JP4441065B2 - 受話装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は受話装置に関し、例えばインターネット電話システム等に適用可能な受話装置におけるセキュリティ技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
インターネット電話システムでは、例えばパーソナルコンピュータ等を用いて構成された送話装置及び受話装置が用いられる。そして、送話装置で送話音声がパケット化され、それがインターネットを介して受話装置に送信される。受話装置では受信したパケットを開梱し、送話音声を再生する。かかるインターネット電話システムによれば、通信コストの安いインターネットを介して通話が可能なため、例えば海外電話を気軽にできるようになる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インターネット電話システムに用いられる受話装置において、着信時、従来のアナログ電話のように受話装置側から送話装置側に呼出音を送信しようとすると、次のようなセキュリティ上の問題が生じ得る。
【0004】
すなわち、送話音声と同様、呼出音をリアルタイムにパケット化し、それを受話装置から送話装置に送信するようにすれば、偽りのIPアドレスから多数の受話装置に対して着信要求をすると、それら多数の受話装置から、その偽りのIPアドレスに対して呼出音を表す多数のパケットを送り付けることができてしまう。このようなパケット増幅の仕組みを放置すると、インターネット上のサイト攻撃に悪用されてしまうおそれがある。また、無制限に呼出音を表すパケットをインターネット上に送出すると、インターネットのトラフィックが無駄に増大してしまうという問題もある。
【0005】
また、送話装置と受話装置との間で呼が確立された場合に、受話装置から送話装置に向けて音声パケットを送信し始め、送話装置から応答がない場合に音声パケットの送信を終了するというシンプルなプロトコル(例えば、後述する「NOTASIP(Nothing Other Than A Simple Internet Phone)」等)を採用すると、受話装置側で音声パケットを送信する通信ポートが既知であれば、偽りのIPアドレスを名乗って、その既知の通信ポートとの呼を確立することにより、偽りのIPアドレスに対して受話装置から音声パケットを送り付けることができてしまう。このようなパケット増幅の仕組みを放置するのは、セキュリティの観点からも、ネットワークトラフィックの観点からも、望ましくない。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、呼出中データや音声データがインターネット等のデータ通信ネットワークに大量送出されてしまうおそれの少ない受話装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る受話装置は、データ通信ネットワークを介して送話装置と通信接続された受話装置であって、前記送話装置から着信要求の旨を表す着信要求データを受信する着信要求データ受信手段と、前記着信要求データを受信する場合に、前記送話装置に対し、現在呼出中である旨を表す呼出中データを順次送信する呼出中データ送信手段と、前記呼出中データのデータ量を制限するデータ量制限手段と、を含み、前記データ量制限手段は、前記呼出中データのデータ量を前記着信要求データのデータ量に基づいて制限することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、着信要求があった場合、送話装置に対して呼出中である旨を表す呼出中データが順次送信されるが、この呼出中データはデータ量制限手段によりデータ量が制限される。このため、呼出中である旨を表すデータがデータ通信ネットワークに大量送出されてしまうおそれを少なくできる。さらに、本発明によれば、多数の送話装置に呼出中である旨を表すデータを多量に送出させることが困難となり、呼出中データがデータ通信ネットワークに大量送出されてしまうおそれを少なくできる。
【0010】
また、本発明は、その一態様において、前記着信要求データ受信手段は、複数の通信ポートのうち所定受付ポートにより前記着信要求データを受信し、前記呼出中データ送信手段は、前記呼出中データを前記複数の通信ポートのうち乱数に基づいて選択される通信ポートにより前記呼出中データを送信し、該選択された通信ポートにて送話装置との呼を確立する。こうすれば、送話装置では呼出中データを受信して初めて受話装置で用いる通信ポートを知ることができるため、呼出中データを受信せずに秘密裏に受話装置と任意の送話装置との間で呼を確立することが困難となる。こうすれば、悪意ある者により音声データがデータ通信ネットワークに大量送出されてしまうおそれを少なくできる。
【0011】
また、本発明に係る受話装置は、データ通信ネットワークを介して送話装置と通信接続された受話装置であって、前記送話装置から着信要求の旨を表す着信要求データを複数の通信ポートのうち所定受付ポートにより受信する着信要求データ受信手段と、前記着信要求データを受信したときに、前記送話装置に対し、現在呼出中である旨を表す呼出中データを前記複数の通信ポートのうち乱数に基づいて選択された、前記所定受付ポートとは異なる通信ポートにより順次送信する呼出中データ送信手段と、を含み、該選択され通信ポートにて前記送話装置との呼を確立し、前記送話装置に対する音声データの送信を開始することを特徴とする。こうすれば、送話装置では呼出中データを受信して初めて受話装置で用いる通信ポートを知ることができるため、呼出中データを受信せずに秘密裏に受話装置と任意の送話装置との間で呼を確立することが困難となる。こうすれば、悪意ある者により音声データがデータ通信ネットワークに大量送出されてしまうおそれを少なくできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係る受話装置を含むインターネット電話システムの全体構成を示す図である。同図に示すインターネット電話システム10は基本プロトコルとしてNOTASIP(Nothing Other Than A Simple Internet Phone)を採用している。このNOTASIPはインターネット電話システムをできるだけシンプルに実現するプロトコルであり、H.323のゲートキーパのようなものが無くても2つの端末(送話装置及び受話装置)のみで通話ができるようにすること、音声以外にデータを交換しないこと、既存の電話の主要な機能が使えるようにすること、既存の電話でできない、或いは殆ど使われない機能は実現しないこと、公衆電話回線網とインターネットとで容易に相互接続できるようにすること、を企図して開発されたものである。
【0014】
同図に示すインターネット電話システム10では、インターネット(データ通信ネットワーク)16に、ターミナルアダプタ12a,12b、DNS(Domain Name System)サーバ18、及びWWW(World Wide Web)電話帳サーバ20が接続されている。ターミナルアダプタ12aには2線式のアナログ電話機14aが接続され、ターミナルアダプタ12bにも2線式のアナログ電話機14bが接続されている。アナログ電話機14a,14bは従来公知のものである。
【0015】
また、ターミナルアダプタ(送話装置兼受話装置)12a,12bは、NOTASIP−TAと称されるもので、アナログ電話機14a,14bとインターネット16とのインターフェースとして機能する。具体的には、ターミナルアダプタ12a,12bは、ネットワークインタフェースと、電話機インターフェースと、音声処理装置(A/D変換器、D/A変換器、CODEC等を含む)と、制御装置と、を含んでいる。電話機インタフェースは、2線式でアナログ電話機14a,14bとの間でアナログ音声(DTMF;Dual Tone Multi Frequency)信号をやり取りするものである。ネットワークインタフェースはインターネット16との間でデータをやり取りするためのものである。また、音声処理装置はアナログ電話機14a,14bから入力されるアナログ音声信号をパケット化し、また相手先アナログ電話機から受信する音声パケットをアナログ音声信号化するものである。制御装置は、例えばボードコンピュータと制御用ソフトウェアとを用いて構成されるもので各種の通話接続処理を実行する。
【0016】
かかる構成を有するインターネット電話システム10では、アナログ電話機14a,14bを用いて相互に自在に通話できるようになっている。ここではアナログ電話機14aからアナログ電話機14bへの発呼について説明するが逆も同様である。図2は、通話接続の基本シーケンスを示す図である。同図に示すように、まずアナログ電話機14aにて受話器が取り上げられ(オフフック)、発呼先の電話番号がダイヤルされると(S101)、ターミナルアダプタ12aではその電話番号を受け取り、その電話番号に対応するIPアドレスをWWW電話帳サーバ20に問い合わせる。WWW電話帳サーバ20は、電話番号と、該電話番号のアナログ電話機に接続されているターミナルアダプタのIPアドレス又はドメイン名と、を対応づけて記憶しており、ターミナルアダプタ12aから電話番号を受信すると、その電話番号に対応するIPアドレス又はドメイン名を受付ポート番号及びCODEC方式とともに返すようになっている。このとき、NOTASIPを採用したWWW電話帳サーバ20では、特にストリームURLと呼ばれる形式で、これらの情報を返すようになっている。なお、WWW電話帳サーバ20からドメイン名が返されてきた場合、ターミナルアダプタ12aはDNSサーバ18にIPアドレスを問い合わせる。
【0017】
その後、ターミナルアダプタ12aでは、受話器に備えられたマイクから入力される音声をWWW電話帳サーバ20から取得したCODEC方式にて符号化並びにパケット化し、それをWWW電話帳サーバ20から取得したアドレス並びに受付ポートに送信する(S102)。ここでは、アナログ電話機14aからアナログ電話機14bへの発呼であるとすると、アナログ電話機14bに接続されたターミナルアダプタ12bでは、受付ポートにてアナログ電話機14aからの音声パケットを受信すると、アナログ電話機14bを電話機インタフェースを介して制御し、該アナログ電話機14bから着信音(ベル等)を鳴らすとともに(S103)、呼出音(例えば「トゥルルルル…」等)を表す音声パケットを生成し、それを発信側のターミナルアダプタ12aに返す(S104)。このとき、呼出音を表す音声パケットは、受付ポートとは異なる通信ポートを複数の通信ポートの中からランダムに、すなわち公知のアルゴリズムで生成された乱数に基づき選択し、その選択された通信ポートにより送信する。この呼出音を表す音声パケットはアナログ電話機12bにて受話器が取り上げられるまで継続して送信されるが、ターミナルアダプタ14bにおいて特徴的なことは、ここで送信する呼出音を表す音声パケットの数を、ターミナルアダプタ14aから送信されてくる音声パケットの数よりも少なくなるよう、制限している。こうすれば、パケット増幅がされないため、サイト攻撃に悪用されることがなくなる。
【0018】
呼出音を表す音声パケットを受信したターミナルアダプタ12aでは、そのパケットを受信すると、その呼出音を表す音声パケットを開梱並びに復号化し、受話器に備えられたスピーカから出力する。また、ターミナルアダプタ12aでは、アナログ電話機14aの受話器より入力される音声を符号化並びにパケット化し、今度はその選択された通信ポートに向けて送信する(S105)。こうして、ターミナルアダプタ12a,12bの間で呼が確立される。その後、アナログ電話機14bの受話器が取り上げられると(オフフック;S106)、ターミナルアダプタ12bでは受話器から入力される音声を符号化並びにパケット化し、それを発信側のターミナルアダプタ12aに送信するとともに(S107)、既に発信側のターミナルアダプタ12aから送信されてきている音声パケットを開梱及び復号化し、それを電話機インターフェースを介してアナログ電話機14bの受話器に備えられたスピーカから出力する。一方、発信側のターミナルアダプタ12aにおいても、ターミナルアダプタ12bから送信される音声パケットを開梱及び復号化し、それをアナログ電話機インターフェースを介してアナログ電話機14aの受話器に備えられたスピーカから出力する。
【0019】
こうして、アナログ電話機14a,14bの間で通話接続がなされる。通話が終了して、例えばアナログ電話機14aにて受話器が置かれると(オンフック;S108)、ターミナルアダプタ12aでは音声パケットの送信を速やかに終了する(S109)。また、アナログ電話機14bにて受話器が置かれた場合も(S110)、ターミナルアダプタ12aでは音声パケットの送信を速やかに終了する(S111)。このように発信側のアナログ電話機14a又は着信側のアナログ電話機14bにて受話器が置かれると、そのアナログ電話機14a又は14bのソケット(UDPソケット)がクローズされ、呼が切断される。このため、相手方のアナログ電話機14a又は14bではICMPエラーメッセージ「port unreachable」で呼切断の旨を判断することができる。また、相手から音声パケットが30秒以上届かなかった場合にも呼が切断されたと判断する。なお、発信側も着信側も、通話に使用したポート番号は、再使用まで最低286秒(IPv4のTTLの最大値256秒+30秒)の時間を置くようにすることが望ましい。
【0020】
以上説明したインターネット電話システム10では、ターミナルアダプタ12a,12bにて、発信側から受け取る音声パケットの数以下に、呼出音を表す音声パケット(呼出中データ)の送出数(データ量)を制限しているので、サイト攻撃等に悪用されるおそれを最小化できる。また、呼出音を表す音声パケットを送信する際に用いる通信ポートをランダムに選択し、その通信ポートで呼を確立し、通話接続するようにしたので、自らのIPアドレスを秘したまま着信側のターミナルアダプタ12a,12bを通話状態にすることができないようにできる。
【0021】
なお、本発明は以上説明した実施の形態に限定されるものではない。
【0022】
例えば、以上の説明ではターミナルアダプタ12a,12b及びアナログ電話機14a,14bにて音声だけを送受信するようにしたが、その他、静止画像又は動画像を送受信するようにしてもよい。
【0023】
また、以上の説明では公知のアナログ電話機14a,14bをターミナルアダプタ12a,12bと組み合わせて別体としたが、両者を一体的に形成してもよい。
【0024】
また、呼出音をパケット化して送話装置側に送信する場合にのみ本発明は適用可能であるという訳でなく、例えば呼出中である旨のフラグを付したパケットを定期的に受話装置側から送話装置側に送信する場合も、本発明を同様に適用可能である。
【0025】
また、呼出音を表す音声パケットのパケット数を発信者側から受信するパケットの数以下に制限するだけでなく、その他、受信パケット数の一割増未満に抑える等、発信者側から送信されてくるデータのデータ量に応じて様々な態様で呼出音を表す音声パケットの送信数を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る受話装置を含んで構成されたインターネット電話システムの全体構成を示す図である。
【図2】 通話接続の際の基本的シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
10 インターネット電話システム、12a,12b ターミナルアダプタ(NOTASIP−TA)、14a,14b (2線式)アナログ電話機、16 インターネット(データ通信ネットワーク)、18 DNSサーバ、20 WWW電話帳サーバ。

Claims (3)

  1. データ通信ネットワークを介して送話装置と通信接続された受話装置であって、
    前記送話装置から着信要求の旨を表す着信要求データを受信する着信要求データ受信手段と、
    前記着信要求データを受信する場合に、前記送話装置に対し、現在呼出中である旨を表す呼出中データを順次送信する呼出中データ送信手段と、
    前記呼出中データのデータ量を制限するデータ量制限手段と、を含み、
    前記データ量制限手段は、前記呼出中データのデータ量を前記着信要求データのデータ量に基づいて制限することを特徴とする受話装置。
  2. 請求項1に記載の受話装置において、
    前記着信要求データ受信手段は、複数の通信ポートのうち所定受付ポートにより前記着信要求データを受信し、
    前記呼出中データ送信手段は、前記呼出中データを前記複数の通信ポートのうち乱数に基づいて選択される通信ポートにより前記呼出中データを送信し、
    該選択された通信ポートにて前記送話装置との呼を確立することを特徴とする受話装置。
  3. データ通信ネットワークを介して送話装置と通信接続された受話装置であって、
    前記送話装置から着信要求の旨を表す着信要求データを複数の通信ポートのうち所定受付ポートにより受信する着信要求データ受信手段と、
    前記着信要求データを受信したときに、前記送話装置に対し、現在呼出中である旨を表す呼出中データを前記複数の通信ポートのうち乱数に基づいて選択された、前記所定受付ポートとは異なる通信ポートにより順次送信する呼出中データ送信手段と、を含み、
    該選択され通信ポートにて前記送話装置との呼を確立し、前記送話装置に対する音声データの送信を開始することを特徴とする受話装置。
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