JP3908927B2 - 下水の消毒方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水処理の分野に関し、より詳しくは、雨水吐き口、ポンプ所、下水処理場から公共用水域に放流される下水の消毒方法及びそのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
合流式下水道では、設計値を上回る降雨があったときは、中継基地であるポンプ所や雨水吐き口から、雨水の混ざった汚水(以下、雨天時下水という)が数十秒から数分で、無処理のまま公共用水域に放流される。このような雨天時下水中には、粗大浮遊物やSS(suspended solids:浮遊物質)が含まれており、それらが公共用水域に排出され、海や河川等で浮遊したり、護岸壁や河川岸等に付着するため、景観上や臭気上大きな問題となっている。
【0003】
また、下水処理場においても、流入下水が処理能力を大幅に上回る場合には、一部の雨天時下水を緊急避難的に簡易放流する場合がある。通常、簡易放流時における細菌の消毒は、次亜塩素酸ナトリウム、液化塩素、塩素化イソシアヌル酸、次亜塩素酸カルシウム等の塩素剤によって行うが、降雨量が多い場合には、「下水道施設計画・設計指針と解説((社)日本下水道協会発行、1994年版)」に定められた接触時間を確保することができない場合が多いため、塩素剤注入率を多くする必要がある。しかし、塩素剤を放流時に注入する従来の技術では、塩素剤が雨天時下水中に含まれるアンモニア性窒素と反応してクロラミンを形成し、長時間環境中に残留するため、公共用水域の水棲生物に与える影響が大きい。これらは、特に合流式下水道にみられる現象であるが、分流式下水道においても土壌性大腸菌群や粗大浮遊物が流入するため、それらが越流して公共用水域に放流された場合には、合流式下水道と同様の問題が生じていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
次亜塩素酸ナトリウム、液化塩素、塩素化イソシアヌル酸、次亜塩素酸カルシウムなどの塩素剤を、混和池で15分以上下水と接触させることにより大腸菌群を消毒する方法は、上述の「下水道施設計画・設計指針と解説」に記載された塩素混和池等で塩素剤と下水が十分に接触できる場合には有効である。しかし、降雨強度が大きく、短時間で公共用水域に緊急放流される雨天時下水に使用する場合、塩素剤と雨天時下水との接触時間が十分にとれないため、水質汚濁防止法で定める放流水中の大腸菌群数基準値(大腸菌群数3000CFU/mL以下)にすることができない場合がある。また、塩素剤を放流時に注入する従来の技術では、塩素剤が雨天時下水中に含まれるアンモニア性窒素と反応してクロラミンを形成し、長時間環境中に残留するため、水棲生物に与える影響が大きく好ましくない。
【0005】
また、上述の「下水道施設計画・設計指針と解説」によれば、オゾンや紫外線による消毒についても記載されている。しかしながら、この場合には、予想される最大越流水量に対して消毒可能なオゾン量を供給する設備を設置する必要がある。雨天時下水の越流は、通常1年間に20〜50回の範囲であり、それ以外は通常処理が可能な状態である。しかし、時間当たり数万m3の雨天時下水を、水質汚濁防止法で規定された基準値まで消毒するためには、巨大なオゾン注入設備を設ける必要があり、費用対効果を考慮した場合、賢明な方法とはいえない。更に、オゾン注入後は、気相中のオゾンを中和する必要があるが、暗渠が多い下水への適用は困難であり、廃オゾン処理装置の設置にともなう設備費用の上昇が懸念される。
【0006】
更に、数万m3の貯留池を設けて雨天時下水を一次貯留し、貯留量以上の降雨量によって越流が起こった場合、上記の塩素系消毒剤を用いて、消毒を行う方法も提案されている。しかしながら、既存のポンプ所や雨水吐き口には新たな貯留池を設ける場所が無いことが多く、この方法は現実的でない。また、雨天時下水が越流する際に塩素剤を用いて消毒を行う方法は、上記と同様の環境中への残留塩素の排出等が重要な問題として残るため、好ましくない。
【0007】
更には、集中豪雨時などに下水管に雨水が大量に流れ込んできたときの雨天時下水の消毒処理を行うための方法として、ポンプ所(上流側ポンプ所)において、下流側の下水道管内に消毒剤を注入するための消毒剤注入装置を設置し、それより下流側のポンプ所で雨天時越流水を放流する時に、上記の上流側ポンプ所において下水道管内に消毒剤を注入して、雨天時下水が上流側ポンプ所から下流側ポンプ所に達する間に、越流水として放流される雨天時下水の消毒を行う方法が提案されている。この方法によれば、ポンプ所間を繋ぐ下水道管に直接塩素剤を注入するため、その下水が下流側ポンプ所に到達するまでには大腸菌群等の細菌の消毒は完了しているため、従来の方法に比べて優れた方法といえる。しかし、ポンプ所間の距離は通常数百m〜数Kmあり、降雨量によっても異なるが、上流側ポンプ所から下流側ポンプ所に雨天時下水が到達するまでには、30分前後必要である。提案されている方法は、下流側ポンプ所で放流が開始されたとの情報を受けて、上流側のポンプ所から消毒剤を注入する方式であるため、少なくとも数十分単位の雨天時下水は無処理で放流されることになり、最も汚濁負荷の高い初期放流水に対する消毒は行えないままであった。また、かかる方法は、下水管渠に塩素剤等の消毒剤を注入することを特徴とし、管渠自体の消毒を同時に行うことができると言われているが、下水管渠には底泥が堆積している場合が多く、消毒剤がそれに消費されるため、当初の期待通りの消毒効果を望めない。さらに、管渠内に堆積した底泥量は降雨やその他の条件によって異なるが、暗渠であることからそれに消費される消毒剤量が毎回異なるため、雨天時下水中に含まれる大腸菌群等の細菌を消毒するには不十分な方法であった。
【0008】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を克服し、ポンプ所、雨水吐き口、下水処理場から公共用水域に放流される未処理もしくは簡易処理された、大腸菌群等の細菌を含む雨天時下水に対して、大腸菌群等の細菌を効率的かつ安価に消毒する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、雨水を含む下水を系外に排除する構造を持った下水処理施設において、該施設に下水道管渠を通じて雨天時下水が流入する場合に、該施設における雨水下水の水位及び/又は時間あたりの水位上昇率及び/又は該施設への雨天時下水の時間あたりの流入水量をモニターして、該施設から雨天時下水が放流されるまでの時間を予測し、放流までの予測時間が所定の値になった時点で消毒剤を雨天時下水に注入することを特徴とする下水の消毒方法を提供する。更に本発明の他の態様は、雨水を含む下水を系外に排除する構造を持った下水処理施設に設置する雨天時下水の消毒装置であって、雨天時下水へ消毒剤を注入するための消毒剤供給装置と;当該施設に流入する雨天時下水の時間あたりの流入水量を測定する手段と;当該施設における雨水下水の水位及び/又は時間あたりの水位上昇率を測定する手段と;これらの測定手段で測定された値に応じて消毒剤の雨天時下水への注入量を制御する手段と;を備えてなる装置をも提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
水質汚濁防止法上の規制項目は、BOD、SS及び大腸菌群数であるが、そのうちのBOD及びSSは初期に流出する雨天時下水中の濃度は高いものの、多くの場合、30分〜2時間程度で規制値以下になることが知られている。また、スクリーン等の、粗大浮遊物やSSを除去する装置が徐々に実用化されてきている。しかし、雨天時下水中に含まれる大腸菌群数は105(CFU/mL)を超えることが多く、雨水で希釈された場合でも規制値の3×103(CFU/mL)以下になるまでに、2〜5時間、状況によっては10時間前後かかる場合もあった。本願発明は、雨天時下水中に含まれる大腸菌群数を短時間でしかも効率的に3×103(CFU/mL)以下にする消毒方法及びそのシステムを提供する。
【0011】
雨天時下水を系外に排除する構造を持った施設、例えばポンプ所では沈砂池内水位が一定以上に達すると雨水ポンプが可動することにより、或いは例えば雨水吐き口では流入管渠の雨天時下水水位が一定値に達すると自然越流することにより、雨天時下水は公共用水域に放流される。
【0012】
本発明は、かかる水位変動もしくは所定時間に流入する雨天時下水水量を検知して、雨天時下水の放流前であって、雨天時下水の放流開始までの間に消毒剤と雨天時下水との接触時間を十分に保持できる時点で消毒剤を注入することにより、系外に排出される雨天時下水中の大腸菌群数を効率的に消毒するものである。
【0013】
降雨時における下水処理施設(ポンプ所、雨水吐き口、下水処理場)での放流開始までの予測時間は、当該施設において、降雨時における時間あたりの流入下水水量及び沈砂池、滞水池等の水位上昇と、放流開始時間との関係を予めデータとして蓄積して、実際の降雨時に、この蓄積されたデータから回帰分析等を行うことによって予測することができる。また、流入水量、降雨量、降雨強度及び滞水池や管渠内容積から、消毒剤の注入時期を計画することもできる。これら両者の方法を併用して、消毒剤の注入時期を計画してもよい。
【0014】
本発明においては、このようにして予測された放流開始までの時間が、5〜45分、好ましくは10〜35分、さらに好ましくは15〜30分となった時点で、雨天時下水に消毒剤を注入することが好ましい。この時間が5分以下であると、放流までの保持時間が十分でなく、塩素剤を注入した場合には、放流時に結合塩素が公共用水域に流出して弊害を引き起こすので好ましくなく、一方、45分を超えると、放流を行わない下水に消毒剤を加える時間が長くなって消毒剤使用量が多くなりすぎて経済的でないため好ましくない。
【0015】
本発明にしたがって放流開始前に雨天時下水に注入する消毒剤は、上記のようにポンプ所内等において滞留時間が十分確保できるように注入を行うため、塩素剤を用いることが好ましく、放流開始後は速効性を確保し、残留性が小さいことが必要なため、臭素剤を用いることが好ましい。
【0016】
本発明にしたがって放流開始前に消毒剤を注入する際には、消毒剤は、処理対象の施設(ポンプ所、雨水吐き口、下水処理場)内において雨天時下水中に注入するか、或いは当該施設の直近の上流の下水管(合流管渠など)において雨天時下水に注入することが好ましい。
【0017】
本発明をポンプ所に適用する場合には、沈砂池や滞水池の水位が一定の高さ以上になったことを通常の水位計等で検出し、その水位に達したら消毒剤を注入する。さらに、時間あたりの流入水量を通常の流量計等で測定し、これを水位測定値と組合わせて用いることで、放流水位に達するまでの時間を把握することができ、これに基づいて、放流まで所定の時間を確保できる水位及び/または流入水量に達したときに消毒剤を注入することができる。また、当該施設において、時間あたりの水位上昇率を測定し、滞水池や沈砂池等が満水になる時間を予測し、その時間が前述の5〜45分間になったときに、消毒剤を注入することもできる。これらの場合、公共用水域に放流するまでに、消毒剤と下水との接触時間を十分に確保できるような状態で消毒剤を注入するため、次亜塩素酸ナトリウム、塩素化イソシアヌル酸、塩素化ヒダントイン等の塩素剤を用いることができる。また、本発明においては、ブロモクロロイソシアヌル酸、ブロモクロロヒダントイン、ジブロモヒダントイン、次亜臭素酸、次亜臭素酸塩、塩化臭素等の速効性を有する臭素剤を用いることもできる。しかし、コストを考慮した場合、本工程では塩素剤を用いることが好ましい。
【0018】
本発明を雨水吐き口に適用する場合には、流入管渠を流れる雨天時下水の水位及び/又は流入水量若しくは時間あたりの水位上昇率を通常の方法で測定し、その一方及び/又は両者の測定値が一定値に達したときに、雨水吐き口の上流の管渠に消毒剤を注入する。この場合、消毒剤として上記の塩素剤や臭素剤を注入することができる。しかし上記と同様に、コスト面から塩素剤を用いることが好ましい。また本態様の場合、当該雨水吐き口の直近の上流の雨水吐き口で消毒剤を注入するのではなく、その雨水吐き口にかかる直近の上流の合流管渠に消毒剤を注入するため、消毒剤の浪費は殆ど生じない。
【0019】
下水処理場では、最初沈澱池を経由した雨天時下水が塩素消毒されて公共用水域に放流されるが、本発明を下水処理場に適用する場合には、最初沈殿池の水位及び/又は最初沈澱池への流入水量若しくは時間あたりの水位上昇率を通常の方法で測定し、その一方及び/又は両者の測定値が所定値に達したときに、最初沈殿池もしくは混和池に消毒剤を注入する。この場合、注入する消毒剤は、上記に示したように、塩素剤を用いても臭素剤を用いてもよいが、コスト面からは塩素剤を用いることが好ましい。
【0020】
上記のように、本発明によれば、雨天時下水の放流が行われる前に塩素剤に代表される消毒剤を雨天時下水に注入し、さらにそれが所定時間滞留することで、公共用水域に放流されるときには、下水中の大腸菌群数を3×103(CFU/mL)以下若しくはその近傍とすることができる。放流下水中の大腸菌群数をさらに少なくするためには、残留塩素が検出されない程度に塩素剤等の消毒剤注入率を多めに設定すればよい。
【0021】
更に、ポンプ所、雨水吐き口、下水処理場から公共用水域への放流が開始された後に、消毒を行うこともできる。雨天時下水が越流(放流)を開始した後は、例えばポンプ所の沈砂池や滞水池内での雨天時下水の滞留時間が短くなるため、塩素剤を注入するだけでは十分な消毒効果を得ることができない。そこで、本発明の好ましい態様においては、雨天時下水の放流後において、即効性を有する臭素系消毒剤を放流水に注入することにより、大腸菌群数を3×103(CFU/mL)以下にすることができる。ここで使用可能な臭素系消毒剤は、次亜臭素酸、次亜臭素酸塩、ブロモクロロイソシアヌル酸、ブロモクロロヒダントイン、ジブロモヒダントイン等の、加水分解して次亜臭素酸及び/又は次亜臭素酸イオンを生成する化合物を用いることができる。この消毒剤の注入は、ポンプ所にあっては、沈砂池入口又は出口、滞水池入口又は出口、雨水ポンプ入口、雨水ポンプ吐出口、放流きょ等のいずれであってもよく、またこれらの二箇所以上に注入してもよい。また、雨水吐き口にあっては、合流管渠、越流堰前後、越流水路等のいずれであってもよく、またこれらの二箇所以上に注入してもよい。更に下水処理場にあっては、最初沈澱池入口、最初沈殿池出口、越流堰前後、滞水池入口、滞水池出口等のいずれであってもよく、またこれらの二箇所以上に注入してもよい。
【0022】
以下に、本発明に係る下水の消毒方法及び装置の構成についてより詳細に説明する。
図において参照記号は以下の意味を有する。
1a,1b:汚水流出源(工場、一般家庭等);
2:雨水等の集水域(山野等); 5:雨水吐き口; 6:ポンプ所;
7:下水処理場; 10a,10b,11:下水管;
12:合流下水管渠; 13a,13b:遮集管渠;
15:公共用水域(海、河川等);
20:消毒剤注入率決定演算機;
21,21a,21b:流入水量/流入水濁度検知回路;
22,22a,22b:滞水池水位検知回路;
23,23a,23b:沈砂池水位検知回路;
30:ポンプ所; 31:放流水路; 32:下水管渠;
33:流入管渠; 41:雨水ポンプ; 42:汚水ポンプ;
46:沈砂池; 47:滞水池; 48:ポンプ井;
51,52:消毒剤注入設備。
【0023】
図1は、一般的な下水処理システムの概要を説明する図である。工場、一般家庭等の汚水流出源1a、1bから下水管10a,10bを通して流出する汚水は、晴天時は合流管渠12から遮集管渠13a,13bを通り、下水処理場7で無害化されて公共用水域15に放流される。しかし、降雨があると、雨水集水域2からの雨水が下水管11を通じて合流管渠12に流入し、処理場で処理できない量であれば、雨水吐き口5やポンプ所6から未処理のまま公共用水域15に放流される。また、処理場7でも、大量の雨天時下水が流入した場合は、簡易処理のみで、公共用水域に放流される。
【0024】
本発明の下水の消毒方法は、合流管渠12及び遮集管渠13a、13bにおいて、雨水吐き口5、ポンプ所6、下水処理場7に流入する時間あたりの流入水量を検知し、雨水吐き口5、ポンプ所6、下水処理場7における水位上昇を検知して、水位上昇若しくは時間あたりの水位上昇率が所定の値に達した場合に消毒剤を注入することを特徴とする。
【0025】
本発明方法において、好ましくは、消毒剤の注入率は、流入下水の濁度と時間あたりの流入下水量とから決定することができる。即ち、本発明の更に好ましい態様は、雨水を含む下水を系外に排除する構造を持った下水処理施設において、該施設に下水道管渠を通じて雨天時下水が流入する場合に、該施設における雨天時下水の水位及び/又は時間あたりの水位上昇率及び/又は該施設への雨天時下水の時間あたりの流入水量をモニターして、該施設から雨天時下水が放流されるまでの時間を予測し、放流までの予測時間が所定の値になった時点で消毒剤を雨天時下水に注入することを特徴とする下水の消毒方法であって、消毒剤の注入率を、流入下水濁度と雨天時下水の時間あたりの流入水量から決定することを更に特徴とする方法に関する。
【0026】
上述の下水道施設計画・設計指針と解説、後編第5章には、下水放流水の消毒においては放流水中の大腸菌群数を1cm3中に3000個以下になるように消毒剤注入率を定めなければならないと記載されており、塩素の注入率は次表のように示されている。
【0027】
【表1】
Figure 0003908927
【0028】
上記に示した数値は、塩素接触槽で接触時間が十分に確保できることを前提に定められたものであり、本発明においては、雨天時下水の放流開始前に消毒剤を注入することによって雨天時下水と消毒剤との接触時間を十分に確保できるので、上記の数値を代用することによって消毒剤の最適注入率を定めることができる。しかしながら、雨天時下水の水質は降雨量によって異なるため、本発明の好ましい態様においては、流入下水の濁度と雨天時下水の時間あたりの流入水量とに基づいて消毒剤の注入率を決定する。これは、複数の実データを元にして分析を行い、濁度を例えば50度以下、50度〜100度、100度以上の三段階に層別し、それぞれの濁度範囲における種々の流入水量に応じた消毒剤最適注入率を定めることによって行うことができる。なお、本発明方法においては、放流前に消毒剤を雨天時下水に注入するため雨天時下水と消毒剤との十分な接触時間が確保できるので、放流後に消毒剤を注入する場合などのように、綿密な消毒剤注入率の制御を行う必要はない。
【0029】
図2は、消毒剤注入を決定するための制御方法例について記載したものであるが、本発明の内容は、必ずしも本図に限るわけではない。
雨天時下水は、流入管渠33からポンプ所30に流入し、沈砂池46で粗大浮遊物が除去された後、ポンプ井48、汚水ポンプ42を通じ、下水管渠32を通じて下水処理場に送られる。しかし、降雨量が多い場合には、雨水ポンプ41により、放流水路31を通じて公共用水域に放流される。一部のポンプ所では滞水池47を設け、降雨量が多い場合の初期流入下水を、47に一次貯留することも行われている。本願発明では、流入管渠33から流入する雨天時下水の時間あたりの水量及び流入水の濁度を21aの流入水量/流入水濁度検知器で測定し、及び/又は滞水池の水位を水位検知器22aで検知し、及び/又は沈砂池の水位を水位検知器23aで検知する機構を設け、それらのデータが、それぞれ、21,22、23の検知回路を通じて、消毒剤注入率決定演算機に送られる。その後、消毒剤注入設備51、52に信号を送り、沈砂池入口、沈砂池出口、放流配管等に消毒剤を注入する。消毒剤は、本図に関わらず、沈砂池手前の管渠、雨水ポンプ吐出口、ポンプ井等に注入してもよい。なお、水位が所定値以下に低下した場合や、時間あたりの雨天時下水流入水量が所定値以下に低下した場合にも、同様の検知を行い、消毒剤の注入を停止する。
【0030】
上記の方法によって、雨天時下水を効率的かつ経済的に消毒することが可能になる。
【0031】
【実施例】
以下の実施例において、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
実施例1〜4
雨天時のポンプ所において、流入下水水量と水位上昇率とをモニターし、表2に示す計算式に従って放流までの予測時間を算出して、放流開始まで15分〜30分であると予測された時点で消毒剤を注入した。また、雨天時下水放流時にも消毒剤を注入した。注入した消毒剤の種類及び量(注入率)、並びに消毒処理後の処理水の水質を表3に示す。
【0033】
【表2】
Figure 0003908927
【0034】
比較例1〜4
実施例1と同じポンプ所において、雨天時下水が放流されてから消毒剤を注入した。注入した消毒剤の種類及び量(注入率)、並びに消毒処理後の処理水の水質を表4に示す。
【0035】
なお、上記の実施例1〜4及び比較例1〜4での原水の大腸菌群数は、8×104(CFU/mL)であった。消毒剤の注入率は、JIS-K0102に記載されたヨウ素滴定法から求めた塩素換算値濃度であり、残留ハロゲン濃度はオルトトリジン法で求めた値である。また、表3,4において、NaClOは次亜塩素酸ナトリウム、ClO2は二酸化塩素、BCDMHはブロモクロロジメチルヒダントイン、DBDMHはジブロモジメチルヒダントイン、NaBrOは次亜臭素酸ナトリウムを表す。
【0036】
【表3】
Figure 0003908927
【0037】
【表4】
Figure 0003908927
【0038】
実施例5〜13
実施例1〜4において、放流前の消毒剤の注入率を、流入下水の濁度と流入下水の時間あたりの流入水量から決定して、下水中に注入した。結果を表5に示す。なお、表5に示す消毒剤注入率は、放流開始前の消毒剤注入率を示し、放流時における消毒においては、全て、臭素剤(BCDMH)を3mg/L注入した。
【0039】
【表5】
Figure 0003908927
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、雨天時下水が放流される前に、ポンプ所、雨水吐き口、下水処理場等の下水処理施設内で放流前の状況を把握して消毒剤を注入するので、消毒剤と雨天時下水との接触時間を十分に確保することができ、従来雨天時下水の消毒には向いていなかった汎用の塩素系消毒剤を、雨天時下水の消毒において効率的に且つ安全に使用することができる。また、本発明の好ましい態様においては、放流時には更に速効性に優れた臭素系の消毒剤を注入することにより、安全にしかも効率的に雨天時下水を消毒することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明を適用することのできる下水処理施設の概念図である。
【図2】図2は、本発明にかかる消毒剤注入装置の概念図である。

Claims (6)

  1. ポンプ所、雨水吐き口及び/又は下水処理場から未処理又は簡易処理で公共用水域に放流される雨天時下水を消毒する方法において、
    沈砂池、滞水池、流入管渠及び/又は最初沈殿池における水位、時間当たりの水位上昇率及び/又は時間当たりの流入水量、をモニターして、
    沈砂池、滞水池、流入管渠及び/又は最初沈殿池から公共用水域に雨天時下水が放流されるまでの所要時間を予測し、
    予測された所要時間の経過前に放流前の雨天時下水に消毒剤を注入する
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記雨天時下水が沈砂池、滞水池、流入管渠及び/又は最初沈殿池から公共用水域に放流されるまでの予測された所要時間が5〜45分となった時点で、放流前の雨天時下水に消毒剤を注入する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記放流前の雨天時下水に注入する消毒剤の注入率は、沈砂池、滞水池、流入管渠及び/又は最初沈殿池での流入下水の濁度と時間当たりの流入下水量とから決定する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記消毒剤の注入は、沈砂池入口又は出口、滞水池入口又は出口、雨水ポンプ入口、雨水ポンプ吐出口、放流渠、合流管渠、越流堰前後、越流水路、最初沈殿池入口又は出口の 1 以上の箇所にて行われる、請求項1〜3のいずれか 1 に記載の方法。
  5. ポンプ所、雨水吐き口及び/又は下水処理場から未処理又は簡易処理で公共用水域に放流される雨天時下水を消毒する装置であって、
    消毒剤供給装置と;
    沈砂池、滞水池、流入管渠及び/又は最初沈殿池における水位と、時間当たりの水位上昇率及び/又は時間当たりの流入水量と、をモニターする検知手段と
    該検知手段によりモニターされた水位と、時間当たりの水位上昇率及び/又は時間当たりの流入水量に基づいて、沈砂池、滞水池、流入管渠及び/又は最初沈殿池から公共用水域に雨天時下水が放流されるまでの所要時間を予測し、予測された所要時間の経過前に、放流前の雨天時下水に消毒剤を注入するよう制御する制御手段と
    を具備する装置。
  6. さらに、沈砂池、滞水池、流入管渠及び/又は最初沈殿池での流入下水の濁度を測定する濁度検知器を具備し、
    前記制御手段は、濁度と時間当たりの流入下水量とから消毒剤注入率をも決定する、
    請求項5に記載の装置
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