JP2004008848A - 合流式下水道における放流水の消毒システム - Google Patents

合流式下水道における放流水の消毒システム Download PDF

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Abstract

【課題】合流式下水道における越流水を排出基準の範囲内へと消毒でき、かつ放流水域の生態系への影響も少ない下水消毒システムを提供する。
【解決手段】下水をポンプ所の放流ポンプにて放流水域に放流する合流式下水道において、ポンプ所内かつ放流ポンプの上流側にオゾンを注入し、下水を消毒する。消毒用のオゾンは、吸着剤による吸着によって貯蔵してもよいし、液化によって貯蔵してもよいし、高濃度オゾンを含んだ氷として貯蔵してもよい。オゾンの注入量は、ポンプ所への流入水量の予測値または放流ポンプの放流水量にもとづいて制御する。あるいは、下水の濁度、下水中の浮遊物質の量(SS)または下水中の大腸菌群数にもとづいて、オゾンの注入量を制御する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、汚水と雨水を同じ下水道管に集めて処理する合流式下水道システムに関し、特に降雨時にポンプ所より排出される放流水を消毒するための放流水の消毒システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
合流式下水道システムは、家庭排水などの汚水と、降雨によりる雨水を同じ下水道管に集積し、下流に存在する処理場で処理後、一般水域に排出する仕組みであり、下水道が早くから導入された都市域中心部に多い下水道システムである。このシステムでは、降雨などによって下水道管内の水量が下流の処理場で処理できる能力を超えた場合には、下水処理水の一部が雨水吐けやポンプ所で一般水域に放流される(越流水という)仕組みになっており、近年、これら越流水による一般水域の汚濁が大きな問題となっている。
【0003】
従来の合流式下水道システムの仕組みを図2に示す。家庭や工場、オフィスや公的機関などからの汚水21と降雨による雨水22とが下水道管1(1a〜1c)に集積され、下流の処理場(図示されていない)へと流れていく。下水道管1の途中には、マンホール7(マンホールポンプ8)やポンプ所2が設けられている。マンホールポンプ8およびポンプ所2は、下水を下流に流すための中継点であり、揚水あるいは放流の機能を持つ。さらに、処理能力以上の下水が処理場に流れ込まないよう、下水道管1(1a〜1c)の途中何カ所かに堰(雨水吐け)が設けられている(図示されていない)。
【0004】
家庭や工場、オフィスや公的機関などからの排水は常に汚濁物質を含んでいる。また、雨水は、特に、降雨初期においては、道路や屋根、側溝に堆積したゴミなどが多く含まれていて汚濁物質を多く含んでいる。これらは下水として下降勾配を持った下水道管1a〜1cと中継地点となるポンプ所2によって処理場まで運ばれる。ポンプ所2は、下降勾配を持った下水道管で運ぶと、処理場に到達するまでにかなり深い地下に到達してしまう。そこで、下水道管の途中でポンプ所2により下水を沈砂池3で大きなゴミや砂の一部を取り除いた後、ポンプ井4に移動し、ここで揚水ポンプ6により地上近くまで下水を上げながら、順次下水を処理場に運び込むようにしている。しかし、処理場では強い降雨をすべて処理できる能力がないため、強い降雨があると、下水道管1a〜1cの中継地点となるポンプ所2の一部に設置されている放流ポンプ5や先に述べた雨水吐けより処理されない下水がそのまま放流水域24に排出されている。これが、合流式下水道越流水(以後越流水と略す)と言われるものである。
【0005】
この越流水による放流水域の汚染は以前より問題視されていたが、最近、放流水域に親水・修景用施設の設置が増えてきたことにより、この問題が顕在化し、早急に対策を打たなければならない重要な課題として一般にも認識されるようになった。
【0006】
国土交通省が主催している合流式下水道改善対策検討委員会でも、雨天時越流水の水質汚濁問題を解決するため、▲1▼汚濁負荷量の分流式並への削減、▲2▼公衆衛生上の対策(消毒ならびに生態系への影響の極小化)、▲3▼夾雑物の除去、の3項目が重点的対策として提案されている。そして、▲2▼の対策の一つとしてポンプ所からの放流水に対しては、生態系への影響の少ない消毒が望まれている。
【0007】
しかし現状は、上述したように強い降雨時には下水がそのまま未処理の越流水として排出されているのがほとんどであり、消毒は下記従来例として示す二例が現在まで公表されているに過ぎない。
【0008】
図3は、ポンプ所からの放流水を消毒するための従来例の一つである(特開2000−129763公報)。下流側ポンプ所2bの放流水を消毒する方法で、上流側ポンプ所2aの揚水ポンプ6aの出口に消毒剤注入装置9を設け、下流側ポンプ所2bに接続している下水道管1cの管内ならびに下流側ポンプ所の沈砂池3bあるいはポンプ井4bを通過する間に下水を消毒し、下流側ポンプ所2bの放流ポンプ5bにより消毒された放流水が放流水域24bに排出される。
【0009】
図4は、ポンプ所からの放流水を消毒するためのもう一つの従来例である(「合流式下水道越流水の消毒対策」、月刊下水道、Vol.23, No.4,pp.21−24 (2000))。この方法はポンプ所内で塩素系消毒剤を用いて放流水を消毒する方法で、ポンプ所内に次亜塩素酸注入装置10を設置し、放流ポンプ5から放流水域24cまでの距離が長く消毒剤の接触時間が長くとれる場合は、放流ポンプ5の出口付近に消毒剤を注入する。また、放流ポンプ5から放流水域24までの距離が短く消毒剤の接触時間が十分とれない場合は、ポンプ所2の沈砂池3に注入するのと同時に、同ポンプ所2の放流ポンプ5の出口付近にも注入する方法である。
【0010】
ここで消毒剤の消毒能力について説明する。現在、国内で広く普及している方法は、塩素(次亜塩素酸)を用いる方法であり、この他、クロラミン、二酸化塩素、オゾン、臭素(次亜臭素酸)なども検討および一部実用化されている。消毒性能は消毒剤の濃度とそれとの接触時間との積であるCT値(mg・分/l)でその性能が比較できる。CT値が小さいほど消毒能力が高いことになる。大腸菌群細菌の代表であるE.coliに対する不活化率で比較すると、99%不活化するためのCT値は、クロラミン113mg・分/l、二酸化塩素0.48mg・分/l、オゾン0.006〜0.02mg・分/lと報告されている。また、次亜塩素酸については、90%不活化するためのCT値が0.15〜0.6mg・分/lであり、次亜臭素酸も同程度であると報告されている(これらの消毒剤で99%不活化率を得るには、当然、先に示す数値よりも大きいCT値が必要である)。(以上、金子光美編著、水質衛生学、技報堂出版(1996))。このことから、オゾンの消毒能力が高いことがわかる。
【0011】
つぎに生態系への影響について簡単に説明する。生態系とは、一つの生物だけでなく、周りの多くの生物や環境も含めて互いに関係し合っている状態のことをいう。生態系は長年の生物の歴史の中で形作られたものであるが、近年の人工的に環境中に排出される化学物質などの影響で、旧来の生態系が崩れて来ている。水環境においても下水放流先での生態系への影響が懸念されている。下水は処理された水でも放流先水系に対しては少なからず環境への負荷を与えている。さらに、合流式下水道の越流水ともなると、生の下水が放流水域に放出されることになる。その衛生上の課題を解決するために消毒剤を投与することが実施されようとしているが、消毒剤は微生物を殺す薬剤であるため、残留して放流すると、放流先での生態系に大きな悪影響をもたらすわけである。生態系との共生をはかる下水道のあり方検討会編、「生態系にやさしい下水道をめざして」(技報堂出版(2001))の中に、消毒剤の生態系に与える影響についての事例紹介が掲載されており、塩素消毒に比べオゾン消毒の方が生態系に与える影響が小さくなる例が何例かあり、塩素消毒剤の残留が生態系に影響を与えていることが認識されつつある。
【0012】
また、下水処理場においては、従来、晴天時の二次処理水、雨天時の二次処理水(沈殿や生物処理など、消毒を除く下水処理場のすべての処理を経た処理水)および雨天時の簡易処理水(最初沈殿池だけの処理で、生物処理などは行なわれていない処理水)は、次亜塩素酸などの塩素によって消毒されている。しかし、先に述べたような残留塩素による生態系への影響を考慮して、次亜臭素酸など塩素代替消毒剤の適用もされ始めてきている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、現在、ポンプ所からの越流水は、ほとんど消毒されておらず、ごく一部のポンプ所で図4の実施例が試みられているのみであり、先に述べた国土交通省合流式下水道対策検討委員会の提案している▲2▼の対策については、ほとんど何も対策がなされていないのが実情である。
【0014】
最初に説明した図3の従来例は、上流下流のポンプ所間で消毒をするものであるが、次亜塩素酸ナトリウムを消毒剤として使用することを想定している。この場合、下水道管1cの間に雨水吐けなどが設置されていると、ここからの越流で消毒不十分な下水が放流水域に排出されることがあるので、このような仕組みのない場合に限定されるとか、下流ポンプ所2bの揚水ポンプ6bにより残留した消毒剤が下流の下水処理場に運び込まれ、この処理場の生物処理に影響を与えることがある。また、次亜塩素酸ナトリウムなどのハロゲン系消毒剤は生態系への影響が懸念されており、放流水域24bへの排出後に消毒残留性により生態系への悪影響が心配される。
【0015】
後で説明した図4の従来例は、放流するポンプ所内部で次亜塩素酸ナトリウムを注入するシステムであることから、接触時間が短い理由で高濃度の消毒剤注入が必要であり、放流先での生態系への悪影響が前の従来例よりも厳しくなる。ただし、消毒剤注入装置10が同じポンプ所内にあるため、放流ポンプ5専用の沈砂池や放流ポンプ5出口に注入することが可能で、揚水ポンプ6の系には消毒剤が混入せず、下流の下水処理場の生物処理への影響は回避される。
【0016】
さらに、越流水の水質汚濁問題を解決する方法として、雨天時越流水を放流することなく一時貯留する大容量の貯留管や雨水滞水池を設置する方法が提案されている。しかし、合流式下水道は下水道が国内にいち早く導入された都市域に多く、このような施設を設置する土地が限られていることと莫大な建設費を投入する必要があるため、実現するには長期間を必要とし、早急に解決する方法とはならないのが現実である。これらの施設が既に導入されているか、あるいは割と短期間の内に整備される地域は、この施設を最大限に利用して越流水の水質汚濁問題を解決するのがよいと考えるが、大部分は、短期間にこのような施設の設置を望むことができない。
【0017】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、降雨で発生する越流水に含まれる消毒指標微生物である大腸菌群細菌を排出基準(3000個/ml以下)の範囲に消毒し、放流水域への衛生上の課題を解決するとともに、生態系への影響も少ない下水消毒システムを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の消毒システムは、下水の一部または全部をポンプ所の放流ポンプにて放流水域に放流する合流式下水道において、ポンプ所内かつ放流ポンプの上流側にオゾンを注入し、放流水域へと放流する下水を消毒することを特徴とする。ポンプ所内部にオゾン貯蔵装置を設置し、晴天時など消毒の必要のない時間帯で消毒に必要なオゾンを必要な形態で貯蔵する。消毒用のオゾンは、吸着剤による吸着によって貯蔵してもよいし、液化によって貯蔵してもよいし、高濃度オゾンを含んだ氷として貯蔵してもよい。
【0019】
降雨によりポンプ所から放流ポンプで放流水域に越流水を放出する際、ポンプ所の放流ポンプ手前の沈砂池あるいはポンプ井にオゾン貯留装置から一気にオゾンを放出し、沈砂池あるいはポンプ井の地点で、貯蔵されていたオゾンを短時間(長くても数時間程度)に注入する。注入されたオゾンは、沈砂池あるいはポンプ井の滞留時間に応じたオゾン接触時間で消毒されるとともに、放流ポンプにおいても強力に攪拌されることにより、接触が効率的に進む。さらに、ポンプで発生する放流水のキャビティー効果と溶解しているオゾンとにより、より強力な殺菌作用を持つ活性酸素ラジカルが発生してさらに消毒効果が高まるとともに、反応性が高まることから残留オゾンの消滅も促進され、ハロゲン系消毒剤に比べて少ない残留時間をさらに短縮し、不要なオゾンが残らないようにしている。
【0020】
また、本発明の消毒システムは、オゾンの注入量を、ポンプ所への流入水量の予測値および放流ポンプの放流水量の少なくともいずれかにもとづき制御することを特徴とする。ポンプ所への流入水量の予測値は、ポンプ所よりも上流側における下水の水位、累積降雨量、降雨強度、降雨量の予測値または降雨強度の予測値などから算出することができる。オゾン注入に際しては、放流ポンプの運転時、一定量のオゾンを注入する方法もあるが、放流ポンプの放流水量に応じてオゾン注入量を制御すれば、適量のオゾンを注入することができ、オゾン消費量を少なくすることができる。また、雨量レーダや上流側下水道管内に設置された水位計や、現在の放流水の排出量、ポンプ所ポンプ井の水位変動などの水量を計測するセンサからの情報を元に消毒に必要な注入量を設定して制御する方法を使うと、先に述べた一定量の注入よりもオゾン消費量を少なくすることができ、オゾン貯蔵設備の小型化、オゾン製造、貯蔵コストの低減、生態系への影響を小さくすることができる。
【0021】
さらに、本発明の消毒システムは、オゾンの注入量を、下水の濁度、下水中の浮遊物質の量(SS)および下水中の大腸菌群数の少なくともいずれか1つにもとづいて制御することを特徴とする。降雨時の下水の水質汚濁の程度は、前の降雨との間隔が水質汚濁に影響を与えこれの予測が難しいという問題点もある。それを解決するために、水質汚濁状況(濁度、SS、大腸菌群数)を迅速に図る計測器からの情報を元に、あるいはこれら計測器からの情報と前述したセンサ情報とを元にオゾン注入を制御することにより、前述の水量予測値を用いた場合よりも、より実態に合った消毒制御ができ、先の効果を最大限に発揮することができる。なお、大腸菌群数は、大腸菌群に特異的に存在するβ−ガラクトシダーゼ活性を蛍光ならびに化学発光で測定することにより計測することができる。
【0022】
また、本発明の消毒システムは、下水貯留施設が設置された合流式下水道において、下水貯留施設と連携制御されることを特徴とする。下水の貯留施設の設置は、雨水初期汚濁物質を低減するには効果的な施設であるが、広大な設置面積や地下空間が必要であることと、建設費用が高いことで、合流式下水道地域全域に設置するには長期間を必要とする。本消毒システムと部分的あるいは完全に完成した貯留施設を含めてポンプ所への雨水の水量あるいは水質のいずれかあるいは両方を把握し制御するよう構成することにより、最小限のオゾン貯留施設で最大限の消毒効果を発揮できる。なお下水処理場でオゾン注入の後段にポンプなどの設備がない場合は、オゾン注入方法や接触槽内あるいは管路内で良く攪拌できる設計、設備をつけることにより、ポンプ所内のポンプによる攪拌、オゾンとの反応促進作用と同様の効果を持たせることができる。
【0023】
このように本発明では、生態系に影響の少ないオゾンを消毒剤として用い、越流水を放出するポンプ所内に設置可能な容積に収まるオゾン貯蔵装置を設置し、越流水が発生する際にポンプ所において消毒を行う機能を持たせたので、放流水域の衛生上の問題を解決することができる。
【0024】
なお、本発明の消毒システムを、下水処理場の放流水の消毒に適用することも可能である。下水処理場にて簡易処理水または簡易処理水と二次処理水との混合水を放流水域に放流する合流式下水道において、放流口手前の消毒剤接触層、貯留施設および放流管の少なくともいずれかにオゾンを注入し、簡易処理水または混合水を消毒して放流する。
【0025】
消毒用のオゾンは、吸着剤による吸着によって貯蔵してもよいし、液化によって貯蔵してもよいし、高濃度オゾンを含んだ氷として貯蔵してもよい。
【0026】
オゾンの注入量は、下水処理場への流入水量の予測値および二次処理水量の少なくともいずれかにもとづき制御するとよい。下水処理場への流入水量の予測値は、下水処理場よりも上流側における下水の水位、累積降雨量、降雨強度、降雨量の予測値または降雨強度の予測値などから算出することができる。
【0027】
また、オゾンの注入量を、下水の濁度、下水中の浮遊物質の量(SS)および下水中の大腸菌群数の少なくともいずれか1つにもとづいて制御してもよい。なお、大腸菌群数は、大腸菌群に特異的に存在するβ−ガラクトシダーゼ活性を蛍光ならびに化学発光で測定することにより計測することができる。
【0028】
このように本発明では、生態系に影響の少ないオゾンを消毒剤として用い、下水処理場に設置可能な容積に収まるオゾン貯蔵装置を設置し、下水処理場から放流する簡易処理水あるいは簡易処理水と二次処理水との混合水の消毒を行なう機能を持たせたので、放流水域の衛生上の問題を解決することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
図1に、本発明にかかわる合流式下水道の消毒システムの一実施例を示す。図において、1a,1b,1cはそれぞれマンホール7までの下水道管、マンホール7と消毒を実施するポンプ所2の間に存在する下水道管、消毒を実施するポンプ所2と下流のポンプ所あるいは下水処理場との間に存在する下水道管を示している。15は、消毒対象ポンプ所のポンプ井の水位を計測する水位センサ、13はマンホール7に設置されている下水の水位を計測する水位センサ、12は地上の降雨状況を計測する雨量計、11は、周辺の降雨強度を観測する雨量レーダ、14はポンプ所に流入する下水の水質汚濁状況を計測する水質センサ、16は、ポンプ所2から排出され、放流水域での大腸菌群数を計測するセンサ、18はオゾン貯蔵設備、17はポンプ所2の下水消毒システムを含んだ運転管理システム、3はポンプ所2内の沈砂池、4はポンプ所2内のポンプ井、5はポンプ井の雨水含有汚濁水を放流水域24に排出するための放流ポンプ、6はポンプ井の雨水含有汚濁水をさらに下流のポンプ所あるいは処理場に送液するための揚水ポンプ、8はマンホール7に設置された揚水用のマンホールポンプ、7はマンホール(人孔)、21は、家庭、工場、ビル、公共施設なからの汚水、22は、降雨により道路、屋根、側溝などから流れ込む雨水を示している。
【0031】
オゾン貯蔵設備としては、たとえば特開平9−235104号公報記載の、吸着剤に対するオゾンの吸脱着反応を利用した貯蔵方法がある。また、オゾンは、沸点が−112℃、融点が−193℃であり、低温状態を保つことにより液化状態で貯蔵する方法がある。また、オゾン水を冷却することにより、オゾン気泡が氷の中に閉じこめられたオゾン氷として貯蔵する方法がある。常時オゾンを貯蔵することが可能で、貯蔵のためのエネルギー消費が少なく、取り扱いや注入量および制御の容易さの観点から、本実施例では吸脱着反応を利用したオゾン貯蔵設備を用いた。この場合、貯蔵装置は、オゾン発生装置と吸脱着塔との間を配管でオゾンが循環するように構成し、吸脱着塔の圧力、温度、オゾン発生装置の発生量を制御することにより吸脱着塔での貯蔵オゾン量を制御できるようになっている。オゾン消毒が必要な場合は、酸素や窒素などのガスにより吸着したオゾン濃度を制御しながら注入した。
【0032】
注入地点はポンプ所のポンプ排出水量やポンプ井の容量に依存するが、ポンプ所の放流ポンプが全部動いても数分程度の滞留時間がある場合は、ポンプ井の入り口より注入した。本実施例でもこのケースだったのでポンプ井より注入した。また、滞留時間が数分未満となる場合は、ポンプ井より前の沈砂池より注入する必要がある。この場合は、ゴミや固形浮遊物などが多く存在し、これとオゾンが反応して消毒への寄与割合が少なくなることから、ポンプ井で注入する場合に比べてオゾン注入量を増やす必要がある。
【0033】
実施の形態1
図1に示した本発明の消毒システムにおいて、オゾン注入による越流水の消毒を行なった。オゾン注入量は水質汚濁状況により制御する必要があるが、本実施の形態では10mg/l(=10ppm)とした。ポンプ井の入口にこの注入率でオゾンを注入し、約2,500m/分の放流水に対して消毒を実施したところ、ポンプ所流入水で1×10個/mlあった大腸菌群数を、放流ポンプ出口側で排出基準の範囲である3,000個/ml以下に減少させることができた。また、放流ポンプ出口側で溶存オゾン濃度を計測したところ、残留オゾンは0.1mg/l以下に減少しており、生態系への影響や、オゾンの空気中への移行によるオゾン臭の発生などの問題はなかった。
【0034】
また、上記放流量が1時間継続し、その間1×10個/mlの大腸菌群が継続して流入し、この間10ppmのオゾン注入を継続して注入した場合、オゾン発生器としては250g/Nmで、循環圧力5atm、吸着温度−50℃、吸着剤シリカゲル、吸着塔容積40mの構成で十分対応できた。この場合の貯蔵施設の外形寸法は、底面積15m、高さ4mとコンパクトなものにできた。
【0035】
なお、放流時であってもすべての下水が放流水域に放流されているとは限らず、ポンプ井の下水の一部は、下流のポンプ所や下水処理施設へと流されている。したがって、ポンプ井に流入する下水の量(すなわち消毒対象となる下水の量)と、ポンプ所から放流される放流水の量は同じではない。しかし、下流への送水量は、ポンプ所の放流能力にくらべて小さく、通常5%程度であるため、ポンプ所の放流能力(先の例では2,500m/分)を基準にし、これに対して充分な消毒が行なえるように、オゾンの発生および貯蔵のための装置を用意すればよいといえる。
【0036】
実施の形態2
実施の形態1においては、消毒必要時間にわたって一定量のオゾン注入量に制御して運転した。しかし、合流式下水道の場合は、下水の汚濁物質濃度は降雨状況によって変化する。一般的には、降雨初期に下水道管に堆積した汚濁物や、道路、屋根、側溝などの堆積物を巻き込んで下水道管に流入する。そしてある程度降雨が継続した場合は、下水道管内の堆積物や地表面の堆積物はある程度洗い流され、初期降雨に比べて汚濁物質の存在量が少なくなっている。そのため、降雨初期の雨水に対し注入量を多めに設定し、その後の雨水に対しては注入量を低く設定できることになる。
【0037】
このような状況に対応できる消毒システムとして、ポンプ所に流入する水量や水質を水理モデルで予測して、オゾン注入条件を設定する方法がある。入力情報としては、地上に設置された雨量計12より得られる現降雨状況のデータと、雨量レーダ11よりもたらされる今後の雨雲の様子と雨量強度の予測値である。この雨量レーダの予測値を雨量計の実測値や、下水道管の適所に配置された水位センサ13のどちらかあるいは両方で補正することにより、水理モデルを利用してポンプ所に流入する水量がある程度の精度で予測できる。これと、前回降雨との間隔から推定される汚濁物質量を考慮した水質を推定する水質汚濁モデルとを組み合わせた演算処理をポンプ所運転管理システム17で実施することにより、水質汚濁状態を予測し、それに合わせてオゾン注入量を制御する。この様に構成することにより、降雨時一定量の注入を行う方法に比べ注入量を削減することができ、オゾン貯蔵施設の容量を小型化することができたり、不必要な消毒剤の投入が防止できるので、生態系への影響もさらに低減させることができる。
【0038】
たとえば、短時間に大量の降雨がある場合、流入下水量が急激に増えるとともに、下水管に堆積した汚濁物と雨が地表面で巻き込んだ汚濁物質が一気に流入することにより、汚濁物質も急激に増加する。したがって、ポンプ所に雨水を含んだ下水が流れてくるとすぐに、水量のピークと汚濁濃度のピークを迎え、ポンプ所から放流が必要となる。降雨の継続とともに汚濁物質の量は急激に減少する傾向にあるが、水量の変化はないためポンプ所からの放流は継続的に行なわれる。その後、降雨が弱まると、汚濁物質の濃度および水量とも減少するため、ポンプ所からの放流もなくなり、下流の下水処理場への送水のみが行なわれることになる。
【0039】
したがって、雨量レーダや雨量計、水位センサからの情報によって、このような降雨であると判断できる場合、降雨初期に汚濁物質の濃度が高いことを予測してオゾン注入量を多くし、その後、汚濁物質の減少にあわせてオゾン注入量を少なくするなど、不必要なオゾンの注入を防止することができる。
【0040】
また、比較的少量の降雨が長く続く場合、流入下水量は徐々に増え、あるところでほぼ一定量となる。この一定量の下水が、下流の下水処理場の受け入れ可能範囲内であれば、ポンプ所からの放流は行なわれないが、受け入れ可能範囲を超えるようになると、ポンプ所からの放流が必要になる。降雨の開始から放流開始までの時間は、降雨量が多い場合にくらべ、かなり長くなる。また、汚濁物質の濃度は、降雨の強度が下水管内や地表面の汚濁物質を流す程度に強い場合、比較的早めにピークを迎える(もちろん大量の降雨の場合にくらべればピークを迎える時間は遅い)。降雨の強度が弱い場合には、汚濁物質濃度のピークは遅くなり、濃度の増加・減少も緩慢になる傾向がある。
【0041】
したがって、雨量レーダや雨量計、水位センサからの情報によって、降雨の強さや流入下水量の時間変化を観測および予測し、ここから汚濁物質濃度の変化を予測して、適当な量のオゾン注入を行なうことが可能である。
【0042】
初期に強い降雨がありその後に少量の雨が続く場合には、初期の強い降雨によって、流入下水量が急激に増加してポンプ所から放水が行なわれるとともに、下水管や地表面の汚濁物質が洗い流されて急激に汚濁物質濃度が上昇する。したがって、雨量レーダや雨量計、水位センサからの情報によって、強い降雨あるいは急激な流入水量の増加を把握し、汚濁物質濃度の上昇を予測してオゾン注入量を多くすればよい。
【0043】
初期の強い降雨によって下水管や地表面の汚濁物質が洗い流されてしまうため、その後の少量の雨では、下水中の汚濁物質は少なくなる。したがって、オゾンの注入量は少なくてよい。また、雨量が少なく下水の量が下流の下水処理場の処理能力以内であるならば、放流を行なう必要がない。
【0044】
実施の形態3
実施の形態2では、雨量強度、雨量および下水道管の水位および降雨間隔などに基づき水質汚濁状況を推定することで注入量制御を実施したが、本実施の形態では、水質汚濁を直接短時間に計れる水質センサ14を利用してオゾン注入量を制御する。水質としては、汚染の激しい下水を測定対象にすることから、正確に高い精度(たとえば、フルスケールのプラスマイナス5%以内)で水質を計測できるものよりは、ある程度の精度でいいから、水質の大雑把な情報(桁がほぼ正しい程度)を迅速に計測できるものを使う方が本発明の消毒制御には向いている(もちろん、より高精度の計測を迅速に行なえる計測器があれば、それを使う方が望ましい)。
【0045】
下水の汚濁状況を把握するにはBODを測定することが望ましいが、これを迅速に測定することは困難であるため、光透過度や散乱を計測するSS計や濁度計のどちらか一方、望ましくは両方で汚濁情報を得るのがよい。
【0046】
大腸菌群を測定する方法は、下水試験方法では、デソキシコール酸塩培地で混釈培養法にて37℃、20時間培養してコロニーをカウントする方法が公定法として規定されている。しかしこの方法は手分析でしか実施できず、しかも約1日の時間を要するので、制御情報として使うことはできない。自動で計測できる方法として大腸菌のポリクローナル抗体を用いた蛍光法があるが、測定時間に2時間を要したり、降雨初期汚濁水に対する適用性に課題があり消毒制御用センサとして十分な機能を発揮するには至っていない。大腸菌群数を迅速に計測する方法としては、大腸菌群細菌に特異的に存在するβ−ガラクトシダーゼの酵素活性をフローインジェクションによる蛍光法で計測する方法が提案されている(「フローインジェクション法を用いた迅速大腸菌群計測装置」、環境システム計測学会誌、Vol.6,No.1, pp.21−25 (2001))。たとえば、酵素と反応する試薬として4−メチル−ウンベリフェニル−β−D−ガラクトピラノシドを使用すると、これが菌体中の酵素によって蛍光物質である4−メチル−ウンベリフェロンとガラクトースに分解されるので、蛍光測定で検出できる。この方法では、約3000個/mlの大腸菌群数を約30分で計測できる。この方法は大腸菌群数が多ければ蛍光強度も強くなるので、大腸菌群数の数が多い降雨時下水では、先の測定時間を短縮できる。
【0047】
この大腸菌群数計測方法は、先に述べた濁度、SSに比べ測定時間は長くかかるが、一般的な降雨での越流時間(1〜2時間程度が多い)内で複数回測定結果が得られることから、このセンサ情報を下水消毒制御にフィードバックすることができる。また、放流水域24あるいは放流ポンプ出口でも大腸菌群数を計測することにより、消毒効果をモニタリングすることもできる。
【0048】
また、化学発光により大腸菌群数を計測してもよい。β−ガラクトシダーゼの酵素活性を測定する試薬として、たとえばCLONTECH社が市販している化学発光基質Galacton−StarTMを利用すると、酵素がGalacton−Starのガラクトシド部分を切断する際に中間体が生成され、この中間体が光を放射しながら分解する。この発光を、フォトマルなどの光学検出素子で測定することにより、酵素活性を測定することができる。下水中の大腸菌群数を迅速に計測し、制御情報として用いることができる。
【0049】
以上述べた水質センサの少なくとも一つ、望ましくはこれらの水質センサの組み合わせでポンプ所流入水の汚濁情報をポンプ所運転管理システム17で演算し下水消毒システムとして使うことにより、実施の形態2と同様の効果を得ることができる。
【0050】
実施の形態4
実施の形態2では降雨量、下水道管の水位により水質汚濁の予測、実施の形態3では、水質センサを用いた大雑把な水質汚濁を実測した下水消毒システムを説明した。本実施の形態では、実施の形態2で予測される水質汚濁の予測値を、実施の形態3で実測した値で補正することにより、将来の水質汚濁状況の予測精度をさらに高めることにより、実施の形態2および3に比べてさらにきめ細かな下水消毒制御が可能となり、実施の形態2および3よりもさらに効率的な下水消毒システムを構成することができる。
【0051】
実施の形態5
合流式下水道の改善対策の有力な施策として、下水道管やポンプ所、処理場に雨水貯留管、雨水貯留池、雨水貯留槽、雨水滞水池などの貯留設備を設ける方式が実施され始めている。しかし、合流式下水道を採用している地域には都市部中心という住宅、工場、建物密集地が多く、これら貯留設備を全領域に導入するには、多大の事業期間と費用が必要で現実的ではないのが実情である。しかし、今までもいくつかの施設は完成に至っており、またいくつかの設備も建設中である。このように完成までに長い時間を要する施設建設では、完成したときにやっと機能を果たすことができるというのでは、現状抱えている合流改善の問題を早急に解決することは不可能である。
【0052】
本実施の形態では、部分的に完成した貯留施設や、完成した貯留施設と本発明による下水消毒システムを一括して制御する方法を説明する。ポンプ所上流あるいはポンプ所内に貯留施設が完成あるいは部分的に供用できる状態であると、まず降雨初期の汚濁負荷の高い下水は一旦これらの貯留施設に貯留される。しかし、これらの貯留量には上限が存在するのと、下流の下水道管や処理場内に設置された貯留施設に余分な雨水汚濁水を搬送しようにも、汚水遮集量にも上限があるため、ある程度の貯留量を越えたらポンプ所より放流せざるを得なくなる。
【0053】
そこで、この時に限りポンプ所の消毒システムを運転し、処理場や下流の貯留施設に余裕ができた時に、揚水ポンプで下流の諸施設に下水を流して処理するという制御を、貯留施設の運転管理システムと連動して構築しておくと、ポンプ所での消毒操作の負担が少なくでき、オゾン貯蔵施設のさらなる小型化や生態系に与える影響を極小化することができる。
【0054】
また、このような連携制御は、前述の貯留施設の貯留量が上限に達した場合に限られない。たとえば、降雨初期などの汚濁度の高い下水を貯留施設で一時的に貯留し、清浄な雨水になった時点で、貯留されていた汚濁度の高い汚水と混ぜて汚濁を希釈し、ポンプ所の消毒システムによって消毒を行なって放流するようにしてもよい。貯留施設での一時貯留時に汚濁物質の一部が沈殿し除去されるため、汚濁物質の濃度が低くなり、ポンプ所での消毒時にオゾン注入量を少なくすることが可能である。また、希釈によって汚濁物質の濃度が低められるため、消毒時のオゾン注入量をさらに少なくすることができる。したがって、オゾン貯蔵施設の小型化および生態系への影響の極小化が可能になる。
【0055】
ポンプ所内に貯留施設が設けられている場合、この貯留施設も一種のポンプ井であると考えることができる。したがって、このような場合には、貯留施設手前でオゾンを注入することにより、オゾンと下水との接触時間を、貯留施設での下水の滞留時間とポンプ井での下水の滞留時間の和とし、より長くすることができる。この結果、より少ないオゾンの注入量で消毒を行なうことが可能である。また、汚濁の激しい下水を処理する場合には貯留施設手前でオゾンを注入し、下水が清浄化してきたら、ポンプ井手前でオゾンを注入するよう切り替える制御を行ない、オゾン注入量を少なくすることができる。
【0056】
実施の形態6
雨天時、下水の量が下水処理場の処理能力を超えてしまう場合、下水処理場において、簡易処理水(最初沈殿池での処理だけを行なった下水)を放流することがある。また、簡易処理水に二次処理水(最初沈殿池での処理や生物処理など、消毒を除くすべての処理を終えた下水)を混合し、この混合処理水を放流することもある。このように、下水処理場において簡易処理水あるいは簡易処理水と二次処理水との混合処理水を放流する場合についても、本発明の消毒システムが適用可能である。
【0057】
晴天時の最大処理水量(二次処理水量)が480,000m/日である国内でも大規模の部類に入る下水処理場の場合、二次処理水量は最大333m/分となり、簡易処理水量は一般的にこれの2倍量となるので667m/分程度である。したがって、雨天時に二次処理水と簡易処理水を混合しオゾン注入による消毒を行なって放流する場合でも、消毒対象の混合処理水は1,000m/分であり、実施の形態1で示した放流水量よりも少ない。また、簡易処理水や二次処理水については、処理場内である程度の処理が行なわれているため、汚濁および大腸菌群数は幾分低くなっている。したがって、実施の形態1で述べた仕様より少ないオゾン注入量で消毒を達成できる。
【0058】
すなわち、ポンプ所放流水に対応できる本発明による消毒システムが、下水処理場の放流水にも適用できることは明らかである。なお、オゾンの注入は、放流口手前の消毒剤接触槽、貯留施設、放流管において行なえばよい。もちろん、オゾンの注入はこれらのうちの1箇所には限られず、複数の箇所にてオゾンの注入を行なってもよい。
【0059】
実施の形態7
実施の形態1の消毒システムを、下水処理場の放流水の消毒に適用する場合、オゾン注入量の制御にあたっては、ポンプ所放流水の消毒を行なう場合と同様の考え方が適用可能である。
【0060】
すなわち、実施の形態2と同様にして、下水処理場に流入する下水の水量や水質を水理モデルで予測してオゾンの注入条件を設定する方法がある。また、実施の形態3と同様にして、下水処理場に流入する下水の汚濁状況を測定し、オゾン注入量を制御する方法がある。また、実施の形態4で述べたように、水量や水質を水理モデルで予測してオゾンの注入条件を設定する実施の形態2と、下水の汚濁状況を測定しオゾン注入量を制御する実施の形態3を組み合わせ、さらにきめ細かいオゾン注入量の制御を行なうことも可能である。
【0061】
【発明の効果】
本発明により、非常に短い接触時間しか許されない雨天時放流水の消毒において、従来の塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン系消毒剤よりも消毒効果の高いオゾンを用いることにより、消毒後の大腸菌群数を排水基準(3000個/ml以下)の範囲にすることができる。また、消毒剤としてオゾンを使うことにより、消毒剤の残留性がハロゲン系消毒剤に比べて低く、放流後の水域の生態系に対する影響を少なくすることができるという効果がある。
【0062】
さらに、放流ポンプ前段に注入し残留しているオゾンの一部あるいは全部を、放流ポンプ内部におけるキャビティー効果により、より殺菌力の強い活性酸素ラジカルに変換でき消毒効果を高めることができるとともに、この効果により残留性オゾンをさらに低下させ、生態系に対する影響を極力小さくすることができる。
【0063】
また、従来のオゾン連続発生装置にくらべ小さい装置で大量のオゾンを短時間に注入することができる。したがって、装置設置面積に余裕のない合流式下水道システムが導入されている都市部のポンプ所でも設置できる効果がある。
【0064】
また、本発明により、オゾン使用量を必要最小限に抑えることができ、連続降雨などで次の降雨に備えるためのオゾン貯留時間を短縮できる効果がある。
【0065】
大腸菌群数の計測は、下水道試験法に定められている公定法では約20時間、ポリクローナル抗体を用いる蛍光光度法では約2時間の時間を要するが、本発明では、大腸菌群細菌に特異的に存在するβ−ガラクトシダーゼの酵素活性をフローインジェクションによる蛍光法で計測する方法により30分以内に測定値が得られるため、豪雨時(約1時間から2時間の降雨時間が多い)中に消毒効果を確認でき、消毒制御にこの測定値を反映できる効果がある。
【0066】
下水貯留施設は、汚濁物質を多く含んだ初期汚濁雨水を一時的に貯留し、下流の処理場で処理能力に余裕ができたときに汚濁下水を搬送し、処理して放流水域に排出する設備であるが、合流式下水道システムが敷設されている地域は、大方が住宅、ビル、工場などが密集している場所なので、必要な貯留設備を導入するには多大な時間と費用がかかる。本発明により、部分的に一部供用ができる貯留施設を効果的に使って、下流の下水処理場に余裕がなく、初期汚濁雨水の貯留水量が少ない場合でも、ポンプ所の消毒システムと連携制御することにより、越流水を全て消毒することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による合流式下水道の放流水の消毒システムである。
【図2】合流式下水道を示した模式図である。
【図3】下水道管内で消毒を行う従来提案されている一システムである。
【図4】ポンプ所で消毒を行う従来実施の一システムである。
【符号の説明】
1 下水道管、2 ポンプ所、3 沈砂池、4 ポンプ井、5 放流ポンプ、6 揚水ポンプ、7 マンホール、8 マンホールポンプ、9 消毒剤注入装置、10 次亜塩素酸注入装置、11 雨量レーダ、12 雨量計、13 水位センサ、14 水質センサ、15 水位センサ、16 水質センサ、17 運転管理システム、18 オゾン貯蔵装置、21 汚水、22 雨水、23 越流水、24 放流水域。

Claims (9)

  1. 下水の一部または全部をポンプ所の放流ポンプにて放流水域に放流する合流式下水道において、前記ポンプ所内かつ前記放流ポンプの上流側にオゾンを注入し、放流水域へと放流する下水を消毒する放流水の消毒システム。
  2. 下水処理場にて、簡易処理水または簡易処理水と二次処理水との混合水を放流水域に放流する合流式下水道において、放流口手前の消毒剤接触層、貯留施設および放流管の少なくともいずれかにオゾンを注入し、簡易処理水または混合水を消毒して放流する放流水の消毒システム。
  3. 前記オゾンを、吸着剤による吸着によって、液化によって、または高濃度オゾンを含んだ氷として貯蔵しておく請求項1または2記載の消毒システム。
  4. 前記オゾンの注入量を、ポンプ所への流入水量の予測値および放流ポンプの放流水量の少なくともいずれかにもとづき制御する請求項1または3記載の消毒システム。
  5. 前記オゾンの注入量を、下水処理場への流入水量の予測値および二次処理水量の少なくともいずれかにもとづき制御する請求項2または3記載の消毒システム。
  6. 前記ポンプ所または下水処理場への流入水量の予測値を、該ポンプ所または下水処理場よりも上流側における下水の水位、累積降雨量、降雨強度、降雨量の予測値および降雨強度の予測値の少なくともいずれか1つにもとづいて算出する請求項4または5記載の消毒システム。
  7. 前記オゾンの注入量を、下水の濁度、下水中の浮遊物質の量および下水中の大腸菌群数の少なくともいずれか1つにもとづいて制御する請求項1、2、3、4、5または6記載の消毒システム。
  8. 下水中の大腸菌群数を、大腸菌群に特異的に存在するβ−ガラクトシダーゼ活性を蛍光または化学発光で測定し、該測定した大腸菌群数にもとづき前記オゾンの注入量を制御する請求項1、2、3、4、5または6記載の消毒システム。
  9. 下水貯留施設が設置された合流式下水道において、該下水貯留施設と連携制御される請求項1、3、4、6、7または8記載の消毒システム。
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