実施の形態1.
図1は、本発明が適用されるIP電話システムの一例を示した概略図であり、シグナリングプロトコルとしてSIPを採用した場合の典型例が示されている。このIP電話システムは、IP電話装置10及び11と、プロキシーサーバ21及び22と、ロケーションサーバ23とをIP網20を介して接続することにより構成される。
IP電話装置10,11は、UA(User Agent)と呼ばれるユーザー端末であり、いずれもIP網20に対し、クライアント(UAC:User Agent Client)として要求メッセージを送信するとともに、サーバ(UAS:User Agent Server)として応答メッセージを送信することができる。すなわち、IP電話装置10,11は、IPパケットが送受信できるデジタル通信端末であり、それ自体が独立した電話機である場合のみならず、アナログ電話機が接続されたVoIPゲートウエイであってもよいし、音声入出力が可能なパーソナルコンピュータ等であってもよい。さらに、無線回線を介してIP網20に接続されるVoIP通話が可能な移動体通信端末であってもよい。
プロキシーサーバ21,22は、IP電話装置10,11間で送受信されるSIPメッセージを中継する装置であり、IP電話装置10,11間で呼接続制御が行われる際、要求メッセージをUASに向けて、応答メッセージをUACに向けてルーティングしている。なお、呼接続制御はプロキシーサーバ21,22を介して行われるが、IP電話装置10,11間で通話セッションが確立された後は、プロキシーサーバ21,22を介することなく音声データパケットの送受信が行われる。
ロケーションサーバ23は、IP電話装置10,11の位置に関するデータベースを有し、プロキシーサーバ21,22に対し、SIPメッセージのルーティングに必要な情報を提供している。具体的には、各IP電話装置10,11のIP電話番号やURI(Uniform Resource Identifier)をIPアドレスやプロキシーサーバ21,22に対応づけて記憶している。
図2は、図1のIP電話システムにおける基本動作の一例を示したシーケンス図であり、IP電話装置10からIP電話装置11へ発信が行われ、通話セッションが確立された後に通話が開始され、当該通話セッションが開放されるまでの一連の手順が示されている。
まず、発信元となるIP電話装置10が、プロキシーサーバ21に対して接続要求メッセージ(INVITE)を送信する。この接続要求メッセージ(INVITE)は、発信先としてのIP電話装置11をIP電話番号又はURIにより指定したデータパケットである。プロキシーサーバ21は、IP電話装置10のユーザが予め加入契約を行っているSIPサーバであり、IP電話装置10の認証を行った後、この接続要求メッセージ(INVITE)をプロキシーサーバ22へ転送する。また、このとき、IP電話装置10に対し、試行中メッセージ(Trying)が返送される。
プロキシーサーバ22は、IP電話装置11のユーザが予め加入契約を行っているSIPサーバであり、発信先IP電話装置11に対する発信要求メッセージは、一旦、このプロキシーサーバ22へ転送される。転送先がプロキシーサーバ22であることは、プロキシーサーバ21が、ロケーションサーバ23に対し、IP電話番号又はURIにより発信先IP電話装置11を指定した問い合わせを行うことによって決定される。
接続要求メッセージ(INVITE)を受信したIP電話装置11は、通話中でなければ、呼び出し音の鳴動等により、着信があったことをユーザに報知するとともに、プロキシーサーバ22へ呼び出し中メッセージ(Ringing)を返送する。この呼び出し中メッセージは、プロキシーサーバ22及び21を介してIP電話装置10へ伝送される。この呼び出し状態において、IP電話装置11のユーザが、オフフック操作を行えば、成功応答メッセージ(OK)が、プロキシーサーバ22及び21を介してIP電話装置10へ伝送される。
成功応答メッセージ(OK)を受信したIP電話装置10は、IP電話装置11に対し、最終応答メッセージ(ACK)を送信し、IP電話装置10,11間に通話セッションが確立される。この最終応答メッセージ(ACK)は、IP電話装置11のIPアドレスを宛先とするデータパケットであり、プロキシサーバ21及び22を介することなく、直接、IP電話装置11に伝送される。なお、最終応答メッセージ(ACK)とは、一つのトランザクションが完了したことを通知するメッセージであり、ここでは、接続要求メッセージ(INVITE)で始まる一連の手順の完了を意味している。
その後は、IP電話装置10,11間において、互いに他方のIPアドレスを宛先とするデータパケットを送受信することにより通話が可能となる。つまり、プロキシサーバ21及び22を介することなく、音声データを含むIPパケットが送受信される。
通話中に、いずれか一方のIP電話装置10,11においてオンフック操作が行われると、通話セッションが切断され、通話は終了する。例えば、IP電話装置11において、オンフック操作が行われた場合、IP電話装置11から終了要求メッセージ(BYE)が送信される。この終了要求メッセージ(BYE)を受信したIP電話装置10は、成功応答メッセージ(OK)を返送し、IP電話装置10及び11間の通話セッションが切断される。
なお、ここでは、一例としてプロキシーサーバ21,22を介してSIPメッセージを送受信するIP電話システムの例について説明したが、本発明は、プロキシサーバ21,22を介さずに呼接続制御を行うIP電話システムにも適用することができる。例えば、IP電話装置10,11間においてピアツーピアでSIPメッセージを送受信するIP電話システムにも適用することができる。
図3は、本発明の実施の形態1によるIP電話システムの一例について説明するための図であり、IP電話装置10及びIP電話装置11の通話が終了するのを待っているIP電話装置12が、IP電話装置13との通話を開始し、この通話中にIP電話装置11の通話が終了した場合の様子が示されている。図中の10〜13は、いずれもIP網20を介して接続されたIP電話装置であり、図1で示されていたSIPプロキシーサーバ21,22、ロケーションサーバ23は便宜上省略されている。
まず、IP電話装置10,11間で通話セッションが確立され、通話中であるものとする。このIP電話装置11に対し、IP電話装置12から発信が行われた場合、発信元となるIP電話装置12は、発信先となる通話中のIP電話装置11から通話中応答メッセージ(Busy)を受信することになる。
通話中応答メッセージ(Busy)を受信した発信元IP電話装置12のユーザは、自動リダイヤルを選択することができる。自動リダイヤルが選択された場合、発信先IP電話装置11に対して終話通知要求が行われる。この場合、通話終了時の発信先IP電話装置11から終話通知を受け取ることができ、この終話通知に基づいて、発信先IP電話装置11に対する自動リダイヤルが行われる。
ところが、発信先IP電話装置11からの終話通知を待っている発信元IP電話装置12に対し、他のIP電話装置13から着信があった場合、当該IP電話装置13との通話が開始される。この通話中に、発信先IP電話装置11の通話が終了し、発信元IP電話装置12へ終話通知が送信された場合、発信元IP電話装置12は、発信先IP電話装置11との通話を開始することができない。このため、発信元IP電話装置12は、自動リダイヤルを行わずに、先の終話通知要求のキャンセルを行う。
図4は、発信先が通話中であった場合におけるシグナリング手順の一例を示したシーケンス図であり、図3のIP電話装置12が発信した際、発信先であるIP電話装置11がIP電話装置10と通話中であった場合の動作が示されている。
発信元IP電話装置12において、発信先IP電話装置11を指定した発信操作が行われると、IP電話装置12からIP電話装置11に対し、接続要求メッセージ(INVITE)M100が送信される。このとき、発信先IP電話装置11は他のIP電話装置10との通話中であるため、発信先IP電話装置11からは通話中応答メッセージ(Busy)M101が返送される。その後、発信元IP電話装置12から最終応答メッセージ(ACK)M102が送られ、このトランザクションは完了する。
このとき、発信元IP電話装置12では、ユーザが自動リダイヤルを利用するか否かを決定することができる。自動リダイヤルを選択した場合、通話中の発信先IP電話装置11に対し終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)M103が送信される。これに対し、発信先IP電話装置11からは当該要求に対する成功応答メッセージ(OK)M104が返送される。
その後、発信元IP電話装置12がIP電話装置13と通話を開始したとする。この通話中にIP電話装置11とIP電話装置10の通話が終了すれば、通話中の発信元IP電話装置12が、発信先IP電話装置11から終話通知メッセージ(NOTIFY)M105を受信することになる。この場合、発信元IP電話装置12は通話中であることから、接続要求メッセージ(INVITE)ではなく、終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)M106が発信先IP電話装置11へ送信され、当該メッセージに対する成功応答メッセージ(OK)M107がIP電話装置11からIP電話装置12へ発信される。
その後、IP電話装置13との通話が終了すれば、発信元IP電話装置12は、通話中に受信した終話通知メッセージ(NOTIFY)に基づき、通話終了後に接続要求メッセージ(INVITE)M108の送信を行う。すなわち、IP電話装置13との通話終了後にIP電話装置11に対し自動リダイヤルが行われる。
図5は、図3の各IP電話装置10〜13の要部の一構成例を示したブロック図である。このIP電話装置は、スプリッタ30、電話機31、切替回路32、着信検出回路33及びVoIPゲートウエイ34により構成される。VoIPゲートウエイ34は、電話機31をADSL回線に接続し、VoIP通話を実現するための装置であり、主制御部40、VoIP処理部41、電話制御部42、終話通知要求記憶部43、入出力制御部44、キー操作部45、表示部46、サウンド出力部47及び終話通知記憶部50により構成される。
スプリッタ30は、図示しない交換局に電話線で接続され、この交換局を介してIP網20に接続されている。上記電話線は、PSTN(Public Switched Telephone Network)加入者回線及びADSL(Asynchronous Digital Subscriber Line)回線を重畳可能な信号線であり、交換局では、PSTN加入者回線(以下、単にPSTN回線と呼ぶ)がPSTNに、ADSL回線がIP網20に接続される。スプリッタ30は、PSTN回線及びADSL回線の分離及び合成を行って、PSTN回線を切替回路32に、ADSL回線をVoIPゲートウエイ34に接続している。
電話機31は、ハンドセット及びダイヤル操作部を有し、PSTN回線に接続して使用されるアナログ電話機であり、ここでは切替回路32に接続されている。切替回路32は、スプリッタ30のPSTN回線が接続されるとともに、ゲートウエイ34を介してADSL回線が接続され、電話機31をPSTN回線側又はADSL回線(つまりVoIP)側のいずれかに選択的に接続する。
着信検出回路33は、PSTN回線経由で受信されたCAR信号又はIR信号に基づいて着信検出を行っている。また、VoIPゲートウエイ34からVoIP通信の状態が入力されている。着信検出回路33がPSTN回線の着信を検出した場合、切替回路32はPSTN側に切り替えられ、電話機31はPSTN回線へ接続される。ただし、VoIPによる通話中であれば上記切替は行われない。
一方、VoIPゲートウエイ34が着信を検出した場合、切替回路32はVoIP側に切り替えられ、電話機31はVoIPゲートウエイ34に接続される。ただし、PSTNによる通話中であれば、上記切替は行われない。従って、VoIPゲートウエイ34は、接続要求メッセージを受信した場合、他のIP電話装置との通話中の場合はもちろんのこと、PSTNによる通話中の場合も、発信元IP電話装置へ通話中応答メッセージを返送する。
VoIP処理部41は、ADSL回線を介してIPパケット、例えば、SIPパケットや音声データパケットの送受信処理を行っている。例えば、発信時には、接続要求メッセージをスプリッタ30を介してIP網20へ送出し、着信時には、スプリッタ30を介してIP網20から接続要求メッセージを受信する。また、VoIP処理部41は、IP網20からスプリッタ30を介して受信した音声データパケットをアナログ音声信号へ変換し、切替回路32を介して電話機31へ出力している。また、電話機31からのアナログ音声信号をIPパケットへ変換し、スプリッタ30を介してIP網20へ送出している。
電話制御部(SLIC:Subscriber Line Interface Circuit)42は、切替回路32に接続され、切替回路32に対してPSTN回線の交換局に相当するインターフェースを提供する回路である。すなわち、電話制御部42において、給電線制御、状態監視、2線−4線変換などが行われており、電話機31から見れば、VoIPゲートウエイ34側もPSTN回線とみなすことができる。
主制御部40は、VoIP処理部41の動作制御を行っている。特に、VoIP通信のためのシグナリング(呼制御)は、主制御部40が生成したSIPメッセージをVoIP処理部41が送信し、また、VoIP処理部41が受信したSIPメッセージを主制御が解析及び判別することによって行われる。
終話通知要求記憶部43は、終話通知要求メッセージを記憶する記憶手段である。主制御部40は、通話中に終話通知要求メッセージを受信すれば、そのメッセージを終話通知要求記憶部43へ格納する。そして、当該通話の終了後に、終話通知要求記憶部43のメッセージに基づいて、要求を行ったIP電話装置に対する終話通知メッセージを生成し、VoIP処理部41がこのメッセージを送信する。
終話通知記憶部50は、終話通知メッセージを記憶する記憶手段である。主制御部40は、通話中に終話通知メッセージを受信すれば、そのメッセージを終話通知記憶部50へ格納する。そして、当該通話の終了後に、終話通知記憶部50のメッセージに基づいて、終話通知要求を行ったIP電話装置に対する接続要求メッセージを生成し、VoIP処理部41がこのメッセージを送信する。
入出力制御部44は、キー操作部45、表示部46及びサウンド出力部47を用いたユーザI/Fを制御している。表示部46及びサウンド出力部47は、ユーザに対し、VoIPゲートウエイ34に関する様々な情報を報知するための出力手段である。キー操作部45は、ユーザが様々な操作入力を行うための入力手段であり、自動リダイヤルキー48が含まれている。自動リダイヤルキーは、発信先のIP電話装置が通話中であった場合に、終話通知を待って自動的にリダイヤルを行うことを指示する操作キーである。
図6は、図5のVoIP処理部41の一構成例を示したブロック図である。VoIP処理部41は、ADSLモデム60、ADSL制御部61、VoIP制御部62、DSP制御部63、DSPコーデック64により構成される。
ADSL制御部61は、変復調手段としてのADSLモデム60を制御し、ADSL回線に対する信号処理を行っている。IP網20から伝送されたIPパケットは、ADSLモデム60で復調された後、ADSL制御部61を介してVoIP制御部62へ入力される。また、VoIP制御部62で生成されたIPパケットは、ADSL制御部61を介してADSLモデム60で変調され、IP網20へ送出される。
VoIP制御部62では、IPパケットの送受信処理が行われている。VoIP制御部62が、ADSL制御部61からSIPパケットを受信すれば、当該パケットに含まれるメッセージを主制御部40へ出力する。また、主制御部40から送信メッセージが出力された場合には、当該メッセージを含むSIPパケットを生成し、ADSL制御部61へ出力する。
さらに、音声データについては、VoIP制御部62において、パケット化処理及びその復元処理が行われている。VoIP制御部62が、ADSL制御部61からの音声データパケットを受信すれば、これらのパケットをシーケンス番号に従って並び替え、順次に音声データへ復元し、DSP制御部63へ出力している。また、DSP制御部63からの音声データをパケット化し、音声データパケットとしてADSL制御部61へ出力する。
DSP(Digital Signal Processor)制御部63は、DSPコーデック64を制御し、音声データに対する符号化処理及び復号化処理を行っている。VoIP制御部62で復元された音声データは、DSP制御部63を介してDSPコーデック64で復号化(デコード)された後、アナログ音声信号として切替回路32へ出力される。また、切替回路32から入力された音声信号は、DSPコーデック64でデジタル符号化され、DSP制御部63を介してVoIP制御部62へ出力される。
図7のステップS101〜S109は、図3の発信先IP電話装置11における動作の一例を示したフローチャートである。まず、IP電話装置10からの接続要求メッセージ(INVEITE)を受信することにより、通話が開始される(ステップS101,S102)。この通話中に、他のIP電話装置12から接続要求メッセージ(INVITE)を受信すれば、通話中応答メッセージ(Busy)を発信元IP電話装置12へ返送する(ステップS103,S104)。
また、上記通信中に、発信元IP電話装置12から終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)を受信した場合には、主制御部40が、この受信メッセージを終話通知要求記憶部43に格納する(ステップS105,S106)。上記通話が終了するまでは、これらのステップS103〜S106が繰り返される(ステップS107)。
IP電話装置10との通話が終了すれば、終話通知要求記憶部43に記憶されている終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)に基づいて、終話通知メッセージ(NOTIFY)を送信する(ステップS108,S109)。すなわち、IP電話装置10との通話中に、IP電話装置12から終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)を受信していた場合、IP電話装置11から発信元IP電話装置12へ終話通知メッセージ(NOTIFY)が送信される。
一方、通話中に終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)を受信していない場合には、処理を終了する。なお、2以上のIP電話装置から終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)を受信していた場合であれば、各IP電話装置に対し、終話通知メッセージ(NOTIFY)が送信される。
図8のステップS201〜S214は、図3の発信元IP電話装置12における動作の一例を示したフローチャートである。IP電話装置12が、通話中のIP電話装置11に対して接続要求メッセージ(INVITE)を送信すると、通話中応答メッセージ(Busy)が返送される(ステップS201,S202)。
通話中応答メッセージ(Busy)を受信した場合、発信元IP電話装置12のユーザは、自動リダイヤル機能を利用するか否かを判断し、利用する場合にはキー操作部45の自動リダイヤルキー48を操作する(ステップS203)。自動リダイヤルを利用しない場合には当該処理を終了する。自動リダイヤルキーが操作された場合、この操作入力は、入出力制御部44を介して主制御部40へ入力され、VoIP処理部41が、主制御部40の指示に基づいて、通話中の発信先IP電話装置11に対し、終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)を送信する(ステップS204)。
その後、通話を終了した発信先IP電話装置11から終話通知メッセージ(NOTIFY)を受信するまで待機し、このメッセージを受信すれば自動リダイヤルを実行する(ステップS209,213)。しかしながら、待機中に他の電話装置からの着信がある場合や他の電話装置へ発信する場合も想定される。IP電話装置13からの着信があった場合、あるいは、IP電話装置13へ発信した場合には、図3に示した通り、IP電話装置13との通話が開始される(ステップS205,S206)。
IP電話装置13との通話中に、発信先IP電話装置11から終話通知メッセージ(NOTIFY)を受信した場合、メッセージを終話通知記憶部50に格納する(ステップS207,S208)。加えて、IP電話装置12の主制御部40は、従来技術の様に接続要求メッセージ(INVITE)を自動送信するのではなく、終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)を自動送信する。送信先はIP電話装置11である(ステップS209)。
このとき、自動リダイヤルのキャンセル情報がIP電話装置12の表示部46に表示され、発信先IP電話装置11の通話が終了したが、自局が通話中であるため自動リダイヤルがキャンセルされたことがユーザに報知される。その後、IP電話装置13との通話が終了するまで、ステップS207〜S209が繰り返される(ステップS210)。
IP電話装置13との通話中に発信先IP電話装置11から終話通知メッセージ(NOTIFY)を受信することなく、当該通話が終了した場合にはステップS205へ戻り、発信先IP電話装置11から終話通知メッセージ(NOTIFY)が送信されるのを待つ(ステップS211)。
一方、IP電話装置13との通話中にIP電話装置11から終話通知メッセージ(NOTIFY)を受信していた場合には、当該通話の終了時に、終話通知記憶部50に格納された終話通知メッセージに基づき、IP電話装置12は接続要求メッセージ(INVITE)を自動送信する(ステップS210,S213)。
なお、終話通知メッセージ(NOTIFY)を受信したIP電話装置12が通話中でなければ、発信先IP電話装置11に対し、当該通知に対する成功応答メッセージ(OK)を送信するとともに、接続要求メッセージ(INVITE)を自動送信する(ステップS205,S212,S213)。
いずれの場合であっても、自動送信した接続要求メッセージ(INVITE)に対する成功応答メッセージ(OK)を受信すれば、その後、最終応答メッセージ(ACK)を送信することにより、IP電話装置11との通話セッションが確立され、通話が開始される(ステップS214)。
本実施の形態によれば、発信先IP電話装置11に対し終話通知要求を行った発信元IP電話装置12が、終話通知メッセージ(NOTIFY)を受信した際に通話中であった場合、発信先IP電話装置11に対し、接続要求メッセージ(INVITE)ではなく終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)を送信する。従って、発信先IP電話装置11との通話を開始できない状態であれば、発信元IP電話装置12が自動リダイヤルを行うことはない。また、発信先IP電話装置11に対し、終話通知要求の取り消しを通知することができる。
なお、本実施の形態では、発信元IP電話装置12が、他のIP電話装置13との通話中に終話通知メッセージ(NOTIFY)を受信した場合の例について説明したが、本発明はこのような場合に限定されない。すなわち、発信元IP電話装置12が、新たな通話を開始できない様々な状態に適用することができ、IP電話装置との通話中には限定されない。例えば、発信元IP電話装置12が、PSTN及びVoIPを利用可能であり、かつ、両者を同時には利用することはできない端末装置である場合、終話通知メッセージ(NOTIFY)の受信時にPSTNによる通話中であった場合についても本発明を適用することができる。
また、図7を用いて説明した通り、発信先IP電話装置11が、通話中に複数のIP電話装置12,12’,…から終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)を受信した場合であれば、通話終了時に、各IP電話装置12,12’,…に対し終話通知メッセージ(NOTIFY)が順次に送信される。この場合、IP電話装置11は、IP電話装置12へ終話通知メッセージ(NOTIFY)を送信した後、所定の期間、当該IP電話装置12からの接続要求メッセージ(INVITE)を待ち、その後に、次のIP電話装置12’へ終話通知メッセージ(NOTIFY)を送信するように動作させることが望ましい。IP電話装置11が、この様な動作を行う場合、通話中のIP電話装置12から終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)を受信することができれば、IP電話装置12からの接続要求メッセージ(INVITE)を待つことなく、次のIP電話装置12’へ終話通知メッセージ(NOTIFY)を送信することが可能になる。
また、発信先IP電話装置11は、終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)を受信した場合、発信元IP電話装置12が自動リダイヤルをキャンセルした旨を発信先IP電話装置11の表示部46に表示し、発信先IP電話装置11のユーザにキャンセル情報を伝えるようにすることが望ましい。
実施の形態2.
実施の形態1では、通話中のIP電話装置12が、終話通知メッセージ(NOTIFY)を受信した際、終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)を自動送信するIP電話システムの例について説明した。これに対し、本実施の形態では、更に、終話通知要求後のユーザ操作に基づいて、IP電話装置12から終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)を送信することができるIP電話システムについて説明する。
図9は、図3のIP電話装置10〜13の要部について、本発明の実施の形態2による一構成例を示したブロック図である。図5(実施の形態1)の場合と比較すれば、キー操作部45に自動リダイヤルキャンセルキー49を備えている点で異なる。
発信元IP電話装置12のユーザが自動リダイヤルキーを押し、発信先IP電話装置11に対して終話通知要求を行った後、終話通知要求メッセージを取り消すことが必要となる場合がある。例えば、発信先IP電話装置11からの終話通知を待っている間にユーザが発信元IP電話装置12を離れ、通話を開始できなくなった場合や、発信先IP電話装置11との通話が不要になった場合が考えられる。
終話通知メッセージ(NOTIFY)の受信前に、ユーザが自動リダイヤルキャンセルキー49を操作した場合、主制御部40は、このキー操作に基づいて、VoIP処理部41を介して、終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)を発信先IP電話装置11へ送信する。ただし、終話通知メッセージ(NOTIFY)の受信後であれば、終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)が既に送信されているため、再送信は行われない。
図10は、本発明の実施の形態2によるシグナリング手順の一例を示したシーケンス図であり、図3のIP電話装置12が発信した際、発信先であるIP電話装置11がIP電話装置10と通話中であった場合の動作が示されている。図4(実施の形態1)の場合と比較すれば、自動リダイヤルキャンセルの選択をユーザが行える点で異なる。
通話中応答メッセージ(Busy)を受信した発信元IP電話装置12では、自動リダイヤルを利用するか否かがユーザによって決定される。自動リダイヤルが選択された場合、通話中の発信先IP電話装置11に対し終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)M203が送信される。このとき、発信先IP電話装置11からは当該要求に対する成功応答メッセージ(OK)M204が返送される。
このIP電話システムでは、自動リダイヤルをキャンセルするか否かが、自動リダイヤルを選択した発信元IP電話装置12のユーザによって決定される。自動リダイヤルのキャンセルが選択された場合、発信先IP電話装置11に対し終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)M205が送信される。このとき、発信先IP電話装置11からは成功応答メッセージ(OK)M206が返送される。
図11のステップS301〜S311は、図3の発信先IP電話装置11について、本発明の実施の形態2による動作の一例を示したフローチャートである。図11のステップS301〜S304は、図7(実施の形態1)のステップS101〜S104と同一であり、発信先IP電話装置11が通話を終了した後のステップS309〜S311は、図7(実施の形態1)のステップS107〜S109と同一である。
IP電話装置11が、通話中に、IP電話装置12から終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)を受信した場合、主制御部40が、この受信メッセージを終話通知要求記憶部43に格納する(ステップS305,S306)。終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)を受信した後、さらに終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)を受信した場合には、主制御部40が終話通知要求記憶部43に格納している終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)を削除する(ステップS307,S308)。
図12のステップS401〜S416は、図3の発信元IP電話装置12について、本発明の実施の形態2による動作の一例を示したフローチャートである。図12のステップS401〜S404は、図8(実施の形態1)のステップS201〜S204と同一であり、着信又は発信によりIP電話装置13との通話を開始した後のステップS407〜S416は、図8(実施の形態1)のステップS205〜S214と同一である。
終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)をIP電話装置11へ送信した後、ユーザが自動リダイヤルキャンセルについて選択を行う。つまり、終話通知要求の取り消しを行うか否を決定する(ステップS405)。自動リダイヤルをキャンセルする場合は、ユーザ操作に基づき、終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)を発信先IP電話装置11へ送信する(ステップS406)。
本実施の形態によれば、終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)を発信先IP電話装置11へ送信した後であっても、ユーザの操作に基づいて終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)を送信することにより、自動リダイヤルをキャンセルすることができる。このため、発信元IP電話装置12のユーザが通話することができない状態、あるいは、発信先IP電話装置11との通話がもはや不要になった状態であるにもかかわらず、自動リダイヤルが行われるのを防止することができる。
なお、本実施の形態では、ユーザ操作により終話通知要求を取り消しているため、その理由を問わず、終話通知メッセージ(NOTIFY)を受信する前に、終話通知要求を取り消すことができる。これに対し、通話中であるためにリダイヤルを行うことができない場合であれば、事前に要求取消メッセージ(CANCEL)を自動送信することもできる。すなわち、発信先IP電話装置11へ終話通知要求メッセージ(SUBSCRIBE)を送信した後、他のIP電話装置13と通話開始を開始する場合、その通話の開始時に、発信先IP電話装置11へ終話通知要求取消メッセージ(CANCEL)を送信してもよい。この場合には、自動送信することができ、終話通知要求を取り消すためのユーザ操作は不要である。