JP4435166B2 - 複合撚りコアスパンヤーンならびにその製造方法および装置 - Google Patents
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Description
本発明によると、実質的に非伸張性および無トルクの複合ヤーン10は、カバーリング30を有する本質的に非伸張性の中央ハードコア20を用いて加撚紡績される。
図1に概略的に示されるように、本発明による複合ヤーン10は、矢印で示されるように、実質的に等しく反対方向のコア20のトルクT1とカバー30のT2との「相殺」によって実質的に無トルクである。実質的に無トルクである本発明の複合ヤーンは撚れにくい。さらに、2本の実質的に無トルクのヤーン10(またはヤーンの部分)が接触したときに、これらはしわになりにくい。
Jコア=π/32d4 コアおよびJカバーリング=π/32(d4 合計−d4 コア)
として定義することができる。
T(加えられるねじれのモーメント)=G(材料の慣性率)×J(慣性モーメント)×φ(1メートルあたりの回数)
によって生じる。
φコア中に残存/φ最終ヤーン=Gカバーリング材料/Gコア材料×Jカバーリング/Jコア
によって達成される。
α=撚り/(1000/tex)−1/2、および
tex=1000×質量(g)/長さ(m)である。
撚り=α√Nm
撚り=80(100)1/2=800tpmである。
撚り=80(25)1/2=400tpmである。
比較のために、図3は、欧州特許第0271418号明細書の方法で製造された複合撚りスパンヤーン10’を図式で示す。この方法で製造されたヤーン10’は、カバーリング30’を有するコア20’、特にアラミドコアを含んでなる。各ヤーンは、その臨界ねじれ係数よりもかなり低いコア20’のねじれ係数で紡績される。カバーリング繊維30’は、ヤーン10’の総ねじれ係数がその臨界ねじれ係数よりも小さくなるように、コア20’上に紡績される。これにより、撚りt2で同一方向に撚りが掛けられたカバーリング30’によって包囲された撚りt1のコア20’を有する撚りスパンヤーンがもたらされる。個々のヤーン10’はそれぞれ撚りが掛けられるので、中立的なトルクを有する複合ヤーンを製造するために、図3に示されるように、t1、t2とは反対に加えられた撚りT1で反対方向に一緒に撚ることによって、紡績後に2本の被覆ヤーン10’を組み合わせなければならない。これは、無トルクである全体的なデュアルヤーンを生じるが、これは二段階の紡績方法を意味する。
上記の実質的に非伸張性で実質的に無トルクの撚りスパン複合ヤーン10の製造方法において、カバーリング30のための繊維供給物を構成する2本のスライバー30Aおよび30Bは、図4Aおよび4Bに示されるように、中央ハードコア20に対して角度θで傾斜したスピニングトライアングル40に供給される。スライバー30A、30Bは、速度Vでスピニングトライアングル40に供給され、コア20は、k.V.cosθに近い速度でスピニングトライアングル40に供給される。ここでkはコア20の解撚の伸びを補償する上記の因子である。
この実施例は、梳毛紡績とも呼ばれるロングステープル加工用に設計されたPK600型アームを備えた実験室用紡績機、スピンテスター(spinntester)SKF82において実施した。
この比較例は、特別な溝付き供給ローラを標準的な溝のない供給ローラで置き換え、コアヤーンを正の駆動を用いて制御された速度で供給せず、通常の方法で供給ローラ(シリンダ)上でコアヤーンを供給した点を除いて、実施例1の条件を繰り返した。
実施例3は、コアがイエローケブラー(KEVLAR(登録商標))であったという事実を除いて、実施例1を繰り返す。メインドラフト値を28に調整した。また、異なるリングトラベラーを用いることによって、スパンヤーンのヤーン張力をわずかに増大させた。
この比較例は、特別な溝付き供給ローラを標準的な溝のない供給ローラで置き換え、コアヤーンを正の駆動を用いて制御された速度で供給せず、通常の方法で供給ローラ(シリンダ)上でコアヤーンを供給した点を除いて、実施例3の条件を繰り返した。
この実施例は、本発明に従って動作して、ポリ(メタフェニレンイソフタルイミド)(MPD−I)ステープル繊維のコア(20)と、商標「レンジング(Lenzing)FR」で入手可能な難燃性の無塩素リンおよび硫黄含有顔料を取り込んだ再生セルロース繊維である捲縮難燃性ビスコース(FRV)のカバーリング(30)とを有する高視認性の複合ヤーンを製造するように特別に適合されたフルサイズの市販の紡績機において実施した。
本発明の好適な態様は次のとおりである。
1. デュアルスパン繊維カバーリングで被覆された中央ハードコアを有する実質的に無トルクの複合デュアルコアスパンヤーンであって、中央ハードコアがISO2062の方法論に従って測定される50%未満の破断伸びを有すると共にZ撚りまたはS撚りを有し、繊維カバーリングが、コアと反対のS撚りまたはZ撚りで、コア上で撚りが掛けられた繊維を含んでなり、コアとカバーリングの反対方向の撚りが、反対方向の実質的に等しいトルクを与える複合デュアルコアスパンヤーン。
2. コアが、モノフィラメント、マルチフィラメント、スパンヤーンおよびこれらの複合体よりなる群から選択される上記1に記載の複合コアスパンヤーン。
3. コアおよび繊維カバーリングが、それぞれ独立して、ガラス、金属、合成繊維およびフィラメント、炭素マルチフィラメントおよび繊維、人工繊維、天然繊維、帯電防止繊維ならびにこれらの複合体よりなる群から選択される材料で製造される上記1または2に記載の複合コアスパンヤーン。
4. コアが、アラミド繊維で製造される上記3に記載の複合コアスパンヤーン。
5. カバーリングが、ビスコース繊維で製造される上記3または4に記載の複合コアスパンヤーン。
6. コアが、カバーリングによって少なくとも90%被覆される上記1〜5のいずれか一項に記載の複合コアスパンヤーン。
7. コアが、ヤーンの10〜30重量%を構成する上記1〜6のいずれか一項に記載の複合コアスパンヤーン。
8. 繊維カバーリングが、高視認性、低摩擦、補強、耐光堅牢性、美的外観、UV保護、コアの保護、耐摩耗性、耐熱性、熱性能、耐火性、溶融金属の付着に対する保護、付着性、帯電防止効果、抗菌作用および快適性のうちの少なくとも1つを提供する機能性カバーリングである上記1〜7のいずれか一項に記載の複合コアスパンヤーン。
9. コアが、35〜60回×g1/2×m-3/2の範囲の撚り係数αを有し、式中、
α=撚り/(1000/tex)-1/2、および
tex=1000×質量(g)/長さ(m)
である上記1〜8のいずれか一項に記載の複合ヤーン。
10. 上記1〜9のいずれか一項に記載の複合コアスパンヤーンから織った布または編んだ布。
11. デュアルスパン繊維カバーリングで被覆された中央ハードコアを有する実質的に無トルクの複合デュアルコアスパンヤーンの製造方法であって、中央ハードコアがISO2062の方法論に従って測定される50%未満の破断伸びを有し、
(a)2本の繊維スライバーを集束させてスピニングトライアングルを形成するステップと、
(b)2本の繊維スライバーを中央コアに対して角度を付けて、中央ハードコアを2本の繊維スライバーの間のスピニングトライアングルに供給するステップであって、供給されたコアがスピニングトライアングルに案内され、完成複合ヤーンの撚りに対して過剰に撚りが掛けられたZ撚りまたはS撚りを有するステップと、
(c)コアをスピニングトライアングルに供給する速度を制御して、スライバーとコアの間の角度を補償し、そしてコアの解撚の伸びを補償するステップと、
(d)供給されて過剰に撚りが掛けられたコアの撚りの約30%〜約70%に相当するコアとは反対のS撚りまたはZ撚りで、コアのまわりに集束された繊維スライバーを紡績して、実質的に無トルクの複合コアスパンヤーンを得るステップと
を含んでなる方法。
12. スライバーが、供給されるコアに対して角度θで傾斜され、スライバーが、速度Vでスピニングトライアングルに供給され、中央ハードコアがk.V.cosθ(式中、kはコアの解撚の伸びを補償する因子である)に近い速度でスピニングトライアングルに供給される上記11に記載の方法。
13. コアが、モノフィラメント、マルチフィラメント、スパンヤーンおよびこれらの複合体よりなる群から選択される上記11または12に記載の方法。
14. コアおよび繊維カバーリングが、それぞれ独立して、ガラス、金属、合成繊維またはフィラメント、炭素マルチフィラメントまたは繊維、人工繊維、天然繊維、帯電防止繊維およびこれらの複合体よりなる群から選択される材料で製造される上記11、12または13に記載の方法。
15. 2本の傾斜したスライバーが、2本の平行なロービングから供給することによって得られる上記11〜14のいずれか一項に記載の方法。
16. コアが、正の駆動によって、あるいは過剰供給されたコアを制動することによって制御された速度で駆動される上記11〜15のいずれか一項に記載の方法。
17. 2本の繊維スライバーが、スライバーのための側面の平滑案内表面を有する供給ローラ上を通過することによってスピニングトライアングルに集束され、コアが、供給ローラの中心に配置された案内溝を通過することによってスピニングトライアングルに案内される上記11〜16のいずれか一項に記載の方法。
18. 供給されるコアは、70〜120回×g1/2×m-3/2の範囲の撚り係数αを有し、式中、
α=撚り/(1000/tex)-1/2、および
tex=1000×質量(g)/長さ(m)であり、
複合デュアルスパンヤーン内のハードコアが、35〜60回×g1/2×m-3/2の範囲の撚り係数αを有する上記11〜17のいずれか一項に記載の方法。
19. デュアルスパン繊維カバーリングで被覆された中央ハードコアを有する実質的に無トルクの複合デュアルコアスパンヤーンを製造するための装置であって、中央ハードコアが、ISO2062の方法論に従って測定される50%未満の破断伸びを有し、コアがZ巻きまたはS巻きを有し、そして繊維カバーリングがコアと反対のS巻きまたはZ巻きを有し、
(a)2本の繊維スライバーをスピニングトライアングルに集束させるための手段と、
(b)前記コアを2本の繊維スライバーの間のスピニングトライアングルに供給するための手段であって、それによって、2本の繊維スライバーをコアに対して角度をつけてコアがスピニングトライアングルに案内され、完成複合ヤーンの撚りに対して過剰に撚りが掛けられたZ巻きまたはS巻きをコアが有する手段と、
(c)コアをスピニングトライアングルに供給する速度を制御して、スライバーとコアの間の角度を補償し、そしてコアの解撚の伸びを補償するための手段と、
(d)供給されて過剰に撚りが掛けられたコアの撚りの約30%〜約70%に相当するコアとは反対のS巻きまたはZ巻きで、コアのまわりに集束された繊維スライバーを紡績して、前記実質的に無トルクの複合コアスパンヤーンを得るための手段と
を含んでなる装置。
20. 2本の繊維スライバーをスピニングトライアングルに集束させるための手段が、スライバーのための側面の平滑案内表面を有する供給ローラを含んでなり、コアをスピニングトライアングルに供給および案内するための手段が、供給ローラの中心に配置された案内溝を含んでなる上記19に記載の装置。
21. 案内溝がほぼU形状の断面であり、案内溝の幅および深さが、コアをその中に受け入れるのに十分である上記20に記載の装置。
22. 供給ローラと協働するセンタリングローラを含んでなり、センタリングローラが、コアを供給ローラの案内溝の中心に案内するように位置決めされた予備案内溝を有する上記20または21に記載の装置。
23. 調整された速度でコアを正に駆動するための手段、あるいは過剰供給されたコアを調整された速度に制動するための手段を含んでなる上記19〜22のいずれか一項に記載の装置。
Claims (4)
- デュアルスパン繊維カバーリングで被覆された中央ハードコアを有する実質的に無トルクの複合デュアルコアスパンヤーンであって、中央ハードコアがISO2062の方法論に従って測定される50%未満の破断伸びを有すると共にZ撚りまたはS撚りを有し、繊維カバーリングが、コアと反対のS撚りまたはZ撚りで、コア上で撚りが掛けられた繊維を含んでなり、コアとカバーリングの反対方向の撚りが、反対方向の実質的に等しいトルクを与える複合デュアルコアスパンヤーン。
- 請求項1に記載の複合コアスパンヤーンから織った布または編んだ布。
- デュアルスパン繊維カバーリングで被覆された中央ハードコアを有する実質的に無トルクの複合デュアルコアスパンヤーンの製造方法であって、中央ハードコアがISO2062の方法論に従って測定される50%未満の破断伸びを有し、
(a)2本の繊維スライバーを集束させてスピニングトライアングルを形成するステップと、
(b)2本の繊維スライバーを中央コアに対して角度を付けて、中央ハードコアを2本の繊維スライバーの間のスピニングトライアングルに供給するステップであって、供給されたコアがスピニングトライアングルに案内され、完成複合ヤーンの撚りに対して過剰に撚りが掛けられたZ撚りまたはS撚りを有するステップと、
(c)コアをスピニングトライアングルに供給する速度を制御して、スライバーとコアの間の角度を補償し、そしてコアの解撚の伸びを補償するステップと、
(d)供給されて過剰に撚りが掛けられたコアの撚りの約30%〜約70%に相当するコアとは反対のS撚りまたはZ撚りで、コアのまわりに集束された繊維スライバーを紡績して、実質的に無トルクの複合コアスパンヤーンを得るステップと
を含んでなる方法。 - デュアルスパン繊維カバーリングで被覆された中央ハードコアを有する実質的に無トルクの複合デュアルコアスパンヤーンを製造するための装置であって、中央ハードコアが、ISO2062の方法論に従って測定される50%未満の破断伸びを有し、コアがZ巻きまたはS巻きを有し、そして繊維カバーリングがコアと反対のS巻きまたはZ巻きを有し、
(a)2本の繊維スライバーをスピニングトライアングルに集束させるための手段と、
(b)前記コアを2本の繊維スライバーの間のスピニングトライアングルに供給するための手段であって、それによって、2本の繊維スライバーをコアに対して角度をつけてコアがスピニングトライアングルに案内され、完成複合ヤーンの撚りに対して過剰に撚りが掛けられたZ巻きまたはS巻きをコアが有する手段と、
(c)コアをスピニングトライアングルに供給する速度を制御して、スライバーとコアの間の角度を補償し、そしてコアの解撚の伸びを補償するための手段と、
(d)供給されて過剰に撚りが掛けられたコアの撚りの約30%〜約70%に相当するコアとは反対のS巻きまたはZ巻きで、コアのまわりに集束された繊維スライバーを紡績して、前記実質的に無トルクの複合コアスパンヤーンを得るための手段と
を含んでなる装置。
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