JP2009094272A - 光電変換モジュールおよび光電変換モジュールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 透光性基板に、透明電極層と、p型半導体層22A、i型半導体層23Aおよびn型半導体層24Aを有する光電変換層と、裏面電極層とが積層された光電変換モジュールであって、光電変換層には、他の領域と比較して、p型半導体層22Aのドーパントおよびn型半導体層24Aのドーパントの少なくとも一方がi型半導体層23Aに向かって拡散し、i型半導体層23Aの領域が狭いバイパス部41が設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図4
Description
本発明の光電変換モジュールは、透光性基板に、透明電極層と、p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層を有する光電変換層と、裏面電極層とが積層された光電変換モジュールであって、前記光電変換層には、他の領域と比較して、前記p型半導体層のドーパントおよび前記n型半導体層のドーパントの少なくとも一方が前記i型半導体層に向かって拡散し、前記i型半導体層の領域が狭いバイパス部が設けられていることを特徴とする。
つまり、逆方向電圧による電流は、隣接する他の透明電極層から接続部を介して一の裏面電極層に流れ、一の光電変換層のバイパス部を介して、一の透明電極層に流れる。このとき、バイパス部は透明電極層溝の近傍に配置されているため、一の裏面電極層に流れる電流は一の光電変換層とほとんど接することなくバイパス部を介して一の透明電極層に流れる。その結果、一の光電変換層には、逆方向電圧による電流がほとんど流れない。
さらに、バイパス部では、p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層による積層構造が保たれているため、バイパス部において発電した電流の漏れを抑制することができ、発電性能の低下を抑制することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の光電変換装置の製造方法により製造される光電変換装置の構成を示す模式断面図である。
本実施形態で説明する光電変換装置1は太陽電池モジュール(光電変換モジュール)2が設けられたシリコン系太陽電池パネルであり、太陽電池モジュール2には図1に示すように、基板(透光性基板)11と、透明電極層12と、中間コンタクト層31と、光電変換層13と、裏面電極層14と、が設けられている。
また、結晶質シリコン系とは、アモルファスシリコン系すなわち非晶質シリコン系以外のシリコン系を意味するものであり、微結晶シリコンや多結晶シリコン系も含まれる。
基板11としては、ソーダフロートガラス基板(少なくとも1辺が1m以上の大面積基板、板厚が4mmから5mm)が使用されている。基板11の端面は、破損防止のためコーナー面取りや、R面取り加工されていることが望ましい。
透明電極層12は酸化錫膜(SnO2)を主成分とする透明電極膜であって、約500nmから約800nmまでの膜厚を有するものである。透明電極層12は熱CVD装置を用いて約500℃の温度条件下で製膜処理されたものである。この製膜処理の際、酸化錫膜の表面には、適当な凹凸のあるテクスチャーが形成される。
さらに、透明電極層12には、透明電極層12を図2および3に示す発電セル3ごとに区切る透明電極層溝15が形成されている。
透明電極層溝15は、図2に示すように、透明電極層12を発電セル3の直列接続方向に対して略垂直な方向に延びる溝であって、透明電極層12を短冊状に区切るものである。透明電極層溝15の幅は、約6mmから15mmまでの範囲内であって、その底面は基板11にまで達するものである。
光電変換層13には、アモルファスシリコン薄膜から形成された第1セル層21Aと、中間コンタクト層31と、微結晶シリコン薄膜から形成された第2セル層21Bとが設けられている。
光電変換層溝16は、図2に示すように、透明電極層溝15に沿って延びる溝であって、透明電極層溝15と同様に、光電変換層溝16を短冊状に区切るものである。光電変換層溝16は、透明電極層溝15との間に約250μmから約400μmまでの範囲の間隔をあけて形成され、その底面は透明電極層12にまで達するものである。
アモルファスi層23Aは、主にアモルファスSiから形成された膜であって、約200nmから約350nmまでの範囲の膜厚を有するものである。
アモルファスn層24Aは、主にP(リン)をドープした微結晶Siから形成された膜であって、約30nmから約50nmまでの範囲の膜厚を有するものである。
中間コンタクト層31は、第1セル層21Aと第2セル層21Bとの間の電流整合性を取る半反射膜である。
中間コンタクト層31には、図2に示すように、透明電極層溝15に沿って延び、中間コンタクト層31を短冊状に区切る分離部32が形成されている。
微結晶i層23Bは、主に微結晶Siから形成された膜であって、約1.2μmから3.0μmまでの範囲の膜厚を有するものである。
微結晶n層24Bは、主にP(リン)をドープした微結晶Siから形成された膜であって、約20nmから約50nmまでの範囲の膜厚を有するものである。
第1セル層21Aおよび第2セル層21Bには、図3および図4に示すように、バイパス部41が設けられている。
バイパス部41は、例えば、発電セル3の一部に影が入り、影に入った発電セル3に逆方向電圧が印加された場合に、逆方向電圧による電流が流れる部分である。
一般に、透明電極層12の抵抗が数Ω/□であるため、バイパス部41の大きさ、および、配置間隔を上述のようにすることで、電流集中による電圧上昇は10V以上となる。
当該領域の厚さを上述のようにすることで、逆方向電圧に対する耐性が約2Vまで下げることができる。
このように、GZO膜を設けることにより、微結晶n層24Bと裏面電極層14との間の接触抵抗が低減されるとともに、光の反射が向上される。
図5は、図1の光電変換装置の製造工程を説明する模式図である。図6は、図1の光電変換装置の製造工程における透明導電層を形成する工程を説明する模式図である。
まず、図1に示すように、基板11としてソーダフロートガラス基板(1.4m×1.1m×板厚:4mm)が用意され、基板端面にコーナー面取りやR面取り加工が施される。なお、コーナー面取り等は行わなくてもよく、特に限定するものではない。
そして、図6に示すように、基板11に透明電極層12が熱CVD装置を用いて形成される。なお、基板11と透明電極層12との間にアルカリバリア膜(図示されず)を形成してもよいし、形成しなくてもよく、特に限定するものではない。
透明電極層12が形成されると、図7に示すように、透明電極層溝15が形成される。
具体的には、基板11がX−Yテーブルに設置され、YAGレーザの第1高調波(1064nm)が、図の矢印に示すように、透明電極層12の膜面側から入射される。透明電極層12はレーザ光によりレーザエッチングされ、幅が約6mmから15mmまでの範囲の透明電極層溝15が形成される。この透明電極層溝15により、透明電極層12は短冊状に区切られる。
入射されるレーザパワーは、透明電極層溝15の加工速度が適切な速度になるように調節される。透明電極層12に対して照射されるレーザ光は、基板11に対して、発電セル3の直列接続方向と略垂直な方向に相対移動される。
透明電極層溝15が形成されると、図8に示すように、光電変換層13が透明電極層12に積層される。つまり、透明電極層12側から順に、第1セル層21A、中間コンタクト層31および第2セル層21Bが積層される。
中間コンタクト層31は、スパッタリング装置を用いて約20nmから約100nmまでの範囲の膜厚を有するGZO膜として製膜される。中間コンタクト層31が製膜されると、中間コンタクト層31にレーザ光が照射され、レーザエッチングにより分離部32が形成される。
照射するレーザ光の照射角度や波長は、分離部32の加工効率を上げるために、ZnO(中間コンタクト層31)/a−Si層(第1セル層21A)に対して反射率が高くなる角度、波長とされている。
距離dが約3mmより小さい場合には、大型基板に対応する製膜室内の各構成機器精度から距離dを一定に保つことが難しくなるとともに、近過ぎて放電が不安定になる恐れがある。一方、距離dが約10mmより大きい場合には、十分な製膜速度(1nm/s以上)を得難くなるとともに、プラズマの均一性が低下しイオン衝撃により膜質が低下する。
光電変換層13が積層されると、図9に示すように、接続溝17が形成される。
具体的には、基板11がX−Yテーブルに設置され、レーザダイオード励起YAGレーザの第2高調波(532nm)が、図の矢印に示すように、光電変換層13の膜面側から入射される。光電変換層13レーザ光によりレーザエッチングされ、接続溝17が形成される。
レーザ光は、約10kHzから約20kHzまでの範囲でパルス発振され、適切な加工速度になるようにレーザパワーが調節されている。
さらに、接続溝17の位置は、前工程で加工された透明電極層溝15と交差しないように位置決め公差を考慮した上で選定される。
接続溝17が形成されると、図10に示すように、裏面電極層14が光電変換層13に積層される。このとき、接続溝17の中にも裏面電極層14が積層され、透明電極層12と裏面電極層14とを接続する接続部18が形成される。
裏面電極層14は、スパッタリング装置を用いて、減圧雰囲気下で、約150℃の温度条件下で製膜される。具体的には、約200nmから約500nmまでの範囲の膜厚を有するAg膜を積層し、その後に、約10nmから約20nmまでの範囲の膜厚を有するTi膜が積層される。
この工程を行うことで、光電変換層13の微結晶n層24Bと裏面電極層14のAg膜との間にGZO膜が製膜され、微結晶n層24Bと裏面電極層14との間の接触抵抗が低減されるとともに、光の反射が向上される。
裏面電極層14が積層されると、図11に示すように、光電変換層溝16が形成される。
具体的には、基板11がX−Yテーブルに設置され、レーザダイオード励起YAGレーザの第2高調波(532nm)が、図の矢印に示すように、基板11側から入射される。入射されたレーザ光は光電変換層13で吸収され、光電変換層13内で高いガス蒸気圧が発生する。このガス蒸気圧により裏面電極層14は爆裂して除去される。
レーザ光は、約1kHzから約10kHzまでの範囲でパルス発振され、適切な加工速度になるようにレーザパワーが調節されている。
光電変換層溝16が形成されると、図12および図13に示すように、絶縁溝19が形成される。
絶縁溝19は、発電領域を区分することにより、基板11の端周辺の膜端部において直列接続部分が短絡し易い部分を切り離して、その影響を除去するものである。
このとき、Y方向絶縁溝は後工程で基板1周囲領域の膜面研磨除去処理を行うので、設ける必要がない。
なお、ここまでに説明した工程においてYAGレーザをレーザ光として用いているが、YAGレーザに限られることなく、YVO4レーザや、ファイバーレーザなども同様にレーザ光として使用してもよい。
絶縁溝19が形成されると、基板11周辺の積層膜、つまり裏面電極層14、光電変換層13および透明電極層12は除去される。この積層膜は段差を有するとともに剥離しやすいため、当該積層膜を除去することにより、後工程において行われるEVA等を介したバックシート51の接着が健全に行われ、シール面を確保することができる。
上述の積層膜は、基板11の端から5mmから20mmまでの範囲内で、基板11の全周囲にわたり除去される。
積層膜を除去する際に発生した研磨屑や砥粒は、基板11を洗浄処理することにより除去される。
なお、上述の銅箔には、各部との短絡を防止する絶縁シートが配置されている。例えば、当該絶縁シートは銅箔幅より幅が広く形成されている。
接着充填材シートの上には、防水効果の高いバックシート51が設置される。本実施形態では、バックシート51はPET(ポリエチレンテレフタレート)シート/アルミニウム箔/PETシートの3層構造を有するものに適用して説明する。
バックシート51の接着が行われると、図15に示すように、太陽電池モジュール2の裏側に端子箱52が接着剤を用いて取付けられる。
その後、端子箱52の出力ケーブルに銅箔がハンダ等を用いて接続され、端子箱52の内部が封止剤(ポッティング剤)で充填されて密封される。これにより、光電変換装置1が完成する。
上述のようにして製造された光電変換装置1に対しては、図17に示すように、発電検査、ならびに所定の性能試験が行われる。発電検査は、AM1.5、全天日射基準太陽光(1000W/m2)のソーラシミュレータを用いて行われる。
一方、上述の発電検査に前後して、光電変換装置1の外観検査をはじめ所定の性能検査が行われる。
バイパス部41は、第1セル層21Aや、第2セル層21Bが製膜された後に、第1セル層21Aおよび第2セル層21Bにおけるバイパス部41を形成する領域にレーザ光を照射することにより形成される(加熱工程)。
バイパス部41を分離部32と同時に形成する場合には、第1セル層21Aが除去されない程度にレーザ光のパワーが調節される。
つまり、第2セル層21Bが製膜された後に、第2セル層21Bにレーザ光を照射することにより、第2セル層21Bの一部を加熱してバイパス部41が形成される。
光電変換装置1に光、例えば太陽光が入射されると、各発電セル3における第1セル層21Aおよび第2セル層21Bにおいて太陽光が電気エネルギに変化され、発電が行われる。
影に入った発電セル3では太陽光が入射しないため発電が行われない。一方、太陽光が入射する発電セルでは発電が行われる。直列に接続された発電セル3において、太陽光が入射する発電セル3と、入射しない発電セル3とが存在すると、太陽光が入射する発電セル3により発電された電圧が、入射しない発電セル3に印加される。つまり、発電を行わない影に入った発電セル3に逆方向の電圧が印加される。
つまり、バイパス部41におけるアモルファスi層23Aの実質的な層厚、および、微結晶i層23Bの実質的な層厚が他の領域と比較して薄いため、逆方向電圧が印加されたときの電界が強くなり、トンネル電流が流れ始める電圧が下がる(図19参照。)。そのため、暗状態で逆電圧が印加された場合における漏れ電流が増加する。
このようにすることで、加熱工程においてバイパス部41の形成に必要とされる熱量を削減することができる。
例えば、太陽電池として微結晶シリコンをはじめとする結晶質シリコン太陽電池や、シリコンゲルマニウム太陽電池、また、アモルファスシリコン太陽電池と結晶質シリコン太陽電池やシリコンゲルマニウム太陽電池とを各1〜複数層に積層させた多接合型(タンデム型)太陽電池のような他の種類の薄膜太陽電池にも同様に適用可能である。
更に本発明は、金属基板などのような非透光性基板上に製造された、基板とは反対の側から光が入射するタイプの太陽電池にも同様に適用可能である。
11 基板(透光性基板)
12 透明電極層
13 光電変換層
14 裏面電極層
15 透明電極層溝
16 光電変換層溝
22A アモルファスp層(p型半導体層)
23A アモルファスi層(i型半導体層)
24A アモルファスn層(n型半導体層)
22B 微結晶p層(p型半導体層)
23B 微結晶i層(i型半導体層)
24B 微結晶n層(n型半導体層)
18 接続部
41 バイパス部
Claims (6)
- 透光性基板に、透明電極層と、p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層を有する光電変換層と、裏面電極層とが積層された光電変換モジュールであって、
前記光電変換層には、他の領域と比較して、前記p型半導体層のドーパントおよび前記n型半導体層のドーパントの少なくとも一方が前記i型半導体層に向かって拡散し、前記i型半導体層の領域が狭いバイパス部が設けられていることを特徴とする光電変換モジュール。 - 前記透明電極層には、一の方向に沿って延びる前記透明電極層が除去された透明電極層溝が設けられ、
前記光電変換層には、前記透明電極層部に沿って延びる前記光電変換層が除去された光電変換層溝が設けられ、
前記透明電極層溝および前記光電変換層溝の間に、前記透明電極層と前記裏面電極層とを電気的に接続する接続部が設けられ、
前記バイパス部は、前記透明電極層溝の近傍であって、前記光電変換層溝と反対側の位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光電変換モジュール。 - 前記バイパス部は、前記透明電極加工溝に沿って離散的に配置されていることを特徴とする請求項2記載の光電変換モジュール。
- 透光性基板に、透明電極層と、p型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層を有する光電変換層と、裏面電極層とが積層された光電変換モジュールの製造方法であって、
前記光電変換層の一部に熱を加え、前記p型半導体層のドーパントおよび前記n型半導体層のドーパントの少なくとも一方を前記i型半導体層に向かって拡散させたバイパス部を形成する加熱工程を有することを特徴とする光電変換モジュールの製造方法。 - 前記加熱工程の前に、
前記光電変換層を前記p型半導体層のドーパントおよび前記n型半導体層のドーパントの拡散が起きる温度より低い所定温度まで加熱する予熱工程を有することを特徴とする請求項4記載の光電変換モジュールの製造方法。 - 前記加熱工程において、前記光電変換層にエネルギ線を照射することにより、前記光電変換層の一部に熱を加えることを特徴とする請求項4または5に記載の光電変換モジュールの製造方法。
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