本発明の課題は、中間層を介した電流リークを抑制した薄膜太陽電池モジュール及びその製造方法が提供することにある。
本発明の更に他の課題は、レーザー光のパワーを抑制し、加工残さや熱変形が生じにくい薄膜太陽電池モジュール及びその製造方法を提供することにある。
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決する為の手段を説明する。これらの番号・符号は[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにする為に付加されている。但し、付加された番号・符号は[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュール1は、光透過性基板2と、その光透過性基板2の上に形成され互いに直列に接続された複数の太陽電池セル50と、を備え、その複数の太陽電池セル50の各々は、その光透過性基板2の上に形成された透明導電膜3と、その透明導電膜3の上に形成された第1薄膜光変換ユニット4と、その第1薄膜光変換ユニット4の上に形成された中間層5と、その中間層5の上に形成された第2薄膜光変換ユニット6と、その第2薄膜光変換ユニット6の上に形成された裏面電極7と、その透明導電膜3を分割する第1分離溝10と、その裏面電極7の上部に開口を有しその第1薄膜光変換ユニット4、その中間層5、及びその第2薄膜光変換ユニット6を分割する第2分離溝30と、その裏面電極7とその第2薄膜光変換ユニット6との界面に開口を有し、その第1薄膜光変換ユニット4とその透明導電膜3との界面に底面を有し、その裏面電極7を構成する材料が充填されている接続溝20と、その中間層5及び第1薄膜光変換ユニット4の一部が除去されて第2薄膜光変換ユニット6を構成する材料で充填された、又は、中間層5を構成する成分が第1薄膜光変換ユニット4の上部の成分と溶融し、凝集して不連続となった部分である中間層分離部40とを有し、中間層分離部40は、中間層5と透明導電膜3との間の第1薄膜光変換ユニット4内部に底面を有するとともに、第1分離溝10と接続溝20との間に設けられている。
参考例としての薄膜太陽電池モジュールにおいて、その中間層分離部40のその裏面電極7を含む面への投象は、その第1分離溝10のその裏面電極7を含む面への投象と重なるか、又は、その第1分離溝10のその裏面電極7を含む面への投象とその第2分離溝30との間に存在する。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュールにおいて、その中間層分離部40は、その中間層5及びその第1薄膜光変換ユニット4の一部が除去されてその第2薄膜光変換ユニット6を構成する材料で充填されている。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュールにおいて、その中間層分離部40は、その中間層5がその第1薄膜光変換ユニット4、及びその第2薄膜光変換ユニット6に溶融し拡散することにより導電性を失っている。
参考例としての薄膜太陽電池モジュールにおいて、その中間層分離部40は、その接続溝20が貫通するような位置に設けられている。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュールにおいて、その中間層分離部40により中間層5が不連続となった部分の幅は、その接続溝20の面方向の幅の三倍以上である。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュール製造方法は、光透過性基板2上に透明導電膜3を形成するステップと、その透明導電膜3を分割する第1分離溝10を形成するステップと、その透明導電膜3上とその第1分離溝10とに第1薄膜光変換ユニット4を形成するステップと、その第1薄膜光変換ユニット4上に中間層5を形成するステップと、その第1薄膜光変換ユニット4の一部及びその中間層5が除去された中間層分離部40をレーザー光により形成するステップと、その中間層5及びその中間層分離部40上に第2薄膜光変換ユニット6を形成するステップと、その第2薄膜光変換ユニット6の上部に開口を有しその透明導電膜3の上部に底面を有する接続溝20を形成するステップと、その第2薄膜光変換ユニット6上とその接続溝20とに裏面電極7を形成するステップと、を備える。
参考例としての薄膜太陽電池モジュール製造方法において、その中間層分離部40のその裏面電極7を含む面への投象は、その第1分離溝10のその裏面電極7を含む面への投象と重なるか、又は、その第1分離溝10のその裏面電極7を含む面への投象とその第2分離溝30との間に存在する。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュール製造方法において、その第1薄膜光変換ユニット4の一部及びその中間層5が除去されるか又は中間層分離部40をレーザー光により形成するステップは、YAGレーザをパワー密度が900(mW/cm2)以下の条件でその中間層5側から照射させて中間層分離部40を形成するステップ、を備える。
参考例としての薄膜太陽電池モジュール製造方法において、その接続溝20はその中間層分離部40を貫通するような位置に設けられる。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュール製造方法において、その中間層分離部40により中間層5が不連続となり、又は導電性を失う部分の幅は、その接続溝20の面方向の幅の三倍以上である。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュール製造方法は、光透過性基板7上に透明導電膜3を形成するステップと、その透明導電膜3を分割する第1分離溝20を形成するステップと、その透明導電膜3上とその第1分離溝20とに第1薄膜光変換ユニット4を形成するステップと、その第1光変換ユニット4上に中間層5を形成するステップと、その中間層5上に第2薄膜光変換ユニット6を形成するステップと、レーザー光によりその中間層5、その第1光変換ユニット4、及びその第2薄膜光変換ユニット6の溶融物からなり導電性を失った中間層分離部40を形成するステップと、その第2薄膜光変換ユニット6の上部に開口を有しその透明導電膜3の上部に底面を有する接続溝20を形成するステップと、その第2薄膜光変換ユニット6上とその接続溝20とに裏面電極7を形成するステップと、を備える。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュール製造方法において、レーザー光によりその中間層分離部40を形成する際に、その第2薄膜光変換ユニット6側からYAGレーザを照射することでその中間層分離部40が形成される。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュール製造方法において、レーザー光によりその中間層分離部40を形成する際に、その光透過性基板7側からYAGレーザを照射することでその中間層分離部40が形成される。
参考例としての薄膜太陽電池モジュール製造方法において、その接続溝20はその中間層分離部40に含まれる位置に設けられている。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュール製造方法において、その中間層分離部40により中間層5が導電性を失っている部分の幅は、その接続溝20の面方向の幅の三倍以上であることが好ましい。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュールにおいて、その中間層分離部40は、その中間層5を構成する成分が凝集して不連続となった部分である。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュールにおいて、その中間層分離部40は、その中間層5を構成する成分がその第1薄膜光変換ユニット4の上部の成分と溶融し、凝集して不連続となった部分である。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュールにおいて、その中間層分離部40は、その第2分離溝30を一端とし、その接続溝20とその第1分離溝10との間を他端として、その接続溝20を挟むように設けられている。第2分離溝30を一端として、接続溝20を挟むように中間層分離部40を形成することは、中間層分離部40が形成される幅が広くなることを意味する。中間層分離部40が広い幅で形成される事により、接続溝20を設ける際に位置の調整が容易となり、より確実に中間層5と接続溝20とが電気的に寸断される。
参考例としての薄膜太陽電池モジュールにおいて、その中間層分離部40からその裏面電極7を含む面の投象は、その第1分離溝10からその裏面電極7を含む面の投象と、重なる。中間層分離部40が、第1分離溝10と重なる位置に設けられている事により、隣り合う薄膜太陽電池セル50同士を分割する溝群が占める面積を減らす事ができる。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュール製造方法は、光透過性基板2上に透明導電膜3を形成するステップと、その透明導電膜3を分割する第1分離溝10を形成するステップと、その透明導電膜3上とその第1分離溝10とに第1薄膜光変換ユニット4を形成するステップと、その第1薄膜光変換ユニット4上に中間層5を形成するステップと、レーザー光をその中間層5の上側から照射して、その中間層5を構成する成分が凝集して不連続となった中間層分離部40を形成するステップと、その中間層5及びその中間層分離部40上に第2薄膜光変換ユニット6を形成するステップと、その第2薄膜光変換ユニット6の上部に開口を有しその透明導電膜3の上部に底面を有する接続溝20を形成するステップと、その第2薄膜光変換ユニット6上とその接続溝20とに裏面電極7を形成するステップと、を備える。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュールの製造方法においてその中間層分離部40を形成するステップは、レーザーの照射によってその中間層5及びその第1薄膜光変換ユニット4の上部を溶融させ、更に凝集させることでその中間層5を構成する成分を不連続とするステップを備える。
本発明に係る薄膜太陽電池モジュールの製造方法において、その中間層分離部40を形成するステップにおいて、その中間層分離部40は、その第2分離溝30を一端とし、その接続溝20とその第1分離溝10との間を他端として、前記接続溝を挟む位置に形成される。
参考例としての薄膜太陽電池モジュールの製造方法において、その中間層分離部40を形成するステップにおいて、その中間層分離部40は、その裏面電極7を含む面への投象が、その第1分離溝10のその裏面電極7を含む面への投象と重なるように、形成される。
本発明によれば、中間層を介した電流リークを抑制した薄膜太陽電池モジュール及びその製造方法が提供される。
本発明によれば、中間層を介した電流リークを抑制し且つ製造時に必要なレーザー光のパワーが抑制されて加工残さや熱変形が生じにくい薄膜太陽電池モジュール及びその製造方法が提供される。
次に、発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施形態における薄膜太陽電池モジュール1の断面を概略的に示す図である。薄膜太陽電池モジュール1は光透過性基板2上で薄膜太陽電池セル50がタンデム型に直列接続した構造になっている。
薄膜太陽電池セル50には、ガラス基板である光透過性基板2の上に透明導電膜3が形成されている。透明導電膜3は透明且つ導電性のTCO(Transparent Conductive Oxide)である。透明導電膜3の上には第1薄膜光変換ユニット4が形成されている。第1薄膜光変換ユニット4はpin構造を有するアモルファスのシリコンから構成される。第1薄膜光変換ユニット4のi層膜厚は300nmである。第1薄膜光変換ユニット4は絶縁性であり且つ特定の波長域の光から光起電力効果により電力を発生させる。第1薄膜光変換ユニット4の上には50nmの中間層5が形成されている。中間層5はアルミニウムやガリウムがドープされた酸化亜鉛等から構成され、光透過性基板2側から入射した光の一部を反射し一部を透過させる機能を有する。中間層5の上には第2薄膜光変換ユニット6が形成されている。第2薄膜光変換ユニット6は微結晶シリコン層である。第2薄膜光変換ユニット6のi層膜厚は2000nmである。第2薄膜光変換ユニットは、第1薄膜光変換ユニットが変換する光の波長域とは異なる波長域の光を吸収して電力を発生させる。第2薄膜光変換ユニットは絶縁性を示す。第2薄膜光変換ユニット6の上には裏面電極7が形成されている。裏面電極7は銀やアルミニウムなどの金属材料、或いは、ITO、ZnOなどの導電性酸化膜と銀やアルミニウムなどの金属材料の積層構造からなる。
本発明の第1の実施形態における薄膜太陽電池セル50には、第1分離溝10、接続溝20、第2分離溝30、及び中間分離部40が設けられている。これらは互いに平行に設けられ、紙面に対して垂直な方向に延在している。
第1分離溝10は、透明導電膜3を分割している。第1分離溝10は透明導電膜3の上に開口を有し光透過性基板2の上に底面を有する。第1分離溝10には第1薄膜光変換ユニットが埋め込まれており、分割された透明導電膜3同士を電気的に絶縁している。
第2分離溝30は、第1分離溝10とは別の場所に設けられている。第2分離溝30は、裏面電極7の表面に開口を有し、透明導電膜と第1薄膜光変換ユニットとの界面に底面を有する。即ち、第2分離溝30は隣り合う薄膜太陽電池セル間で、第1薄膜光変換ユニット4、中間層5、第2薄膜光変換ユニット6、及び裏面電極7を分割している。第2分離溝30は隣り合う薄膜太陽電池セル間で、裏面電極7同士及び中間層5同士を電気的に絶縁している。
接続溝20は、第1分離溝10と第2分離溝30の間に設けられている。接続溝20は裏面電極7と第2薄膜光変換ユニット6との界面に開口を有し、透明導電膜3と第1薄膜光変換ユニット4との界面に底面を有している。接続溝20は裏面電極7を構成する材料で埋められており、裏面電極7と隣のセルの透明導電膜3とを電気的に接続している。即ち、隣り合う薄膜太陽電池セル50同士を電気的に直列に接続している。
中間層分離部40は第1分離溝10と接続溝20の間に設けられている。中間層分離部40は中間層5を分離している。中間層分離部40は中間層5と第2薄膜光変換ユニット6との界面に開口を有し、第1薄膜光変換ユニットの層内部に底部を有している。即ち中間層分離部40と透明導電膜3の間には第1薄膜光変換ユニット1が存在しており、直接接してはいない。中間層分離部40には第2薄膜光変換ユニットを構成する材料が埋め込まれており、分割された中間層5同士を電気的に絶縁している。
本発明の第1の実施形態における太陽電池モジュール1は下記工程によって形成される。まず光透過性基板2上にTCO層が透明導電膜3として形成される。TCO層は蒸着法、CVD法、スパッタリング法等により形成することができる。
透明導電膜3が形成された後、YAGレーザによって所定部分の透明導電膜3が除去されて第1分離溝10が形成される。第1分離溝10が形成された後、pin型のアモルファスシリコン層が透明導電膜3上に第1薄膜光変換ユニット4として形成される。その際、第1分離溝10はpin型微結晶シリコン層で埋め込まれる。pin型微結晶シリコン層はプラズマCVD法などにより形成することができる。
第1薄膜光変換ユニット4が形成された後、アルミやガリウムがドープされた導電性酸化物層が第1薄膜光変換ユニット4の上に中間層5として形成される。中間層5は蒸着法、CVD法、スパッタリング法等により形成することができる。
中間層5が形成された後、YAGレーザにより中間層及び第1薄膜光変換ユニット4の一部が除去されて中間層分離部40が形成される。YAGレーザは中間層5側から照射される。YAGレーザの加工条件はパワー、繰り返し周波数、及び加工速度を調整して選定される。即ち、中間層5及び第1薄膜光変換ユニット4の一部が除去され且つ透明導電膜3は削られることのない条件で行なわれる。その選定方法の一例を図5に示す。図5は中間層5までを製作したサンプルにレーザ加工を行ったときの顕微鏡写真で、上の写真は基板上部から光を当てて観察した写真(加工面観察)、下の写真が加工面の裏側、即ち基板下部(ガラス側)から光を当てて観察した写真(透過観察)である。またそれぞれの写真で示される5本の加工ラインは、レーザの出力は28mWで一定の条件で、レーザの焦点の位置を変えることにより加工面でのレーザ光のパワー密度を変化させた結果で、上下の写真でその条件が対応している。加工面写真では、加工跡の幅(直径)が左より徐々に小さくなっているが、これは、右に行くほど照射面での単位面積あたりのパワー密度が増加していることになる。これらの図で、下の透過観察で、白く見える部分は、下部から照射した光が透過している、すなわち第1薄膜光変換ユニット4が除去され、加工が透明導電膜3まで達していることを示している。このような条件では、加工面観察で加工跡の周りに青く広がった部分が見えているが、これらは組成分析により透明導電膜3の加工屑が周囲に飛び散った跡であることを確認している。従って、本実施例では、透過観察で白く見えない条件、すなわち写真で左より1番目及び2番目までが適正な条件と判定される。このような加工テストを行い、加工面から見た加工跡幅をレーザの照射面積とみなしてレーザのパワー密度を計算し、透過観察にて観察される白く見える部分の直径(Si除去幅)の関係を調査した。図6はYAGレーザのパワー密度と第1薄膜光変換ユニット4の除去幅との関係を示したデータである。YAGレーザの加工条件としては、単位面積あたりのパワーを示すパワー密度が900(W/cm2)以下であることが好ましい。パワー密度が900(W/cm2)以下では中間層5及び第1薄膜光変換ユニット4の一部のみが除去されて、透明導電膜3は除去されることがない。一方、パワー密度が900(mW/cm2)以上では中間層5及び第1薄膜光変換ユニット4のみならず、透明導電膜3が除去される傾向にある。尚、図5ではレーザの加工跡は重なっていないが、これは条件を選定するために見やすくした結果で実際にはこれらの加工が重なるように繰り返し周波数と加工速度が選定される。このような条件としては例えば波長が532nm、パワーが60mW、加工溝幅が100μm、加工速度が100mm/secという条件が挙げられる。
中間層5が形成された後、中間層5の上に微結晶シリコン層が第2薄膜光変換ユニット6として形成される。この際、中間層分離部40も微結晶シリコン層によって埋め込まれる。
第2薄膜光変換ユニット6が形成された後、YAGレーザなどにより第1薄膜光変換ユニット4、中間層5、及び第2薄膜光変換ユニット6が除去されて接続溝20が形成される。接続溝20は中間層分離部50と第2分離溝との間に設けられる。接続溝20が形成された後、裏面電極7が第2薄膜光変換ユニット6の上に形成される。その際、接続溝20も裏面電極を構成する成分により埋め込まれる。裏面電極7を形成する方法としては、蒸着法やスパッタリング法が挙げられる。
裏面電極7が形成された後、YAGレーザなどにより、第1薄膜光変換ユニット4、中間層5、第2薄膜光変換ユニット6、及び裏面電極7が除去されて第2分離溝30が形成される。これにより本実施の形態における太陽電池モジュールの形成が完了する。
本発明の第1の実施形態によれば、中間層分離部40を設けることにより、第1薄膜光変換ユニット4及び第2薄膜光変換ユニット6が入射光から生成した電力が、中間層5を介してリークすることが無く、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
また、中間層分離部40を設ける際に、透明導電膜3をレーザにより削ることが無い。これにより、透明導電膜が削られる際に生じる加工屑の発生を抑えることができ、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。更に、中間層分離部40を設ける際のレーザ強度は、第1薄膜光変換ユニット4を完全に除去する必要が無い為に低強度に抑えられる。よって、レーザ加工の際の熱の発生が抑制され、中間層分離部40周辺の材料の熱変形ない。従って、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
本発明の第1の実施形態に係る薄膜太陽電池モジュールの単位面積あたりの短絡電流密度Jscは11.85(mA/cm2)、一段当たりの開放電圧Vocは1.348(V)、F.Fは0.716、効率は11.4(%)であった。一方、中間層分離部40を設けない他は本発明の第1の実施の形態と同様の構成を有する薄膜太陽電池モジュールは、Jscが11.60(mA/cm2)、Vocが1.185(V)、F.Fが0.629、効率が9.0(%)であった。また、中間層分離部40の底面が透明導電膜3と第1薄膜光変換ユニット4との界面に存在する他は本発明の第1の実施の形態と同じ構成の薄膜太陽電池モジュールはにおいては、Jscが11.32(mA/cm2)、Vocが1.330(V)、F.Fが0.678、効率が10.7(%)であった。即ち、中間層分離部40が存在しない薄膜太陽電池モジュール及び中間層分離部が第1薄膜光発電ユニットを分割するように設けられている薄膜太陽電池モジュールと比較して、本実施の形態に係る薄膜太陽電池モジュールはJsc、Voc、F.F、及び効率が向上している。
図2は本発明の参考例としての実施形態における薄膜太陽電池モジュール1の断面を概略的に示す図である。薄膜太陽電池モジュール1は光透過性基板2上で薄膜太陽電池セル50がタンデム型に直列接続した構造になっている。本発明の参考例としての実施形態における薄膜太陽電池モジュールの構成は、中間層分離部40と接続溝20が設けられた位置関係を除いて、本発明の第1の実施形態における薄膜太陽電池モジュールと同様である。
中間層分離部40は第1分離溝10と第2分離溝の間に設けられており、接続溝20は中間層分離部40の開口部を貫通する位置に設けられている。よって、中間層5と接続溝20が直接接することは無い。中間層分離部40が中間層5を分割する幅は、接続溝20が第1薄膜光変換ユニット及び第2薄膜光変換ユニットを分割する幅の3倍以上であることが好ましい。
本発明の参考例としての実施形態における太陽電池モジュール1の製造方法は、接続溝20が中間層分離部40を貫通するようにYAGレーザで加工される他は、本発明の第1の実施形態における薄膜太陽電池モジュール1の製造方法と同様である。即ち、第2薄膜光変換ユニット6が形成された後、接続溝20が中間層分離部40の開口部を貫通するような位置において、YAGレーザにより第1薄膜光変換ユニット4、中間層5、及び第2薄膜光変換ユニット6が除去されて接続溝20が形成される。
本発明の参考例としての実施形態によれば、中間層分離部40を設けることにより、第1薄膜光変換ユニット4及び第2薄膜光変換ユニット6が入射光から生成した電力が、中間層5を介してリークすることが無く、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
また、中間層分離部40を設ける際に、透明導電膜3をレーザにより削ることが無い。これにより、透明導電膜3が削られる際に生じる加工屑の発生を抑えることができ、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。更に、中間層分離部40を設ける際のレーザ強度は、第1薄膜光変換ユニット4を完全に除去する必要が無い為に低強度に抑えられる。よって、レーザ加工の際の熱の発生が抑制され、中間層分離部40周辺の材料の熱変形ない。従って、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
更に、中間層分離部40が接続溝20を含む位置に設けられることにより、光を電力に変換可能な部分の面積が増え、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
本発明の参考例としての実施形態に係る薄膜太陽電池モジュールの単位面積あたりの電流密度Jsc、一段当たりの開放電圧Voc、F.F、及び効率は、中間層分離部が存在しない薄膜太陽電池モジュール及び中間層分離部が第1薄膜光発電ユニットを分割するように設けられている薄膜太陽電池モジュールと比較して、向上する。
図3は本発明の第2の実施形態における薄膜太陽電池モジュール1の断面を概略的に示す図である。図1に示すように、薄膜太陽電池モジュール1は光透過性基板2上で薄膜太陽電池セル50がタンデム型に直列接続した構造になっている。
本発明の第2の実施形態における薄膜太陽電池モジュール1の構成は、中間層分離部40を構成する材料及び接続溝20と中間層40との位置関係を除いて第1の実施形態と同様である。即ち、中間層分離部40は中間層5を構成する成分が第1薄膜光変換ユニット4及び第2薄膜光変換ユニット6を構成する物質に溶融、拡散し、中間層5を構成する成分よりも高抵抗となった部分である。また、中間層分離部40は第1の実施形態と同様に第1分離溝10と接続溝20との間に設けられている。参考例として、図2に示した実施形態と同様に接続溝20が中間層分離部を貫通するような位置に設けられてもよい。
本発明の第2の実施形態における太陽電池モジュール1の製造方法を以下に示す。まず、第1の実施形態と同様に中間層5までが形成される。中間層5が形成された後、中間層5の上に微結晶シリコン層が第2薄膜光変換ユニット6として形成される。
第2薄膜光変換ユニット6が形成された後、YAGレーザが第2薄膜光変換ユニット側より照射され、中間層5、第1薄膜光変換ユニット4、及び第2薄膜光変換ユニット6が溶融する。これによりYAGレーザが照射された部分の中間層5は第2薄膜光変換ユニット又は第1薄膜光変換ユニットを構成する物質内に拡散し、中間層分離部40が形成される。YAGレーザの照射は、第1薄膜光変換ユニット及び第2薄膜光変換ユニットが溶融し且つ除去されないパワーにて行なわれる。YAGレーザの照射は波長が532nm、繰り返し周波数が3kHz、パルス幅が35nm、レーザスポット径が70mmφ、出力が100mW以下であることが好ましく、出力が60mW以下であることがより好ましい。尚、必要なレーザ出力はレーザのパルス幅に依存し、パルス幅が短くなると必要なレーザ出力は小さくなる。さらに、YAGレーザにより第1薄膜光変換ユニット4、中間層5、及び第2薄膜光変換ユニット6が除去されて接続溝20が形成される。接続溝20は中間層分離部50と第2分離溝との間に設けられる。接続溝20が形成された後、裏面電極7が第2薄膜光変換ユニット6の上に形成される。その際、接続溝20も裏面電極を構成する成分により埋め込まれる。裏面電極7を形成する方法としては、蒸着法やスパッタリング法が挙げられる。
裏面電極7が形成された後、YAGレーザなどにより、第1薄膜光変換ユニット4、中間層5、第2薄膜光変換ユニット6、及び裏面電極7が除去されて第2分離溝30が形成され、本実施の形態における太陽電池モジュールの形成が完了する。
本発明の第2の実施形態によれば、中間層分離部40を設けることにより、第1薄膜光変換ユニット4及び第2薄膜光変換ユニット6が入射光から生成した電力が、中間層5を介してリークすることが無く、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
また、中間層分離部40を設ける際に、透明導電膜3をレーザにより削ることが無い。これにより、透明導電膜3が削られる際に生じる加工屑の発生を抑えることができ、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
本発明の第2の実施形態に係る薄膜太陽電池モジュールの単位面積あたりの電流密度Jsc、一段当たりの開放電圧Voc、F.F、及び効率は、中間層分離部が存在しない薄膜太陽電池モジュール及び中間層分離部が第1薄膜光発電ユニットを分割するように設けられている薄膜太陽電池モジュールと比較して、向上する。
更に、YAGレーザを照射して中間層分離部40を形成した後、再びYAGレーザを用いて接続溝20が形成される為、中間層分離部40及び接続溝20を同一工程で形成することができる。即ち、薄膜太陽電池モジュール1の製造工程数が抑えられる為、コスト面で有利である。
図4は本発明の参考例としての実施形態における薄膜太陽電池モジュール1の断面を概略的に示す図である。本発明の参考例としての実施形態における薄膜太陽電池モジュール1の構成は、図3に示した実施形態における薄膜太陽電池モジュール1の構成と同様である。図4に示すように、薄膜太陽電池モジュール1は光透過性基板2上で薄膜太陽電池セル50がタンデム型に直列接続した構造になっている。
本発明の参考例としての実施形態における太陽電池モジュール1は第1の実施形態と同様に中間層5までが形成される。中間層5が形成された後、中間層5の上に微結晶シリコン層が第2薄膜光変換ユニット6として形成される。
第2薄膜光変換ユニット6が形成された後、YAGレーザが第2薄膜光変換ユニット側より照射され、中間層5、第1薄膜光変換ユニット4、及び第2薄膜光変換ユニット6が溶融する。これによりYAGレーザが照射された部分の中間層5は第2薄膜光変換ユニット又は第1薄膜光変換ユニットを構成する物質内に拡散し、中間層分離部40が形成される。YAGレーザの照射は、第1薄膜光変換ユニット及び第2薄膜光変換ユニットが溶融し且つ除去されないパワーにて行なわれる。YAGレーザの照射は、波長が532nm、繰り返し周波数が3kHz、50mW以下が好ましく、より好ましくは38mWである。さらに、YAGレーザにより第1薄膜光変換ユニット4、中間層5、及び第2薄膜光変換ユニット6が除去されて接続溝20が形成される。接続溝20は中間層分離部50と第2分離溝との間に設けられる。接続溝20が形成された後、裏面電極7が第2薄膜光変換ユニット6の上に形成される。その際、接続溝20も裏面電極を構成する成分により埋め込まれる。裏面電極7を形成する方法としては、蒸着法やスパッタリング法が挙げられる。
裏面電極7が形成された後、YAGレーザなどにより、第1薄膜光変換ユニット4、中間層5、第2薄膜光変換ユニット6、及び裏面電極7が除去されて第2分離溝30が形成され、本実施の形態における太陽電池モジュールの形成が完了する。
本発明の参考例としての実施形態によれば、中間層分離部40を設けることにより、第1薄膜光変換ユニット4及び第2薄膜光変換ユニット6が入射光から生成した電力が、中間層5を介してリークすることが無く、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
本発明の参考例としての実施形態に係る薄膜太陽電池モジュールの単位面積あたりの電流密度Jsc、一段当たりの開放電圧Voc、F.F、及び効率は、中間層分離部が存在しない薄膜太陽電池モジュール及び中間層分離部が第1薄膜光発電ユニットを分割するように設けられている薄膜太陽電池モジュールと比較して、向上する。
また、中間層分離部40を設ける際に、透明導電膜3をレーザにより削ることが無い。これにより、透明導電膜3が削られる際に生じる加工屑の発生を抑えることができ、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
更に、YAGレーザを第2薄膜光変換ユニット6側から照射して中間層分離部40を形成する場合、中間層分離部40が形成された後再びYAGレーザを用いて接続溝20が形成される為、中間層分離部40及び接続溝20を同一工程で形成することができる。即ち、薄膜太陽電池モジュール1の製造工程数が抑えられる為、コスト面で有利である。
図7は本発明の第3の実施形態における薄膜太陽電池モジュール1の断面を概略的に示す図である。本実施の形態に係る薄膜太陽電池モジュール1の構成は、第1の実施の形態同様に、光透過性基板2上に透明導電膜3、第1光変換ユニット4、中間層5、第2光変換ユニット6、及び裏面電極7が順次積層した構成を備えている。また、第1分離溝10、接続溝20、及び第2分離溝30の位置も第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
中間層5は、中間層分離部40によって分割される。中間層分離部40は、第1分離溝10と接続溝20との間に設けられている。中間層分離部40は、中間層5を構成する成分と、第1薄膜光変換ユニット4の上部の材料が溶融し、且つ凝集する事により、不連続となった部分である。
本発明の第3の実施形態に係る薄膜太陽電池モジュール1は、第1の実施形態と同様に中間層5までが形成される。中間層5が形成された後、基板の上側(中間層5側)よりYAGレーザが照射される。YAGレーザの照射により、中間層5と第1薄膜光変換ユニット4の表面部分とが溶融し、更に凝集する。図10はレーザの照射による中間層5部分の形状の変化を走査型電子顕微鏡(SEM)写真で観察した図である。図10AはYAGレーザを照射する前の中間層5を上側から見たときのSEM写真である。YAGレーザを照射する前は、中間層5は第1薄膜光変換ユニット4の上部を完全に覆う様に形成されている。図10Bは、YAGレーザの照射により中間層5が溶融した状態を示すSEM写真である。中間層5と、第1薄膜光変換ユニット4の表面部分の材料は、YAGレーザの照射により溶融し、第1薄膜光変換ユニット4が剥き出しとなっている。図10Cは、溶融した部分が凝集したときの状態を示すSEM写真である。更なるYAGレーザの照射により溶融した部分は、更に凝集する。このように凝集することによって、中間層5を構成する材料は不連続となり、YAGレーザが照射されていない部分を電気的に分割する。このような不連続となった状態は、YAGレーザの照射を適正な照射条件下で照射させる事により達成される。このような加工条件としては、波長が532nm、パワーが30mW、加工溝幅が100μm、加工速度が100mm/secという条件が挙げられる。尚、YAGレーザの照射条件は、単位面積当たりのパワーを示すパワー密度が200W/cm2以上、900W/cm2以下であることがより好ましく、より好ましくは200W/cm2以上、600W/cm2以下である。パワー密度が200W/cm2より低くなると、中間層の溶融、凝集が不十分となり、十分な絶縁性が得られない場合がある。一方、900W/cm2以上であると、透明導電膜3までもが除去される場合がある。
中間層分離部40が形成された後に、第2薄膜光変換ユニット6、接続溝20、裏面電極7、及び第2分離溝30が順次形成されて薄膜太陽電池モジュール1が作成される。第2薄膜光変換ユニット、接続溝20、裏面電極7、及び第2分離溝30の形成方法は、第1の実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
本発明の第3の実施形態によれば、中間層分離部40を設けることにより、第1薄膜光変換ユニット4及び第2薄膜光変換ユニット6が入射光から生成した電力が、中間層5を介してリークすることが無く、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
また、中間層分離部40を設ける際に、透明導電膜3をレーザにより削ることが無い。これにより、透明導電膜3が削られる際に生じる加工屑の発生を抑えることができ、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。更に、中間層分離部40を設ける際のレーザ強度は、第1薄膜光変換ユニット4を完全に除去する必要が無い為に低強度に抑えられる。よって、レーザ加工の際の熱の発生が抑制され、中間層分離部40周辺の材料の熱変形が抑制される。従って、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
図8は本発明の参考例としての実施形態に係る薄膜太陽電池モジュール1の断面を概略的に示す図である。本実施の形態に係る薄膜太陽電池モジュール1の構成は、第1の実施の形態同様に、光透過性基板2上に透明導電膜3、第1光変換ユニット4、中間層5、第2光変換ユニット6、及び裏面電極7が順次積層した構成を備えている。また、第1分離溝10、接続溝20、及び第2分離溝30の位置も第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
中間層5は、中間層分離部40によって分割される。中間層分離部40は、第2分離溝30を一端とし、接続溝20と第1分離溝10との間を他端として、接続溝20を挟むように設けられている。中間層分離部40は、中間層5を構成する成分と、第1薄膜光変換ユニット4の上部の材料が溶融し、且つ凝集する事により、不連続となった部分である。
本発明の参考例としての実施形態に係る薄膜太陽電池モジュール1は、第1の実施形態と同様に中間層5までが形成される。中間層5が形成された後、基板の上側(中間層5側)よりYAGレーザが照射される。YAGレーザの照射により、中間層5と第1薄膜光変換ユニット4の表面部分とが溶融し、更に凝集する。図10はレーザの照射による中間層5部分の形状の変化を走査型電子顕微鏡(SEM)写真で観察した図である。図10AはYAGレーザを照射する前の中間層5を上側(中間層5側)から見たときのSEM写真である。YAGレーザを照射する前は、中間層5は第1薄膜光変換ユニット4の上部を完全に覆う様に形成されている。図10Bは、YAGレーザの照射により中間層5が溶融した状態を示すSEM写真である。中間層5と第1薄膜光変換ユニット4の表面部分の材料とが、YAGレーザの照射により溶融し、第1薄膜光変換ユニット4が剥き出しとなっている。図10Cは、溶融した部分が更に凝集したときの状態を示すSEM写真である。YAGレーザの更なる照射により、溶融した部分が凝集する。このように凝集することによって、中間層5を構成する材料は不連続となり、YAGレーザが照射されていない部分を分割する中間層分離部40が形成される。YAGレーザにより中間層5が分割されている部分の幅は、後工程において形成される接続溝の幅の3倍以上である事が好ましい。このような位置、幅にて中間層分離部40を形成する事で、中間層分離部40の導電性がより確実に失われる。このような不連続となった状態は、YAGレーザの照射を適正な照射条件下で照射させる事により達成される。このような加工条件としては、波長が532nm、パワーが30mW、加工溝幅が100μm、加工速度が100mm/secという条件が挙げられる。尚、YAGレーザの照射条件において、単位面積当たりのパワーを示すパワー密度は200W/cm2以上、900W/cm2以下であることがより好ましく、より好ましくは200W/cm2以上、600W/cm2以下である。パワー密度が200W/cm2より低くなると、中間層の溶融、凝集が不十分となり、十分な絶縁性が得られない場合がある。一方、900W/cm2以上であると、透明導電膜3までもが除去される場合がある。
中間層分離部40が形成された後に、第2薄膜光変換ユニット6、接続溝20、裏面電極7、及び第2分離溝30が順次形成されて薄膜太陽電池モジュール1が作成される。第2薄膜光変換ユニット、接続溝20、裏面電極7、及び第2分離溝30の形成方法は、第1の実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
本発明の参考例としての実施形態によれば、中間層分離部40を設けることにより、第1薄膜光変換ユニット4及び第2薄膜光変換ユニット6が入射光から生成した電力が、中間層5を介してリークすることが無く、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
また、中間層分離部40を設ける際に、透明導電膜3をレーザにより削ることが無い。これにより、透明導電膜3が削られる際に生じる加工屑の発生を抑えることができ、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。更に、中間層分離部40を設ける際のレーザ強度は、第1薄膜光変換ユニット4を完全に除去する必要が無い為に低強度に抑えられる。よって、レーザ加工の際の熱の発生が抑制され、中間層分離部40周辺の材料の熱変形が抑制される。従って、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
図9は本発明の参考例としての実施形態に係る薄膜太陽電池モジュール1の断面を概略的に示す図である。本実施の形態に係る薄膜太陽電池モジュール1の構成は、第1の実施の形態同様に、光透過性基板2上に透明導電膜3、第1光変換ユニット4、中間層5、第2光変換ユニット6、及び裏面電極7が順次積層した構成を備えている。また、第1分離溝10、接続溝20、及び第2分離溝30の位置も第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
中間層5は、中間層分離部40によって分割される。中間層分離部40は、裏面電極7を含む面(薄膜太陽電池モジュール1と平行な面)への投象が、第1分離溝10が裏面電極7を含む面への投象と重なるように、形成されている。即ち、裏面電極7側を上側としたときに、中間層分離部40は第1分離溝10の真上に設けられている。中間層分離部40は、中間層5を構成する成分と、第1薄膜光変換ユニット4の上部の材料が溶融し、且つ凝集する事により、不連続となった部分である。
本発明の参考例としての実施形態に係る薄膜太陽電池モジュール1は、第1の実施形態と同様に中間層5までが形成される。中間層5が形成された後、基板の上側(中間層5側)よりYAGレーザが照射される。YAGレーザは、第1分離溝10の真上部分の中間層5に照射される。YAGレーザの照射により、中間層5と第1薄膜光変換ユニット4の表面部分とが溶融し、更に凝集する。図10はレーザの照射による中間層5部分の形状の変化を走査型電子顕微鏡(SEM)写真で観察した図である。図10AはYAGレーザを照射する前の中間層5を上側から見たときのSEM写真である。YAGレーザを照射する前は、中間層5は第1薄膜光変換ユニット4の上部を完全に覆う様に形成されている。図10Bは、YAGレーザの照射により中間層5が溶融した状態を示すSEM写真である。中間層5と、第1薄膜光変換ユニット4の表面部分の材料は、YAGレーザの照射により溶融し、一部の第1薄膜光変換ユニット4が剥き出しとなっている。図10Cは、溶融した部分が凝集したときの状態を示すSEM写真である。更なるYAGレーザの照射により、溶融した部分は凝集する。このように凝集することによって、中間層5を構成する材料は不連続となり、YAGレーザが照射されていない部分を分割する中間層分離部40が形成される。このように、中間層5が不連続となった状態は、YAGレーザの照射を適正な照射条件下で照射させる事により形成される。このような加工条件としては、波長が532nm、パワーが30mW、加工溝幅が100μm、加工速度が100mm/secという条件が挙げられる。尚、YAGレーザの照射条件は、単位面積当たりのパワーを示すパワー密度が200W/cm2以上、900W/cm2以下であることがより好ましく、より好ましくは200W/cm2以上、600W/cm2以下である。パワー密度が200W/cm2より低くなると、中間層の溶融、凝集が不十分となり、十分な絶縁性が得られない場合がある。一方、900W/cm2以上であると、透明導電膜3までもが除去される場合がある。
中間層分離部40が形成された後に、第2薄膜光変換ユニット6、接続溝20、裏面電極7、及び第2分離溝30が順次形成されて薄膜太陽電池モジュール1が作成される。第2薄膜光変換ユニット、接続溝20、裏面電極7、及び第2分離溝30の形成方法は、第1の実施形態と同様であり、詳細な説明は省略する。
本発明の参考例としての実施形態によれば、中間層分離部40を設けることにより、第1薄膜光変換ユニット4及び第2薄膜光変換ユニット6が入射光から生成した電力が、中間層5を介してリークすることが無く、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。また、中間層分離部40は第1分離溝10の真上に設けられている事により、発電可能な部分の面積が大きくなる。よって、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。
また、中間層分離部40を設ける際に、透明導電膜3をレーザにより削ることが無い。これにより、透明導電膜3が削られる際に生じる加工屑の発生を抑えることができ、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。更に、中間層分離部40を設ける際のレーザ強度は、第1薄膜光変換ユニット4を完全に除去する必要が無い為に低強度に抑えられる。よって、レーザ加工の際の熱の発生が抑制され、中間層分離部40周辺の材料の熱変形が抑制される。従って、薄膜太陽電池モジュール1の効率が向上する。