JP4439825B2 - 下水道設備の水質制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水道設備の水質制御装置、より詳細には、雨水吐き室に貯留された雨水を含む汚水に対し水質改善処理を施すための下水道設備の水質制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
分流式あるいは合流式の下水道設備、特に晴天時に屋根や、道路、ます、管渠内に蓄積した汚濁物質が雨天時に雨水とともに雨水管もしくは汚水管、合流下水管へ流出し、雨水を含む汚水中の汚濁物質を、沈殿、貯留、凝集剤処理、殺菌剤処理、オゾン処理、紫外線殺菌などの処理を施すことによって、汚濁物質が河川や、湖沼、海域などの公共用水域へ放流されるのを防止し、又は抑制する下水道設備は公知である(例えば、特許文献1参照)。流入水中の汚濁物質成分を高精度かつ簡易に予測して、これらの汚濁物質成分を最少にするように除去する下水道設備の水質制御装置に関して従来の下水道設備の水質制御装置の一例を、図19を参照して説明する。
【0003】
図19において、合流式流入管渠1内の流入水2は一旦、雨水吐き室4へ流入し、ここから処理場送水管渠5を介して図示していない処理場へ流出される。晴天時には、流入水2は汚水のみからなる。晴天時には流入水2の流量は小さいので、水位は処理場送水管渠5の口径の範囲内にある。しかし、雨天時には汚水に雨水が混合された流入水2が雨水吐き室4へ流入するが、流入量が晴天時よりも大きいため、越流堰6を越えて越流水3が発生し、この越流水は放流管渠7および放流口8を介して、放流水9として河川に放流される。ところで、流入水2には汚水や、雨天時流出した屋根、道路などの雨水中の汚濁物質が多く含まれるため、放流水9の水質規制値超過の問題や、汚濁物質による河川10の汚染問題が起きる。特に、大腸菌群、BOD、SS、pHなどの下水道法規定の水質項目や、有機塩素化合物、農薬などの水質汚濁防止法規定の水質項目などである。
【0004】
このような問題に対処するために、例えば大腸菌群の殺菌を目的とした簡易法として、塩素殺菌装置を越流水側に設置する例を図に示す。ここでは、次亜塩素酸ナトリウム溶液貯留槽11に保管している同溶液を、ポンプ12を駆動することにより水配管13を介して雨水吐き室4の越流水3側へ供給し、この越流水3中に含まれる大腸菌群を塩素殺菌する。この場合、次亜塩素酸ナトリウム溶液の注入量が少なすぎると大腸菌群の殺菌が不充分になり、同溶液の注入量が多すぎると越流水3中に含まれる有機物と塩素が反応して、発ガン性の塩素系有機化合物が発生する虞があるので、それらを抑制するような制御が必要になる。そこで、地上雨量計14および降雨量演算手段15により降雨強度を演算し、この降雨強度から流入量予測手段16で流入量予測値を演算し、この流入量予測値から流入水質予測手段17で流入水質予測値を演算する。さらに制御目標値演算手段18で、この流入水質予測値と塩素注入量の制御目標値との関係式により、ポンプ12の流量の制御目標値を演算し、それが達成されるように制御装置19によりポンプ12の溶液流量を制御する。
【0005】
流入量予測手段16による流入量予測および演算手段17,18による演算の関係式の例を以下に例示する。流入量予測手段16の予測演算式を(1)式に、流入水質予測手段17の予測演算式を(2)式および(3)式に、制御目標値演算手段18の演算式を(4)式にそれぞれ示す。流入水質予測値Cwに係る物質はSS(浮遊物質)である。
Qw=a・C・I・A ・・・(1)
dS/dt=LF−(k・S・Qw) ・・・(2)
Cw=dS/dt/Qw ・・・(3)
QCl=K・Cw ・・・(4)
ここで、
QCl:塩素注入量制御目標値[m3/min]
Cw:流入水質予測値[g/m3
Qw:流入量予測値[m3/min]
S:汚濁物質堆積量[g]
LF:晴天時流出負荷量[g/min]
C:流出係数
I:降雨強度[mm/min]
A:排水面積[ha]
K,k,n,a:パラメータ
である。
【0006】
また、水質制御装置のもう一つの従来例として、図20に示すものがある(例えば、特許文献2参照)。これは、図19と同様なプロセスであって、雨水吐き室4の越流堰6前段に配設したSS計20の計測値により、(4)式と同様に、塩素注入量の制御目標値を演算し、ポンプ12を制御するものである。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−87433号公報
【特許文献2】
特開平7−82789号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来例である図19の下水道設備の水質制御装置では、次のような問題が発生し、大腸菌群の十分な殺菌と有害な塩素系有機化合物の生成抑制を達成する制御を実施することができなかった。
【0009】
(1)晴天時汚水の影響が考慮されていないので、水質予測の精度が低い
流入水質予測値は雨天時の流入量予測値から演算するものであり、雨天時のファーストフラッシュは表現できるが、晴天時汚水の汚濁物質を考慮していないので、水質を正確に予測することができなかった。特に、この従来例のような大腸菌群を殺菌するケースでは、大腸菌群の起源は汚水中に多く含まれるので、汚水を考慮しないと正確な予測は困難である。
【0010】
また、図20の下水道設備の水質制御装置においても、以下の問題により上記目的の制御を達成することができなかった。
【0011】
(2)SS計の汚れによりその精度が悪化する
SS計20が常に汚水に接触しているので、その電極部分に汚水中の汚濁物質や微生物が付着して汚れが進行し、仮に洗浄などの機能が付いていたとしても精度の回復は困難であった。
【0012】
本発明は、上記問題点を解決し、雨天時、合流式もしくは分流式でかつその合流汚水、雨水、分流汚水中の汚濁物質を処理する下水道設備において、流入水中の汚濁物質成分を高精度かつ簡易に予測して、これらの汚濁物質成分を最少にするように除去する、下水道設備の水質制御装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の下水道設備の水質制御装置は、
雨水を含む汚水中の汚濁物質を、沈殿、貯留、凝集剤処理、殺菌剤処理、オゾン処理、および紫外線殺菌の少なくとも1種類の方法で除去する水質除去手段と、
降雨開始時刻もしくは前回降雨の終了時刻からの無降雨時間を計測する降雨時間情報計測手段と、
降雨強度および降雨積算量を含む降雨量情報を計測する降雨量情報計測手段と、
降雨量情報計測値または無降雨時間から雨天時の流入量を予測する雨天時流入量予測手段と、
晴天時汚水データベース内に格納された晴天時水質値から、前記データベース内に格納された晴天時流量値と前記雨天時流入量予測値との比率を参照して雨天時の汚濁物質成分を予測する水質予測手段と、
この水質予測手段の予測値に基づいて前記水質除去手段の操作量を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明の下水道設備の水質制御装置は、
雨水を含む汚水中の汚濁物質を、沈殿、貯留、凝集剤処理、殺菌剤処理、オゾン処理、および紫外線殺菌の少なくとも1種類の方法で除去する水質除去手段と、
降雨開始時刻もしくは前回降雨の終了時刻からの無降雨時間を計測する降雨時間情報計測手段と、
汚水流量または汚水水位を含む少なくとも1種類の汚水物理量を計測する汚水物理量計測手段と、
晴天時汚水データベース内に格納された晴天時水質値から、前記データベース内に格納された晴天時流量値と前記雨天時流入量予測値との比率を参照して雨天時の汚濁物質成分を予測する水質予測手段と、
この水質予測手段の予測値に基づいて前記水質除去手段の操作量を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の下水道設備の水質制御装置において、水質予測手段は晴天時の水質および流量のデータを蓄積したデータベースを有し、汚濁物質成分の予測に際してデータベースに蓄積されたデータを利用することを特徴とする。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1または2に記載の下水道設備の水質制御装置において、汚濁物質成分は、浮遊物質(SS)、濁度、水素イオン濃度、紫外線吸光度(UV)、溶解性紫外線吸光度(S−UV)、生物化学的酸素要求量(BOD)、溶解性BOD(S−BOD)、化学的酸素要求量(COD)、溶解性COD(S−COD)、全有機炭素(TOC)、溶解性TOC(S−TOC)、アンモニア性窒素、全窒素、リン酸性リン、全リン、大腸菌群の少なくとも1種類であることを特徴とする。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項1または2に記載の下水道設備の水質制御装置において、汚水中の汚濁物質成分を計測する水質計測手段と、水質予測手段によって予測された汚水中の汚濁物質成分を、水質計測手段によって得られた汚濁物質成分の計測値で校正する水質予測値校正手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
<実施の形態1>
(実施の形態1の構成)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態1に係る水質制御装置を示すものである。図1の水質制御装置は、すでに述べた従来技術に係る図19の水質制御装置において、流入量予測手段16および流入水質予測手段17を省略し、その代わりに、降雨時間情報計測手段21、晴天時流入水質・流入量演算手段22、および流入水質・流入量予測演算手段23を新たに設けたものに相当する。他のブロックおよび流入水が通流する主系統の設備構成は図19と同様である。図2は図1における同設備の要部の拡大説明図である。
【0020】
(実施の形態1の作用)
降雨時間情報計測手段21は、地上雨量計14および降雨量演算手段15によって演算された降雨強度Iを入力値として、その降雨強度Iが発生した時刻t1を計測する。この時刻t1から、
t2 =t1+tw ・・・(5)
により降雨流達時刻t2を算出する。ここで、twは、降雨が流入管渠1内に流入してから雨水吐き室4内に流入するまでに要する時間であるとする。
【0021】
次に、晴天時流入水質・流入量演算手段22および流入水質・流入量予測演算手段23は、時刻t2における流入量予測値Q(t2)を、
Qw(t2)=b・I(t1) ・・・(6)
として演算し、さらに時刻t2における流入大腸菌群予測値Cw(t2)を、
【数1】
Figure 0004439825
に基づいて演算する。そして、前述の従来例に係る図19の場合と同様に、制御目標値演算手段18において塩素注入量制御目標値QClを、
QCl=K・Cw ・・・(4)(再掲)
として演算し、出力する。
【0022】
ここで、各符号は、
Cw(t2):t2時における流入大腸菌群予測値[個/ml]
t:時刻
t1:降雨開始時刻
t2:降雨流達時刻
tw:流達時間[min]
b:パラメータ
I(t1):t1時における降雨強度[mm/min]
Qw(t2):t2時における流入量予測値[m3/min]
QF(t2):t2時における晴天時汚水流入量<定数>[m3/min]
CF(t2):t2時における晴天時汚水流入大腸菌群<定数>[個/ml]
QCl:塩素注入量制御目標値[m3/min]
である。
【0023】
(5)式と(6)式における降雨強度Iと、(7)式におけるt2時における晴天時汚水流入大腸菌群CF(t2)と、同式におけるt2時における晴天時汚水流入量QF(t2)のトレンドグラフによる作用図を、図3、図4および図5にそれぞれ示す。図3の例では、9:00が降雨開始時刻であり、流達時間twが10minであるので、9:10をt2として、この時刻における晴天時の大腸菌群と汚水流入量を図4および図5から算出する。この図4および図5の内容は、流入水質・流入量予測演算手段23内に格納されている。
【0024】
晴天時においては、ほとんどその変化パターンが同様になるので、そのパターンを適用し、雨天時の流入量予測値のみを変数として、雨天時の流入水中の大腸菌群を予測すればよい。
【0025】
(実施の形態1の効果)
実施の形態1によれば、
(1)流入大腸菌群予測値Cw(t2)の演算の入力値として、時刻t2時における流入量予測値Qw(t2)を用いており、流入水2に雨水が混入する前に対応することができるので、制御のための準備、特にポンプ12の起動などに迅速に対応することができる。
【0026】
(2)定数である、時刻t2時における晴天時汚水流入量QF(t2)と、時刻t2時における晴天時汚水流入大腸菌群CF(t2)の設定を、図4と図5に示すようなトレンドデータにして利用しているので、各時刻の変化に応じた水質を予測することができ、予測精度が向上する。
【0027】
(3)降雨量演算手段15として降雨強度Iを、降雨時間情報計測手段21として降雨開始時刻t1のみをそれぞれ適用するので、簡単な入力で流入大腸菌群予測値Cw(t2)を演算することができる。したがって、パラメータの調整が容易でかつ、ユーザがわかりやすく予測値を利用することができる。
【0028】
(4)水処理プロセスとして、次亜塩素酸ナトリウムによる塩素注入場所として、雨水吐き室4内の越流堰6後段部を適用しているので、処理場送水管渠5へは次亜塩素酸ナトリウムが混入しないため、処理場への影響は発生しない。
【0029】
(5)流入水質予測の汚濁物質項目として計測困難な大腸菌群を利用するので、精度の高い大腸菌群予測値に基づく制御が可能となり、図1の塩素注入量などの殺菌プロセスにはその処理性能を向上させることができる。
【0030】
<実施の形態2>
実施の形態1の変形例として、以下の実施の形態が可能である。
【0031】
(1)流入予測以外のセンサの適用
実施の形態1では、流入大腸菌群予測値Cw(t2)の演算の入力値として、時刻t2時における流入量予測値Qw(t2)を用いたが、水位計による流入量演算や、流量計の計測値も使用することができる。
【0032】
水位計による流入量演算の一実施の形態が図8に示されている。ここでは、図1の装置との比較において、流入水質・流入量予測演算手段23に代わりに流入水質予測演算手段26が設けられ、さらに、雨水吐き室4内の越流堰6より上流側の水位を検出する水位計24、および、水位計24の検出信号に基づいて流入水2の流入量を演算する流入量演算手段25bが設けられている。
【0033】
この場合、水位計24の計測値H(t2)に比例して時刻t2時における流入量演算値Qw(t2)を、
Qw(t2)=c・H(t2) ・・・ (8)
として演算し、前述の(7)式および(4)式により時刻t2時における流入大腸菌群予測値Cw(t2)を流入水質予測演算手段26で演算して、塩素注入量を制御する。
【0034】
ここで、
Qw(t2):t2時における流入量演算値 [m3/min]
c:パラメータ
H(t2):t2時における水位 [m]
である。
【0035】
なお、水位計24の設置位置は、越流堰6の後段(下流側)や、合流式流入管渠1内に配設することも可能である。また、(6)式の線形式以外にも、Q−H曲線などの非線型式も利用可能である。
【0036】
また、図9に示すように、水位計を設けるのではなく、それの代わりに雨水吐き室4への流入水2の流量を、越流堰6の前段、または後段、合流式流入管渠1内に配設して測定する流量計27を設け、測定された流量を流入水質予測演算手段26で用いるようにすることができる。
【0037】
さらに、図10に示すように、地上雨量計14(図1、図9)に代えてレーダ雨量計28を設置し、その測定結果を用いて降雨量演算をすることもできる。
【0038】
(2)無降雨時間によりファーストフラッシュ分を加算
上述の実施の形態では晴天時流入水質・流入量予測手段22内での流入水質予測演算の際、降雨時間情報計測手段21で求められた降雨開始時刻t1を利用したが、無降雨時間tFを利用することもできる。すなわち、無降雨時間tFから雨水中大腸菌群予測値CR(t2)を、
CR(t2)=k・tF ・・・ (9)
として算出し、この予測値CR(t2)と定数として与えられるt2時の晴天時汚水流入量CF(t2)との和から流入大腸菌群予測値Cw(t2)を、
【数2】
Figure 0004439825
として演算するものである。
【0039】
ここで、
Cw(t2):t2時における流入大腸菌群予測値 [個/ml]
CR(t2):t2時における雨水中大腸菌群予測値 [個/ml]
t2:時刻
tF:無降雨時間 [d]
k:パラメータ
QF(t2):t2時における晴天時汚水流入量<定数> [m3/min]
CF(t2):t2時における晴天時汚水流入大腸菌群<定数> [個/ml]
である。
【0040】
他の実施の形態として、上述の大腸菌群に関する事項は後述する(5)項の「他の汚濁物質成分予測もしくは計測」と同様に、他の汚濁物質にも適用することができる。特に初期降雨時には、屋根や、道路、下水管渠内に蓄積したSS、BOD、CODなどの固形物もしくは有機物が多量に流れる現象、すなわちファーストフラッシュ現象があるので、図1に示すような塩素注入プロセスではあまり影響されないが、雨水貯留管、雨水滞水池、凝集剤、UV殺菌、オゾン処理などの水処理プロセスにおいては、予測精度をより向上させることができる。
【0041】
(3)晴天時データベースの適用
図1の装置では、(7)式におけるt2時における晴天時汚水流入大腸菌群CF(t2)と、同式におけるt2時における晴天時汚水流入量QF(t2)が、流入水質・流入量予測演算手段23内に格納されているが、晴天時データベースを活用することも可能である。図9に示すように、図4や図5のようなデータが、晴天時水質・量データベース29内に格納されており、このデータベース29内のデータを利用して水質予測演算をすることも可能である。
【0042】
この場合、データベースであるので、季節や曜日などの分類も可能となり、さらに予測精度を向上させることができる。
【0043】
(4)他の水処理プロセスへの適用
本発明は図1に示す雨水吐き室4の越流側で汚濁物質除去を行うものに限られることなく、それ以外のプロセス部分に対しても以下の(a)〜(e)に示すように適用可能である。
【0044】
(a) 水配管13が雨水吐き室4の流入部に配され、その流入部に塩素を注入するもの(図12)。また、塩素注入は流入部よりもさらに前段の合流式流入管渠1内で行うことも可能である。これらの場合、処理場への塩素混和があるものの、早めの塩素注入により注入遅れを防止することができ、大腸菌群の河川への流出を抑制することができる。
【0045】
(b) 次亜塩素酸ナトリウム溶液貯留槽11の代わりに、液体塩素、次亜塩素酸カルシウム、塩素化イソシアヌール酸、二塩化酸素、臭素系殺菌剤などの使用が可能である。また、殺菌剤のほかに、PAC、硫酸アルミニウム、硫酸鉄などの凝集剤も適用可能である(図1と同様)。
【0046】
(c) 雨水貯留管や雨水滞水池などの雨水貯留施設の操作量にも適用することができる。
【0047】
図13は雨水貯留管33を設ける例を示すものであり、雨水貯留管33は流入管渠1から、ゲート32を含む水配管31を介して接続され、ポンプ35により水配管34を介して河川10へ放流したり、ポンプ37により水配管36を介して流入管渠1へ放流したりする。この場合、制御対象となる操作量は、ゲート32、ポンプ35,36である。
【0048】
(d) オゾン処理や紫外線殺菌(UV殺菌)などへの制御にも適用可能である。図14はオゾン処理の場合の一例を示すものであり、雨水吐き室4の越流堰下流側に散気管43を浸漬させ、オゾン発生器40から調整弁41を含むガス配管42を介して散気管43に調整されたオゾンを送り、散気管43から雨水吐き室4内にオゾンを放出させるものである。この場合、制御対象となる操作量は、調整弁41である。
【0049】
図15はUV殺菌の一例を示すものであり、散気管43に代えてUVランプ48を浸漬させ、電源45から調光器46および電気線47を介してUVランプ48に調整された電力を供給し、UVランプ48からUV(紫外線)を発生させるものである。この場合、操作対象は調光器46である。なお、図14の散気管43および図15のUVランプ48は、いずれも設置場所が各図に示されたものに限定されることはない。
【0050】
(e) 本発明は、分流式下水道の雨水吐き口や、分流式下水道の簡易放流、直接放流にも適用可能である。つまり、分流式下水道の雨水中にも屋根や道路からの汚濁物質が混入するし、分流式下水道の汚水中にも雨水などの不明水が混入するので、それらの水処理設備にも、本発明を適用することができる。
【0051】
(5)他の汚濁物質成分予測もしくは計測
BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)、SS(浮遊物質)、TN(全窒素)、TP(全リン)、pH(水素イオン濃度)は、法律の規制、すなわち下水道法もしくは水質汚濁防止法の適用を受ける項目であり、これらは大腸菌群と同様に予測することができる。TOC(全有機炭素)、S−TOC(溶解性TOC)、NH−N(アンモニア性窒素)、PO−P(リン酸性リン)、S−BOD(溶解性BOD)、S−COD(溶解性COD)、UVD(紫外線吸光度)、S−UV(溶解性UV)、濁度は法律の適用を受けないが、上記適用対象と相関が高く、簡易に測定できるので、予測精度の評価に有効である。
【0052】
(6)予測手段の補正
流入水質予測演算の精度が低下した時、補正を加えることができる。図16に示すように、図1における流入水質・流入量予測演算手段23に流入水質予測演算補正手段50を付設し、入力される流入水質補正値51に応じて予測演算式を補正するものである。
【0053】
さらに、補正に当たっては、図17に示すような1点補正がある。(11)式に示すように、代表的な時刻、例えば時刻tで補正値(=実測値)を入力し、この補正値から補正演算値CF(t)を演算するものである。すなわち、
CF(t)=k・CF(t3) ・・・ (11)
ここで、
CF(t):時刻tにおける晴天時汚水流入大腸菌群<定数> [個/ml]
CF(t3):時刻t2における晴天時汚水流入大腸菌群<入力値> [個/ml]
t:時刻
k:パラメータ
他の変形例としては、1点補正以外にも2点補正等が適用可能である。また、図16では補正値51を手入力で与えるものとしているが、センサ出力を利用することもできる。この場合、相関のあるセンサを用いる。例えば、流入水質予測項目が、BOD、CODの場合はUV計やTOC計などのセンサ、同項目がSSの場合はSS計もしくは濁度計、TN、NH−N、TP、PO−Pの場合は同計測値を出力するセンサなどである。大腸菌群の場合には大腸菌群センサの他にSS計、濁度計、UV計を代替することができる。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、雨天時、合流式もしくは分流式でかつその合流汚水、雨水、分流汚水中の汚濁物質を処理する下水道設備において、流入水中の汚濁物質成分を高精度かつ簡易に予測して、これらの汚濁物質成分を最少にするように除去する下水道設備の水質制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による下水道設備の水質制御装置の一実施形態を示すブロック図。
【図2】図1の雨水吐き室周りを拡大して一部破断しかつ上蓋を外した状態で示す下水道設備の模式図。
【図3】一実施形態における降雨強度の時刻変化を示す図。
【図4】一実施形態における晴天時汚水流入大腸菌群の時刻変化を示す図。
【図5】一実施形態における晴天時汚水流入流量の時刻変化を示す図。
【図6】一実施形態における雨水中大腸菌群の時刻変化を示す図。
【図7】一実施形態における流入水中大腸菌群の時刻変化を示す図。
【図8】本発明による水質制御装置の他の実施形態を示すブロック図。
【図9】本発明による水質制御装置のさらに他の実施形態を示すブロック図。
【図10】本発明による水質制御装置の他の実施形態を示すブロック図。
【図11】一実施形態において晴天時水質・量データベースを設けた実施形態を示すブロック図。
【図12】下水道設備の流入水に次亜塩素酸ナトリウム溶液を加える実施形態を示す図。
【図13】下水道設備に雨水貯留管を設ける例を示す図。
【図14】下水道設備の流入水にオゾンを加える実施形態を示す図。
【図15】下水道設備の流入水にUVを加える実施形態を示す図。
【図16】一実施形態に流入水質予測演算補正手段を設ける例を示すブロック図。
【図17】流入水質予測演算補正手段による補正作用を説明するための図。
【図18】流入水質予測演算補正手段による他の補正作用を説明するための図。
【図19】従来の下水道設備の水質制御装置の構成例を示すブロック図。
【図20】従来の水質制御装置の他の構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
1 合流式流入管渠
2 流入水
3 越流水
4 雨水吐き室
5 処理場送水管渠
6 越流堰
7 放流管渠
8 放流口
9 放流水
10 河川
11 次亜塩素酸ナトリウム溶液貯留槽
12 ポンプ
14 地上雨量計
15 降雨量演算手段
18 制御目標値演算手段
19 制御装置
20 SS計(浮遊物質計)
21 降雨時間情報計測手段
22 晴天時流入水質・流入量演算手段
23 流入水質・流入量予測演算手段
24 水位計
25 流入量演算手段
26 流入水質予測演算手段
27 流量計
28 レーダ雨量計
29 晴天時水質・量データベース
32 ゲート
33 雨水貯留管
35 ポンプ
40 オゾン発生器
41 調整弁
46 調光器
48 UVランプ
50 流入水質予測演算の補正手段

Claims (5)

  1. 雨水を含む汚水中の汚濁物質を、沈殿、貯留、凝集剤処理、殺菌剤処理、オゾン処理、および紫外線殺菌の少なくとも1種類の方法で除去する水質除去手段と、
    降雨開始時刻もしくは前回降雨の終了時刻からの無降雨時間を計測する降雨時間情報計測手段と、
    降雨強度および降雨積算量を含む降雨量情報を計測する降雨量情報計測手段と、
    降雨量情報計測値または無降雨時間から雨天時の流入量を予測する雨天時流入量予測手段と、
    晴天時汚水データベース内に格納された晴天時水質値から、前記データベース内に格納された晴天時流量値と前記雨天時流入量予測値との比率を参照して雨天時の汚濁物質成分を予測する水質予測手段と、
    この水質予測手段の予測値に基づいて前記水質除去手段の操作量を制御する制御手段と
    を備えたことを特徴とする下水道設備の水質制御装置。
  2. 雨水を含む汚水中の汚濁物質を、沈殿、貯留、凝集剤処理、殺菌剤処理、オゾン処理、および紫外線殺菌の少なくとも1種類の方法で除去する水質除去手段と、
    降雨開始時刻もしくは前回降雨の終了時刻からの無降雨時間を計測する降雨時間情報計測手段と、
    汚水流量または汚水水位を含む少なくとも1種類の汚水物理量を計測する汚水物理量計測手段と、
    晴天時汚水データベース内に格納された晴天時水質値から、前記データベース内に格納された晴天時流量値と前記雨天時流入量予測値との比率を参照して雨天時の汚濁物質成分を予測する水質予測手段と、
    この水質予測手段の予測値に基づいて前記水質除去手段の操作量を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする下水道設備の水質制御装置。
  3. 前記水質予測手段は晴天時の水質および流量のデータを蓄積したデータベースを有し、汚濁物質成分の予測に際して前記データベースに蓄積されたデータを利用することを特徴とする請求項1または2に記載の下水道設備の水質制御装置。
  4. 前記汚濁物質成分は、浮遊物質、濁度、水素イオン濃度、紫外線吸光度、溶解性紫外線吸光度、生物化学的酸素要求量、溶解性生物化学的酸素要求量、化学的酸素要求量、溶解性化学的酸素要求量、全有機炭素、溶解性全有機炭素、アンモニア性窒素、全窒素、リン酸性リン、全リン、大腸菌群の少なくとも1種類であることを特徴とする請求項1または2に記載の下水道設備の水質制御装置。
  5. 汚水中の汚濁物質成分を計測する水質計測手段と、前記水質予測手段によって予測された汚水中の汚濁物質成分を、前記水質計測手段によって得られた汚濁物質成分の計測値で校正する水質予測値校正手段とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の下水道設備の水質制御装置。
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