JP4430876B2 - 半導体封止材用着色剤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体封止材用樹脂組成物の黒色着色剤として用いるカーボンブラック着色剤およびその製造方法に関し、特に、インナーリード間(リードフレーム)やパッド(ICの台座)とフレーム間あるいはワイヤー間(金線でのボンディング)などの電気的導通による電気不良を抑止し、更に、成形性、信頼性およびレーザーマーク性などに優れた半導体封止材用のカーボンブラック着色剤およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
IC、LSIなどの半導体チップは、チップを接着し、ワイヤーボンディングしたフレームを金型にセットし、熱硬化性樹脂を注入して硬化成形することによりチップを保護している。この半導体封止材用の樹脂組成物は、通常、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填剤および着色剤から形成されており、光がチップにあたって発生する光励起電流による電気的不具合を防止するために、黒色に着色されている。
【0003】
そして、黒色着色剤としては遮光性が高く、静電防止のため導電性を有するカーボンブラックが有用されている。例えば、均一な黒色度を付与する半導体封止用樹脂組成物として、特許文献1にはエポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤、無機充填材およびカーボンブラックを必須成分とする樹脂組成物において、該カーボンブラックの平均粒子径が10〜100nm、BET法による比表面積が50〜500m2 /g、pH値が6.5〜8.5であり、該カーボンブラックを全樹脂組成物中に0.05〜1.0重量%含む半導体封止用樹脂組成物が提案されている。
【0004】
一方、チップの集積度の向上とともにチップサイズの大型化、半導体装置の小型化、薄型化、多ピン化が進み、同時に、インナーリード間(リードフレーム)やパッド(ICの台座)とフレーム間あるいはワイヤー間(金線でのボンディング)などを電気的に接続するための配線間が狭小化してきている。そのため、この配線間に、樹脂組成物の着色剤として用いたカーボンブラック中に存在した導電性を有する大きな凝集物などが介在した場合には、配線間がショートして電気的不良を招く難点がある。
【0005】
この電気的不良を排除するために、特許文献2にはエポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤、無機充填材およびカーボンブラックを必須成分とする樹脂組成物において、カーボンブラックの凝集物の最大粒径が100μm以下である半導体封止用エポキシ樹脂組成物が提案されている。
【0006】
また、特許文献3には(A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)無機充填材、(D)硬化促進剤、および、(E)45μm以上が500ppm以下で、かつその最大粒径が500μm以下であるカーボンブラックを必須成分とするエポキシ樹脂組成物であって、全エポキシ樹脂組成物中に該カーボンブラックを0.1〜1.0重量%含有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物が提案されている。
【0007】
更に、特許文献4には(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機質充填材、(D)カーボンブラックを必須成分とするエポキシ樹脂組成物において、(D)成分のカーボンブラックとして粒子径45μm以上の粒子含有率が30ppm以下であるカーボンブラックを用いる半導体封止用エポキシ樹脂組成物が提案されている。
【0008】
これらは、カーボンブラックに混在するグリットや凝集塊などの凝集物による電気的不良の防止策として、その大きさと含有量を規制するものであるが、凝集物を除去し、減少させる方法については具体的に何ら記載されておらず、またその測定法についても、特許文献2では顕微鏡観察により測定する旨、特許文献3ではTyler標準篩325メッシュ(目開き45μm)で水洗しながら篩い分けした後乾燥し篩い残分とすること、また特許文献4ではJIS K6211に記載されている方法で測定される旨が記載されている。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−53604号公報
【特許文献2】
特開2000−7894号公報
【特許文献3】
特開2001−19833号公報
【特許文献4】
特開2001−354837号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
半導体装置におけるチップの高集積度化に伴って配線数の増大、配線間の距離は益々狭くなってきており、近年では、金線間のピッチ間隔は40〜50μm以下になろうとしている。したがって、金線間に挟持されて配線間がショートする電気的不良を招くカーボンブラックに混在する粗粒についても、より一層の配慮が必要となってきている。
【0011】
そこで、本発明者らはカーボンブラックに混在する微量の粗粒分を除去する方策について鋭意研究を行った結果、カーボンブラックを水などの湿式媒体中に微分散させて、分散液から粗粒分を分離除去することにより、半導体封止用樹脂組成物の着色剤として好適なカーボンブラック着色剤が得られること、更に、分散液中のカーボンブラックを酸化処理することにより、湿式媒体中へのカーボンブラックの分散性能が向上し、またエポキシ樹脂などの樹脂成分中への分散性も向上することを見出した。
【0012】
本発明は、この知見に基づいて完成したものであり、その目的は微量の粗粒分を除去し、具体的に25μmを越える粗粒分を完全に除去するとともにエポキシ樹脂への分散性を向上させた、半導体封止材用の黒色着色剤として好適なカーボンブラック着色剤およびその製造方法を提供することにある。
【0014】
また、本発明の半導体封止材用着色剤の製造方法は、カーボンブラックを湿式媒体中に分散して湿式酸化処理し、遠心分離処理して大粒を除去した後、カーボンブラック分散液を孔径が5μm以下のフィルタ−を濾過通過させ、得られたカーボンブラックスラリーを濃縮、乾燥、解砕することを構成上の特徴とする。
【0015】
この場合、予め乾式酸化したカーボンブラックを用い、更に、カーボンブラック分散液に界面活性剤を添加することが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
カーボンブラックにはファーネスブラックをはじめサーマルブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラックなどが市販されているが、本発明においてはこれらいずれのカーボンブラックも使用することができる。
【0017】
本発明の半導体封止材用着色剤は、カーボンブラックに混在する微量の粗粒分を除去して孔径25μmの篩残分を0重量%、定量濾紙No.5Aの濾紙残分を0.5ppm以下としたものである。
【0018】
このような粗粒分が微細で、極めて少ないカーボンブラックを半導体封止材用の樹脂組成物の着色剤として用いることにより、配線数が増大し、配線間が狭小化しても配線間に粗粒が挟まれて配線間がショートする電気的不良の発生を抑止することが可能となる。
【0019】
なお、これらの値は下記の方法により測定した値である。
(1)篩残分;
JIS K6218(1997)「ゴム用カーボンブラックの付随的性質の試験法」に準拠して、目開き25μmの篩を用いて測定する。
(2)濾紙残分;
カーボンブラック60gを秤量し、適量の水を加えて攪拌混合して十分に濡らし、孔径10μmのメンブランフィルター(定量濾紙No.5)を用いて8.0×104 Pa以下の減圧下で濾過し、濾液が透明になるまで水を加える。濾液が透明になったら常圧に戻し、定量濾紙No.5を乾燥させて秤量し、
Z=(W2 /W1 )×106 から濾紙残分を算出する。
但し、Zは濾紙残分(ppm)、W1 は定量濾紙No.5の質量、W2 は乾燥後の残渣質量である。
【0020】
本発明の半導体封止材用着色剤は、カーボンブラックを湿式媒体中に分散し、分散液を孔径が5μm以下のフィルターで濾過して、通過したカーボンブラックスラリーを濃縮、乾燥、解砕して製造される。なお、湿式媒体としては安価で、安全性の高い水を用いることが好ましい。以下、湿式媒体として水を用いた場合をベースとして説明する。
【0021】
分散液を濾過するフィルターは、一般的に用いられている濾紙、メンブランフィルターなどが使用でき、濾過方法は加圧濾過、減圧濾過などいずれでもよい。孔径は5μm以下のものが使用され、孔径はインナーリード間やパッド間あるいはワイヤー間の線幅により支障を生じない範囲で、例えば5μm、3μm、1μm、0.8μm、0.5μmなど適宜な孔径のフィルターが用いられる。
【0022】
孔径5μm以下のフィルターで濾過されたカーボンブラックスラリーは、適宜な濃度に濃縮して、凍結乾燥、真空乾燥、加熱乾燥などの方法で乾燥し、その後ヘンシェルミキサー、カッターミキサー、ジェットミル、振動ボールミル、ボールミル、遊星ボールミル、ピンミルなどの解砕機で解砕して、本発明のカーボンブラックからなる半導体封止材用の着色剤が製造される。
【0023】
カーボンブラックを湿式媒体、例えば安価で、安全性の高い水中に分散させるためには、元来、疎水性の表面性状を有するカーボンブラックを親水性の表面性状に改質する必要がある。カーボンブラックの親水化処理としては、カーボンブラックを湿式酸化処理することが好ましく、例えば、カーボンブラックを酸化剤を含む水溶液中に分散して、酸化剤濃度、時間、温度などを設定して攪拌する液相酸化が好ましい。このような湿式酸化処理によりカーボンブラック粒子表面にはヒドロキシル基やカルボキシル基などの親水性の官能基が生成する。
【0024】
湿式酸化処理する酸化剤には、例えばペルオキソ2硫酸塩、過酸化水素水、硝酸などが挙げられる。ペルオキソ2硫酸塩の塩としてはナトリウム、カリウム、リチウム、アルミニウムなどの軽金属塩やアンモニウム塩があるが、半導体封止材という用途からアンモニウム塩が好ましい。なお、次亜塩素酸塩、塩素酸、亜塩素酸、重クロム酸塩、過マンガン酸塩などは、その塩素や重金属が半導体材料に及ぼす影響から好ましくない。
【0025】
湿式酸化処理により還元した塩を除去しないと液中への分散性が低下して、カーボンブラックが凝集して濾過性が悪くなるので、還元塩を除去する。除去手段としては、限外濾過膜(UF)、逆浸透膜(R.O)、電気透析膜などの分離膜を用いることが好ましい。
【0026】
湿式酸化処理したカーボンブラック分散液は、カーボンブラック粒子表面に形成されたカルボキシル基やヒドロキシル基により良好な分散性を示すが、中和することが望ましい。中和剤としては、アンモニア、エタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、第4級アミンなどの有機アミン類が例示される。
【0027】
なお、カーボンブラック分散液に大きな未分散塊や粗粒が存在する場合があるので、遠心分離により分級除去することが好ましく、この操作により孔径5μm以下のフィルターによる濾過処理を円滑、効率的に行うことができる。
【0028】
更に、水中への分散をより効率的に進めるために、湿式酸化処理する前に予め乾式酸化することが好ましい。乾式酸化は例えばオゾン、酸素、NOx 、SOx などの雰囲気にカーボンブラックを曝すことにより行われる。
【0029】
また、水中に分散させる際に、水分散性の向上を図るために界面活性剤を添加することも好ましい。界面活性剤としてはアニオン系、ノニオン系、カチオン系いずれも使用することができる。
【0030】
アニオン系の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジアリールエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ナフタレンスルホン酸フォルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩、グリセロールボレイト脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセロール脂肪酸エステルなどが例示できる。なお、半導体用途から塩はアンモニウム塩が好ましい。
【0031】
ノニオン系の界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、フッ素系、シリコン系の非イオン活性剤が例示できる。
【0032】
カチオン系の界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが例示される。
【0033】
本発明の半導体封止材用のカーボンブラックからなる着色剤は、電子部品封止用として一般に用いられているエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填剤とともに混合されて半導体封止用の樹脂組成物が作製される。
【0034】
使用するエポキシ樹脂は特に限定されないが、電子部品封止用として一般に用いられる、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型Aノボラック型エポキシ樹脂をはじめとするフェノール類とアルデヒド類から合成されるノボラック樹脂をエポキシ化したエポキシ樹脂、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、アルキル置換ビスフェノールなどのジグリシジルエーテル、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸などのポリアミンとエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンとフェノール類の共縮合樹脂のエポキシ化物、ナフタレン環を有するエポキシ樹脂、ナフトールアラルキル樹脂のエポキシ化物、トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂、テルペン変性エポキシ樹脂、オレフィン結合を過酢酸などの過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂および脂環族エポキシ樹脂などを単独または併用して用いられる。
【0035】
使用する硬化剤も特に限定されず、一般に使用されている、例えば、フェノール、クレゾール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのフェノール類またはα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレンなどのナフトール類とホルムアルデヒド類のアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合または共縮合させて得られる樹脂、フェノール・アラルキル樹脂、ナフトール・アラルキル樹脂などのフェノール樹脂系硬化剤を単独または併用して用いることができる。
【0036】
エポキシ樹脂と硬化剤との反応を促進させる硬化促進剤も特に制限はなく、一般に用いられる、例えば、1,8-ジアザ−ビシクロ(5,4,0) ウンデセン-7、1,5-ジアザ−ビシクロ(4,3,0) ノネン、5,6-ジブチルアミノ-1,8- ジアザ−ビシクロ(5,4,0) ウンデセン-7、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの3級アミン類およびこれらの誘導体、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4- メチルイミダゾールなどのイミダゾール類およびこれらの誘導体、トリブチルホスフィン、ジメチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類およびこれらのホスフィン類に無水マレイン酸、ベンゾキノン、ジアゾフェニルメタンなどのπ結合を持つ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物、テトラフェニルホスホニウルテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2-メチル-4- メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N-メチルテトラフェニルホスホニウム- テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンとベンゾキノンの付加物、1,8-ジアザ−ビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7,2- フェニル-4- メチルイミダゾール、トリフェニルホスホニウム- トリフェニルボランなどがあり、これらを単独または併用して用いることができる。
【0037】
充填材としては吸湿性低減および強度向上の観点から無機充填材が用いられる。無機充填材としては溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコン、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭化珪素、窒化ほう素、ベリリア、ジルコニアなどの粉体またはこれらを球形化したビーズ、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、アルミナなどの単結晶繊維、ガラス繊維などを1種類以上配合することができる。更に、難燃効果のある無機充填材としては水酸化アルミニウム、ほう酸亜鉛などが挙げられ、これらを単独または併用することができる。
【0038】
なお、本発明においては上記の必須成分に加えて必要に応じて、シリコーンなどの可撓化剤、各種カップリング剤、カルナバワックスやポリエチレンワックスなどの離型剤、イオン捕捉剤などの添加剤を適宜配合することができる。
【0039】
本発明の半導体封止材用着色剤は、上記のエポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤および無機充填剤などとともに所定の割合でミキサーに投入され、十分に混合した後、熱ロール、押出機などによって混練し、冷却、粉砕して半導体封止用樹脂組成物が得られる。封止する方法は低圧トランスファー成形法が最も一般的であるが、インジェクション成形、圧縮成形、注型成形などの方法も適用できる。
【0040】
本発明のカーボンブラック着色剤を用いた半導体封止用樹脂組成物によれば、高集積度化する半導体チップにおいても配線間がショートして電気的不良を起こすことがなく、また、樹脂組成物の流動性、成形性、レーザーマーク性も優れており、IC、LSIなどの半導体素子の封止に好適であり、更に液封止形にも適用することができる。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に制限されるものではない。
【0042】
実施例1
窒素吸着比表面積(N2SA)135m2 /g、DBP吸収量56cm3 /100gのカーボンブラック(東海カーボン株製、トーカブラック#7550F)を使用して、カーボンブラックの単位表面積当たり、0.2mmol/m2 のペルオキソ2硫酸アンモニウム((NH4)2S2O8)が反応するように、下記式からペルオキソ2硫酸アンモニウムの必要量を算出して純水に溶解し、3dm3 としたペルオキソ2硫酸アンモニウム水溶液にカーボンブラック100gを入れて、60℃の温度で攪拌速度0.12s-1の条件で10時間、攪拌混合して湿式酸化処理を行った。
【0043】
ペルオキソ2硫酸アンモニウム必要量の算出式;
必要量=(ペルオキソ2硫酸アンモニウムのカーボンブラックの単位表面積当たりの必要モル数mmol/m2 )×(カーボンブラックの窒素吸着比表面積m2 /g)×(ペルオキソ2硫酸アンモニウムの当量228.2g/mol)
【0044】
酸化処理後の反応液は、限外濾過膜(旭化成株製、AHP−1010、分画分子量50000)を用いて還元塩を脱塩したのち、遠心分離機(日立工機株製、CR22F)により10 2 s−1の回転数で10分間処理して、大粒を分級除去した。
【0045】
このカーボンブラック分散液を孔径1μmのフィルターで濾過して、フィルターを通過したカーボンブラックスラリーは、同じ限外濾過膜を使用して、分散液中のカーボンブラック濃度を10重量%以上になるように濃縮した。
【0046】
濃縮したカーボンブラックスラリーを110℃の乾燥機中で乾燥し、乾燥後、カーボンブラック塊をカッターミキサーで解砕し、目開き75μmの篩で大粒を除去してカーボンブラック着色剤1を製造した。
【0047】
実施例2
実施例1と同じカーボンブラックを用い、同じ方法で湿式酸化処理および脱塩した後、アンモニアで中和し、その後、実施例1と同じ方法で遠心分離処理、濾過、濃縮、乾燥、解砕してカーボンブラック着色剤2を製造した。
【0048】
実施例3
実施例1と同じカーボンブラック、ノニオン系界面活性剤(花王株製、エマルゲンA500)、純水を、それぞれ10重量部、1重量部、89重量部の割合でステンレス製の容器に入れ、平均φ0.5のナイロンボール152重量部と共にサンドグラインダミルを用いて60時間攪拌混合した。更に、純水で10倍に希釈してカーボンブラック分散液を作製した。
【0049】
次いで、カーボンブラック分散液を遠心分離機(日立工機株製、CR22F)により10 2 s−1の回転数で、10分間処理して大粒を分級除去したのち、孔径1μmのフィルターで濾過して、フィルターを通過したカーボンブラックスラリーは実施例1と同じ方法で濃縮、乾燥、解砕してカーボンブラック着色剤3を製造した。
【0050】
比較例1
実施例1と同じカーボンブラック(窒素吸着比表面積(N2SA)135m2 /g、DBP吸収量56cm3 /100g、東海カーボン株製、トーカブラック#7550F)を、そのままカーボンブラック着色剤4とした。
【0051】
これらのカーボンブラックについて篩残分および濾紙残分を測定し、その結果を表1に示した。なお、篩残分は、参考までに目開き150μmおよび45μmの測定値も示した。
【0052】
【表1】
【0053】
次に、これらのカーボンブラック着色剤を、表2に示す割合(重量部)で混合し、二軸ロール(ロール表面温度約80℃)で10分間混練後、冷却粉砕して、半導体封止用の樹脂組成物を作製した。
【0054】
【表2】
なお、表2に示した材料は次の通りである。
ビフェニル型エポキシ樹脂(YH−4000H);油化シェルエポキシ株製
臭素化エポキシ樹脂(YDB−400);東都化成株製
アラルキル型フェノール樹脂(XL−225−3L);三井化学株製
溶融シリカ(球状品S−CO);株マイクロン製
【0055】
これらの樹脂組成物を用いてトランスファー成形機により金型温度180℃、成形圧力70kgf/cm2 、硬化時間90秒の条件で成形して、封止材としての各試験を行った。スパイラルフローはEMM11−66により測定し、熱時硬度はショア硬度計により測定した。
【0056】
また、この封止材を用いて、半導体素子をトランスファー成形機で同様の条件で成形し、175℃で6時間ポストキュアー後、耐湿性とハンダ耐熱性を評価した。耐湿性に用いた半導体装置はSOP(Small Outline Package)-28ピンであり、85℃/85RH%72時間吸湿+215℃/90秒の前処理後、PCT(121℃/2気圧)に放置して、チップ上配線の断線の有無を評価した。ハンダ耐熱性に用いた半導体装置はQFP(Quad Flat Package)-80ピンの樹脂封止型半導体装置(外形寸法20×14×2.0mm)であり、リードフレームは42アロイ材(加工なし)で8×10mmのチップサイズを有するものである。
【0057】
このようにして得られた樹脂封止型半導体装置について、ハンダ耐熱性を125℃/24時間ベーキング後、85℃/85RH%で所定の時間吸湿した後、240℃/10秒の処理を行った時の樹脂封止型半導体装置のクラック発生率により判定した。
【0058】
また、レーザーマーク性に用いた半導体装置はQFP- 54ピンであり、パッケージ表面をYAGレーザーマーキング装置で印字し、目視でマーク性を評価した。なお、YAGレーザーのマーキング条件は、
YAGレーザー波長;1064nm
レーザーパワー;5J
パルス幅;50μsec
である。
【0059】
得られた結果を表3に示した。
【0060】
【表3】
【0061】
【発明の効果】
本発明の半導体封止材用のカーボンブラック着色剤は、カーボンブラックに混在する粗粒分が、孔径25μmの篩残分が0重量%、すなわち目開き25μmの篩目を全通し、かつ定量濾紙No.5Aの濾紙残分が0.5ppm以下に分離除去されたものであるから、この着色剤を配合した半導体封止用樹脂組成物によれば、高集積度化する半導体チップにおいても配線間に粗粒が挟持されて、ショートするという電気的不良を抑止することが可能となる。更に、樹脂組成物の流動性、成形性、レーザーマーク性なども向上し、IC、LSIなどの半導体チップの封止に好適な樹脂組成物が得られる。また、本発明の製造方法によれば、カーボンブラックを水などの湿式媒体中に微分散させて、分散液から粗粒分を分離除去するものであり、分散液中のカーボンブラックを酸化処理することにより分散性が向上し、更に、予め乾式酸化したり、界面活性剤を添加することにより、分散性を一層向上させることができる。
Claims (3)
- カーボンブラックを湿式媒体中に分散して湿式酸化処理し、遠心分離処理して大粒を除去した後、カーボンブラック分散液を孔径が5μm以下のフィルタ−を濾過通過させ、得られたカーボンブラックスラリーを濃縮、乾燥、解砕することを特徴とする半導体封止材用着色剤の製造方法。
- 予め乾式酸化したカーボンブラックを用いる、請求項1記載の半導体封止材用着色剤の製造方法。
- カーボンブラック分散液に界面活性剤を添加する、請求項1または2記載の半導体封止材用着色剤の製造方法。
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