JP4430132B1 - ハイブリッドアルファーグルコシドトランスポーター - Google Patents

ハイブリッドアルファーグルコシドトランスポーター Download PDF

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Abstract

本発明は、麦汁などに含まれるマルトース・マルトトリオースの資化を早めることのできる、アルファーグルコシドトランスポーターなどに関する。特に本発明は、グルコースによる不活化・分解に関して、AGT1とMAL21とのハイブリッドによって、グルコースによる不活化・分解を受けにくく、かつAGT1と同じくマルトトリオースを取り込むことができるアルファーグルコシドトランスポーターなどに関する。例えば本発明のアルファーグルコシドトランスポーターを発現する酵母を使用することによって、マルトース・マルトトリオースなどのオリゴ糖を含む醪の醗酵速度を早める事ができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、麦汁などに含まれるマルトース・マルトトリオースの資化を早めることのできる、アルファーグルコシドトランスポーターなどに関する。
ビール、発泡酒、ウィスキーなどの麦芽発酵飲料の製造において、麦芽等をマッシングした麦汁に含まれる主な糖はグルコース・マルトース・マルトトリオースの3種類である。これらの麦芽由来の糖の比率はマッシングの方法で、若干変えることが可能だが、酵素剤の添加や、糖化スターチの添加などを行なわない場合は、大きく変わることはなく、1:5:1ぐらいの比であると言える。このうちグルコースは単糖であり、酵母が最も好む糖として、はじめに資化される。酵母は、グルコース存在下で転写過程において抑制される数々の遺伝子を有している。この抑制制御はグルコースリプレッションと呼ばれる。マルトースやマルトトリオースの酵母への取り込みに必要な数種のトランスポーターはいずれもこの抑制を受ける。また、これらグルコースリプレッションを受ける遺伝子の産物は、さらに翻訳後にもグルコースの存在下で不活化されるものがあることが知られている。マルトーストランスポーターもその類に属し、グルコース存在下では、速やかに分解されることが知られている。マルトース・マルトトリオースの資化の第一段階が、このトランスポーターによる酵母細胞内への取り込みであるため、トランスポーターが分解されると、これらの資化は止まってしまう。これが、トランスポーターの発現が資化の律速段階であると呼ばれる由縁である。
Brondijk, T. H., van der Rest, M. E., Pluim, D., de Vries, Y. de., Stingl, K., Poolman, B., and Konings, W. N. (1998) J Biol Chem 273(25), 15352-15357 Medintz, I., Wang, X., Hradek, T., and Michels, C. A. (2000) Biochemistry 39(15), 4518-4526 Gadura, N., and Michels, C. A. (2006) Curr Genet 50(2), 101-114 4) Han EK, Cotty F, Sottas C, Jiang H, Michels CA.(1995) Mol Microbiol.17(6),1093-107.
したがって、例えば酵母におけるAgt1pは、グルコース存在下において分解速度が非常に速いため、高グルコース濃度の培養において効率的に機能できないことが1つの問題と考えられる。
このような状況において、マルトース・マルトトリオースなどのオリゴ糖を含む醗酵醪の酵母による醗酵速度を早めることのできる、オリゴ糖トランスポーターを作製することが望まれていた。
特に本発明は、翻訳後のアルファーグルコシドトランスポーターAgt1pのグルコースによる分解を制御することができれば、培地中の高グルコース存在下でも、より効率よくマルトース・マルトトリオースを酵母に資化させる事ができることが期待されるため、グルコースによって不活化または分解されにくいアルファーグルコシドトランスポーターAgt1pを作製することを課題とする。
本発明者らは、この概念に基づき鋭意努力した結果、グルコースによる不活化/分解を受けやすいことがわかっているAGT1と、自然界から取得したグルコースによる不活化・分解を受けにくいMAL21とのハイブリッド遺伝子を複数作製し、その中から、グルコースによる不活化・分解を受けにくく、さらに基質特異性についてはAGT1と同じくマルトトリオースを取り込むことができるハイブリッドトランスポーターを作製することに成功し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、グルコース誘導性不活化/分解耐性トランスポーターをコードする遺伝子、該遺伝子にコードされるトランスポータータンパク質、該遺伝子の発現が調節された形質転換酵母、該遺伝子の発現が調節された酵母を用いることによる酒類の製造方法などに関する。本発明は、具体的には、次に示すポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含有するベクター、該ベクターが導入された形質転換酵母、該形質転換酵母を用いる酒類の製造方法などを提供する。
(1) グルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドであって、以下の(a)〜(d)のいずれかに記載のポリヌクレオチドからなる12回膜貫通ドメインコード領域を含み、5'側配列及び/又は3'側配列を異種ポリヌクレオチドと組み換えてなるポリヌクレオチド:
(a)配列番号:3の307〜1659番目の塩基配列又は配列番号:5の283〜1641番目の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)配列番号:4の103〜553番目のアミノ酸配列又は配列番号:6の95〜547番目のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド;
(c)配列番号:4の103〜553番目のアミノ酸配列又は配列番号:6の95〜547番目のアミノ酸配列において、1〜10個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド;及び
(d)配列番号:4の103〜553番目のアミノ酸配列又は配列番号:6の95〜547番目のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
(2) 異種ポリヌクレオチド配列が配列番号:1の12回膜貫通ドメインの5'側配列及び/又は3'側配列である、(1)に記載のポリヌクレオチド
(3) 5'側配列との組換え位置が12回膜貫通ドメインの予測TMD1コード領域内であり、3'側配列との組換え位置が12回膜貫通ドメインの予測TMD12コード領域開始位置から予測TMD12コード領域終止位置より3'側に96塩基以内の領域内であって、かつ配列番号:2と配列番号:4との対応するアミノ酸配列において同一性が80%以上の領域内である、(1)に記載のポリヌクレオチド。
(4) 5'側配列との組換え位置が配列番号:1又は配列番号:5の175番目の塩基より12回膜貫通ドメイン予測TMD1コード領域終止位置までの領域内であり、12回膜貫通ドメインと3'側配列との組換え位置が予測TMD12コード領域開始位置から予測TMD12コード領域終止位置より3'側に180塩基以内の領域内である、(1)に記載のポリヌクレオチド。
(5) 配列番号:13、15又は17の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する(1)〜(4)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(6) 配列番号:14、16又は18のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する(1)〜(4)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(7) DNAである、(1)〜(6)のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
(8) (1)〜(7)のいずれかに記載のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質。
(9) (1)〜(7)のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含有するベクター。
(10) (9)に記載のベクターが導入された形質転換酵母。
(11) (9)に記載のベクターを導入することによって、オリゴ糖資化能が向上した(10)に記載の醸造用酵母。
(12) (8)に記載のタンパク質の発現量を増加させることによってオリゴ糖資化能が向上した(11)に記載の醸造用酵母。
(13) (10)〜(12)のいずれかに記載の酵母を用いた酒類の製造方法。
(14) 醸造する酒類が麦芽飲料である(13)に記載の酒類の製造方法。
(15) 醸造する酒類がワインである(13)に記載の酒類の製造方法。
(16) (13)〜(15)のいずれかに記載の方法で製造された酒類。
本発明において改変したハイブリッドトランスポーター遺伝子を発現する酵母を使用することによって、マルトース・マルトトリオースなどのオリゴ糖を含む醪の醗酵速度を早める事ができる。改変したハイブリッドトランスポーター遺伝子は、どのような醸造用酵母、実験室酵母にも導入可能である。特にグルコース・フラクトースなどの単糖を沢山含むような醗酵原液に、マルトース・マルトトリオース・ツラノース・トレハロース等、改変したトランスポーターが取り込むことのできるオリゴ糖を含むような場合はより有効である。
MAL21遺伝子の塩基配列を示す図である。 Mal21pのアミノ酸配列を示す図である。 Mal21pとAgt1pとのアミノ酸配列のアラインメント図である。 Mal21pとMtt1pとのアミノ酸配列のアラインメント図である。 Agt1pとMal21pとの基質特異性の違いを示す図である。 Agt1p、Mal61pおよびMal21p のグルコース存在下での分解速度を示す図である。 AMMp、AAMp、AMAp、MAAp、MMAp、MAMpの配列の模式図である。 AMMp、AAMp、AMAp、MAAp、MMAp、MAMpの各ハイブリッドトランスポーターを有する形質転換酵母の基質特異性を示す図である。 AMMp、AAMp、AMAp、MAAp、MMAp、MAMpの各ハイブリッドトランスポーターを有する形質転換酵母の2-DOG耐性を示す図である。 MMAp、MAAp、MAMpの分解速度の測定を示す図である。 MAL21遺伝子を高発現させた下面ビール酵母株の発泡酒あるいは発泡酒(グルコースリッチ)麦汁におけるマルトース発酵速度を示す図である。 pJHXSBを示す図である。 pYCGPYを示す図である。 pUP3GLPを示す図である。
本発明者らは、翻訳後のトランスポーターのグルコースによる不活性化または分解を制御することができれば、グルコース存在下でも、より効率よくマルトース及びマルトトリオースを酵母に資化させる事ができるのではないかという着想に基づいて、鋭意努力した結果、自然界から分解されにくいα−グルコシドトランスポーターであるMal21pを発見し、Mal21pが他のトランスポーターに比べ、はるかに分解速度が遅いことを確認した。
本発明において新たに作製したグルコースによる不活化または分解を受けにくいハイブリッドトランスポーターを高発現することによって、実際にマルトース培地での増殖速度を上げる事に成功した。また、ビール醸造においては、マルトースの資化速度を早める事ができた。本発明はこのような着想と研究の成果によって完成したものである。
本発明において得られた遺伝子およびそのヌクレオチド配列、ならびにそれらの遺伝子にコードされるトランスポータータンパク質のアミノ酸配列は次のとおりである。
[配列番号:1] MAL21ヌクレオチド配列
[配列番号:2] Mal21pα−グルコシドトランスポーターアミノ酸配列
[配列番号:3] AGT1ヌクレオチド配列
[配列番号:4] Agt1pα−グルコシドトランスポーターアミノ酸配列
[配列番号:5] MTT1ヌクレオチド配列
[配列番号:6] Mtt1pα−グルコシドトランスポーターアミノ酸配列
[配列番号:7] AAMヌクレオチド配列
[配列番号:8] AAMpアミノ酸配列
[配列番号:9] AMAヌクレオチド配列
[配列番号:10] AMApアミノ酸配列
[配列番号:11] AMMヌクレオチド配列
[配列番号:12] AMMpアミノ酸配列
[配列番号:13] MAAヌクレオチド配列
[配列番号:14] MAApアミノ酸配列
[配列番号:15] MAMヌクレオチド配列
[配列番号:16] MAMpアミノ酸配列
[配列番号:17] MMAヌクレオチド配列
[配列番号:18] MMApアミノ酸配列
本明細書中で使用される「α−グルコシドトランスポーター」とは、α−グルコシドの膜輸送に関するタンパク質であり、このようなα−グルコシドトランスポーターとしては、マルトーストランスポーター、マルトトリオーストランスポーターなどが含まれる。
1.本発明のポリヌクレオチド
まず、本発明は、グルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドであって、(a)配列番号:3の307〜1659番目の塩基配列又は配列番号:5の283〜1641番目の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド;及び(b)配列番号:4の103〜553番目のアミノ酸配列又は配列番号:6の95〜547番目のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドからなる12回膜貫通ドメインコード領域を含み、5'側及び/又は3'側の配列を異種ポリヌクレオチドに組み換えてなるポリヌクレオチドを提供する。ポリヌクレオチドは、DNAであってもRNAであってもよい。
12回膜貫通ドメインとは、12個の膜貫通ドメインであるTMD1からTMD12までの範囲を意味し、個々の膜貫通ドメインであるTMD1、TMD2、…、TMD12およびそれぞれに介在する配列を含む。TMD1、TMD12等のTMDに付属する各番号は、アミノ酸配列のN末端側から数えた膜貫通ドメインの番号を示す。したがって12回膜貫通ドメインコード領域とは、TMD1から12までの範囲のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を指し、TMD1コード領域とは、TMD1のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を指す。
本発明は、12回膜貫通ドメインを有するアルファーグルコシドトランスポータータンパク質のN末側及び/又はC末側の配列を他の12回膜貫通ドメインを有するトランスポータータンパク質のN末側及び/又はC末側の配列に組み換えてなるトランスポータータンパク質またはそれをコードするポリヌクレオチドに関する。したがって、本明細書において、「異種ポリヌクレオチド」とは、組換え前のトランスポータータンパク質と異なるトランスポータータンパク質がコードされるポリヌクレオチドのことをいう。異種のポリヌクレオチドと組み換える場合、好ましくは、組み換える対象のポリヌクレオチドと異種ポリヌクレオチドとの間でヌクレオチド配列及び/又はアミノ酸配列についてのアラインメントを確認し、対応する領域間を組み換えることができる。
5'側配列及び/又は3'側配列とは、ある特定の遺伝子又はDNA配列の隣の配列、すなわち5'側及び/又は3'側に存在する配列を指す。例えば、12回膜貫通ドメインコード領域の5'側配列は、その12回膜貫通ドメインを中央部分に持つタンパク質をコードする領域の翻訳を開始するための配列を含み、12回膜貫通ドメインコード領域の3'側配列は、12回膜貫通ドメインを中央部分に持つタンパク質をコードする領域の翻訳を終結するための配列を含む。本発明において、5'側配列及び3'側配列とは12回膜貫通ドメインを挟む5'側配列又は3'側配列を指す。5'側の組換え位置は、例えばTMD1内の領域内であってもよいし、TMD1開始位置より5'側の上流であってもよい。
本発明の好ましいポリヌクレオチドは、配列番号:3の307〜1659番目の塩基配列又は配列番号:5の283〜1641番目の塩基配列からなるポリヌクレオチド、あるいは配列番号:4の103〜553番目のアミノ酸配列又は配列番号:6の95〜547番目のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドからなる12回膜貫通ドメインコード領域の5'側及び/又は3'側配列を、配列番号:1の12回膜貫通ドメインコード領域の5'側及び/又は3'側配列と組み換えてなる、グルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドが挙げられる。
本発明で対象とするポリヌクレオチドは、上記配列のタンパク質をコードするポリヌクレオチドに限定されるものではなく、このタンパク質と機能的に同等なタンパク質をコードする他のポリヌクレオチドを含む。機能的に同等なタンパク質としては、例えば、(c)配列番号:4の103〜553番目のアミノ酸配列又は配列番号:6の95〜547番目のアミノ酸配列において、1〜10個(好ましくは、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個又は1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列を含み、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質が挙げられる。
このようなタンパク質としては、配列番号:4の103〜553番目のアミノ酸配列又は配列番号:6の95〜547番目のアミノ酸配列において、例えば、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個(1〜数個)、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個、1個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列を含み、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質が挙げられる。上記アミノ酸残基の欠失、置換、挿入および/または付加の数は、一般的には小さい程好ましい。
また、このようなタンパク質としては、(d)配列番号:4の103〜553番目のアミノ酸配列又は配列番号:6の95〜547番目のアミノ酸配列に対して約90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質が挙げられる。上記相同性の数値は一般的に大きい程好ましい。
<グルコース誘導性不活化/分解耐性の評価>
本発明において、グルコース誘導性不活化/分解耐性は、例えば次のようにして評価することができる。最初に、各トランスポータータンパクを発現する株が、0〜2 mMの2−デオキシグルコースを含有するマルトース等の最少培地(Yeast Nitrogen Base w/o amino acids 6.7 g/L、 マルトースなど 20 g/L、ただし、栄養要求性のある形質転換株については、その栄養素を含む) あるいは、0〜2 mMの2−デオキシグルコースを含有するマルトース等の完全合成培地(SCM) (Yeast Nitrogen Base w/o amino acids 6.7 g/L、 マルトース20 g/L、アデニン硫酸 20 mg/ml、ウラシル20 mg/ml、L-トリプトファン20 mg/ml、L-ヒスチジン塩酸塩20 mg/ml、L-アルギニン塩酸塩20 mg/ml、L-メチオニン20 mg/ml、L-チロシン30 mg/ml、L-ロイシン30 mg/ml、L-イソロイシン30 mg/ml、L-リジン塩酸塩30 mg/ml、L-フェニルアラニン50 mg/ml、L-グルタミン酸100 mg/ml、L-アスパラギン酸 100 mg/ml、L-バリン150 mg/ml、L-トレオニン200 mg/ml、L-セリン400 mg/ml)で生育することを確認し、グルコース誘導性の不活化/分解シグナルが生じている状態の酵母においても、そのトランスポーターがマルトース取り込み活性を持ち機能している株を選択する。次に、この株をYPD(イーストエキストラクト 10 g/L,ポリペプトン 20 g/L, グルコース 20 g/L)に植菌して、30 ℃にて一晩震盪培養する。培養液を、OD660=1.0になるようにYPM培地(イーストエキストラクト 10 g/L,ポリペプトン 20 g/L, マルトース 5 g/L)に植菌し、30 ℃にて2.5時間、震盪培養し、集菌する。60 OD660unitの細胞を測り取り、あらかじめ30 ℃にてインキュベートしておいた分解速度測定用培地(Yeast Nitrogen Base w/o amino acids and ammonia 1.6 g/L、 グルコース 20 g/L、シクロヘキシミド 25μg/L)30mlに懸濁し、30 ℃でインキュベートする。 細胞懸濁液は適当な時間(0、10、20、30および40 分あるいは、0、30、60、90および120 分)5mlサンプリングし、速やかに遠心して上澄みを捨て、細胞をエタノールドライアイスで凍結する。凍結した細胞から常法にしたがってトランスポータータンパク質を検出し、タンパクバンドのインテンシティーを測定し、その減少速度から半減期を求める。本発明において好ましいトランスポータータンパク質は、例えば、Agt1pと比較して、2倍以上、3倍以上、4倍以上、5倍以上、6倍以上または8倍以上の半減期を有する。
<タンパク質の膜貫通ドメインの規定>
本発明において、上記(a)に記載される「配列番号:3の307〜1659番目の塩基配列又は配列番号:5の283〜1641番目の塩基配列」、及び(b)に記載される配列番号:4の103〜553番目のアミノ酸配列又は配列番号:6の95〜547番目のアミノ酸配列とは、酵母におけるAgt1p又はMtt1pの12回膜貫通ドメインとして予想される部分である。これらタンパク質の膜貫通ドメインは、Stockholm university Theoretical Chemistry Protein Prediction Servers のTopology prediction program であるToppred2 (http://bioweb.pasteur.fr/seqanal/interfaces/toppred.html)、あるいは、EMBnetのTransmembrane regions detection programであるTMPRED:Transmembrane regions detection (EMBnet http://www.ch.embnet.org/index.html)などで予測する事が可能である(アクセス日:2008年8月29日)。Mal61pの予測膜貫通ドメインについては、Cheng, Q., and Michels, C. A. (1989) Genetics 123(3), 477-484に書かれている。本明細書において、以下の予測TMD1〜12のために、Stockholm university Theoretical Chemistry Protein Prediction Servers のTopology prediction program であるToppred2 (http://bioweb.pasteur.fr/seqanal/interfaces/toppred.html)を使用した。
図3および図4にそれぞれ、Mal21pとAgt1pとのアミノ酸配列のアラインメント、およびMal21pとMtt1pとのアミノ酸配列のアラインメント図を示す。それぞれの図には、同一のアミノ酸(薄いグレー)および相同性のあるアミノ酸(濃いグレー)、相同性のないアミノ酸、ギャップ(−)などの情報が示される。
また、本発明は、3'側12回膜貫通ドメインコード領域と5'側配列との組換え位置が予測TMD1コード領域内であり、12回膜貫通ドメインコード領域と3'側配列との組換え位置が予測TMD12コード領域開始位置から予測TMD12コード領域終止位置より96塩基以内の領域内であって、かつ配列番号:2と配列番号:4との対応するアミノ酸配列において同一性が80%以上の領域内である、グルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。
上記の「予測TMD1」について図3を参照すると、Mal21p(配列番号:2)において95〜115番目のアミノ酸、Agt1p(配列番号:4)において103〜123番目の領域のアミノ酸が予測位置として示される。(図3中の予測TMD1の位置はAgt1pの予測位置を示す。)したがって、それぞれをコードする塩基配列は、MAL21(配列番号:1)において283〜345番目の領域、AGT1(配列番号:3)において307〜369番目の領域である。同様に、上記の「予測TMD12」について図3を参照すると、Mal21p(配列番号:2)において526〜546番目の領域のアミノ酸、Agt1p(配列番号:4)において533〜553番目の領域のアミノ酸が予測位置として示される。(図3中の予測TMD12の位置はAgt1pの予測位置を示す。)よって、それぞれの予測TMD12コード領域は、MAL21(配列番号:1)において1576〜1638番目の領域、AGT1(配列番号:3)において1597〜1659番目の領域である。したがって、「予測TMD12コード領域開始位置から予測TMD12コード領域終止位置より96塩基以内の領域」とは、塩基配列でMAL21(配列番号:1)では1576〜1734番目以内の領域、AGT1(配列番号:3)では1597〜1755番目以内の領域を指す。上記「予測TMD12コード領域終止位置より96塩基以内の領域」は、好ましくは予測TMD12コード領域終止位置より96塩基以内、より好ましくは81塩基以内、さらに好ましくは72塩基以内の領域である。それぞれ対応する配列位置の一例について、下記の表1に示す。但し、前述の予測プログラムに依存して、これら数値は数個変動し得る。
さらに本発明は、12回膜貫通ドメインコード領域と5'側配列との組換え位置が配列番号:1の175番目の塩基より12回膜貫通ドメインの予測TMD1コード領域終止位置までの領域内であり、12回膜貫通ドメインと3'側配列との組換え位置が予測TMD12コード領域開始位置から予測TMD12コード領域終止位置より180番目の塩基までの領域内である、グルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。
上記の「予測TMD1」について図4を参照すると、Mal21p(配列番号:2)およびMtt1p(配列番号:6)において95〜115番目のアミノ酸が予測位置として示される(すなわち、ギャップなし)。よって、「予測TMD1コード領域」に対応する塩基配列は、MAL21(配列番号:1)およびMTT1(配列番号:5)において283〜345番目の領域である。したがって、「配列番号:1又は配列番号:5の175番目の塩基より予測TMD1コード領域終止位置までの領域」とは、配列番号:1又は配列番号:5の175〜345番目を指す。175番目の塩基より予測TMD1コード領域終止位置までの領域は、この範囲内の両アミノ酸配列が完全に一致しているので、この範囲内の何れの位置も組換え位置として選択できる(図4を参照のこと)。
同様に、「予測TMD12」は、Mal21p(配列番号:2)において526〜546番目の領域のアミノ酸、Mtt1p(配列番号:6)において527〜547番目の領域のアミノ酸が予測位置として示される。よって、「予測TMD12コード領域開始位置から予測TMD12コード領域終止位置より180塩基以内の領域」とは、塩基配列でMAL21(配列番号:1)において1576〜1818番目の領域、MTT1(配列番号:5)では1579〜1821番目の領域である。予測TMD12コード領域終止位置より180塩基以内の領域は、この範囲内の両アミノ酸配列が完全に一致しているので、この範囲内の何れの位置も組換え位置として選択できる(図4を参照のこと)。それぞれ対応する配列位置については、下記の表2を参照のこと。但し、前述の予測プログラムに依存して、これら数値は数個変動し得る。
さらに本発明は、配列番号:13、15又は17の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド、あるいは配列番号:14、16又は18のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドを含む。さらにまた本発明は、上記(1)〜(4)に記載のポリヌクレオチドあるいは配列番号:13、15又は17の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドと、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドも包含する。
本発明において好ましいポリヌクレオチドは、上記の(1)〜(4)に規定されるポリヌクレオチド、配列番号14、16又は18のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチド、あるいは配列番号:13、15又は17のヌクレオチド配列からなるポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチドであり、より好ましくは、配列番号:13、15又は17で特定されたポリヌクレオチドである。
ここで、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド(DNA)」とは、例えば、配列番号:1若しくは3の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNA又は配列番号:2若しくは4のアミノ酸配列をコードするDNAの全部または一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法またはサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるDNAをいう。ハイブリダイゼーションの方法としては、例えばMolecular Cloning 3rd Ed.、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons 1987-1997などに記載されている方法を利用することができる。
本明細書でいう「ストリンジェントな条件」は、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。これらの条件において、温度を上げるほど高い相同性を有するDNAが効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長さ、イオン強度、時間、塩濃度など複数の要素が考えられ、当業者であればこれら要素を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct Labelling Reagents(アマシャムファルマシア社製)を用いることができる。この場合は、キットに添付のプロトコルにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.1% (w/v) SDSを含む1次洗浄バッファーで洗浄後、ハイブリダイズしたDNAを検出することができる。
これ以外にハイブリダイズ可能なDNAとしては、FASTA、BLASTなどの相同性検索ソフトウェアにより、デフォルトのパラメータを用いて計算したときに、配列番号:2又は4のアミノ酸配列をコードするDNAと約90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、99.9%以上の同一性を有するDNAを挙げることができる。
なお、アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、カーリンおよびアルチュールによるアルゴリズムBLAST(proc. Natl. Acad.Sci. USA 872264-2268, 1990; proc Natl Acad Sci USA 90: 5873, 1993)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul SF, et al: J Mol Biol 215: 403, 1990)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=100、wordlength=12とする。また、BLASTXを用いてアミノ酸配列を解析する場合は、パラメーターは、例えばscore=50、wordlength=3とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
2.本発明のタンパク質
本発明は、上記(1)〜(6)に記載のポリヌクレオチドのいずれかにコードされるタンパク質も提供する。本発明の好ましいタンパク質は、配列番号:14、16又は18のアミノ酸配列において、1〜10個(好ましくは、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個又は1個)のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質である。このようなタンパク質としては、配列番号:14、16又は18のアミノ酸配列において、上記したような数のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質が挙げられる。また、このようなタンパク質としては、配列番号:14、16又は18のアミノ酸配列と上記したような相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつグルコース誘導性不活化/分解耐性を有するトランスポータータンパク質が挙げられる。このようなタンパク質は、「モレキュラークローニング第3版」、「カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー」、“Nuc. Acids. Res., 10, 6487 (1982)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79, 6409 (1982)”、“Gene, 34, 315 (1985)”、“Nuc. Acids. Res., 13, 4431 (1985)”、“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 488 (1985)”等に記載の部位特異的変異導入法を用いて、取得することができる。
本発明のポリヌクレオチドに係るタンパク質のアミノ酸配列において1〜10個(好ましくは、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個又は1個)のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加されたとは、同一配列中の任意かつ1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個又は1個のアミノ酸配列中の位置において、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個又は1個のアミノ酸残基の欠失、置換、挿入及び/又は付加があることを意味し、欠失、置換、挿入及び付加のうち2種以上が同時に生じてもよい。
以下に、相互に置換可能なアミノ酸残基の例を示す。同一群に含まれるアミノ酸残基は相互に置換可能である。A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオニン、o-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、シクロヘキシルアラニン; B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミノスベリン酸; C群:アスパラギン、グルタミン; D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸; E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン; F群:セリン、スレオニン、ホモセリン; G群:フェニルアラニン、チロシン。
また、本発明のタンパク質は、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t-ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法によっても製造することができる。また、アドバンスドケムテック社製、パーキンエルマー社製、ファルマシア社製、プロテインテクノロジーインストゥルメント社製、シンセセルーベガ社製、パーセプティブ社製、島津製作所等のペプチド合成機を利用して化学合成することもできる。
3.本発明のベクター及びこれを導入した形質転換酵母
次に、本発明は、上記したポリヌクレオチドを含有するベクターを提供する。本発明のベクターは、好ましくは、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のポリヌクレオチド(DNA)、又は配列番号:13、15又は17の塩基配列からなるポリヌクレオチド、又は配列番号:14、16又は18のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する。また、本発明のベクターは、通常、(x)酵母細胞内で転写可能なプロモーター;(y)該プロモーターにセンス方向またはアンチセンス方向で結合した、上記のいずれかに記載のポリヌクレオチド(DNA);及び(z)RNA分子の転写終結およびポリアデニル化に関し、酵母で機能するシグナルを構成要素として含む発現カセットを含むように構成される。なお、上記本発明のタンパク質を高発現させる場合は、上記(a)〜(i)の何れかに記載のポリヌクレオチド(DNA)の発現を促進するようにこれらのポリヌクレオチドを該プロモーターに対してセンス方向に導入するのが好ましい。
酵母に導入する際に用いるベクターとしては、多コピー型(YEp型)、単コピー型(YCp型)、染色体組み込み型(YIp型)のいずれもが利用可能である。例えば、YEp型ベクターとしてはYEp24 (J. R. Broach et al., Experimental Manipulation of Gene Expression, Academic Press, New York, 83, 1983) 、YCp型ベクターとしてはYCp50 (M. D. Rose et al., gene, 60, 237, 1987) 、YIp型ベクターとしてはYIp5 (K. Struhl et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USP, 76, 1035, 1979) が知られており、容易に入手することができる。また、染色体組み込み型のpUP3GLP(Omura, F. et al., FEMS Microbiol. Lett., 194, 207, 2001)(図14)、pJHIXSBや、pYCGPY (Kodama, Y. et al., Appl. Environ. Microbiol., 67, 3455, 2001)(図13)、pJHXSB(図12)等の単コピー複製型のプラスミドも使用可能である。
酵母での遺伝子発現を調節するためのプロモーター/ターミネーターとしては、醸造用酵母中で機能するとともに、もろみ中の糖やアミノ酸などの成分の濃度に影響を受けなければ、任意の組み合わせでよい。例えばグリセルアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(TDH3)のプロモーター、3-ホスホグリセレートキナーゼ遺伝子(PGK1)のプロモーターなどが利用可能である。これらの遺伝子はすでにクローニングされており、例えばM. F. Tuite et al., EMBO J., 1, 603 (1982) に詳細に記載されており、既知の方法により容易に入手することができる。発現ベクターにおいて、使用するプロモーターは、醗酵もろみの糖組成や糖濃度であるとか、複数のトランスポーターの組み合わせなどによって、適当な転写活性を持つものに、変えることが有効である。
形質転換の際に用いる選択マーカーとしては、醸造用酵母の場合は栄養要求性マーカーが利用できないので、ジェネチシン耐性遺伝子(G418r)、銅耐性遺伝子(CUP1)(Marin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 81, 337 1984)、セルレニン耐性遺伝子(fas2m, PDR4)(それぞれ猪腰淳嗣ら, 生化学, 64, 660, 1992; Hussain et et al., gene, 101, 149, 1991)などが利用可能である。上記のように構築されるベクターは、宿主酵母に導入される。宿主酵母としては、醸造用に使用可能な任意の酵母、例えばビール,ワイン、清酒等の醸造用酵母等が挙げられる。具体的には、サッカロマイセス(Saccharomyces)属等の酵母が挙げられるが、本発明においては、ビール酵母、例えばサッカロマイセス パストリアヌス(Saccharomyces pastorianus)W34/70等、サッカロマイセス カールスベルゲンシス(Saccharomyces carlsbergensis)NCYC453、NCYC456等、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)NBRC1951、NBRC1952、NBRC1953、NBRC1954等が使用できる。さらにウイスキー酵母、例えばサッカロマイセス セレビシエNCYC90等、ワイン酵母、例えば協会ぶどう酒用1号、同3号、同4号等、清酒酵母、例えば協会酵母 清酒用7号、同9号等も用いることができるが、これに限定されない。本発明においては、ビール酵母、例えばサッカロマイセス パストリアヌスが好ましく用いられる。
本明細書中に記載される各トランスポーター遺伝子の調製に用いる染色体DNAは、サッカロミセス・セレビジエー ATCC20598、ATCC96955などの株に限定するものではなく、各遺伝子を有するサッカロミセス・セレビジエーに属する酵母であれば何れの酵母から調製されたものであってもよい。
酵母の形質転換方法としては一般に用いられる公知の方法が利用できる。例えば、エレクトロポレーション法“Meth. Enzym., 194, p182 (1990)”、スフェロプラスト法“Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929(1978)”、酢酸リチウム法“J.Bacteriology, 153, p163(1983)”、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75 p1929 (1978)、Methods in yeast genetics, 2000 Edition : A Cold Spring Harbor Laboratory Course Manualなどに記載の方法で実施可能であるが、これに限定されない。
また、形質転換株は、宿主の栄養要求性を相補する遺伝子、例えばURA3を発現プラスミドに組み込むことにより、ウラシルを含まない寒天培地で選択することができる。あるいは、発現プラスミドに薬剤耐性遺伝子、例えばシクロヘキシミドに対する薬剤耐性遺伝子、YAP1、あるいはジェネティシン耐性遺伝子、G418Rを組込むことにより、シクロヘキシミド(例えば0.3μg/ml)、あるいはジェネティシン(例えば300μg/ml)を含む寒天培地で選択することができる。
より具体的には、宿主酵母を標準酵母栄養培地(例えばYEPD培地“Genetic Engineering. Vo1.1, Plenum Press, New York, 117(1979)”等)で、OD600nmの値が1〜6となるように培養する。この培養酵母を遠心分離して集め、洗浄し、濃度約1〜2Mのアルカリ金属イオン、好ましくはリチウムイオンで前処理する。この細胞を約30℃で、約60分間静置した後、導入するDNA(約1〜20μg)とともに約30℃で、約60分間静置する。ポリエチレングリコール、好ましくは約4,000ダルトンのポリエチレングリコールを、最終濃度が約20%〜50%となるように加える。約30℃で、約30分間静置した後、この細胞を約42℃で約5分間加熱処理する。好ましくは、この細胞懸濁液を標準酵母栄養培地で洗浄し、所定量の新鮮な標準酵母栄養培地に入れて、約30℃で約60分間静置する。その後、選択マーカーとして用いる抗生物質等を含む標準寒天培地上に植えつけ、形質転換体を取得する。
その他、一般的なクローニング技術に関しては、「モレキュラークローニング第3版」、“Methods in Yeast Genitics、A laboratory manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor, NY)”等を参照することができる。
4.本発明の酒類の製法及びその製法によって得られる酒類
上述した本発明のベクターを製造対象となる酒類の醸造に適した酵母に導入し、その酵母を用いることによってアミノ酸の組成に特徴のある酒類を製造することができる。対象となる酒類としては、これらに限定されないが、例えば、ビール、ワイン、ウイスキー、清酒などが挙げられる。
これらの酒類を製造する場合は、親株の代わりに本発明において得られた醸造酵母を用いる以外は公知の手法を利用することができる。したがって、原料、製造設備、製造管理等は従来法と全く同一でよく、発酵期間の短縮された酒類を製造するためのコストの増加はない。つまり、本発明によれば、既存の施設を用い、コストを増加させることなく製造することができる。
5.酵母の評価方法
本発明において作製されたポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを構築し、それを定法に基づいて酵母に導入し、最初に、2-デオキシグルコースを含むマルトース・マルトトリオース培地で培養して、その生育レベルを指標に用いてグルコースによる不活化を受けにくいトランスポータータンパク質を含む酵母を選択する。次に、その酵母をオリゴ糖培地(例えば、マルトース・マルトトリオース培地)で培養する。その培養の際、その酵母に含まれるトランスポーターのグルコース誘導性不活化/分解耐性、その酵母のオリゴ糖資化能、増殖速度、麦汁での醗酵速度などを測定することによって、その酵母の適性を評価することができる。グルコース誘導性不活化/分解耐性、オリゴ糖資化能、増殖速度、麦汁での醗酵速度などは、後述の実施例において用いられた方法によって評価することができる。
以下に、本発明を実施例により、さらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されない点に注意すべきである。
試験方法:
本実施例で用いた試験項目および試験方法を以下に示す。特に断りのない限り、本実施例における試験方法はこれに準じた。
<MAL21, AGT1遺伝子の取得>
酵母サッカロミセス・セレビジエーのAGT1遺伝子は既にクローニングされており、その塩基配列が報告されている。本明細書中に記載されるAGT1のヌクレオチド配列(配列番号:3)はSaccharomyces Genome Database(登録番号:YGR289C)から入手した。AGT1遺伝子は、その塩基配列情報をもとに、AGT1遺伝子を持つ酵母サッカロミセス・セレビジエーから調製した染色体DNAをPCRの鋳型に使用して、PCRによって増幅、単離することにより取得した。
また、MAL21については、染色体III番にコードされていることが知られているが、DNA配列は知られていなかった。しかし、染色体II番にコードされるMAL31, 染色体VIII番にコードされるMAL61遺伝子が99 %以上のアイデンティティーを持つことから考えて、MAL21もかなり高いアイデンティティーを持つことが予想された。
実際に我々はGenBank(登録番号:X17391)から入手したMAL61のDNA配列からプライマー(5’AGAGCTCAGCATATAAAGAGACA 3’ (配列番号:19)と5’TGGATCCGTATCTACCTACTGG 3’(配列番号:20)を設計した。そしてMAL21遺伝子を持つが、他のα−グルコシドトランスポーター遺伝子を持たない酵母の染色体DNAを鋳型として、PCRでMAL21を取得することができた(そのヌクレオチド配列は配列番号:1、アミノ酸配列は配列番号:2に示される)。AGT1はプライマー(5’TGAGCTCACATAGAAGAACATCAAA 3’ (配列番号:21)と5’ATGGATCCATATGAAAAATATCATT 3’ (配列番号:22))を用いて取得した。具体的にはAGT1はサッカロミセス・セレビジエー S288C (ATCC204508(Rose, M.D., Winston, F. and Hieter, P. (1990): Methods in Yeast Genetics: A Laboratory Course Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY))、MAL21はサッカロミセス・セレビジエー ATCC20598からPCRによって取得した。取得したDNA断片は、Invitrogen社のTOPO TA cloning kitを用いて、ベクター、pCR(登録商標)2.1-TOPOに挿入した後、DNAシークエンスにより挿入した遺伝子配列を確認した。
AGT1については、データバンクに登録されている登録番号:YGR289Cの塩基配列と同一であることを確認した。MAL21については、独立に10クローン以上をシークエンスして、塩基配列を確定した(配列番号:1)。
なお、使用したプライマーには開始コドンの上流にXbaIあるいはSacIサイト、終始コドンの下流にBamHIサイトがあり、発現ベクターに組み込めるようになっている。染色体DNAを用いたPCRによる目的遺伝子の増幅およびその後の単離は、PCRプライマーの調製を含め、当業者に周知な方法で行うことができる。MAL21の塩基配列を図1にアミノ酸配列を図2に示す。
<発現プラスミド>
本発明においては(1)〜(3)の3種類の発現ベクターを用いた。
(1)pJHXSB (図12)
(2)pYCGPY(図13)
(3)pUP3GLP(図14)
<酵母株>
本発明においては、トランスポーター遺伝子の取得には、(1)〜(3)を、トランスポーターの発現と株間比較には株(4)および(5)を、醗酵速度の確認には(6)を用いた。
(1) S.cerevisiae S288C (ATCC204508) (MATalpha SUC2 mal mel gal2 CUP1)
(2) S.cerevisiae ATCC96955(MATa MAL61 MAL62 MAL63 mal64 mal11 MAL12 mal13 ura3-52 leu2-3 leu2-112 trp1 his)
(3) S.cerevisiae ATCC20598(MATa suc MAL2 MEL1 his4 leu2)
(4) S.cerevisiae HH1001 (MATa SUC2 mal mel gal2 CUP1 TPI1::TPI1pr-MAL32-G418R ura3)
(5) S.cerevisiae Δ152 (MATa mal61Δ::TRP1 MAL62 MAL63 mal64 mal11 MAL12 mal13 ura3-52 leu2-3 leu2-112 trp1 his)
(6) 下面ビール酵母 Weihenstephan 194
<制限酵素認識サイトの導入>
制限酵素認識サイトの配列を持つプライマーでPCRを行なうことにより、制限酵素認識サイトの導入を行なった。プライマーのDNA配列は表3にあるとおりである。具体的には、AGT1あるいはMAL21遺伝子が挿入されたプラスミドpCR(登録商標)2.1-TOPOを鋳型として、表4に示したプライマーの組み合わせで、PCRを行うことにより、AGT1遺伝子については、AGT1-SaS, AGT1-SaK AGT1-SK, AGT1-SB及びAGT1-KBの5つのDNA断片、MAL21遺伝子については、MAL21-SaS, MAL21-SaK, MAL21-SK, MAL21-SB及びMAL21-KBの5つのDNA断片を得た。各断片の模式図は、下記の表2および3に示される。得られたDNA断片はプラスミドpCR(登録商標)2.1-TOPOに挿入して、シークエンスを行い、導入した制限酵素サイト以外に元の遺伝子から置換された塩基がないことを確認した。各々のDNA断片はプラスミドより制限酵素、SacI, SalI, KpnI, BamHIなどを用いて切り出し、下記ハイブリッドトランスポーター遺伝子の構築に用いた。
<ハイブリッドトランスポーター遺伝子の構築>
図7に示した6種類のハイブリッドトランスポーター遺伝子、AAM, AMA, AMM, MAA, MAM及びMMAを構築した。各々のハイブリッドトランスポーターは上記項で得られたそれぞれの断片を、図7に示した組み合わせで、発現ベクターpYCGPYのSacI-BamHIサイトに組み込むことにより取得した。詳しくは、pYCGPYをSacIとBamHIで切断し、Bacterial alkali phosphataseで脱リン酸化処理したものを用意して、その直線化ベクターと、上記DNA断片をライゲーション後、E.coli DH5αに形質転換した。アンピシリン耐性となったコロニー数個よりプラスミドを調製し、MAL21あるいはAGT1遺伝子にしか存在しない制限酵素の組み合わせで切断後、アガロースゲル電気泳動を行なうことにより、検出された断片の大きさから、目的のハイブリッドトランスポーター遺伝子がベクターpYCGPYに組み込まれたことを確認した。pYCGPYにおいて、トランスポーター遺伝子はPYK1プロモーターより転写される。また、pYCGPYからSacI-BamHIで各々のハイブリッドトランスポーターを切り出し、発現ベクターpJHXSBのSacI-BamHIサイトに組み込んだ。pJHXSBにおいて、トランスポーター遺伝子はTPI1プロモーターより転写される。
なお、本発明において使用されるMMA、MAA、MAMなどの変異体に関する表記は、最初の文字が12回膜貫通ドメインのN末側ドメイン(5'側)に由来するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、2番目の文字が12回膜貫通領域に由来するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、3番目の文字が12回膜貫通ドメインのC末側ドメイン(3'側)に由来するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列をそれぞれ連続して含むヌクレオチド配列であることを意味する。文字MはMAL21由来であること、文字AはAGT1由来であることを意味する。すなわち、野生型AGT1はAAAと表記でき、AGT1の12回膜貫通ドメインのN末側をMAL21の対応するドメインと置換したハイブリッド変異体はMAAと表記できる。
<酵母の形質転換>
前記方法により得られた天然型、あるいはハイブリッドトランスポーター遺伝子を発現することのできるプラスミドで酵母を形質転換した。形質転換株(アルファーグルコシドトランスポーター遺伝子を持たない株を宿主とする)は、使用したプラスミドのマーカーに従って、pYCGPYについては、G418を300 μg/ml含むYPD培地で選択した。また、pJHXSBについては、宿主にHH1001などのura-株を用いた場合、ウラシルを含まない合成培地、例えば、最少培地(Yeast Nitrogen Base w/o amino acids 6.7 g/L、グルコース 20 g/L)などで選択した。
<トランスポータータンパクのマルトースあるいはマルトトリオース取り込み活性の評価>
天然型トランスポーター、あるいは、構築したハイブリッドトランスポーターの形質転換株(アルファーグルコシドトランスポーター遺伝子を持たない株を宿主とする)における、導入したトランスポーター遺伝子の発現は、0.5 %のマルトースあるいはマルトトリオースを唯一の炭素源とする最少培地(ただし、栄養要求性のある形質転換株については、その栄養素を含む)での生育の有無により調べることができる。例えば、供試菌株をYPDプレート(イーストエキストラクト 10 g/L,ポリペプトン 20 g/L, グルコース 20 g/L)から一白金耳とって、1 mlの滅菌水で一度洗浄した後、OD660=0.2になるように滅菌水に再懸濁した。これを集菌して、もう一度1 mlの滅菌水に懸濁した後、細胞懸濁液をマルトース又はマルトトリオースを唯一の炭素源とする試験培地に直接ストリークして生育を確認することにより、マルトース又はマルトトリオースの取り込み活性を持つことを確認した。
<トランスポータータンパクの2-デオキシグルコース耐性の評価>
2-デオキシグルコース(2-DOG)は 2-DOG-6リン酸以上に代謝されないため、炭素源にはなり得ない糖アナログであるが、グルコースと同じレベルにグルコースリプレッション、あるいはグルコースによる不活化を起こすことが知られている。従って、このプレートで生育する株は、グルコースによる不活化を受けにくいアルファーグルコシドトランスポーターを持つ可能性が高い。2-DOGに対する耐性を調べるため、0〜2 mMの2−デオキシグルコースを含有するマルトース等の最少培地(Yeast Nitrogen Base w/o amino acids 6.7 g/L、 マルトースなど 20 g/L、ただし、栄養要求性のある形質転換株については、その栄養素を含む)、あるいは、0〜2 mMの2−デオキシグルコースを含有するマルトース完全合成培地(SCM)(Yeast Nitrogen Base w/o amino acids 6.7 g/L、 マルトース20 g/L、アデニン硫酸 20 mg/ml、ウラシル20 mg/ml、L-トリプトファン20 mg/ml、L-ヒスチジン塩酸塩 20 mg/ml、L-アルギニン塩酸塩20 mg/ml、L-メチオニン20 mg/ml、L-チロシン30 mg/ml、L-ロイシン30 mg/ml、L-イソロイシン30 mg/ml、L-リジン塩酸塩30 mg/ml、L-フェニルアラニン50 mg/ml、L-グルタミン酸 100 mg/ml、L-アスパラギン酸 100 mg/ml、L-バリン150 mg/ml、L-トレオニン200 mg/ml、L-セリン400 mg/ml)を作製した。各トランスポーター発現株のOD660=0.2の細胞懸濁液の希釈系列を試験培地に各々3μlスポットし、30 ℃にて2〜3日培養することによって調べた。
<トランスポータータンパクの菌体内蓄積量の測定>
トランスポータータンパクの菌体内蓄積量は、例えばウエスタンブロッティングにより調べることができる。例えば、供試菌株を10 mlの培養液から対数増殖期で回収し、溶解バッファー(8 M 尿素、5 % (w/v) SDS、40 mM Tris-HCl (pH6.8)、0.1 mM EDTA、1 % β-メルカプトエタノール)中でグラスビーズによる撹拌によって破壊し、細胞抽出液を得る。総タンパク60 μgのサンプルをSDS-ゲル電気泳動で展開し、ニトロセルロース膜に転写した後にウサギポリクローナル抗Mal61p抗体を用いてウエスタンブロッティングを行う。
ウサギポリクローナル抗Mal61p抗体は以下のようにして取得した。Mal61pのN末領域 (Met1-Leu181) をコードするDNAをpET Expression vector(Novagen社)のGST tagの下流につなぎ、大腸菌BL21(DE3)に形質転換し、その形質転換体の細胞破砕液をGST bind resin columnにアプライして、カラムに結合したタンパクを溶出する事によって調製した。詳しくは、Novagen 社のpET Expression System, GST・BindTM Affinity Resins(Novagen社)に添付されたマニュアルのとおりである。調製した融合タンパクは、SDS-PAGEにて純度を確認した後、これを抗原としてウサギを免疫し、ポリクローナル抗体を得た。抗体の有効性については、α−グルコシドトランスポーター遺伝子を発現させた酵母株と、当遺伝子を持たないその宿主株とをYPM培地(イーストエキストラクト 10 g/L,ポリペプトン 20 g/L, マルトース 5.0 g/L)で培養し、その細胞破砕液を、本抗体を用いて上記方法にてウエスターンブロッティングを行なうことにより確認した。本抗体により、α−グルコシドトランスポーター遺伝子を発現させた酵母株破砕液だけに、68 kDaのα−グルコシドトランスポーターの分子量に一致するポジティブバンドを検出した。なお、ハイブリッドトランスポーターについては、N末部がMal21p型であるトランスポーター、MMAp, MAMp及びMAApのみ、本抗体で検出可能である。
Agt1pの菌体内蓄積量は、Agt1pのC末端部に、ヘマトアグルチニンタグをタンデムに2個つないだ融合タンパクをコードする遺伝子を構築し、上述の方法にてそれを発現する株を取得して用いた。抗体は、マウスモノクローナル抗ヘマトアグルチニン抗体(Covance, Research, Products, Inc.社)を用いた。
<トランスポータータンパクの分解速度の測定>
各トランスポータータンパクを発現する株をYPDに植菌して、30 ℃にて一晩震盪培養した。培養液を、OD660=1.0になるようにYPM培地に植菌し、30 ℃にて2.5時間、震盪培養し、集菌した。60 OD660unitの細胞を測り取り、あらかじめ30 ℃にてインキュベートしておいた分解速度測定用培地(Yeast Nitrogen Base w/o amino acids and ammonia 1.7 g/L、 グルコース 20 g/L、シクロヘキシミド 25 mg/L)30mlに懸濁し、30 ℃でインキュベートした。 細胞懸濁液は適当な時間(0、10、20、30及び40分あるいは0、30、60、90及び120 分)5mlサンプリングし、速やかに遠心して上澄みを捨て、細胞をエタノールドライアイスで凍結した。凍結した細胞は、上記の方法にてトランスポータータンパクを検出し、タンパクバンドのインテンシティーを測定し、その減少速度から半減期を求めた。
<マルトース資化能の評価>
トランスポータータンパク質を構成的に発現している酵母によるマルトースの資化について、当該酵母に適した条件下にて酵母を好気培養あるいは醗酵させ、培地中のマルトース量を測定することにより評価した。糖の測定は、当業者に周知の方法、例えばIR検出器を用いた液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
実施例1:Mal21pとAgt1pのグルコース存在下での分解速度
PCRにより取得した、MAL21遺伝子とAGT1遺伝子を発現ベクターpYCGPYに挿入し、酵母Δ152に形質転換した。0.5 %のマルトースあるいは、マルトトリオースを唯一の炭素源として含み、20mg/Lのウラシル、20mg/Lのヒスチジン、30mg/Lのロイシン、300μg/mlのジェネティシンを含む最少培地(MM)に形質転換株をストリークした(図5)。MAL21を持つ株はマルトース培地でしか生育できなかったが、AGT1を持つ株はマルトース、マルトトリオースどちらの培地でも生育し、AGT1だけが両糖を取り込むことができることを確認した。次にAgt1pのC末端部にヘマトアグルチニンタグをタンデムに2個つないだ融合タンパクをコードする遺伝子、AGT1-2HAを構築し、発現ベクターpJHXSBに挿入した。MAL61とMAL21もpJHXSBに挿入した。これらを酵母HH1001に形質転換した。両形質転換株を用いて、試験方法の項に示した方法で、グルコース存在下での分解速度をウエスターンブロッティングにて調べた。その結果を図6に示す。Agt1-2HApはMal61pやMal21pに比べ、半減期が短い(図6を参照して、Agt1-2HAp:14分、 Mal61p:25分、Mal21p:118分)事がわかった。また、同じα−グルコシドトランスポーターでもMal21pはMal61pに比べ、はるかに長い半減期を持つことがわかった(Mal61p:25分, Mal21p:118分)。
実施例2:ハイブリッドトランスポーターの構築とその基質特異性の確認
Agt1pとMal21pはMFS(Major facilitated sugar transporter)の仲間に属し、そのアミノ酸配列の類似性から、12の膜貫通ドメインを持ち、N末端とC末端は細胞質ドメインだと考えられている。Agt1pとMal21pの基質特異性や活性に関わる部位については知られていない。両者のアミノ酸配列のアラインメントを見ると、N末端とC末端は細胞質ドメインと考えられる部分は類似性が低く、中央の12の膜貫通ドメイン部分は類似性が高い(図3を参照のこと)。そこで、我々は中央の12の膜貫通ドメイン部分は取り込み活性を持ち、あるいは基質特異性を左右する部分である可能性があると考えた。AGT1とMAL21遺伝子をそれぞれ、N末あるいはC末の細胞質ドメインをコードする部分と、中央部の12回膜貫通ドメインをコードする部分とを両端に制限酵素サイトを持つ形で、PCRにより取得した。使用したプライマーを表3に、取得した断片と使用したプライマー対との関係を表4に示した。これらを組み合わせることにより数種のハイブリッドトランスポーター遺伝子を構築した。使用した組換え位置を図3中の十字印として表し、各ハイブリッドの名称および模式図を図7に示す。詳しくは試験方法に述べた通りである。図7に示した、各ハイブリッドトランスポーター遺伝子を挿入した発現ベクター、pYCGPYを酵母Δ152に形質転換した。0.5 %のマルトースあるいは、マルトトリオースを唯一の炭素源とし、20mg/Lのウラシル、20mg/Lのヒスチジン、30mg/Lのロイシン、300μg/mlのジェネティシンを含む最少培地(MM) (MM:Yeast Nitrogen Base w/o amino acids 6.7 g/L、5 g/L マルトースあるいはマルトトリオース、20 mg/L ヒスチジン、30 mg/L ロイシン、20 mg/L ウラシル300μg/ml ジェネティシン)に形質転換株をストリークした(図8)。その結果、中央部の12回膜貫通ドメインがAgt1p由来である3つのハイブリッドトランスポーター、AAMp、MAMp、MAApはマルトトリオースを取り込む活性を持つことがわかった。
(上記の配列はそれぞれ配列番号:23〜32に記載される)
実施例3:ハイブリッドトランスポーターの2-デオキシグルコース耐性
実施例2に記載したハイブリッドトランスポーター遺伝子をpYCGPYからSacI-BamHIで切り出し、pJHXSBのSacI-BamHIサイトに組み込んだ。構築した各々の発現ベクターをHH1001に形質転換した。HH1001はmal-株であるX2180-1Aのura3-のシブリングであり、TPI1p::MAL32(マルターゼ遺伝子をコードしている)が組み込まれているので、マルターゼが構成的に発現している。2 %のマルトースを含む完全合成培地(SCM)に2-デオキシグルコース(2-DOG)を0 mM〜2 mM加えたプレートを作製し、試験方法に記載したように、各形質転換株の2-DOG 耐性を調べた。2-DOGは2-DOG-6リン酸以上に代謝されないため、炭素源にはなり得ない糖アナログであるが、グルコースと同じレベルにグルコースリプレッション、あるいはグルコースによる不活化を起こすことが知られている。従って、このプレートで生育する株は、グルコースによる不活化を受けにくいα−グルコシドトランスポーターである可能性が高い。その結果を図9に示す。MAL21由来のN末の細胞質ドメインを持つハイブリッドトランスポーター MMAp、MAApは1 mMの2-DOGの培地でも生育した。また、MAMpは2 mMの2-DOGの培地でも生育し、天然型のMal21pと同じ2-DOGに対する耐性を持っており、グルコースによる分解誘導を受けにくいことがわかった。
実施例4:ハイブリッドトランスポーターのグルコース存在下での分解速度
実施例3で示したとおり、MAL21由来のN末の細胞質ドメインを持つハイブリッドトランスポーター MMAp、MAAp及びMAMpはグルコースによる分解誘導を受けにくいと考えられる。そこでこれを確かめるため、試験方法に示した方法で、グルコース存在下でのMMAp、MAAp及びMAMpの分解速度を測定した(図10)。いずれのハイブリッドトランスポーターもAgt1-2HApよりも長い半減期を持っていた。特にMAMpは半減期が119分で、Mal21p(118分)とほぼ同じ半減期を持っており、グルコースにより速やかに分解されるアルファーグルコシドトランスポーターであるAgt1pを改良し、分解されにくいトランスポーターを構築することが出来た。
参考例1:MAL21を高発現させた下面ビール酵母による、発泡酒麦汁醗酵試験
グルコース誘導性分解に対する耐性を持つトランスポーター、MAL21をプラスミドpUP3GLPのXbaI(あるいはSacI)-BamHIサイトに組み込んだ。pUP3GLPを図14に示す。pUP3GLP はYIp型プラスミドであり、トランスポーター遺伝子はグリセルアルデヒド三リン酸デヒドロゲナーゼプロモーター(TDH3p)によって発現する。各プラスミドをURA3の中にあるEcoRVサイトで切断後、下面ビール酵母(Weihenstephan 194)に形質転換し、0.3μg/mlのシクロヘキシミドを含むYPGプレート(イーストエキストラクト 10 g/L,ポリペプトン 20 g/L, ガラクトース 20 g/L)に塗布した。目的の発現カセットがWeihenstephan 194の染色体上のURA3遺伝子に挿入されたことはPCRによって確認した。
Weihenstephan 194 (URA3::TDH3p::MAL21)と親株Weihenstephan 194 を2種類の発泡酒麦汁に植菌した。発泡酒麦汁は水を除く原料中の麦芽の使用比率が25%未満で、糖化スターチ、ホップなどを用いた麦汁である。発泡酒用麦汁のうちの1つは初期エキス濃度が14.0 %で、グルコース 1.2 %、マルトース 6.6 %、マルトトリオース 2.2 %の組成比で糖が含まれている。もう一つのグルコースリッチ発泡酒麦汁は、初期エキス濃度が15.6 %で、グルコース 4.7 %、マルトース 5.4 %、マルトトリオース 1.7 %の組成比で糖が含まれている。それぞれ、同じ量の麦汁(終濃度、麦芽比率25 %未満)に対して、糖組成の異なる糖化スターチを加えることにより調製した。各発泡酒麦汁に湿菌体を7.5 g/Lになるようにピッチングし、15 ℃にて醗酵を行い、醗酵中のもろみのマルトース濃度を測定した。その結果を図11に示す。
どちらの発泡酒麦汁においても、MAL21高発現株のマルトースの資化速度は、親株のWeihenstephan 194よりも著しく早くなった。特にグルコースリッチ発泡酒麦汁の場合、その効果は顕著であった。初期エキス濃度が高いということは、グルコース濃度が高いことを意味しており、グルコース誘導性分解に対する耐性を持つトランスポーターの効果が十分見られた。したがって、ハイブリッドトランスポーターMAAp又はMAMpを導入した酵母の場合は、例えば図10および図11の結果から、例えばグルコースなど単糖が高濃度の場合におけるマルトトリオースの資化促進が十分期待される。
以上記載のように、アルファーグルコシドトランスポーターである、Agt1pは、他のα−グルコシドトランスポーターに比べて、グルコース存在下での半減期が短いことを発見した。さらに、同じα−グルコシドトランスポーターでも、Mal21pは、Mal61pとは異なり、グルコースによって分解されにくいことを発見した。6種類のハイブリッドトランスポーターを構築した結果、中央の12回膜貫通ドメインがAgt1p型であるハイブリッドトランスポーター、AAMp、MAAp及びMAMpはいずれもマルトトリオースを取り込むことを見出した。また、N末の細胞質ドメインがMal21p型であるハイブリッドトランスポーターMAAp、MMAp及びMAMpはいずれもAgt1pよりもグルコース存在下で分解されにくいことを見出した。これらの中で、Mal21pのN末とC末の細胞質ドメインを持ち、中央の12回膜貫通ドメインだけがAgt1p型であるハイブリッドトランスポーターMAMは、Mal21pと同程度の長い半減期を持ち、かつマルトトリオースを取り込めるため、その変異型トランスポーターを発現する酵母(実験室株、醸造用酵母を問わない)を用いれば、もろみ中のマルトトオースなど、そのトランスポーターが取り込むことのできる糖の資化を早めることができる。特にグルコースなど単糖の濃度が高い時にはより有効である。

Claims (12)

  1. グルコース誘導性不活化/分解耐性を有するα−グルコシドトランスポータータンパク質をコードするポリヌクレオチドであって、以下の(a)〜(c)のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含有するポリヌクレオチド:
    (a)配列番号:13、15又は17の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
    (b)配列番号:14、16又は18のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド;及び
    (c)配列番号:14、16又は18のアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加したアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド。
  2. 配列番号:13、15又は17の塩基配列からなるポリヌクレオチドを含有する請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  3. 配列番号:14、16又は18のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  4. DNAである、請求項1〜3のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリヌクレオチドにコードされるタンパク質。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含有するベクター。
  7. 請求項6に記載のベクターが導入された形質転換酵母。
  8. 請求項6に記載のベクターを導入することによって、オリゴ糖資化能が向上した請求項7に記載の酵母。
  9. 請求項5に記載のタンパク質の発現量を増加させることによってオリゴ糖資化能が向上した請求項8に記載の酵母。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載の酵母を用いた酒類の製造方法。
  11. 醸造する酒類が麦芽飲料である請求項10に記載の酒類の製造方法。
  12. 醸造する酒類がワインである請求項10に記載の酒類の製造方法。
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