JP4436077B2 - 消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法 - Google Patents

消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法に関し、特に、溶接電源装置の出力端子間に設けられたコンデンサからの急峻な放電電流によってアークスタート性を良好にする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8は、コンデンサからの急峻な放電電流を利用した消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法を実施するための溶接電源装置のブロック図である。以下、同図を参照して説明する。
【0003】
溶接開始回路STは、溶接開始信号Stを出力(Highレベル)する。この溶接開始回路STとしては、溶接トーチに設けられたトーチトーチスイッチ回路が対応する。また、ロボット溶接では、この溶接開始信号Stはロボット制御装置から溶接電源装置に入力される。主制御回路MCは、上記の溶接開始信号Stを入力して、出力電圧Voを制御する出力制御信号Mcを出力すると共に、図示していないが溶接ワイヤ1の送給を制御する。電源主回路PMは、商用交流電源(3相200V等)を入力して、上記の出力制御信号Mcに従ってインバータ制御等の出力制御を行い、正電圧端子(+)と負電圧端子(−)との間に直流の出力電圧Voを出力する。リアクトルWLは、上記の出力電圧Voを平滑する。溶接ワイヤ1は、ワイヤ送給装置の送給ロール5の回転によって溶接トーチ4を通って送給されて、母材2との間にアーク3が発生する。
【0004】
電圧検出回路VDは、溶接電圧を検出して電圧検出信号Vdを出力する。接触判別回路SDは、上記の電圧検出信号Vdを入力して、溶接ワイヤ1と母材2とが接触しているときにHighレベルとなる接触判別信号Sdを出力する。充電制御回路CCは、上記の溶接開始信号St及び上記の接触判別信号Sdを入力して、溶接開始信号StがHighレベル(開始)でありかつ接触判別信号SdがLowレベル(非接触)であるときに充電制御信号Ccを出力(Highレベル)する。充電用サイリスタSCRは、上記の充電制御信号Ccが入力されると、導通状態になり充電電流を通電する。コンデンサCは、充電電流によって充電され、溶接ワイヤ1と母材2とが接触すると整流器DRを通って放電電流を通電する。上記の充電用サイリスタSCRのアノード及び上記の整流器DRのカソードは、上記のリアクトルWLを通過した側A1に接続される。上記の充電電流は、電源主回路PMの正電圧端子(+)→リアクトルWL→充電用サイリスタSCR→コンデンサCの正極性→負極性→電源主回路PMの負電圧端子(−)を経路として通電する。他方、上記の放電電流は、コンデンサCの正極性→整流器DR→溶接ワイヤ1→母材2→コンデンサCの負極性を経路として通電する。
【0005】
図9は、上述した溶接電源装置の各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの、同図(B)は溶接ワイヤ先端と母材との距離Lwの、同図(C)は充電制御信号Ccの、同図(D)は接触判別信号Sdの、同図(E)は出力電圧Voの、同図(F)はコンデンサの充電電圧Vcの、同図(G)は溶接電流Iwのアークスタート時の時間変化を示す。同図は、溶接開始時点において、溶接ワイヤと母材とが離れている場合(非接触の場合)、すなわちワイヤ先端・母材間距離Lw>0の場合である。同図の動作が、上述した溶接電源装置の通常の動作である。以下、同図を参照して説明する。
【0006】
▲1▼ 時刻t1〜t3の期間
同図(A)に示すように、時刻t1において、溶接開始信号Stが出力(Highレベル)されると、同図(E)に示すように、出力電圧Voが出力されると共に、溶接ワイヤの送給が開始される。この時点t1において、同図(B)に示すように、溶接ワイヤ先端と母材とは離れているために、同図(D)に示すように、接触判別信号SdはLowレベル(非接触)となる。したがって、時刻t1時点では、St=Highレベル(開始)かつSd=Lowレベル(非接触)であるので、同図(C)に示すように、充電制御信号Ccは短時間Highレベルとなり、充電用サイリスタが導通し充電電流が通電する。これにより、同図(F)に示すように、コンデンサの充電電圧Vcは大きくなり、時刻t2においてフル充電されて最大値(70〜150V程度)に達する。この最大値は、出力電圧Voの最大値(無負荷電圧値)となる。コンデンサがフル充電されると充電電流は通電しなくなり、充電用サイリスタは遮断状態になる。また、同図(B)に示すように、送給によって溶接ワイヤは母材に次第に近づくので、ワイヤ先端・母材間距離Lwは次第に小さくなる。
【0007】
▲2▼ 時刻t3〜t4の期間
同図(B)に示すように、時刻t3において、ワイヤ先端・母材間距離Lwが零となり溶接ワイヤと母材とが接触すると、同図(F)に示すように、充電電圧Vcは負荷が短絡状態にあるので急激に放電されて、時刻t4において放電を終了する。この時刻t3〜t4の放電期間中は、同図(G)に示すように、溶接電流Iwには、急峻で大電流値の放電電流が重畳する。このように、時刻t3において溶接ワイヤが母材に接触した瞬間に急峻な放電電流が通電するために、アークが確実に発生して良好なアークスタートとなる。すなわち、アークスタート性を向上させる目的で、コンデンサからの放電電流を利用している。
【0008】
上記は溶接開始時点において溶接ワイヤと母材とが離れており、両者が接触するまでの期間にコンデンサに充電することができる通常の場合である。しかし、タック溶接等のように短い周期で溶接開始/停止を繰り返すような溶接では、作業性を良くするために溶接開始時点においてワイヤ先端を母材に接触させてアークスタートさせるいわゆる接触アークスタートを行うことが多い。また、通常の溶接においても、前回の溶接終了時のワイヤ先端状態によっては、今回の溶接において接触アークスタートになってしまうこともときどき発生する。この接触アークスタートでは、ワイヤ先端が始めから母材と接触しているために、コンデンサを充電する期間が存在しない。この結果、コンデンサは充電されず、放電電流も通電しない。
【0009】
図10は、上述した図9において接触アークスタートを行った場合のタイミングチャートである。同図(A)〜(G)の各信号は図9と同一である。以下、同図を参照して説明する。
【0010】
同図(A)に示すように、時刻t1において、溶接開始信号Stが出力(Highレベル)される。接触アークスタートの場合であるので、同図(B)に示すように、ワイヤ先端・母材間距離Lwは始めから零となる。このために、同図(D)に示すように、接触判別信号SdはHighレベル(接触)となり、同図(C)に示すように、充電制御信号CcはLowレベルのままで出力されない。この結果、充電用サイリスタは導通しない。したがって、同図(F)に示すように、コンデンサの充電電圧Vcは上昇せず、同図(G)に示すように、溶接電流Iwには放電電流が重畳しない遅い立ち上がりの電流変化となる。すなわち、接触アークスタートにおいては、コンデンサからの放電電流が重畳されないために、コンデンサを有しないアークスタートと同様になる。(上述した従来技術については、例えば、特許文献1及び2を参照。)
【0011】
【特許文献1】
特開昭61−78569号公報
【特許文献2】
特開昭61−103677号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、接触アークスタートにおいては、コンデンサへの充電期間を確保することができないために、アークスタート時の溶接電流に放電電流は重畳されない。したがって、図10(G)に示すように、アークスタート時の電流立ち上がりが遅いために、溶接ワイヤと母材との接触状態が長く解除されずに長期接触を伴う円滑でないアークスタートとなる。長期接触を伴うアークスタートになると、アークスタート時に大粒のスパッタが発生し、アークスタート時のアーク発生タイミングが遅れ、アークスタート部の溶接品質が悪くなる。
【0013】
そこで、本発明では、接触アークスタートにおいて長期接触を伴うアークスタートを抑制し良好なアークスタート性を得ることができる消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法を提供する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法であって、直流電圧を出力する正電圧端子と負電圧端子とを有する電源主回路と、前記正電圧端子に直列に接続されるリアクトルと、前記リアクトルを通過した側に接続される充電電流を導通/遮断する充電用スイッチング素子と、前記充電用スイッチング素子と直列に接続されて前記充電用スイッチング素子の側を正極性に前記負電圧端子を負極性に接続するコンデンサと、前記コンデンサの正極性にアノードを前記リアクトルを通過した側にカソードを接続する放電電流を通電する整流器と、前記リアクトルを通過した側と負荷との間に直列に接続される主回路遮断用スイッチング素子と、を備え、
溶接開始信号が入力されると、前記主回路遮断用スイッチング素子を遮断状態にしたままで、前記電源主回路の出力を開始すると共に溶接ワイヤの送給を開始し、同時に前記充電用スイッチング素子を導通させて前記コンデンサを充電し、続いて前記コンデンサの充電が完了する予め定めた充電期間が経過すると、前記主回路遮断用スイッチング素子を導通させ、前記溶接ワイヤと母材とが接触すると前記コンデンサから前記整流器及び前記主回路遮断用スイッチング素子を通って急峻な放電電流が負荷に通電されてアークスタートすることを特徴とする消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法である。
【0015】
また、請求項2の発明は、前記溶接開始信号が入力された時点で溶接ワイヤが母材と接触しているときは、前記溶接ワイヤの送給を前記充電期間が経過した時点から開始することを特徴とする請求項1記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法である。
また、請求項3の発明は、充電用スイッチング素子を電源主回路の正電圧端子とコンデンサの正極性との間に接続する請求項1又は請求項2記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法である。
【0016】
また、請求項4の発明は、電源主回路の負電圧端子に直列に接続されるリアクトルと、前記リアクトルを通過した側に接続される充電電流を導通/遮断する充電用スイッチング素子と、前記充電用スイッチング素子と直列に接続されて前記充電用スイッチング素子の側を負極性に前記電源主回路の正電圧端子を正極性に接続するコンデンサと、前記コンデンサの負極性にカソードを前記リアクトルを通過した側にアノードを接続する放電電流を通電する整流器と、前記コンデンサの正極性と前記電源主回路の正電圧端子との接続点と負荷との間に直列に接続される主回路遮断用スイッチング素子とを備えた請求項1又は請求項2記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法である。
【0017】
また、請求項5の発明は、充電用スイッチング素子を電源主回路の負電圧端子とコンデンサの負極性との間に接続する請求項4記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0019】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法を実施するための溶接電源装置のブロック図である。同図において、上述した図8と同一のブロックには同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図8とは異なる点線で示す第2充電制御回路CC2、駆動回路DV及び主回路遮断用トランジスタTRについて説明する。
【0020】
第2充電制御回路CC2は、溶接開始信号Stが入力(Highレベル)されると、充電用サイリスタSCRを導通させる充電制御信号Ccを出力する。駆動回路DVは、溶接開始信号Stが入力(Highレベル)された時点から予め定めた充電期間Tc経過後に主回路遮断用トランジスタTRを導通させる駆動信号Dvを出力する。主回路遮断用トランジスタTRは、リアクトルWLを通過した側A1と溶接電源装置の正出力端子B1との間に直列に挿入されて、上記の駆動信号Dvによって主回路の遮断/導通を行う。同図において、主回路遮断用スイッチング素子として、トランジスタTRの場合を示したが、サイリスタ、FET、IGBT等の種々のスイッチング素子を使用することができる。また、上記の主回路遮断用トランジスタTRの挿入位置は、溶接電源装置の負出力端子B2側でも同様である。
【0021】
図2は、上述した溶接電源装置の各信号のタイミングチャートである。同図(A)は溶接開始信号Stの、同図(B)は溶接ワイヤ先端と母材との距離Lwの、同図(C)は充電制御信号Ccの、同図(D)は駆動信号Dvの、同図(E)は出力電圧Voの、同図(F)はコンデンサの充電電圧Vcの、同図(G)は溶接電流Iwのアークスタート時の時間変化を示す。同図は、上述した図9に対応しており、同図(D)の駆動信号Dvが異なっている。また、同図は、図9と同様に、溶接開始時点において、溶接ワイヤと母材とが離れている場合(非接触の場合)、すなわちワイヤ先端・母材間距離Lw>0の場合である。以下、同図を参照して説明する。
【0022】
▲1▼ 時刻t1〜t3の期間
同図(A)に示すように、時刻t1において、溶接開始信号Stが出力(Highレベル)されると、同図(E)に示すように、出力電圧Voが出力されると共に、溶接ワイヤの送給が開始される。また、同図(D)に示すように、駆動信号Dvは、この時点t1から予め定めた充電期間Tcが経過する時刻t21までは出力されないために、主回路遮断用トランジスタTRは遮断状態のままである。上記の充電期間Tcは、無負荷電圧によってコンデンサがほぼ充電される時間に設定される。したがって、溶接ワイヤ先端と母材とが離れていても接触していても、主回路遮断用トランジスタによって主回路は遮断されるために、無負荷状態となる。また、同図(C)に示すように、充電制御信号Ccは、同図(A)に示す溶接開始信号Stが出力(Highレベル)されると短時間Highレベルとなり、充電用サイリスタが導通して充電電流が通電する。このために、同図(F)に示すように、コンデンサの充電電圧Vcは大きくなり、時刻t2においてフル充電される。また、同図(B)に示すように、送給によって溶接ワイヤは母材に次第に近づくので、ワイヤ先端・母材間距離Lwは次第に小さくなる。そして、同図(D)に示すように、時刻t21において充電期間Tcが経過するので、駆動信号DvがHighレベルとなり、主回路遮断用トランジスタが導通状態となる。しかし、まだこの時点t21では、同図(B)に示すように、溶接ワイヤと母材とは離れているために無負荷状態のままである。
【0023】
▲2▼ 時刻t3〜t4の期間
同図(B)に示すように、時刻t3において、ワイヤ先端・母材間距離Lwが零となり溶接ワイヤと母材とが接触すると、同図(F)に示すように、充電電圧Vcは負荷が短絡状態になるので急激に放電されて、時刻t4において放電を終了する。この時刻t3〜t4の放電期間中は、同図(G)に示すように、溶接電流Iwには、急峻で大電流値の放電電流が重畳する。このように、時刻t3において溶接ワイヤが母材に接触した瞬間に急峻な放電電流が通電するために、アークが確実に発生して良好なアークスタートとなる。
【0024】
上述したように、溶接開始後、溶接ワイヤが送給されて母材と接触するまでのワイヤ接触期間(t1〜t3)が充電期間Tcよりも長い場合には、図9の動作と同一になる。しかし、ワイヤ接触期間が充電期間Tcよりも短くなると動作が異なり、本発明の特有な効果が発揮される。以下、ワイヤ接触期間が零となる接触アークスタートの場合について説明する。
【0025】
図3は、接触アークスタート時のタイミングチャートである。同図(A)〜(G)の各信号は上述した図2と同一である。以下、同図を参照して説明する。
【0026】
同図(A)に示すように、時刻t1において、溶接開始信号Stが出力(Highレベル)されると、同図(E)に示すように、出力電圧Voが出力されると共に、溶接ワイヤの送給も開始される。このときに、同図(D)に示すように、時刻t1から充電期間Tcが経過する時刻t21までは駆動信号Dvは出力されないために、主回路遮断用トランジスタは遮断状態のままである。このために、溶接ワイヤと母材とが接触状態にあっても、主回路遮断用トランジスタによって主回路が遮断されて無負荷状態になる。したがって、同図(F)に示すように、コンデンサの充電電圧は無負荷電圧によって充電され大きくなり、時刻t2でフル充電されて最大値となる。
【0027】
次に、同図(D)に示すように、時刻t21において充電期間Tcが経過すると、駆動信号Dvが出力(Highレベル)されて、主回路遮断用トランジスタは導通状態になる。このときに、溶接ワイヤと母材とは始めから接触しているために、同図(F)に示すように、コンデンサは放電されて、充電電圧Vcは小さくなる。この結果、同図(G)に示すように、時刻t21から急峻な放電電流が溶接電流Iwに重畳する。
【0028】
このように、本発明では、接触アークスタートにおいてもコンデンサを充電して放電電流を通電することができるので、良好なアークスタート性を得ることができる。また、上記はワイヤ接触期間が零の場合であるが、この期間がコンデンサの充電に必要な期間よりも短い場合、すなわち、溶接開始時点でのワイヤ先端と母材とが接近している場合にも効果を奏する。従来技術ではこのような場合、コンデンサが不十分にしか充電されていない状態で放電することになり、放電電流の値が小さくなる。しかし、本発明では、常にコンデンサをフル充電した後に放電するので、放電電流の値は常に最大値となる。この結果、ワイヤ接触期間の長さに関わらずアークスタート性は常に良好となる。また、上記の充電期間Tcは、出力電圧Voの値、コンデンサの容量等によって変化するので、適正値に設定する。充電期間Tcは、ほぼコンデンサがフル充電される時間に設定するが、それ以上の時間に設定してもよい。また、上記の充電期間Tc中は溶接ワイヤの送給を停止したままとし、充電期間Tc経過後から送給を開始するようにしてもよい。これは、接触アークスタートでは溶接ワイヤが母材に始めから接触しているので、この状態で送給が継続されると溶接ワイヤのワイヤ突出し部が歪曲して溶接狙い位置がずれることもあるためである。
【0029】
[実施の形態2]
図4は、本発明の実施の形態2に係る消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法を実施するための溶接電源装置のブロック図である。同図において、充電用サイリスタSCR以外のブロックは上述した図1と同一である。実施の形態2では、充電用サイリスタSCRのアノードをリアクトルWLを通過した側A1ではなく電源主回路PMの正電圧端子(+)に接続する。各信号の動作は、上述した図2及び3と同様である。たたし、アノード接続位置の変更によって、コンデンサCの充電電流がリアクトルWLを通過しないので、充電に要する時間が短くなる。したがって、それに対応して上記の充電期間Tcを短く設定することができる。この結果、溶接開始信号の出力から溶接電流が通電してアークスタートするまでの時間を短くすることができ、生産効率を高めることができる。
【0030】
[実施の形態3]
図5は、本発明の実施の形態3に係る消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法を実施するための溶接電源装置のブロック図である。同図は、リアクトルWL、充電用サイリスタSCR、コンデンサC、整流器DR、主回路遮断用トランジシタTRの接続位置を上述した図1から変更したものである。各信号の動作は上述した図2及び3と同様である。以下、接続変更について同図を参照して説明する。
【0031】
リアクトルWLは、電源主回路PMの負電圧端子(−)に直列に接続される。充電用サイリスタSCRは、上記のリアクトルWLを通過した側A2に接続される。コンデンサCは、充電用サイリスタSCRと直列に接続されて、上記の充電用サイリスタSCRの側を負極性に、上記の電源主回路PMの正電圧端子(+)を正極性に接続する。整流器DRは、上記のコンデンサCの負極性にカソードを、上記のリアクトルWLを通過した側A2にアノードを接続する。主回路遮断用トランジスタTRは、図1と同様に、電源主回路PMの正電圧端子(+)と上記のコンデンサCの正極性との接続点A3と正出力端子B1との間に接続される。この主回路遮断用トランジスタTRの挿入位置は、上述した実施の形態1と同様に、負出力端子側でも良い。
【0032】
[実施の形態4]
図6は、本発明の実施の形態4に係る消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法を実施するための溶接電源装置のブロック図である。同図は、上述した図5とは充電用サイリスタSCRのカソードの接続位置が異なる。カソードをリアクトルWLを通過した側A2ではなく電源主回路PMの負電圧端子(−)に接続する。これは、上述した実施の形態2と同様に、コンデンサCの充電に要する時間を短縮することができるので、充電期間Tcを短く設定することができる。このために、溶接開始信号Stが出力されてから実際にアークスタートするまでの時間を短くすることができ、生産効率を高めることができる。
【0033】
[効果]
図7は、本発明の効果の一例を示すための接触アークスタートを行ったときに長期接触が発生しない良好アークスタートとなる比率を比較した図である。溶接条件は、鉄鋼の炭酸ガスアーク溶において、溶接電流を150Aに、溶接電圧を19Vに設定して、わざと溶接ワイヤと母材とを接触させて接触アークスタートをした場合である。同図から明らかなように、従来技術では、約40%が良好アークスタートであり、残りの約60%は長期接触を伴うアークスタートであった。これに対して、本発明では、約90%が良好アークスタートとなった。このように、本発明は、接触アークスタート時のアークスタート性が大幅に改善された。
【0034】
【発明の効果】
本発明の消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法によれば、接触アークスタートにおいてもコンデンサにフル充電して急峻な放電電流を溶接電流に重畳することによって、接触アークスタートのアークスタート性を大幅に改善することができる。さらに、溶接開始時のワイヤ先端・母材間距離が短い場合でも常にコンデンサをフル充電することができるので、放電電流の値が常に最大値になり良好なアークスタート性を得ることができる。
【0035】
また、請求項2及び4記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法によれば、コンデンサへの充電に要する時間を短くすることができるので、溶接開始信号の出力から実際のアークスタートまでの時間を短縮して生産効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る溶接電源装置のブロック図である。
【図2】実施の形態1における非接触アークスタート時のタイミングチャートである。
【図3】実施の形態1における接触アークスタート時のタイミングチャートである。
【図4】実施の形態2に係る溶接電源装置のブロック図である。
【図5】実施の形態3に係る溶接電源装置のブロック図である。
【図6】実施の形態4に係る溶接電源装置のブロック図である。
【図7】本発明の効果の一例を示す接触アークスタート時の良好アークスタート率の比較図である。
【図8】従来技術における溶接電源装置のブロック図である。
【図9】従来技術における非接触アークスタート時のタイミングチャートである。
【図10】従来技術における接触アークスタート時のタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 溶接ワイヤ
2 母材
3 アーク
4 溶接トーチ
5 送給ロール
A1、A2 リアクトルを通過した側
B1 正出力端子
B2 負出力端子
C コンデンサ
CC 充電制御回路
Cc 充電制御信号
CC2 第2充電制御回路
DR 整流器
DV 駆動回路
Dv 駆動信号
Iw 溶接電流
Lw ワイヤ先端・母材間距離
MC 主制御回路
Mc 出力制御信号
PM 電源主回路
SCR 充電用サイリスタ
SD 接触判別回路
Sd 接触判別信号
ST 溶接開始回路
St 溶接開始信号
Tc 充電期間
TR 主回路遮断用トランジスタ
Vc 充電電圧
VD 電圧検出回路
Vd 電圧検出信号
Vo 出力電圧
WL リアクトル

Claims (5)

  1. 消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法であって、直流電圧を出力する正電圧端子と負電圧端子とを有する電源主回路と、前記正電圧端子に直列に接続されるリアクトルと、前記リアクトルを通過した側に接続される充電電流を導通/遮断する充電用スイッチング素子と、前記充電用スイッチング素子と直列に接続されて前記充電用スイッチング素子の側を正極性に前記負電圧端子を負極性に接続するコンデンサと、前記コンデンサの正極性にアノードを前記リアクトルを通過した側にカソードを接続する放電電流を通電する整流器と、前記リアクトルを通過した側と負荷との間に直列に接続される主回路遮断用スイッチング素子と、を備え、
    溶接開始信号が入力されると、前記主回路遮断用スイッチング素子を遮断状態にしたままで、前記電源主回路の出力を開始すると共に溶接ワイヤの送給を開始し、同時に前記充電用スイッチング素子を導通させて前記コンデンサを充電し、続いて前記コンデンサの充電が完了する予め定めた充電期間が経過すると、前記主回路遮断用スイッチング素子を導通させ、前記溶接ワイヤと母材とが接触すると前記コンデンサから前記整流器及び前記主回路遮断用スイッチング素子を通って急峻な放電電流が負荷に通電されてアークスタートすることを特徴とする消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法。
  2. 前記溶接開始信号が入力された時点で溶接ワイヤが母材と接触しているときは、前記溶接ワイヤの送給を前記充電期間が経過した時点から開始することを特徴とする請求項1記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法。
  3. 充電用スイッチング素子を電源主回路の正電圧端子とコンデンサの正極性との間に接続する請求項1又は請求項2記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法。
  4. 電源主回路の負電圧端子に直列に接続されるリアクトルと、前記リアクトルを通過した側に接続される充電電流を導通/遮断する充電用スイッチング素子と、前記充電用スイッチング素子と直列に接続されて前記充電用スイッチング素子の側を負極性に前記電源主回路の正電圧端子を正極性に接続するコンデンサと、前記コンデンサの負極性にカソードを前記リアクトルを通過した側にアノードを接続する放電電流を通電する整流器と、前記コンデンサの正極性と前記電源主回路の正電圧端子との接続点と負荷との間に直列に接続される主回路遮断用スイッチング素子とを備えた請求項1又は請求項2記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法。
  5. 充電用スイッチング素子を電源主回路の負電圧端子とコンデンサの負極性との間に接続する請求項4記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接のアークスタート制御方法。
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