JP4431722B2 - 新規耐熱性プロテアーゼ - Google Patents

新規耐熱性プロテアーゼ Download PDF

Info

Publication number
JP4431722B2
JP4431722B2 JP2004346425A JP2004346425A JP4431722B2 JP 4431722 B2 JP4431722 B2 JP 4431722B2 JP 2004346425 A JP2004346425 A JP 2004346425A JP 2004346425 A JP2004346425 A JP 2004346425A JP 4431722 B2 JP4431722 B2 JP 4431722B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amino acid
protease
acid sequence
dna
seq
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004346425A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006149307A (ja
Inventor
郁夫 松井
英志 横山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority to JP2004346425A priority Critical patent/JP4431722B2/ja
Publication of JP2006149307A publication Critical patent/JP2006149307A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4431722B2 publication Critical patent/JP4431722B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)

Description

本発明は、膜タンパク質ストマチン(stomatin)の多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解する性質をもつ新規プロテアーゼ、及びその生産方法に関する。具体的には、超好熱菌パイロコッカス・ホリコシ(Pyroccoccus horikoshii)由来の耐熱性プロテアーゼに関する。
ストマチンは、細菌などの下等生物から動物などの高等生物に至る種々の生物の生体膜上に存在し、膜上で多量体を形成するタンパク質である。また、ストマチンは、脊椎動物の神経細胞の味覚や物理刺激に対する知覚に関与するNa+チャンネルの機能を制御するタンパク質であることが知られており、最近、この制御機構にはタンパク質分解過程が重要な働きをする可能性が報告されている(M.P. Price, R.J. Thompson, J.O. Eshcol, J.A. Wemmie及びC.J. Benson “Stomatin modulates gating of ASIC channels” (2004) J. Biol. Chem.印刷中; J.P. Green, B. Fricke, M.C. Chetty, M. During, G.F. Preston及びG.W. Stewart “Eukaryotic and prokaryotic stomatin: the proteolytic link” (2004) Blood Cells, Molecules, &Diseases, 32:411-422; G.W. Stewart “Hemolytic disease due to membrane ion channel disorders” (2004) Curr. Opin. Hematol, 11:244-250)。ストマチンのC末端ドメインがタンパク質分解的に膜から放出されて、細胞シグナル伝達に関与していることが推定されている。しかし、現在このプロセスに関与するプロテアーゼはストマチンに対して高い基質特異性を有する新規のプロテアーゼであろうと予測されているが、プロテアーゼの正体及び性質は不明である。
パイロコッカス属由来の耐熱性プロテアーゼとして、パイロコッカス・フリオサス由来のプロテアーゼが知られている(再表95/034645、再表00/061711号公報)。3種類の酵素が単離されているが、それらの分子量(SDS−PAGE)及び至適pHはそれぞれ51〜95kDa、pH8〜10であった。また、これらプロテアーゼの洗剤への使用が記載されている。
さらに、パイロコッカス・ホリコシのゲノムデータがDNA Res. (1998), 5:147-155又はMBGD(Microbial Genome Database;http://mbgd.genome.ad.jp/)に開示されている。
再表95/034645号公報 再表00/061711号公報 M.P.Priceら, J. Biol. Chem. (2004),印刷中 J.P.Greenら, Blood Cells, Molecules, &Diseases (2004), 32:411-422 G.W.Stewart, Curr. Opin. Hematol (2004), 11:244-250 DNA Res.(1998), 5:147-155 MBGD(MicrobialGenome Database;http://mbgd.genome.ad.jp/)
従来のタンパク質分解酵素(すなわち、プロテアーゼ)は高温下で不安定なため、タンパク質の限定的分解を行う場合は比較的低温で行うことが必要であった。このため、熱に安定でかつ基質特異性の高いプロテアーゼに対する要望があり、高温下でタンパク質の限定的分解を行うことにより、例えば反応効率の向上、混入微生物の除去等の多くの利点が考えられる。本発明は、このような技術的背景の下でなされたものである。
本発明者らは、膜タンパク質ストマチンがNa+チャンネルの機能を制御し、この制御機構に新規プロテアーゼが重要な役割をはたすという知見に注目し、ストマチンを限定分解する耐熱性プロテアーゼを探索してきた。今回、本発明者らは、ある種の超好熱性古細菌パイロコッカス・ホリコシのゲノム中にストマチンホモログとオペロンを構成しセリンプロテアーゼモチーフを有する遺伝子を見い出し、新規の耐熱性プロテアーゼを供給すべく、この遺伝子産物の機能解析を行った。
したがって、本発明の目的は、ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解するプロテアーゼを提供することである。
本発明の別の目的は、そのようなプロテアーゼを遺伝子組換え的に生産する方法を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、そのようなプロテアーゼをコードするDNA又はその断片をプローブとして用いて、他の生物細胞でのホモログ又はアナログを検出することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、90〜100℃で生育する超好熱性古細菌パイロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)に着目し、その遺伝子配列から目的のプロテアーゼ活性を示すと推測される遺伝子を見い出した。さらに、大腸菌などの微生物細胞を使って組換え的に導入された目的遺伝子から酵素を生産し、この酵素が高温(98℃以上)で比較的安定に存在し、かつ膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解する新規耐熱性プロテアーゼであることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の構成及び特徴を有する。
本発明は、第1の態様において、以下の性質:
(1)超好熱菌パイロコッカス・ホリコシ由来である、
(2)SDS−PAGEで測定された分子量が約25kDaである、
(3)活性型が二量体である、
(4)至適温度が約98℃以上である、
(5)至適pHが約5〜約6である、
(6)エンド型セリン系である、及び
(7)膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を認識し限定分解する、
を有するプロテアーゼを提供する。
本発明の実施形態において、前記プロテアーゼは、配列番号1に示されるアミノ酸配列、或いは、配列番号1に示されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解する性質を有する。
本発明はまた、第2の態様において、プロテアーゼ活性をもつ以下の(A)又は(B)のポリペプチド:
(A)配列番号1又は4に示されるアミノ酸配列を含むポリぺプチド、又は
(B)配列番号1又は4に示されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解するプロテアーゼ活性をもつポリ
ペプチド、
をコードするDNAを提供する。
本発明はさらに、第3の態様において、以下の(C)、(D)及び(E)のDNA:
(C)配列番号2又は3に示される塩基配列を含むDNA、
(D)配列番号2又は3に示される塩基配列において1以上の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列を含み、かつ、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解するプロテアーゼをコードするDNA、及び
(E)前記(C)又は(D)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、かつ、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解するプロテアーゼをコードするDNA、
からなる群から選択されるDNAを提供する。
本発明は、第4の態様において、配列番号3に示される塩基配列を含むDNAも包含する。
本発明はまた、第5の態様において、上記DNAによってコードされる、かつ、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解するプロテアーゼ活性をもつポリペプチドを提供する。
その実施形態において、本発明は、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドも含む。
本発明はまた、第6の態様において、上記DNAを含む発現ベクターを提供する。
本発明はまた、第7の態様において、上記発現ベクターによって形質転換された宿主細胞を提供する。
本発明はまた、第8の態様において、上記宿主細胞を培養し、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解するプロテアーゼを回収することを含む、前記プロテアーゼの生産方法を提供する。
本発明はさらに、第9の態様において、配列番号2又は3に示される塩基配列或いは該塩基配列中の連続する30〜50塩基以上、好ましくは100塩基以上の塩基配列を含むDNAの相補鎖をプローブとして使用して、生物細胞中で、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解する内因性プロテアーゼをコードする核酸を検出することを含む、前記核酸の検出方法を提供する。
その実施形態において、生物細胞は、ヒトを含む哺乳類の細胞である。
さらなる実施形態において、プローブは標識されている。
本明細書中で使用される「DNA」という用語は、特に断らない限り、二本鎖DNAを意味する。
本明細書中で使用される「核酸」という用語は、特に断らない限り、ゲノムDNA、mRNA又はcDNAを示す。
本明細書中で使用される「塩基配列」という用語は、ヌクレオチド配列と同義であり、互いに互換的に使用しうる。
本発明のプロテアーゼは、至適温度98℃以上の耐熱性プロテアーゼであるとともに、疎水性アミノ酸に富む配列を認識し限定分解するという特性を有する。このような特性のために、熱的安定性が要求される食品、医薬品等の製造における触媒として、本発明のプロテアーゼを利用することができる。或いは、本発明のプロテアーゼの認識配列を任意の膜タンパク質に挿入し、本発明のプロテアーゼで切断することにより、目的膜タンパク質の機能を人為的に制御する系を構築することができ、このような系は膜タンパク質の機能や疾病との関係の解明に役立つと考えられる。
本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、硫黄代謝好熱性古細菌パイロコッカス・ホリコシから得ることができる耐熱性プロテアーゼ、それをコードする核酸、及びそのホモログ、アナログ又は変異体を提供する。具体的には、新規の基質特異性をもつ耐熱性セリンプロテアーゼ(配列番号4)及びそれをコードするDNA(以下、「PH1510」と称する;配列番号3)、N末端側水溶性ドメイン(MBGDデータベースに記載されるPH1510の残基番号16から236に相当する)を含む耐熱性プロテアーゼ(以下、「1510-N」と称する;配列番号1)、それをコードするDNA(配列番号2)、並びに、これら酵素及びDNAのホモログ、アナログ又は変異体を提供する。
本明細書中で使用される「ホモログ」及び「アナログ」は、パイロコッカス・ホリコシ以外の他の生物種(原核及び真核生物)に内在する、本発明のプロテアーゼ又は核酸と同じ又は類似の機能、特に膜タンパク質ストマチンの限定分解、をもつ同族体、類似体を指す。
本明細書中で使用される「変異体」は、配列番号1又は4に示されるアミノ酸配列或いは配列番号2又は3に示される塩基配列中の少なくとも1個のアミノ酸残基又はヌクレオ
チドの変異を含む誘導体を指し、本発明のプロテアーゼと同様に膜タンパク質ストマチンの限定分解を可能にする特性を有するものである。
本発明のプロテアーゼの1つは、以下の性質を有している。
(1)超好熱菌パイロコッカス・ホリコシ由来である、
(2)SDS−PAGEで測定された分子量が約25kDaである、
(3)活性型が二量体である、
(4)至適温度が約98℃以上である、
(5)至適pHが約5〜約6である、
(6)エンド型セリン系である、及び
(7)膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を認識し限定分解する。
基質として、カゼイン、及び多量体化に寄与するストマチンC末端ドメイン(MBGDデータベースに記載のパイロコッカス・ホリコシPH1511の残基番号189から266に相当する。以下1511-Cと称する。)を使用して、本発明のプロテアーゼの基質特異性を調べた結果、この酵素が認識する配列は疎水性(及び芳香族性)アミノ酸に富み、P1サイト(切断点の-1部位)がロイシン、P4サイトがバリン又はロイシンである配列であることが分かった(実施例12(5)の表I参照)。このような基質特異性を示すセリンプロテアーゼは、これまで報告されておらず、したがって新規な酵素であると考えられる。このような知見から、本発明のプロテアーゼは、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を認識し限定分解することをその特徴の1つとして有する。
ストマチンは、細菌から哺乳動物に至るすべての生物に膜タンパク質として存在し、Na+チャンネルの機能を制御していることが知られている。また、ストマチンは生体膜上で多量体を形成し、そのC末端ドメインが限定的にプロテオリシスされて放出され、知覚に関わるシグナル伝達に関与することが提案されている。したがって、本発明のプロテアーゼは、ストマチンのC末端ドメインを限定的に切断することから、ヒトを含む哺乳動物において、ストマチンの機能解析やネイティブなストマチン分解酵素の検出のために有用である。
本発明のプロテアーゼ及びDNAは、パイロコッカス・ホリコシのゲノムDNAライブラリー又はcDNAライブラリーから目的遺伝子を含むクローンを単離し配列決定することによって、そのアミノ酸配列及び塩基配列を決定することができる。或いは、パイロコッカス・ホリコシのゲノム配列に関するデータベース情報から、セリンプロテアーゼモチーフを有する遺伝子を検索、推定し、発現産物を調製し、活性測定することによって、目的の酵素であることを確定することができる。このようにして、本発明者らは、配列番号4に示されるアミノ酸配列からなる、或いは配列番号3に示される塩基配列によってコードされる、完全長の耐熱性プロテアーゼを見出した。この酵素が認識する配列は、疎水性(及び芳香族性)アミノ酸に富み、P1サイト(切断点の-1部位)がロイシン、P4サイトがバリン又はロイシンである配列である。
さらにまた、本発明者らは、上記の完全長プロテアーゼのN末端側水溶性ドメインからなる、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む変異体(推定分子量25,398Da)を作製し、それが耐熱性でかつ上記と同様のプロテアーゼ活性をもつことを見出した。このプロテアーゼのアミノ酸配列において、Ser2からAsp222は、パイロコッカス・ホリコシ由来の配列であり、配列番号4の無傷のプロテアーゼ配列のSer16からAsp236に相当する配列である。この変異体がプロテアーゼ活性を有することは、活性中心が無傷のプロテアーゼのN末端側ドメインに存在することを示す。また、SDS−PAGE分析によると、活性タンパク質の分子量は約45kDaであることから、このタンパク質は二量体で活性を発現すると考えられる(図4Bのレーン1参照)。したがって、配列番号1に示されるアミノ酸配列を含む変異体も本発明に含まれる。
さらにまた、本発明プロテアーゼの活性残基を検索するために、触媒候補残基における種々のAla置換体を作製し、野生型酵素との相対活性を測定した結果、活性中心がS97とK138のcatalytic dyadで構成されるエンド型セリンプロテアーゼであると考えられた(図7B参照)。
この実験において、置換によって活性変化がほとんどない変異体も認められた。例えばD61、S94、H107、C120、R156、D188、D236などのアミノ酸残基をAlaで置換しても、変異体の活性は野生型の活性とほぼ同じであった。このことから、S97及びK138から構成される活性中心の高次構造を変えない程度のアミノ酸残基の変異は、プロテアーゼ活性に影響しないことが分かった。
したがって、本発明は、配列番号1又は4に示されるアミノ酸配列において1以上、好ましくは1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解する性質を有するプロテアーゼも包含する。
本明細書中で使用される「1もしくは数個」という用語は、1〜15個、1〜10個、1〜7個、1〜5個、又は1〜3個を示す。
アミノ酸残基の置換の例は、荷電、疎水性、官能性などの性質の類似したアミノ酸間での置換が挙げられる。荷電性(すなわち、塩基性又は酸性)アミノ酸間の置換の例は、リジンとアルギニンの置換、グルタミン酸とアスパラギン酸などの置換である。疎水性アミノ酸間の置換の例は、ロイシン、イソロイシン、アラニンなどのアミノ酸間の置換である。官能性の類似したアミノ酸間の置換の例は、セリンとトレオニン、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンの芳香族アミノ酸間の置換などである。さらに、アミノ酸残基の欠失、挿入又は付加は、酵素タンパク質の高次構造に大きく影響しない領域、例えばN末端もしくはC末端領域で可能である。
変異体の作製には、例えばPCR法による部位特異的突然変異誘発法、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発法などを使用できる(F.M. Ausbelら, Short Protocols in Molecular Biology (Third Edition), Current Protocols in Molecular Biology, Unit 8.1〜8.5, 1995)。
本発明のプロテアーゼはさらに、配列番号1又は4に示されるアミノ酸配列と50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、又は98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を認識し限定分解するプロテアーゼ活性を有するポリペプチドも包含する。
2つのアミノ酸配列の%同一性は、最適な比較目的のために配列を整列し、対応する位置のアミノ酸を比較し、2つの配列により共有される同一の位置の数の関数、すなわち%同一性=同一位置の数/位置の合計の数で算出される。2つの配列の比較は、公知の方法、例えば数学的アルゴリズム、例えばNBLAST及びXBLASTプログラム(Altschulら, Nucleic Acids Res. (1997) 25:3389-3402)、ALIGNプログラム(MyersとMiller, CABIOS (1989))などのプログラムを使用して実施できる。また、配列解析のための別のアルゴリズムは、TorellisとRobotti, Comput.Appl.Biosci. (1994) 10:3-5 に記載されるADVANCEおよびADAM、PearsonとLipman, PNAS (1988) 85:2444-2448に記載されるFASTAを含む。
このような相同なポリペプチドは、例えば、種々の生物起源、例えば真核生物(例えば、酵母、ヒトを含む哺乳動物など)からのゲノムDNA、mRNA又はcDNAについて、例えば配列番号2に示される塩基配列からなる放射性又は蛍光標識されたDNA又はその断片(例えば、連続する30〜50塩基以上)をプローブとして用いてハイブリダイゼーションを行い、ハイブリダイズしたDNAをもつクローンを選択し、配列決定し、必要によりPCRでDNAを増幅し、DNAを適当な発現ベクターに挿入し、形質転換宿主を作製し、それを培養することを含む方法によって得ることができる。ハイブリダイゼーションは、サザンハイブリダイゼーション、ノザンハイブリダイゼーション、in situハイブリダイゼーション、マイクロアレイなどの従来公知の技術によって実施できる。
本発明はさらに、本発明のプロテアーゼ又はポリペプチドをコードするDNAも提供する。具体的には、本発明のDNAは、
(A)配列番号1又は4に示されるアミノ酸配列を含むポリぺプチドをコードするDNA、
(B)配列番号1又は4に示されるアミノ酸配列において1以上、例えば1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を含み、かつ、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解するプロテアーゼ活性をもつポリペプチドをコードするDNA、
(C)配列番号2又は3に示される塩基配列を含むDNA、
(D)配列番号2又は3に示される塩基配列において1以上、例えば1〜45、1〜30、1〜21、1〜15又は1〜9個の塩基が欠失、置換、挿入又は付加された塩基配列を含み、かつ、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解するプロテアーゼをコードするDNA、並びに、
(E)前記(C)又は(D)のDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、かつ、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解するプロテアーゼをコードするDNA、
(F)配列番号1又は4に示されるアミノ酸配列と50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、又は98%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつ、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を認識し限定分解するプロテアーゼ活性を有するポリペプチドをコードするDNA、
からなる群から選択される。
「ストリンジェントな条件」は、低、中又は高ストリンジェンシー条件、好ましくは高ストリンジェンシー条件を指し、温度、イオン強度、洗浄条件などが異なる。高ストリンジェンシー条件は、例えば、50%ホルムアミド、5xデンハート液、5xSSPE、0.2%SDS、42℃でのハイブリダイゼーションのあと、0.1xSSPE、0.1%SDS、65℃での洗浄からなる。低ストリンジェンシー条件は、例えば10%ホルムアミド、5xデンハート液、6xSSPE、0.2%SDS、42℃でのハイブリダイゼーションのあと、1xSSPE、0.2%SDS、50℃での洗浄からなる。(例えば、Sambrookら, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, NY, 1989;Ausubelら,上記, Unit 2.10, 6.3参照)
本発明のプロテアーゼ又はポリペプチドは、従来公知の遺伝子組換え技術を用いて製造できる。具体的には、この方法は、上記のDNAを発現ベクターに組み込んだのち、このベクターを用いて原核生物又は真核生物細胞を形質転換もしくはトランスフェクションし、得られた形質転換宿主細胞を培養し、培養細胞又は培養上清から、本発明のプロテアーゼ又はポリペプチドを得ることを含む。
すなわち、本発明は、上記のDNAを含む発現ベクター、及び該発現ベクターによって形質転換された宿主細胞を提供する。
本発明はさらに、前記宿主細胞を培養し、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解するプロテアーゼを回収することを含む、プロテアーゼの生産方法を提供する。
発現ベクターには、プラスミド、ウイルス、コスミドなどが含まれる。ベクターは、原核生物用又は真核生物用ベクター、例えば、pMAL系、pTYB系ベクター(以上、第一化学薬品)、PAUR123(宝酒造)、pET系、pBAC系、pTri-Ex1ベクター(以上、Novagen, Inc.)、pCruzTM系ベクター(コスモバイオ)、pHB6、pVB6、pBX、pHM6、pVM6、pMH、pSV40/SEAP、pCMV/SEAPベクター(以上、Roche Diagnostics)、pcDNA-3(Invitrogen)、T7系ベクター(Rosenbergら, Gene (1987), 56: 125)などを含む。
ベクターには、本発明のDNA配列の他に、発現制御配列、例えばプロモーター、エンハンサー、ターミネーター、開始コドン、スプライスシグナル、停止コドンなど、複製開始点、選択マーカー、ポリリンカーなどを含むことができる。
プロモーターは、構成的プロモーター又は誘導性プロモーターを含む。細菌系でクローニングを行う場合、バクテリオファージλのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp-lacハイブリッドプロモーター)などの誘導性プロモーター、クローニングを哺乳類系で行なう場合、例えばユビキチンプロモーター、TKプロモーター、メタロチオネインプロモーター、哺乳類ウイルス由来プロモーター、例えばレトロウイルス末端反復配列、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40プロモーターなどが例示される
選択マーカーは、薬剤耐性マーカー、例えばアンピシリン、カナマイシン、ネオマイシン、テロラサイクリン、クロラムフェニコール、G418、ハイグロマイシン、メトトレキサートなど、栄養要求性マーカー、例えばURA3などを含む。
宿主細胞は、原核細胞、例えば細菌、例えば大腸菌、バチルス属細菌(例えばバチルス・ブレビス)など、真核細胞、例えば酵母(例えばサッカロマイセス・セレビシアエ)、昆虫細胞(例えばSf9細胞)、ヒト細胞を含む哺乳類細胞(例えばHEK293細胞などのヒト
胎児腎臓細胞、ヒト神経前駆細胞、BHK21細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)などを含む。
本発明のベクターは、公知の形質転換又はトランスフェクション技術、例えばリン酸カルシウム法、塩化カルシウム法、DEAE−デキストラン仲介トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション(電気窄孔法)、マイクロインジェクションなどを用いて、上記の宿主細胞、好ましくはコンピテント宿主細胞中に導入される。
形質転換宿主細胞は、適当な培地にて、本発明のプロテアーゼ又はポリペプチドが発現産生されるような条件下で培養され、該発現産物を宿主細胞又は培養上清から回収し、必要に応じて精製プロセスにかける。
目的タンパク質が細胞内に生成する場合には、培養終了後、細胞を遠心分離にかけて分離し、水系緩衝液に懸濁し、超音波破砕機、ダウノミル、マウントガウリンホモゲナイザー、フレンチプレスなどの手段を用いて細胞を破壊、細胞抽出液を得たのち、目的タンパク質を回収、精製する。
目的タンパク質が細胞外に分泌される場合、本発明ではこの方法が好ましいが、培養液からタンパク質を回収し精製する。細胞外分泌のために、本発明のDNA配列の5'端に
シグナル配列(もしくはリーダー配列)を連結する。シグナル配列は、タンパク生合成後に細胞膜へのタンパク輸送の役割を担い、細胞内のシグナルペプチダーゼによって切断され、成熟タンパク質が細胞外に分泌される。
本発明のプロテアーゼ又はポリペプチドの精製を容易にするために、ヒスチジンタグなどの人工配列との融合タンパク質として生成することもできる。ヒスチジンタグは、例えば6個のヒスチジン連鎖からなり、ニッケル又はコバルトを結合した金属アフィニティーレジンを充填したカラム(例えば、BD TALONTM Single Step Column (BD Biosciences)、Nexus TMAC Resin (Valen Bioteck)、His・Bind metalchelation resin(Novagen)など)に吸着し、緩衝塩濃度を高めることによって溶出される。ヒスチジンタグは、一般に目的タンパク質のN末端又はC末端に結合される。したがって、本発明のDNA配列にヒスチジンタグをコードするDNAを連結し、これを発現するならば、ヒスチジンタグ融合タンパク質を得ることができる。或いは、pET21b(Novagen)などのヒスチジンタグ導入発現プラスミドに本発明のDNAを挿入することによっても、ヒスチジンタグ融合タンパク質を得ることができる。
本発明のプロテアーゼ又はポリペプチドはまた、無細胞タンパク質発現系を用いて生産することができる。この目的のために、市販の発現系、例えばRTS100 E. coli HYキット(Roche Diagnostics)を使用し、添付の使用マニュアルに従って、タンパク合成を行うことができる。発現系には、大腸菌、胚芽、家兎網状赤血球などの既知の無細胞タンパク質合成系、すなわち無細胞タンパク質発現用細胞抽出物が使用される。この発現系においてリボゾーム、mRNA、目的タンパク質の合成に必要な全ての種類の基質アミノ酸を含む合成反応液と、ATP及びGTPを含むエネルギー源とを混合して、半透性膜を備えた合成反応槽中で合成反応を行う(例えば、特願2004-329178号公報参照)。
配列番号4に示されるアミノ酸配列を含むポリペプチド(PH1510)は、膜タンパク質であるために、生細胞を用いた膜タンパク質の生産では、分解される可能性がある。分解を起こさずに無傷のポリペプチドを生産するには、無細胞タンパク質発現系の使用が好都合である。
本発明のプロテアーゼ又はポリペプチドの精製は、限外濾過膜による濃縮、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、色素吸着クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、及びHPLCなどのクロマトグラフィー、硫安などによる塩析、熱処理などの慣用の技術を適宜組み合わせて行うことができる。
本発明の精製プロテアーゼ又はポリペプチドは、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)及びタンパク質分解活性のアッセイによって同定することができる。SDS−PAGE及びアッセイの手順は後述の実施例11に詳細に記載されており、そこに記載の手順に従って行うことができる。
本発明はさらに、配列番号2又は3に示される塩基配列或いは該塩基配列中の連続する30〜50塩基以上、好ましくは100塩基以上の塩基配列を含むDNAの相補鎖をプローブとして使用して、生物細胞中で、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解する内因性プロテアーゼをコードする核酸を検出することを含む、前記核酸の検出方法を提供する。
ストマチンは、あらゆる生物の細胞膜に存在し、生物間の同一性は約50%以上であると推定される。本発明者らの今回の研究から、ストマチンは、生体内で本発明のプロテアーゼと同類の内因性プロテアーゼと複合体を形成することが判明しており、このような複合体の形成を通してプロテアーゼによるストマチンの限定分解、特にストマチンのC末端ドメインの限定分解が起こり、Na+チャンネルの機能制御に関与すると考えられる(M.P. Priceら, J. Biol. Chem.(2004),印刷中)。本発明のプロテアーゼは、ストマチンと複合体形成し、ストマチンのC末端ドメインを限定分解するという特性をもつことから、本発明のDNA又はその断片の相補鎖をプローブとして用いることによって、種々の生物のホモログ又はアナログを検出することができる。
検出は、周知のハイブリダイゼーション技術、例えばサザンハイブリダイゼーション、ノザンハイブリダイゼーション、in situハイブリダイゼーション、マイクロアレイ(例えばGeneChipTM, Affymetrix社製)などによって行うことができる(中山広樹ら著、細胞工学別冊、バイオ実験イラストレイテッド、遺伝子解析の基礎、秀潤社、1995年;松村正明ら監修、細胞工学別冊、DNAマイクロアレイと最新PCR法、秀潤社、2000年)。
生物細胞には、細菌、真菌、酵母、昆虫細胞、哺乳類などが含まれ、好ましくは哺乳類細胞、特にヒト細胞及びマウス細胞である。
プローブは、通常、標識されているのが好ましい。標識の例は、P、Sなどの元素の放射性同位体による放射性標識、ローダミン、フルオレサミン、それらの誘導体、Cy3、Cy5などの蛍光色素による蛍光標識などである。例えば、標識化には、ニックトランスレーション、ランダムプライム法、エンドラベルなどの方法が含まれる。
本発明方法における核酸は、ゲノムDNA、mRNA又はcDNAである。必要に応じて、核酸はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅されてもよい。PCRは、DNAの変性、アニーリング、伸長反応からなり、変性は、二本鎖DNAを通常94℃で15秒〜1分で処理して一本鎖DNAに解離させる段階、アニーリングは、鋳型DNAにプライマーをアニーリングさせる段階であり、通常55℃、30秒〜1分の処理条件からなる段階、伸長は、プラーマーの伸長を通常72℃、30秒〜10分の条件でTaqなどの耐熱性ポリメラーゼを使用して行う段階を含み、これを1サイクルとして通常25〜40サイクル繰り返してDNA増幅行う。プライマーは通常15〜30塩基長が好ましい。PCR技術は、例えば蛋白質核酸酵素増刊、PCR法最前線(1996),41巻5号,共立出版に記載されており、その開示を参照することによってPCRを実施できる。
本発明をさらに以下の実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されないものとする。
菌の培養
硫黄代謝好熱性古細菌パイロコッカス、ホリコシ(登録番号JCM9974)は、次の方法で培養した。
13.5gの食塩、4gのNa2SO4, 0.7 gのKCl, 0.2g のNaHCO3 、0.1gのKBr、30 mg のH3BO3、10gのMgCl2・6H2O、1.5gのCaCl2 、25mgのSrCl2、1.0mlのレザスリン溶液(0.2g/L)、1.0gの酵母エキス、5gのバクトペプトンを1Lに溶かし、この溶液のpHを6.8に調整し加圧殺菌した。ついで、乾熱滅菌した元素硫黄を0.2%となるように加え、この培地をアルゴンで飽和して嫌気性とした後、JCM9974を植菌した。培地が嫌気性となったか否かはNa2S溶液を加えて、培養液中でNa2Sによるレザスリン溶液のピンク色が着色しないことにより確認した。この培養液を95℃で2〜4日培養し、その後遠心分離し集菌した。
染色体DNAの調製
JCM9974の染色体DNAは以下の方法により調製した。
培養終了後5000rpm、10分間の遠心分離により菌体を集菌した。菌体を10mM Tris(pH 7.5) 1mM EDTA 溶液で2回洗浄後InCert Agarose(FMC社製)ブロック中に封入した。このブロックを1%N-lauroylsarcosine、1mg/mlプロテアーゼK溶液中で処理することにより、染色体DNAはAgaroseブロック中に分離調製された。
染色体DNAを含むライブラリークローンの作製
実施例2で得られた染色体DNAを制限酵素HindIIIにより部分分解後アガロースゲル電気泳動により約40kb長の断片を調製した。このDNA断片と制限酵素HindIIIによって完全分解したBacベクターpBAC108L及びpFOS1とをT4リガーゼを用いて結合させた。前者のベクターを用いた場合には結合終了後のDNAをただちに大腸菌内へ電気窄孔法により導入した。後者のベクターpFOS1を用いた場合には結合終了後のDNAをGIGA Pack Gold (ストラタジーン社製)により試験管内でλファージ粒子内に詰め込み、この粒子を大腸菌に感染させることによりDNAを大腸菌内に導入した。これらの方法により得られた抗生物質クロラムフェニコール耐性の大腸菌集団をBAC及びFosmidライブラリーとした。ライブラリーからJCM9974の染色体をカバーするのに適したクローンを選択して、クローンの整列化を行った。
各BAC或いはFosmidクローンの塩基配列決定
整列化されたBAC或いはFosmidクローンについて順次以下の方法で塩基配列を決定した。
大腸菌より回収した各BAC或いはFosmidクローンのDNAを超音波処理することにより断片化し、アガロースゲル電気泳動により1kb及び2kb長のDNA断片を回収した。この断片をプラスミドベクターpUC118のHincII制限酵素部位に挿入したショットガンクローンを各BAC或いはFosmidクローン当たり500クローン作製した。各ショットガンクローンの塩基配列をパーキンエルマー、ABI社製自動塩基配列読み取り装置373または377を用いて決定した。各ショットガンクローンから得られた塩基配列を塩基配列自動連結ソフトSequencherを用いて連結編集し、各BAC或いはFosmidクローンの全塩基配列を決定した。
PH1510遺伝子の同定
実施例4で決定された各BAC或いはFosmidクローンの塩基配列を大型計算機を用いて解析し、その結果、PH1510遺伝子は、パイロコッカス・ホリコシのゲノム上でストマチン(stomatin)ホモログ(PH1511)とオペロンを構成し、かつセリンプロテアーゼモチーフを有する遺伝子であることを見い出した。PH1510遺伝子及びアミノ酸配列はそれぞれ配列番号3及び4として示した。
発現プラスミドの構築
(1) pET21b/1510-N
コンピュータを用いた情報解析により、セリンプロテアーゼモチーフを有する遺伝子(PH1510)のC末端側ドメイン(残基番号237から441に相当する)には4ケ所の膜貫通領域が予測された。さらに、PH1510全長遺伝子の大腸菌での生産を試みたが、この膜貫通領域のために欠失体が生産され易く、全長産物の生産性は低かった。そこで、N末端側水溶性ドメイン(残基番号16から236に相当する)をコードする部分遺伝子を発現プラスミドに挿入し、その水溶性ドメイン1510-Nを調製した。
以下に発現プラスミドの構築法を述べる。
はじめに、構造遺伝子領域(1510-N)の前後に制限酵素(NdeIとXhoI)サイトを構築する目的でDNAプライマーを合成し、PCRでその遺伝子の前後に制限酵素サイトを導入した
Upper primer-1510-N
TGACTGGTGCATATGTCCCCAATTCTAGCAAAAAA(下線部はNdeIサイトを示す;配列番号5)
Lower primer-1510-N
GGGTTTCTCGAGATCCGTGATGTAACTTATTAG(下線部はXhoIサイトを示す;配列番号6)
PCR反応後、制限酵素(NdeIとXhoI)で完全分解(37℃、2時間)した後、その構造
遺伝子を精製した。
pET21b(Novagen社製)を制限酵素NdeIとXhoIで切断・精製した後、上記の構造遺伝子とT4リガーゼで16℃、2時間反応させ連結した。連結したDNAの一部をE.coli-XL2-BlueMRF' のコンピテントセルに導入し形質転換体のコロニーを得た。得られたコロニーからプラスミドをアルカリ法で精製し発現プラスミド、pET21b/1510-Nを得た。この発現プラスミドを用いると1510-NはC末端にヒスチジンタグが付加された融合タンパク質として生産される。
(2) pET21b/1511-C
膜タンパク質ストマチン(PH1511がコードする。)の中で、その多量体化に関与し、かつ
酵素1510-Nの基質となるドメイン(残基番号189から266に相当する)をコードする遺伝子(1511-C)の発現プラスミドの構築法を以下に述べる。
まず、構造遺伝子領域(1511-C)の前後に制限酵素(NdeIとXhoI)サイトを構築する目的でDNAプライマーを合成し、PCRでその遺伝子の前後に制限酵素サイトを導入した。
Upper primer-1511-C
GCTGAAAGGGAGAGGCATATGAGGATAACGCTAGCTG(下線部はNdeIサイトを示す;配列番号7)
Lower primer-1511-C
GGGTTTCTCGAGCTTTTCTTCTTCCTTCTTCTTCATGT(下線部はXhoIサイトを示す;配列番号8)
PCR反応後、制限酵素(NdeIとXhoI)で完全分解(37℃、2時間)した後、その構造遺伝子を精製した。
pET21b(Novagen社製)を制限酵素NdeIとXhoIで切断、精製した後、上記の構造遺伝子
とT4リガーゼで16℃、2時間反応させ連結した。連結したDNAの一部をE.coli-XL2-BlueMRF' のコンピテントセルに導入し形質転換体のコロニーを得た。得られたコロニーからプラスミドをアルカリ法で精製し発現プラスミド、pET21b/1511-Cを得た。この発現プラスミドを用いると1511-CはC末端にヒスチジンタグが付加された融合タンパク質とし
て生産された。
組換え遺伝子の発現
大腸菌(E. coli BL21(DE3) CodonPlus RIL, Novagen社製)のコンピテントセルを融解して、二本のファルコンチューブに各々0.1mlづつ移した。その中に上記の発現プラスミド溶液0.005mlを別々に加え、氷中に30分間放置した後、42℃でヒートショックを30秒間行い、SOC medium (バクトトリプトン16g、酵母エキス10g、NaCl 5g/l) 0.9mlを加え、37度で1時間振とう培養した。その後アンピシリンを含む2YT寒天プレートに適量まき、37℃で一晩培養し、形質転換体E.coli BL21(DE3) CodonPlus RIL/pET21b/1510-NとE. coli BL21(DE3) CodonPlus RIL/pET21b/1511-Cを得た。
形質転換体(E. coli BL21(DE3) CodonPlus RIL/pET21b/1510-N)はアンピシリンを含む2YT培地(2リットル)で660nmの吸収が0.4に達するまで30℃で培養した後、IPTG(Isopropyl-β-D-thiogalactopyranoside)を0.2mMになるように加え、30℃で12時間培養した。培養後遠心分離(6,000rpm,20min)で集菌し、-20℃で保存した。
形質転換体(E. coli BL21(DE3) CodonPlus RIL/pET21b/1511-C)はアンピシリンを含む2YT培地(2リットル)で660nmの吸収が0.4に達するまで37℃で培養した後、IPTG(Isopropyl-β-D-thiogalactopyranoside)を1mMになるように加え、37℃で4時間培養した。培養後遠心分離(6,000rpm,20min)で集菌し、-20℃で保存した。
本発明の酵素1510-Nの精製
冷凍保存した菌体に2倍量の50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.5)を加え懸濁液を得た。このトリス塩酸緩衝液には0.15M NaCl、1.5% dodesyl-β-maltoside (DDM, Anatrace, Maumee, OH)、1錠のプロテアーゼ阻害剤(Complete EDTA-free, Roche社製)、0.5mgのDNase I(Sigma)が予め加えられている。得られた懸濁液を超音波破砕し、遠心分離(15,000 xg、20分)により上清液を得た。この上清液を、0.3M NaCl、0.1% DDM、5mMイミダゾールで平衡化した Ni-カラム(Novagen, His・Bind metal chelation resin)に懸け、30mMイミダゾールを含む緩衝液による洗浄後、目的タンパク質は500mMイミダゾールを含む緩衝液
で溶出された。回収されたタンパク質はセントリプレップ-10かセントリコン-10(アミコン社)で濃縮し、4℃で保存した。タンパク質濃度はCoomassie protein assay 試薬(Pierce)で測定した。
基質1511-Cの精製
精製方法は、実施例8の酵素1510-Nの精製法と同様であるが、緩衝液にDDMが含まれない点で異なる。Ni-カラム後の更なる精製は、50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.5)で平衡化された陰イオン交換Qセファロースカラムで行われ、0〜0.5M NaCl勾配で溶出された。目的タンパク質は4℃で保存した。
1510-N変異遺伝子の作製と変異タンパク質の発現・精製
オーバーラップPCR法により、触媒候補残基のアラニン変異体遺伝子、すなわちD61(GCG)、T62(GCC)、S94(GCA)、S97(GCT)、H107(GCG)、C120(GCC)、K138(GCG)、R156(GCG)、D168(GCC)、D188(GCG)、及びD236(GCG)を作製した。
なお、これらのアミノ酸残基番号は遺伝子PH1510のコードする残基番号になっているので、そこから14減じた数が図1のアミノ酸残基番号になる。また、付された( )内に変換後のアラニンコドンを示した。
さらに、作製された変異遺伝子の発現ベクターの構築、大腸菌での発現、目的タンパク質の精製は、野生型(1510-N)遺伝子と同様に行われた。
酵素反応条件
(1)活性染色
酵素サンプルは、0.8% sodium lauroylsarcosine (半井テスク)、10% グルセロール、1% 2-メルカプトエタノールと混和した後、0.2%カゼインを含む10%ポリアクリルアミド-SDS-ゲルで電気泳動した。泳動終了後、2連で泳動されたゲルの左右を半分づつに切断し、
片方はクマシーブリリアントブルーR250(CBBR250)で染色した。残り半分は2.5%Triton X-100を含む50mMリン酸緩衝液(pH7.5)で1時間洗浄した後、タンパク質分解反応のために50mMリン酸緩衝液(pH7.5)中で80℃、16時間加温した。冷却後、ゲルは、30%メタノールと10%酢酸を含む0.1%アミドブラック染色液で染色した。タンパク質分解活性は、カゼイン分解による透明なゾーンとして観察される。
(2) タンパク質分解活性の定量
タンパク質分解活性は、蛍光標識されたカゼイン(ウシ由来のcasein fluorescein isothiocyanate (FITC-カゼイン), Sigma)の加水分解を測定した。標準反応液は20μlの20mM MES-Na緩衝液(pH6.0)中に基質FITC-カゼインと酵素を含む。反応液は80℃で数分間加温した後に、氷中保存で反応を停止し、終濃度が0.5% SDS、10%グリセロール、1%2-メルカプトエタノールになるようにSDS-サンプルバッファーを加え、98℃で5分間加温した。このサンプル(14μl)を10%ポリアクリルアミド-SDS-ゲルで電気泳動した。この後、ゲル上での分解産物を、フルオロイメージャー585(Molecular Dynamics, Inc., CA)を用い、励起光フィルター(488nm)と発光フィルター(530nm)で可視化、定量した。タンパク質分解活性は、以下の式で計算した。
R=P/(S+P)
(ここで、Rは分解率、Sは未分解カゼインのバンド量、Pは分解前のカゼインバンドの下部に現れた全ての分解産物量である。)
さらに、タンパク質分解活性を以下の式で標準化した。
(% cleavage)=100x(RX-R0)/(1-R0)
(ここで、RXはX分後のR値、R0は0分時のR値である。)
初速度は、時間経過における% cleavage値プロットの初傾度から求めた。
1510-Nのタンパク質分解活性に対する阻害剤の効果は、ペプスタチン、Phenylmethylsulfonyl fluoride (PMSF)、3,4-dichloroisocoumarin (DCI)(いずれもSigmaから購入した。)、EDTA (Dojin Lab.)を用いて調べた。本発明の酵素1510-Nは、各阻害剤と37℃で20-60分間保温したのち、そのタンパク質分解活性を測定した。
(3)至適pHと活性の温度依存性の測定
至適pHは、基質FITC-カゼイン(0.5μg)と酵素1510-N(0.2μg)を50mM濃度の各々酢酸Na緩衝液、リン酸Na緩衝液、MES-Na緩衝液、Tris-HCl緩衝液、グリシン-NaOH緩衝液中で80℃で反応させて測定した。温度依存性は20mM MES-Na緩衝液(pH6.0)中で基質FITC-カゼイン(0.5μg)と酵素1510-N (0.1μg)を各温度で反応させて、測定した。
(4)分解産物のN末端アミノ酸配列解析
基質α-カゼインとβ-カゼイン(共に牛血清由来、Sigma)と基質1511-Cは、酵素1510-Nで分解された。その反応産物を、SDS-PAGEで分離し、polyvinylidene difluoride 膜(Millipore)に電気的に転写した。反応産物のN末端配列解析は、APRO Life Science Institute, Inc.(日本)又は北海道システムサイエンス(日本)に依頼し分析された。
酵素の諸性質
(1)酵素1510-Nと基質1511-Cのタンパク質化学的性質
酵素1510-Nと基質1511-Cは上記の精製プロセスで完全に精製され、SDS-PAGEで分子量約25kDaと10kDaの単一バンドを示した(図3A)。また、精製1511-Cを用い、ネイティブ状態での分子量をゲルろ過で測定したところ、排除限界近くに一つのピークとして溶出され、数十量体の巨大分子として挙動した。このことは1511-C ドメインがストマチン、つまり1511の多量体化に大きく貢献している可能性を強く示唆した。なお、1510-Nは230アミノ酸残基より構成され、そのアミノ酸配列から予測される分子量は25,398 Daである。また、1511-Cは87アミノ酸残基より構成され、そのアミノ酸配列から予測される分子量は9,998Daである。また、酵素1510-Nの変異酵素、D61A、H107A、D188A、D236A、S94A、S97A、C120A、D168A、T62A、K138A、R156Aも上記の精製プロセスで完全に精製され、SDS-PAGEで分子
量約25kDaの単一バンドを示した(図3B)。
(2) 活性染色の結果
野生型1510-NとS97A、C120A変異体のSDS-PAGEパターンと活性染色の結果を図4に示した。図4A,Bレーン1と3に示されたように、野生型1510-NとC120A変異体はタンパク質バンドと同じ位置にカゼイン分解活性に由来する透明なハローを示した。このSDS-PAGEパターンより、活性タンパク質の分子量は45kDaと見積もられ、1510-N分子は2量体で活性を発現すると考えられた。このことは、本酵素がゲルろ過で二量体として挙動する事実とも一致した。なお、S97A変異体には明瞭なカゼイン分解活性が検出されなかった。さらに、起源の異なる種々のセリンプロテアーゼと1510-Nの一次配列併置の結果から、S97に相当する位置に全てのセリンプロテアーゼでSer残基が保存されていた。これらの結果より1510-Nがタンパク質分解酵素であることが証明された。また、S97残基が反応中心を構成する可能性が示された。
(3) 1510-N酵素のFITC-カゼインに対するエンド型切断の検出と至適反応条件
図5Aに示すように、1510-NはFITC-カゼインにエンド型に作用し、20kDaの主産物とボトムに泳動される小分子量FITC-ペプチドを生産した。また、図5Bに示すように、エンド型切断産物は経時的に増加した。さらに、図6Aに示したように、本酵素の至適pHは5〜6であった。また、図6Bに示したように、本酵素活性は50〜98℃まで温度に依存して増加し、至適温度は98℃以上と考えられた。
(4) 1510-N酵素の活性残基の探索
1510-N酵素の触媒候補残基におけるAla置換体を作製し、FITC-カゼインに対する活性(% cleavage値)を時間に対してプロットした(図7A)。また、図7Aを基に、四つの異なる酵素量に対して% cleavage/time/enzyme値(%/min/μg)を計算し、平均値を野生型酵素と比較して図7Bに示した。この結果から、S97A, K138A, D168A, T62Aの活性が野生型の各々0.08%,1.2%, 3.2%, 5.5%となった。また、1510-N分子に存在する唯一のHis残基の置換体H107Aは全く活性が減少しなかった。このことは、1510-N酵素がcatalytic triad (Ser, His, Asp) を有する典型的なセリンプロテアーゼではないことを示した。以上のことから、1510-N酵素は活性中心がS97とK138のcatalytic dyadで構成されるエンド型セリンプロテアーゼと考えられた。さらに、この事実は、典型的なセリンプロテアーゼ阻害剤であるPMSFやDCIがほとんど阻害効果を示さない実験結果からも支持された。
(5) 1510-Nプロテアーゼのアミノ酸一次配列特異性
1510-Nプロテアーゼの酸一次配列特異性を調べるために、いくつかにタンパク質を基質として用いた。α-カゼイン、β-カゼイン、1511-C、1511-N(1511のN末ドメイン(69〜234))、1510-C(1510のC末ドメイン(371〜441))の内でα-カゼインと1511-Cが良い基質であり、特異的分解産物が検出された(図8A,B)。α-カゼインから、主産物であるα-13k(α-カゼイン由来の13kDa断片を意味する。)とα-14kが得られた。1511-Cからは1511-10k(1511-C由来の見かけ上10kDa断片を意味する。)が得られた。さらに、マイナー産物であるα-20kとβ-12k断片は各々α-カゼインとβ-カゼインから得られた。一方、1511-Nと1510-Cは全く分解されなかった。ここで得られた特異的分解産物のN末アミノ酸配列を解析し、その基質特異性を表1に示した。
その結果、1511-Nは特異的にただ一ケ所で切断されることが明らかとなった。また、主産物であるα-13k、α-14k、1511-10kの解析結果から、認識配列は疎水性および芳香族性アミノ酸に富み、P1サイト(切断点の-1部位)はロイシン、P4サイトはバリンかロイシンであることが明かとなった。この様な基質特異性を示すセリンプロテアーゼは今だ報告されておらず、新規な酵素であった。
以上の実験事実より、1510-Nは、膜タンパク質ストマチン、つまり1511の多量体化に関与するドメイン(1511-C)の疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し、限定分解を行う新規耐熱性プロテアーゼであることが明かとなった。
1510-N(C末ヒスチジンタグ融合タンパク質)のアミノ酸配列(配列番号1)を示す。 1510-N(C末ヒスチジンタグ融合タンパク質)の塩基配列(配列番号2)を示す。 精製タンパク質のSDS-PAGEを示す。Mは分子量標準(250,150, 100, 75, 50, 37. 25, 20, 15, 10 kDa)を表す。A、レーン1〜4は、1510-N (PH1510タンパク質の残基16-236に相当する)、1510-C(PH1510タンパク質の残基371-441に相当する)、1511-N(PH1511タンパク質の残基69-234に相当する)、1511-C(PH1511タンパク質の残基189-266に相当する)を各々示す。B、レーン1〜11は、1510-NのAla置換体(D61A,H107A, D188A, D236A, S94A, S97A, C120A, D168A, T62A, K138A, R156A) を各々示す。 1510-Nの野生型およびS97A、C120A変異酵素のSDS-PAGEにおけるCBBR250染色(A)とプロテアーゼ活性染色(B)の結果を示す。レーン1〜3は各々野生型およびS97A、C120A変異酵素を示す。Mは分子量標準(75,50, 37. 25kDa)を表す。 1510-NプロテアーゼによるFITC-カゼイン切断の経時変化を示す。Aは、FITC-カゼインの分解産物をSDS-PAGEで分離し、Fluorimagerで検出した結果を示す。左端の数字は分子量標準を示す。FITC-カゼインはFITC-α-カゼイン(30kDa)とFITC-β-カゼイン(23kDa)から構成されている。プロテアーゼ反応が進むにつれて20kDaの主産物とボトムの小分子量FITC-ペプチドが観察された。Bは、図Aの結果から計算された%cleavage値を時間に対してプロットしたグラフである。 1510-Nプロテアーゼの至適pHと活性の温度依存性を示す。Aは、至適pHを示す。使用した緩衝液は、酢酸Na緩衝液(○)、リン酸Na緩衝液(△)、MES-Na緩衝液(+)、Tris-HCl緩衝液(□)、グリシン-NaOH緩衝液(×)である。Bは、20mMMES-Na緩衝液(pH6.0)中で測定された活性の温度依存性を示す。 1510-Nプロテアーゼの活性残基の探索を示す。Aは、Ala置換体のFITC-カゼインに対する活性(%cleavage値);野生型(○)、H107A(+)、S97A(△)を示す。Bは、野生型とAla置換体の比活性の比較を示す。図Aの結果を基に計算されたAla置換体の%cleavage/time/enzyme値 (%/min/μg)を野生型酵素のそれと比較して示す。 1510-Nプロテアーゼによる基質α-カゼインおよび1511-Cドメインのエンド型切断パターンを示す。Aは、α-カゼイン反応物を経時的にサンプリングし、SDS-PAGEで分析した結果を示す。M、S、Eは、分子量標準、基質、酵素1510-Nを示す。矢印の付された13k、14kの文字は各バンドの分子量を示す。Bは、1511-C反応物を経時的にサンプリングし、SDS-PAGEで分析した結果を示す。M、S、Eは、分子量標準、基質、酵素1510-Nを示す。矢印の付された10kの文字は産物1511-10kバンドの見かけ上の分子量を示す。
配列番号1:融合タンパク質。
Ser2-Asp222はパイロコッカス・ホリコシ由来である。
His225-His230はヒスタグである。
配列番号2:配列番号1の融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列。
配列番号5〜8:プライマー。

Claims (8)

  1. 配列番号9に示されるアミノ酸配列からなるプロテアーゼ活性を有するポリぺプチド。
  2. 配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるプロテアーゼ活性を有するポリペプチド。
  3. 配列番号9または1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解するプロテアーゼ活性を有するポリペプチド。
  4. 以下のプロテアーゼ活性をもつ(A)又は(B)のポリペプチドをコードするDNA。(A)配列番号9又は1に示されるアミノ酸配列をからなるポリぺプチド。
    (B)配列番号9又は1に示されるアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつ、膜タンパク質ストマチンの多量体化に関与する疎水性アミノ酸配列を特異的に認識し限定分解するプロテアーゼ活性を有する、ポリペプチド。
  5. 配列番号2又は10に示される塩基配列からなるDNA。
  6. 請求項4又は5又に記載のDNAを含む発現ベクター。
  7. 請求項6に記載の発現ベクターによって形質転換された宿主細胞。
  8. 請求項7記載の宿主細胞を培養し、プロテアーゼ活性を有するポリペプチドを回収することを含む、請求項1〜3のいずれかに記載のプロテアーゼ活性を有するポリペプチドの製造方法。
JP2004346425A 2004-11-30 2004-11-30 新規耐熱性プロテアーゼ Expired - Fee Related JP4431722B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004346425A JP4431722B2 (ja) 2004-11-30 2004-11-30 新規耐熱性プロテアーゼ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004346425A JP4431722B2 (ja) 2004-11-30 2004-11-30 新規耐熱性プロテアーゼ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006149307A JP2006149307A (ja) 2006-06-15
JP4431722B2 true JP4431722B2 (ja) 2010-03-17

Family

ID=36628312

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004346425A Expired - Fee Related JP4431722B2 (ja) 2004-11-30 2004-11-30 新規耐熱性プロテアーゼ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4431722B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006149307A (ja) 2006-06-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20200332286A1 (en) Materials and methods for the synthesis of error-minimized nucleic acid molecules
JP2003505071A (ja) 核酸検出のための耐熱性ヌクレオシド二リン酸キナーゼ
WO2007004654A1 (ja) 変異型pcna
CA2991195C (en) Novel p450-bm3 variants with improved activity
JP2003180352A (ja) Erwiniaタイプクレアチナーゼバリアント
US11572547B2 (en) Fusion proteins for the detection of apoptosis
JP4431722B2 (ja) 新規耐熱性プロテアーゼ
JP2008245604A (ja) 高効率耐熱性dnaリガーゼ
JPH0638771A (ja) ヒトプロテインジスルフィドイソメラーゼ遺伝子の発現方法および該遺伝子との共発現によるポリペプチドの製造方法
JP4105693B2 (ja) 耐熱性リボヌクレアーゼh
JP4631436B2 (ja) メタロエンドペプチダーゼ
KR100204837B1 (ko) 카르복실 에스테라제의 안정화
JP5008067B2 (ja) 新規なイソプリメベロース生成オリゴキシログルカン加水分解酵素、それをコードする遺伝子、ならびに該酵素の製造方法
JP4714848B2 (ja) Dnaポリメラーゼ変異体
JP5324083B2 (ja) 高反応性耐熱性dnaリガーゼ
US6838270B1 (en) Gene encoding protein capable of regenerating luciferin, novel recombinant DNA, and process for producing protein capable of regenerating luciferin
US20230416708A1 (en) Novel Variants of Endonuclease V and Uses Thereof
CN113913414B (zh) 高稳定性和高催化效率的双碱基酶Kex2突变体
JP3498808B2 (ja) Dnaポリメラーゼ遺伝子
Lee et al. High-level expression in Escherichia coli of alkaline phosphatase from Thermus caldophilus GK24 and purification of the recombinant enzyme
WO2024059581A2 (en) Engineered dna polymerase variants
JP2003259876A (ja) 変異制限酵素
KR20210084590A (ko) 조작된 dna 중합효소 변이체
KR20070035499A (ko) 폴리펩티드의 제조방법
JP2003250586A (ja) 新規タンパク質分解酵素

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061101

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090804

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091002

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091124

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091124

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130108

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140108

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140108

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140108

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees