JP4438509B2 - 厚鋼板の制御冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は厚鋼板の冷却装置、特に平均して大きな速度で冷却しながら厚鋼板の板厚方向の材質均一性に優れた厚鋼板の製造を可能にし、また低降伏比厚鋼板の製造を安定して可能にする厚鋼板の冷却装置および制御冷却方法に関する。
厚鋼板の製造に当たっては、鋼板に要求される機械的性質、特に強度と靭性を確保するため、圧延後、制御冷却が行なわれる。この制御冷却するに当たっては、高強度、高靭性の観点から冷却速度を大きくとることが多い。しかしながら、このような冷却速度を大きくとった制御冷却材では、厚鋼板の表面層の冷却速度が板厚方向中心部の冷却速度より大きいために、その強度や硬度は厚鋼板の板厚中心部より高くなる傾向があり、材質の均一性を確保するという要求に対して問題を残している。
これとは別に、近年耐震性確保のために、建築用の鋼材には「降伏点/引張り強さ」で定義される降伏比を低くすることが要求されている。これは、鉄と鋼、第74巻(1988)第6号p951〜961の「建築用鋼材の降伏比について」で述べられているように、変形の早期段階で鋼材に塑性変形を起こさせ、地震による歪エネルギーを散逸させることにより建物を崩壊から守るための技術であり、近年JIS G 3136(SN規格)として規格化されている。このような低降伏比化のニーズは、船舶やラインパイプ鋼管等においても耐衝撃吸収能を目的として著しく高い。
このような材質特性を有する低降伏比鋼板は、制御圧延によって製造されるほか、例えば日本鉄鋼協会第159・160回西山記念講座「新しい時代を創造する高機能厚板」等の文献にもあるように、圧延後、厚鋼板の組織の一部をフェライト変態させ、残りのオーステナイトを急冷却によりベイナイトなどに変態させ二相組織とする手法によっても製造することができる。しかしながら、加速冷却を実施した場合には鋼板内で冷却の不均一が発生しやすく、材質のバラツキや歪が発生するなどの問題があり、そのため効率的に大量生産することが困難であるという問題がある。
これらの問題は、一般に厚鋼板は厚みが大であるため、冷却速度を速くするほど、鋼板表面の冷却速度が中央部に比べて大きくなり、かつ表面部のみ低温度域まで冷却されるため、表面の組織が微細化しあるいは、低温度域で変態し強度レベルの高いベイナイト組織となることに原因がある。このような厚鋼板の高速冷却に伴う種々の問題を解決するため、以下のような提案がなされている。
まず、表面硬度や表面強度が中心のそれよりも高くなるのを防止する手段として、特許文献1には、熱間圧延において900℃以下の温度で40〜70%の累積圧下を加え、かつ圧延仕上温度をAr3変態点以上Ar3+50℃以下とし、圧延後鋼板表面温度がAr3−1.625t(tは板厚、mm)以上Ar3未満から水冷を開始し500℃以下の温度まで2〜50℃/secの冷却速度で急冷する高張力鋼板の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、熱間で圧延され、板内に温度偏差を有した高温の厚鋼板を水冷する際において、低温部の表面温度が630〜530℃になるまで5℃/s以上15℃/s以下の冷却速度で冷却した後、続いて、25℃/s以上の冷却速度で冷却する方法が開示されている。さらに、特許文献3には、重量%で、C:0.05〜0.20%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.8〜2.0%、Al:0.01〜0.10%、Nb:0.005〜0.050%、Ti:0.005〜0.050%を含有し、且つ、Ceq=C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14(%)で示すCeqが0.40%以下を満足し、残部Fe及び不可避的不純物からなる鋼片を1100℃以上の温度に加熱後、850℃を超え900℃までの温度範囲で圧延を終了したのち、冷却開始温度を(圧延終了温度−50℃)以上として、3〜12℃/secの冷却速度により500℃未満で400℃以上の温度範囲まで冷却することにより板厚方向の硬度差が小さい板厚50mm以上の50キロ級低降伏比厚肉高張力鋼板を製造する方法が開示されている。
一方、低降伏比鋼板を製造する手段としては、先に述べた特許文献3のほか、特許文献4に、重量%でC≦0.18%、Si:≦0.55%、Mn:≦1.5%、P:≦0.040%、S≦0.040%を含み必要に応じて合金元素を添加し、C+Si/24+Mn/6+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14で示す炭素当量を0.44重量%以下とし残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼片を、900℃以上1250℃以下に加熱後、Ar3点以上で圧下率≧50%の圧延を終了し、続いてAr3点以上の温度から冷却速度5℃/s以上でAr3−20℃以下、Ar3−100℃以上に予備冷却を行なった後に鋼板表面温度をAr3−20℃以下、Ar3−100℃以上に復熱し、再び15℃/sを超える冷却速度で600℃以下、400℃迄冷却する靭性に優れた低降伏比鋼板を製造する方法が開示されている。
特公昭62-4449号公報 特開2001-164323号公報 特公平7-116504号公報 特公平7-74379号公報
これら特許文献1〜3に記載の手段は、いずれも一定の範囲で厚鋼板の板厚方向の材質均一性を改善する効果がある。しかし、特許文献1に記載の手段は、900℃以下の比較的低温での累積圧下率を高くし、かつ圧延仕上温度をAr3変態点近傍まで低下させるため、圧延能率を低下させるという問題がある。また、特許文献2に記載の手段は、緩冷却後の板内の最低表面温度を530℃〜630℃まで冷却し、冷却途中で緩冷却から急冷却に切り替えるが、緩冷却後の鋼板表面温度を把握するのが困難であるため、効果の再現性に問題がある。さらに、特許文献3記載の手段は、500℃未満で400℃以上までの冷却速度が3〜12℃/secと小さいため、処理能力が低下するという問題があり、また、合金元素の配合によっては、十分な材質特性が得られないという問題もある。
一方、特許文献3、4に開示の手段はそれにより低降伏比鋼板の製造が原理的には可能であるが、特許文献3の手段は、先に述べたように、500℃未満で400℃以上までの冷却速度が3〜12℃/secと小さいため、処理能力が低下するという問題があり、一方、特許文献4の手段は、緩冷却帯で冷却後に復熱させる必要があるため、そのための待機時間が必要になるため圧延所要時間が長くなり、大量生産が困難である。
この発明は、上記従来技術に係る問題を解決することを課題とし、圧延能率の低下を招くことなく、厚鋼板の表面−中心間の硬度差の発生を小さく抑え、また低降伏比厚鋼板の効率的大量生産可能にする厚鋼板の制御冷却装置を提供することを目的とする。
本発明に係る厚鋼板の制御冷却装置は、圧延機出側に鋼組織を部分的にフェライト変態させる緩冷却帯をもち、その後面側に残りのオーステナイトをパーライト、ベイナイト、マルテンサイトに変態させる急冷却帯を有する。すなわち、本発明に係る厚鋼板の制御冷却装置は、厚板圧延機の出側にそれぞれ独立して制御可能な緩冷却帯および急冷却帯を順に設けるとともに、前記緩冷却帯と急冷却帯の間に空冷帯を設け、該空冷帯に緩冷却帯通過鋼板の表面温度測定用の温度計を備えてなるものである。
上記厚鋼板の制御冷却装置において、緩冷却帯は、板厚が25mmの鋼板に対して5〜15℃/sの冷却速度を与える冷却能力を有するものとするのが好適であり、又は板厚との関係で、板厚がt(mm)の鋼板に対して238/t1.2℃/s以上713/t1.2℃/s以下の冷却速度を与える冷却能力を有するものとするのが好適である。また、水量密度との関係では、100〜500l/min・m2の水量密度で通水可能である設備とするのが好適である。
上記厚鋼板の制御冷却装置において、急冷却帯は、板厚が25mmの鋼板に対して30℃/s以上の冷却速度を与える冷却能力を有するものとするのが好適であり、又は板厚との関係で、板厚がt(mm)の鋼板に対して1425/t1.2℃/s以上の冷却速度を与える冷却能力を有するものとするのが好適である。また、水量密度との関係では、1500l/min・m2以上の水量密度で通水可能な設備とするのが好適である。
上記厚鋼板の制御冷却装置は、緩冷却帯通過鋼板の表面温度測定用温度計による鋼板表面温度の測定結果に基づき急冷却帯の冷却条件を設定し、それに基づき急冷却帯を制御する演算・制御装置を、さらには緩冷却帯の前面側に設けられ厚鋼板圧延機出側の鋼板表面温度を測定する温度計及び該温度計による鋼板表面温度の測定結果に基づき緩冷却帯の冷却条件を設定し、それに基づき緩冷却帯を制御する演算・制御装置を具備するのが好適である。この演算・制御装置は、緩冷却帯の冷却停止温度を600℃以上の温度で制御するものとすることが好ましい。
本発明に係る装置によって、表面−中心間の硬度差が小さく、材質が均一である厚鋼板を圧延能率の低下を招くことなく製造することが可能になる。また、低降伏比厚鋼板の製造に当たっては、全体として冷却速度を大きく取りながら材質の再現性を高く維持することができ、その効率的大量生産が可能になる。また、本発明により、冷却後の温度分布も均一となり、歪のない鋼板の製造も可能となる。さらに、本発明は緩徐冷後、厚鋼板の表面温度を実測して急冷却帯での操業条件を制御できるものであり、かつその後速やかに急冷できるものであるから、その生産性はきわめて高く、また緩冷却帯における実測温度に基づいて急冷却帯の操業条件を制御できるので、急冷却帯における第2相組織の生成量を再現性よく制御できるものである。
図1は本発明に係る厚鋼板の制御冷却装置の基礎となる形態を示す説明図であり、図2は本発明に係る制御冷却装置の典型的な形態を示す説明図である。ここに示すように本発明では、厚鋼板圧延機2の出側に緩冷却帯10および急冷却帯20が順に設けられ、さらに、該緩冷却帯10と急冷却帯20の間に空冷帯51を設けられ、該空冷帯51に緩冷却帯通過鋼板の表面温度測定用の温度計32が設置されている。緩冷却帯10は、厚鋼板圧延機2により最終板厚まで圧延された厚鋼板1を緩冷却し、厚鋼板の一部をフェライト変態させる帯域である。これに対し、急冷却帯20は、上記緩冷却帯10で表層部がフェライト変態した厚鋼板1を受け入れ急冷し、残りのオーステナイト組織をパーライト、ベイナイト、マルテンサイトなどに変態制御する帯域である。このように厚鋼板の冷却帯を機能により分かつことにより、安定した組織制御を高能率で行ない、板厚方向で均一な材質を有する厚鋼板や降伏比の低い厚鋼板の効率的製造が可能になる。以下、これらの構成について具体的に説明する。
緩冷却帯10は、図2に示されているように、厚鋼板1のパスラインを挟んで上下に水冷用のヘッダー11が配置され、それに取り付けられた短いパイプ状のノズル13から水流12がラミナーフローとなって流れ出すようになっているものである。この緩冷却帯は、厚鋼板圧延機に対して比較的近接して圧延を完了した厚鋼板を直ちに冷却できるような位置に設置する。
この緩冷却帯10は、厚鋼板の表面層を部分的にフェライト変態させる帯域であるので、その冷却能力は板厚25mmの厚鋼板の場合、5〜15℃/sを得ることができるものとするのがよい。5℃/s未満では冷却時間が長くなるため、その間は厚鋼板圧延機で圧延をすることができず、圧延能率が低下し、一方、15℃/sを超えると表層部に硬質相であるベイナイトやマルテンサイトが生成してしまうおそれがあるからである。
ここに冷却速度とは、図3に示す各温度や水冷時間の定義に基づき、次の冷却速度1又は2のいずれかにより定義されるものである。
冷却速度1:(冷却開始時の断面平均温度−冷却終了時の断面平均温度)/水冷時間
冷却速度2:(冷却直前の表面温度−冷却終了して表面が復熱した時の表面温度)/水冷時間
これらの冷却速度は、板厚、冷却水量、冷却時間等の冷却条件が一致する場合には、ほぼ同じ値となる。これは、冷却速度2では表面温度を基準に計算されるが、鋼板表面と中央部(板厚1/2厚さの部分、「1/2t」ともいう)の間に温度差が生じていないときには、鋼板表面温度と断面平均温度とが近似的に等しくなるためである。ちなみに、冷却直前の段階では鋼板表面と中央部で温度差が生じていない。また、冷却後の復熱した段階でも鋼板表面と中央部の温度差は消滅している。
このように冷却速度に二種類の定義を与えたのは、例えば冷却速度1は、数値計算の際、冷却中の温度履歴を計算して冷却時間等を決定する上で使いやすく、冷却速度2は実操業で冷却装置の前後に温度計を設置して品質管理をする場合に使いやすいという利点があり、これらの場合ごとに使い分けるのが実際上便利だからである。
上記の冷却速度は、緩冷却帯10の水冷能力を、板厚t(mm)の関数として238/t1.2℃/s以上、713/t1.2℃/s以下の冷却速度を与えるものとすることによって得ることができる。この基準は必要な冷却速度を板厚の関数として与え、これを用いて板厚に応じた水冷能力を決定するためのものである。
このように、冷却速度、ひいては冷却能力を板厚の関数として定めるのは、鋼板を冷却するため冷却水をかけると鋼板の表面から熱が移動するが、板厚が厚くなるほど鋼板の表面と中心部の温度差が大きくなり、そのため、板厚の異なる鋼板に同一の冷却速度を適用した場合には、板厚の厚いものほど表面と中心の温度差が大きくなり、板厚方向の材質差が発生しやすくなるためである。上記関数は、この板厚による温度差の影響を考慮したものであり、板厚が大きいものほど冷却速度を小さくして、厚鋼板の表面と中心との材質差を小さくするものである。
図4は、板厚25mmの厚鋼板と板厚40mmの厚鋼板について冷却速度の上限値である713/t1.2℃/sから求められる冷却速度を適用して冷却した場合の鋼板表面と中央部の温度履歴を示すグラフである。図4から分かるように、板厚25mmの場合には冷却速度(上記計算式にしたがうもの)は15℃/sであり、板厚40mmの場合には冷却速度(上記計算式にしたがうもの)は8.5℃/sとなるが、両者の鋼板表面における温度勾配はほぼ同じ値となっている。
鋼板組成にもよるが、経験上、鋼板表面においてベイナイトやマルテンサイト等の硬質相の生成を抑制し、所定量のフェライトを生成させるためには、板厚25mmの場合の冷却速度(上記計算式にしたがうもの)を15℃/s以下とすればよい。したがって、冷却速度を板厚に応じて最大で713/t1.2℃/sとできるように水冷能力を定めておけば、設備上の無駄もなくなり、かつ板厚40mmの場合にも所定量のフェライトを生成させることができることになる。
一方、板厚25mmにおいて冷却速度5℃/sと同等の鋼板表面の温度勾配を与える条件は、前記と同様にして238/t1.2℃と定められる。したがって、この値以上の冷却速度を達成できるように水冷能力を定めておけば、圧延能率の低下等の支障を生ずることがない制御冷却装置とすることができる。
さらに具体的には、かかる水冷能力は、冷却水量を50〜2000t/hの範囲で調整できるものとし、かつノズルをパイプラミナータイプとすることによって達成できる。なお、ノズル形式は、上記冷却能力を達成できる物であれば、スプレータイプ、ラミナータイプ、ジェットタイプ、ミストタイプ等から選ぶこともできる。また、この際、水量密度を100l/min・m2〜500l/min・m2とすれば、安定して緩冷却が得られ、先に述べたフェライト変態を確実に行なうことができるようになる。
なお、この緩冷却帯10において厚鋼板表層部あるいはさらに厚鋼板全厚に亘ってフェライト変態を進行させるためには、緩冷却帯10の冷却停止温度を600℃以上の範囲で鋼板組成に応じて設定できるようにするのがよい。緩冷却帯での冷却停止温度が600℃以上であれば、安定したフェライト変態が可能となり板厚方向に均一な材質を持つ厚鋼板や降伏比の低い厚鋼板の製造が可能となるが、600℃より低いときには鋼板表層部に硬質相であるベイナイトやマルテンサイトが生成して表面が硬化してしまうおそれがあるためである。したがって、緩冷却帯10には設定により冷却停止温度が600℃以上に制御する機能を付加するのがよい。
ここに、冷却停止温度とは、図3における冷却終了時の断面平均温度、若しくは冷却終了して表面が複熱したときの表面温度を指す。冷却停止温度について2つの定義を示したが、先に説明した冷却速度の場合と同じく、いずれも同じ温度を示し、これらの使い分けは冷却速度の使い分けと同様にすればよい。
上記機能をもつ緩冷却帯により、冷却過程において所定量のフェライト相を厚鋼板表層に生成せしめることができるが、この緩冷却帯の設置により併せて厚鋼板をその面内で均一に冷却できるという効果がもたらされる。
以下、このことについて簡単に説明しておく。図5は高温の鋼板を冷却する際の鋼板表面温度と熱流束(単位面積、単位時間当りの抜熱量)の関係を示す概念図である。ここに示すように、鋼板表面温度が高い状態では鋼板表面に存在する水は膜沸騰し、低温領域では核沸騰する。高温領域と低温領域の間の中間温度領域では遷移沸騰となる。
膜沸騰では鋼板表面と冷却水の間に蒸気膜が発生し、この蒸気膜内の熱伝導により伝熱がなされる状態となり、冷却能力は低い。これに対し、核沸騰では、鋼板表面と冷却水とが直接接触し、かつ鋼板表面から冷却水の一部が蒸発して発生した蒸気泡がそれを取り囲む冷却水により冷却され凝縮・消滅するという複雑な現象(蒸気泡の生成・消滅)に伴う冷却水の撹拌が発生するために極めて冷却能力が高い。しかしながら、これらの領域では、図示のように温度が低くなるほど熱流束が低くなるという特性があるため、鋼板面内に温度の低い部位があったとしても、熱流束の差により鋼板面内の温度差が解消され、いわゆる不均一冷却とならず、歪なども発生せず形状が安定する。
これら膜沸騰領域と核沸騰領域の中間温度領域では膜沸騰と核沸騰が混在した状態である遷移沸騰状態となる。この遷移沸騰状態では、核沸騰あるいは膜沸騰と異なり、図示のとおり鋼板温度が低くなるにつれ熱流束が大きくなっている。そのため、冷却前に鋼板面内に温度の不均一があると、冷却過程で温度の低い部位がより冷却され面内温度差が拡大する。
一般に、投入水量が多くなるほど遷移沸騰が開始する温度が高くなる傾向にあるが、本発明の緩冷却帯の操業条件である冷却速度5〜15℃/s、あるいは水量密度100〜500l/min・m2の下では、緩冷却帯の冷却停止温度が600℃以上のとき、水冷メカニズムを厚鋼板の板厚範囲である9〜100mmにおいて安定したほぼ完全に膜沸騰とすることができ、鋼板面内の均一冷却が可能となるほか、安定したフェライト変態が可能となり材質も安定するという利益が得られることになる。
以上の特性を有する緩冷却帯10に続いて急冷却帯20が設けられる。この急冷却帯20は、緩冷却帯10で表層部がフェライト変態した厚鋼板1を受け入れ急冷する帯域である。急冷却帯20は、図2に示されているように、厚鋼板1のパスラインを挟んで上下に水冷用のヘッダー21が配置され、それに取り付けられたスリットノズル22から高圧のジェット噴流が厚鋼板に噴射されるようになっている。
この急冷却帯20は、厚鋼板の大部分を急速冷却して緩冷却帯では変態しなかった残りのオーステナイト相をパーライト、ベイナイト、マルテンサイトなどに変態制御する帯域であるので、その水冷能力は、厚鋼板表面の冷却速度が板厚25mmの厚鋼板を基準として30℃/s以上とするのがよい。水冷能力が25mmにおいて30℃/s未満では板厚中心での冷却が遅くなり制御冷却による高強度化などメリットが得られ難くなる。
このような冷却速度は、緩冷却帯10の水冷能力を、板厚t(mm)の関数として1425/t1.2℃/s以上とすることによって得ることができる。この基準は必要な冷却速度を板厚の関数として与え、これを用いて板厚に応じた水冷能力を決定するためのものである。
このように、冷却速度を板厚の関数として定めるのは、鋼板を冷却するため冷却水をかけると鋼板の表面から熱が移動するが、板厚が厚くなるほど鋼板表面と中心部との距離が大となり、鋼板内部からの熱伝導による熱移動量がフーリエの法則によって距離が離れるほど小さくなるため、板厚が厚くなると冷却水を増加して表面からの冷却能力を高くしても、鋼板内部の熱伝導に律速されて中心の冷却速度は上がらないことを考慮したためである。上記関数は、高冷却速度による材質メリットを享受するために限界に近い冷却速度を算出したものである。
このような冷却速度を実現するためには、具体的には、冷却水量を2000〜5000t/hの範囲で調整できるものとするのが好ましい。さらに、均一冷却の観点から急冷却帯では水量密度1500l/min・m2以上とするのが好ましい。これは、先に図5を用いて説明したように、遷移沸騰領域で冷却を実施すると、冷却前の温度偏差が拡大するが、この水量以上で冷却しておけば完全に核沸騰状態となり、急速冷却前に存在した鋼板面内の温度差を縮小させることができるためである。
発明者の検討したところによれば、スリットジェットノズルを用いて1500l/min・m2の水量密度で冷却すると、板厚範囲9〜100mmに亘って板厚をt(mm)としたとき1425/t1.2℃/s以上の冷却速度が得られる。なお、急冷却帯に用いるノズルは上記スリットジェットノズルのように鋼板に冷却水が衝突した時の打力が高く、冷却中に発生する危険性がある膜沸騰を打ち破るだけの運動量を持つものが好ましいが、上記条件を満たせばスプレータイプ、ラミナータイプ、ジェットタイプ、ミストタイプ等でも利用できる。また、この急冷却帯の冷却停止温度は、厚鋼板をその中心部に至るまで微細組織に変態完了させるに足るものとしなければならず、したがって急冷却帯には鋼板組成に応じて冷却停止温度を設定する機能を付加するのがよい。
上記機能をもつ急冷却帯の設置により、緩冷却帯では変態しなかったオーステナイト相をパーライト、ベイナイト、マルテンサイトなどに変態させることができるほか、急冷却帯による冷却停止温度を任意の温度にしても均一冷却が可能となり、歪の少ない厚鋼板の製造が可能になる。
上記緩冷却帯10及び急冷却帯20を備えた厚鋼板の制御冷却装置は、図2に示すように、緩冷却帯10と急冷却帯20の間に空冷帯51を備え、該空冷帯に緩冷却帯通過鋼板の表面温度測定用の温度計32を備える。さらに、上記厚鋼板の制御冷却装置は、鋼板1の表面温度を測定する温度計31、32、33及びこれら温度計からの鋼板表面温度情報に基づき上記冷却帯10、20の冷却条件を設定する演算部41と該演算部41の信号に基づき冷却帯10、20を制御する制御部42を具備する冷却・制御装置40とを備えるのが望ましい。



すなわち、本発明の目的である厚鋼板の板厚方向の材質均一性を一層確実にするためには、緩冷却帯10の出側に温度計32を設置して緩冷却帯通過鋼板の表面温度を測定できるようにし、さらにその結果に基づき急冷却帯20の冷却停止温度が所定の値になるように、通板速度や冷却水量などの冷却条件を前記演算・制御装置40(急冷却帯操業条件制御部を内蔵する)により決定し、その結果に基づき操業制御ができるようにするのがよい。これによって、厚鋼板1が急冷却帯に入る前に、表層部の温度分布を確認でき、それに応じて急冷却帯の冷却条件を変更できるので、特許文献2に記載の発明における緩冷却後の鋼板表面温度を把握するのが困難であるという問題が解決され、生産性を高く保ちながら急冷却帯において厚鋼板中におけるベイナイトなどの第2相組織の生成量を再現性良く制御することが可能になる。
また、緩冷却帯10の前面側(あるいは圧延機2の出側)にも温度計31を設置し、圧延直後の厚鋼板1の表面温度を測定できるようにし、その結果に基づき緩冷却帯10の冷却停止温度が所定の値となるように、通板速度や冷却水量などの冷却条件を前記演算・制御装置40(緩冷却帯操業条件演算部を内蔵する)により決定し、その操業制御ができるようにすればよい。これにより、緩冷却帯において厚鋼板中のフェライト変態をより確実に行なわせることができる。
さらに、急冷却帯20の出側にも温度計33を設置することもできる。この測定結果は、前記緩冷却帯後面の温度計32の測定結果とともに、本発明装置の操業条件の解析やフイードバックに利用することができる。
緩冷却帯10及び/又は急冷却帯20の操業条件をこのような測温結果に応じて決定し、各冷却帯(10,20)の操業を制御するための演算・制御装置40は公知のものを利用すればよく、演算部41としては数値演算機能を有する既存のプロセスコンピュータを利用すればよい。また、制御部42としてはデータの入力・出力や機器の制御等を可能とする機能を有している既存の制御装置を利用すればよく、たとえば近年よく使用されているDSC(Distributed Control System)方式のデシタル制御装置等を好適に利用できる。
さらに、緩冷却帯で冷却した後の鋼板表面温度の測定結果と公知のプロセスコンピュータによる温度演算機能と組み合わせることにより、鋼板内部の温度や変態の進行を正確に予測することが可能になるため、特許文献4の発明のように緩冷却帯で冷却した後に復熱させなくても、材質を安定させることが可能となる。本発明によれば、急冷却帯による冷却前に復熱させる必要もなく、特許文献4による場合よりも生産性を高くすることができる。また、緩冷却帯で冷却した後に複熱させずに急冷却帯で冷却する場合には、先に述べた冷却速度や冷却停止条件は、数値計算により求められた冷却終了時の断面平均温度から定義するのがよい。
このような制御を実施するに当たっては、特に緩冷却帯と急冷却帯の間に設置する温度計32が重要になる。一般には鋼板表面の放射エネルギーを検知するいわゆる放射温度計が多用されているが、このタイプの温度計は冷却水や水蒸気など放射エネルギーを吸収する物体が温度計と鋼板の間に存在すると正確な測定が不可能になるという欠点を有する。本発明では、緩冷却帯10と急冷却帯20の間に空冷帯51を設け、この空冷帯51内に緩冷却帯後面の温度計32を設けるようにしている。この空冷帯51の長さは温度計32の取り付けるに足るだけの長さが必要であり、また測温を正確に行なうためには前後の帯域から水蒸気や冷却水などが侵入しないようにすることが望ましく、そのためたとえば水切り装置やターボファンなど取り付けておくのがよい。なお、一般的に用いられている放射温度計は、鋼板が発する光エネルギーを集光するためレンズが用いられ、その集光スポット大きさが約200mm程度であることを考慮すると、空冷帯51は最低でも200mm以上の長さが必要である。さらに、実際のプロセスでは、緩冷却帯や急冷却帯から空冷帯に蒸気が漏出・侵入するために有効測定部が制限される可能性があり、さらに空冷帯には水切りロール等の水切り装置や上記漏出蒸気のパージ設備やターボファン等を設置する必要があることを考慮すると、上記空冷帯の長さは2m程度以上とすることが好ましい。
これらの手段により、緩冷却帯での冷却後、表面温度を正確に測定し、さらに復熱による影響を考慮して急冷却帯の操業条件を定め、緩冷却帯での冷却後、直ちに急冷却帯での冷却に移行できるので、本発明によるときはその生産性が優れているとともに、材質の安定性においてきわめて優れている。具体的に、上記の厚鋼板の制御冷却装置を用いて制御冷却を行なうに当たっては、図6に示すパターン1〜パターン4の工程を採ることができる。
パターン1の工程では、仕上圧延を完了した鋼板は緩冷却帯および急冷却帯を通過しながら冷却される。このパターンを実施するためには、緩冷却帯10と急冷却帯20間に設ける空冷帯51の長さを処理される鋼板の最長長さあるいはそれを超えるものとしておくのがよい。これにより、緩冷却帯10から出た鋼板を一旦空冷帯51に導き、空冷帯51内で通板速度を変更して急冷却帯20に導入することができ、緩冷却帯10と急冷却帯20の通過速度を異ならしめてそれぞれの冷却帯で所定の冷却速度、冷却停止温度を与える高精度の制御冷却が可能になる。しかしながら、この空冷帯51の長さが大きすぎると、緩冷却帯10から急冷却帯20への搬送時間が長くかかり、能率の観点からは問題があるのでその長さは処理される鋼板の最長長さあるいはそれをわずかに超える程度とするのが望ましい。なお、設備レイアウトの関係上、空冷帯51の長さを上記長さとできず、鋼板最長長さよりも短くならざるを得ない場合は、先に述べたように少なくとも温度計32を取り付けるだけの長さに空冷帯を確保し、後述するオシレーション冷却の採用や緩冷却帯と急冷却帯との冷却水量の関係の調整などによってこれら帯域の通板速度が一致するように操業を行なうのが望ましい。
パターン2〜4は、何れも緩冷却帯10及び/又は急冷却帯20でオシレーション冷却を実施するケースである。このような通板パターンの採用により、空冷帯51の長さが、例えば処理鋼板の長さよりも短い場合にも本発明装置を有効に利用できるようになる。
例えばパターン2は、緩冷却帯10に鋼板を進入させた後、所定時間だけ緩冷却帯10によりオシレーション冷却した後、緩冷却帯10の出側で温度計32により鋼板表面温度を計測し、その温度実績により急冷却帯20で必要な通板速度に加速して、急冷却帯20において通過冷却するものである。パターン3は急冷却帯20でオシレーション冷却するものであり、これにより鋼板厚みが極めて大きく急冷却帯20における冷却時間が長くかかる場合にも、圧延速度や緩冷却帯10の速度、さらにはテーブル搬送速度の制御範囲に関係なく、必要な冷却速度を確保することが可能となる。パターン4は緩冷却帯10及び急冷却帯20でオシレーション冷却を実施するケースである。このパターンでは上記パターン2及び3によって得られる利点を同時に得ることができる。
なお、設備的には、板厚や緩冷却帯の冷却速度、冷却停止温度、急冷却帯の冷却速度、冷却停止温度に応じて、最も高能率となるパターンが選択できるようにしておけばよい。例えば、製造される鋼種や設備や品種にあわせて全てのパターンができるようにしてもよく、一部のパターンのみ採用可能としておいてもよい。
図2に示す基本構成を有する厚鋼板の制御冷却装置を用いて緩冷却帯でフェライト生成量をコントロールした後、急冷却帯で急速冷却して表面−中心間の硬度差の発生を小さく抑えた厚鋼板を製造した。設備の基本仕様、被処理材の特性、処理パターンは表1に示すとおりである。
Figure 0004438509
本発明にしたがい制御冷却を行なった場合(発明例1〜3)の操業結果を比較例による場合と対比して表2に示す。ここに、比較例1は、急冷却帯のみを備えた冷却装置を用いる場合であり、比較例2は、特許文献1のように、Ar3温度以上、Ar3温度+50℃以下で圧延を終了し、冷却開始をAr3温度以下、Ar3温度−1.625t℃以上として冷却するとあるのにしたがい、圧延仕上温度780℃、冷却開始温度740℃として急冷却帯により冷却を実施したものである。比較例3は特許文献3のように緩冷却帯のみを用いる場合である。
Figure 0004438509
ここに示すように、本発明によった場合には製品の板厚方向の引張強さTS、硬さHvの材質差(△TS、△Hv)が小さい。これに対し、比較例1の場合は、圧延開始から冷却終了までの所要時間は短いが、製品の板厚方向の材質差が大きい。一方、比較例2,3の場合は、製品の板厚方向の材質差は小さいが、圧延開始から冷却終了までの所要時間が長い。これは、比較例2の場合は、発明例よりも低温まで圧延することと、仕上圧延後に冷却開始温度になるまで待機したためである。また、比較例3の場合は、緩冷却帯における冷却時間が長くなった結果、所要時間が長くなった。
なお、△TSは板厚1/2位置と板厚1/4位置における引張強度差であり、△Hvは板厚1/2位置と表層位置(表面から0.5mm下)での断面硬度の差である。また、冷却速度及び冷却停止温度は、温度計31、32、33で計測された温度を基にプロセスコンピュータにより演算して求めた冷却終了時の断面平均温度より定義される値を用いている。
実施例1に用いたのと同一の制御冷却装置を用いて、低降伏比鋼板を製造した。被処理材の特性、処理パターンは表3に示すとおりである。
Figure 0004438509
本発明にしたがい制御冷却を行なう場合(発明例4〜5)の操業結果を比較例による場合と対比して表4に示す。ここに、比較例4は、厚鋼板を待機させAr3変態点である740℃まで放冷したのち、急冷却帯で450℃近傍まで冷却を実施した場合である。比較例5は、特許文献3に従い、緩冷却帯のみで450℃近傍まで冷却を実施した場合である。比較例6は、特許文献4に従い、緩冷却帯で冷却後Ar3−20℃以下、Ar3−100℃以上(本実施例の場合は640℃〜720℃)の範囲まで復熱させた後、急冷却帯で450℃近傍まで冷却を実施した場合である。比較例7は、圧延終了後そのまま急冷却帯で450℃近傍まで冷却を実施した場合である。
ここに示すように、本発明によった場合には所定の降伏比YRが70%に近い値が得られ、かつ圧延開始から終了までの所要時間も短くなっている。これに対し、比較例4の場合は、第1冷却帯冷却前の待機時間が290sかかったため、圧延開始から冷却終了までの所要時間が長い。比較例5では、緩冷却帯のみで冷却をしたため、冷却時間が長くかかってしまい、圧延開始から終了までの所要時間が長くなった。また、全体的に冷却速度が遅いため、強度が低くなっている。比較例6では、緩冷却帯で冷却後に復熱させたため、待機時間が58sかかり、圧延開始から終了までの所要時間が長くなった。比較例7では、圧延所要時間は短いものの、冷却条件が適正でなかったため降伏比YRが高くなった。なお、冷却速度及び冷却停止温度は、温度計31、32、33で計測された温度を基にプロセスコンピュータにより演算して求めた冷却終了時の断面平均温度より定義される値を用いている。
Figure 0004438509
実施例1に用いたのと同一の制御冷却装置を用いて、緩冷却帯出側温度を測定して、その値をもとに急冷却帯の冷却条件を変更して厚鋼板の制御冷却を行なった。被処理材の特性 、処理条件は表5に示すとおりである。
Figure 0004438509
表6は、上記操業において緩冷却帯出側温度を測定して、その値をもとに急冷却帯の冷却条件を変更する厚鋼板の制御冷却を行なう場合の操業パラメータ実績を従来の操業パラメータ目標と対比して示したものである。発明例6では、緩冷却帯の実績冷却停止温度が目標に較べて約40℃高くなっている。そのため、初期計算により求められていた急冷却帯の通板速度で冷却した場合、冷却停止温度が高くなってしまい所定の強度が得られなくなる危険性があるため、その実績を基に急冷却帯の通板速度を変更して冷却を行ない、急冷却帯の冷却停止温度を目標の冷却停止温度にすることができた。それにより中心まで微細な組織を有する制御冷却組織とすることができた。なお、比較例として示していないが、特許文献2のように緩冷却帯で冷却後に温度測定せず急冷却帯で冷却した場合、このような効果が得られないことはいうまでもない。なお、TSは板厚1/2位置での値である。また、冷却速度及び冷却停止温度は、温度計31、32、33で計測された温度を基にプロセスコンピュータにより演算して求めた冷却終了時の断面平均温度より定義される値を用いている。
Figure 0004438509
実施例1に用いたのと同一の制御冷却装置を用いて、緩冷却帯入側温度を測定して、その値をもとに緩冷却帯の冷却条件を変更して厚鋼板の制御冷却を行なった。被処理材の特性、処理条件は表7に示すとおりである。
Figure 0004438509
操業結果は表8に示す発明例7のとおりである。この例では、実績冷却開始温度が目標に較べて約40℃高くなっており、そのため、初期計算により求められていた緩冷却帯の通板速度で冷却した場合、緩冷却帯の冷却停止温度が高くなってしまい、緩冷却帯で所定のフェライト変態ができなくなる危険性があった。そこで、その実績を基に緩冷却帯の通板速度を変更した冷却を行ない、緩冷却帯の冷却停止温度を目標の冷却停止温度にすることができた。それにより板厚方向に所定の強度偏差とすることができた。なお、△TSは板厚1/2位置と板厚1/4位置における引張強度差である。また、冷却速度及び冷却停止温度は、温度計31、32、33で計測された温度を基にプロセスコンピュータにより演算して求めた冷却終了時の断面平均温度より定義される値を用いている。
Figure 0004438509
本発明に係る厚鋼板の制御冷却装置の基本形態を示す説明図である。 本発明に係る厚鋼板の制御冷却装置の具体的実施形態を示す説明図である。 本発明で用いる冷却速度を算出する根拠となる温度および時間の定義を示す説明図である。 板厚25mmの厚鋼板と板厚40mmの厚鋼板について計算式によって必要な冷却速度を定め、それによって冷却した場合の鋼板表面と中央部の温度履歴を示すグラフである。 高温の鋼板を冷却する際の鋼板表面温度と熱流束(単位面積、単位時間当りの抜熱量)の関係を示す概念図である。 本発明に係る厚鋼板の制御冷却装置を用いて制御冷却を行なうための通板パターンの模式図である。
符号の説明
1:厚鋼板
2:厚鋼板圧延機
10:緩冷却帯
11:ヘッダー
12:(ラミナーフロー)水流
13:ノズル
20:急冷却帯
21:ヘッダー
22:スリットノズル
31,32,33:温度計
40:制御・演算部
41:演算部
42:制御部
51:空冷帯




Claims (10)

  1. 厚板圧延機の出側にそれぞれ独立して制御可能な緩冷却帯および急冷却帯を順に設けるとともに、前記緩冷却帯と急冷却帯の間に空冷帯を設け、該空冷帯に緩冷却帯通過鋼板の表面温度測定用の温度計を備えてなることを特徴とする厚鋼板の制御冷却装置。
  2. 緩冷却帯は、板厚が25mmの鋼板に対して5〜15℃/sの冷却速度を与える冷却能力を有するものであることを特徴とする請求項1記載の厚鋼板の制御冷却装置。
  3. 緩冷却帯は、板厚がt(mm)の鋼板に対して238/t1.2℃/s以上713/t1.2℃/s以下の冷却速度を与える冷却能力を有するものであることを特徴とする請求項1記載の厚鋼板の制御冷却装置。
  4. 緩冷却帯は、100〜500l/min・mの水量密度で通水可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の厚鋼板の制御冷却装置。
  5. 急冷却帯は、板厚が25mmの鋼板に対して30℃/s以上の冷却速度を与える冷却能力を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の厚鋼板の制御冷却装置。
  6. 急冷却帯は、板厚がt(mm)の鋼板に対して1425/t1.2℃/s以上の冷却速度を与える冷却能力を有するものであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の厚鋼板の制御冷却装置。
  7. 急冷却帯は、1500l/min・m以上の水量密度で通水可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の厚鋼板の制御冷却装置。
  8. 緩冷却帯通過鋼板の表面温度測定用の温度計による鋼板表面温度の測定結果に基づき急冷却帯の冷却条件を設定し、設定条件に基づき急冷却帯を制御する演算・制御装置を具備してなる請求項1〜7のいずれかに記載の厚鋼板の制御冷却装置。
  9. 緩冷却帯の前面側に設けられ厚板圧延機出側の鋼板表面温度を測定する温度計及び該温度計による鋼板表面温度の測定結果に基づき緩冷却帯の冷却条件を設定し、設定条件に基づき緩冷却帯を制御する演算・制御装置を具備してなる請求項1〜8のいずれかに記載の厚鋼板の制御冷却装置。
  10. 演算・制御装置は、緩冷却帯の冷却停止温度を600℃以上の温度で制御するものであることを特徴とする請求項9に記載の厚鋼板の制御冷却装置。
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