JP4430292B2 - 電力制御装置、発電システム、電力制御装置の制御方法 - Google Patents
電力制御装置、発電システム、電力制御装置の制御方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば燃料電池のような直流電力発生手段を用いて発電を行う電力制御装置等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、燃料電池発電システムとしては、図7に示すようなものが知られている(例えば特許文献1を参照)。図7において、燃料電池41は燃料電池本体で、水素供給手段42から供給される水素と空気供給手段43から供給される空気中の酸素とを反応させ、直流電力を発生させ、電力変換器44によって交流電力に変換され出力される。制御装置45は充放電装置46と電力変換器44を制御し、燃料電池本体41の発電量が固定されていても、充放電装置46からの放電または充放電装置46への充電によって、出力される電力を可変して出力するよう制御できるものである。
【0003】
しかしながら、このような燃料電池発電システムにおいては、燃料電池本体41の出力電圧を充放電装置46の充放電電圧に合わせる必要があるが、充放電装置46は、充放電制御のための手段を持たないため、燃料電池本体41の出力と、充放電装置46内の二次電池等の蓄電手段の定格との差を埋め合わせて、充放電装置46を高精度に充放電制御することは困難であった。
【0004】
このような不具合を解消する技術として、次のようなものが考えられる。図8に従来例2の燃料電池発電システムの構成を示す。図8において、燃料電池51は燃料電池本体で、水素と空気中の酸素とを反応させ直流電力を発生させる。DC−DCコンバータ52は、燃料電池51の直流電力の電圧を昇圧する。電力変換器(インバータ)53は、DC−DCコンバータ52により昇圧された直流電力を交流電力に変換し、電力負荷55に対し出力する。制御装置54は、電力負荷55の負荷電流を負荷電流検知器56により検知し、双方向DC−DCコンバータ57とDC−DCコンバータ52と電力変換器53を制御する手段である。
【0005】
制御装置54は、電力負荷55の負荷電流に応じて燃料電池本体51からの出力電流値が負荷電流値を超過した場合は、双方向DC−DCコンバータ57を介して蓄電池58へ電力を貯えるとともに、燃料電池本体51からの出力電流値が負荷電流値に対して不足した場合は、蓄電池58の電力を双方向DC−DCコンバータ57を介して電力負荷55へ供給する。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−325774号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例2(図8)の燃料電池発電システムは、電力変換器53が、直流電力を交流電力に変換させるために必要な電圧まで昇圧させるDC−DCコンバータ52の出力と結合した蓄電池58の充放電制御用の双方向DC−DCコンバータ57に接続された構成を有する。DC−DCコンバータ52により燃料電池51本体側の出力を制御するとともに、双方向DC−DCコンバータ57の制御によって蓄電池58の充放電効率を高めるようにしている。このとき、燃料電池51から蓄電池58への充電は、DC−DCコンバータ52と双方向DC−DCコンバータ57の2つの電圧制御手段を通して行われている。
【0008】
しかしながら、蓄電池58の充放電圧と、DC−DCコンバータ52により昇圧された出力の電圧との間には大きな差があり(一般にDC−DCコンバータ52により昇圧された出力電圧のほうが大きい)、これに合わせて双方向DC−DCコンバータ57の昇圧や降圧電位差も大きくする必要があり、電力変換効率を高くすることが困難になっていた。
【0009】
さらに、双方向DC−DCコンバータ57の電力変換効率と、蓄電池58の充放電効率との積の総合電力変換効率が低くなるため運転経済性が悪く、かつ双方向DC−DCコンバータ57自身の価格も高く、コスト高となるといった課題があった。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、電力の需要変化に速やかに対応し、必要とされる電力量を高効率に発生させ、経済的かつ信頼性の高い燃料電池電力制御装置およびそれを用いた発電システム等を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、第1の本発明は、直流電力を発生する直流電力発生手段(1)から出力された直流電力を貯蔵する二次電池(11)と、
直流入力を受けるとその電圧を変換するDC/DC変換器(5)を少なくとも含む電力変換手段(4)と、
前記直流電力発生手段と前記電力変換手段との間を電気的に接続し、前記直流電力発生手段の直流電力を前記二次電池に充電するとともに、前記二次電池からの電力を前記電力変換手段へ放電する充放電手段(12,13,14,100a、100b、100c、101a、101b、101c)と、
少なくとも前記電力変換手段からの電力が供給される外部電力負荷の負荷電力量を検知する検知手段(9)と、
前記検知された負荷電力量に基づき、前記充放電手段の動作を制御する制御手段(15)とを備え、
前記充放電手段は、
前記直流電力発生手段の出力電圧を前記二次電池の充電圧に変換する充電側変換動作、または前記二次電池の放電圧を前記直流電力発生手段の出力電圧に変換する放電側変換動作を行う共用変換手段(18)と、
前記共用変換手段の入力側が、前記直流電力発生手段の出力側および前記二次電池の出力側に接続されるよう制御する第1の制御スイッチ(16)と、
前記共用変換手段の出力側が、前記DC/DC変換器の入力側または前記二次電池の入力側に接続されるよう制御する第2の制御スイッチ(17)とを備え、
前記充電側変換動作を行うときは、前記第1の制御スイッチは前記直流電力発生手段の出力側と前記共用変換手段の入力側とを接続するとともに、前記第2の制御スイッチは、前記共用変換手段の出力側と前記二次電池の入力側とを接続し、
前記放電側変換動作を行うときは、前記第1の制御スイッチは前記二次電池の出力側と前記共用変換手段の入力側とを接続するとともに、前記第2の制御スイッチは、前記共用変換手段の出力側と前記DC/DC変換器の入力側とを接続し、
前記充放電手段は、DC/DC変換機能を有し、前記直流電力発生手段の出力電圧を前記二次電池の充電圧に変換し、前記二次電池の放電圧を前記直流電力発生手段の出力電圧に変換する電力制御装置である。
また、第2の本発明は、前記制御手段は、前記外部電力負荷が低負荷時であるときに前記充放電手段に前記充電の動作を行わせ、前記外部電力負荷が高負荷時であるときに前記充放電手段に前記放電の動作を行わせる制御を行う第1の本発明の電力制御装置である。
また、第3の本発明は、直流電力発生手段の出力から前記二次電池への電圧変換量は、前記電力変換手段の前記DC/DC変換器による前記直流電力発生手段の出力の電圧変換量に比べて小さい第1の本発明の電力制御装置である。
また、第4の本発明は、前記二次電池の電力貯蔵量を検出する電力貯蔵量検出手段(15,19,20)をさらに備え、
前記制御手段は、前記検知された電力貯蔵量に基づいて、前記充放電手段の動作を制御する第1の本発明の電力制御装置である。
また、第5の本発明は、前記直流電力発生手段と前記充放電手段との間に設けられ、前記充放電手段の放電側から前記直流電力発生手段への逆流を実質的に防止する逆流防止手段(14)をさらに備え、
前記充放電手段の充電側は、前記直流電力発生手段に直接電気的に接続されている、第1の本発明の電力制御装置である。
また、第6の本発明は、前記直流電力発生手段の出力電圧を検知する出力電圧検知手段(23)をさらに備え、
前記制御手段は、前記検知された出力電圧および前記検知された負荷電力に基づき、前記検知された出力電圧が高く、前記検知された負荷電力が低い時に前記充放電手段に前記充電の動作を行わせ、前記検知された出力電圧が低く、前記検知された負荷電力が高い時に前記充放電手段に前記放電の動作を行わせる第1の本発明の電力制御装置である。
また、第7の本発明は、前記検知された負荷電力を時間の関数として計測する負荷電力計測手段(15,21)をさらに備え、
前記直流電力発生手段の発電スケジュールは、前記負荷電力計測手段によりあらかじめ計測された負荷電力量に基づき決定されるものである第6の本発明の電力制御装置である。
また、第8の本発明は、第1から第7のいずれかの本発明の電力制御装置と、
直流電力を発生する直流電力発生手段(1)と、
前記検知された負荷電力量に基づき、前記直流電力発生手段の入力エネルギーを制御する制御手段とを備えた発電システムである。
また、第9の本発明は、第1の本発明の電力制御装置の制御方法であって、
前記負荷電力量を時間の関数として計測し、
前記直流電力発生手段の発電スケジュールを、前記計測により得られた負荷電力量に基づき決定する電力制御装置の制御方法である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明および本発明に関連する発明の実施の形態を、図面にもとづいて説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は本発明に関連する発明の実施の形態1における燃料電池発電装置の構成図である。
【0023】
直流電力発生手段に相当する燃料電池1には、改質器・水素貯蔵合金・水素ボンベなどに代表される水素を含有する燃料ガス供給手段2と、送風ファン・送風ポンプなどに代表される酸素を含有する酸化剤ガス供給手段3とが接続されている。電力変換手段4は、交流電力を直流電力に変換する手段で、まずコンバータ部5にて直流電圧を昇圧し、インバータ部6が昇圧された電圧を交流電力に変換し出力するように構成されている。
【0024】
出力線7は電力変換手段4に電気的に接続された手段で、また、電力負荷10に電気的に接続されている。また、負荷電力検知手段9は電力負荷10の動作に基づき、出力線7が出力する電力を検知する手段である。二次電池11は電力貯蔵手段に相当し、電力を充電して蓄積し、または蓄積した電力を放電する手段である。充電制御手段12は、燃料電池1の直流電力を二次電池11の充電電圧に適する電圧に変換して二次電池11へ充電する手段であり、例えば昇降圧チョッパー回路により実現される。また、放電制御手段13は二次電池11から放電される貯蔵電力を燃料電池1の直流出力電圧とほぼ同じ電圧に変換して電力変換手段4に出力する手段であり、例えば昇降圧チョッパー回路等から実現される。逆流防止ダイオード14は放電制御手段13からの直流電力が燃料電池1に逆流するのを防止する手段である。燃料電池制御手段15は、燃料ガス供給手段2から燃料電池1への燃料ガスの供給量、及び/又は、酸化剤ガス供給手段3から燃料電池1への酸化剤ガスの供給量を制御するとともに、電力負荷10に応じて充電制御手段12と放電制御手段13を制御して二次電池11の貯蔵電力の入出力を制御する手段である。
【0025】
二次電池11を設けた目的は、系統連系において負荷電力に対する出力電力の過不足による経済性の悪化に対して、二次電池11の充放電を利用し、経済性を良化させるためである。
【0026】
つぎに、本実施の形態1における動作を説明するとともに、これにより、電力制御方法の一実施の形態について説明を行う。
【0027】
燃料ガス供給手段2から供給される燃料ガスと酸化剤ガス供給手段3から供給される酸化剤ガス中の酸素は、燃料電池1の中で反応し直流電流を発生させる。発生した直流電流は電力変換手段4に送られる。電力変換手段4において、直流電流はコンバータ部5によって昇圧された後、インバータ部6によって電力負荷10と同じ電圧の交流電流に変換され、出力線7を通って電力負荷10に供給される。
【0028】
ここで、負荷電力検知手段9の検知する電力量に基づき、電力負荷10の負荷電力に対し燃料電池1の出力電力に不足がある場合は、燃料電池制御手段15は、電力負荷10に対する発電電力の不足分は二次電池11より放電制御手段13を介して補充出力させる。
【0029】
このとき、本実施の形態においては、二次電池11への充電の際には、充電制御手段12によって、燃料電池1からの出力電圧を、二次電池11の充電圧と実質同一に変換してから二次電池11に充電するようにし、二次電池11から電力変換手段4への放電の際には、放電制御手段13によって、二次電池11からの出力電圧を、燃料電池1の出力電圧と実質同一に変換してから電力変換手段4のコンバータ部5へ出力するようにしているため、二次電池11の充放電効率を高いまま維持することができる。このとき、燃料電池1の出力電圧と、二次電池11の充電圧との上下関係において、燃料電池1のほうが電圧が高い場合は、充電制御手段12は降圧を行い、放電制御手段13は昇圧を行うようにする。
【0030】
また、燃料電池1のほうが電圧が低い場合は、充電制御手段12は昇圧を行い、放電制御手段13は降圧を行うようにする。このとき、昇降圧の基準は、燃料電池1の出力電圧または二次電池11の充放電圧のいずれとしてもよい。また、燃料電池1の出力電圧は、燃料電池1を測定して得られた測定値であってもよいし、定格等に基づきあらかじめ定めた値(固定値)としてもよい。
【0031】
さらに、本実施の形態においては、二次電池11への充電は、燃料電池1の出力から充電制御手段12へ直接電力を取り出し、二次電池11から電力変換手段4への出力は、コンバータ部5への直前で、燃料電池1の出力電圧に合わせた形で行っている。
【0032】
このとき、充電制御手段12による二次電池11への電圧変換量は、図8に示す従来例2と比して極めて少なく、数ボルトから数十ボルト程度、かつ放電制御手段13による電力変換手段4への電圧変換量も同様に、数ボルトから数十ボルト程度で少ないものとなる。
【0033】
したがって、充電制御手段12、放電制御手段13の電力変換素子の電力損失(スイッチング損失、リアクトルの鉄損、銅損)等が少なくなり、充放電電力量が1〜2kW程度である場合の電力変換効率は90数%と高くなる。
【0034】
また、二次電池11の充放電効率も92〜93%であるため、二次電池11を使用した場合の総合充放電エネルギー効率も高くできるため燃料電池1の出力の過不足を補う蓄電システムとして経済的な運転が得られるとともに、充電制御手段12、放電制御手段13の制御回路構成も低コストに実現でき、経済性の高い燃料電池発電装置を提供できる。
【0035】
なお、本実施の形態は図9に示す構成としても良い。図1に示す構成と異なる点は以下の通りである。すなわち、逆流防止ダイオード14を省き、燃料電池1の出力を2系統設けて、その一方は電力変換手段4のコンバータ部5と直接接続する接続経路100aとして用い、他方は充電制御手段12と接続する接続経路100bとして用いる。また、放電制御手段13と電力変換手段4のコンバータ部5とを直接接続する接続経路100cを設ける。
【0036】
この場合、図1より単純かつ安価な構成で、放電制御手段13からの出力が燃料電池1または充電制御手段12へ逆流することを完全に防止することができる。
【0037】
(実施の形態2)
図3は本発明の実施の形態2における燃料電池発電装置の構成図である。
【0038】
図3において、図1で示した実施の形態1の燃料電池発電装置と同じ機能を有するものについては、同一符号を付与しており、それらの機能の詳細は、図1のものに準ずるものとして説明を省略する。
【0039】
充放電制御手段18は燃料電池1で発電した直流電力を電力貯蔵手段としての二次電池11に貯蔵し、かつ、二次電池11から貯蔵電力を電力変換手段4のコンバータ部5へ出力するための充電と放電を制御する手段であり、例えば昇降圧チョッパー回路等から構成されている。電流切換手段16および17は、燃料電池1からの充電と電力変換手段4のコンバータ部5への放電の電流の方向を切り換える手段であり、電流切換手段16は、充放電制御手段18と、燃料電池1の出力側または二次電池11の出力側とが接続されるような切換を行う。また、電流切替手段17は、充放電制御手段18と、電力変換手段4のコンバータ部5の入力側または二次電池11の入力側とが接続されるような切換を行う。また、電流切換手段16および17は、いずれも半導体スイッチまたは機械式スイッチ等で構成されている。
【0040】
つぎに、本実施の形態2の動作を説明する。ただし実施の形態1と同様の部分は省略し、相違点を中心に述べる。
【0041】
燃料電池発電装置の運転において、電力負荷10に対する装置側の電力の不足を負荷電力検知手段9が検知すると、燃料電池制御手段15は、電力負荷10に対する発電電力の不足分を二次電池11より供給するため、電流切換手段16を二次電池11の出力側と充放電制御手段18の入力側とが接続するように制御し、電流切換手段17を充放電制御手段18の出力側と電力変換手段4のコンバータ部5の入力側とが接続するよう制御を行う。
【0042】
これにより、二次電池11から出力される電力は、電流切換手段16、充放電制御手段18、電流切換手段17、電力変換手段4の順に供給される。
【0043】
次に、燃料電池1の電力負荷が低く、かつ二次電池11の充電に適した燃料電池1の出力電圧が高い時間帯などには、燃料電池制御手段15は、二次電池11を充電するため、電流切換手段16を燃料電池1の出力側と充放電制御手段18の入力側とが接続するように制御し、電力切換手段17を充放電制御手段18の出力側と二次電池11の入力側とが接続するよう制御を行う。
【0044】
これにより、燃料電池1から出力される電力は、電流切換手段16、充放電制御手段18、電流切換手段17、二次電池11の順に供給される。
【0045】
燃料電池発電装置において、二次電池11に対する充電動作と放電動作は、同時に行われることはないため、充電制御と放電制御のいずれかが動作しているとき、残りは不要になる。したがって、二次電池11への充放電制御を、1つの充放電制御手段と2つの電流切換手段で動作毎に切り替えて行うことにより、実施の形態1では2つあった電圧制御のための手段を一つにすることができ、充放電制御構成の簡素化・小型化と低コスト化が可能となる。
【0046】
なお、本実施の形態は、実施の形態1の場合と同様、図10に示す構成としても良い。図3に示す構成と異なる点は以下の通りである。すなわち、逆流防止ダイオード14を省き、燃料電池1の出力を2系統設けて、その一方は電力変換手段4のコンバータ部5と直接接続する接続経路101aとして用い、他方は電流切替手段16と接続する接続経路101bとして用いる。また、電流切替手段17と電力変換手段4のコンバータ部5とを直接接続する接続経路101cを設ける。
【0047】
この場合、図1より単純かつ安価な構成で、充放電制御手段18からの出力が燃料電池1へ逆流することを完全に防止することができる。
【0048】
(実施の形態3)
図4は本発明に関連する発明の実施の形態3における燃料電池発電装置の構成図である。図4において、図1で示した実施の形態1の燃料電池発電装置、図3で示した実施の形態2の燃料電池発電装置と同じ機能を有するものについては、同一符号を付与しており、それらの機能の詳細は、図1、3のものに準ずるものとして説明を省略する。
【0049】
電流センサ19は、燃料電池1からの発電反応による電力を充電制御手段12を介して二次電池11へ充電するときの充電電流を検知する手段である。また、電流センサ20は、二次電池11からの貯蔵電力を放電制御手段13を介して電力変換手段4へ放電するときの放電電流を検知する手段である。
【0050】
つぎに、本実施の形態3の動作を説明する。ただし実施の形態1と同様の部分は省略し、相違点を中心に述べる。
【0051】
燃料電池制御手段15は、電流センサ19からの充電電流と、電流センサ20からの放電電流を常時監視し、それぞれ時間積分および積算演算することにより、二次電池11の貯蔵電力量を常時把握している。
【0052】
そして、燃料電池制御手段15は、二次電池11の放電時には、電力貯蔵量が第1の電力貯蔵量以下になると放電制御手段13を制御して、放電を停止させる。ここで、第1の電力貯蔵量は、二次電池11のSOC(State Of Charge)またはDOD(Depth Of Discharge)である電池残存容量の充放電特性に適した領域の下限値であり、例えば電池容量の約50%付近に設定されている。
【0053】
次に、燃料電池制御手段15は燃料電池1の電力負荷が低く、かつ二次電池11の充電に適した燃料電池1の出力電圧が高い時間帯などに、二次電池11を充電する。このとき、燃料電池制御手段15は、電力貯蔵量が第2の電力貯蔵量以上になると充電制御手段12を制御して、充電を停止させる。ここで、第2の電力貯蔵量は、二次電池11のSOCまたはDODである電池残存容量の充放電特性に適した領域の上限値であり、例えば電池容量の約80〜90%付近に設定されている。
【0054】
従って、二次電池11の充放電量を、第1の電力貯蔵量から第2の電力貯蔵量の間で常に管理することにより、二次電池11の耐久性が著しく向上するとともに、燃料電池1の電力供給の補助手段構成として極めて経済的構成になり、発電装置の設備コストが低減される。
【0055】
なお、上記の実施の形態においては、充電電流を検知する電流センサ19および放電電流を検知する電流センサ20を用い、これらセンサの検出値に基づいて二次電池11の電力貯蔵量を算出するものとして説明を行ったが、二次電池11内の電力貯蔵量を直接測定し、これに基づき制御動作を行うようにしてもよい。
【0056】
(実施の形態4)
図5は本発明に関連する発明の実施の形態4における燃料電池発電装置の構成図である。図5において、図1で示した実施の形態1の燃料電池発電装置、図3で示した実施の形態2の燃料電池発電装置、図4で示した実施の形態3の燃料電池発電装置と同じ機能を有するものについては、同一符号を付与しており、それらの機能の詳細は、図1、3、4のものに準ずるものとして説明を省略する。
【0057】
本実施の形態の特徴は、燃料電池制御手段15に対し、時刻、時間を計測するタイマー等の計時手段21からの計時信号と、各時刻の使用電力量を記憶する半導体メモリ等の電力量記憶手段22からの使用電力量パターン情報とを入力する構成とした点である。
【0058】
つぎに、本実施の形態4の動作を説明する。ただし上記各実施の形態と同様の部分は省略し、相違点を中心に述べる。
【0059】
燃料電池制御手段15は、負荷電力検知手段9によって検知された負荷電力量を計時手段21により時刻に関する電力として負荷電力量モニタ情報(1日の時刻と使用電力量の関係)として電力量記憶手段22に記憶させる。そして、この負荷電力量モニタ情報を基に、記憶後の電力出力が負荷電力量モニタ情報と対応する各タイミングにおいて同じ出力になるように、燃料ガス供給手段2と酸化剤ガス供給手段3へ信号を出力する。さらに、燃料電池制御手段15は燃料電池1の電力負荷が低く、かつ二次電池11の充電に適した燃料電池1の出力電圧が高い時間帯に充電制御手段12を介して二次電池11への充電を行い充電時間を確保する。さらに所定運転時間毎に、電力量記憶手段22に記憶されている電力量のパターンに基づいて、燃料電池からの発電出力が所定出力以下の時間帯に、充電制御手段12を介して電力貯蔵量が満量貯蔵電力量に達し、かつ満量貯蔵電力量に達した充電時間が所定時間を超えるまで二次電池11に充電する。
【0060】
このとき、所定運転時間毎とは、電力貯蔵手段である二次電池11の充放電特性を良好に維持する上で欠かせないリフレッシュ充電動作を行う時間間隔であり、およそ1週間から10日毎である。また、満量貯蔵電力量に達した充電時間が所定時間を超えるまでとは、二次電池11が満充電に達したのち、充電動作を完了するための定電圧充電(押し込み充電)であり所定時間とは充電電流がほぼゼロになった状態が2〜3時間経過する時間である。
【0061】
これら一連の運転制御は、負荷電力量モニタ情報に基づく平均出力電力に対して実際の負荷電力は変動分が大きいため、二次電池11の蓄電量が常に補償されるような放電量と充電量がほぼ同等になるような電力出力制御になるとは限らないため、電力量記憶手段22の負荷電力量モニタ情報により充電が確保できる時間帯に二次電池11の蓄電量を確保するようにし、かつ二次電池11の充放電特性を良好に維持するようにしたものである。
【0062】
従って、電力量記憶手段22に記憶されている電力量のパターンに基づいて、燃料電池からの発電出力が所定出力以下の時間帯に、充電制御手段12を介して電力貯蔵量が満量貯蔵電力量に達し、かつ満量貯蔵電力量に達した充電時間が所定時間を超えるまで二次電池11に充電するので、二次電池11の定期的充電リフレッシュ動作を確保できるため、二次電池11の寿命特性が大幅に向上する。
【0063】
(実施の形態5)
図6は本発明に関連する発明の実施の形態5における燃料電池発電装置の構成図である。図6において、図1で示した実施の形態1の燃料電池発電装置、図3に示した実施の形態3の燃料電池発電装置と同じ機能を有するものについては、同一符号を付与しており、それらの機能の詳細は、図1、3のものに準ずるものとして説明を省略する。
【0064】
本実施の形態の特徴は、燃料電池1の出力電圧を検知する燃料電池出力電圧検知手段23を設け、燃料電池1の寿命劣化等に伴う電力負荷に応じた出力電流に対する出力電圧の低下による二次電池11への充放電制御における昇圧電圧または降圧電圧量の補正を行う構成とした点である。
【0065】
つぎに、本実施の形態5の動作を説明する。ただし上記各実施の形態と同様の部分は省略し、相違点を中心に述べる。
【0066】
燃料電池1は寿命劣化等に伴って、一般に図2に示すように、燃料電池1の出力電流に対して、出力電圧が電流の増加とともに低下する特性を持っているが、この出力特性そのものが全体的に電圧に対して低下する方向に移行する。燃料電池制御手段15は、燃料電池出力電圧検知手段23および負荷電力検知手段9により電力負荷10の負荷電力に対する燃料電池1の出力電圧を常時監視する。燃料電池1の負荷電力に対する出力電圧特性にずれ(出力電圧低下)が発生すると、その電圧差を電力貯蔵手段としての二次電池11の充電制御手段12および放電制御手段13の充放電制御における昇圧レベル、降圧レベルの補正量として調整する。
【0067】
従って、燃料電池1の出力電圧を常時監視し、出力特性低下の寿命劣化等に伴う電力負荷に応じた出力電流に対する出力電圧の低下に対して、二次電池11への充放電制御における昇圧電圧または降圧電圧量の補正量を適正に確保するため、信頼性の高い、保守性の良い発電装置を提供できる。
【0068】
なお、上記の各実施の形態において、燃料電池1は本発明の直流電力発生手段の一例であり、二次電池11は電力貯蔵手段の一例であり、コンバータ部5は本発明のDC/DC変換器の一例であり、電力変換手段4は本発明の電力変換手段の一例であり、負荷電力検知手段9は本発明の検知手段の一例であり、燃料電池制御手段15は本発明の制御手段の一例である。
【0069】
さらに、充電制御手段12は、充放電手段の充電側変換手段の一例であり、放電制御手段13は、充放電手段の放電側変換手段の一例である。また、充放電制御手段18は、本発明の充放電手段の共用変換手段の一例であり、電流切換手段16は本発明の第1の制御スイッチの一例であり、電流切換手段17は本発明の第2の制御スイッチの一例である。また、逆流防止ダイオード14、接続経路100a、100b、100c、101a、101b、101cは本発明の充放電手段に含まれる。
【0070】
また、燃料電池出力電圧検知手段23は、本発明の出力電圧検知手段の一例であり、電流センサ19,20および燃料電池制御手段15は本発明の電力貯蔵量検出手段の一例である。また、計時手段21および燃料電池制御手段15は、本発明の負荷電力計測手段の一例であり、電力量記憶手段22は、本発明の制御手段に含まれる手段である。また、電力量記憶手段22に記憶されている負荷電力量モニタ情報は、本発明のあらかじめ計測された負荷電力量の一例である。
【0071】
さらに、上記の各実施の形態においては、本発明および本発明に関連する発明の発電システムの一例として、燃料電池発電装置の説明を行ったが、本発明および本発明に関連する発明は、電力制御装置として、各実施の形態の構成から、燃料電池1,燃料ガス供給手段2、酸化剤ガス供給手段3および電力負荷10を省いた構成にて実現してもよい。
【0072】
また、本発明および本発明に関連する発明の発電システムにおいて、直流電力発生手段は、燃料電池に限定する必要はなく、例えば電池、ガスタービン発電器、ゼーベック効果を利用した熱電発電器など、直流電力を発生できるものであればその種類に限定されない。一例として、図11に、ガスタービン発電器を用いた構成を示す。ガスタービン発電器は、図に示すように、制御手段150により制御される都市ガス供給部110から供給される都市ガスと、制御手段150により制御される空気供給部111から供給される空気により動作するガスタービン112と、ガスタービン112に接続された交流発電機113と、交流発電機114の高周波数の交流出力を直流電力に変換するAC−DCコンバータ114とから構成される。基本的には燃料電池1の場合と同様であり、ガスタービン112が交流発電機114の電力供給量を一定となるよう運転させる場合でも、電力負荷10に応じて充電制御手段12および放電制御手段13が二次電池11に充電または放電を行わせることにより、電力制御を行うことができる。
【0073】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、電力貯蔵手段のエネルギー利用効率を高めた経済的かつ信頼性の高い電力制御装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関連する発明の実施の形態1における燃料電池発電装置のブロック構成図
【図2】 本発明に関連する発明の実施の形態5における燃料電池発電装置の燃料電池出力特性図
【図3】 本発明の実施の形態2における燃料電池発電装置のブロック構成図
【図4】 本発明に関連する発明の実施の形態3における燃料電池発電装置のブロック構成図
【図5】 本発明に関連する発明の実施の形態4における燃料電池発電装置のブロック構成図
【図6】 本発明に関連する発明の実施の形態5における燃料電池発電装置のブロック構成図
【図7】 従来の燃料電池発電システムのブロック構成図
【図8】 従来の燃料電池発電システムのブロック構成図
【図9】 本発明に関連する発明の実施の形態1における燃料電池発電装置の他の構成を示す図
【図10】 本発明の実施の形態2における燃料電池発電装置の他の構成を示す図
【図11】 本発明に関連する発明の他の実施の形態の構成を示す図
【符号の説明】
1 燃料電池
2 燃料ガス供給手段
3 酸化剤ガス供給手段
4 電力変換手段
5 コンバータ部
6 インバータ部
9 負荷電力検知手段
10 電力負荷
11 二次電池
12 充電制御手段
13 放電制御手段
14 逆流防止ダイオード
15 燃料電池制御手段
Claims (9)
- 直流電力を発生する直流電力発生手段から出力された直流電力を貯蔵する二次電池と、
直流入力を受けるとその電圧を変換するDC/DC変換器を少なくとも含む電力変換手段と、
前記直流電力発生手段と前記電力変換手段との間を電気的に接続し、前記直流電力発生手段の直流電力を前記二次電池に充電するとともに、前記二次電池からの電力を前記電力変換手段へ放電する充放電手段と、
少なくとも前記電力変換手段からの電力が供給される外部電力負荷の負荷電力量を検知する検知手段と、
前記検知された負荷電力量に基づき、前記充放電手段の動作を制御する制御手段とを備え、
前記充放電手段は、
前記直流電力発生手段の出力電圧を前記二次電池の充電圧に変換する充電側変換動作、および前記二次電池の放電圧を前記直流電力発生手段の出力電圧に変換する放電側変換動作を行う共用変換手段と、
前記共用変換手段の入力側が、前記直流電力発生手段の出力側または前記二次電池の出力側に接続されるよう制御する第1の制御スイッチと、
前記共用変換手段の出力側が、前記DC/DC変換器の入力側または前記二次電池の入力側に接続されるよう制御する第2の制御スイッチとを備え、
前記充電側変換動作を行うときは、前記第1の制御スイッチは前記直流電力発生手段の出力側と前記共用変換手段の入力側とを接続するとともに、前記第2の制御スイッチは、前記共用変換手段の出力側と前記二次電池の入力側とを接続し、
前記放電側変換動作を行うときは、前記第1の制御スイッチは前記二次電池の出力側と前記共用変換手段の入力側とを接続するとともに、前記第2の制御スイッチは、前記共用変換手段の出力側と前記DC/DC変換器の入力側とを接続し、
前記充放電手段は、DC/DC変換機能を有し、前記直流電力発生手段の出力電圧を前記二次電池の充電圧に変換し、前記二次電池の放電圧を前記直流電力発生手段の出力電圧に変換する電力制御装置。 - 前記制御手段は、前記外部電力負荷が低負荷時であるときに前記充放電手段に前記充電の動作を行わせ、前記外部電力負荷が高負荷時であるときに前記充放電手段に前記放電の動作を行わせる制御を行う請求項1に記載の電力制御装置。
- 直流電力発生手段の出力から前記二次電池への電圧変換量は、前記電力変換手段の前記DC/DC変換器による前記直流電力発生手段の出力の電圧変換量に比べて小さい請求項1に記載の電力制御装置。
- 前記二次電池の電力貯蔵量を検出する電力貯蔵量検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検知された電力貯蔵量に基づいて、前記充放電手段の動作を制御する請求項1に記載の電力制御装置。 - 前記直流電力発生手段と前記充放電手段との間に設けられ、前記充放電手段の放電側から前記直流電力発生手段への逆流を実質的に防止する逆流防止手段をさらに備え、
前記充放電手段の充電側は、前記直流電力発生手段に直接電気的に接続されている、請求項1に記載の電力制御装置。 - 前記直流電力発生手段の出力電圧を検知する出力電圧検知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記検知された出力電圧および前記検知された負荷電力に基づき、前記検知された出力電圧が高く、前記検知された負荷電力が低い時に前記充放電手段に前記充電の動作を行わせ、前記検知された出力電圧が低く、前記検知された負荷電力が高い時に前記充放電手段に前記放電の動作を行わせる請求項1に記載の電力制御装置。 - 前記検知された負荷電力を時間の関数として計測する負荷電力計測手段をさらに備え、
前記直流電力発生手段の発電スケジュールは、前記負荷電力計測手段によりあらかじめ計測された負荷電力量に基づき決定されるものである請求項6に記載の電力制御装置。 - 請求項1から7のいずれかに記載の電力制御装置と、
直流電力を発生する直流電力発生手段と、
前記検知された負荷電力量に基づき、前記直流電力発生手段の入力エネルギーを制御する制御手段とを備えた発電システム。 - 請求項1に記載の電力制御装置の制御方法であって、
前記負荷電力量を時間の関数として計測し、
前記直流電力発生手段の発電スケジュールを、前記計測により得られた負荷電力量に基づき決定する電力制御装置の制御方法。
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