)を用いて、形質転換された大腸菌を選択した。こうして分離した形質転換大腸菌のコロニーをアンピシリン(50μg/mL)を含むL−Broth液体培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)で培養した。増殖した形質転換大腸菌の菌体からプラスミド精製キット(QIAfilter Plasmid Midi Kit,QIAGEN社)を用いてプラスミドDNAの分離精製を行い、一定量のDNA断片−A2を得た。
(3) クローニングされたDNA断片−A2の塩基配列の解析
前項(2)で得られたDNA断片−A2の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(PE Biosystems 377XL)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。塩基配列解析の結果、PCR反応で増幅されたDNA断片−A2は電気泳動で約300bpと測定されたが、塩基配列分析の結果、正確には325bpであることが明らかとなった(配列番号2の塩基837〜塩基1161参照)。クローニングされた前記の325bpのDNA配列の両端には前記のPCR反応の時に使用した2種類のプライマーに対応するDNA配列が見出されたので、前記のPCR反応ではDNA断片−A2がこの2種類のプライマー(5Dm−3Fおよび5D−1R)により特異的に増幅されたことが明らかとなった。
(4) DNA断片−A2の周辺領域の解析
前記のとおり、Mer−11107株由来の水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの部分的配列が決定されたのでインバースPCR法(細胞工学14巻、p.591−593,1995年)によって、クローニング断片の上流、下流域に広がる周辺領域の塩基配列を増幅、クローニング、配列解析した。すなわち、Mer−11107株染色体DNA((1)参照)を、K緩衝液(50mM Tris−HCl,pH8.5,10mM MgCl,1mMジチオスレイトール,100mM KCl)中で制限酵素BamHIで、H緩衝液(50mM Tris−HCl,pH7.5,10mM MgCl,1mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中で制限酵素SalIでそれぞれ消化した。得られた各制限酵素切断DNA断片をDNA Ligation Kit ver.2(宝酒造社)を用いて自己環状化させた。
他方、DNA断片−A2の塩基配列から、プライマー(7PIN−2F(配列番号13)および6PIN−2R(配列番号7))を設計し作成した。
次にこの2種のプライマー(7PIN−2Fおよび6PIN−2R)と前記の自己環状化させたMer−11107株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(宝酒造社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、5分間行う2段階の反応35回繰り返した。
この結果、約1.3kbpの大きさのDNA断片(DNA断片−B2)と約1.4kbpの大きさのDNA断片(DNA断片−C2)が増幅したが、これらは、水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAおよびその上流と下流領域を含むDNA配列を有するDNAである可能性が高い。
このPCR増幅反応液からDNA断片−B2およびDNA断片−C2をSUPREC PCR(宝酒造社)によって回収した。次に得られたDNA断片−B2およびDNA断片−C2について、塩基配列を解析するに足る量の各DNA断片を得るために、前記(2)と同様にプラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)、DNA Ligation kit ver.2(宝酒造社)、大腸菌JM109株およびプラスミド精製キット(QIAfilter Plasmid Midi Kit,QIAGEN社)を用いて、一定量の各DNA断片を得た。
(5) DNA断片−B2(約1.3kbpのサイズ)およびDNA断片−C2(約1.4kbpのサイズ)の塩基配列の解析
前項(4)で得られたDNA断片−B2およびDNA断片−C2の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(PE Biosystems 377XL)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。このように塩基配列の解析を行い、DNA断片−B2およびDNA断片−C2配列から、配列番号2に示された2329bpの塩基配列の情報を得た。
この2329bp中のオープン・リーディング・フレーム(ORF)を検索したところ、2種類のタンパク質がコードされていることが判明した。これらのタンパク質のアミノ酸配列をBLAST searchにて検索した結果、配列番号2の塩基420〜塩基1604にチトクロムP450と高い相同性を有する395個のアミノ酸からなるタンパク質をコードするORF(以下、bpmAという)が存在した。そしてbpmAは、A−1544株から単離したpsmAのアミノ酸配列に最も高い相同性を有し(相同性67.4%)、さらにストレプトミセス・グリセウスのチトクロムP450soy(SoyC)にも比較的高い相同性を有した(相同性64.8%)。このことからbpmAがチトクロムP450タイプの水酸化酵素をコードする可能性が高いと考えられた。
またbpmAのすぐ下流(配列番号2の塩基1643〜塩基1834)には3Fe−4Sタイプのフェレドキシンに高い相同性を有するタンパク質をコードするORF(以下、bpmBという)が存在した。bpmBがコードするタンパク質は64個のアミノ酸からなり、A−1544株から単離したpsmBのアミノ酸配列に最も高い相同性を有し(相同性81.0%)、さらにストレプトミセス・セリカラーA3(2)のチトクロムP450(CYP105D5)と推定されるアミノ酸配列のすぐ下流のフェレドキシンと推定されるアミノ酸配列にも比較的高い相同性を有した(76.2%)。そのため、bpmBは電子伝達を担い、bpmAと共に水酸化を行うものと考えられた。
[実施例8]bpmAおよびbpmBをもつ形質転換体の作成
(1) Mer−11107株由来のbpmAおよびbpmBの両方を含有するDNA断片の調製
実施例7において解析した配列番号2の塩基配列を参考にして、5’末端にNdeIサイトを付加したプライマー07−NdeF(配列番号14)および5’末端にSpeIサイトを付加したプライマー07−SpeR(配列番号15)を設計し作成した。次に、この2種のプライマー(07−NdeFおよび07−SpeR)と実施例7(1)で得たMer−11107株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(宝酒造社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、2分間行う2段階の反応を30回繰り返した。
この結果、bpmAおよびbpmBを含む約1.5kbpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片−D2という)が増幅された。このPCR増幅反応液からDNA断片−D2をSUPREC PCR(宝酒造社)によって回収した。
(2) プラスミドpTC−D07の構築
pT7NS−CamAB(WO03/087381参照)をH緩衝液(50mM Tris−HCl,pH7.5,10mM MgCl,1mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中で制限酵素NdeIとSpeIにより消化してプラスミド消化物を得た。同様に前項(1)で得たDNA断片−D2を制限酵素NdeIとSpeIで消化し、得られたDNA断片−D2の消化物とプラスミド消化物とを、DNA Ligation Kit ver.2(宝酒造)を用いて連結した。これによって、bpmAおよびbpmBの両方を内部に含有するDNA断片−D2と、プラスミドpT7NS−CamABとが連結された約9.5kbpのサイズのプラスミド(プラスミドpTC−D07と称する)が構築された。
(3) 大腸菌形質転換株BL21(DE3)/pTC−D07の調製
前項(2)で調製したプラスミドpTC−D07を用いて、大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換した。こうして、プラスミドpTC−D07で形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pTC−D07株を得た。
[実施例9]bpmAおよびbpmBをもつ大腸菌形質転換体によるマクロライド系化合物11107Bの11107Dへの変換
実施例8(3)で得た形質転換大腸菌BL21(DE3)/pTC−D07株およびBL21(DE3)/pT7NS−CamAB株の凍結種母をアンピシリン50μg/mLを含むL−Broth培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)3mLの入った15mL容の試験管に植菌し37℃で20時間振とう培養した。この種母培養液の500μLをアンピシリン50μg/mLを含むL−Broth培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)50mLの入った250mL容の三角フラスコに植菌し32℃で4時間振とう培養した後、100mM IPTG(isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)を50μL、80mg/mL 5−アミノレブリン酸を50μL順次添加し、32℃で5時間振とう培養した。得られた培養液を遠心分離(5000rpm、10分間)し、菌体を集めた。これを100mMリン酸緩衝液(pH6.1)1.75mLに懸濁し、これに80%グリセロールを250μL、40mg/mLマクロライド系化合物11107Bを12.5μL添加した。こうして得られた変換反応液を28℃、24時間反応させた。反応液400μLをメタノール600μLで抽出し、HPLCでマクロライド系化合物11107Bおよび11107Dの量を測定した。その測定結果を表6に示す。また、HPLCの詳しい条件を以下に示す。
分析装置:Shimadzu HPLC 10Avp
カラム:Develosil ODS UG−3(φ4.6mm×250mm 3μm)
移動相:45%〜55% メタノール(0〜5分)
55% メタノール(5〜13分)
55%〜70% メタノール(13〜17分)
70% メタノール(17〜21分)
45% メタノール(21〜25分)
流速:1.2mL/分
検出:UV240nm
インジェクション容量:5μL
カラム温度:40℃
分析時間:25分
保持時間:11107B 12.2分
11107D 4.2分
Figure 0004441489
この結果、コントロールである大腸菌BL21(DE3)/pT7NS−CamAB株ではマクロライド系化合物11107Dのピークは得られなかったのに対して、bpmAおよびbpmBを含むBL21(DE3)/pTC−D07株では、マクロライド系化合物11107Dのピークが得られた。このことより、bpmAおよびbpmBがマクロライド系化合物11107Bから11107Dへの変換に関与していることを示唆している。
[実施例10]A−1560株(FERM BP−10102)由来遺伝子の塩基配列の決定
(1) A−1560株染色体のDNAの調製
グルコース1%、麦芽エキス0.4%、酵母エキス1%からなる培地にA−1560株を接種し、28℃、3日間培養した。得られた培養液を3000rpm、10分間遠心して菌体を集めた。その菌体からBlood & Cell Culture kit(QIAGEN社)を用いて染色体DNAを調製した。
(2) マクロライド系化合物11107の16位水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの部分的配列のクローニング
ストレプトミセス・セリカラーA3(2)のチトクロムP450(CYP105D5)と推定されるアミノ酸配列を参考にして、ミックス・プライマー(5Dm−3F(配列番号4)および5Dm−2R(配列番号16))を設計し作成した。
コドンの揺らぎを考慮して反応性を高めるために、混合塩基S(=C+G)、Y(=C+T)を使用した。
次に、この2種のプライマー(5Dm−3Fおよび5Dm−2R)と前項(1)で得たA−1560株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(宝酒造社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングを50℃、2分間、伸長を68℃、30秒間行う3段階の反応を35回繰り返した。その結果、約750bpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片−A3という)が増幅された。このDNA断片−A3は水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAの一部分である可能性が高い。PCR反応にて増幅したDNA断片−A3を、反応液からSUPREC PCR(宝酒造社)によって回収した。
次に得られたDNA断片−A3の塩基配列を解析するに足る量のDNA断片−A3を得るために、プラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)にDNA Ligation kit ver.2(宝酒造社)を用いてDNA断片−A3を連結し、大腸菌JM109株(Stratagene社)を形質転換した。その後、アンピシリン(50μg/mL)、X−gal(5−bromo−4−chloro−3−indolyl−β−D−galactoside;40μg/mL)、IPTG(isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside;100μM)を含むL−Broth寒天培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、1.5%寒天)を用いて、形質転換された大腸菌を選択した。こうして分離した形質転換大腸菌のコロニーをアンピシリン(50μg/mL)を含むL−Broth液体培地(1%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)で培養した。増殖した形質転換大腸菌の菌体からプラスミド精製キット(QIAfilter Plasmid Midi Kit,QIAGEN社)を用いてプラスミドDNAの分離精製を行い、一定量のDNA断片−A3を得た。
(3) クローニングされたDNA断片−A3の塩基配列の解析
前項(2)で得られたDNA断片−A3の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(PE Biosystems 377XL)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。塩基配列解析の結果、PCR反応で増幅されたDNA断片−A3は電気泳動で約750bpと測定されたが、塩基配列分析の結果、正確には741bpであることが明らかとなった(配列番号3の塩基616〜塩基1356参照)。クローニングされた前記の741bpのDNA配列の両端には前記のPCR反応の時に使用した2種類のプライマーに対応するDNA配列が見出されたので、前記のPCR反応ではDNA断片−A3がこの2種類のプライマー(5Dm−3Fおよび5Dm−2R)により特異的に増幅されたことが明らかとなった。
(4) DNA断片−A3の周辺領域の解析
前記のとおり、A−1560株由来の水酸化活性を有するクンパク質をコードするDNAの部分的配列が決定されたのでインバースPCR法(細胞工学14巻、p.591−593,1995年)によって、クローニング断片の上流、下流域に広がる周辺領域の塩基配列を増幅、クローニング、配列解析した。すなわち、A−1560株染色体DNA((1)参照)を、K緩衝液(50mM Tris−HCl,pH8.5,10mM MgCl,1mMジチオスレイトール,100mM KCl)中において制限酵素BamHIで、L緩衝液(10mM Tris−HCl,pH7.5,10mM MgCl,1mMジチオスレイトール)中において制限酵素KpnIで、H緩衝液(50mM Tris−HCl,pH7.5,10mM MgCl,1mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中において制限酵素SalIでそれぞれ消化した。得られた各制限酵素切断DNA断片をDNA Ligation Kit ver.2(宝酒造社)を用いて自己環状化させた。
他方、DNA断片−A3の塩基配列から、プライマー(5PIN−2F(配列番号17)および6PIN−2R(配列番号7))を設計し作成した。
次にこの2種のプライマー(5PIN−2Fおよび6PIN−2R)と前記の自己環状化させたA−1560株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(宝酒造社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、5分間行う2段階の反応35回繰り返した。
この結果、約4.5kbpの大きさのDNA断片(DNA断片−B3)と約3.0kbpの大きさのDNA断片(DNA断片−C3と約1.7kbpの大きさのDNA断片(DNA断片−D3)が増幅したが、これらは、水酸化活性を有するタンパク質をコードするDNAおよびその上流と下流領域を含むDNA配列を有するDNAである可能性が高い。
このPCR増幅反応液からDNA断片−B3およびDNA断片−C3およびDNA断片−D3をSUPREC PCR(宝酒造社)によって回収した。次に得られたDNA断片−B3およびDNA断片−C3およびDNA断片−D3について、塩基配列を解析するに足る量の各DNA断片を得るために、前記(2)と同様にプラスミドベクターpT7Blue T(Novagen社)、DNA Ligation kit ver.2(宝酒造社)、大腸菌JM109株およびプラスミド精製キット(QIAfilter Plasmid Midi Kit,QIAGEN社)を用いて、一定量の各DNA断片を得た。
(5) DNA断片−B3(約4.5kbpのサイズ)、DNA断片−C3(約3.0kbpのサイズ)およびDNA断片−D3(約1.7kbpのサイズ)の塩基配列の解析
前項(4)で得られたDNA断片−B3、DNA断片−C3およびDNA断片−D3の塩基配列をDNA塩基配列解析装置(PE Biosystems 377XL)を用い、ダイターミネーター・サイクル・シークエンス法で解析した。このように塩基配列の解析を行い、DNA断片−B3、DNA断片−C3およびDNA断片−D3の配列の中から、配列番号3に示された1860bpの塩基配列の情報を得た。
この1860bp中のオープン・リーディング・フレーム(ORF)を検索したところ、2種類のタンパク質がコードされていることが判明した。これらのタンパク質のアミノ酸配列をBLAST searchにて検索した結果、配列番号3の塩基172〜塩基1383にチトクロムP450と高い相同性を有する404個のアミノ酸からなるタンパク質をコードするORF(以下、tpmAという)が存在した。そしてtpmAは、ストレプトミセス・セリカラーA3(2)のチトクロムP450(CYP105D5)と推定されるアミノ酸配列に最も高い相同性を有し(相同性77.4%)、A−1544株から単離したpsmAのアミノ酸配列にも高い相同性を有した(相同性76.6%)。このことからtpmAはチトクロムP450タイプの水酸化酵素をコードする遺伝子である可能性が高いと考えられた。
またtpmAのすぐ下流(配列番号3の塩基1399〜塩基1593)には3Fe−4Sタイプのフェレドキシンに高い相同性を有するタンパク質をコードするORF(以下、tpmBという)が存在した。tpmBがコードするタンパク質は65個のアミノ酸からなり、A−1544株から単離したpsmBのアミノ酸配列に最も高い相同性を有し(相同性81.0%)、ストレプトミセス・セリカラーA3(2)のチトクロムP450(CYP105D5)と推定されるアミノ酸配列のすぐ下流のフェレドキシンと推定されるアミノ酸配列にも高い相同性を有した(82.5%)。そのため、tpmBは電子伝達を担い、tpmAと共に水酸化を行うフェレドキシンをコードしていると考えられた。
[実施例11]tpmAおよびtpmBをもつ形質転換体の作成
(1) A−1560株由来のtpmAおよびtpmBの両方を含有するDNA断片の調製
実施例10において解析した配列番号3の塩基配列を参考にして、5’末端にNdeIサイトを付加したプライマーtpm−NdeF(配列番号18)および5’末端にSpeIサイトを付加したプライマーtpm−SpeR(配列番号19)を設計し作成した。次に、この2種のプライマー(tpm−NdeFおよびtpm−SpeR)と実施例10(1)で得たA−1560株染色体DNAをテンプレートとして用いてPCR反応を行った。PCR反応は、Takara LA Taq(宝酒造社)とPCR増幅装置(Biometra社 T Gradient)を用い、変性を98℃、20秒間、アニーリングと伸長を68℃、2分間行う2段階の反応を30回繰り返した。
この結果、tpmAおよびtpmBを含む約1.5kbpの大きさのDNA断片(以下、DNA断片−E3という)が増幅された。このPCR増幅反応液からDNA断片−E3をSUPREC PCR(宝酒造社)によって回収した。
(2) プラスミドpTC−tpmABの構築
pT7NS−CamAB(WO03/087381参照)をH緩衝液(50mM Tris−HCl,pH7.5,10mM MgCl,1mMジチオスレイトール,100mM NaCl)中で制限酵素NdeIとSpeIにより消化してプラスミド消化物を得た。同様に前項(1)で得たDNA断片−E3を制限酵素NdeIとSpeIで消化し、得られたDNA断片−E3の消化物とプラスミド消化物とを、DNA Ligation Kit ver.2(宝酒造)を用いて連結した。これによって、tpmAおよびtpmBの両方を内部に含有するDNA断片−E3と、プラスミドpT7NS−CamABとが連結された約9.5kbpのサイズのプラスミド(プラスミドpTC−tpmABと称する)が構築された。
(3) 大腸菌形質転換株BL21(DE3)/pTC−tpmABの調製
実施例11(2)で調製したプラスミドpTC−tpmABを用いて、大腸菌BL21(DE3)コンピテントセル(Novagen社)を形質転換した。こうして、プラスミドpTC−tpmABで形質転換された大腸菌BL21(DE3)/pTC−tpmAB株を得た。
[実施例12]tpmAおよびtpmBをもつ大腸菌形質転換体による11107Bの11107Dへの変換
前項(3)で得た形質転換大腸菌BL21(DE3)/pTC−tpmAB株、およびBL21(DE3)/pT7NS−CamAB株の凍結種母をアンピシリン50μg/mLを含むL−Broth培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)3mLの入った15mL容の試験管に植菌し37℃で20時間振とう培養した。この種母培養液の500μLをアンピシリン50μg/mLを含むL−Broth培地(1.0%バクトトリプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl)50mLの入った250mL容の三角フラスコに植菌し32℃で4時間振とう培養した後、100mM IPTG(isopropyl−β−D−thiogalactopyranoside)を50μL、80mg/mL 5−アミノレブリン酸を50μL順次添加し、32℃で5時間振とう培養した。得られた培養液を遠心分離(5000rpm、10分間)し、菌体を集めた。これを100mMリン酸緩衝液(pH6.1)1.75mLに懸濁し、これに80%グリセロールを250μL、40mg/mL 11107Bを12.5μL添加した。こうして得られた変換反応液を28℃、24時間反応させた。反応液400μLをメタノール600μLで抽出し、HPLCで11107Bおよび11107Dの量を測定した。その測定結果を表7に示す。また、HPLCの詳しい条件を以下に示す。
分析装置:Shimadzu HPLC 10Avp
カラム:Develosil ODS UG−3(φ4.6mmx250mm 3μm)
移動相:45%〜55%メタノール(0〜5分)
55% メタノール(5〜13分)
55%〜70% メタノール(13〜17分)
70% メタノール(17〜21分)
45% メタノール(21〜25分)
流速:1.2mL/分
検出:UV240nm
インジェクション容量:5μL
カラム温度:40℃
分析時間:25分
保持時間:11107B 12.2分
11107D 4.2分
Figure 0004441489
この結果、コントロールである大腸菌BL21(DE3)/pT7NS−CamAB株では11107Dのピークは得られなかったのに対して、tpmAおよびtpmBを含むBL21(DE3)/pTC−tpmAB株では、11107Dのピークが得られた。このことより、tpmAおよびtpmBが11107Bから11107Dへの変換に関与していることを示唆している。
[実施例13]セルフクローニング株による下記式で表わされる11107Hの11107CBへの変換
Figure 0004441489
(1)形質転換体反応液の調製
スタビローズ2.0%、グルコース2.0%、大豆粉(豊年ソイプロ)2.0%、酵母エキス0.5%、CaCO 0.32%からなるpH7.4の培地を調製し、250mLの三角フラスコに25mLの培地を入れ、121℃で20分間加熱滅菌した。この培地にチオストレプトンを終濃度25mg/Lになるように添加した後、A−1544/pIJDMG株を凍結種母より1%接種し28℃、220rpmで3日間、種母培養を行った。この種母培養液を同様の組成の培地に1%添加し、28℃、220rpmで2日間、本培養を行った。本培養終了後、培養液から菌体を遠心分離で集菌し、pH6.5のリン酸緩衝液20mLに懸濁した。この菌体懸濁液に基質11107H(100g/L DMSO溶液)を終濃度2000mg/Lになるように添加し28℃、220rpmで16時間変換反応を行った。
(2)形質転換体反応液からのマクロライド系化合物11107CBの取得
同様の操作を行った変換反応液(フラスコ6本分)から遠心分離により菌体を分離し、遠心上清を等量の酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を濃縮後、薄層クロマトグラフィー(MERCK Silicagel 60 F254’ 0.5mm 展開液;トルエン:アセトン=1:1)により精製し、11107CEを119.5mg得た。
ESI−MS m/z 573(M+Na)
H−NMRスペクトル(CDOD,500MHz):δppm(積分,多重度,結合定数J(Hz)):0.81(3H,d,J=6.7Hz),0.89(3H,d,J=7.0),0.94(3H,t,J=7.4Hz),1.25(3H,s),1.30−1.20(1H,m),1.33(3H,s),1.55−1.40(2H,m),1.65(1H,dd,J=6.3,14.0Hz),1.75(3H,s),1.88(1H,dd,J=5.4,14.0Hz),2.07(3H,s),2.68−2.40(4H,m),2.89(1H,m),3.51(1H,m),4.51(1H,m),4.97(1H,d,J=8.6Hz),4.99(1H,d,J=9.3Hz),5.30(1H,dd,J=9.7,15.2Hz),5.52(1H,dd,J=9.4,15.2Hz),5.58(1H,dd,J=1.9,15.5Hz),5.78(1H,dd,J=2.8,15.5Hz),5.85(1H,d,J=15.3Hz),6.07(1H,d,J=11.0Hz),6.51(1H,dd,J=11.0,15.3Hz)
[実施例14]セルフクローニング株による下記式で表わされる11107Lの11107CGへの変換
Figure 0004441489
(1)形質転換体反応液の調製
スタビローズ2.0%、グルコース2.0%、大豆粉(豊年ソイプロ)2.0%、酵母エキス0.5%、CaCO3 0.32%からなるpH7.4の培地を調製し、250mLの三角フラスコに25mLの培地を入れ、121℃で20分間加熱滅菌した。この培地にチオストレプトンを終濃度25mg/Lになるように添加した後、A−1544/pIJDMG株を凍結種母より1%接種し28℃、220rpmで3日間、種母培養を行った。この種母培養液を同様の組成の培地に1%添加し、28℃、220rpmで2日間、本培養を行った。本培養終了後、培養液から菌体を遠心分離で集菌し、pH6.5のリン酸緩衝液20mLに懸濁した。この菌体懸濁液に基質11107L(100g/L DMSO溶液)を終濃度1600mg/Lになるように添加し28℃、220rpmで16時間変換反応を行った。
(2)形質転換体反応液からのマクロライド系化合物11107CGの取得
この変換反応液から遠心分離により菌体を分離し、遠心上清を等量の酢酸エチルで2回抽出した。抽出液を濃縮後、薄層クロマトグラフィー(MERCK Silicagel 60 F254’ 0.25mm 展開液;トルエン:アセトン=1:1)により精製し、11107CGを25mg得た。
ESI−MS m/z 633(M+Na)
H−NMRスペクトル(CDOD,500MHz):δppm(積分,多重度,結合定数J(Hz)):0.88(3H,d,J=6.7Hz),0.90(3H,d,J=7.0Hz),0.94(3H,d,J=7.4Hz),1.18(3H,s),1.30−1.20(1H,m),1.34,(3H,s),1.56−1.40(2H,m),1.66(1H,dd,J=6.2,14.0Hz),1.79−.169(2H,m),1.81(3H,d,J=1.0Hz),1.86(1H,dd,J=5.4,14.0Hz),2.05(3H,s),2.08(3H,s),2.52(1H,dd,J=4.2,15.2Hz),2.64−2.55(1H,m),2.67(1H,dd,J=2.2,7.9Hz),2.78(1H,dd,J=3.0,15.2Hz),2.90(1H,dt,J=2.2,5.6Hz),3.52(1H,dt,J=4.4,8.8Hz),3.75(1H,m),4.98(1H,dd,J=2.8,11.3Hz),5.08(1H,d,J=9.7Hz),5.13(1H,d,J=9.6Hz),5.61(1H,dd,J=9.9,15.2Hz),5.75(1H,dd,J=9.7,15.2Hz),5.88(1H,d,J=15.3Hz),6.13(1H,d,J=11.0Hz),6.54(1H,dd,J=11.0,15.3Hz)
本発明のDNAを担持するプラスミドで形質転換した形質転換体を用いることにより、優れた抗腫瘍活性を有し、水溶液中での安定性にも優れた16位に水酸基を有する12員環マクロライド化合物を効率よく生産することができる。

Claims (16)

  1. 式(I)
    Figure 0004441489
    で示されるマクロライド系化合物(以下マクロライド系化合物11107Bという)の、
    式(II)
    Figure 0004441489
    で示される16位水酸化マクロライド系化合物への生物学的変換に関与するDNAであって、16位水酸化酵素活性を有するタンパク質を一部にもしくは全体としてコードするDNAまたはその改変体であり、下記の(a)、(b)または(c)で示されるDNAを含んでなる単離された純粋なDNA。
    (a) マクロライド系化合物11107Bの16位水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAであって、配列番号1の塩基1322から塩基2548までの連続した塩基配列、配列番号2の塩基420から塩基1604までの連続した塩基配列および配列番号3の塩基172から塩基1383までの連続した塩基配列からなる群より選択されるDNA。
    (b) 前記(a)で示されるDNAの改変体であって、
    (i) 前記(a)で示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、
    (ii) マクロライド系化合物11107Bの16位水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNA。
    (c) 遺伝子コドンの縮重のため、前記(a)に示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないが、前記(a)または(b)で示されるDNAによりコードされるタンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
  2. 前記(a)で示されるDNAの塩基配列と90%以上の相同性を有する請求項1記載のDNA。
  3. 請求項記載のDNAによりコードされるタンパク質。
  4. 請求項記載のDNAを担持する自立複製性または組み込み複製性の組み換えプラスミド。
  5. 請求項4記載の組み換えプラスミドで形質転換した形質転換体。
  6. 請求項に記載されたDNAまたはその一部からなるDNAをプローブまたはプライマーとして用いることを特徴とする、マクロライド系化合物11107Bの16位水酸化酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAの単離方法。
  7. 式(I)
    Figure 0004441489
    で示されるマクロライド系化合物(以下マクロライド系化合物11107Bという)の、
    式(II)
    Figure 0004441489
    で示される16位水酸化マクロライド系化合物への生物学的変換に関与するDNAであって、フェレドキシンを一部にもしくは全体としてコードするDNAまたはその改変体であり、下記の(d)、(e)または(f)で示されるDNAを含んでなる単離された純粋なDNA。
    (d) フェレドキシンをコードするDNAであって、配列番号1の塩基2564から塩基2761までの連続した塩基配列、配列番号2の塩基1643から塩基1834までの連続した塩基配列および配列番号3の塩基1399から塩基1593までの連続した塩基配列からなる群より選択されるDNA。
    (e) 前記(d)で示されるDNAの改変体であって、
    (i) 前記(d)で示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、
    (ii) フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNA。
    (f) 遺伝子コドンの縮重のため、前記(d)に示されるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズしないが、前記(d)または(e)で示されるDNAによりコードされるタンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNA。
  8. 前記(d)で示されるDNAの塩基配列と90%以上の相同性を有する請求項7記載のDNA。
  9. 請求項7記載のDNAによりコードされるタンパク質。
  10. 請求項7記載のDNAを担持する自立複製性または組み込み複製性の組み換えプラスミド。
  11. 請求項10記載の組み換えプラスミドで形質転換した形質転換体。
  12. 請求項7に記載されたDNAもしくはその一部からなるDNAをプローブまたはプライマーとして用いることを特徴とする、フェレドキシン機能を有するタンパク質をコードするDNAの単離方法。
  13. 請求項5または請求項11記載の形質転換体を培地で培養し、培養中又は培養後に、増殖した形質転換体と、式(III)
    Figure 0004441489
    〔式中、
    Figure 0004441489
    12 、R 16b 、R 17a 、R 17b 、R 18 、R 20a 、R 20b 、R 21a およびR 21b は同一または異なって、
    (1)水素原子、
    (2)置換基を有していても良いC 1-22 アルキル基、
    (3)−OR(式中、Rは
    1)水素原子、
    置換基を有していても良い、
    2)C 1-22 アルキル基、
    3)C 7-22 アラルキル基、
    4)5員環ないし14員環ヘテロアリールオキシアルキル基、
    5)C 2-22 アルカノイル基、
    6)C 7-15 アロイル基、
    7)C 3-23 不飽和アルカノイル基、
    8)−COR co (式中、R co は置換基を有していても良い、
    8-1)5員環ないし14員環ヘテロアリール基、
    8-2)C 1-22 アルコキシ基、
    8-3)不飽和C 2-22 アルコキシ基、
    8-4)C 6-14 アリールオキシ基、
    8-5)5員環ないし14員環ヘテロアリールオキシ基、
    もしくは
    8-6)3員環ないし14員環含窒素非芳香族複素環を表す)、
    9)C 1-22 アルキルスルホニル基、
    10)C 6-14 アリールスルホニル基
    または
    11)−SiR s1 s2 s3 (式中、R s1 、R s2 およびR s3 は同一または異なって、C 1-6 アルキル基またはC 6-14 アリール基を表す)を表す)、
    (4)ハロゲン原子
    または
    (5)−R M −NR N1 N2
    {式中、R M は単結合または−O−CO−を表す;
    N1 およびR N2
    1)同一または異なって、
    1-1)水素原子もしくは
    1-2)置換基を有していても良い、
    (i) C 1-22 アルキル基、
    (ii) 不飽和C 2-22 アルキル基、
    (iii) C 2-22 アルカノイル基
    (iv) C 7-15 アロイル基、
    (v) 不飽和C 3-23 アルカノイル基、
    (vi) C 6-14 アリール基、
    (vii) 5員環ないし14員環ヘテロアリール基、
    (viii) C 7-22 アラルキル基、
    (ix) C 1-22 アルキルスルホニル基もしくは
    (x) C 6-14 アリールスルホニル基を表すか、
    または
    2)R N1 およびR N2 は結合する窒素原子と一緒になって置換基を有していても良い3員環ないし14員環含窒素非芳香族複素環を形成する}を表す;
    ただし、
    21a およびR 21b は一緒になって、(i)ケトン構造(=O)または(ii)オキシム構造{=NOR ox (式中、R ox は置換基を有していても良い、C 1-22 アルキル基、不飽和C 2-22 アルキル基、C 6-14 アリール基、5員環ないし14員環ヘテロアリール基またはC 7-22 アラルキル基を表す)}を形成しても良い;
    16a は水素原子を表す;
    21c
    (1)水素原子または
    (2)
    Figure 0004441489
    (式中、R 22a 、R 22b およびR 22c は同一または異なって、
    1)水素原子、
    2)C 1-6 アルキル基、
    3)−OR(式中、Rは前記の意味を有する)、
    4)−R M −NR N1 N2 (式中、R M 、R N1 およびR N2 は前記の意味を有する)または
    5)ハロゲン原子
    を表す;
    あるいは、
    21a およびR 21b のどちらか一方とR 22a およびR 22b のどちらか一方とが一緒になって部分構造
    Figure 0004441489
    を形成しても良い;
    m
    (1)式(GM-I)で示される基
    Figure 0004441489
    {式中、
    2 およびR 10 は同一または異なって、水素原子またはC 1-22 アルキル基を表す;
    3a 、R 3b 、R 5a 、R 5b 、R 6a およびR 6b は同一または異なって、
    1)水素原子、
    2)ヒドロキシ基、
    3)置換基を有していても良い、
    3-1)C 1-22 アルキル基、
    3-2)C 1-22 アルコキシ基、
    3-3)C 6-14 アリールオキシ基
    3-4)5員環ないし14員環ヘテロアリールオキシ基、
    3-5)C 2-22 アルカノイルオキシ基、
    3-6)C 7-15 アロイルオキシ基
    3-7)C 3-23 不飽和アルカノイルオキシ基、
    3-8)−OCOR co (式中、R co は前記の意味を有する)、
    3-9)C 1-22 アルキルスルホニルオキシ基、
    3-10)C 6-14 アリールスルホニルオキシ基
    もしくは
    3-11)−OSiR s1 s2 s3 (式中、R s1 、R s2 およびR s3 は前記の意味を有する)、
    4)ハロゲン原子
    または
    5)−R M −NR N1 N2 (式中、R M 、R N1 およびR N2 は前記の意味を有する)を表す;
    あるいは、
    5a およびR 5b は一緒になってケトン構造(=O)を形成しても良い;
    あるいは、
    6a およびR 6b は一緒になって、スピロオキシラニル基またはエキソメチレン基を形成しても良い;あるいは、
    7a およびR 7b は同一または異なって、水素原子または−OR H (式中、R H は水素原子、C 1-22 アルキル基またはC 2-22 アルカノイル基を表す)を表す}、
    (2)式(GM-II)で示される基
    Figure 0004441489
    (式中、R 2 、R 3a 、R 3b 、R 6a 、R 6b 、R 7a 、R 7b およびR 10 は式(GM-I)の定義と同義である)、
    (3)式(GM-III)で示される基
    Figure 0004441489
    (式中、R 2 、R 5a 、R 5b 、R 6a 、R 6b 、R 7a 、R 7b およびR 10 は式(GM-I)の定義と同義である)、
    (4)式(GM-IV)で示される基
    Figure 0004441489
    (式中、R 2 、R 6a 、R 7a 、R 7b およびR 10 は式(GM-I)の定義と同義である)
    または
    (5)式(GM-V)で示される基
    Figure 0004441489
    (式中、R 2 、R 3a 、R 6a 、R 6b およびR 10 は式(GM-I)の定義と同義である)を表す〕
    で示されるマクロライド系化合物とを接触させ、式(IV)
    Figure 0004441489
    (式中、W、R 12 、R 16b 、R 17a 、R 17b 、R 20a 、R 20b 、R 21a 、R 21b 、R 21c およびG m は式(III)の定義と同義を表す)
    で示される16位水酸化マクロライド系化合物に変換し、こうして変換された16位水酸化マクロライド系化合物を採取することを特徴とする16位水酸化マクロライド系化合物の生産方法。
  14. 形質転換体が、請求項5記載の形質転換体であり、かつ請求項7記載のフェレドキシンをコードするDNAを有する形質転換体である請求項13記載の生産方法。
  15. 式(III-a)
    Figure 0004441489
    (式中、
    Figure 0004441489
    5' は水素原子またはアセトキシ基、R 6' は水素原子またはヒドロキシ基、R 7' は水素原子またはアセチル基を表す)で示される化合物を、式(IV-a)
    Figure 0004441489
    (式中、
    Figure 0004441489
    W’、R 5' 、R 6' およびR 7' は式(III-a)の定義と同義である)で示される化合物に変換することを特徴とする請求項12記載の生産方法。
  16. 式(III-a)の化合物の、式(IV-a)の化合物への変換において、
    (1)
    Figure 0004441489
    5' 、R 6' およびR 7' が水素原子である化合物、
    (2)
    Figure 0004441489
    5' およびR 6' が水素原子、R 7' がアセチル基である化合物、
    (3)
    Figure 0004441489
    5' およびR 7' が水素原子、R 6' がヒドロキシ基である化合物、
    (4)
    Figure 0004441489
    5' が水素原子、R 6' がヒドロキシ基、R 7' がアセチル基である化合物、
    (5)
    Figure 0004441489
    W’が二重結合、R 5' 、R 6' およびR 7' が水素原子である化合物、
    (6)
    Figure 0004441489
    W’が二重結合、R 5' およびR 6' が水素原子、R 7' がアセチル基である化合物、
    (7)
    Figure 0004441489
    W’が二重結合、R 5' およびR 7' が水素原子、R 6' がヒドロキシ基である化合物、
    (8)
    Figure 0004441489
    W’が二重結合、R 5' が水素原子、R 6' がヒドロキシ基、R 7' がアセチル基である化合物、
    (9)
    Figure 0004441489
    5' およびR 7' が水素原子、R 6' がヒドロキシ基である化合物、
    (10)
    Figure 0004441489
    5' が水素原子、R 6' がヒドロキシ基、R 7' がアセチル基である化合物、
    (11)
    Figure 0004441489
    5' がアセトキシ基、R 6' がヒドロキシ基、R 7' が水素原子である化合物および
    (12)
    Figure 0004441489
    5' がアセトキシ基、R 6' がヒドロキシ基、R 7' がアセチル基である化合物
    からなる群から選択される化合物を対象とする請求項15記載の生産方法。
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