本発明は、眼底の撮影診断に使用する眼底カメラに関する。
従来、眼底カメラでは、被検眼の眼底に照明光を照射し、観察・撮影光学系の対物レンズを通じて眼底を観察し、かつ撮影するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
特開平7−31590号公報
ところで、従来の眼底カメラでは、眼底中心部(いわゆる後極部)のほか、眼底周辺部を撮影することがある。すなわち、眼底周辺部を撮影するときには、撮影系の光軸に沿った方向から固視標を被検眼に向けて投影し、被検眼の視線を撮影系の光軸と一致させた上で撮影を行う。一方、眼底周辺部を撮影するときには、撮影系の光軸とは異なる方向から固視標を投影し、被検眼の視線を撮影系の光軸と異なる方向に向けさせて撮影を行う。
しかしながら、このような従来の眼底カメラでは、固視標の投影位置の変化に伴い、テレビカメラ上におけるアライメント指標像の結像位置が変化するため、アライメント調整が行い難いという問題があった。
すなわち、眼底中央部を撮影する場合には、図5(a)に示すように、固視標の作用により角膜頂点Cfが撮影光軸O1と一致している。このため、撮影光軸O1上に存在するアライメント指標58aにより被検眼Eに投影されるアライメント指標形成光束は、アライメントが完了した状態において撮影光軸O1に沿って反射され、撮影光軸O1上の眼底共役面Rの位置にアライメント指標像58a’を形成する。
一方、眼底周辺部を投影する場合には、図5(b)に示すように、固視標の作用により角膜頂点Cfは撮影光軸O1とはずれた位置にある。このため、撮影光軸O1上に存在するアライメント指標58aにより被検眼Eに投影されるアライメント指標光束はアライメント完了した状態において撮影光軸O1とは異なる方向に反射され、この結果、アライメント指標像58a’は撮影光軸O1からずれた位置に結像する。
このように、従来の眼底カメラでは撮像部位の変化によりアライメント指標58aの結像位置が変化するので、検者は、どの部位を撮影する場合に、どの位置にアライメント指標像58a’を移動させればよいか記憶しておかねばならず、操作に不慣れな者にとっては扱いにくいものであった。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、その目的とするところは、眼底周辺部を撮影する際に、眼底周辺部を撮影する際に、アライメント調整を容易に行うようにした眼底カメラを提供することにある。
上記目的を達成する請求項1に記載の発明は、被検眼眼底を照明するための照明系と、前記被検眼眼底を撮影するための撮影系と、被検眼の視線誘導用の固視標を前記被検眼に向けて投影する固視標投影系と、前記被検眼に対する位置合わせのためのアライメント指標を前記被検眼に投影するアライメント指標投影系と、前記被検眼眼底像をアライメント指標像及びアライメント基準位置マークと共に表示するモニタを含む観察系と、前記被検眼眼底の中央部と前記被検眼眼底の周辺部を撮影するときとで前記固視標の提示位置を変更する固視標位置変更手段と、該固視標位置変更手段に対応して、前記撮影光学系の光軸方向及び撮影光学系の光軸と直交する方向にアライメント指標の提示位置を変更するアライメント指標提示位置変更手段とを備えたことを特徴とする眼底カメラである。
本発明に係わる眼底カメラは、上記手段としたので、眼底周辺部を撮影する際に、アライメント調整を容易に行うことができるという効果を奏する。
以下,本発明を実施するための最良の形態を、実施例1及び参考例1,2に基づいて説明する。
参考例1
この眼底カメラは、図1に示す照明光学系30と、撮影光学系31と、アライメント指標投影系56と、固視標投影光学系100とを有する。
照明光学系30は、観察光源1、コンデンサレンズ2、ダイクロイックミラー3、リングスリット板4、リレーレンズ5、対物レンズ41、穴空きミラー42とを有する。
観察光源1からの照明光束はコンデンサレンズ2、可視光透過赤外光の反射特性を有するダイクロイックミラー3を経てリングスリット板4のリング状開口部4aに導かれ、このリング状開口部4aを通過した照明光はリレーレンズ5を介して穴空きミラー42の近傍に一旦結像される。
照明光学系30は、ダイクロイックミラー3の背後に、撮影光源19、コンデンサレンズ20を有する。
写真撮影の場合には撮影光源19が発光される。撮影光源19からの撮影光は、コンデンサレンズ20、ダイクロイックミラー3を透過して観察光源1による照明光と同様に穴空きミラー42の近傍に一旦結像される。
撮影光学系31は、対物レンズ41、穴空きミラー42、後述するアライメント光束を反射させるために用いられるハーフミラー43、合焦レンズ44、結像レンズ45、跳ね上げミラー47を有する。観察光学系48は、跳ね上げミラー47、ダイクロイックミラー50、テレビリレーレンズ51を有し、撮像管52、テレビモニター53とともに観察系を構成する。
眼底Efからの反射光は、対物レンズ41に導かれ、この対物レンズ41により眼底Efと共役な眼底共役面Rに一旦結像された後、穴空きミラー42の穴部42aを通り、ハーフミラー43を透過して合焦レンズ44、結像レンズ45を介して跳ね上げミラー47に導かれる。そして、この眼底像を形成する反射光束は跳ね上げミラー47によりフィールドレンズ49の配設位置R’に再結像される。そして、この再結像された反射光束は、ダイクロイックミラー50、テレビリレーレンズ51を介して撮像管52に受像され、テレビモニター53の画面に眼底像54が表示される。
撮影光学系31には、跳ね上げミラー47に関してフィールドレンズ49と共役位置にフィルム55が設けられ、撮影時には撮影光源19の発光と同時に跳ね上げミラー47が撮影光学系31の光路から離脱され、眼底像54がフィルム55に結像記録されることとなる。
アライメント指標投影系56は、アライメント光源としてのLED57、ライトガイド58、反射鏡60、リレーレンズ61、ハーフミラー43を有する。LED57は中心波長が760nmの近赤外光を出射する特性を有する。ライトガイド58の射出端(アライメント指標)58aはリレーレンズ61の光軸O(撮影光学系31の光軸O1)上に位置するように配置されている。リレーレンズ61と反射鏡60との間には2孔絞り59が配設されている。2孔絞り59は図2に示すように一対の孔部59a、59bを有する。この孔部59a、59bは光軸Oに関して対称位置に形成され、この2孔絞り59はリレーレンズ61に近接されている。
ライトガイド58の射出端58aから出射されたアライメント光束は反射鏡60により反射されて2孔絞り59の孔部59a,59bに導かれる。この孔部59a,59bを通ったアライメント光束はリレーレンズ61に導かれる。リレーレンズ61を通過したアライメント光束はハーフミラー43により穴空きミラー42に向けて反射される。リレーレンズ61はライトガイド58の射出端58aを穴空きミラー42の穴部42aの中央位置(撮影光学系31の光軸O1上の位置)Xに一旦中間結像する。ハーフミラー43は、図3に示すように波長760nmの光束を約半分透過し、それ以外の波長域の光束をほぼ100%透過させる透過特性Tを有する。このため、眼底Efからの反射光束の光量がこのハーフミラー43の存在により低下することが抑止される。
穴空きミラー42の穴部42aの中央位置Xに形成されたアライメント指標58aを形成する一対のアライメント光束は対物レンズ41を介して被検眼Eの角膜Cに導かれる。ここで、被検眼Eから装置本体までのワーキングディスタンスW及び上下左右方向の位置が適正であるときには射出端58aからの一対のアライメント光束により角膜Cの頂点Cfと角膜曲率中心Crとの中間位置Ccにアライメント像が結像投影される。また、被検眼Eから装置本体までのワーキングディスタンスWが適正位置からずれているときには一対のアライメント光束に基づくアライメント像は角膜Cの中間位置Ccを境に分離して投影される。
角膜Cにより反射されたアライメント反射光束はワーキングディスタンスWが適正であるときには対物レンズ41により眼底共役面R上に結像される。この眼底共役面R上に結像されたアライメント反射光束は、穴部42aを通り、眼底像54を形成する反射光束と同様に撮像管52に受像され、図4(a)に示すように眼底像54と共にアライメント像(出射端58aの像)58’がテレビモニター53の画面に表示される。
また、ワーキングディスタンスWが適正位置からずれているときには、図4(b)に示すようにアライメント像(出射端58aの像)58’が分離してテレビモニター53上に形成される。検者はこのアライメント光束に基づくアライメント像58’の合致・分離を視認することによりアライメント調整を行うことができる(なお、本件に関連する特許としては、特公昭60−52820号公報、特開平6−277183号、特公昭60−57854号公報、特公昭63−22823号公報、特公昭60−57855号公報、特公平5−54777号公報等がある)。
ダイクロイックミラー50の背後には固視標投影光学系100が設けられている。この固視標投影光学系100は、被検眼Eの視線誘導用の固視光源101と、固視標としての絞り102と、固視標投影レンズ103とを有している。固視標は撮影光学系31の各光学系要素を通して被検眼Eの眼底Efに投影される。固視光源101は複数個(例えば、5個)設けられ、そのうちの1個が眼底中央部撮影用とされ、残りの4個が眼底周辺部撮影用とされている。図1では、2個の眼底周辺部撮影用の固視光源101が示され、残りの2個の眼底周辺部撮影用の固視光源101は紙面と直交する方向に配置されているので、図示が略されている。眼底中央部を撮影するときには、眼底中央部撮影用の固視光源101が点灯されて被検眼Eに固視標が提示される。右、左、上、下等の眼底周辺部を撮影するときには、撮影したい眼底周辺部の撮影に応じてそれに対応する固視光源101が点灯されて被検眼Eにその固視標が提示される。
また、テレビモニター53上の画面中央位置には瞳孔の開き具合を判断するためのIスケールIが合成表示される(図6(a))。このIスケールIは眼底中央部を撮影する場合のアライメント像基準位置マークとしても使用される。
以下、本参考例1に係わる眼底カメラの作用を眼底中央部と眼底周辺部を撮影する場合とに分けて説明する。
[眼底中央部を撮影する場合]
眼底中央部を撮影する場合には、図示しない固視標選択スイッチにより、眼底中央部撮影用の固視光源101を選択し、点灯させる。これにより、被検者の視線方向が撮影光学系31の光軸O1の方向と一致する。したがって、アライメントが完了した場合は、テレビモニター53に眼底中央部、すなわち、被検眼乳頭が画面中央付近にくるような眼底像54が表示される。
また、テレビモニター53にはアライメント像58’が表示される。アライメントが完了していない状態では、アライメント像58’は、図4(b)に示すように、分離して表示される。検者は、図示しないジョイスティック等により眼底カメラ本体を前後方向に移動操作し、このアライメント像58’が合致する状態(すなわち図4(a)の状態)にする。また、眼底カメラ本体を上下左右方向に移動操作して、テレビモニター53に表示されたIスケールIとアライメント像58’とが合致するようにする。
その後、検者は図示しない撮影スイッチを押して、この眼底像54を撮影する。
[眼底の周辺部を撮影する場合]
まず、被検眼Eの眼底Efの上側、すなわち被検眼乳頭が画面の下半分の位置にあるような眼底像54を撮影する場合を例にとって説明する。この場合には、固視標選択スイッチ(図示せず)により、被検者の視線を上方向に向けさせるような固視光源101を選択、点灯させる。これにより、被検者の視線が上方向に向くので、アライメントが完了した状態では、テレビモニター53に被検眼乳頭が画面下半分の位置にあるような眼底像54が表示される。
この視線を上に向けさせるための固視光源101が点灯されると、これに連動して、テレビモニター53の画面の下方向にアライメント基準位置マーク104aが表示される。このアライメント基準位置マーク104aは、眼底Efの上側を撮影する場合のアライメント基準位置を示すものである。すなわち、既に図5で説明したように、眼底Efの上側の撮影のための被検眼Eの視線を上方向に向ける場合には、アライメントが完了した状態において、アライメント像58’は撮影光学系31の光軸O1からずれた位置に結像され、テレビモニター53の画面上ではアライメント基準位置マーク104aの位置に結像されることになる。したがって、検者は、このアライメント基準位置マーク104aとアライメント像58’が合致するように眼底カメラ本体の位置を調整することにより、アライメントを完了させることができる。
同様に、眼底Efの下側を撮影する場合にはアライメント基準位置マーク104bが、眼底Efの右側を撮影する場合にはアライメント基準位置マーク104cが、眼底Efの左側を撮影する場合にはアライメント基準位置マーク104dがそれぞれ表示される。検者は、これらのアライメント基準位置マーク104a,104b,104c,104dとアライメント像58’とを合致させることにより、アライメントを完了させることができる。
このように、本参考例1においては、眼底Efのどの部分を撮影するかによって変化するアライメント像58’の位置に応じて各アライメント基準位置マーク104a,104b,104c,104dの表示を変化させているので、撮影光学系31の光軸O1と瞳孔中心とのアライメント調整が容易になるという利点がある。
なお、上記参考例1においては、固視標の選択スイッチの操作に連動して各アライメント基準位置マーク104a,104b,104c,104dの表示位置が変化するように構成したが、これに限らず、眼底Efのどの部分(中央、上側、下側、右側、左側)を撮影するかを選択する選択スイッチを用意し、この選択スイッチの操作に応じて各アライメント基準位置マーク104a,104b,104c,104dの表示位置を変更するように構成してもよい。また、連動させず、各アライメント基準位置マーク104a,104b,104c,104dの点灯位置を検者が選択スイッチにより選択するようにしてもよい。
変形例
アライメント基準位置をテレビモニター53上に表示する代わりに、固視標を各アライメント基準位置マーク104a,104b,104c,104dとして用いてもよい。この場合には、フィールドレンズ49の平面部49aをハーフミラーとし、固視標の一部を反射させて、撮像管52に受光させる。図5(b)に示すように、被検眼Eの視線方向とアライメント光束の反射方向(光軸O2の方向)とはどちらも撮影光学系31の光軸O1に対してほぼ同じ角度θであり、テレビモニター53上でのアライメント像58’の形成箇所がテレビモニター53上での固視標の形成箇所と略同一となるので、固視標を各アライメント基準位置マーク104a,104b,104c,104dとして用いることができる。なお、フィールドレンズ49の平面部49aを、凹面形状を有するハーフミラーとしてもよい。
図8は本発明の実施例1を示すものである。なお、この実施例1にて説明しない構成や作用については、参考例1の構成や作用と同様であるので、説明を省略する。
この実施例1では、固視標の投影位置の変化に応じて各アライメント基準位置マーク104a,104b,104c,104dの点灯位置を変更する代わりに、固視標の投影位置の変化に応じてアライメント指標の形成位置を変更し、これにより、固視標の投影位置にかかわらずテレビモニター53上におけるアライメント指標の形成位置が不変となるようにしたものである。
具体的には、眼底中央部撮影用の固視標を投影するときには、図5(a)に示すように、ライトガイド58の射出端58aを撮影光学系31の光軸O1上に配置する一方、眼底周辺部撮影用の固視標を投影するときには、図8に示すように、ライトガイド58の射出端58aを撮影光学系31の光軸O1と直交する方向(図8に示す矢印S方向、図7に示す矢印δ1方向)に移動させ、射出端58aを光軸O1からずらした位置に配置する。これにより、アライメント完了した場合におけるアライメント像58’のテレビモニター53上の位置が、眼底中央部を撮影する場合と眼底周辺部を撮影する場合とで同一となるようにする。
また、射出端58aを撮影光学系31の光軸O1と直交する方向に移動するだけでなく、光軸O1方向にも距離δ2だけ移動するのが好ましい(図7参照)。これにより、アライメント指標の虚像が眼底中心部を撮影する場合と同様に角膜面と焦点面Fcの位置に形成されるので、ピントの合ったアライメント像58aが観察可能となるからである。逆にいえば、撮影光学系31の光軸O1方向へのライトガイド58の移動をしない場合には、アライメント像58aが多少ボケて結像されることになる。但し、固視標の投影角度が小さい場合は、このボケは、アライメント調整を阻害しない程度のものであるので、光軸O1方向への射出端58aの移動は省略してもよい。なお、ライトガイド58の移動距離δ1,δ2は固視標光束の投影角度、被検眼角膜Cの曲率および作動距離を考慮して決定される。
変形例1
図8では、眼底周辺部を撮影するときに、矢印Z1で示すように、射出端58aを撮影光学系31の光軸O1の方向に移動させる構成としたが、図9に示すように、眼底中央部を撮影するときには光路長補正用の光学部材としての平行平面板80をアライメント指標投影系56の光路から挿入させ、眼底周辺部を撮影するときには平行平面板80をアライメント指標投影系56の光路に離脱する構成としてもよい。
このように構成すると、ライトガイド58を光軸O1の方向に可動させる構成としなくともアライメント指標58aの光軸方向の提示位置を、眼底中央部を撮影するときと眼底周辺部を撮影するときとで変更できる。
変形例2
図10〜図14は実施例1の変形例2を示すもので、眼底中央部を撮影するときには、図12(a)、図12(b)に示す平行平面板80をアライメント指標投影系56の光路に挿入し、眼底周辺部の撮影を行うときには、固視標の提示位置に対応してアライメント指標58aの提示位置を変更すると共に光路長を補正するためのプリズム81(図11(a)、図11(b)参照)をアライメント指標投影系56の光路に挿入する構成としたものである。図10は眼底周辺部を撮影するときのアライメント指標投影系56が示されており、プリズム81が光路に挿入され、平行平面板80が光路から離脱されている。平行平面板80には図12に示すように2孔絞り82が印刷等の手段により一体に形成され、2孔絞り82の一対の孔部82a,82aは光軸Oを境に点対称位置に形成されている。すなわち、一対の孔部82a,82aの中心を結ぶ直線L1は光軸Oと交差している。図11に示すように、プリズム81にも同様に2孔絞り83が一体に形成されている。この2孔絞り83の一対の孔部83a,83aの中心を結ぶ直線L2は光軸Oに対して離間されている。プリズム81は、固視標の提示位置の変更に対応して光軸Oを中心に回転可能とされ、プリズム81の偏角作用によりアライメント指標の提示位置が変更される。また、眼底中心部を撮影するときと眼底周辺部を撮影するときとでアライメント指標58aを光軸方向の提示位置を変更させるために、プリズム81の光路長と平行平面板80の光路長とが異ならされている。眼底中央部を撮影するときと眼底周辺部を撮影するときとで、2孔絞り82,83の孔部82a,83aの形成位置を変更した理由は穴あきミラー42の穴部42aにより、光束がケラレることを防止するためである。
変形例3
この変形例では、図15に示すように、ライトガイド58の射出端58aを移動させる代わりに、穴空きミラー42の穴部42aの周辺に眼底周辺部撮影用のアライメント指標投影系105を複数個(4個)設ける構成とした。この周辺部撮影用のアライメント指標投影系105はLED106と光ファイバ107とから構成されている。そして、眼底中央部撮影時にはLED57を点灯させる一方、周辺部撮影時にはLED106を点灯する。このように構成すると、光ファイバ107の出射端107aからのアライメント指標58aの投影光束が穴空きミラー42でケラレるのを防止できるので、眼底中央部からより遠い眼底周辺部を撮影することができる。
変形例4
図15に示す構成では、眼底中央部からより遠い眼底周辺部を撮影するために、固視標の提示位置を破線で示す位置に変更すると、固視標が視野絞り49’でケラレることがある。この変形例では、図16に示すように、この固視標の視野絞り49’によるケラレを防止するため、結像レンズ45とクイックリターンミラー47との間にハーフミラー108を設け、固視光学系100をハーフミラー108の反射光軸上に設ける構成とした。
変形例5
この変形例では、図17(a)に示すように、穴空きミラー42の周辺部に4個の眼底周辺部撮影用のアライメント指標投影系105を設けると共に、図17(b)に示すように眼底中央部撮影用の一対のアライメント指標投影系109を設ける構成としたものである。この一対のアライメント指標投影系109はアライメント指標投影系105と同様にLED110と光ファイバ111とから構成され、図17(b)には、眼底周辺部撮影用のアライメント指標投影系105を構成する光ファイバ107の射出端107aと共に、眼底中央部撮影用の一対のアライメント指標投影系109を構成する光ファイバの射出端111aが示されている。
この変形例によれば、眼底中央部を撮影するときには、図18(a)に示すように、一対のアライメント像111’が画面周辺部に離間して形成される。眼底周辺部を撮影するときには、固視標を切り換えて、視線の方向を誘導する。また、これに対応するLED110を点灯させる。図7に示すと同様に、アライメント指標58aが撮影光学系31の光軸O1からずれている場合、角膜Cで反射された反射光束は光軸O1と平行に戻り、光軸O1上に結像するので、図18(b)に示すように、アライメント像107’の形成箇所を画面中央位置に位置するようにする。このようにすれば、アライメント基準位置マーク104を用いなくとも、眼底周辺部の照明光束がケラレることなく撮影できる。なお、中央撮影用の一対のアライメント投影系109を設ける代わりに、周辺部撮影用のアライメント投影系105を一対にして投影してもよい。
参考例2
この参考例2では、図19に示すように、対物レンズ41と穴空きミラー42との間に視線方向検出手段112を設ける構成としたものである。視線方向検出手段112は、対物レンズ41の周りに赤外光を発光するLED113〜LED116を配置し、このLED113〜LED116から角膜Cに向けて照射し、虚像(図示せず)を形成させる。そして、図20に示すように、虚像である角膜反射像を撮像素子117上に得るとともに、前眼部像E’を撮像素子117上に結像させて視線方向を検出するものである。撮像素子117と前眼部とは共役関係にある。
そして、視線が撮影光学系31の光軸O1方向に向いているとき、角膜反射像の中心位置に瞳孔像Q’の中心Qoが位置するように設定されている。固視標の変更により、視線方向が変わると図21に示すように角膜反射像の中心位置Ooから瞳孔像Q’の中心位置Qoがずれる。したがって、中心位置Ooと瞳孔像Q’の中心位置Qoとを求めることにより視線方向を検出することができる。
瞳孔像Q’の中心位置Qoは、撮像素子117から出力される画像信号の瞳孔像Q’部分の輝度レベルが他の部分より低いので、この低レベル部分から演算により求めればよい。また、角膜反射像の位置は、撮像素子117から出力される画像信号の角膜反射像の部分の輝度レベルは他の部分よりも高いので、この高レベルの部分から検出できる。なお、118は視線方向検出手段112を構成するハーフミラー、119はリレーレンズ、120は反射ミラー、121はテレビレンズである。
この参考例2では、図1に示す撮影光学系31に視線方向検出手段112を設ける構成としたが、図8、図9に示す撮影光学系31に視線方向検出手段112を設ける構成とすることもできる。このものでは、検出した視線方向に対応してアライメント指標を移動して切り替える。
以上の実施例1及び参考例1,2では、複数個の固視標を用いて、点灯状態を切り換えることにより、固視標の提示位置を変更する構成としたが、1個の固視標を用い固視標を移動させることにより、固視標の提示位置を変更する構成としてもよい。
眼底カメラの参考例1を示す光学図である。
図1に示す2孔絞りの平面図である。
図1に示すハーフミラーの透過特性を示す図である。
眼底カメラを用いて観察された眼底像を示す図であって、(a)は被検眼から装置本体までの作動距離が適正である場合を示し、(b)は被検眼から装置本体までの作動距離が適正でない場合を示す。
アライメント指標の投影原理の説明図であって、(a)は被検眼の光軸と撮影光学系の光軸とが一致している場合に、アライメント像が撮影光学系の光軸上で眼底共役面上に形成された状態を示し、(b)は被検眼の光軸に対して撮影光学系の光軸が所定角度傾いている場合に、アライメント像が撮影光学系の光軸上からずれて眼底共役面上に形成された状態を示している。
図1に示す眼底カメラを用いて眼底像をテレビモニター上で観察した状態を示し、(a)はテレビモニター上に表示された眼底中央部像とアライメント像との説明図、(b)はテレビモニター上に表示された眼底周辺部像とアライメント像との説明図である。
眼底周辺部を撮影するときのアライメント指標の像と眼底中央部を撮影するときのアライメント指標像の光軸方向の位置ずれを説明するための説明図である。
本発明に係わる眼底カメラの実施例1を示す光学図で、ライトガイドを撮影光学系の光軸方向に移動させる場合を示している。
実施例1の変形例1を示す光学図であって、アライメント指標投影系の光路に平行平面板を挿脱自在に設ける構成を示している。
実施例1の変形例2のアライメント指標投影系の要部構成を示す光学図である。
図10に示すプリズムの拡大図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図10に示す平行平面板の拡大図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
眼底中央部を撮影するときのアライメント指標光束の光線経路を示す模式図である。
眼底周辺部を撮影するときのアライメント指標光束の光線経路を示す模式図である。
実施例1の変形例3を示す光学図である。
実施例1の変形例4を示す光学図である。
実施例1の変形例5を示し、(a)は光学図、(b)は(a)に示す光学図の穴開きミラー近傍の拡大図である。
(a)はテレビモニター上に表示された眼底中央部像とアライメント像との説明図、(b)はテレビモニター上に表示された眼底周辺部像とアライメント像との説明図である。
眼底カメラの参考例2を示す光学図である。
瞳孔像と角膜反射像との位置関係を示す説明図である。
視線方向が変化したときの瞳孔像と角膜反射像との位置関係を示す説明図である。
符号の説明
30…照明光学系(照明系)
31…撮影光学系(撮影系)
53…テレビモニター(モニタ)
54…眼底像
58a…ライトガイドの射出端(アライメント指標)
58’…アライメント像(アライメント指標像)
I…Iスケール(基準位置マーク)
E…被検眼
Ef…眼底
100…固視標投影光学系(固視標投影系)
104a,104b,104c,104d…アライメント基準位置マーク