JP2003012425A - 排水用消毒液及びそれを用いた排水の消毒方法並びに装置 - Google Patents

排水用消毒液及びそれを用いた排水の消毒方法並びに装置

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JP2003012425A
JP2003012425A JP2001196322A JP2001196322A JP2003012425A JP 2003012425 A JP2003012425 A JP 2003012425A JP 2001196322 A JP2001196322 A JP 2001196322A JP 2001196322 A JP2001196322 A JP 2001196322A JP 2003012425 A JP2003012425 A JP 2003012425A
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wastewater
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Kazuhiro Hasegawa
和広 長谷川
Yasuo Satoi
泰生 里井
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Ebara Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 下水処理場、ポンプ所、雨水吐き口から公共
水域に放流される大腸菌群等の細菌を含む未処理の雨天
時下水、特に下水処理場における越流水を効率的且つ安
価に消毒することのできる新規な消毒剤を提供する。 【解決手段】 本発明は、次亜臭素酸若しくは次亜臭素
酸塩を含むことを特徴とする消毒剤を提供する。本発明
の好ましい態様においては、本発明に係る次亜臭素酸塩
消毒剤は、金属元素の臭化物と次亜塩素酸若しくはその
塩とを混合することによって形成することができる。ま
た、本発明は更にかかる消毒剤を用いて排水を消毒する
ための方法及び装置も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、排水処理、特に下
水処理の分野に関し、より具体的には、下水処理場、ポ
ンプ所、雨水吐き口から公共用水域に放流される下水の
消毒に用いることのできる消毒剤及びそれを用いた下水
の消毒方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】下水処理場は、家庭や工場から排出され
る汚水等を無害化して公共用水域に放流するための施設
であるが、設計値を上回る降雨があった場合には、中継
基地であるポンプ所や雨水吐き口から、雨水の交ざった
汚水(以下、雨天時下水という)が、数十秒から数分
で、無処理のままで公共用水域に放流される。この場
合、粗大浮遊物やSS(suspended substance:浮遊物
質)がそのまま公共用水域に放流されるために、美観上
問題となることが多い。下水処理場においても、流入下
水が処理能力を大幅に上回る場合には、一部の雨天時下
水を無処理で放流する場合がある。この場合、細菌の消
毒が実施されないため、水質汚濁防止法に定める放流基
準値(3000CFU/mL以下)を大幅に上回る大腸菌群が
検出される場合がある。これらは、特に合流式下水道に
みられる現象であるが、分流式下水道においても、土壌
性大腸菌群や粗大浮遊物が流入するため、それらが越流
して公共水域に放流された場合には、合流式下水道と同
様の問題が生じていた。
【0003】下水処理場での消毒は、「下水道施設計画
・設計指針と解説」(日本下水道協会発行、建設省都市
局下水道部監修、1994年10月)によれば、次亜塩
素酸ナトリウム、液化塩素、塩素化イソシアヌル酸、次
亜塩素酸カルシウムなどの塩素剤を用い、それらを混和
池で、15分以上、下水と接触させることによって大腸
菌群を消毒する方法が示されている。また、「下水道施
設計画・設計指針と解説」には、オゾンや紫外線による
消毒についても記載されている。更に、数万m 3の貯留
池を設けて雨天時下水を一時貯留し、貯留量以上の降雨
量によって越流が起こった場合には、上記の塩素系消毒
剤を用いて消毒を行う方法も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記に示した、次亜塩
素酸ナトリウム、液化塩素、塩素化イソシアヌル酸、次
亜塩素酸カルシウムなどの塩素剤は、これらを混和池等
で下水と十分に(例えば15分以上)接触させることが
できる場合には大腸菌群を消毒するのに有効である。し
かしながら、雨天時下水のように、降雨強度が大きくて
短時間で公共用水域に放流される場合には、塩素剤と下
水との接触時間が十分にとれないため、水質汚濁防止法
で定める基準値以下にすることができない。また、雨天
時下水は、アンモニア性窒素含有量が多いため、投入さ
れた塩素剤は、容易にアンモニア性窒素と反応して、消
毒効果が低く残留性の高いクロラミンを形成する。この
ため、大腸菌群の消毒が十分に行われないばかりでな
く、形成されたクロラミンが、公共用水域に結合残留塩
素として長時間残存して環境に悪影響を与えるため、雨
天時下水の消毒剤として用いるには好ましくない。
【0005】上述の「下水道施設計画・設計指針と解
説」には、オゾンや紫外線による消毒についても記載さ
れている。オゾンを用いる場合、予想される最大越流水
量に対して消毒可能なオゾン量を供給する設備を設置す
る必要がある。雨天時下水の越流は、通常1年について
20〜50回の頻度であり、それ以外は公共用水域への
越流は起こらず、通常の処理が可能な状態である。しか
しながら、時間当たり数万m3の雨天時下水を、水質汚
濁防止法で規定された基準値まで消毒するためには、巨
大なオゾン注入設備を設ける必要があり、費用対効果を
考慮した場合、賢明な方法とはいえない。また、オゾン
注入後は気相中のオゾンを中和する必要があるが、暗渠
が多い下水への適用は困難であり、廃オゾン処理装置の
設置に伴う設備費用の上昇が懸念される。
【0006】また、数万m3の貯留池を設けて雨天時下
水を一時貯留し、貯留量以上の降雨量によって越流が起
こった場合に、上記の塩素系消毒剤を用いて消毒を行う
方法も提案されている。しかしながら、既存の雨水吐き
口、ポンプ所、下水処理場には新たな貯留池を設ける場
所がないことが多く、現実的でない。また、塩素剤を用
いて消毒を行う場合には、上記の同様の環境中への残留
塩素の排出等が重大な問題として残るため、好ましくな
い。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
課題を解消し、下水処理場、ポンプ所、雨水吐き口から
公共水域に放流される大腸菌群等の細菌を含む未処理の
雨天時下水を効率的且つ安価に消毒することのできる新
規な消毒剤を提供することを目的とする。
【0008】本発明は、上記課題を解決するための手段
として、次亜臭素酸若しくは次亜臭素酸塩を含むことを
特徴とする排水用消毒剤を提供する。更に、本発明は、
かかる消毒液を用いて排水を消毒する方法にも関する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各種形態について
説明する。本発明に係る消毒剤は、次亜臭素酸若しくは
次亜臭素酸塩を含むことを特徴とする。次亜臭素酸若し
くはその塩は、従来排水用の消毒剤として汎用されてい
る次亜塩素酸ナトリウムと比べて、クロラミン生成によ
る消毒効果の低下という問題もなく、残留塩素の問題も
生じない。次亜塩素酸塩を消毒剤として使用する場合に
は、上述したように、混和池で15分以上、下水と接触
させる必要があるが、これは、次亜塩素酸塩がクロラミ
ンを生成して消毒活性が低下するためである。これに対
して、本発明においては次亜臭素酸若しくはその塩を消
毒剤として用いるので、クロラミンを生成せず、活性成
分が失われないため、短時間で細菌を消毒することがで
きるばかりでなく、クロラミン等の結合残留塩素が公共
用水域に放流されることを防止することもできる。ま
た、次亜臭素酸塩の製造は、既存の次亜塩素酸ナトリウ
ム貯留槽をそのまま利用することができるというメリッ
トがある。
【0010】従来技術においては、下水、生活排水、厨
房排水、浴場排水、コークス製造工場廃水等の排水に次
亜臭素酸塩を添加して、アンモニア性窒素を無害な窒素
に分解する技術が提案されている。しかしながら、これ
は、本発明が目的とする排水の消毒(特に、大腸菌群等
の細菌の消毒)とは目的が異なるものである。更に、提
案されている方法では、アンモニア性窒素に対して、モ
ル比で1.5〜2.5の次亜臭素酸塩を添加することが
提案されているが、この量の次亜臭素酸若しくは次亜臭
素酸塩を、本発明が主たる処理対象とする雨天時下水の
消毒に適用した場合には、未反応の次亜臭素酸若しくは
次亜臭素酸塩が公共用水域に放流されるため、好ましく
ない。また、従来技術においては、更に、臭素イオンを
含む水中にオゾンを吹き込むことによって臭素イオンを
次亜臭素酸に変換した後、これを冷却水に注入すること
によって、冷却水中の微生物を消毒してスライム障害を
抑制する技術も提案されている。しかしながら、これ
は、対象となる水が冷却水であり、またその目的も、本
発明が排水、特に雨天時下水中の大腸菌群等の細菌の濃
度を水質汚濁防止法に定められた水質基準値以下に抑え
ることを目的としているのに対して、冷却水中の微生物
を消毒してスライム障害を抑制することを目的としてい
る点で全く異なるものである。更には、かかる提案され
ている方法は、臭素イオンとオゾンを併用するもので、
次亜臭素酸若しくは次亜臭素酸塩を用いる本発明とは異
なる。
【0011】本発明においては、消毒剤の主成分とし
て、次亜臭素酸若しくは次亜臭素酸塩を用いる。この目
的で用いることのできる次亜臭素酸塩としては、次亜臭
素酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグ
ネシウム塩などを挙げることができる。本発明において
は、市販の次亜臭素酸若しくは次亜臭素酸塩をそのまま
消毒剤として用いることもできるし、或いは、金属元素
の臭化物と次亜塩素酸若しくはその塩とを混合すること
によって、次亜臭素酸塩を形成し、これを本発明に係る
消毒剤として用いることもできる。この目的で用いるこ
とのできる金属元素の臭化物としては、臭化ナトリウ
ム、臭化カリウムなどのようなアルカリ金属の臭化物を
用いることができ、また次亜塩素酸塩としては、次亜塩
素酸のナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、カ
ルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩など
を用いることができる。なお、本発明に係る消毒剤を雨
天時下水用の消毒剤として大量に使用する場合には、取
扱い上の問題から、水溶液の形態で用いることが好まし
い。
【0012】本発明において、排水に対する次亜臭素酸
若しくは次亜臭素酸塩の添加率は、数十秒から数分で排
水中の大腸菌群等の細菌が水質汚濁防止法で定められた
数値(3000CFU/mL)以下になるように決定する。好
適な添加率は、処理対象の排水の水質、特に濁度やBO
Dによって異なり、また、放流若しくは越流時間によっ
ても異なるため、明確に規定することはできないが、JI
S K0101に記載されたヨウ素滴定法で求めた有効ハロゲ
ン濃度で塩素換算値として(以下、「活性臭素として」
と表現する)、0.1〜50mg/Lの範囲にすることが好
ましい。より好ましい添加率の範囲は0.5〜30mg/L
であり、0.5〜20mg/Lが更に好ましい。本発明に係
る消毒剤の添加率が0.1mg/L未満であると雨天時下水
の消毒効果が殆ど期待できず、また50mg/Lを超える
と、未反応の次亜臭素酸が公共用水域に放流されて環境
に悪影響を与えるので、好ましくない。
【0013】本発明において、次亜臭素酸若しくは次亜
臭素酸塩を含む水溶液(消毒液)は、二段階以上で加え
ることができる。次亜臭素酸若しくは次亜臭素酸塩は速
効性を有することを特徴とし、大腸菌群数等の細菌を殺
菌した後、無害な臭素イオンと水とに分解する。しかし
ながら、放流若しくは越流水路に泥等が堆積している
と、放流時にそれらが巻き上げられ、その中に含まれる
大腸菌群が公共用水域に放出される場合があるが、その
ときには消毒剤は既に分解して残っていない場合が多
い。本発明の好ましい態様にしたがって、次亜臭素酸若
しくは次亜臭素酸塩を排水に二段階以上で加えると、底
流の巻き上げによって発生する大腸菌群についても殺菌
することができるのである。この場合、次亜臭素酸若し
くは次亜臭素酸塩の添加は、1〜600秒おきに、好ま
しくは1〜300秒おきに行うことが好ましい。
【0014】本発明に係る消毒剤は、下水などの排水の
消毒に用いることができ、特に、ポンプ所、雨水吐き
口、下水処理場から排除される雨水を含む下水を消毒処
理するのに特に好適である。これらの雨天時下水は、従
来の次亜塩素酸塩による消毒では短時間消毒は不可能で
あったために、現状では未処理のままで河川や海等に放
流されているが、本発明に係る消毒剤によれば、このよ
うな雨天時下水を短時間に消毒することができるので、
環境問題に資すること大である。なお、ポンプ所や雨水
吐き口から排除される雨水を含む下水は、通常未処理の
ままで放流されるが、本発明においては、この未処理の
雨天時下水をそのまま消毒処理することもできるし、或
いは予め夾雑物やSS、BOD等の除去などの前処理を
施してから消毒処理することもできる。雨天時下水のS
SやBOD等の除去が施されていれば、それらの酸化に
次亜臭素酸が消費されないため、次亜臭素酸の添加率が
少なくできるという利点がある。
【0015】また、本発明に係る消毒剤は、下水処理場
から放流される未処理及び/又は簡易処理が行われた雨
水を含む下水を消毒処理するのにも特に好適である。下
水処理場に流入する雨天時下水量が多い場合には、これ
らの雨天時下水は未処理及び/又は簡易処理が施されて
放流される場合があり、現状では、大腸菌群等の細菌数
が水質基準値を大幅に上回る場合があったが、本発明に
係る消毒剤によれば、このような雨天時下水を短時間に
消毒する。なお、この場合にも、上記と同様に、雨天時
下水に対して、夾雑物やSS、BOD除去処理を行って
から本発明に係る消毒処理を行ってもよい。
【0016】しかしながら、下水処理場の通常処理であ
る、最初沈殿池、生物処理、最終沈殿池及び消毒処理を
施された下水は、水質汚濁防止法で規定された水質基準
値を満足するので、本発明による消毒処理を行う必要は
ない。
【0017】本発明によれば、合流式下水道、分流式下
水道から発生する雨水を含む下水を好適に消毒処理する
ことができる。合流式下水道や分流式下水道では、雨天
時に糞便性若しくは土壌性大腸菌群が流入して、流入水
量が多い場合には、無処理のまま放流される構造になっ
ているので、ここに本発明に係る消毒処理を行えば、下
水中の大腸菌群などの細菌を短時間で消毒することがで
きるので、極めて好ましい。これに対して、簡易浄化槽
や合併浄化槽は、滞留時間を長くとれること、並びに、
微生物処理が併用されるため、消毒剤を使用すると微生
物が死滅して浄化槽の当初の効果が小さくなるので、本
発明の消毒剤を用いるのには好ましくない。
【0018】また、本発明は、上記に説明した消毒剤を
用いて排水を消毒するための装置をも提供する。即ち、
本発明の他の態様は、金属元素の臭化物と次亜塩素酸若
しくはその塩とを混合して次亜臭素酸塩消毒液を生成す
るための反応装置と、前記消毒液調製装置で形成された
消毒液を排水に投入する消毒液投入装置とを具備するこ
とを特徴とする、排水を消毒する装置に関する。
【0019】以下、本発明に係る排水を消毒する装置の
一具体例について図面を参照しながら説明する。以下の
説明は、本発明の具体的な一態様を示すものであり、本
発明はこれらに限定されるものではない。
【0020】図1は、本発明に係る装置の一実施形態を
説明する概略図である。図1において各参照番号は次の
意味を有する。1 塩素剤貯留槽;2 金属元素臭化物
貯留槽;10 反応容器(次亜臭素酸塩発生装置);1
3a,13b 流量調節弁;14a,14b 分配槽;
15 沈砂池;16 被処理排水流入部;17a,b,
c,d 沈砂部;18 排除ポンプ;19 放流水路;
20 消毒液供給配管;21 被処理水(水道水、下水
の一次処理水、二次処理水、三次処理水、雨天時越流下
水等)の給水配管;22消毒液供給配管(第1段階);
23 消毒液供給配管(第2段階);24a,b,c,
d 消毒液供給配管分配管(第2段階);30 公共用
水域。
【0021】例えば、下水道幹線を通じてポンプ所流入
部16に流入した雨天時下水は、沈砂池17a〜17d
に導入され、そこで粗大浮遊物や砂等が沈殿除去され、
その後下水幹線を通じて下水処理場に圧送される。しか
しながら、雨天時下水量が多い場合には、排除ポンプ
(雨水ポンプ)18を通じて放流水路19に送られ、公
共用水域30に排除される。
【0022】図1に示す本発明に係る消毒装置は、主た
る構成要素として、次亜臭素酸塩消毒液を形成するため
の反応容器10と、被処理排水を流入させる沈砂池15
と、沈砂池中の被処理排水に消毒液を加えるための消毒
液供給配管22とを具備する。図1に示す態様において
は、次亜臭素酸塩を発生させるための出発化合物とし
て、塩素剤の貯留槽1と、金属元素臭化物の貯留槽2と
が配置されている。これらは、供給配管を通して反応容
器10に接続されており、次亜臭素酸塩の発生に必要な
量が適宜供給される。なお、次亜臭素酸塩を発生させる
ための塩素剤としては、上述したように、次亜塩素酸若
しくは次亜塩素酸塩を用いることができる。次亜臭素酸
塩消毒液は、例えば、液状の次亜塩素酸ナトリウムに金
属元素臭化物を混合して反応させることによって製造す
ることができ、この場合には、水道水や雨天時下水、下
水処理水等は必要ではない。しかしながら、消毒液の濃
度調整のために、水道水及び/又は雨天時下水及び/又
は一次処理水及び/又は二次処理水及び/又は三次処理
水を希釈水として使用することができる。反応容器10
において発生せしめられた次亜臭素酸塩水溶液(消毒
液)は、消毒液供給配管20を通して、流量調節弁13
に供給される。図1に示す態様においては、消毒液の二
段階供給を行うために、消毒液は流量調節弁13a及び
13bに分岐供給され、それぞれの流量調節弁によって
各段階での供給量が調節される。流量調節弁13aによ
って供給量が調節された消毒液は、分配槽14a、配管
22を通して、沈砂池15の流入部16に供給される。
一方、雨天時越流下水等の被処理排水は、給水配管21
を通して、沈砂池15の流入部に供給され、ここで配管
22より供給される消毒液が被処理排水に添加される
(消毒液の第1段階添加)。また、流量調節弁13bに
よって供給量が調節された消毒液は、分配槽14b、配
管23を通して、分配管24a,b,c,dより沈砂部
17a,b,c,dのそれぞれに均等に供給される(消
毒液の第2段階添加)。分配槽14bでの保持時間を調
節することにより、第1段階添加と第2段階添加との間
のインターバル時間を調整することができる。なお、図
1に示すような分配槽に代えて、バルブ、流量計等の機
械的分配方法を用いて各添加段階への消毒液の分配を行
うこともできる。沈砂部17a〜dでは、上述のように
雨天時下水中に含まれている粗粒子分が沈降して除去さ
れるが、そこで雨天時下水と消毒液とが混合されて消毒
が行われる。
【0023】沈砂部17a〜dでは、雨天時下水と消毒
液とは、好ましくは10秒〜30分滞留し、更に好まし
くは10秒〜15分滞留し、特に好ましくは10秒〜5
分滞留する。沈砂部への多段階供給は、図1に示すよう
に二段階であっても、或いは更に三段階以上に分割して
供給してもよい。また、沈砂部の構造などによって、図
1に示す供給配管22による沈砂池流入部への消毒液添
加、或いは供給配管24a〜dによる沈砂部への消毒液
添加のいずれか一方のみを採用することもできる。
【0024】消毒処理が行われた被処理排水は、次に排
除ポンプ18によって放流水路19に送られ、公共用水
域30に放流される。図1に示す装置において、塩素剤
貯留槽1及び/又は金属元素臭化物貯留槽2を複数台設
置することができる。雨天時下水の放流量は、短時間で
数万m3に達することがあり、それに対応できる量の薬
剤を貯留する必要があるからである。しかしながら、必
ずしも複数台の貯留槽を設ける必要はなく、薬剤貯留槽
内の消毒剤残量が少なくなった時点で自動補給するよう
なシステムを採用することもできる。特に、次亜塩素酸
ナトリウムは自然劣化しやすく、雨天時下水の消毒のよ
うな不定期な使用の場合、実際に使用する際に有効成分
が減少している可能性が大きいためである。
【0025】消毒液の注入は、沈砂部に対して上方から
配管を通じて供給する方法、沈砂部に対して上流側から
平行に配管を設置して供給する方法、沈砂部に対して下
流側から向流式で供給する方法、沈砂部に対して下方か
ら配管を通じて供給する方法等があり、いずれの方法を
採用してもよい。配管は、消毒液で腐食されない材質で
あることが好ましく、例えば、金属材料ではチタン、ハ
ステロイなど、プラスチック材料ではポリテトラフルオ
ロエチレン、塩化ビニルなどを用いることができる。配
管は剛性があることが好ましいが、剛性のないホース状
のものが接続されていてもよい。即ち、沈砂部内でホー
スが移動することにより、消毒液と雨天時下水の接触効
率が向上することが期待されるからである。消毒剤注入
配管の出口は、雨天時下水水面下であることが好まし
い。水面下であれば、消毒液のミスト等の発生が防止で
き、環境の悪化や設備に対する影響を小さくできるから
である。もっとも、消毒液注入配管が水面上にあって
も、差し支えはない。消毒液注入配管の出口の構造は、
通常の切出し配管であってもよく、消毒液を分散させ、
吐出圧を高くすることができるノズル構造であってもよ
い。
【0026】塩素剤貯留槽1から供給される塩素剤と、
金属元素臭化物貯留槽2から供給される金属元素臭化物
の混合比率は、任意に設定することができるが、通常、
等モルか若しくは金属元素臭化物のモル比を高くするこ
とが好ましい。これは、塩素剤の量を多くした場合、通
常の次亜塩素酸ナトリウムを雨天時下水に注入するのと
同様の現象、即ち、クロラミン生成等による環境悪化を
招くおそれがあるからである。これに対して、塩素剤に
対する金属元素臭化物の量を大きくすることにより、消
毒液の次亜臭素酸塩濃度を高くすることができ、これに
より薬剤貯留槽を小さくできるというメリットがある。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、従来無処理で公共用水
域に放流されていた雨天時下水中の大腸菌群を効率的に
消毒することができ、しかも、汎用消毒剤である次亜塩
素酸ナトリウムのようにクロラミン等の残留塩素を生成
しないため、放流先の水棲生物に対する影響を小さくす
ることができ、環境問題も発生しない。
【0028】
【実施例】以下の実施例により、本発明のより具体的な
態様を示すが、本発明は、以下の実施例によって限定さ
れるものではない。
【0029】実施例1〜6 降雨量8mm/時の降雨の際にポンプ所から排除された雨
天時下水を被処理水として本発明による大腸菌群に対す
る消毒試験を行った。消毒液は、消毒剤化合物として、
臭化ナトリウムと次亜塩素酸ナトリウムとを等モル混合
して生成した次亜臭素酸ナトリウムを、種々の濃度にな
るように雨天時下水に注入した。処理前の雨天時下水の
水質を表1に、試験結果を表2に示す。雨天時下水と次
亜臭素酸ナトリウムとの接触時間は2分とした。
【0030】実施例7〜11 降雨量6mm/時の降雨の際に雨水吐き口から越流した雨
天時下水を被処理水として、実施例1と同様に本発明に
よる大腸菌群に対する消毒試験を行った。処理前の雨天
時下水の水質を表1に、試験結果を表2に示す。雨天時
下水と次亜臭素酸ナトリウムとの接触時間は2分とし
た。
【0031】実施例12〜16 降雨量4mm/時の降雨の際に下水処理場から越流した雨
天時下水を被処理水として、実施例1と同様に本発明に
よる大腸菌群に対する消毒試験を行った。消毒液は、臭
化ナトリウムと次亜塩素酸とをモル比で1.2:1とな
るように混合して次亜臭素酸ナトリウムを形成した溶液
を溶解することによって調製した。処理前の雨天時下水
の水質を表1に、試験結果を表2に示す。雨天時下水と
次亜臭素酸ナトリウムとの接触時間は2分とした。
【0032】実施例17〜19 降雨量5mm/時の降雨の際にポンプ所から排除された雨
天時下水を、従来公知のスワール分水槽によってSSの
除去処理にかけたものを被処理水として、実施例1と同
様に本発明による大腸菌群に対する消毒試験を行った。
処理前の雨天時下水の水質を表1に、試験結果を表2に
示す。雨天時下水と次亜臭素酸ナトリウムとの接触時間
は30秒とした。
【0033】比較例1〜6 実施例1〜6で処理したものと同じ降雨量8mm/時の降
雨の際にポンプ所から排除された雨天時下水を被処理水
として大腸菌群に対する消毒試験を行った。消毒液は、
次亜塩素酸ナトリウムを種々の濃度になるように雨天時
下水に注入した。処理前の雨天時下水の水質を表1に、
試験結果を表3に示す。雨天時下水と次亜塩素酸ナトリ
ウムとの接触時間は3分とした。
【0034】比較例7〜9 実施例17〜19で処理したものと同じ降雨量5mm/時
の降雨の際にポンプ所から排除された雨天時下水を実施
例17〜19と同様にSS除去処理したものを被処理水
として、比較例1と同様の大腸菌群に対する消毒試験を
行った。処理前の雨天時下水の水質を表1に、試験結果
を表3に示す。雨天時下水と次亜塩素酸ナトリウムとの
接触時間は30秒とした。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】上記の表に示す結果から明らかなように、
次亜塩素酸ナトリウムを消毒剤として用いた場合には、
放流時間に相当する接触時間で大腸菌群数を3000CF
U/mL以下にすることができないという結果であった。し
かも、残留塩素が多量検出されたことから、放流先の公
共用水域の水棲生物に悪影響を与えることが予見され
た。それに対して、本発明によって次亜臭素酸塩を消毒
剤として用いた場合には、消毒時間が短く、少量で有効
な大腸菌群の消毒効果が認められ、残留ハロゲン濃度も
次亜塩素酸ナトリウムの場合と比較すると小さかった。
【0039】 実施例20〜21、比較例10〜11 以下の実施例及び比較例は、本発明の好ましい態様に係
る次亜臭素酸塩の二段階添加による雨天時下水の消毒法
について説明する。
【0040】降雨量6mm/時の降雨の際に下水処理場か
ら流出した雨天時下水を被処理水として、大腸菌群に対
する消毒試験を行った。この下水処理場からの流出水水
路には底泥が堆積しており、放流渠では、消毒後も多く
の大腸菌群が検出されていた。被処理水に、臭化ナトリ
ウムと次亜塩素酸ナトリウムとをモル比1.5:1で混
合して調製した次亜臭素酸ナトリウムを消毒液として用
い、二段階で添加した。二段階添加は、所定量の消毒液
を二つに分割し、第1段階の消毒液を加えた3分後に第
2段階の消毒液を添加することによって行った。同じ雨
天時下水に、次亜臭素酸ナトリウムを一段階添加した場
合を比較例とした。実施例、比較例ともに、雨天時下水
と消毒液との総接触時間は4.5分であった。
【0041】雨天時下水の水質を表4に、実施例20〜
21の結果を表5に、比較例10〜11の結果を表6
に、それぞれ示す。表に示す結果から、流出水水路に底
泥が堆積しているような場合には、一段階添加よりも、
二段階添加の方が大腸菌群を効率的に消毒できることが
確認された。
【0042】
【表4】
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る装置の一実施態様の説明
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/50 C02F 1/50 531M 550 550H 1/76 1/76 A

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次亜臭素酸若しくは次亜臭素酸塩を含む
    ことを特徴とする排水用消毒剤。
  2. 【請求項2】 消毒剤が、金属元素の臭化物と次亜塩素
    酸若しくはその塩とを混合することによって形成された
    ものである請求項1に記載の消毒剤。
  3. 【請求項3】 排水に対して、請求項1又は2に記載の
    排水用消毒剤を加えることを特徴とする下水の消毒方
    法。
  4. 【請求項4】 次亜臭素酸若しくは次亜臭素酸塩を含む
    排水用消毒剤を二段階以上で添加することを特徴とする
    請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 金属元素の臭化物と次亜塩素酸若しくは
    その塩とを混合して次亜臭素酸塩消毒液を生成するため
    の反応装置と、前記消毒液調製装置で形成された消毒液
    を排水に投入する消毒液投入装置とを具備することを特
    徴とする、排水を消毒する装置。
  6. 【請求項6】 消毒液投入装置が、消毒液を多段階に分
    けて排水に添加する手段を具備する請求項5に記載の装
    置。
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