JP3795414B2 - 交流電源供給システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は負荷に交流電源を供給する交流電源供給システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
無停電の電力供給を要求する通信用、コンピュータ用等の負荷に対しては、図5に示すような商用電源が停電した場合にも負荷に安定に電力供給を行う交流電源装置が備えられている。
【0003】
図5において、交流電源装置12’は、商用電源10と、商用電源10の交流出力を安定した所定のレベルの交流電力に変換し、負荷20に出力する。交流電源装置12’は、商用電源10の交流出力を直流電力に変換するコンバータ121と、蓄電池122と、商用電源1の交流出力を直流電力に変換して蓄電池122を充電する充電器123と、コンバータ121の直流電力または蓄電池122の蓄電池出力を安定した交流電力に変換し、負荷20に出力するインバータ124と、特定の期間以外に蓄電池122における充放電を停止させるためのダイオード125とを有している。
【0004】
交流電源装置12’は、商用電源10が正常動作時にはコンバータ121は商用電源10の交流出力を安定な直流電力に変換すると共にインバータ124を介して負荷20へ電力供給を行う。また、商用電源10の交流出力を充電器123にて安定な直流電力に変換して蓄電池122を充電する。さらに、商用電源10停電時には、インバータ124は蓄電池122出力を安定な電力に変換して負荷20に供給する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成からなる交流電源装置の動作を図6(B)を参照して簡単に説明する。図6(B)は図5に示す交流電源装置12’の各部の動作状態を負荷20の電力需要特性Q’と共に示している。
通常、コンバータ121は、タイマの設定により負荷20からの電力需要が電力会社の契約電力より多くなる時間帯t20≦t≦t21にコンバータ120の運転を停止し、かつ負荷20からの電力需要が契約電力以下の時間帯t<t20、t>21では運転状態となるように制御される。
【0006】
時間帯t20≦t≦t21では、蓄電池122出力をインバータ124が安定した交流電力に変換し、負荷20に供給する。このときの蓄電池122の放電により消費した蓄電池電力を補充するために負荷20の電力需要が低下した時間帯t22≦t≦t23で充電器123を動作状態とし、コンバータ121は、負荷20の電力需要Q’に応じた交流電力をインバータ124を介して供給すると共に、充電器123を介して蓄電池122に充電を行う。
このように、蓄電池122の充電時には、負荷に供給する電力と蓄電池に充電する電力を同時に供給するため商用電源10からの供給電力が大きくなる。
【0007】
したがって、負荷の電力需要が最大となる電力量と電力会社との契約電力量との差を大きくする、すなわちより契約電力量を低く設定すると、コンバータ121の運転動作、運転停止動作に伴い、負荷の電力需要特性に応じて電力供給する際に蓄電池が余分に充放電される電力量が大きくなり、商用電源10からの供給電力が増大するので、図6(B)に示すように契約電力量を低く設定することができないという問題が有った。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、商用電源側のピーク電力を抑制すると共に、負荷に安定な電力を供給する交流電源供給システムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、負荷に交流電源を供給する交流電源供給システムであって、商用交流電力を供給する商用電源と、蓄電池と、前記商用電源出力を直流電力に変換して前記蓄電池を充電するコンバータと、該コンバータ出力及び前記蓄電池出力を安定な交流電力に変換するインバータとを有し、負荷に交流電力を供給する交流電源装置と、前記交流電源装置から負荷に供給される交流電力を計測する電力計測手段と、前記電力計測手段の出力を取り込み、前記負荷に供給される交流電力の一日の需要電力の平均値を演算し、前記コンバータが該平均値に相当する直流電力を出力するように前記コンバータを制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、負荷に交流電源を供給する交流電源供給システムであって、商用交流電力を負荷に供給する商用電源と、蓄電池と、前記商用電源出力を直流電力に変換して前記蓄電池を充電し、または該蓄電池出力を交流電力に変換して負荷に交流電力を供給する電力変換手段とを有する交流電源装置と、前記交流電源装置から負荷に供給される交流電力を計測する電力計測手段と、前記電力計測手段の出力を取り込み、前記負荷に供給される交流電力の一日の需要電力の平均値を演算し、前記負荷が要求する電力量に応じて前記電力変換手段の電力出力の出力方向の切替及び出力電力量を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記負荷の要求する電力量が前記平均値以上となる時点で前記電力変換手段が前記蓄電池出力を交流電力に変換し、前記負荷の要求する電力量が前記平均値未満となる時点で前記電力変換手段が前記商用電源出力を直流電力に変換して蓄電池に充電するように前記電力変換手段の出力方向を切り替え、かつ前記平均値を基準とした出力指令値を与えることにより前記負荷の要求する電力量を該負荷に供給するように前記電力変換手段を制御することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。本発明の第1の実施形態に係る交流電源供給システムの構成を図1に示す。同図において、本発明の第1の実施形態に係る交流電源供給システムは、商用交流電力を供給する商用電源10と、負荷に交流電力を供給する交流電源装置12と、交流電源装置12から負荷20に供給される交流電力を計測する電力計測手段としての出力電力計14と、出力電力計14の出力を取り込み、負荷20に供給される交流電力の平均値を演算し、コンバータ120が該平均値に相当する直流電力を出力するようにコンバータ120を制御する制御手段としての制御回路16とを有している。
【0012】
交流電源装置12は、蓄電池122と、商用電源出力を直流電力に変換して蓄電池122を充電するコンバータ120と、該コンバータ120出力及び蓄電池122出力を安定な交流電力に変換するインバータ124とを有している。
ここで、電力会社との契約電力、すなわち、商用電源の電力容量は50kWであり、負荷の需要電力の最大値は100kW、したがって、インバータ124の出力容量は100kWであるものとする。
【0013】
上記構成からなる本発明の第1の実施形態に係る交流電源供給システムの動作を、図3を参照して説明する。図3は負荷20の電力需要特性と、本実施形態に係る交流電源供給システムの運転状態との関係を示している。図3において、曲線Q1は負荷20の電力需要特性を示している。
交流電源装置12が運転され、負荷20に交流電力が供給されると、出力電力計14により交流電源装置12より負荷20に供給される交流電力が計測され、その計測値は制御回路16に入力される。
【0014】
制御回路16は、入力される出力電力計14の計測値(負荷20に供給される交流電力)の平均値を演算し、該平均値に相当する直流電力を出力させるための制御信号(出力指令)をコンバータ120に出力する。この結果、コンバータ120からは、常に演算された平均値に相当する直流電力P0を出力する。
一方、負荷20は1日のうちで特定の時間帯(t1≦t≦t2)で電力需要が高く、t<t1、t>t2の時間帯で電力需要が低い電力需要特性Q1を有している。
【0015】
また、インバータ124は、電力需要特性Q1に応じた交流電力を負荷20に出力する。したがって、t<t1、t>t2の時間帯では、負荷20の需要電力は平均値の電力P0を下回り、この電力P0と負荷20の需要電力との差分に相当する電力は矢印Cで示されるように蓄電池122に充電される。
【0016】
これに対して、時間帯t1≦t≦t2では、負荷20の需要電力は平均値の電力P0を上回り、負荷20の需要電力と電力P0との差分に相当する電力は矢印Bで示されるように放電することにより蓄電池122からインバータ124に供給され、インバータ124では、コンバータ120から供給される直流電力P0と、蓄電池122から供給される直流電力とを加算した直流電力を交流電力に変換し、負荷20に供給する。なお、コンバータ120、インバータ124の効率は100%ではないので、実際にはこれらの効率を考慮した値の電力を入力する必要があるが、説明の便宜上、省略してある。
【0017】
本発明の第1の実施形態に係る交流電源供給システムは、商用電源が停電しても瞬断が発生しないので、瞬断が発生することが許容されないような負荷に対して使用するのに適している。
【0018】
本発明の第1の実施形態に係る交流電源供給システムによれば、商用電源10から一定の契約電力が供給されるコンバータ120を、負荷20に供給する電力量の平均値に相当する電力を常時、出力するように制御し、負荷20の電力需要が前記平均値以下の場合にはコンバータ出力の余剰電力を蓄電池122に充電し、負荷20の電力需要が前記平均値以上の場合には不足電力を蓄電池122より出力(放電)させ、インバータ124に入力するようにしたので、山上や僻地等不便な地域においても安定して負荷に電力を供給することができると共に、図6に示すように従来に比して契約電力の値を大幅に低く設定することができ、電力損失の少ない交流電源供給システムを実現することができる。
【0019】
次に、本発明の第2の実施形態に係る交流電源供給システムの構成を図2に示す。同図において、本発明の第2の実施形態に係る交流電源供給システムは、商用交流電力を負荷20に供給する商用電源10と、負荷に交流電力を供給する交流電源装置30と、交流電源装置30から負荷20に供給される交流電力を計測する電力計測手段としての出力電力計32と、出力電力計32の出力を取り込み、負荷20が要求する電力量に応じて交流電源装置30内の電力変換手段として機能するAC/DC双方向コンバータ300の電力出力の出力方向の切替及び出力電力量を制御する制御手段としての制御回路34とを有している。
【0020】
交流電源装置30は、蓄電池302と、商用電源10の出力を直流電力に変換して蓄電池302を充電し、または該蓄電池302の出力を交流電力に変換して負荷20に交流電力を供給するAC/DC双方向コンバータ300とを有している。ここで、電力会社との契約電力、すなわち、商用電源の電力容量は50kWであり、負荷の需要電力の最大値は100kW、したがって、AC/DC双方向コンバータ300の出力容量は100kWであるものとする。商用電源10からは常時、50kWの電力が負荷20に供給されている。
【0021】
上記構成からなる本発明の第2の実施形態に係る交流電源供給システムの動作を、図4を参照して説明する。図4は負荷20の電力需要特性と、本実施形態に係る交流電源供給システムの運転状態との関係を示している。図4において、曲線Q2は負荷20の電力需要特性を示している。負荷20は1日のうちで特定の時間帯(t10≦t≦t11)で電力需要が高く、t<t10、t>t11の時間帯で電力需要が低い電力需要特性Q2を有している。
【0022】
商用電源10からは既述したように、常時、契約電力P0(50kW)が負荷20に供給されている。この状態下において、交流電源装置30が運転され、商用電源10及び交流電源装置30より負荷20に交流電力が供給されると、出力電力計32により負荷20に供給される交流電力が計測され、その計測値は制御回路34に入力される。
【0023】
制御回路34は、入力される出力電力計32の計測値(負荷20に供給される交流電力)の平均値を演算し、負荷20の要求する電力量が前記平均値以上となる時点でAC/DC双方向コンバータ300が蓄電池302出力を交流電力に変換して負荷20に供給し、負荷20の要求する電力量が前記平均値以下となる時点でAC/DC双方向コンバータ300が商用電源10出力を直流電力に変換して蓄電池302に充電するようにAC/DC双方向コンバータ300の出力方向を切り替えるための制御信号と、前記平均値を基準とした出力指令値を与えることにより前記負荷の要求する電力量を該負荷に供給するようにAC/DC双方向コンバータ300を制御する。
【0024】
すなわち、制御回路はAC/DC双方向コンバータ300の出力方向の切替制御を行うための制御信号と、負荷20の需要電力を供給するために商用電源10から負荷20に供給される交流電力に加えてAC/DC双方向コンバータ300から負荷20に対して出力すべき交流電力の出力指令をAC/DC双方向コンバータ300に出力する。
【0025】
t<t10の時間帯では、負荷20の需要電力は平均値の電力P0(商用電源10出力)を下回っており、このときAC/DC双方向コンバータ300の出力方向は制御回路34の制御下に、蓄電池302側、すなわち、矢印C’で示すように商用電源10の交流電力出力の一部を直流電力に変換して蓄電池302に充電する方向(矢印C’方向)に切り替えられている。そして、平均値の電力P0と負荷20の需要電力との差分に応じた電力量だけ蓄電池302に充電するように制御回路34よりAC/DC双方向コンバータ300に出力指令が出力される。
【0026】
次いで、時刻t10以降の時間帯では、負荷20の需要電力は平均値の電力P0を超えるので、制御回路34よりAC/DC双方向コンバータ300に出力方向を負荷側に、すなわち蓄電池302が放電状態となり、蓄電池302出力を交流電力に変換して負荷に出力する方向(矢印B’方向)に切り替えるための制御信号が出力され、これと同時に平均値の電力P0と負荷20の需要電力との差分に応じた電力量だけ蓄電池302出力を交流電力に変換するように制御回路34よりAC/DC双方向コンバータ300に出力指令が出力される。この状態は、t10≦t<t11において、継続する。
【0027】
さらに、時刻t11以降の時間帯では、t<t10の時間帯と同様に負荷20の需要電力は平均値の電力P0を下り、このときAC/DC双方向コンバータ300の出力方向は制御回路34の制御下に、蓄電池302側、すなわち、矢印C’で示すように商用電源10の交流電力出力の一部を直流電力に変換して蓄電池302に充電する方向(矢印C’方向)に切り替えられている。
【0028】
そして、平均値の電力P0と負荷20の需要電力との差分に応じた電力量だけ蓄電池302に充電するように制御回路34よりAC/DC双方向コンバータ300に出力指令が出力される。
このようにして、負荷20には図4に示すように、全ての時間帯にわたって負荷の電力需要特性Q2に従った電力量が供給されることとなる。
【0029】
なお、本発明の第2の実施形態に係る交流電源供給システムは、商用電源が停電した場合に、AC/DC双方向コンバータ300の出力方向が切り替えられた場合に瞬断が発生することがあるので、瞬断が発生することが許容されるような負荷に対して使用するのが好ましい。
【0030】
以上に説明したように、本発明の第2の実施形態に係る交流電源供給システムによれば、制御回路34は、前記負荷に供給される交流電力の平均値を演算し、負荷の要求する電力量が前記平均値以上となる時点でAC/DC双方向コンバータ300が蓄電池302出力を交流電力に変換し、負荷20が要求する電力量が前記平均値未満となる時点でAC/DC双方向コンバータ300が商用電源10を直流電力に変換して蓄電池302に充電するようにAC/DC双方向コンバータ300の出力方向を切り替え、かつ前記平均値を基準とした出力指令値を与えることにより前記負荷の要求する電力量を該負荷に供給するようにAC/DC双方向コンバータ300を制御するようにしたので、山上や僻地等不便な地域においても安定して負荷に電力を供給することができると共に、図6に示すように、従来に比して契約電力の値を大幅に低く設定することができ、電力損失の少ない交流電源供給システムを実現することができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、山上や僻地等不便な地域においても商用電源停電時に安定して負荷に電力を供給することができると共に、従来に比して契約電力の値を低く設定することができ、電力損失の少ない交流電源供給システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る交流電源供給システムの構成を示すブロック図。
【図2】 本発明の第2の実施形態に係る交流電源供給システムの構成を示すブロック図。
【図3】 図1に示した第1の実施形態に係る交流電源供給システムにおける負荷の電力需要特性と、交流電源供給システムの運転状態との関係を示す説明図。
【図4】 図2に示した第2の実施形態に係る交流電源供給システムにおける負荷の電力需要特性と、交流電源供給システムの運転状態との関係を示す説明図。
【図5】 従来の交流電源供給システムの構成を示すブロック図。
【図6】 本発明に係る交流電源供給システムと従来の交流電源供給システムとの効果の差異を示す説明図。
【符号の説明】
10…商用電源、12、30…交流電源装置、14、32…出力電力計、16、34…制御回路、20…負荷、120…コンバータ、122、302…蓄電池、300…AC/DC双方向コンバータ

Claims (2)

  1. 負荷に交流電源を供給する交流電源供給システムであって、
    商用交流電力を供給する商用電源と、
    蓄電池と、前記商用電源出力を直流電力に変換して前記蓄電池を充電するコンバータと、該コンバータ出力及び前記蓄電池出力を安定な交流電力に変換するインバータとを有し、負荷に交流電力を供給する交流電源装置と、
    前記交流電源装置から負荷に供給される交流電力を計測する電力計測手段と、
    前記電力計測手段の出力を取り込み、前記負荷に供給される交流電力の一日の需要電力の平均値を演算し、前記コンバータが該平均値に相当する直流電力を出力するように前記コンバータを制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする交流電源供給システム。
  2. 負荷に交流電源を供給する交流電源供給システムであって、
    商用交流電力を負荷に供給する商用電源と、
    蓄電池と、前記商用電源出力を直流電力に変換して前記蓄電池を充電し、または該蓄電池出力を交流電力に変換して負荷に交流電力を供給する電力変換手段とを有する交流電源装置と、
    前記交流電源装置から負荷に供給される交流電力を計測する電力計測手段と、
    前記電力計測手段の出力を取り込み、前記負荷に供給される交流電力の一日の需要電力の平均値を演算し、前記負荷が要求する電力量に応じて前記電力変換手段の電力出力の出力方向の切替及び出力電力量を制御する制御手段とを有し、
    前記制御手段は、前記負荷の要求する電力量が前記平均値以上となる時点で前記電力変換手段が前記蓄電池出力を交流電力に変換し、前記負荷の要求する電力量が前記平均値未満となる時点で前記電力変換手段が前記商用電源出力を直流電力に変換して蓄電池に充電するように前記電力変換手段の出力方向を切り替え、かつ前記平均値を基準とした出力指令値を与えることにより前記負荷の要求する電力量を該負荷に供給するように前記電力変換手段を制御することを特徴とする交流電源供給システム。
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