JP4431779B2 - 推力方向制御機構を有するイオンエンジン - Google Patents

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Description

本発明は、例えば人工衛星等の宇宙構造物に搭載されるイオンエンジンに関する。
人工衛星等の宇宙構造物の軌道制御や主推進等に用いられる宇宙用の推進機関としてイオンエンジンが採用されている。このような推進用のイオンエンジンとして、電子衝撃型イオンエンジンがあるが、その主要部は、通常、図6に示すように構成されている。図6は、この発明の基盤となる特許文献1に開示されているイオンエンジンの概略を示したものである。
特開平11−280640号公報(段落[0002]〜[0008],[0023]〜[0028]、図1、図2及び図7)
図6において、円筒状に形成されたシールドケース1には小孔2が多数形成されている。シールドケース1内には磁性材料で壁面を構成した放電容器3が同心的に配置されている。放電容器3の開口部は、穴あきグリッド板4によって蓋されている。穴あきグリッド板4は後述するように2枚のグリッド板4a,4bから成り、グリッド板4a,4bには丸形のイオンビーム通過孔5が多数形成されている。放電容器3の底壁中央部には小径の開口部6が形成されており、開口部6は筒体7を介してガス導入系8に通じている。そして、筒体7内にはホローカソード9が配置されている。また、放電容器3の内壁面には環状の磁石10が複数固定されている。
このような電子衝撃型イオンエンジンでは、ホローカソード9に対して放電容器3が陽極電位に保たれる。この状態で推進剤(例えばキセノン)ガスがガス導入系8から導入されると、ホローカソード9と放電容器3との間に放電が生起され、放電容器3内に電離プラズマが生成される。この電離プラズマは、磁石10の作るカスプ磁場によって放電容器3の内周面から離れた領域に閉じこめられる。グリッド板4は、この電離プラズマから陽イオンを引き出し、1 keV程度の運動エネルギを与えてイオンビーム通過孔5から宇宙空間に放出する。この放出に伴う反力がイオンエンジンの推力となる。中和器11は放出された陽イオンビームと電気的に同量の電子を宇宙空間に放出して中和し、人工衛星等の宇宙構造物が帯電するのを防止する。
イオンビーム引き出しを担うグリッド板4は、放電容器3側から順にスクリーングリッド4aと加速グリッド4bとで構成されており、径方向の熱膨張による変位量を吸収するための電極支持機構12aと12bによって周縁部がそれぞれ複数箇所に亘って支持されている。電極支持機構12aと12bは、放電容器3の軸心線と平行にそれぞれ延びたバネ部材13aと13bによって構成されており、これらのバネ部材13aと13bがそれぞれスクリーングリッド4aと加速グリッド4bに連結されている。これらのバネ部材13aと13bにより、スクリーングリッド4aと加速グリッド4bは、径方向の動きに対してある程度の自由度を有している。
ところで、イオンエンジンを人工衛星等の宇宙構造物に搭載して推進用エンジンとして使用するためには、イオンエンジンが発生する推力の方向を精密に制御する必要がある。この推力方向制御のために、通常はジンバル機構と呼ばれる装置が使用されており、このジンバル機構はイオンエンジンと宇宙構造物との間に取り付けられ、イオンエンジン自体の向きを変えることで、推力の発生方向を制御している。しかしながら、このジンバル機構では、イオンエンジン全体を動かさなければならないために頑丈な構造が必要であり、ジンバル機構自体の重量が大きくなるという問題があった。更に、このジンバル機構では、イオンエンジン全体を動かすため、イオンエンジンと宇宙構造物とをつなぐ推進剤供給用の配管等に柔軟性を与える必要があり、この接続部の構造を複雑にしていた。
このような問題を解決する手段として、図6中のグリッド板4においてイオンビームの噴射方向を変化させることにより、イオンエンジンの推力発生方向を制御する方法がある。図7は、このグリッド板4における通常のイオンビーム噴射状態を、一組のイオンビーム通過孔5について模式的に表したものである。イオンエンジンの通常の動作では、スクリーングリッド4aのイオンビーム通過孔5aと、加速グリッド4bのイオンビーム通過孔5bとは同軸的に配置されており、イオンビームは同軸上に噴射される。
これに対し、図8には、グリッド板4においてイオンビーム偏向を行った場合のイオンビーム噴射状態が、一組のイオンビーム通過孔5について模式的に表されている。図8では、スクリーングリッド4aのイオンビーム通過孔5aと、加速グリッド4bのイオンビーム通過孔5bとの孔中心軸がずれているために、イオンビームの噴射方向が上向きに変化している。このようなイオンビーム偏向が、全てのイオンビーム通過孔5について生じた場合、イオンエンジンが発生する推力の方向も変化する。
図8のような孔軸のずれを全てのイオンビーム通過孔5において生じさせるためには、スクリーングリッド4a又は加速グリッド4bを、放電容器3の軸心線と垂直方向に微少量だけ移動すればよい。しかしながら、スクリーングリッド4aと加速グリッド4bの間隔は1mm以下であり、その間隔を保ったままグリッド板4を微少量移動させる機構を作ることは、動作精度や再現性の点で困難であった。更に、グリッド板4には高電圧が印加されているため、絶縁破壊が起きないような工夫も必要であった。また、実用可能なコンパクトなサイズでグリッド板4を微小移動させる機構を作ることも困難であった。
上記のように、イオンエンジンにおいては、その推力発生方向の制御をするためには、重量の大きなジンバル機構を使用しなければならず、イオンエンジンの取付部が複雑な構造になるという問題があった。更に、この問題を解決し得る、グリッド板でのイオンビーム噴射方向の制御のための機構が開発されていないという問題もあった。
このようなイオンエンジンに関する公知文献としては、特許文献2(放電容器内に設けられたスポイラと呼ばれる部材を半径方向に動かすことにより、電離プラズマの数密度を半径方向に変化させ、イオンビームの偏向を可能とするイオンエンジン)、特許文献3(加速グリッド支持構造の一部に圧電素子を用いることにより、加速グリッド間の電位差を利用してグリッド間の間隔又は各グリッドの中心位置を可変にするイオンエンジンにおける加速グリッドシステム)及び非特許文献1(グリッド板の位置固定用の複数のバネのうちいくつかのバネを加熱することで、それらのバネのバネ定数を変化させ、グリッド板同士の相対位置を変化させるグリッドシステム)等があるが、本発明とはその目的や手法が異なるものである。
米国特許第4277939号明細書 特開平5−126028号公報(段落[0012]〜[0014]、図1〜図3) AIAA paper no. 72-485, Grid-Translation Beam Deflection Systems for 5-cm and 30-cm Diameter Kaufman Thrusters, W. C. Lathem, 9thElectric Propulsion Conference
そこで、イオンエンジンのグリッド板をそれらグリッド板間の微小な間隔を保ったまま、簡単でコンパクトなサイズの機械的機構によって、放電容器の軸心線と垂直方向に微少量だけ移動させることを可能にする点で解決すべき課題がある。
この発明の目的は、イオンエンジンのグリッド板を、グリッド板間の微小な間隔を保ったまま、微少量だけ正確に且つ再現性を保って動かすことが可能なグリッド板の移動機構を開発することにより、移動機構が簡単・軽量でありながら信頼性の高い推力方向制御をすることができるイオンエンジンを提供することである。
上記目的を達成するため、この発明によるイオンエンジンでは、放電容器と、この放電容器の内部に作動ガスを導入するガス導入系と、このガス導入系によって導かれた作動ガスを電離させて前記放電容器内にプラズマを生成する手段と、前記プラズマ中のイオンを引き出し、加速して前記放電容器の外部へ送り出すための複数枚のグリッド板からなる電極と、前記各グリッド板を支持する複数の電極支持機構とを有し、前記電極支持機構が、前記放電容器の軸心線と平行に立てられた複数の縦バネによって構成されているイオンエンジンにおいて、1枚ないし複数枚の前記グリッド板に取り付けられた1本ないし複数本のてこ棒によって前記グリッド板を前記放電容器の軸心線と垂直方向に動かし、前記イオンの加速方向を変化させることを特徴としている。
このイオンエンジンでは、1本ないし複数本のてこ棒を用いることにより、バネ部材によって支持されている1枚ないし複数枚のグリッド板を小さな駆動力で放電容器の軸心線と垂直方向、即ち径方向に動かすことが可能である。したがって、てこ棒の力点に力を加えるために使用するモータ等の駆動力が小さくて済むため、モータ等の小型化・軽量化が可能であり、推力方向制御機構全体を小型・軽量にすることができる。さらに、てこ棒に連結されているグリッド板全体が一様に径方向に変位し且つてこ棒の力点での変位量に比較してグリッド板の変位量が小さいため、精度の高いグリッド板位置の制御が可能となり、イオンビームの噴射方向を高精度に制御することが可能になる。
このイオンエンジンにおいては、複数枚のグリッド板の一部または全部を、カーボン系材料等の熱膨張率の小さな材料で構成することが可能である。これにより、グリッド板の熱変形が抑制されるため、より正確なイオンエンジンの推力方向制御が可能となる。
このイオンエンジンにおいては、てこ棒の一部または全部を電気絶縁物で構成することが可能である。これにより、てこ棒によって接続されたグリッド板とモータ駆動系との間に、電気絶縁物による十分な距離を設けることができ、沿面放電等の絶縁破壊によるモータ駆動系の破損を防ぐことが可能である。
このイオンエンジンにおいては、複数枚のグリッド板のイオンビーム通過孔形状を、通常の丸形ではなく、スリット(細長)形にすることができる。スリット形のイオンビーム通過孔を有するグリッド板を使用した場合には、通常の丸形のイオンビーム通過孔形状の場合に比較して、径方向へのグリッド板の移動量に対するイオンビーム偏向角の割合が大きいため、少ないグリッド板の移動量で大きな推力方向変化を得ることができる。ただし、スリット形イオンビーム通過孔を有するグリッド板を使用した場合には、スリットの長手方向にグリッド板を移動させてもイオンビーム噴射方向は変化しないため、推力方向可変の方向はスリットの長手方向に直交する1方向に限られる。この場合には、1枚のグリッド板に1本のてこ棒を取り付けて、そのてこ棒を径方向に動かすことで、1方向の推力方向制御を行うことが可能である。
このイオンエンジンにおいて、1枚のグリッド板に取り付けた1本のてこ棒の支点を、自在継ぎ手のような自由度の高い支点にすることができる。これにより、てこ棒を動かす方向は、径方向及び周方向に対して自由であるため、てこ棒を径方向に動かすことによりグリッド板を例えばx方向に移動でき、てこ棒をx方向に直交する接線方向に動かすことによりグリッド板をy方向に動かすことができる。この方法によれば、x及びyの2方向に対してイオンビームの噴射方向を変化させることができ、2次元の推力方向制御を行うことが可能である。
このイオンエンジンにおいては、1枚のグリッド板に2本のてこ棒を90°ずらして取り付けることが可能である。それぞれのてこ棒を径方向に動かすことにより、x及びyの2方向に対してイオンビームの噴射方向を変化させることができ、2次元の推力方向制御を行うことが可能である。
このイオンエンジンにおいては、2枚のグリッド板にそれぞれ1本ずつのてこ棒を90°ずらして取り付けることが可能である。即ち、スクリーングリッドに1本のてこ棒を取り付け、加速グリッドに別の1本のてこ棒を取り付ける。それぞれのてこ棒を径方向に動かすことにより、例えばスクリーングリッドをx方向に、加速グリッドをy方向に動かすことができ、2方向に対してイオンビームの噴射方向を変化させることが可能となる。
このイオンエンジンにおいて、前記グリッド板を動かすための作動力を、前記てこ棒の働きにより、前記てこ棒への駆動力よりも大きい力として得ることができる。てこの支点から力点及び作用点までの距離を設定することで、グリッド板を動かすための作動力を、てこ棒の働きにより、てこ棒への駆動力よりも大きい力として得ることができる
さらに、付加的な効果として、上記のような方法を用いてグリッド板を微小移動することにより、グリッド間に堆積した微小なゴミを篩落とすことができ、イオンエンジンの故障の一要因であるグリッド間での電気絶縁破壊を防ぐことができるものと期待できる。
本発明によるイオンエンジンによれば、放電容器と、この放電容器の内部に作動ガスを導入するガス導入系と、このガス導入系によって導かれた作動ガスを電離させて放電容器内にプラズマを生成する手段と、プラズマ中のイオンを引き出し、加速して放電容器の外部へ送り出すための複数枚のグリッド板からなる電極と、各グリッド板を支持する複数の電極支持機構とを有し、電極支持機構が、放電容器の軸心線と平行に立てられた複数のバネ部材によって構成されているイオンエンジンにおいて、1枚ないし複数枚のグリッド板に取り付けられた1本ないし複数本のてこ棒によってグリッド板を放電容器の軸心線と垂直方向に動かすことにより、イオンビームの噴射方向を高精度に再現性を以て制御することができる。したがって、このイオンエンジンによれば、宇宙でのイオンエンジンの動作に不可欠な推力方向制御を、ジンバル機構を使用せずに行うことが可能であり、イオンエンジンシステムの重量削減及びイオンエンジン取付部の構造の簡略化が可能となる。さらに、本発明によるイオンエンジンによれば、小型・軽量で精度の高いグリッド板移動機構の設計や製作が可能となる。
以下、図面を参照してこの発明によるイオンエンジンの実施例を説明する。図1は、本発明の第1実施例に係わるイオンエンジンを示す図である。なお、第1実施例においては、図6に示す通常のイオンエンジンと同一部分については同一符号を用いているため、重複した詳細な説明を省略する。図1においては、図6に示されているシールドケース1、電極支持機構12a,12b、及びバネ部材13a,13bは省略している。イオンビーム通過孔5は、グリッド板4全体に配置されているものを省略して示している。
図1に示される第1実施例に係わるイオンエンジンにおいては、加速グリッド4bとてこ棒21とが継ぎ手22を介して接続されている。さらに、てこ棒21は放電容器3に固定された支持点23によって支持されており、てこ棒下部に矢印のような径方向の駆動力を加えることで、てこ棒21は支持点23を支点とした「てこ」の役割を果たし、加速グリッド4bを1方向(x方向)に動かすことができる。このとき、てこ棒下部に力を与える駆動力は、「てこ」の働きにより小さくて良いため、使用する駆動系は小型・軽量にすることが可能である。さらに、てこ棒下部の変位量に対して加速グリッド4bの変位量が小さいため、位置決め精度の悪い比較的安価な駆動系を使用しても、加速グリッド4bの位置を精密に制御することが可能である。なお、本実施例においては、グリッド板4にカーボン系材料等の熱膨張率の小さい材料を用いることができ、また、てこ棒21の一部または全部を電気絶縁材料で構成することが可能であり、これらの点は以下の実施例においても共通である。
図2は、本発明の第2実施例に係わるイオンエンジンを示している。図2に示すイオンエンジンでは、図1に示す第1実施例と同一部分については同一符号を用いているため、重複する詳細な説明を省略する。第2実施例では、第1実施例と同様に加速グリッド4bとてこ棒21とが接続されているが、第1実施例ではグリッド板4のイオンビーム通過孔5が丸形であるのに対し、本実施例ではスリット形のイオンビーム通過孔31が配置されている。噴射方向の制御には、イオンビーム通過孔31の長手方向をてこ棒21の駆動方向と直交する方向に設定するのが効率的である。スリット形のイオンビーム通過孔31においては、丸形のイオンビーム通過孔と比較して、大きなイオンビーム偏向角が得られるため、加速グリッド4bの変位量が小さくて済むという利点がある。また、グリッド板4の製作において、スリット形のイオンビーム通過孔31を形成する場合には、その加工が容易であるという利点もある。
図3は、本発明の第3実施例に係わるイオンエンジンを示したものである。図3に示すイオンエンジンでは、図1に示す第1実施例と同一部分については同一符号を用いているため、重複する詳細な説明を省略する。第3実施例では、てこ棒21が継ぎ手22を介して加速グリッド4bに接続されている点は第1実施例と同様であるが、てこ棒21の支点が自在支持点41である点で異なっている。すなわち、自在支持点41は、x方向に加えてy方向にもてこ棒21の動作を許容するため、てこ棒下部にx方向とy方向の変位をそれぞれ与えることで、加速グリッド4bをx方向及びy方向の2方向に動かすことが可能である。これにより、1本のてこ棒21によって、イオンビームの噴射方向を2方向に制御することができる。ただし、自在支持点41を持つグリッド板移動機構の場合には、てこ棒21をy方向に動かしたときに加速グリッド4bに伝わる力は円周方向の力であるため、厳密な意味での2次元の推力方向制御はできない。
図4は、本発明の第4実施例に係わるイオンエンジンを示したものである。図4に示すイオンエンジンでは、図1に示す第1実施例と同一部分については同一符号を用いているため、重複する詳細な説明を省略する。第4実施例においては、2本のてこ棒21x及び21yが90°の間隔をおいて加速グリッド4bに取り付けられている。継ぎ手22および支持点23の働きは第1実施例と同様である。すなわち、てこ棒21xの下部にx方向の力を加えることで加速グリッド4bにx方向の変位を与えることができ、てこ棒21yの下部にy方向の力を加えることで加速グリッド4bにy方向の変位を与えることができる。これにより、2本のてこ棒21x及び21yによって、イオンビームの噴射方向を2方向に制御でき、2次元の推力方向制御が可能となる。なお、この実施例においては、てこ棒21x及び21yをスクリーングリッド4aに取り付けても差し支えない。
図5は、本発明の第5実施例に係わるイオンエンジンを示したものである。図5に示すイオンエンジンでは、図4に示す第4実施例と同一部分については同一符号を用いているため、重複する詳細な説明を省略する。第5実施例では、2本のてこ棒21x及び21yが90°の間隔をおいて配置されている点は第4実施例と同様であるが、てこ棒21yが継ぎ手51を介してスクリーングリッド4aに取り付けられている点で第4実施例と異なっている。即ち、本実施例においては、てこ棒21xの下部にx方向の駆動力を加えることで加速グリッド4bにx方向の変位を与えることができ、てこ棒21yの下部にy方向の駆動力を加えることでスクリーングリッド4aにy方向の変位を与えることができる。この方法により、x方向のイオンビーム噴射方向の制御は加速グリッド4bの微小移動で行い、y方向のイオンビーム噴射方向の制御はスクリーングリッド4aの微小移動で行うことができ、2次元の推力方向制御が可能となる。継ぎ手51は、この実施例では基部51aと基部51aから折れ曲がった2本のアーム部51bとから成る全体にコの字状の継ぎ手であり、てこ棒21yからスクリーングリッド4aへの連結位置が遠くなる場合に、スクリーングリッド4aにy方向の変位を与えるのに有効である。
なお、本発明は上述した各実施例に限定されるものではない。すわなち、上記の各実施例ではグリッド板4に関してスクリーングリッド4a及び加速グリッド4bの2枚の構成としたが、これに減速グリッドを加えた3枚構成の場合にも適用可能である。また、てこ棒21の長さおよび太さも各説明図に示された大きさである必要はなく、てこ棒支持点23および自在支持点41は放電容器3によって固定されている必要はない。継ぎ手51についても、コ字状の形状に限られない。さらに、放電容器3内部でのプラズマ生成方法は既述の方法に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を行って実施可能である。
宇宙構造物の推進用のみならず、半導体や表示素子のような成膜技術を伴う技術やイオン噴射を行う各種の装置にも適用可能であることは、明らかである。
この発明の第1実施例に係わるイオンエンジンを示す概略図である。 この発明の第2実施例に係わるイオンエンジンを示す概略図である。 この発明の第3実施例に係わるイオンエンジンを示す概略図である。 この発明の第4実施例に係わるイオンエンジンを示す概略図である。 この発明の第5実施例に係わるイオンエンジンを示す概略図である。 電極支持機構にバネ部材を使用したイオンエンジンを一部切欠して示す概略図である。 イオンエンジンにおける通常のイオンビーム噴出状態を示す概念図である。 イオンエンジンの加速グリッドを微小量移動した場合にイオンビーム噴出の方向が変化する様子を示す概念図である。
符号の説明
1 シールドケース
2 シールドケース小孔
3 放電容器
4 グリッド板
4a スクリーングリッド
4b 加速グリッド
5 イオンビーム通過孔
5a スクリーングリッドのイオンビーム通過孔
5b 加速グリッドのイオンビーム通過孔
6 放電容器底の開口部
7 筒体
8 ガス導入系
9 ホローカソード
10 磁石
11 中和器
12 電極支持機構
12a スクリーングリッド用の電極支持機構
12b 加速グリッド用の電極支持機構
13 バネ部材
13a スクリーングリッド用のバネ部材
13b 加速グリッド用のバネ部材
21 てこ棒
21x てこ棒が2本ある場合に、x方向に駆動するてこ棒
21y てこ棒が2本ある場合に、y方向に駆動するてこ棒
22 継ぎ手
23 支持点
31 スリット形イオンビーム通過孔
41 自在支持点
51 スクリーングリッド接続用継ぎ手
51a スクリーングリッド接続用継ぎ手の基部
51b スクリーングリッド接続用継ぎ手のアーム部

Claims (3)

  1. 放電容器と、この放電容器の内部に作動ガスを導入するガス導入系と、このガス導入系によって導かれた作動ガスを電離させて前記放電容器内にプラズマを生成する手段と、前記プラズマ中のイオンを引き出し、加速して前記放電容器の外部へ送り出すための複数枚のグリッド板からなる電極と、前記各グリッド板を支持する複数の電極支持機構とを有し、前記電極支持機構が、前記放電容器の軸心線と平行に立てられた複数の縦バネによって構成されているイオンエンジンにおいて、
    前記放電容器の軸心線と略平行な状態で1枚ないし複数枚の前記グリッド板に取り付けられた、該取り付け点(22)での前記グリッド板の径方向の変位量が力点での同変位量に比べ小さくなるように前記放電容器に固定された支持点(23)を有する1本ないし複数本のてこ棒によって、前記グリッド板と駆動装置との絶縁距離を保った状態で駆動装置を用いて前記グリッド板を前記放電容器の軸心線と垂直方向に動かし、前記イオンの加速方向を変化させることを特徴とするイオンエンジン。
  2. 複数枚の前記グリッド板に開けられた複数個のイオンビーム通過孔の形状がスリット形であることを特徴とする請求項1に記載のイオンエンジン。
  3. 前記てこ棒1本を前記グリッド板1枚に取り付け、前記イオンの加速方向を一方向に変えることを特徴とする請求項2に記載のイオンエンジン。
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