JP4441196B2 - 切板の矯正方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繰り返し曲げを与え、自動的に平坦な切板に矯正を行う切板の矯正において、ロール位置調整を最適化する切板の矯正方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の切板の矯正方法はロールを千鳥配置し、繰り返し曲げを与え板形状矯正を行っていたが、ロール設定値は素材強度(降伏応力)を事前に決めて、切板を通板して矯正を行うことが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
材料強度を元にロール設定表から、ローラー設定を行う場合には、実際の降伏強さが、設定値と異なる場合には平坦な形状を得ることが難しく、何度も板を通板することが必要となり、操業性が著しく低下する。実際、この方法は切板の材料成分、温度履歴により材料の応力−歪関係は変化するため、材料の降伏応力にばらつきが生ずる。そのため、事前に引張り試験片を切りだし、それに基づいてロール設定を行わない限り、板形状の反りを押さえ安定した操業を行うことができなかった。
【0004】
本発明は、ロールを千鳥配置し、切板の形状を修正する方法及び装置において、板の平坦度を向上させ、かつ、生産性の向上を可能にする切り板の矯正装置および方法を供給することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨とするところは
(1)千鳥配置したロール間を通過させて切板の形状を矯正する方法において、最初の通板時の単独のロールの矯正荷重を測定し、前記矯正荷重、ロール間距離、板幅、板厚から材料の降伏強さを予測し、材料の降伏強さの設定値と前記予測値の差に基づいて、ロール押し込み量をロール毎に修正し、1パスで矯正することを特徴とする切板の矯正方法、
(2)ロールを千鳥配置し、切板の形状を修正する装置において、最初の通板時の単独の矯正荷重を測定する荷重測定手段と、前記矯正荷重、ロール間距離、板幅、板厚から材料の降伏強さを予測する予測手段と、材料の降伏強さの設定値と前記予測値の差に基づいてロールの押し込み量をロール毎に修正する修正手段を有することを特徴とする切板の矯正装置、にある。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明を詳細に説明する。
図1に本発明の実施例を示す。1は切板、4は該切板1を通すため千鳥状に配置されたロールであり、各ロールの荷重を検出するため設置されたロール反力測定装置2、ロール位置を修正する装置3により切板の矯正を行う。検出反力はロール単独でもよく、また、構造上バックアップロ−ルが有る場合には総荷重としても良く、上面板あるいは下面板に作用する荷重を測定してもよい。
【0007】
全ロール反力Psum[N]は、ロール間距離L0[mm]、各モーメントMi[N・m]、荷重Pi[N]とすると(1)式で表わされる(i=1〜nの整数、nはロール数であり、図1の場合n=11)。
【数1】
Figure 0004441196
i=(Mi-1−2Mi+Mi+1) (2)
簡易化のため、M1=Mn=0として
板表面が降伏するときの曲げモーメントMe[N・m]は(3)式で表せる。
e=Yt2w/6 (3)
ここで、wは板幅[mm]、Yは材料の変形抵抗(強度)Y=ασY、α=1.1〜1.15、σYは材料の降伏強さ[MPa]を示す。
加工硬化の影響はこの項に含める。
【0008】
塑性域および弾性の判定は(4)式により行う。
即ち、板外表面が降伏する曲率ke[mm-1]は(4)式で表せる。
e=2σY/tE (4)
ここで、σは材料の降伏強さ[SI単位]、tは板厚[mm]、Eはヤング率[MPa]を示す。
【0009】
各曲率をki[mm-1]とすれば、各モーメントMi[N・m]はkeが1より小さい場合はki<keであれば
弾性範囲で
i=kie (5)
となり、塑性域ki>keでは、加工硬化が小さければ
i=(1.5−0.5/ki 2)Me (6)
となる。
【0010】
また、板の各曲率ki[mm-1]は簡易的にロール位置から決定される。曲率は板形状のxでの2階微分と深く関係する量であるので、ロール間隔は
i=xi−xi-1 (7)
iは板の通る位置とすると、曲率と座標点の関係から以下の(8)式で表される。
i/6ki-1+(Li+Li+1)/3ki+Li+1/6ki+1=(yi+1− yi)/Li+1−(yi−yi-1)/Li (8)
入り側出側の曲率は0としてk0=0、kn=0となる。
【0011】
これらより計算される曲率を用いて、(1)(2)式のごとくロール間隔Liが既知であるので、支点からの腕の長さで割ることでモーメントから荷重が計算される最大の曲げ曲率k/ke=4、すなわち板外表面が降伏する曲率の4倍の曲げ曲率とした場合のロール設定、荷重算出例を表1、2に示す。また、荷重算出には有限要素法を用いることにより修正精度を上げることができる。
任意のロール反力から材料強度算出は可能である。実際には入側・出側のサポートロールの影響を考慮することにより、精度を上げることができる。
【0012】
本発明者は種々の検討を行ない板材が矯正されているときの荷重を計測し、板材の寸法(板厚、板幅)を正確に測定し、未知な材料の降伏強さ(変形抵抗)を算出することにより(実測を添え字m、設定をsとすれば、ほぼ強度と荷重は比例するので、σy/σs≒Pm/Psであるので、σy=Pm/Ps×σs)、ローラー位置を材料強度σyに適した位置に再配置することにより、板反り形状を改善することを可能にした。
【0013】
本発明は、ロール位置が設定できる機能と矯正中の荷重検出機能を有するものとすれば、1枚ごとの材料強度によるロール設定値の違いの修正を行うことができ、反りのほとんどない矯正が可能となる。そのため、本発明では、再矯正の必要がなく、矯正工程の生産性向上が可能となる。
【0014】
【実施例】
ロール間隔L0=190mm、ロ−ル径Dr=360mm、板厚t=25mm、板幅w=1000mm、降伏強さσy=400MPaの鋼材を用いて、9段のロールを用いて矯正を行った。鋼材の最大のk/ke=4とした。
設定どおりの材料を通板した場合、すなわち、400MPaの材料ではほぼ平坦な板が得られるが、強度が20MPa高い場合には下反り、また低い場合は上反りを示す。これは材料強度により反りが変化することを意味する。ただし、1mスパンの中央部の隙間量を測定し、1m当たりの反りとしている。
荷重を測定し、反り量を測定してみると、表1のようになる。基準±4%の強度変化が荷重測定に反映されていることがわかる。
これらからロール位置の補正を行い、強度が低い場合は押し込みを緩め、高い場合は押し込みを強めることによる各ロール位置条件を表2のように補正した。
【0015】
標準設定値で材料強度が等しい場合は表1の606トンと計測されるが、631トンと計測された場合には実測を添え字m、設定をsとすれば、ほぼ強度と荷重は比例するので、σm/σs≒Pm/Psであるので、σm=1.04×400=416として、再設定値としてσy=σmから板形状が平坦となる位置に設定する。表2の416MPaの材料強度(実材料強度は420MPaであるので1%未満の誤差が生じている。)での設定を行ない、反りは0.2mmと改善する。
この場合は傾斜、全体押し込みを変えて補正した場合であるが、傾斜単独、あるいは全体押し込み、個別ローラー位置の調整での制御も可能である。
【0016】
設定値と強度差が有る材料の場合でも本発明により、従来に比べ表3のごとくほぼ1m当たり0.2mm以内となり板を平坦にさせることができた。
板厚、板幅も正確に測定した値を用いることが必要である。
本発明により、安定した板形状を得ることが可能である。
【0017】
【表1】
Figure 0004441196
【0018】
【表2】
Figure 0004441196
【0019】
【表3】
Figure 0004441196
【0020】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明は平坦度を向上させ、かつ、生産性の向上を可能にする切り板の矯正装置および方法を供給するものとして、工業上有益な効果をもたらし得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明例の装置の説明図である。
【符号の説明】
1 ロール
2 ロール位置修正装置
3 反力測定装置
4 ロール

Claims (2)

  1. 千鳥配置したロール間を通過させて切板の形状を矯正する方法において、最初の通板時の単独のロールの矯正荷重を測定し、前記矯正荷重、ロール間距離、板幅、板厚から材料の降伏強さを予測し、材料の降伏強さの設定値と前記予測値の差に基づいて、ロール押し込み量をロール毎に修正し、1パスで矯正することを特徴とする切板の矯正方法。
  2. ロールを千鳥配置し、切板の形状を修正する装置において、最初の通板時の単独のロールの矯正荷重を測定する荷重測定手段と、前記矯正荷重、ロール間距離、板幅、板厚から材料の降伏強さを予測する予測手段と、材料の降伏強さの設定値と前記予測値の差に基づいてロールの押し込み量をロール毎に修正する修正手段を有することを特徴とする切板の矯正装置。
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