以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。図1は本発明に係る通行管理装置の平面図である。図2(a)は通行管理装置の側面図、図2(b)は通行管理装置の正面図である。この側面図では、扉23a,24aは開いた状態で図示されている。図3は通行管理装置の電気的構成を示すブロック図である。図4は通行管理装置で用いられるカードリーダの電気的構成を示すブロック図である。通行管理装置は、建物内部、駅の構内などの人の入場が規制される管理区域51の入口および出口にそれぞれ設置されている。出口の通行管理装置は平行に配された一対の本体2a,2cで構成され、入口の通行管理装置は平行に配された一対の本体2b,2cで構成されている。また、管理区域51は人が自由に入場できる非管理区域52から隔壁53で仕切られている。
本体2a、2bには、それぞれカードリーダ21a、21bが設けられており、管理区域51から退場する者および管理区域51に入場する者は、非接触型の通行媒体である有効な(正規の)カード1をカードリーダ21a,21bに読み取らせることにより通行管理装置の通路50a,50bを通行することができる。尚、図1では、カードリーダのアンテナコイル(アンテナ)のカバーをカードリーダ21a,21bとして示している。このカード1には、通行管理装置で使用されるカードであることを示すカード固有情報、カード利用者を特定するカード番号など(以下では、これらを総称してカード情報とよぶ)が記録されている。カード番号なども含めて有効カードであるか否かを判定するようにしてもよいが、ここでは正しいカード固有情報が記録されたカード1を有効カードとして扱う。
カードリーダ21a、21bの前方には、それぞれカード表示部22a、22bが設けられている。カード表示部22aおよび22bには、それぞれカードリーダ21aおよび21bで読み取られたカード1の有効・無効などに従って、通行の可否を示すメッセージ(以下、OKメッセージまたはNGメッセージともいう)が表示される。また、本体2の正面には通行可否表示部27が設けられており、例えば、本体2aの管理区域51側の正面の通行可否表示部27には通路50aが通行可であることを示す「○」が表示され、本体2aの非管理区域52側の背面の通行可否表示部27には通行否であることを示す「×」が表示される。
本体2aの通路50a側には扉23a、24aが、本体2bの通路50b側には扉23b、24bが、本体2cの通路50a側には扉23c、24cが、そして本体2cの通路50b側には扉23d、24dが開閉可能に設けられている。扉23a,23c,24b、24dは常に開いている。また、扉24a,24c,23b,23dは通常閉まっており、無効な(不正な)カード1の利用者またはカード1を所持しない者(以下、通行不能者ともいう)の通行が規制(禁止)される。有効カード1がカードリーダ21a(21b)で読み取られると、出口側の扉24a,24c(扉23b、23d)が図1の矢印A(矢印B)で示すように開き、有効カード1の利用者(以下、通行可能者ともいう)の通行が可能となる。
尚、退場時には図1の上方が入口側であり、下方が出口側である。入場時には入口側と出口側とは退場時の逆となる。また、本実施形態では常に開いている扉23a,23cなどは不要であるが、通路50aを入退場用の通路として使用するような場合には、扉23a,23cなども開閉され、本体2cの非管理区域52側にもカードリーダが設けられる。
また、本体2a、2cの通路50a側には、通行者を検出するための通行検出センサ25,26が設けられている。この通行検出センサ25,26は透過型の光センサであり、一方の本体2aに投光器が取り付けられ、他方の本体2cに受光器が取り付けられている。通行検出センサ25,26の検出信号は制御部20に送られ、制御部20は検出信号に基づいて扉23,24の開閉を制御する。例えば、入口側の通行検出センサ25が通行可能者の通行を検出すると、制御部20は扉24a,24cを開ける。また、本体2b、2cの通路50b側にも、同様の通行検出センサ(不図示)が設けられている。
図3を参照して通行管理装置の電気的構成について説明する。制御部20は、いずれかの本体2内に設けられており、CPU20a、メモリー20bなどから構成される。制御部20は、カードリーダ21からのカード情報および通行検出センサ25,26の検出信号をメモリー20bに格納すると共に、これらのカード情報および検出信号に基づき、カード表示部22および扉開閉駆動部28を制御する。扉開閉駆動部28は、制御部20からの信号に従って不図示の扉開閉機構を駆動し、これにより扉24a,24cなどを開閉する。つまり、制御部20は扉24a,24cなどの開閉を制御する。また、制御部20は、通行管理装置の動作モードに従って通行可否表示部27に上述の通行の可否を示すシンボルを表示する。
本発明で使用されるカードリーダ21自体は公知のものであるが、ここでカード1に記録されたカード情報をカードリーダ21で読み取る方法について簡単に説明する。非接触型のカード1はアンテナコイルとアンテナコイルに接続されたICチップとを備え、ICチップは送信回路、受信回路、制御回路、カード情報が記録されたメモリーなどを内蔵している。一方、カードリーダ21は、図4に示すように、アンテナコイル216、アンテナコイル216に接続された送信回路214および受信回路215、CPU210、メモリー211、制御部20に対する通信インタフェイスであるI/F回路212、ならびに時計回路213を備える。そして、カード1がカードリーダ21の動作磁界範囲(通信可能領域)にかざされると、一方のアンテナコイルに流れる電流を変化させることによって生じる磁界の変動を、他方のアンテナコイルで検出することにより、カード1とカードリーダ21との間で通信が行われる。
この通信では、カードリーダ21はコマンドを送信し、コマンドを受信したカード1はカード情報を送信する。また、カードリーダ21は読み取ったカード情報をメモリー211に保存する。CPU210は、通行管理装置の制御部20からカード情報の送信指示を受信すると、メモリー211に保存されているカード情報を制御部20に送信する。カード情報がメモリー211に保存されていない場合は、カード情報がない旨を送信する。また、後述するように、時計回路213から読み出した時刻を用いて、カード1がカードリーダ21に継続してかざされていた時間を求めている。
図5および図6を参照してカードリーダ21の動作を説明する。以下に示す動作は、後述の第2および第3の実施形態でも同じであり、カードリーダ21のメモリー211に格納されたプログラムをCPU210が実行することによって実現される。通行管理装置の電源が投入されるとメイン処理が起動される。まず、メモリー211に領域が確保された変数、すなわちカード検出フラグおよび継続フラグに0を設定する(S1)。次に、カード1からカード情報を読み取るためにカード読み取り処理を行う(S2)。カード読み取り処理の詳細は後述するが、ここでカード読み取り処理の概要を説明する。
カード1がカードリーダ21の通信可能領域にかざされており、カード情報がカードリーダ21で読み取られた場合は、上記のカード検出フラグに1が設定され、メモリー211に領域が確保された送信バッファにカード情報および継続かざし時間が書き込まれる。継続かざし時間とは、カード1がカードリーダ21の通信可能領域に継続してかざされていた時間である。例えば、カード1が通信可能領域に2秒間かざされた場合は、カード情報は何回も読み取られるが、最初に読み取られたときにカード情報および継続かざし時間(このときは「0」)が1組のデータとして送信バッファに書き込まれ、読み取られなくなったとき(2秒経過後)にカード情報および継続かざし時間(2秒)が送信バッファに書き込まれる。
継続かざし時間は以下のようにして求める。最初にカード情報が読み取られたときに、カード情報および時計回路213から読み出した時刻、すなわち読み取り時刻をメモリー211に領域が確保された一時バッファに保存する。そして、カード情報が読み取られなくなったときに時計回路213から読み出した時刻から、上記の読み取り時刻を減算することによって継続かざし時間を求める。上記の継続フラグには、前回の読み取り処理と今回の読み取り処理とで同じカード情報が読み取られた場合には1が設定され、異なるカード情報が読み取られた場合には0が設定される。
カード読み取り処理(S2)の後、制御部20からカード情報の送信指示を受信したか否かを調べ(S3)、受信していない場合は(S3:NO)、S2に戻って再びカード読み取り処理を行う。受信した場合は(S3:YES)、上記の送信バッファに送信するカード情報があるか否かを調べる(S4)。送信するカード情報がある場合は(S4:YES)、カード情報および継続かざし時間を送信バッファから読み出して制御部20に送信し(S5)、S2に戻る。送信するカード情報がない場合は(S4:NO)、カード情報がない旨を制御部20に送信し(S6)、S2に戻る。
次に、図6を参照してカード読み取り処理について説明する。まず、カード1のカード情報を読み取るためにカード1に対してコマンドを送信する(S11)。このコマンドによりアンテナコイル216を流れる電流が変化し、結果的にアンテナコイル216を貫く磁界が変動する。コマンドを送信したことによって、カード1からカード情報を受信した場合は(S12:YES)、カード検出フラグが0であるか否かを調べる(S13)。カード検出フラグが0である場合、すなわちカード1が最初に読み取られた場合は(S13:YES)、カード検出フラグに1を設定し(S14)、受信したカード情報および上述の読み取り時刻を1組のデータとして一時バッファに保存する(S15)。さらに、受信したカード情報および継続かざし時間(ここでは、最初の読み取りを示す「0」)を送信バッファに書き込み(S16)、メイン処理に戻る。
カード検出フラグが0ではない(1である)場合は(S13:NO)、一時バッファに保存されているカード情報と受信したカード情報とを比較することにより、前回と同じカード情報を受信したか否かを調べる(S17)。前回と同じカード情報を受信した場合は(S17:YES)、同じカード情報を継続して受信したことを示す継続フラグに1を設定し(S18)、受信したカード情報を一時バッファおよび送信バッファに書き込むことなくメイン処理に戻る。前回と同じカード情報を受信しなかった場合は(S17:NO)、継続フラグが0であるか否かを調べる(S19)。0である場合は(S19:YES)、新たなカード1のカード情報を読み取っているので、受信したカード情報および上述の読み取り時刻を一時バッファに保存し(S15)、受信したカード情報および継続かざし時間(ここでは、「0」)を送信バッファに書き込み(S16)、メイン処理に戻る。
継続フラグが0ではない(1である)場合は(S19:NO)、継続フラグに0を設定する(S20)。この場合、前回まで継続してカードリーダ21にかざされていたカード1が最初に読み取られたときのカード情報および読み取り時刻が一時バッファに保存されている。そこで、時計回路213から読み出した時刻から上記の読み取り時刻を減算することにより、継続かざし時間を算出する(S21)。尚、カードリーダ21がカード1からカード情報を読み取る時間は、人がカード1をカードリーダ21にかざしている時間に比べて十分に短いので、上記の算出された継続かざし時間は、実際にカードがかざされた時間と略等しくなる。そして、一時バッファ中のカード情報と算出された継続かざし時間とを1組のデータとして送信バッファに書き込む(S22)。さらに、新たなカード1のカード情報を読み取っているので、受信したカード情報および上述の読み取り時刻を一時バッファに保存し(S15)、受信したカード情報および継続かざし時間(ここでは、「0」)を送信バッファに書き込み(S16)、メイン処理に戻る。
S12において、カード情報を受信しなかったと判定した場合は(S12:NO)、カード検出フラグが1または0のいずれであるかを調べる(S23)。カード検出フラグが0である場合は(S23:NO)、メイン処理に戻る。カード検出フラグが1である場合は(S23:YES)、カード検出フラグに0を設定し(S24)、継続フラグが1または0のいずれであるかを調べる(S25)。継続フラグが0である場合は(S25:NO)、メイン処理に戻る。継続フラグが1である場合は(S25:YES)、継続フラグに0を設定し(S26)、S21、S22と同様にして、一時バッファ中の読み取り時刻から継続かざし時間を算出し(S27)、一時バッファ中のカード情報と算出された継続かざし時間とを1組のデータとして送信バッファに書き込み(S28)、メイン処理に戻る。
次に、管理区域51からの退場に関する通行管理装置の動作の概要を説明する。入場に関する動作は退場に関する動作と同様である。出口側の扉24a,24cは通常閉まっている。有効カード1がカードリーダ21aにかざされると、扉24a,24cが開き、有効カードの利用者の通行が許容される。そして、出口側の通行検出センサ26が当該利用者の通行を検出すると扉24a,24cが閉まる。また、扉24a,24cが開いているときに入口側の通行検出センサ25が通行不能者の通行を検出すると扉24a,24bが閉まり、通行不能者の通行が規制(禁止)される。つまり、読み取られた有効カード1の枚数と、通路50aを通行する通行者の数を対応付けて通行者の通行を管理している。
このようにすると、荷物を積んだ台車を押す人(以下、台車利用者という)が有効カード1をカードリーダ21aにかざして通路50aを通行するときに、通行検出センサ25または26が荷物または台車を通行者と判断してしまうと、台車利用者が通路50aを通過していないにもかかわらず扉24a,24cが閉まってしまう。そこで、本発明では、有効カードが複数回(例えば、3回以上)カードリーダ21aにかざされた場合、または継続して所定時間以上(例えば、2秒以上)かざされた場合には、読み取られた有効カード1の枚数(以下、通行許可の数ともいう)と、通行検出センサ25,26が検出する通行体(ここでは、台車、荷物、台車利用者)の数(以下、検出される通行体の数ともいう)とを対応付けないようにして通行者の通行を管理する。
この管理方法として、通行許可数一定モードと通行許可数不定モードとがあり、制御部20のメモリー20bに予め設定されているデータに従って、いずれか一方のモードが選択される。通行許可数一定モードでは、1つの通行許可に対してメモリー20bに予め設定されている設定許可数(例えば、2)だけの通行体の通行を許容する。通行許可数不定モードでは、上述のようにしてカード1がかざされた時から所定時間(例えば、10秒間)が経過するまでは、通行検出センサ25、26が検出する通行体の数に関係なく、通行体の通行を許容する。上記の設定許可数または所定時間を大きくすれば、台車利用者が確実に通行できるようになるが、通行不能者の通行も許容してしまうという問題が生じる。従って、通行管理装置の利用状況などを考慮して最適な設定許可数および所定時間を決めるようにする。
次に、図7および図8を参照して上述の退場に関する通行管理装置の動作の詳細を説明する。以下に示す動作は、制御部20のメモリー20bに格納されたメイン処理、通行検出処理およびタイマー処理のプログラムをCPU20aが実行することによって実現される。また、不図示の管理プログラムが3つの処理のプログラムの実行を管理しており、通常はメイン処理を実行し、一定の周期で通行検出処理およびタイマー処理を実行するようにしている。以下では、通行検出処理は50m秒ごとに起動され、タイマー処理は100m秒ごとに起動されるものとして説明する。通行管理装置の電源が投入されるとメイン処理が起動される。まず、制御部20のメモリー20bに領域が確保された以下の4つの変数、すなわち通行許可人数、通常通行タイマー、延長通行タイマーおよび扉閉タイマーに0を設定する(S41)。
通行許可人数は、通行管理装置を通過できる人数を示し、有効カード1がカードリーダ21aで読み取られると、そのたびに1だけ加算される。次に、通常通行タイマーについて説明する。有効カード1をカードリーダ21aで読み取らせた後に、カード利用者が管理区域51から退場せずに管理区域51に戻ってしまうと、通行許可数に1が加算されているので、通行不能者の退場が可能になってしまう。このような事態を防止するために、最後に有効カード1が読み取られた時から一定時間(例えば、5秒)が経過したら、通行許可人数に0を設定するようにしている。この一定時間を管理するのが通常通行タイマーである。上述のようにタイマー処理は100m秒ごとに起動されるので、通常通行タイマーに50を設定することにより、上記の一定時間(5秒)が実現される。
次に、延長通行タイマーについて説明する。延長通行タイマーは、通常通行タイマーと同様の目的に使用されるタイマーであり、有効カード1が継続して所定時間以上カードリーダ21aにかざされた場合、または複数回かざされたときに設定される。延長通行タイマーには、通常通行タイマーよりも大きな一定時間(例えば、10秒)を実現する値が設定される。上述のようにタイマー処理は100m秒ごとに起動されるので、延長通行タイマーに100を設定することにより、上記の一定時間(10秒)が実現される。また、扉閉タイマーは、カード利用者の通行が出口側の通行検出センサ26で検出されてから扉24a,24cを閉めるまでの時間を管理するタイマーである。
メイン処理の説明に戻る。S41の後、入口側の扉23a、23cを開け、出口側の扉24a,24cを閉める(S42)。次に、カードリーダ21aにカード1から読み取ったカード情報を送信するように指示する(S43)。この指示を受けたカードリーダ21aは、上述のように、読み取ったカード情報および継続かざし時間を制御部20に送信する。また、カード情報を読み取っていない場合は、その旨を送信する。カードリーダ21aからカード情報を受信しなかった場合は(S44:NO)、再びカードリーダ21aにカード1から読み取ったカード情報を送信するように指示する(S43)。カード情報を受信した場合は(S44:YES)、カード情報中のカード固有情報(本装置で使用するカード1であることを示す情報)を調べることにより、有効カード1または無効カード1のいずれのカード情報であるかを調べる(S45)。
無効カード1のカード情報である場合は(S45:NO)、通行が規制(禁止)されることを示すためにカード表示部22aにNGメッセージを表示して(S58)、S43に戻る。有効カード1のカード情報である場合は(S45:YES)、通行が許容されることを示すためにカード表示部22aにOKメッセージを表示する(S46)。次に、カード情報と一緒に受信した継続かざし時間の値を調べる(S47)。継続かざし時間の値が0である場合、すなわち受信したカード情報が、カード1がカードリーダ21aにかざされたときに最初に読み取られたカード情報である場合は(S47:YES)、受信したカード情報が前回受信したカード情報と異なるか否かを調べる(S48)。
異なる場合、すなわち新たなカード1のカード情報である場合は(S48:YES) 、カード1がカードリーダ21aにかざされた回数を計数するための変数である繰返し回数に1を設定し(S49)、通行許可人数に1を加算する(S50)。さらに、通行許可タイマーに上述の設定値(50)を設定すると共に、扉閉タイマーに0を設定し(S51)、S43に戻る。このように扉閉タイマーに0を設定しているので、前のカード利用者の通行により起動された扉閉タイマーがタイムアップすることによって、出口側の扉24a,24cが閉まるのが防止される。
S48において、受信したカード情報が前回受信したカード情報と同じであると判定した場合、すなわちカード1が再びかざされた場合は(S48:NO)、上述の繰返し回数に1を加算する(S52)。加算しても繰返し回数が所定回数以上にならない場合は(S53:NO)、S43に戻る。加算の結果、繰返し回数が所定回数に等しくなる場合は(S53:YES、且つS54:YES)、通行管理装置が上述の通行許可数一定モードまたは通行許可数不定モードのいずれで動作しているかを調べる(S55)。通行許可数一定モードで動作している場合は(S55:YES)、通行許可人数に(上述の設定許可数−1)を加算する(S56)。所定回数だけかざされたカード1のカード情報を最初に受信したときに通行許可人数に1を既に加算しているので(S50)、これで通行許可人数に設定許可数(例えば、2)を加算したことになる。このようにして、1つの通行許可に対して、設定許可数と検出される通行体の数を対応付ける。別の表現をすれば、設定許可数によって通行許可の数を補正する。そして、後述するように、設定許可数だけの検出される通行体の通行を許容するように扉24a,24cの開閉制御が行われる。
次に、延長通行タイマーに上述の設定値(100)を設定すると共に、扉閉タイマーに0を設定し(S57)、S43に戻る。尚、通行許可数一定モードでは、設定許可数だけの通行体の通行が出口側の通行検出センサ26で検出されると扉24a,24cを閉めるようにしているので、延長通行タイマーに通常通行タイマーに設定されるのと同じ設定値(50)を設定するようにしても、通行管理装置の動作に影響を与えることはない。
それに対し、通行許可数不定モードで動作している場合は(S55:NO)、上述のように、通行許可の数と検出される通行体の数との対応付けを行わないので、通行許可人数に加算を行うことなく、延長通行タイマーに上述の設定値(100)を設定すると共に、扉閉タイマーに0を設定して(S57)、S43に戻る。ここでは、延長通行タイマーの設定値(100)を通常通行タイマーの設定値(50)よりも大きくしているが、荷物を積んだ台車を押す人などが余裕を持って通行管理装置を通行できる時間を延長通行タイマーで実現できれば十分であるので、必ずしも延長通行タイマーの設定値を通常通行タイマーの設定値よりも大きくする必要はない。一方、繰返し回数が所定回数よりも大きい場合は(S53:YES、且つS54:NO)、既に通行許可人数に設定許可数を加算しているので(S50,S56)、通行許可人数に加算を行うことなく、延長通行タイマーに上述の設定値を設定すると共に、扉閉タイマーに0を設定して(S57)、S43に戻る。
S47において、受信した継続かざし時間の値が0ではないと判定した場合は(S47:NO)、継続かざし時間が所定時間以上であるか否かを調べる(S59)。所定時間以上である場合は(S59:YES)、上述のS55〜S57を実行して、S43に戻る。所定時間未満である場合は(S59:NO)、何もせずにS43に戻る。尚、このカード情報に関しては、最初にカード情報を受信したときに上述のS49〜S51が実行されている。
次に、図8を参照して通行検出処理について説明する。通行検出処理が起動されると、入口側の通行検出センサ25が通行者の通行を検出したか否かを調べる(S101)。具体的には、制御部20のメモリー20bに記憶されている前回の通行検出処理の時の通行検出センサ25の出力信号と、今回の出力信号とを比較し、出力信号が遮光状態から透光状態に変化していれば、通行を検出したと判断する。通行者の通行を検出しなかった場合は(S101:NO)、S105に進む。
通行者の通行を検出した場合(S101:YES)、通行許可人数の値が0のときは(S102:YES)、出口側の扉24a,24cが開いていれば閉めて(S103)、S105に進む。これにより、入口側の通行検出センサ25で検出された通行不能者の通行を規制する。それに対し、通行許可人数の値が0ではないときは(S102:NO)、出口側の扉24a,24cが閉まっていれば開けて(S104)、S105に進む。これにより、入口側の通行検出センサ25で検出された通行可能者の通行を許容する。
S105では、出口側の通行検出センサ26が通行者の通行を検出したか否かを調べる。具体的には、制御部20のメモリー20bに記憶されている前回の通行検出処理の時の通行検出センサ26の出力信号と、今回の出力信号とを比較し、出力信号が遮光状態から透光状態に変化していれば、通行を検出したと判断する。通行者の通行を検出しなかった場合は(S105:NO)、何もせずに呼び出し元に戻る。通行者の通行を検出した場合は(S105:YES)、以下の3つの処理を行う。
第1に、延長通行タイマーの値が0である場合、すなわちカード1が普通の方法でかざされたことによる処理をする場合は(S106:YES)、以下のようにして通行許可の数と検出される通行体の数とを対応付けて通行管理を行う。まず、通行許可人数の値が0でなければ(S108:NO)、通行許可人数から1を減算する(S109)。さらに、減算の結果、通行許可人数の値が0になると(S110:YES)、延長タイマーの値が0であるか否かに基づき、第1または第2設定値を扉閉タイマーに設定し(S111)、呼び出し元に戻る。この場合、延長タイマーの値が0であるので、第1設定値を設定する。この扉閉タイマーが後述のタイマー処理で減算され、値が0になると出口側の扉24a,24cを閉める。
ここでは、延長タイマーの値が0ではないときに設定される第2設定値(例えば、20)を第1設定値(例えば、10)よりも大きな値としている。これは、台車を押す人などが気分的に安心して通行できるようにするためである。尚、図2(a)に示す扉24aと通行検出センサ26との位置関係から分るように、出口側の通行検出センサ26が通行を検出した直後に扉24a,24cを閉めても、通行者に当らない。従って、扉24a,24cが通行者に当らないようにするという観点では、必ずしも扉閉タイマーを用いて扉24a,24cの閉制御をしなくともよく、S111で扉24a,24cを閉めるようにしてもよい。
第2に、延長通行タイマーの値が0ではなく、通行管理装置が通行許可数一定モードで動作している場合は(S106:NO、且つS107:YES)、第1の場合と同様にしてS108〜S111を実行し、呼び出し元に戻る。このようにして、上述の設定許可数によって補正された通行許可の数と検出される通行体の数とを対応付けて通行管理を行う。
第3に、延長通行タイマーの値が0ではなく、通行管理装置が通行許可数不定モードで動作している場合は(S106:NO、且つS107:NO)、通行許可の数と検出される通行体の数との対応付けを行わないので、何もせずに呼び出し元に戻る。この場合は、後述するように、延長通行タイマーがタイムアップすると、出口側の扉24a,24cを閉める。
次に、タイマー処理について説明する。タイマー処理が起動されると、通常通行タイマーの値が0でなければ通常通行タイマーから1を減算し(S121,S122)、延長通行タイマーの値が0でなければ延長通行タイマーから1を減算する(S123,S124)。次に、通常通行タイマーおよび延長通行タイマーが共に0であれば、通行許可人数に0を設定し、出口側の扉24a,24cが開いていれば閉める(S125〜S127)。次に、扉閉タイマーの値が0であるか否かを調べ(S128)、0ではない場合は(S128:NO)、扉閉タイマーから1を減算する(S129)。減算の結果、扉閉タイマーの値が0になると(S130:YES)、出口側の扉24a,24cが開いていれば閉めて(S131)、呼び出し元に戻る。
本発明の第2の実施形態について説明する。先の実施形態では、通行管理装置の出口側の扉24a,24cなどを通常閉めておき、有効カード1がカードリーダ21で読み取られると扉24a,24cなどを開け、カード利用者の通過が検出されるか、または所定時間が経過した後に扉24a,24cなどを閉めるようにしていた。本実施形態では、図9に示すように、扉23a〜23d、24a〜24dを通常開けておき、通行不能者の退場を入口側の通行検出センサ25が検出すると出口側の扉24a,24cを矢印Cで示すように閉める。また、通行不能者の入場を入口側の不図示の通行検出センサが検出すると出口側の扉23b、23dを矢印Dで示すように閉める。
次に、管理区域51からの退場に関する通行管理装置の動作に関して、メイン処理における先の実施形態との相違点について説明する。本実施形態では、S42(図7)の処理に代えて、入口側の扉23a,23cおよび出口側の扉24a、24cを開けるようにする。また、出口側の扉24a,24cを通常開けておくので、扉閉タイマーは不要となり、扉閉タイマーに0を設定する処理(S41,S51,S57)は存在しない。
次に、通行検出処理およびタイマー処理における相違点について説明する。図10は本実施形態の動作を示すフローチャートである。先の実施形態の図8のステップに対応する図10のステップには、図8のステップ番号に100を加算した番号が付けられている。本実施形態では出口側の扉24a,24cを通常開けておくので、図8のS110〜S111およびS127〜S131に相当するステップが存在しない。この点で先の実施形態と相違する。従って、本実施形態で扉24a,24cが閉まるのは、通行許可人数が0であるときに通行不能者の通行が入口側の通行検出センサ25で検出された場合(S202,S203)だけとなる。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、通行管理装置の本体2の通路50a、50b側に通行検出センサ25,26を設け、通行検出センサ25,26で実際に通行する人を検出することによって通行の管理を行っていたが、本実施形態の通行管理装置は通行検出センサを使用しない。本実施形態では、図1に示すように、出口側の扉24a,24cなどを通常閉めておき、有効カード1がカードリーダ21で読み取られると扉24a,24cなどを開け、開けてから所定時間が経過すると扉24a,24cなどを閉めるようにしている。また、有効カード1が継続して所定時間以上カードリーダ21にかざされた場合、または複数回かざされた場合には、上記の扉24a,24cなどの開放時間を普通の方法でカード1がかざされた場合に比べて長くするようにしている。
図11は本実施形態のメイン処理のフローチャートであり、図12はタイマー処理のフローチャートである。尚、本実施形態では通行検出センサを使用しないので、通行検出処理は存在しない。第1の実施形態の図7のステップに対応する図11のステップには、図7のステップ番号に300を加算した番号が付けられている。以下に図7と図11との相違を説明する。本実施形態では、通行許可人数による通行管理は行わないので、図11には図7のS50およびS54〜S56に相当するステップは存在しない。また、通行許可人数に0を設定する処理も存在しない(S341)。
また、本実施形態では、扉24a,24cを開けてから所定時間が経過した後に扉24a,24cを閉めるようにしているので、扉閉タイマーは不要であり、扉閉タイマーに0を設定する処理は存在しない(S341,S351,S357)。さらに、上記の扉24a,24cの開放時間は通常通行タイマーおよび延長通行タイマーによって決められるので、本実施形態では、通常通行タイマーに設定する設定値(例えば、50)(S351)よりも大きな設定値(例えば、100)を延長通行タイマーに設定する(S357)。
次に、図12を参照して本実施形態のタイマー処理を説明する。まず、通常通行タイマーおよび延長通行タイマーの値が共に0であるか否かを調べる(S371)。共に0である場合は(S371:YES)、出口側の扉24a,24cが開いていれば閉める(S372)。いずれかが0ではない場合は(S371:NO)、出口側の扉24a,24cが閉まっていれば開ける(S373)。次に、通常通行タイマーの値が0でなければ通常通行タイマーから1を減算する(S374〜S375)。さらに、延長通行タイマーの値が0でなければ延長通行タイマーから1を減算し(S376〜S377)、呼び出し元に戻る。
上記のようにして、有効カード1がカードリーダ21aで読み取られ、通常通行タイマーまたは延長通行タイマーに設定値を設定すると(S351,S357)、扉24a,24cが開き、所定時間が経過して通常通行タイマーおよび延長通行タイマーの値が共に0になると、扉24a,24cが閉まる。
以上述べた第1〜第3の実施形態においては、カード1をカードリーダ21aの通信可能領域に継続して所定時間以上かざした場合および通信可能領域に複数回かざした場合に、普通の方法でカード1をかざした場合に行われる扉24a,24cの開閉制御とは異なる態様で扉24a,24cを開閉制御するようにしたが、いずれか一方の場合にのみ異なる態様で開閉制御をするようにしてもよい。
また、上記第2の実施形態では、各通行管理装置を入場専用または退場専用としていたが、1つの通行管理装置で入場および退場を管理するようにしても本発明を実施することができる。この場合、非管理区域52側の通行検出センサ26が入場しようとする通行不能者の通行を検出すると管理区域51側の扉23a,23cを閉め、管理区域51側の通行検出センサ25が退場しようとする通行不能者の通行を検出すると非管理区域52側の扉24a,24cを閉めるようにする。