JP4440373B2 - 木理モデリング装置 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、木目柄を有する建材化粧シートに対して、天然木目が有する光沢模様を再現するにあたり、この再現のために利用する「木理」と呼ばれる木の繊維質の配向性を設計する木理モデリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
壁紙や床材等の建材の表面装飾や、家具の表面装飾のために用いる化粧シートにおいては、「照り」と称される光沢を表現するために、万線パターンを直接化粧シートにエンボス加工したり、あるいは透明なシートに万線パターンをエンボス加工してエンボスシートを作成し、そのエンボスシートを木目柄等の模様を印刷した化粧シートに貼り付けて積層構造とすることが広く行われている。
【0003】
万線パターンをエンボス加工することにより「照り」が表現できる原理について以下に説明する。
図8は万線パターンをエンボス加工することにより万線条溝Gが形成されたシートEの斜視図である。シートEには幅W1の万線条溝GがW2の間隔で多数形成されている。シートEの全体の厚みD1に対して、万線条溝Gは深さD2の溝を形成しており、多数の万線条溝Gが平行に配置されている。このような万線条溝Gからなるパターンは、幅W1の凹部と幅W2の凸部との二段階の段差構造を有している。
【0004】
このような万線条溝Gが形成されたシートEは、その表面から得られる反射光の強度が位置によって異なることが知られている。これが異方性反射である。このようなシートEを見る視線を連続的に変化させると、強く反射する箇所、すなわち輝度が高く、明るく光る箇所が変化していく。これが「照りの移動」と称されるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した「照り」および「照りの移動」を表現する万線パターンとしては、エンボス加工を行った場合に、天然の木材が発現するような自然な「照り」および「照りの移動」を発現できるものが望ましい。そこで、天然の木材が「照り」および「照りの移動」を発現できる原理を考えてみると、木材表面における繊維潜り角に起因していることが知られている。この原理について、以下に説明する。
【0006】
図9は、視点を真上に固定した状態での材木板表面の繊維質の配向性と鏡面反射率との関係を示す図である。材木板100の表面(切断面J)に、図に繊維方向ベクトルFとして示すような配向性をもって繊維Fが配置されているものとする。このとき、切断面Jと繊維Fがなす角ξは繊維潜り角と呼ばれている。
【0007】
そして、材木板100の上方に仮想光源200(平行光源)を仮定し、この仮想光源200から材木板100の表面に対して垂直な光線が照射され、この表面からの拡散反射光および鏡面反射光を観察することを考える。この場合、観察される拡散反射光の強度は、材木板100の表面の木目模様の色成分によって左右され、この拡散反射光による画像は、いわゆる着色された模様として認識されることになる。一方、観察される鏡面反射光の強度W(光沢度)は、繊維潜り角ξによって左右され、視線方向を木材の法線方向に一致させた場合、通常、図10のグラフに示すような関係となる。より正確には、各部における鏡面反射光強度は、光の照射方向と繊維潜り角ξとの双方によって決定される。すなわち図9に示すように、切断面J上の点Pにおいて、光線方向ベクトルLと繊維方向ベクトルFとを図のように定義すれば、両ベクトルの交錯角φによって点Pにおける鏡面反射光強度が決定されることになる。上述の例のように、光線方向ベクトルLが切断面Jに対して垂直であるモデルの場合、ベクトル交錯角φ=90°−ξとなり、図10のグラフに示すように、φ=90°のときに鏡面反射光強度が最高になり、φ=0°のときに最低となる。
【0008】
実際の天然木から切り出した材木板の表面に照り模様が見られるのは、切断面上の各部分ごとに異なる繊維潜り角ξが得られるからであり、この部分毎に異なる繊維潜り角ξに基づいて照り模様が現れることになるのである。また、以上のことから、例えば図9において観察位置を変えずに仮想光源200を移動させた場合、あるいは仮想光源200の位置を固定して観察位置を変えた場合には、材木板100の照りが発現する位置が変化することになることは明らかであろう。これが照りの移動である。
【0009】
そこで、近年では、適宜な手法を用いてコンピュータにより繊維潜り角の2次元分布を求め、その求めた繊維潜り角の2次元分布に基づいて万線パターンを作成し、その万線パターンを用いてエンボス加工することが行われているが、天然の木材の表面が発現するような照り、および照りの移動を表現することができる繊維潜り角の2次元分布を求めることは非常に難しいのが現実である。
【0010】
これに対して、本出願人は、天然木の木理を表現する3次元ベクトル場を発生させ、所定の画像形成面によって、この3次元ベクトル場を切断したときに、切断面上の各点におけるベクトル場の配向性に基づいて繊維潜り角を求め、画像形成面上に繊維潜り角の2次元分布を定義する手法を、特願平9-348840において提案している。
【0011】
しかしながら、前記出願における発明では、算出された繊維潜り角の2次元分布を用いて、直接万線パターンを作成し、エンボス加工しているため、最終的にどのような「照り」が得られるかは、実際に加工するまで確認できない。そのため、作成した製品の照りが満足できるものでない場合は、材料、時間が無駄になるという問題がある。
そこで、本発明は、実際にエンボス加工を行わなくても、定義した木理の所定断面による繊維潜り角の2次元分布を用いて、最終的にどのような「照り」が生じるかを、容易に確認することができると共に、それを元に容易に木理のモデルの修正を行うことが可能な木理モデリング装置を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明では、画像の高さ、フリッチ幅、切断面の位置、繊維の配向性の各パラメータを入力するパラメータ入力手段と、前記入力された繊維の配向性に基づいて3次元ベクトル場を発生するベクトル場発生手段と、前記入力された切断面の位置に従って形成される画像形成面によって、前記3次元ベクトル場を切断したときに切断面上の各点におけるベクトル場の配向性に基づいて繊維潜り角を求め、前記画像形成面上の各点に繊維潜り角を定義する繊維潜り角演算手段と、事前に設定された繊維潜り角と輝度値との関係を用いて、前記各点の繊維潜り角に基づいて、前記各点に対応する各画素の輝度値算出し、当該各画素で構成される画像を照り画像として生成する輝度演算手段と、指定されたフリッチ数に従って生成された複数の前記照り画像を、前記入力された画像の高さ、フリッチ幅の範囲でそれぞれ表示する表示手段を有する木理モデリング装置を提供する。請求項1に記載の発明では、特に、入力されたパラメータに従って3次元ベクトル場を発生し、入力されたパラメータに従って決定される画像形成面により3次元ベクトル場を切断したときの切断面における繊維潜り角を求め、この繊維潜り角により生じる照りを表現する輝度値を算出し、この輝度値を各画素について求めることにより得られる照り画像を表示するようにしたので、算出した繊維潜り角の画像形成面上における分布に基づいて、エンボスシートを作成する前に、画面上で照りの状態を確認することができる。さらに、設定したフリッチ(集成材の構成要素となる短冊状の木材)の数だけ、画像表示領域に照り画像が並べて表示されるようにしたので、エンボスシートを作成する前に、複数のエンボスシートを並べた場合の照りの状態を確認することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明における表示手段が照り画像を表示する画像表示領域と、パラメ−タを設定するための設定領域を有していることを特徴とする
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
まず、本発明によりそのモデルを作成する「木理」について説明する。上述のように木材の断面を観察したときに「照り」および「照りの移動」が生じるのは、天然木の材面上では、繊維質の配向性が部分ごとに異なっているためである。天然木の内部には、植物としての営みを行うために、細胞、導管、繊維などの種々の要素が含まれており、これらの要素は全体的には樹木の成長方向を向いている。ここでは、このように樹木の成長方向に沿った軸方向要素を包括的に繊維質と呼ぶことにする。
【0015】
このように、天然木の繊維質の配向性は、全体的には樹木の成長方向を向いていいるものの、部分的にはその配向性にバラツキを生じていることが多い。このような配向性は一般に「木理」と呼ばれており、配向性の状態により、波状木理、螺旋木理、交錯木理といった名称で呼ばれている。例えば、実際の天然木の成長方向が基準軸Aの方向だとすると、天然木内部の繊維質は全体としてはこの基準軸Aに沿った方向に伸びているが、部分的にはその配向性にバラツキが生じていることになる。このような部分的な配向性のバラツキが、材面上では「照り」として認識されることになるのである。
【0016】
ここでは、この「木理」の概念を視覚的に把握できるように、図1に示すような基準繊維束モデルを考える。ここに示すモデルは、樹木内の導管や繊維などの軸方向要素の配向性を、多数の細長い円筒状繊維の束で示したものであり、樹木を構成する繊維質の流れの向きを示すものである。もちろん、実際の天然木は、このような単純な円筒状繊維の束から構成されるわけではなく、細胞、導管、繊維など多数の要素を含んでいるが、ここではこれら多数の要素の軸方向要素の配向性を示すモデルとして、円筒状の繊維束モデルを用いることにする。基本的には、この図2に示すように、繊維束の配向性は成長方向を向いた基準軸Aに沿ったものとなり、個々の繊維はいずれも基準軸Aに平行に配置されるはずである。すなわち、ある繊維上での着目点Pと、同じ繊維上の隣接点Qとの位置関係を考えると、点Pから点Qへ向かうベクトル(以下、繊維方向ベクトルと呼ぶ)は、基準軸Aの方向を向いたものになる。しかしながら、自然界で成長する樹木には、その成長過程において、部分的に配向性が異なる現象が多く見られ、そのような配向性のバラツキ現象が「木理」として現れることになる。
【0017】
例えば、図2の左側に示すように、基準軸Aに対して垂直な方向をBとし、基準軸Aに沿った方向を示すベクトルにB方向の成分を部分的に付加することにより繊維方向ベクトルF1を定義する。そして、個々の繊維が、この繊維方向ベクトルF1に沿った方向を向くように、図1に示す基準繊維束モデルを歪ませると、図2の右側に示すような歪曲繊維束モデルが得られる。図1のモデルにおける点P,Qは、図2のモデルではそれぞれ点P′,Q′へと変位しており、点P′から点Q′へ向かうベクトルは、点P(もしくは点P′)の位置における繊維方向ベクトルF1となる。このような歪曲繊維束モデルは、一般に波状木理と呼ばれている木理を含んだモデルとなる。
【0018】
続いて、繊維質の配向性と照り模様との関係を考えてみる。図1に示すような基準繊維束モデル、すなわち、繊維質の配向性が全て基準軸Aに沿ったモデルを、図3に示すように、基準軸Aに垂直な切断面Jで切った場合と、図4に示すように、基準軸Aに平行な切断面Jで切った場合について、それぞれ切断面Jの鏡面反射光強度(光沢度)を比べてみる。一般に、図3に示すように、樹木の成長方向(基準軸Aの方向)に対して垂直な切断面で天然木を切断したときに現れる切り出し面は「木口面」と呼ばれており、図4に示すように、樹木の成長方向(基準軸Aの方向)に対して平行な切断面で天然木を切断したときに現れる切り出し面は「柾目面」と呼ばれている。なお、より正確には、「柾目面」とは、特に中心軸を通る面で切断した場合の切り出し面をいい、切断面が成長方向に平行ではあるが、中心軸からはずれている場合は「板目面」という。
【0019】
図3に示すような「木口面」による切断を行うと、材木板表面に対して、個々の繊維は垂直に潜るような配向性を有することになり、照射された光は材木板内部で吸収されやすくなり、外部に出てきにくくなる。従って、表面の鏡面反射率は低くなり、光沢感のない面になる。これに対し、図4に示すような「柾目面」による切断を行うと、材木板表面に対して、個々の繊維は水平に寝るような配向性を有することになり、照射された光の多くは材木板内部へは浸透せずに表面で反射することになる。従って、表面の鏡面反射率は高くなり、光沢感のある面になる。「板目面」において切断した場合も、「柾目面」と同様、光沢感のある面になる。もちろん、観察者から見た光沢感は、表面の鏡面反射率だけでなく、光源の方向および観察方向に基づいて定まることは言うまでもない。
【0020】
本発明の木理モデリング装置では、所定のパラメータを設定することにより、上記のような「木理」モデルを作成し、その「木理」モデルを所定の面で切断したときに、その面において実際に生じるであろう「照り」の状態を表示する。
【0021】
図5は、本発明により木理モデリング装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。図5に示すように、本木理モデリング装置は、パラメータ入力手段1、ベクトル場発生手段2、繊維潜り角演算手段3、輝度演算手段4、表示手段5、データ出力手段6により構成される。
【0022】
パラメータ入力手段1は、木理モデルを作成するために必要なパラメータを入力するためのものであり、キーボードやマウス等で実現される。ベクトル場発生手段2は、天然木の木理を表現する3次元ベクトル場を発生する機能を有し、例えば、図2に示すような歪曲繊維束モデルに対応する3次元ベクトル場を発生する機能を有する。具体的には、図2に示す繊維ベクトルF1を示すための方程式を格納することができれば良い。
【0023】
繊維潜り角演算手段3は、所定の画像形成面によって、ベクトル場発生手段2が発生した3次元ベクトル場を切断したときに、この切断面上の各点におけるベクトル場の配向性に基づいて繊維潜り角を求め、画像形成面上の各点に繊維潜り角を定義する演算を行う機能を有する。具体的には、ベクトル場発生手段2内に格納されている3次元ベクトル場を示す方程式と、画像形成面を示す方程式とに基づいて、幾何学演算を実行し、画像形成面上の各点(例えば、各画素の中心位置に対応する点など、後の演算で必要になる点)について、それぞれ繊維潜り角ξを求める機能を有する。
【0024】
輝度演算手段4は、繊維潜り角演算手段3により算出された繊維潜り角に基づいて、エンボス加工が行われた際の「照り」の状態を示す照り画像を作成する機能を有する。ベクトル場発生手段2、繊維潜り角演算手段3、輝度演算手段4は、現実には、コンピュータに専用のプログラムを搭載することにより実現される。
【0025】
表示手段5は、輝度演算手段4により作成された照り画像を表示する機能を有すると共に、パラメータ入力手段1でパラメータを入力する際に、補助となるように、パラメータ設定画面を表示する。表示手段5は、コンピュータに接続されたCRTディスプレイ等で実現される。
【0026】
データ出力手段6は、繊維潜り角演算手段3により算出された繊維潜り角を出力するものである。出力された繊維潜り角は、万線パターンを表現した2値画像に変換された後、刷版手段に渡されてエンボス版が作成され、このエンボス版によりエンボス加工が行われ、照りを生じるエンボスシートが作成される。
【0027】
以下、図5に示す木理モデリング装置の処理動作を説明する。
処理を開始すると、図6に示すようなパラメータ設定画面が表示される。左側の領域は画像表示領域であり、本装置により作成された木理モデルにより、どのような照りが表現されるかを表示するものである。右側の領域は設定領域であり、木理モデルを作成するためのパラメータが設定可能になっている。設定領域について上から順に説明する。「NUMBER OF FLITCH」は、スライダーを動かすことにより、フリッチの数を指定するものである。実際に製品となる木材模様は、複数の木材模様を集成したものとなっており、この集成材の構成要素となる短冊状の木材模様を「フリッチ」という。本実施形態では、5つのフリッチまで指定可能になっており、各フリッチに対応する木理モデルを作成して、各木理モデルにより表現される照りの状態を画像表示領域に表示することができる。これにより、5つのエンボス版を作成した後、各エンボス版によりエンボス加工した場合の照りの状態を確認することができる。「NUMBER OF FLITCH」の下に配置されている「height(mm)」は、画像表示領域に表示される画像の高さ(画面上下方向の長さ)をmm単位で指定するものである。これをエンボス版の版胴の円周長に設定しておくと、エンボス版に刷版される万線による「照り」全体の状態が確認できることになる。「height(mm)」の下に配置されている「TARGET FLITCH」は、設定対象のフリッチを指定するものである。図6の例のように、「NUMBER OF FLITCH」のスライダーが「4」に設定されると、画像表示領域が4つのフリッチ領域に分割されると共に、「TARGET FLITCH」において、4つのフリッチが指定可能になる。
【0028】
図6の例では、1番目のフリッチが指定されているので、以下の設定項目では、画像表示領域の1番左側のフリッチ領域の木理モデルの設定を行うことになる。「FLITCH SPECIFICATION」は、選択したフリッチの幅、作成した木理モデルにおけるどの部分を切断面とするか、を設定するものである。フリッチの幅は、「width(mm)」にmm単位で設定が可能であり、設定された幅に対応する分だけ、画像表示領域内のフリッチの幅が確保される。続いて、切断面については、「ITAME」、「MASAME」のどちらかを選択することにより、板目か柾目かを指定することができる。また、その下の「CUT」では、切断面の木理モデルにおける髄(中心軸)からの距離を設定する。ここで、板目面、柾目面と「CUT」において設定する距離dとの関係を図7に示す。図7において、外側の円は木理モデルの外周を示し、内側の円は髄を示す。
【0029】
「TERI DESIGN」では、木理モデルにおける繊維の配向性を設定する。ここでは、「Kihonhaba(mm)」により基本幅、「Habahenka(mm)」により幅変化がそれぞれ設定できる。基本幅、幅変化については後述する。1番下にある「実行」ボタンは、実行を指示するためのものであり、ここをクリックすると、設定された内容に従って、照りを表現する画像が画像表示領域に表示されることになる。
【0030】
オペレータが図6に示す設定画面を見ながら、パラメータ入力手段1より各項目に対して所定の値を設定した後、実行を指示すると、ベクトル場発生手段2により、木理を表現した繊維束モデルが生成される。これは、あらかじめベクトル場生成手段2に格納されている繊維ベクトルF1を示すための方程式により生成される。例えば、Z軸を基準軸Aに一致させたXYZ3次元座標系において、図1に示すような基準繊維束モデルを構成する各点の位置を座標値(x,y,z)で定義しておき、以下のような(数式1)に基づいて、新たな座標値(x′,y′,z′)を求め、座標値(x,y,z)に位置していた点を新たな座標値(x′,y′,z′)へと移動させれば、移動後の点の集合によって図2に示すような波状木理の歪曲繊維束モデルが形成される。
【0031】
(数式1)
x′=x+α×sin(β×z)
y′=y
z′=z
ただし、αおよびβは所定の定数、乱数もしくは関数
【0032】
ここで、図1のモデルにおいて基準軸Aに沿って配置されていた2点P,Qが図2のモデルではそれぞれ点P′,Q′に移動したとすれば、点P′から点Q′に向かう方向を、例えば点P′におけるベクトル場の方向と定義することができる。言い換えれば、上述の(数式1)によって、図2に示すような波状木理に相当する3次元ベクトル場を定義することができる。(数式1)を用いて、波状木理モデルを生成する際、図6に示すパラメータ設定画面における「Kihonhaba(mm)」、「Habahenka(mm)」で設定した基本幅、幅変化は、(数式1)のβに作用する。基本幅をβ0、幅変化をβvとすると、βは以下の(数式2)で表現される。
【0033】
(数式2)
β=β0+βv×f
ただし、−1≦f≦1
【0034】
(数式2)において、fとしては、乱数または適当な関数を用いることができるが、滑らかに値が変化する1次元フラクタル関数を用いることが好ましい。
【0035】
3次元ベクトル場が発生されたら、繊維潜り角演算手段3では、発生された3次元ベクトル場内に所定の切断面J(画像形成面)を定義し、この切断面J上の各位置について、ベクトルと切断面とのなす角度ξを演算によって求める処理を行う。このとき、切断面Jは、図6に示すパラメータ設定画面における切断面の設定、すなわち、板目か柾目かの選択、中心軸との距離の設定に基づいて決定される。
【0036】
設定した画像形成面の各点における繊維潜り角が算出されたら、輝度演算手段4が、表示手段5の画像表示領域に表示すべき照り画像を作成する。画像形成面の各点と照り画像の各画素は1対1で対応しており、照り画像の各画素の輝度値Iは繊維潜り角ξに対して所定の値をとるように定めることができる。ここでは、以下の(数式3)を用いて求めることができる。
【0037】
(数式3)
I=A×cosnθ
ただし、θ=ξ−η
【0038】
上記の(数式3)において、Aは係数であり、nは設定により適宜な値を与えることができる。また、ηは仮想的な光線の方向の画像形成面の法線方向に対する角度である。輝度Iと角度θとの関係を(数式3)のように定めるのは、繊維方向ベクトルと光線方向ベクトルの差が90°のとき、すなわち、上記のようにηを画像形成面の法線方向からの角度と定めた場合のθが0°のとき、最大の輝度が得られ、その状態から離れるにつれて輝度が小さくなるため、輝度はcosnθに比例すると考えられるからである。
【0039】
各画素における輝度値が算出されたら、照り画像が表示手段5の画像表示領域に表示される。本実施形態では、上記のようにして、最大5つまでの照り画像を画像表示領域に並べて表示させることができる。この状態で、各照り画像の照りの状態や、隣り合う画像の照りに違和感がないか等を確認し、修正の必要があれば、パラメータ設定領域におけるパラメータを変更して、再度照り画像を作成して表示を行う。画像表示領域に表示された照り画像に問題がなければ、製品の作成のためにデータ出力指示を行う。データ出力指示を行うと、画像形成面の各点に繊維潜り角が定義されたものが、データ出力手段6より出力される。画像形成面に定義された繊維潜り角は、画像形成面に含まれる方向の方向ベクトルに変換された後、万線に変換される。さらに、得られた万線パターンを用いて、刷版を行ってエンボス版が作成される。このような画像形成面に定義された繊維潜り角からエンボス版を作成する手法については周知であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、木理モデルとして波状木理について説明したが、ベクトル場発生手段2に他の形態の木理を表現する繊維ベクトルを示すための方程式を格納しておけば、他の形態の木理モデルの設計も可能になる。
【0041】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、入力されたパラメータに従って3次元ベクトル場を発生し、入力されたパラメータに従って決定される画像形成面により3次元ベクトル場を切断したときの切断面における繊維潜り角を求め、この繊維潜り角により生じる照りを表現する輝度値を算出し、この輝度値を各画素について求めることにより得られる照り画像を表示するようにしたので、算出した繊維潜り角の画像形成面上における分布に基づいて、エンボスシートを作成する前に、画面上で照りの状態を確認することができる。
さらに、表示手段が画像表示領域と設定領域を有し、設定領域において設定したフリッチ(集成材の構成要素となる短冊状の木材)の数だけ、画像表示領域に照り画像が並べて表示されるようにすることにより、エンボスシートを作成する前に、複数のエンボスシートを並べた場合の照りの状態を確認することができる。
結果として、エンボス版、エンボスシート等を余分に作成する必要がなくなるため、材料、時間の削減につながるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】繊維束が全て基準軸Aの方向を向いた基準繊維束モデルを示す斜視図である。
【図2】繊維束の方向が波状木理に基づいて変化する歪曲繊維束モデルを示す斜視図である。
【図3】図1に示す基準繊維束モデルを木口面で切断した状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示す基準繊維束モデルを柾目面で切断した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の木理モデリング装置の一実施形態を示す構成図である。
【図6】表示手段5に表示されるパラメータ設定画面を示す図である。
【図7】パラメータ設定画面において設定可能な切断面を説明するための図である。
【図8】万線パターンがエンドレス加工されたシートの表面に形成された万線条溝Gの構造を示す斜視図である。
【図9】一般的な材木版における繊維方向ベクトルFと光線ベクトルLとの関係を示す側断面図である。
【図10】一般的な材木板におけるベクトル交錯角φ(繊維潜り角ξ)と鏡面反射光強度Wとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・・パラメータ入力手段
2・・・ベクトル場発生手段
3・・・繊維潜り角演算手段
4・・・輝度演算手段
5・・・表示手段
6・・・データ出力手段

Claims (2)

  1. 画像の高さ、フリッチ幅、切断面の位置、繊維の配向性の各パラメータを入力するパラメータ入力手段と、
    前記入力された繊維の配向性に基づいて3次元ベクトル場を発生するベクトル場発生手段と、
    前記入力された切断面の位置に従って形成される画像形成面によって、前記3次元ベクトル場を切断したときに切断面上の各点におけるベクトル場の配向性に基づいて繊維潜り角を求め、前記画像形成面上の各点に繊維潜り角を定義する繊維潜り角演算手段と、
    事前に設定された繊維潜り角と輝度値との関係を用いて、前記各点の繊維潜り角に基づいて、前記各点に対応する各画素の輝度値算出し、当該各画素で構成される画像を照り画像として生成する輝度演算手段と、
    指定されたフリッチ数に従って生成された複数の前記照り画像を、前記入力された画像の高さ、フリッチ幅の範囲でそれぞれ表示する表示手段と、
    を有することを特徴とする木理モデリング装置。
  2. 前記表示手段は前記照り画像を表示する画像表示領域と、前記パラメ−タを設定するための設定領域を有していることを特徴とする請求項1に記載の木理モデリング装置。
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