JP4429140B2 - 医療用レーザ装置 - Google Patents

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Description

本発明は患者の患部に複数の色のレーザ光を選択的に照射して治療を行う医療用のレーザ装置に関する。
医療分野においては治療に応じた波長のレーザ光が選択的に使用される。眼の光凝固治療における波長としては、一般的な緑色の波長の他、少ないパワーで凝固効率の良い黄色・オレンジ色の波長が好ましい波長として使用されている。眼底に出血がある場合や、眼底に至る透光体に混濁がある場合には、赤色の波長が効果的に使用されている。
従来、可視域の多色の治療レーザ光を選択的に出射可能な、眼科治療用のレーザとしては、クリプトン、Nd:YAGレーザの第2高調波が使用されている。クリプトンからは約520nm、530nm の緑色、約568nmの黄色、及び約647nmの赤色のレーザ光が得られる(例えば、特許文献1参照)。Nd:YAGレーザの第2高調波では、約532nmの緑色、約561nmの黄色、及び約659nmの赤色のレーザ光が得られる(例えば、特許文献2参照)。
また、光通信システムの分野では、ラマンファイバレーザの研究がなされている。ラマンファイバレーザでは、非線形媒体の光ファイバに高出力の励起光を入射することにより、誘導ラマン散乱効果によって入射光とは異なる長波長のレーザ光が取り出される。(例えば、特許文献3、4参照)。
特開2002−136539号公報 特開2002−151774号公報 特開2000−29083号公報 特開平11−54853号公報
しかし、医療用として従来使用されていた多色レーザを出射可能なクリプトンのレーザ装置は、レーザチューブが短寿命であること、大きな消費電力を必要とすること、装置が大型化することなどの問題が大きかった。Nd:YAGレーザを使用した多波長の固体レーザ装置は、こうした問題が軽減されるが、時間的な熱の影響によりビームの品質が悪く、安定性も悪いという問題がある。
一方、ラマンファイバは光通信システムの分野での応用がなされているが、医療分野において可視のレーザ光を選択的に得るために応用されたものは無い。波長の異なる多色の可視レーザ光を選択的に得るために、それぞれの波長に応じたラマンファイバを複数使用する構成が考えられるが、高価なラマンファイバを複数使用することは、コスト的に不利である。
本発明は、従来技術の問題に鑑み、装置の小型化及びビーム品質に優れ、治療に適した多波長の可視レーザ光を得る上で、コスト的に有利な医療用レーザ装置を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 可視レーザ光を導光光学系によって患者の組織に導光する医療用レーザ装置において、波長1040〜1120nmの範囲にある異なる第1の波長λ1と第2の波長λ2の励起レーザ光を選択的に出射可能な励起レーザ光源と、前記励起レーザ光源から入力されたレーザ光を誘導ラマン散乱により異なる波長にシフトする1本のラマンファイバであって、波長λ1の入力によりその波長λ1と異なる波長1160〜1200nmの範囲にある波長λ1´のレーザ光を発生する共振器を規定する一対の第1FBG(ファイバ・ブラッグ・グレーティング)が形成されていると共に、波長λ2の入力によりその波長λ2と異なる波長1220〜1280nmの範囲にある波長λ2´のレーザ光を発生する共振器を規定する一対の第2FBG(ファイバ・ブラッグ・グレーティング)が形成されている1本のラマンファイバと、前記波長λ1´のレーザ光をその第2高調波に変換する第1波長変換素子と前記波長λ2´のレーザ光をその第2高調波に変換する第2波長変換素子とを持ち、第1波長変換素子及び第2波長変換素子を前記ラマンファイバの出射光路に選択的に切換え配置する波長変換素子切換手段と、波長選択信号の入力に基づいて波長λ1及び波長λ2の一方のレーザ光を選択的に前記励起レーザ光源から出射させると共に前記波長変換素子切換手段を制御する制御手段であって、波長λ1のレーザ光を出射させたときには前記第1波長変換素子を前記ラマンファイバの出射光路に切換え配置し、波長λ2のレーザ光を出射させたときには前記第2波長変換素子を前記ラマンファイバの出射光路に切換え配置し、各波長変換素子で波長変換されたレーザ光を前記導光光学系に入射させる制御ユニットと、を備え、前記ラマンファイバは、波長λ1の励起レーザ光が入力されたときに、前記第1FBGによる波長λ1´に対して誘導ラマン散乱が得られるが、前記第2FBGによる波長λ2´に対しては誘導ラマン散乱が得られず、且つ、波長λ2の励起レーザ光が入力されたときに、前記第2FBGによる波長λ2´に対して誘導ラマン散乱が得られるが、前記第1FBGによる波長λ1´に対しては誘導ラマン散乱が得られない誘導ラマン散乱特性を持ち、波長λ1及び波長λ2の選択的な入力により前記波長λ1´及び波長λ2´のレーザ光が互いに独立して発生するように、前記FBG及び第2FBGを構成したことを特徴とする。
本発明によれば、装置の小型化及びビーム品質に優れ、治療に適した多波長のレーザ光を得る上で、コスト的に有利な医療用レーザ装置を実現できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第1の実施形態に係る医療用レーザ装置の構成を示す図である。
図1において、100はレーザ光を出射する可視レーザヘッドである。可視レーザヘッド100には赤外レーザ光を発する励起レーザ光源1が配置されている。レーザ光源1は、例えばレーザダイオードポンプにYbがドープされたYbファイバレーザからなり、1040〜1120nmの範囲で、3つの波長の赤外レーザを選択的に出射できる。それらの波長は、本実施例では、オレンジ色レーザ光を得るための第1波長λ1=1120nm、赤色レーザ光を得るための第2波長λ2=1080nm、緑色レーザ光を得るための第3波長λ3=1060nmである。レーザ光源1は、出射するレーザ光の波長が1040〜1140nmの範囲で10nm単位の調整ができることが好ましい。
20はラマンファイバであり、シリカ(二酸化ケイ素:SiO2)をベースとしてコア部分に五酸化二リン(P25)がドープされた非線形用の光ファイバ2を備える。光ファイバ2のコア径は6μmで、長さが400m以上である。なお、光ファイバ2はPMファイバ(Polarization Maintaining Fiber)であり、入射光の直線偏光を保持する機能を持っている。また、レーザ光源1に使われているファイバもPMファイバである。
ラマンファイバ20には、入射光の波長λ1=1120nmを誘導ラマン散乱により波長λ1´=1180nmにシフトさせるための一対のFBG(ファイバ・ブラッグ・グレーティング:Fiber Bragg Grating)3a,3bと、入射光の波長λ2=1080nmを波長λ2´=1260nmにシフトさせるための一対のFBG4a,4bが形成されている。FBG3aを波長1180nmに対して高反射(99%以上反射)とし、FBG3bを波長1180nmに対して一部透過(反射率85%程度)とすることで、ラマン散乱された波長1180nmのストークス光を閉じ込めて増幅する共振器を規定することにより、波長1180nmのレーザ光が得られる。一方、FBG4aを波長1260nmに対して高反射(99%以上反射)とし、FBG4bを波長1260nmに対して一部透過(反射率85%程度)とすることで、ラマン散乱された波長1260nmのストークス光を閉じ込めて増幅する共振器を規定することにより、波長1260nmのレーザ光が得られる。また、ラマンファイバ20の出力側には、波長λ2=1080nmを反射し、その他の波長を透過するFBG5と、波長λ1=1120nmを反射し、その他の光を透過するFBG6が形成されている。
ラマンファイバ20の出射端には、集光レンズ7、QPMグレーティングユニット8(Quai Phase Matching Grating Unit)が配置されている。QPMグレーティングユニット8は、非線形結晶を規則的に並べることで入力されたレーザ光をその第2高調波に変換するSHG(Second Harmonic Generation)素子を数種類合わせたものである。本実施例では3つのQPMグレーティングからなるSHG素子8a,8b,8cを合わせたものを用いている。SHG素子8a,8b,8cを構成する各QPMグレーティングでは、入力された赤外域のレーザ光をそれぞれの波長に対応させて特異的な非線形結晶の並べ方をさせたグレーティングを通過させることによって、各基本波を可視光域への第2高調波へ変換する。本実施例では、SHG素子8aは波長λ1´=1180nmを波長590nm(オレンジ色)へと変換し、SHG素子8bは波長λ2´=1260nmを630nm(赤色)へと変換し、SHG素子8cは波長λ1=1060nmを波長530nm(緑色)へと変換する。QPMグレーティングユニット8は、駆動ユニット9により移動され、各SHG素子8a,8b,8cが選択的にレーザ光の光路に配置される。QPMグレーティングユニット8のSHG素子の選択はギヤやベルトによるユニットのスライド等で実現される。
レーザ光源1及び駆動ユニット9は制御ユニット30に接続され、制御ユニット30には波長選択スイッチを持つ操作ユニット31が接続されている。操作ユニット31からの波長選択信号が入力されると、制御ユニット30はその選択信号に応じた波長λ1、λ2、λ3の何れかのレーザ光を選択的にレーザ光源1から出射させると共に、駆動ユニット9を駆動してその波長選択に応じたSHG素子8a,8b,8cの何れかを光路に配置する。
次に、ラマンファイバ20による波長シフトを説明する。図2は、Si02をベースにP25がドープされた光ファイバ2の誘導ラマン散乱特性を示す図である。図2に示すように、Si02・P25のファイバでは、ラマンシフト約1325cm-1を含む約1305〜1355cm-1の範囲と、約454cm-1を含む約50〜560cm-1の範囲で、誘導ラマン散乱の高いラマン利得が現れている。
従って、Si02・P25のラマンファイバでは、波長λ1=1120nmの励起光を入射させたとき、一対のFBG3a,3bにより波長1180nmに対する共振器を構成することにより、454cm-1のラマン利得が得られ、波長1180nmの誘導ラマン散乱が得られる。すなわち、
8928cm-1(1120nm)−454cm-1→8474cm-1(1180nm)
となり、波長λ1´=1180nmのストークス光が発生する。
一方、波長λ1=1120nmの励起光を入射させたとき、波長1260nmに対して共振器を構成する一対のFBG4a,4bによる誘導ラマン散乱を考えると、
8928cm-1(1120nm)−994cm-1→7934cm-1(1260nm)
となる。Si02・P25のラマンファイバでは、ラマンシフト994cm-1は極めてラマン利得が低いため、誘導ラマン散乱が得られない。したがって、波長λ1=1120nmの励起光を入射させたときは、FBG4a,4bによる影響を受けずに、波長λ1´=1180nmのストークス光について、高反射率のFBG3aと一部透過(反射率85%程)の出力用FBG3bで共振器を規定することにより、波長λ1´=1180nmのレーザ光が独立して取り出される。
また、Si02・P25のラマンファイバでは、波長λ2=1080nmの励起光を入射させたとき、波長1260nmに対して共振器を構成する一対のFBG4a,4bにより1325cm-1でラマン利得が得られ、波長1260nmの誘導ラマン散乱が得られる。すなわち、
9259cm-1(1080nm)−1325cm-1→7934cm-1(1260nm)
となり、波長λ2´=1260nmの1次ストークス光が発生する。
一方、波長λ2=1080nmの励起光を入射させたとき、波長1180nmに対して共振器を構成する一対のFBG3a,3bによる誘導ラマン散乱を考えると、
9259cm-1(1080nm)−785cm-1→8474cm-1(1180nm)
となる。Si02・P25のラマンファイバでは、ラマンシフト785cm-1は極めてラマン利得が低いため、誘導ラマン散乱が得られない。したがって、波長λ2=1080nmの励起光を入射させたときは、FBG3a,3bによる影響を受けずに、波長λ2´=1260nmの光について、高反射率のFBG4aと反射率85%程の出力用FBG3bで共振器を規定することにより、波長λ2´=1260nmのレーザ光が独立して取り出される。
また、波長λ3=1060nmの光を入射させた場合についても、FBG3a,3b及びFBG4a,4bによる誘導ラマン散乱を考えると、それぞれラマンシフトは959cm-1及び1499cm-1となる。Si02・P25のラマンファイバでは、このラマンシフトは極めて低いラマン利得であるため、波長λ3=1060nmは波長シフトされずに、大部分(90%程度)がそのままラマンファイバ20を通過する。
ラマンファイバ20を出射した波長λ1´=1180nmのレーザ光は、QPMグレーティングユニット8のSHG素子8aに入射し、その第2高調波である波長590nmのオレンジ色レーザ光に波長変換される。また、ラマンファイバ20を出射した波長λ2´=1260nmのレーザ光は、SHG素子8bに入射し、その第2高調波である波長630nmの赤色レーザ光に波長変換される。ラマンファイバ20を出射した波長λ3=1060nmのレーザ光は、SHG素子8cに入射し、その第2高調波である波長530nmの緑色レーザ光に波長変換される。なお、可視レーザヘッド100から各レーザ光を出射させるに際しては、図示を略すフィルタ等によってQPMグレーティングユニット8で変換されなかった赤外域のレーザ光をカットし、可視(赤色、オレンジ色、緑色)のレーザ光のみを出射するように構成しておく。
以上のように、一つのラマンファイバに2種類の独立に波長シフトするFBGを設けることによって、赤、オレンジのレーザ光を得るための基本波レーザ光を簡単な構成で作り出すことができ、コスト的に有利となる。さらに、緑色のレーザ光を得るための基本波レーザ光についても、FBGの影響を受けないようにすることで、3色のレーザ光を得ることができる。また、ラマンファイバを使用したレーザ光の多色化は、固体レーザ装置に比べてビーム品質・安定性に優れている利点を持つ。
可視レーザヘッド100から出射した可視のレーザ光は、集光レンズ50、導光用のファイバ51を経て、デリバリ光学系52に入射する。デリバリ光学系52は、リレーレンズ53、レーザ光のスポットサイズを変更するためのズームレンズ54、対物レンズ55、レーザ光を患者眼Eに向けて反射するミラー56を備える。デリバリ光学系52はスリットランプ60が持つ双眼の顕微鏡部61に取り付けられている。また、患者眼Eはスリットランプ60が備える照明部62により照明される。光凝固治療では、デリバリ光学系52により導光さされたレーザ光は、コンタクトレンズ65を介して患者眼Eの眼底に照射される。
光凝固治療装置では、凝固効率の点から波長580〜600nmのオレンジ色のレーザ光を得ることが好ましい。この場合、SHG素子8aで波長変換される基本波の波長λ1´=1160〜1200nmである。また、光凝固治療装置では、オレンジ色レーザ光に加えて波長610〜640nmの赤色レーザ光を出力できることが好ましい。この場合、SHG素子8bで波長変換される基本波の波長λ2´=1220〜1280nmである。
図3は、Si02・P25のラマンファイバにおいて、ラマン利得が得られる1305〜1355cm-1の範囲及び50〜560cm-1の範囲について、励起波長(入射波長)に対する波長シフト(ストークス光)の関係をそれぞれ示した図である。波長610〜640nmの何れかの赤色レーザ光を得るためには、図3の斜線部Aで示すように、波長1220〜1280nmの何れかのストークス光(波長λ2´)を得るように一対のFBG4a,4bを構成すると共に、これに対応する励起波長λ2を1047〜1096nmの範囲で選択する。また、波長580〜600nmのオレンジ色レーザ光を得るためには、図3の斜線部Bで示すように、波長1160〜1200nmの何れかのストークス光(波長λ1´)を得るように一対のFBG3a,3bを構成すると共に、これに対応する励起波長λ1を波長1089〜1140nmで選択する。そして、波長λ1´及びλ2´が互いに独立して発生するように、波長λ1´に対する励起波長λ1及びλ2´に対する励起波長λ2の関係を定めてやれば良い。
さらに、光凝固治療装置では、波長520〜540nmの緑色レーザ光を出力できることが好ましい。この場合、SHG素子8cで波長変換される基本波の波長λ3は波長1040〜1080nmである。そして、FBG4a,4bで独立して波長λ2´(赤色レーザ光を得るためのストークス光)が発生するように、その波長λ2´と波長λ3の関係を定めてやれば良い。
図4は、第2の実施形態に係るレーザ装置の構成を示す図である。図1と同様な機能の構成要素には、同一の符号を付している。第2の実施形態の可視レーザヘッド101では、レーザ光源1から出射されたレーザ光の光路を2つに分岐する光学スイッチ40(分岐光学系)を配置し、分岐された1つの光路にラマンファイバ20を接続し、もう一方の光路に光ファイバ41を接続している。ラマンファイバ20の出射端の光路と、光ファイバ41の出射端の光路は、ダイクロイックミラー43により統合され、その統合された光路上に集光レンズ7、SHG素子8a,8b,8cを持つQPMグレーティングユニット8が配置されている。
この実施形態においては、操作ユニット31により緑色レーザ光を選択すると、制御ユニット30はレーザ光源1から出射される波長λ3=1060nmのレーザ光の光路を、光学スイッチ40を制御して光ファイバ41に接続する。光ファイバ41から導かれた波長λ3=1060nmのレーザ光は、ダイクロイックミラー43で反射され、集光レンズ7、SHG素子8cを経て、波長530nmのレーザ光として可視レーザヘッド101から出射される。レーザ光源1からの波長λ1=1120nm、λ2=1080は、先の例と同様に、ラマンファイバ20に導かれる。
この実施形態では、図1の例に対して、ラマンファイバ20を通さずに、波長λ3のレーザ光を別の光ファイバ41へ通すことによって、その導光ロスを抑えことができる。また、緑色レーザ光を得るための波長λ3とλ1とが同一波長である場合には、波長λ3のレーザ光を別の光ファイバ41へ通すことによって、単独で緑色のレーザ光を発生させることができる。
図5は第3の実施形態に係るレーザ装置の構成を示す図である。図1及び図4と同様な機能の構成要素には、同一の符号を付している。
第3の実施形態の可視レーザヘッド102では、シリカ(SiO2)をベースに酸化チタン(TiO2)がドープされた非線形用光ファイバ122を備えるラマンファイバ120を使用している。また、レーザ光源1から選択出射するレーザ光は、オレンジ色レーザ光を得るための波長λ1=1060nmと、赤色レーザ光を得るための波長λ2=1120nmとし、緑色レーザ光を得るための波長λ3=λ1=1060nmとしている。光学スイッチ40はレーザ光源1から出射されたレーザ光の光路を2つに分岐する。光学スイッチ40により分岐された片方の光路にはラマンファイバ120が接続されている。このラマンファイバ120には、入射光の波長λ1=1060nmを誘導ラマン散乱により波長λ1´=1180nmにシフトさせて増幅させるための一対の共振器を規定するFBG123a,123bと、入射光の波長λ2=1120nmを波長λ2´=1250nmにシフトさせて増幅させるための一対のFBG124a,124bが形成されている。また、ラマンファイバ120の出力側には、波長λ1=1060nmを反射し、その他の波長を透過するFBG125と、波長λ2=1120nmを反射し、その他の光を透過するFBG126が形成されている。なお、FBG123a,123bは、波長シフト手段としての負荷ユニット130a,130bによりストレス又は温度(あるいはその両者)がそれぞれ負荷されることで、反射波長が変えられる。負荷ユニット130a,130bは、制御ユニット30により操作ユニット31からの波長選択信号に応じて制御される。
光学スイッチ40により分岐されたもう片方の光路には、波長λ1=1060nmを導光する光ファイバ41が接続されている。ラマンファイバ波長シフト光学系120の出射端の光路と、光ファイバ41の出射端の光路は、ダイクロイックミラー43により統合され、その統合された光路上に集光レンズ7、SHG素子8a,8b,8cを持つQPMグレーティングユニット8が配置されている。SHG素子8aは波長λ1´=1180nmを波長590nm(オレンジ色)へと変換し、SHG素子8bは波長λ2´=1250nmを波長625nm(赤色)へと変換し、SHG素子8cは波長λ1=1060nmを波長530nm(緑色)へと変換する。駆動ユニット9により各SHG素子8a,8b,8cが選択的にレーザ光の光路に配置される。
次に、この例におけるラマンファイバ120による波長シフトを説明する。図6は、Si02をベースにTiO2がドープされたラマンファイバ120の誘導ラマン散乱特性を示す図である。Si02・TiO2のラマンファイバでは、約900〜960cm-1の範囲と、約50〜500cm-1の範囲で、誘導ラマン散乱の高いラマン利得が現れている。
このSi02・TiO2のラマンファイバ120に、波長λ1=1060nmの励起光を入射させたとき、波長1180nmに対して一対のFBG123a,123bにより共振器を構成することにより、ラマンシフト960cm-1で利得が得られ、誘導ラマン散乱により波長λ1´=1180nmのレーザ光が得られる。すなわち、
9434cm-1(1060nm)−960cm-1→8474cm-1(1180nm)
となる。
一方、波長λ1=1060nmの励起光を入射させたとき、波長1250nmに対して共振器を構成する一対のFBG124a,124bによる誘導ラマン散乱を考えると、
9434cm-1(1060nm)−1434cm-1→8000cm-1(1250nm)
となる。Si02・TiO2のラマンファイバでは、ラマンシフト1434cm-1はほとんど利得な無いため、誘導ラマン散乱が得られない。したがって、波長λ1=1060nmの励起光を入射させたときは、FBG124a,124bによる影響を受けずに、波長λ1´=1180nmのレーザ光が独立して取り出される。
次に、Si02・TiO2のラマンファイバ120に波長λ2=1120nmの励起光を入射させときを考える。この場合、FBG123a,123bの影響が無いとすれば、波長1250nmに対して一対のFBG124a,124bにより共振器を構成することにより、ラマンシフト928cm-1で利得が得られ、誘導ラマン散乱によりが波長λ2´=1250nmのレーザ光が得られる。すなわち、
8928cm-1(1120nm)−928cm-1→8000cm-1(1250nm)
となる。
しかし、波長λ2=1120nmの励起光を入射させたとき、波長1180nmに対して共振器を構成する一対のFBG123a,123bによる誘導ラマン散乱の影響を見てみると、
8928cm-1(1120nm)−454cm-1→8474cm-1(1180nm)
となる。Si02・TiO2のラマンファイバでは、ラマンシフト454cm-1においてもある程度高いラマン利得が得られるため、波長1180nmのストークス光が発生し易くなり、結局、必要な波長λ2´=1250nmのストークス光が得られにくくなる。
そこで、この実施形態の装置では、波長λ2=1120nmの励起光を入射させたとき、FBG123a,123bによる誘導ラマン散乱の影響を取り除くべく、FBG123a,123bの反射波長の特性を変化させる。
FBGは、ストレスを負荷すると、グレーティングのスペースが変化することにより反射波長が変化する特性がある。また、ある一定以上の温度とすることよっても反射波長が変化することが知られている。したがって、負荷ユニット130a,130bにより、FBG123a及び123bにストレス又は温度変化(あるいはその両方)を負荷することにより、その反射波長をラマン利得が得られない波長範囲までシフトさせることができる。例えば、FBG123a,123bの反射波長1180nmを、波長1200nmまで変化させる。このときの波長λ2=1120nmの励起光についてのFBG123a,123bによる誘導ラマン散乱の影響を見てみると、
8928cm-1(1120nm)−595cm-1→8333cm-1(1200nm)
となる。Si02・TiO2のラマンファイバの595cm-1はラマン利得が低いため、FBG123a,123bの影響を無くすことができる。これにより、波長λ2=1120nmの入力に対して、FBG124a,124bにより独立して波長λ2´=1250nmのレーザ光を出力できる。
波長λ1´=1180nmのレーザ光はSHG素子8aにより波長590nm(オレンジ色)へと変換され、波長λ2´=1250nmのレーザ光はSHG素子8bにより波長625nm(赤色)へと変換されて出力される。また、第2の実施形態と同様に、光学スイッチ40によりレーザ光源1からの波長1060nmのレーザ光を、ラマンファイバ120とは別の光路の光ファイバ41へ通すことによってSHG素子8cへと導き、このSHG素子8cにより波長530nm(緑色)へと変換されて出力される。可視レーザヘッド102から出射したレーザ光は、集光レンズ50、導光用のファイバ51及びデリバリ光学系52により患者眼Eの眼底に導光照射される。
図7は、Si02・TiO2のラマンファイバにおいて、ラマン利得が得られる900〜960m-1の範囲及び50〜500cm-1の範囲について、励起波長(入射波長)に対するシフト波長(ストークス光)の関係をそれぞれ示した図である。光凝固治療装置で好ましい波長610〜640nmの何れかの赤色レーザ光を得るためには、図7の斜線部Cで示すように、波長1220〜1280nmの何れかのストークス光(波長λ2´)を得るように一対のFBG124a,124bで共振器を構成すると共に、これに対応する励起波長λ2を選択する。また、光凝固治療装置で好ましい波長580〜600nmのオレンジ色レーザ光を得るためには、図7の斜線部Dで示すように、波長1160〜1200nmの何れかのストークス光(波長λ1´)を得るように一対のFBG123a,123bで共振器を構成すると共に、これに対応する励起波長λ1を選択する。この場合、波長580〜600nm(オレンジ色レーザ光)を得るための波長λ1´は、何れの励起波長λ1を選択しても、FBG124a,124bによる影響を受けずに独立に得られる。しかし、波長610〜640nm(赤色レーザ光)を得る上では、FBG123a,123bで発生させる波長λ1´によっては、波長λ2´を発生させるための励起波長λ2がFBG123a,123bの影響を受ける場合がある。この場合、波長シフト手段としての負荷ユニット130a,130bによりその反射波長をラマン利得が得られない波長範囲までシフトするようにスイッチグすることで、FBG123a,123bの影響を取り除き、波長λ2´を独立して発生させることができる。
また、光凝固治療装置で好ましい波長520〜540nm(緑色レーザ光)を得るための波長λ3は、その波長λ3のレーザ光を別の光ファイバ41へ通すことによって、単独で緑色のレーザ光を発生させることができる。
なお、以上の実施形態では、励起波長λ1からオレンジ色レーザ光を得るための基本波長λ1´にシフトするFBG3a,3b(FBG123a,123b)を、1次のストークス光で行うものとしたが、これは多段階で行うようにしても良い。すなわち、基本波長λ1´にシフトするFBGは、少なくとも一対で構成する。励起波長λ2から赤色レーザ光を得るための基本波長λ2´にシフトするFBG4a,4b(FBG124a,124b)についても同様である。
第1の実施形態に係る医療用レーザ装置の構成を示す図である。 Si02をベースにP25がドープされた光ファイバ2の誘導ラマン散乱特性を示す図である。 Si02・P25のラマンファイバにおいて、励起波長に対する波長シフトの関係を示した図である。 第2の実施形態に係るレーザ装置の構成を示す図である。 第3の実施形態に係るレーザ装置の構成を示す図である。 Si02をベースにTiO2がドープされたラマンファイバ120の誘導ラマン散乱特性を示す図である。 Si02・TiO2のラマンファイバにおいて、励起波長に対するシフト波長の関係を示した図である。
符号の説明
1 レーザ光源
2 光ファイバ
3a,3b,4a,4b FBG
5,6 FBG
8 QPMグレーティングユニット
8a,8b,8c SHG素子
9 駆動ユニット
20 ラマンファイバ
30 制御部
31 操作ユニット
52 デリバリ光学系
60 スリットランプ
100,101,102 可視レーザヘッド
123a,123b,124a,124b FBG
130a,130b 負荷ユニット

Claims (1)

  1. 可視レーザ光を導光光学系によって患者の組織に導光する医療用レーザ装置において、波長1040〜1120nmの範囲にある異なる第1の波長λ1と第2の波長λ2の励起レーザ光を選択的に出射可能な励起レーザ光源と、前記励起レーザ光源から入力されたレーザ光を誘導ラマン散乱により異なる波長にシフトする1本のラマンファイバであって、波長λ1の入力によりその波長λ1と異なる波長1160〜1200nmの範囲にある波長λ1´のレーザ光を発生する共振器を規定する一対の第1FBG(ファイバ・ブラッグ・グレーティング)が形成されていると共に、波長λ2の入力によりその波長λ2と異なる波長1220〜1280nmの範囲にある波長λ2´のレーザ光を発生する共振器を規定する一対の第2FBG(ファイバ・ブラッグ・グレーティング)が形成されている1本のラマンファイバと、前記波長λ1´のレーザ光をその第2高調波に変換する第1波長変換素子と前記波長λ2´のレーザ光をその第2高調波に変換する第2波長変換素子とを持ち、第1波長変換素子及び第2波長変換素子を前記ラマンファイバの出射光路に選択的に切換え配置する波長変換素子切換手段と、波長選択信号の入力に基づいて波長λ1及び波長λ2の一方のレーザ光を選択的に前記励起レーザ光源から出射させると共に前記波長変換素子切換手段を制御する制御手段であって、波長λ1のレーザ光を出射させたときには前記第1波長変換素子を前記ラマンファイバの出射光路に切換え配置し、波長λ2のレーザ光を出射させたときには前記第2波長変換素子を前記ラマンファイバの出射光路に切換え配置し、各波長変換素子で波長変換されたレーザ光を前記導光光学系に入射させる制御ユニットと、を備え、前記ラマンファイバは、波長λ1の励起レーザ光が入力されたときに、前記第1FBGによる波長λ1´に対して誘導ラマン散乱が得られるが、前記第2FBGによる波長λ2´に対しては誘導ラマン散乱が得られず、且つ、波長λ2の励起レーザ光が入力されたときに、前記第2FBGによる波長λ2´に対して誘導ラマン散乱が得られるが、前記第1FBGによる波長λ1´に対しては誘導ラマン散乱が得られない誘導ラマン散乱特性を持ち、波長λ1及び波長λ2の選択的な入力により前記波長λ1´及び波長λ2´のレーザ光が互いに独立して発生するように、前記FBG及び第2FBGを構成したことを特徴とする医療用レーザ装置。
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