JP4172556B2 - 二次元スカラ場デザイン方法及びそのシステム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、エンボス加工等に用いる万線パターンを生成する元となる二次元スカラ場を対話的に修正してデザインするための方法及びそのためのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
壁紙や床材等の建材の表面装飾や、家具の表面装飾のために用いる化粧シートにおいては、照りと称される光沢模様を表現するために、万線パターンを直接化粧シートにエンボス加工したり、あるいは透明なシートに万線パターンをエンボス加工してエンボスシートを作成し、そのエンボスシートを木目柄等の模様を印刷した化粧シートに貼り付けて積層構造とすることが広く行われている。
【0003】
このように、万線パターンをエンボス加工することによって照りが表現できる原理は概略次のようである。
図4は、万線パターンをエンボス加工して万線条溝Gが形成されたシートEの斜視図であり、この例では、幅W1の万線条溝GがW2の間隔で多数形成されている。シートEの全体の厚みD1に対して、万線条溝Gは深さD2の溝を形成しており、多数の万線条溝Gがほぼ平行に配置されている。このような万線条溝Gからなるパターンは、幅W1をもった凹部と幅W2をもった凸部との二段階の段差構造を有している。
【0004】
このような万線条溝Gが形成されたシートEは、その表面から得られる反射光の強度が位置によって異なることが知られている。つまり、異方性反射を行うのである。そして、このようなシートEを見る視線を連続的に変化させると、強く反射する箇所、即ち輝度が高く、明るく光る箇所が変化していく。これが照りの移動と称されるものである。
【0005】
さて、上述したような照り、及び照りの移動を表現する万線パターンとしては、エンボス加工を行った場合に、天然の木材が発現するような自然な照り、及び照りの移動を表現できるものが望ましいことは当然である。そこで、天然の木材が照り、及び照りの移動を発現する原理を考えると、それは、木材表面における繊維潜り角に起因していることが知られている。概略説明すると次のようである。
【0006】
図5は、材木板表面の繊維質の配向性と鏡面反射率との関係を説明する図である。いま、材木板100の表面(切断面J)に、図に繊維方向ベクトルF→(電子出願の制約から、本来符号の上部に付記するベクトル記号“→”を符号右側に付記することにする)として示すような配向性をもって繊維Fが配置されているものとする。このとき、切断面Jと繊維Fとのなす角ξは繊維潜り角と呼ばれている。
【0007】
そして、材木板100の上方に仮想光源200(面光源)を仮定し、この仮想光源200から材木板100の表面(切断面J)に対して垂直な光線が照射され、この表面からの拡散反射光および鏡面反射光を観察することを考える。この場合、観察される拡散反射光の強度は、材木板100の表面の木目模様の色成分によって左右され、この拡散反射光による画像は、いわゆる着色された模様として認識されることになる。一方、観察される鏡面反射光の強度W(光沢度)は、繊維潜り角ξによって左右され、通常、図6のグラフに示すような関係となる。より正確には、各部における鏡面反射光強度は、光の照射方向と繊維潜り角ξとの双方によって決定される。即ち、図5に示すように、切断面J上の点Pにおいて、光線方向ベクトルL→と繊維方向ベクトルF→とを図のように定義すれば、両ベクトルの交錯角φによって点Pにおける鏡面反射光強度が決定されることになる。上述の例のように、光線方向ベクトルL→が切断面Jに対して垂直であるモデルの場合、ベクトル交錯角φ=90°−ξとなり、図6のグラフに示すように、φ=90°のときに鏡面反射光強度が最高になり、φ= 0°のときに最低となる。
【0008】
実際の天然木から切り出した材木板の表面に照り模様が見られるのは、切断面上の各部分ごとに異なる繊維潜り角ξが得られるからであり、この部分毎に異なる繊維潜り角ξに基づいて照り模様が現れることになるのである。また、以上のことから、例えば図5において観察位置を変えずに仮想光源200を移動させた場合、あるいは仮想光源200の位置を固定して観察位置を変えた場合には、材木板100の照りが発現する位置が変化することになることは明らかであろう。これが照りの移動である。
【0009】
そこで、近年では、適宜な手法を用いてコンピュータにより繊維潜り角の二次元分布を求めて、それを二次元スカラ場とし、その繊維潜り角の二次元分布を表す二次元スカラ場に基づいて万線パターンを作成し、その万線パターンを用いてエンボス加工したり、あるいは天然の木材から各位置での繊維潜り角を抽出して二次元スカラ場を作成し、その二次元スカラ場に基づいて万線パターンを作成し、その万線パターンを用いてエンボス加工したりすることが行われている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、何等かの手法により二次元スカラ場を作成したとしても、その二次元スカラ場に基づいて万線パターンを作成し、その万線パターンを用いてエンボス加工を行った場合に、デザイナーが意図する通りの照り、及び照りの移動が得られるかどうかは全く判らず、実際に万線パターンを作成し、エンボス加工を行ってみないと判らないものであった。
【0011】
しかし、実際にエンボス加工を行わないと作成した二次元スカラ場の良否が判断できないのでは、時間もかかり、作り直し等を行うとコストも高くなってしまう。
【0012】
そこで、本発明は、作成した二次元スカラ場の良否を判断でき、所望のものでない場合には二次元スカラ場の修正を行うことができる二次元スカラ場デザイン方法及びそのシステムを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の二次元スカラ場デザイン方法は、二次元スカラ場画像入力装置と、マスク画像設定/更新装置と、表示用画像作成装置と、表示装置と、二次元スカラ場更新装置と、ポインティングデバイスと、所望の形状及び所望のサイズを有する領域が設定され、且つその領域内には、表示装置に表示されている画像上におかれたときに、当該領域内にある表示画像中の各画素の画素値を変更するための強度の値の分布が設定されたペンを設定するためのペン設定装置とを用いる二次元スカラ場デザイン方法であって、二次元スカラ場画像入力装置により繊維潜り角の二次元分布を表している二次元スカラ場を入力する第1の工程と、マスク画像設定/更新装置により、前記入力した二次元スカラ場と同サイズのマスク画像を生成して、そのマスク画像の全ての画素に所定の値を書き込むことによってマスク画像を初期化する第2の工程と、表示用画像作成装置により、前記入力した二次元スカラ場の全ての画素の繊維潜り角を正規化し、その正規化した繊維潜り角に応じて各画素に輝度を割り当てることによって表示用画像を作成し、その作成した表示用画像を表示装置に表示する第3の工程と、ペン入力のメニューが選択され、ペン設定装置で設定されたペンがポインティングデバイスにより表示装置に表示されている表示用画像上におかれたとき、表示装置からマスク画像設定/更新装置、及び表示用画像作成装置に対して、ペンがおかれた表示画像中の座標、及び当該ペンの形状、サイズ及び強度の値の分布を通知する第4の工程と、マスク画像設定/更新装置により、第2の工程で作成し、初期化したマスク画像と、第4の工程で表示装置から渡されたペンがおかれた表示画像中の座標、及び当該ペンの形状、サイズ及び強度の値の分布とに基づいて、マスク画像中のペンの領域に含まれる各画素の値を変更する第5の工程と、表示用画像作成装置により、表示用画像中のペンの領域に含まれる各画素の輝度値を、それぞれの画素位置におけるペンの強度に応じて変更して、表示装置に表示する第6の工程と、ペン入力の終了のメニューが選択されたときに、表示装置からマスク画像設定/更新装置にペン入力の終了を通知し、それに応じてマスク画像設定/更新装置から、そのときのマスク画像を二次元スカラ場更新装置に渡す第7の工程と、二次元スカラ場更新装置により、二次元スカラ場画像入力装置から入力された二次元スカラ場の各画素の繊維潜り角を、マスク画像設定/更新装置から渡されたマスク画像の対応する画素の値を用いて更新する第8の工程とを備えることを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の二次元スカラ場デザインシステムは、繊維潜り角の二次元分布を表している二次元スカラ場を入力する二次元スカラ場画像入力装置と、二次元スカラ場画像入力装置で入力した二次元スカラ場と同サイズのマスク画像を生成し、そのマスク画像の全ての画素に所定の値を書き込むことによってマスク画像を初期化するマスク画像設定/更新装置と、二次元スカラ場画像入力装置で入力した二次元スカラ場の全ての画素の繊維潜り角を正規化し、その正規化した繊維潜り角に応じて各画素に輝度を割り当てることによって表示用画像を作成する表示用画像作成装置と、表示用画像作成装置で作成された表示用画像を表示する表示装置と、二次元スカラ場更新装置と、ポインティングデバイスと、所望の形状及び所望のサイズを有する領域が設定され、且つその領域内には、表示装置に表示されている画像上におかれたときに、当該領域内にある表示画像中の各画素の画素値を変更するための強度の値の分布が設定されたペンを設定するためのペン設定装置とを備える二次元スカラ場デザインシステムであって、表示装置は、更に、ペン入力のメニューが選択され、ペン設定装置で設定されたペンがポインティングデバイスにより表示装置に表示されている表示用画像上におかれたときには、マスク画像設定/更新装置、及び表示用画像作成装置に対して、ペンがおかれた表示画像中の座標、及び当該ペンの形状、サイズ及び強度の値の分布を通知する動作を行い、また、ペン入力の終了のメニューが選択されたときには、マスク画像設定/更新装置にペン入力の終了を通知する動作を行い、マスク画像設定/更新装置は、更に、作成し、初期化したマスク画像と、表示装置から渡されたペンがおかれた表示画像中の座標、及び当該ペンの形状、サイズ及び強度の値の分布とに基づいて、マスク画像中のペンの領域に含まれる各画素の値を変更する動作を行い、また、表示装置からペン入力の終了が通知されたときには、そのときのマスク画像を二次元スカラ場更新装置に渡す動作を行い、表示用画像作成装置は、更に、表示装置から、ペンがおかれた表示画像中の座標、及び当該ペンの形状、サイズ及び強度の値の分布を受けたときには、表示用画像中のペンの領域に含まれる各画素の輝度値を、それぞれの画素位置におけるペンの強度に応じて変更することによって表示用画像を更新し、二次元スカラ場更新装置は、二次元スカラ場画像入力装置から入力された二次元スカラ場の各画素の繊維潜り角を、マスク画像設定/更新装置から渡されたマスク画像の対応する画素の値を用いて更新することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ実施の形態について説明する。
図1は本発明に係る二次元スカラ場デザインシステムの一実施形態を示す図であり、図中、1は二次元スカラ場画像入力装置、2はマスク画像設定/更新装置、3は表示用画像作成装置、4は表示装置、5は二次元スカラ場更新装置、6は二次元スカラ場出力装置、7はポインティングデバイス(以下、PDと称す)、8はペン設定装置を示す。
【0016】
まず、図1に示す構成の各装置の概略について説明する。
二次元スカラ場画像入力装置1は、繊維潜り角の二次元分布を表している二次元スカラ場を画像データとして入力するものである。この二次元スカラ場の入力は、当該二次元スカラ場がフロッピーディスク等の適宜な記憶媒体に記憶されている場合には、当該記憶媒体から読み出せばよく、また、二次元スカラ場を生成する装置とネットワークで接続されている場合には、このネットワークを介して取り込めばよい。なお、入力される二次元スカラ場は各画素に対して繊維潜り角が書き込まれたものであることは当然であり、どのような方法で作成されたものでもよい。
【0017】
マスク画像設定/更新装置2は、二次元スカラ場画像入力装置1から二次元スカラ場が入力されると、当該二次元スカラ場と同じサイズのマスク画像を設定し、初期化すると共に、後述するように表示装置4から入力されたペンのデータを取り込んで、そのペンのデータをマスク画像に反映させる。なお、ここではマスク画像の初期化は、マスク画像の全画素に対して「1」の値を書き込むことによって行うものとする。
【0018】
表示用画像作成装置3は、二次元スカラ場画像入力装置1から入力された二次元スカラ場を表示装置4に表示すると共に、後述するように表示装置4に表示されている画像の上でペンが作用された場合には、そのペンのデータに基づいて表示用画像を更新する。以下、この表示用画像作成装置3で作成された画像を二次元スカラ場画像と称することにする。
【0019】
表示装置4はカラーCRT等の適宜な表示手段によって構成されている。
二次元スカラ場更新装置5は、二次元スカラ場画像入力装置1から入力された二次元スカラ場に対して、マスク画像設定/更新装置2に反映されたペンのデータに基づいて二次元スカラ場を更新するものである。
【0020】
二次元スカラ場出力装置6は、二次元スカラ場更新装置5で更新された二次元スカラ場を外部に出力するものであり、例えば二次元スカラ場から万線パターンを生成する装置等で構成される。
【0021】
PD7は、表示装置4の画面上でメニューの選択、あるいは表示用画像作成装置3で作成され、表示されている画像の所望の箇所に対してペンを作用させる等の操作を行うためのもので、例えばマウスで構成される。
【0022】
ペン設定装置8は、二次元スカラ場画像入力装置1に入力された二次元スカラ場の中のある画素またはある領域内の画素の値、即ち繊維潜り角を修正するためのペンの種々の属性を設定するためのものである。ペンの属性としては、ペンの形状、サイズ、その強度分布などがある。その例を図2に示す。図2では、ペンの形状は図2(a)に示すように円となされており、そのサイズ、この場合は半径はrとなされている。このペン内の強度分布は任意に設定することができ、図2(b)に示すように、ペンの中心からの距離に応じて強度を滑らかに変化させることもでき、図2(c)に示すようにペン内で一定の強度にすることもでき、図2(d)に示すようにペンの中心から直線的に変化させるようにすることも可能である。なお、ここではペンの強度は[0,1]の範囲に正規化している。以下、同様である。
【0023】
このようなペンとしては、種々の形状、種々のサイズ、種々の強度特性のペンを予め登録しておいて、オペレータが所望のペンをメニュー選択により使用するようにしてもよく、あるいはオペレータが、必要に応じて、メニューにより形状、サイズ、強度特性を所望のように設定可能としてもよい。
【0024】
以下、図1に示す二次元スカラ場デザインシステムの動作について、デザイン方法と共に説明する。
【0025】
まず、二次元スカラ場画像入力装置1により、繊維潜り角の二次元分布を表している二次元スカラ場を画像データとして入力する。この入力された二次元スカラ場のデータは、マスク画像設定/更新装置2、表示用画像作成装置3、二次元スカラ場更新装置5に供給される。
【0026】
これに応じて、マスク画像設定/更新装置2は、入力された二次元スカラ場と同じサイズのマスク画像を生成し、そのマスク画像の全画素に対して「1」の値を書き込むことによって初期化する。また、二次元スカラ場更新装置5は供給された二次元スカラ場のデータをそのまま保持する。
【0027】
更に、表示用画像作成装置3は、入力された二次元スカラ場のデータに基づいて表示用画像を作成する。表示用画像を作成する手法は種々考えられるが、ここでは次のような処理を行うものとする。まず、入力された二次元スカラ場の全画素の繊維潜り角を調べ、絶対値が最大である繊維潜り角ξMAX を求め、この繊維潜り角│ξMAX│で全画素の繊維潜り角を除算することによって、全画素の繊維潜り角を正規化する。これによって、入力された二次元スカラ場の各画素の値は[−1,1]の範囲に正規化されることになる。そして、その正規化された繊維潜り角に対して輝度を割り当てる。これは、ある画素の正規化された繊維潜り角をθijとすると、当該画素の輝度Iijを
Iij=(θij+1)/2 …(1)
と定義すればよい。これによって、各画素の輝度は[0,1]の範囲内に正規化されることになり、しかも、正規化された繊維潜り角が−1である画素の輝度である0から、正規化された繊維潜り角が1である画素の輝度である1まで、輝度は画素の正規化された繊維潜り角に対応して連続して変化することになる。
【0028】
このように、表示用画像作成装置3は、入力された二次元スカラ場の各画素の繊維潜り角を正規化し、更に(1) 式の演算を各画素の値に対して行って、二次元スカラ場画像を作成する。そして、この二次元スカラ場画像は表示装置4の画面の所定の領域に表示される。
【0029】
このように正規化された繊維潜り角に応じて輝度を割り当てることは重要である。なぜなら、繊維潜り角の値に依存して鏡面反射光の進行方向が変化することが知られており、従ってオペレータは、表示装置4に表示された画像を観察することによって、どのような箇所でどの程度の異方性反射が生じるかを予測することが可能になるからである。
【0030】
そして、オペレータは表示装置4に表示された画像を観察して、修正したい場合にはペンを用いて修正を行う。例えば、いま、表示されている画像に対して修正を行うために、PD7により表示装置4の画面上のメニュー(図示せず)からペン入力を選択し、ペンとして図2(c)に示すものを選択し、そのペンを二次元スカラ場画像のある箇所においたとする。このペンは半径rの円で、この円内の強度はm(0<m<1)で一定である。
【0031】
このとき、表示装置4は、ペンの形状、サイズ、強度分布に関するデータ、及びペンがおかれた二次元スカラ場画像中の座標をマスク画像設定/更新装置2及び表示用画像作成装置3に渡す。
【0032】
これに応じて、マスク画像設定/更新装置2は、マスク画像中のペンの領域に含まれる各画素の値に、それぞれの画素位置におけるペンの強度の値を乗算する。この場合には、マスク画像中のペンの領域に含まれる全ての画素の値はmとなされることになる。例えば、マスク画像が図3の矩形で示すようであり、ペンが作用された箇所が図3の円で示すようであったとすると、このペンの円内の全ての画素の値はmとなされるのである。ペンの円外の画素値は初期化された1のままである。
【0033】
また、表示用画像作成装置3は、二次元スカラ場画像中のペンの領域に含まれる各画素の輝度値を、それぞれの画素位置におけるペンの強度に応じて変更する。例えば、正規化された繊維潜り角がθijの画素位置におけるペン強度がmである場合には、当該画素の輝度値を
Iij=(m・θij+1)/2 …(2)
の演算により変更すればよい。そして、この変更された二次元スカラ場画像は表示装置4に表示されることになる。
【0034】
以下、同様にして二次元スカラ場画像の所望の箇所に対して、所望のペンを作用させることができるが、ここでは上述したように図2(c)のペンを1回だけ作用させて終了したとする。ペン入力を終了する場合には、オペレータは表示装置4の画面上のメニューから終了のメニューを選択する。終了のメニューが選択されると、表示装置4はペン入力が終了されたことをマスク画像設定/更新装置2に通知する。この通知を受けると、マスク画像設定/更新装置2は、そのときのマスク画像を二次元スカラ場更新装置5に渡す。
【0035】
これに対して、二次元スカラ場更新装置5は、二次元スカラ場画像入力装置1から渡された二次元スカラ場のデータに対して、マスク画像設定/更新装置2から渡されたマスク画像を作用させて、二次元スカラ場を更新する。その処理としては、二次元スカラ場の画素の繊維潜り角と、当該画素位置と対応するマスク画像の画素の値を乗算すればよい。例えば、二次元スカラ場のある画素の繊維潜り角をξ、当該画素位置と対応するマスク画像の画素の値がn(0<n<1)であるとすると、二次元スカラ場の当該画素の値はξ×nに更新されることになる。従って、マスク画像が図3に示すようである場合には、二次元スカラ場の画素の中のペンの領域に含まれる画素の繊維潜り角に対してはmが乗算され、ペンの領域に含まれない画素の繊維潜り角に対しては1が乗算されることになる。
【0036】
二次元スカラ場更新装置5は、上記の処理により二次元スカラ場を更新すると、その更新した二次元スカラ場を二次元スカラ場出力装置6に渡す。二次元スカラ場出力装置6として二次元スカラ場から万線パターンを生成する装置を用いた場合には、この更新された二次元スカラ場に基づいて万線パターンが生成されることになる。
【0037】
以上のように、この二次元スカラ場デザイン方法及びシステムによれば、オペレータは二次元スカラ場画像を観察しながら、二次元スカラ場画像の所望の箇所に所望のペンを作用させることができ、しかもその結果が即座に表示されるので、オペレータは対話的に二次元スカラ場を所望のものに修正、デザインすることができる。また、繊維潜り角の二次元分布を前もって評価することができることになり、その結果、望ましいデザインの状態で万線パターンの生成、及びエンボス加工の製造工程に入ることができるので、コストの低減に寄与することができるものである。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記の実施形態では二次元スカラ場の例として繊維潜り角の二次元分布のデータを用いたが、本発明は、その他の二次元スカラ場に対して一般的に適用することができるものである。
【0039】
また、図2においてはペンの強度は[0,1]の範囲内、即ち結果として二次元スカラ場の画素の値を小さくする方向であるとしたが、大きくする方向とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る二次元スカラ場デザインシステムの一実施形態を示す図である。
【図2】 ペンの例を示す図である。
【図3】 マスク画像の更新を説明するための図である。
【図4】 万線パターンがエンドレス加工されたシートの表面に形成された万線条溝Gの構造を示す斜視図である。
【図5】 一般的な材木板における繊維方向ベクトルF→と光線方向ベクトルL→との関係を示す側断面図である。
【図6】 一般的な材木板におけるベクトル交錯角φ(繊維潜り角ξ)と鏡面反射光強度Wとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…二次元スカラ場画像入力装置、2…マスク画像設定/更新装置、3…表示用画像作成装置、4…表示装置、5…二次元スカラ場更新装置、6…二次元スカラ場出力装置、7…ポインティングデバイス(PD)、8…ペン設定装置。
Claims (2)
- 二次元スカラ場画像入力装置と、
マスク画像設定/更新装置と、
表示用画像作成装置と、
表示装置と、
二次元スカラ場更新装置と、
ポインティングデバイスと、
所望の形状及び所望のサイズを有する領域が設定され、且つその領域内には、表示装置に表示されている画像上におかれたときに、当該領域内にある表示画像中の各画素の画素値を変更するための強度の値の分布が設定されたペンを設定するためのペン設定装置と
を用いる二次元スカラ場デザイン方法であって、
二次元スカラ場画像入力装置により繊維潜り角の二次元分布を表している二次元スカラ場を入力する第1の工程と、
マスク画像設定/更新装置により、前記入力した二次元スカラ場と同サイズのマスク画像を生成して、そのマスク画像の全ての画素に所定の値を書き込むことによってマスク画像を初期化する第2の工程と、
表示用画像作成装置により、前記入力した二次元スカラ場の全ての画素の繊維潜り角を正規化し、その正規化した繊維潜り角に応じて各画素に輝度を割り当てることによって表示用画像を作成し、その作成した表示用画像を表示装置に表示する第3の工程と、
ペン入力のメニューが選択され、ペン設定装置で設定されたペンがポインティングデバイスにより表示装置に表示されている表示用画像上におかれたとき、表示装置からマスク画像設定/更新装置、及び表示用画像作成装置に対して、ペンがおかれた表示画像中の座標、及び当該ペンの形状、サイズ及び強度の値の分布を通知する第4の工程と、
マスク画像設定/更新装置により、第2の工程で作成し、初期化したマスク画像と、第4の工程で表示装置から渡されたペンがおかれた表示画像中の座標、及び当該ペンの形状、サイズ及び強度の値の分布とに基づいて、マスク画像中のペンの領域に含まれる各画素の値を変更する第5の工程と、
表示用画像作成装置により、表示用画像中のペンの領域に含まれる各画素の輝度値を、それぞれの画素位置におけるペンの強度に応じて変更して、表示装置に表示する第6の工程と、
ペン入力の終了のメニューが選択されたときに、表示装置からマスク画像設定/更新装置にペン入力の終了を通知し、それに応じてマスク画像設定/更新装置から、そのときのマスク画像を二次元スカラ場更新装置に渡す第7の工程と、
二次元スカラ場更新装置により、二次元スカラ場画像入力装置から入力された二次元スカラ場の各画素の繊維潜り角を、マスク画像設定/更新装置から渡されたマスク画像の対応する画素の値を用いて更新する第8の工程と
を備えることを特徴とする二次元スカラ場デザイン方法。 - 繊維潜り角の二次元分布を表している二次元スカラ場を入力する二次元スカラ場画像入力装置と、
二次元スカラ場画像入力装置で入力した二次元スカラ場と同サイズのマスク画像を生成し、そのマスク画像の全ての画素に所定の値を書き込むことによってマスク画像を初期化するマスク画像設定/更新装置と、
二次元スカラ場画像入力装置で入力した二次元スカラ場の全ての画素の繊維潜り角を正規化し、その正規化した繊維潜り角に応じて各画素に輝度を割り当てることによって表示用画像を作成する表示用画像作成装置と、
表示用画像作成装置で作成された表示用画像を表示する表示装置と、
二次元スカラ場更新装置と、
ポインティングデバイスと、
所望の形状及び所望のサイズを有する領域が設定され、且つその領域内には、表示装置に表示されている画像上におかれたときに、当該領域内にある表示画像中の各画素の画素値を変更するための強度の値の分布が設定されたペンを設定するためのペン設定装置と
を備える二次元スカラ場デザインシステムであって、
表示装置は、更に、ペン入力のメニューが選択され、ペン設定装置で設定されたペンがポインティングデバイスにより表示装置に表示されている表示用画像上におかれたときには、マスク画像設定/更新装置、及び表示用画像作成装置に対して、ペンがおかれた表示画像中の座標、及び当該ペンの形状、サイズ及び強度の値の分布を通知する動作を行い、また、ペン入力の終了のメニューが選択されたときには、マスク画像設定/更新装置にペン入力の終了を通知する動作を行い、
マスク画像設定/更新装置は、更に、作成し、初期化したマスク画像と、表示装置から渡されたペンがおかれた表示画像中の座標、及び当該ペンの形状、サイズ及び強度の値の分布とに基づいて、マスク画像中のペンの領域に含まれる各画素の値を変更する動作を行い、また、表示装置からペン入力の終了が通知されたときには、そのときのマスク画像を二次元スカラ場更新装置に渡す動作を行い、
表示用画像作成装置は、更に、表示装置から、ペンがおかれた表示画像中の座標、及び当該ペンの形状、サイズ及び強度の値の分布を受けたときには、表示用画像中のペンの領域に含まれる各画素の輝度値を、それぞれの画素位置におけるペンの強度に応じて変更することによって表示用画像を更新し、
二次元スカラ場更新装置は、二次元スカラ場画像入力装置から入力された二次元スカラ場の各画素の繊維潜り角を、マスク画像設定/更新装置から渡されたマスク画像の対応する画素の値を用いて更新する
ことを特徴とする二次元スカラ場デザインシステム。
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JP4737358B2 (ja) * | 2001-06-22 | 2011-07-27 | 大日本印刷株式会社 | エンボスパターンの作成方法、エンボスパターン作成装置、及び化粧シート作成方法 |
JP5630173B2 (ja) * | 2010-09-15 | 2014-11-26 | 大日本印刷株式会社 | 艶ムラ除去用ノイズデータ生成装置、艶ムラ除去装置、艶ムラ除去用ノイズデータ生成方法、艶ムラ除去方法、及びプログラム |
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1998
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JPH11306229A (ja) | 1999-11-05 |
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