JP4438594B2 - コーティング材組成物及び塗装品 - Google Patents

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Description

本発明は、反射防止被膜等を形成するために使用されるコーティング材組成物、及びこのコーティング材組成物を塗装して反射防止被膜等として形成した塗装品に関するものである。
ディスプレイの最表面に形成される反射防止被膜は、優れた反射防止性能とともに、傷の発生を防止する表面強度(すなわち耐擦傷性)、指紋等の汚れが簡単に除去できる表面撥水・撥油性(すなわち防汚染性)、クリーナー等の各種薬剤に対する耐薬品性が要求される。
被膜屈折率を考慮しない場合には、UV硬化型、EB硬化型の樹脂コーティング材を使用することによって高い表面強度を得ることができるが、一般にUV硬化型、EB硬化型の樹脂は屈折率が高いので、樹脂リッチの被膜では反射防止能を得ることができず、中空シリカ微粒子等のシリカ系金属酸化物微粒子を複合させることが必要になる。そして単層で十分な反射防止能を得るためにはシリカ系金属酸化物微粒子の比率を増やす必要があり、この場合には被膜のマトリクス材料がUV硬化型、EB硬化型の樹脂であっても、十分な表面強度が得られなくなってしまう。また最近のディスプレイ(特に液晶ディスプレイ)の高精細化に伴なって、反射防止被膜のゴミ等の異物による欠点を極力無くさなければならないが、UV硬化型、EB硬化型の樹脂はコーティング後、希釈溶剤が蒸発してもUVあるいはEBが照射されるまでは、濡れたウエット感のある状態であるので、ゴミ等の異物が付着し易い。このため、コーティングゾーンと共に全乾燥ゾーンまでもクリーン度を維持する必要があり、大掛かりな設備が必要となる。
クリーン度を維持する乾燥ゾーンのエリアを小さくするためには、マトリクス形成材料として熱硬化型の樹脂が好ましいが、一般の有機の熱硬化型樹脂は自身の屈折率が高いために、上記と同様に十分な表面硬度を得ることができない。またパーフルオロ樹脂に代表されるフッ素樹脂の屈折率は1.40未満と低いが、樹脂自身に起因して被膜強度が低くなるので、強度を得るためにはアクリル樹脂との複合が必要となって屈折率が高くなり、結局は十分な反射防止能と表面強度を両立させることは難しい。
一方、SiX(Xは加水分解基)の化学式で表わされる加水分解性オルガノシランを加水分解して得られる加水分解物は、アクリル樹脂等の一般の有機樹脂と比較して被膜屈折率が低く、また優れた機械的強度の被膜を期待することができるマトリクス形成材料である。このため、この加水分解性オルガノシランの加水分解物をマトリクス形成材料として用いると、中空シリカ微粒子等のシリカ系金属酸化物微粒子を複合した被膜を形成する場合に、他の一般有機樹脂よりもシリカ系金属酸化物微粒子の比率を削減することができるものであり、高い表面強度を有する被膜を形成し易い(例えば特許文献1、特許文献2等参照)。
また、上記のように透明で低屈折率な被膜を形成するにあたって、上記のようにSiX(Xは加水分解基)の化学式で表わされる加水分解性オルガノシランを加水分解して得られる加水分解物をマトリクス形成材料とする被膜は、絶縁性が高く帯電して膜表面にほこり等を引き寄せ、被膜本来の特性が阻害されるおそれがある。そこで、被膜に帯電防止性を付与するために、導電性金属酸化物微粒子を被膜中に含有させ、被膜の導電性を高めるようにしている。この導電性金属酸化物微粒子は一般に高屈折率であるため、被膜の反射防止性能を保持しつつ帯電防止性を付与するためには、被膜の表層を低屈折率に形成する必要がある。このため、導電性金属酸化物微粒子を含んだ高屈折率の導電性の層を下層として形成し、この上に低屈折率の層を上層として形成することによって、塗膜を形成するようにしている(例えば特許文献3等参照)。
特開2003−201443号公報 特開2002−79616号公報 特開2000−275431号公報
しかし、上記のように導電性金属酸化物微粒子を含んだ導電性の層と、低屈折率の層を個々に形成すると、塗装の工程として2コートとなり、塗装に手間がかかるという問題を有するものであった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、低屈折率の層を表層に有すると共に高い帯電防止性を有する被膜を1コートで形成することができるコーティング材組成物及び塗装品を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係るコーティング材組成物は、下記(A)の加水分解物と導電性金属酸化物微粒子を混合した状態で下記(A)の加水分解物を加水分解した第一の加水分解物と、下記(B)の共重合加水分解物とシリカ微粒子を混合した状態で下記(B)の共重合加水分解物を加水分解した第二の加水分解物とを含有して成ることを特徴とするものである。
(A)一般式がSiX(Xは加水分解基) …(1)
で表わされる加水分解性オルガノシランを加水分解して得られる加水分解物
(B)式(1)の加水分解性オルガノシランと、フッ素置換アルキル基を有する加水分解性オルガノシランとの共重合加水分解物
また請求項2の発明は、請求項1において、シリカ微粒子が、外殻がシリカで形成された中空微粒子であることを特徴とするものである。
また請求項3の発明は、請求項1又は2において、導電性金属酸化物微粒子が、外殻がシリカで形成された中空微粒子の表面を導電性金属酸化物で被覆したものであることを特徴とするものである。
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、式(2)で表されるシリコーンジオール(C)を含有することを特徴とするものである。
Figure 0004438594
本発明の請求項5に係る塗装品は、請求項1乃至4のいずれかに記載のコーティング材組成物の硬化被膜を、基材の表面に備えて成ることを特徴とするものである。
加水分解物(A)と共重合加水分解物(B)をマトリクスとして硬化被膜を形成することができるので、屈折率が低い硬化被膜を形成することができるものであり、シリカ微粒子の配合量を少なくしても屈折率が低く優れた反射防止性能を有する硬化被膜を形成することができると共に、高い表面強度の硬化被膜を形成することができるものである。また、加水分解物(A)は導電性金属酸化物微粒子を混合した状態で加水分解することによって、導電性金属酸化物微粒子と化学的に結合して親和性が高くなっていると共に、共重合加水分解物(B)はシリカ微粒子を混合した状態で加水分解することによって、シリカ微粒子と化学的に結合して親和性が高くなっているものであり、被膜を形成する際に、シリカ微粒子を混合した第二の加水分解物が被膜の表層部に局在して、硬化被膜の表層に低屈折率層を形成することができると共に、導電性金属酸化物微粒子を混合した第一の加水分解物が被膜の底部に局在して、導電性金属酸化物微粒子で硬化被膜に帯電防性を付与することができるものである。
従って、低屈折率の層を表層に有すると共に高い帯電防止性を有する被膜を1コートで形成することができるものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明に係るコーティング材組成物はマトリクス形成材料と、導電性金属酸化物微粒子と、シリカ微粒子からなるものであり、マトリクス形成材料は加水分解物(A)と共重合加水分解物(B)からなるものである。
本発明において用いる加水分解物(A)は、
一般式がSiX(Xは加水分解基) …(1)
で表わされる4官能加水分解性オルガノシランを加水分解して得られる4官能加水分解物(4官能シリコーンレジン)である。この4官能加水分解性オルガノシランとしては、下記式(3)に示されるような4官能オルガノアルコキシシランを挙げることができる。
Si(OR) …(3)
上記式(3)のアルコキシル基「OR」中の「R」は1価の炭化水素基であれば特に限定されるものではないが、炭素数1〜8の1価の炭化水素基が好適であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基等のアルキル基等を例示することができる。アルコキシド基中に含有されるアルキル基のうち、炭素数が3以上のものについては、n−プロピル基、n−ブチル基等のように直鎖状のものであってもよいし、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基等のように分岐を有するものであってもよい。
また4官能加水分解性オルガノシランの加水分解基Xとしては、上記のアルコキシル基の他に、アセトキシ基、オキシム基(−O−N=C−R(R'))、エノキシ基(−O−C(R)=C(R')R”)、アミノ基、アミノキシ基(−O−N(R)R')、アミド基(−N(R)−C(=O)−R')(これらの基においてR、R'、R”は、例えばそれぞれ独立に水素原子又は一価の炭化水素基等である)や、ハロゲン等を挙げることができる。
そして、4官能シリコーンレジンである加水分解物(A)を調製するにあたっては、上記4官能オルガノアルコキシシラン等の4官能加水分解性オルガノシランを加水分解(部分加水分解も含む)することによって行なうことができる。ここで、得られる4官能シリコーンレジンである加水分解物(A)の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、中空シリカ微粒子など中空微粒子に対して、より少ない割合のマトリクス形成材料によって硬化被膜の機械的強度を得るためには、重量平均分子量は200〜2000の範囲にあることが好ましい。重量平均分子量が200より小さいと被膜形成能力に劣るおそれがあり、逆に2000を超えると硬化被膜の機械的強度に劣るおそれがある。
ここで、このように加水分解性オルガノシランを加水分解して加水分解物(A)を調製するにあたって、本発明では、導電性金属酸化物微粒子を混合した状態で加水分解物(A)をさらに加水分解するようにしてあり、加水分解物(A)を導電性金属酸化物微粒子と混合させた状態の第一の加水分解物を得るようにしてある。この第一の加水分解物において、加水分解物(A)は加水分解の際に導電性金属酸化物微粒子の表面と反応し、導電性金属酸化物微粒子に加水分解物(A)は化学的に結合された状態になっており、導電性金属酸化物微粒子に対する加水分解物(A)の親和性を高めることができるものである。導電性金属酸化物微粒子を混合した状態で加水分解する際の反応条件は、20〜30℃程度の室温で行なうのが好ましい。温度が低いと反応が進まず、親和性を高める効果が不十分であり、逆に温度が高いと反応が速く進み過ぎて一定の分子量の確保が困難になると共に、分子量が大きくなり過ぎて膜強度が落ちるおそれがある。
尚、このように加水分解性オルガノシランを加水分解して加水分解物(A)を調製した後に、導電性金属酸化物微粒子を混合した状態で加水分解物(A)をさらに加水分解して第一の加水分解物を得るようにする他に、導電性金属酸化物微粒子を混合した状態で加水分解性オルガノシランを加水分解することによって、加水分解物(A)を調製すると同時に導電性金属酸化物微粒子と混合させた状態の第一の加水分解物を得るようにしてもよい。
そして上記の導電性を有する金属酸化物微粒子としては、特に限定されるものではないが、透明導電体であるITO(スズ含有酸化インジウム)、ATO(スズ含有酸化アンチモン)、SnO、Sb等を挙げることができる。また導電性金属酸化物微粒子としては、外殻がシリカで形成された中空微粒子の表面を導電性金属酸化物で被覆したものを用いることもできる。中空微粒子としては後述する中空シリカ微粒子を用いることができるものでり、この中空微粒子を被覆する導電性金属酸化物としては、ITO、ATO、SnO、Sb等を挙げることができる。中空微粒子の表面を導電性金属酸化物で被覆した導電性金属酸化物微粒子は、ITO等の導電性金属酸化物微粒子の屈折率2.0と比べると、1.41等の非常に低い屈折率を示すものであり、低屈折率の硬化被膜を形成するうえで好ましい。これらの導電性金属酸化物微粒子の粒径は、硬化被膜の透明性等を考えると、60nm以下であることが好ましい。また導電性金属酸化物微粒子の配合量は、特に限定されるものではないが、コーティング材組成物における質量割合が、導電性金属酸化物微粒子/その他の成分(固形分)=80/20〜5/95の範囲になるように設定するのが好ましい。導電性金属酸化物微粒子が80質量%を超えると、被膜の強度が低下するおそれがあり、逆に5質量%未満であると、導電性金属酸化物微粒子を配合することによる帯電防止効果を十分に得ることができない。
また、本発明において用いる共重合加水分解物(B)は、加水分解性オルガノシランと、フッ素置換アルキル基を有する加水分解性オルガノシランとの共重合加水分解物である。
加水分解性オルガノシランとしては、上記の式(1)の4官能加水分解性オルガノシランを用いるものであり、この4官能加水分解性オルガノシランとしては上記の式(3)の4官能オルガノアルコキシシランを挙げることができる。
またフッ素置換アルキル基含有加水分解性オルガノシランとしては、下記式(4)〜(6)で表される構成単位を有するものが好適である。
Figure 0004438594
(式中、Rは炭素数1〜16のフルオロアルキル基またはパーフルオロアルキル基を示し、Rは炭素数1〜16のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基、アルケニル基、またはアルコキシ基、水素原子あるいはハロゲン原子を示す。またXは−(C)−を示し、aは1〜12の整数、b+cは2aであり、bは0〜24の整数、cは0〜24の整数である。このようなXとしては、フルオロアルキレン基とアルキレン基とを有する基が好ましい。)
上記の加水分解性オルガノシランとフッ素置換アルキル基を有する加水分解性オルガノシランとを混合し、加水分解させて共重合することによって、共重合加水分解物(B)を得ることができるものである。加水分解性オルガノシランとフッ素置換アルキル基を有する加水分解性オルガノシランの混合比率(共重合比率)は、特に限定されるものではないが、縮合化合物換算の質量比率で、加水分解性オルガノシラン/フッ素置換アルキル基を有する加水分解性オルガノシラン=95/5〜50/50の範囲が好ましい。フッ素置換アルキル基を有する加水分解性オルガノシランの量が5質量%未満であると、フッ素成分による撥水・撥油性や防汚性を十分に発現させることができず、逆に50質量%を超えると、被膜強度の低下や、被膜の白濁が生じ、また塗装時にはじいたりする不良の原因になるおそれがある。共重合加水分解物(B)の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、200〜5000の範囲が好ましい。200未満であると被膜形成能力が劣り、逆に5000を超えると被膜強度が低下するおそれがある。
ここで、このように共重合加水分解物(B)を調製するにあたって、本発明では、加水分解性オルガノシランとフッ素置換アルキル基を有する加水分解性オルガノシランの他にシリカ微粒子を混合し、このようにシリカ微粒子を混合した状態で加水分解させて共重合を行なうことによって、共重合加水分解物(B)をシリカ微粒子と混合させた状態の第二の加水分解物を得るようにしてある。この第二の加水分解物において、共重合加水分解物(B)は加水分解の際にシリカ微粒子の表面と反応し、シリカ微粒子に共重合加水分解物(B)は化学的に結合された状態になっており、シリカ微粒子に対する共重合加水分解物(B)の親和性を高めることができるものである。
尚、このように加水分解性オルガノシランとフッ素置換アルキル基を有する加水分解性オルガノシランとシリカ微粒子を混合した状態で加水分解・共重合反応させることによって、第二の加水分解物を調製するようにする他に、加水分解性オルガノシランとフッ素置換アルキル基を有する加水分解性オルガノシランを加水分解・共重合反応させ共重合加水分解物(B)を調製した後、この共重合加水分解物(B)にシリカ微粒子を混合した状態でさらに加水分解することによって、共重合加水分解物(B)をシリカ微粒子と混合させた状態の第二の加水分解物を調製するようにしてもよい。シリカ微粒子を混合した状態で加水分解する際の反応条件は、20〜30℃程度の室温で行なうのが好ましい。温度が低いと反応が進まず、親和性を高める効果が不十分であり、逆に温度が高いと反応が速く進み過ぎて一定の分子量の確保が困難になると共に、分子量が大きくなり過ぎて膜強度が落ちるおそれがある。
そして上記のシリカ微粒子としては、内部が空洞でない非中空微粒子や、外殻の内部が空洞となった中空微粒子を用いることができる。この非中空微粒子のシリカ微粒子を配合することによって、コーティング材組成物によって形成される硬化被膜の機械的強度を向上させることができるものであり、さらには表面平滑性と耐クラック性をも改善することができるものである。このシリカ微粒子の形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、粉体状の形態でもゾル状の形態でもよい。シリカ微粒子をゾル状の形態、すなわちコロイダルシリカとして使用する場合、特に限定されるものではないが、例えば、水分散性コロイダルシリカあるいはアルコール等の親水性の有機溶媒分散性コロイダルを使用することができる。一般にこのようなコロイダルシリカは、固形分としてのシリカを20〜50質量%含有しており、この値からシリカ配合量を決定することができる。このシリカ微粒子の配合量は特に限定されるものではないが、コーティング材組成物中における固形分全量に対して、0.1〜30質量%になるように設定するのが好ましい。0.1質量%未満ではこのシリカ微粒子の配合による効果が得られないおそれがあり、逆に30質量%を超えると硬化被膜の屈折率を高くするように悪影響を及ぼすおそれがある。
また、中空シリカ微粒子はシリカの外殻の内部に空洞が形成されたものであり、このようなものであれば特に限定されるものではないが、具体的には次のようなものを用いることができる。例えば、シリカ系無機酸化物からなる外殻(シェル)の内部に空洞を有した中空シリカ微粒子を用いることができる。シリカ系無機酸化物とは、(A)シリカ単一層、(B)シリカとシリカ以外の無機酸化物とからなる複合酸化物の単一層、及び(C)上記(A)層と(B)層との二重層を包含するものをいう。外殻は細孔を有する多孔質なものであってもよいし、細孔が後述する操作により閉塞されて空洞を密封したものであってもよい。外殻は、内側の第1シリカ被覆層及び外側の第2シリカ被覆層からなる複数のシリカ系被覆層であることが好ましい。外側に第2シリカ被覆層を設けることにより、外殻の微細孔を閉塞させて外殻を緻密化したり、さらには、外殻で内部の空洞を密封した中空シリカ微粒子を得ることができるものである。
第1シリカ被覆層の厚みは1〜50nm、特に5〜20nmの範囲とすることが好ましい。第1シリカ被覆層の厚みが1nm未満であると、粒子形状を保持することが困難となって、中空シリカ微粒子を得ることができないおそれがあり、また第2シリカ被覆層を形成する際に、有機珪素化合物の部分加水分解物等が上記核粒子の細孔に入り、核粒子構成成分の除去が困難となるおそれがある。逆に、第1シリカ被覆層の厚みが50nmを超えると、中空シリカ微粒子中の空洞の割合が減少して屈折率の低下が不十分となるおそれがある。さらに、外殻の厚みは、平均粒子径の1/50〜1/5の範囲にあることが好ましい。第2シリカ被覆層の厚みは、第1シリカ被覆層との合計厚みが上記1〜50nmの範囲となるようにすればよく、特に外殻を緻密化する上では、20〜49nmの範囲が好適である。
空洞には中空シリカ微粒子を調製するときに使用した溶媒及び/又は乾燥時に浸入する気体が存在している。また、空洞には空洞を形成するための前駆体物質が残存していてもよい。前駆体物質は、外殻に付着してわずかに残存していることもあるし、空洞内の大部分を占めることもある。ここで、前駆体物質とは、第1シリカ被覆層を形成するための核粒子からその構成成分の一部を除去した後に残存する多孔質物質である。核粒子には、シリカとシリカ以外の無機酸化物とからなる多孔質の複合酸化物微粒子を用いる。無機酸化物としては、Al、B、TiO、ZrO、SnO、Ce、P、Sb、MoO、ZnO、WO等の1種又は2種以上を挙げることができる。2種以上の無機酸化物として、TiO−Al、TiO−ZrO等を例示することができる。なお、この多孔質物質の細孔内にも上記溶媒あるいは気体が存在している。このときの構成成分の除去量が多くなると空洞の容積が増大し、屈折率の低い中空シリカ微粒子が得られ、この中空シリカ微粒子を配合して得られる透明被膜は低屈折率で反射防止性能に優れる。
中空シリカ微粒子の平均粒子径は5nm〜2μmの範囲にある。5nmよりも平均粒子径が小さいと、中空によって低屈折率になる効果が小さく、逆に2μmよりも平均粒子径が大きいと、透明性が極端に悪くなり、拡散反射(Anti-Glare)による寄与が大きくなってしまう。硬化被膜に高い透明性が要求される用途として、例えばディスプレイ等の反射を防止するためには、中空シリカ微粒子の平均粒子径は5〜100nmの範囲が好ましい。なお、上記平均粒子径は動的光散乱法によって求めることができる。
中空微粒子の配合量は特に限定されるものではないが、コーティング材組成物における質量割合が、中空微粒子/その他の成分(固形分)=95/5〜20/80の範囲になるように設定するのが好ましく、より好ましくは80/20〜30/70である。中空微粒子が95より多いと、コーティング材組成物によって得られる硬化被膜の機械的強度が低下するおそれがあり、逆に中空微粒子が20より少ないと、硬化被膜の低屈折率を発現させる効果が小さくなるおそれがある。
そして、上記の導電性金属酸化物微粒子を混合した第一の加水分解物と、シリカ微粒子を混合した第二の加水分解物を混合することによって、加水分解物(A)からなる第一の加水分解物と共重合加水分解物(B)からなる第二の加水分解物との混合物をマトリクス形成材料とし、導電性金属酸化物微粒子とシリカ微粒子をフィラーとして含有するコーティング材組成物を得ることができるものである。導電性金属酸化物微粒子を混合した第一の加水分解物と、シリカ微粒子を混合した第二の加水分解物の混合比率は、質量比率で80:20〜20:80の範囲に設定するのが好ましい。第二の加水分解物の混合比率が20質量%未満であると、撥水・撥油性や防汚性を十分に発現させることができず、逆に80質量%を超えると、後述のように第二の加水分解物が第一の加水分解物の上に浮き上がる作用が顕著には現われなくなり、加水分解物(A)と共重合加水分解物(B)を単に混合したコーティング材組成物との差がなくなる。
上記のように調製したコーティング材組成物を基材の表面に塗装して被膜を形成すると共にこの被膜を乾燥硬化させることによって、表面に低屈折率を有する硬化被膜が形成された塗装品を得ることができる。なお、コーティング材組成物が塗装される基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラスに代表される無機系基材、金属基材、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレートに代表される有機系基材を挙げることができ、また基材の形状としては、板状やフィルム状等を挙げることができる。さらに、基材の表面に1層以上の層が形成されていても構わない。
コーティング材組成物を基材の表面に塗装するにあたって、その方法は特に限定されるものではないが、例えば、刷毛塗り、スプレーコート、浸漬(ディッピング、ディップコート)、ロールコート、フローコート、カーテンコート、ナイフコート、スピンコート、テーブルコート、シートコート、枚葉コート、ダイコート、バーコート等の通常の各種塗装方法を選択することができる。
また、基材の表面に形成した被膜を乾燥させた後に、これに熱処理を行なうのが好ましい。この熱処理によって、硬化被膜の機械的強度をさらに向上させることができるものである。熱処理の際の温度は、特に限定されるものではないが、100〜300℃の比較的低温で5〜30分処理することが好ましい。このように低温で熱処理を行なっても、高温で熱処理を行うときと同等の機械的強度を得ることができるので、製膜コストを低減することが可能となり、また高温による熱処理の場合のように、基材の種類が制限されることがなくなるものである。しかも、例えばガラス基材の場合には熱伝導率が低いため、温度の上昇と冷却に時間がかかり、高温による熱処理ほど処理スピードが遅くなるのに対し、低温による熱処理では逆に処理スピードを早めることができるものである。基材の表面に形成する硬化被膜の膜厚は、使用用途や目的に応じて適宜選択することができ、特に限定されるものではないが、50〜150nmの範囲が好ましい。
そして、本発明に係るコーティング材組成物を用いれば、低屈折率の硬化被膜を容易に形成することができ、反射防止用途に好適である。例えば、基材の屈折率が1.60以下の場合には、この基材の表面に屈折率が1.60以上の硬化被膜を形成してこれを中間層とし、さらにこの中間層の表面に、本発明に係るコーティング材組成物による硬化被膜を形成するのが有効である。中間層を形成するための硬化被膜は、公知の高屈折率材料を用いて形成することができ、またこの中間層の屈折率は1.60以上であれば、本発明に係るコーティング材組成物による硬化被膜との屈折率の差が大きくなり、反射防止性能に優れた反射防止基材を得ることができるものである。また反射防止基材の硬化被膜の着色を緩和するために、中間層を屈折率の異なる複数の層で形成してもよい。反射防止の用途としては、例えば、ディスプレイの最表面、自動車のサイドミラー、フロントガラス、サイドガラス、リアガラスの内面、その他車両用ガラス、建材ガラス等を挙げることができる。
ここで、上記のように導電性金属酸化物微粒子を混合した状態で加水分解物(A)を加水分解することによって、導電性金属酸化物微粒子に対する加水分解物(A)の親和性を高めた第一の加水分解物を得るようにしてあり、またシリカ微粒子を混合した状態で共重合加水分解物(B)を加水分解することによって、シリカ微粒子に対する共重合加水分解物(B)の親和性を高めた第二の加水分解物を得るようにしてある。そして導電性金属酸化物微粒子を含有する第一の加水分解物と、シリカ微粒子を含有する第二の加水分解物とを混合することによって、コーティング材組成物を調製するようにしてある。
そして、コーティング材組成物を基材の表面に塗布して被膜を形成するにあたって、シリカ微粒子を混合した第二の加水分解物は被膜の表層部に局在し、導電性金属酸化物微粒子を混合した第一の加水分解物は被膜の底部に局在する傾向があり、明確に層分離するものではないが、被膜は2層の構成で形成される。このように局在する理由は明らかではないが、第一の加水分解物において加水分解物(A)は導電性金属酸化物微粒子に対して親和性が高いがシリカ微粒子に対する親和性が低く、第二の加水分解物において共重合加水分解物(B)はシリカ微粒子に対して親和性が高いが導電性金属酸化物微粒子に対する親和性が低いので、この親和性の差によって、シリカ微粒子を混合した第二の加水分解物は被膜の表層部に浮き上がり、これに伴って導電性金属酸化物微粒子を混合した第一の加水分解物は被膜の底部に沈み、それぞれ局在化するのではないかと推察される。特に基材がガラスなど共重合加水分解物(B)との親和性の低いものである場合、共重合加水分解物(B)は基材から離れた被膜の表層に局在し易いので、この傾向は大きくなる。
そして硬化被膜の表層はこのようにシリカ微粒子を混合した第二の加水分解物がリッチであるので、硬化被膜の表層は低屈折率層となり、また底部の層は導電性金属酸化物微粒子を混合した第一の加水分解物がリッチであるので、導電性金属酸化物微粒子で硬化被膜に帯電防性を付与することができるものである。従って本発明では、コーティング材組成物を1コートするだけで、低屈折率の層を表層に有すると共に帯電防止性を有する硬化被膜を形成することができるものであり、塗装の工程を簡略化することが可能になるものである。特に、導電性金属酸化物微粒子がこのように被膜の底部に局在することによって、導電性金属酸化物微粒子は相互に緻密に接触するものであり、導電性が高くなって帯電防止効果がより向上するものである。
しかも、硬化被膜の表層には第二の加水分解物を構成する共重合加水分解物(B)が局在しているので、共重合加水分解物(B)に含有されているフッ素成分が局在することになる。従って、このように硬化被膜の表層にフッ素成分が局在することによって硬化被膜の表面の撥水・撥油性を高めることができるものであり、硬化被膜の表面の防汚染性を向上することができるものである。
また、本発明のコーティング材組成物には、マトリクス形成材料の一部としてシリコーンジオール(C)をさらに含有させるようにしてもよい。シリコーンジオール(C)は、上記の式(2)で表わされるジメチル型のシリコーンジオールである。上記の式(2)において、ジメチルシロキサンの繰り返し数nは特に限定されるものではないが、n=20〜100の範囲が好ましい。nが20未満であると、後述のような摩擦抵抗の低減の効果を十分に得ることができず、逆にnが100を超えると、他のマトリクス形成材料との相溶性が悪くなる傾向があり、硬化被膜の透明性に悪影響を及ぼしたり、硬化被膜に外観ムラが発生するおそれがある。シリコーンジオール(C)の配合量は特に限定されるものではないが、コーティング材組成物の全固形分(中空微粒子やマトリクス形成材料の縮合化合物換算固形分)に対して1〜10質量%の範囲が好ましい。
このようにコーティング材組成物にマトリクス形成材料の一部としてシリコーンジオールを含有させると、硬化被膜にはこのシリコーンジオールが導入されるので、硬化被膜の表面摩擦抵抗を小さくすることができる。従って、硬化被膜の表面への引っ掛かりを低減して、傷が入り難くなるようにすることができ、耐擦傷性を向上することができるものである。特に本発明で用いるジメチル型のシリコーンジオールは、被膜を形成した際には被膜の表面にシリコーンジオールが局在し、被膜の透明性を損なわないものである(ヘーズ率が小さい)。またジメチル型のシリコーンジオールは本発明で用いるマトリクス形成材料と相溶性に優れ、しかもマトリクス形成材料のシラノール基と反応性を有するために、マトリクスの一部として硬化被膜の表面に固定されるものであり、単にシリコーンオイル(両末端もメチル基)を混入しただけの場合のように硬化被膜の表面を拭くと除去されてしまうようなことがなく、長期に亘って硬化被膜の表面摩擦抵抗を小さくして耐擦傷性を長期間維持することができるものである。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、特に断らない限り、「部」はすべて「質量部」を、「%」は、後述する反射率及びヘーズ率を除き、すべて「質量%」を表す。また、分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、測定機種として東ソー(株)のHLC8020を用いて、標準ポリスチレンで検量線を作成し、その換算値として測定したものである。
(実施例1)
テトラエトキシシラン208部にメタノール356部を加え、さらに水18部及び0.01Nの塩酸水溶液18部(「HO」/「OR」=0.5)を加え、これをディスパーを用いてよく混合した。この混合液を25℃恒温槽中で2時間撹拌して、重量平均分子量850、固形分10%の加水分解物(A)(4官能シリコーンレジン)を得た。そして導電性金属酸化物粒子としてATO微粒子分散ゾル(触媒化成製)を用い、このATO微粒子を加水分解物(A)に、ATO微粒子/加水分解物(A)(縮合化合物換算)が固形分基準で40/60の質量比になるように配合し、さらに25℃恒温槽中で1時間撹拌して、重量平均分子量を1500に調整した第一の加水分解物(固形分10%)を得た。
一方、シリカ微粒子としてシリカIPA(イソプロパノール)分散ゾル(触媒化成工業社製「OSCAL1432」、固形分30%)を用い、上記のようにして得た加水分解物(A)と、フルオロシラン(東芝シリコーン社製「TSL8233」)と、シリカ微粒子を、フルオロシラン/加水分解物(A)/シリカ微粒子が固形分基準で20/30/50の質量比になるように配合し、さらに25℃恒温槽中で1時間撹拌して、重量平均分子量を1500に調整した共重合加水分解物(B)からなる第二の加水分解物を得た。
そして第一の加水分解物(ATO微粒子を含む)と第二の加水分解物(シリカ微粒子を含む)を、第一の加水分解物/第二の加水分解物が固形分基準で30/70の質量比になるように配合し、さらに全固形分が1%になるようにIPAで希釈することによって、コーティング材組成物を調製した。
このコーティング材組成物を1時間放置した後に、予め酸化セリウム微粒子で研磨洗浄しておいたソーダライムガラス(屈折率1.54)の表面にワイヤーバーコーターによって塗布し、100℃で10分間熱処理することによって、膜厚が100nmの硬化被膜を得た。
(実施例2)
実施例1において、シリカ微粒子の代りに、中空シリカ微粒子として中空シリカIPA分散ゾル(固形分20%:触媒化成工業社製)を用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてコーティング材組成物を調製した。
そして、このコーティング材組成物を実施例1と同様に塗布し、その後熱処理することによって硬化皮膜を得た。
(実施例3)
実施例2において、導電性金属酸化物粒子としてATO被覆中空シリカゾル(触媒化成製)を用いるようにした以外は、実施例2と同様にしてコーティング材組成物を調製した。
そして、このコーティング材組成物を実施例1と同様に塗布し、その後熱処理することによって硬化皮膜を得た。
(実施例4)
実施例3において、コーティング材形成成分としてシリコーンジオール(式(2)のn≒40)を、コーティング材組成物の全固形分に対して1%添加するようにした以外は、実施例3と同様にしてコーティング材組成物を調製した。
そして、このコーティング材組成物を実施例1と同様に塗布し、その後熱処理することによって硬化皮膜を得た。
(比較例1)
実施例1と同じ、シリカ微粒子(触媒化成工業社製「OSCAL1432」、固形分30%)と、加水分解物(A)(4官能シリコーンレジン)と、フルオロシラン(東芝シリコーン社製「TSL8233」)と、ATO微粒子分散ゾル(触媒化成製)を、12:39:14:35の質量比になるように配合し、さらに25℃の恒温槽で1時間攪拌して、重量平均分子量1500、固形分10%のコーティング材組成物を調製した。その後全固形分が1%になるようにIPAで希釈することによって、実施例1と成分比率が同じコーティング材組成物を得た。
そして、このコーティング材組成物を実施例1と同様に塗布し、その後熱処理することによって硬化皮膜を得た。
(比較例2)
比較例1において、シリカ微粒子の代りに、中空シリカ微粒子として中空シリカIPA分散ゾル(固形分20%:触媒化成工業社製)を用いるようにした以外は、実施例1と同様にしてコーティング材組成物を調製した。
そして、このコーティング材組成物を実施例1と同様に塗布し、その後熱処理することによって硬化皮膜を得た。
(比較例3)
比較例2において、シリカ微粒子の代りに、導電性金属酸化物粒子としてATO被覆中空シリカゾル(触媒化成製)を用いるようにした以外は、比較例2と同様にしてコーティング材組成物を調製した。
そして、このコーティング材組成物を実施例1と同様に塗布し、その後熱処理することによって硬化皮膜を得た。
(配合比率)
実施例1〜4及び比較例1〜3のコーティング材組成物における配合比率を表1に示す。
Figure 0004438594
上記の実施例1〜4及び比較例1〜3の硬化被膜に対して機械的強度、指紋除去性透明性、反射率、帯電防止性能を評価した。結果を表2に示す。
(機械的強度)
スチールウール#0000で硬化被膜表面を擦り、発生する傷の発生レベルで機械的強度を次のように判定した。
A:傷が発生しない
B:傷が僅かに発生する
C:傷が発生する
D:傷が多数発生する(または剥離する)
(指紋除去性)
硬化被膜の表面に指紋を付着させ、その指紋後を布でふき取ることにより、次の基準で指紋除去性を判定した。
A:数回で除去できる
B:10数回程度で除去できる
C:かなり拭くと何とか除去できる
D:除去できない(跡がのこる)
(透明性)
ヘーズメータ(日本電色工業性「NDH2000」)を使用し、ヘーズ値を測定した。
(反射率)
分光光度計(日立製作所製「U−3400」)を使用し、波長550nmの反射率を測定した。
(帯電防止性)
三菱化学社製「ハイレスター MCP−HT260」)を使用し、表面抵抗率を測定することによって帯電防止性を評価した。
Figure 0004438594
表2にみられるように、実施例1〜4のものでは、機械的強度、指紋除去性の評価結果は総てA〜Bという良好な結果を示しているのに対して、比較例1〜3のものはCまたはDという結果になっている。これは、実施例1〜4ではフルオロシランが膜表面近傍に分布しているのに対して、比較例1〜3のものでは膜全体に分布しているため、機械的強度、指紋除去性が低下したものと考えられる。また表面抵抗については、実施例1〜4は被膜の底部に導電性金属酸化物微粒子が集中して緻密に接触しているため、抵抗値が低下しているのに対して、比較例1〜3のものは膜全体に分布しているため、抵抗値が下がらなかったものと考えられる。ヘーズ値については実施例と比較例とも大幅な問題はなかった。反射率については実施例2や比較例2のように中空シリカ微粒子を用いたほうが低下しており、さらに実施例3や比較例3のようにATO被覆中空シリカ微粒子を用いるとさらに下がっている。実施例1〜4と比較例1〜3を比べると、実施例のほうがやや反射率の低下が見られいる。また、実施例4のように、シリコーンジオールを添加したものはさらに機械的強度の向上効果がみられた。
以上の結果より総合すると、本発明に係るコーティング材組成物を基材に塗布して乾燥して得られる硬化被膜は、低屈折率、機械的強度、指紋拭き取り性、帯電防止性を大幅に向上させることができ、1コートで帯電防止・低屈折率な被膜を形成可能なコーティング材組成物である。

Claims (5)

  1. 下記(A)の加水分解物と導電性金属酸化物微粒子を混合した状態で下記(A)の加水分解物を加水分解した第一の加水分解物と、下記(B)の共重合加水分解物とシリカ微粒子を混合した状態で下記(B)の共重合加水分解物を加水分解した第二の加水分解物とを含有して成ることを特徴とするコーティング材組成物。
    (A)一般式がSiX(Xは加水分解基) …(1)
    で表わされる加水分解性オルガノシランを加水分解して得られる加水分解物
    (B)式(1)の加水分解性オルガノシランと、フッ素置換アルキル基を有する加水分解性オルガノシランとの共重合加水分解物
  2. シリカ微粒子が、外殻がシリカで形成された中空微粒子であることを特徴とする請求項1に記載のコーティング材組成物。
  3. 導電性金属酸化物微粒子が、外殻がシリカで形成された中空微粒子の表面を導電性金属酸化物で被覆したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のコーティング材組成物。
  4. 式(2)で表されるシリコーンジオール(C)を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のコーティング材組成物。
    Figure 0004438594
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載のコーティング材組成物の硬化被膜を、基材の表面に備えて成ることを特徴とする塗装品。
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