JPWO2007066747A1 - ファイバーレーザ - Google Patents
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Abstract
ファイバーレーザは、希土類元素をドープされた固体レーザファイバーと、前記固体レーザファイバーの光軸方向に沿った両端のうち、一方の端部に設けられた第1のグレーティングファイバーと、前記固体レーザファイバーの他方の端部に設けられた第1の反射要素とを備え、前記第1及び第2の反射要素は、前記固体レーザファイバーについて共振器構造を構成し、前記第1のグレーティングファイバーは、第1の波長を有する第1の偏光と、前記第1の波長と異なる第2の波長を有し前記第1の偏光と偏光方向が互いに直交する第2の偏光との2つの偏光のみをブラッグ反射し、前記第1の反射要素で反射する少なくとも一つの光の反射波長と、前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する2つの偏光のうちいずれか一方の波長とが互いに一致している。
Description
本発明は、単一偏光のレーザ光を出力するファイバーレーザに関する。
高出力のレーザ光源として、固体レーザ媒質のコアを有するファイバーレーザが開発されている。このファイバーレーザは、光学的に活性なNd、Yb、Erと言った希土類イオンがドープされたコア部を有する固体レーザファイバーと、固体レーザファイバーの光軸方向に沿った両端に所定間隔で離間して設置された光学的反射要素とからなる。上記固体レーザファイバーに所定の波長のポンプ光(励起光)を入射すると、希土類イオンが励起され、利得媒質となり、上記反射要素によって共振器を構成することでレーザ発振が可能となる。反射要素としては、ポンプ光を透過し、利得媒質で励起される励起光を反射する特性が必要であり、ファイバー内に周期的な屈折率変化を形成し、ブラッグ反射により特定波長を反射するグレーティングファイバーを反射要素として使用する。
さらに、ファイバーレーザを単一偏光の光源として利用する方法が提案されている。特許文献1に示すように、レーザ媒質を偏波保存ファイバーとし、レーザ媒質に偏光依存性を設け、かつ一方の偏光に対する損失を大きくすることで、単一偏光のみが伝播する構成である(例えば、特許文献1参照。)。
ファイバー増幅器を用いたレーザ発振は、高効率、高出力のレーザ発振が可能である。しかし、偏光を制御し、単一偏光の光を出射するのに複雑な構成が必要となるという問題があった。
従来のファイバーレーザにおける偏光制御では、異なる2つの偏光成分のうち一方の偏光の損失を増大させ、共振器内でロスの少ないモードでのみのレーザ発振を行う構成である。従来の方法としては、背景技術で紹介したファイバー内に一方の偏光に対して損失を増大させる周期構造を形成する方法や、一方の変更のみを透過する偏光子を挿入する方法等がある。しかしながら、いずれの方法も構成が複雑になる、部品点数が増える、調整が複雑になる等の問題があり、簡素化、低コスト化に問題があった。
本発明の目的は、偏光を制御し、単一偏光化させたファイバーレーザを提供することである。さらに、ファイバーレーザを用いた光源を提供することである。また、単一偏光化されたファイバーレーザと波長変換素子により可視光を発生するファイバーレーザ光源を実現することである。
前記の課題を解決するために、本発明に係るファイバーレーザは、希土類元素をドープされた固体レーザファイバーと、
前記固体レーザファイバーの光軸方向に沿った両端のうち、一方の端部に設けられた第1のグレーティングファイバーと、
前記固体レーザファイバーの他方の端部に設けられた第1の反射要素と
を備え
前記第1及び第2の反射要素は、前記固体レーザファイバーについて共振器構造を構成し、
前記第1のグレーティングファイバーは、第1の波長を有する第1の偏光と、前記第1の波長と異なる第2の波長を有し前記第1の偏光と偏光方向が互いに直交する第2の偏光との2つの偏光のみをブラッグ反射し、
前記第1の反射要素で反射する光の少なくとも一つの反射波長と、前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する2つの偏光のうちいずれか一方の波長とが互いに一致していることを特徴とする。
前記固体レーザファイバーの光軸方向に沿った両端のうち、一方の端部に設けられた第1のグレーティングファイバーと、
前記固体レーザファイバーの他方の端部に設けられた第1の反射要素と
を備え
前記第1及び第2の反射要素は、前記固体レーザファイバーについて共振器構造を構成し、
前記第1のグレーティングファイバーは、第1の波長を有する第1の偏光と、前記第1の波長と異なる第2の波長を有し前記第1の偏光と偏光方向が互いに直交する第2の偏光との2つの偏光のみをブラッグ反射し、
前記第1の反射要素で反射する光の少なくとも一つの反射波長と、前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する2つの偏光のうちいずれか一方の波長とが互いに一致していることを特徴とする。
また、前記第1の反射要素は、誘電体多層膜であってもよい。さらに、前記第1の反射要素は、前記第1の反射要素は、前記固体レーザファイバーの他方の端部から光を外部に取り出して反射させた光を前記他方の端部から前記固体レーザファイバーの内部へ戻す反射光学系であってもよい。またさらに、前記第1の反射要素は、前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する2つの偏光のうち、いずれか一方の偏光と同じ波長の光をブラッグ反射する第2のグレーティングファイバーであってもよい。
また、前記第1の反射要素は、第3の波長を有する第3の偏光と、前記第3の波長と異なる第4の波長を有し前記第3の偏光と偏光方向が互いに直交する第4の偏光のみをブラッグ反射する第2のグレーティングファイバーであってもよい。この場合、前記第1のグレーティングファイバーと、前記第2のグレーティングファイバーとは、ブラッグ反射するそれぞれ2つの偏光のうち、一つの偏光の偏光方向及びブラッグ反射波長が互いに一致していてもよい。
さらに、前記第1及び第2のグレーティングファイバーは、それぞれ互いに直交する2つの偏光を有し、
前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第1の偏光の波長λ1と第2の偏光の波長λ2はλ1>λ2の関係を満足し、前記第2のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第3の偏光の波長λ3と第4の偏光の波長λ4はλ3>λ4の関係を満足し、前記波長がλ1=λ4またはλ2=λ3の何れかの関係を満足していてもよい。
前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第1の偏光の波長λ1と第2の偏光の波長λ2はλ1>λ2の関係を満足し、前記第2のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第3の偏光の波長λ3と第4の偏光の波長λ4はλ3>λ4の関係を満足し、前記波長がλ1=λ4またはλ2=λ3の何れかの関係を満足していてもよい。
またさらに、前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第1の偏光の第1の波長と、前記第2のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第4の偏光の第4の波長とが互いに一致していてもよい。あるいは、前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第2の偏光の第2の波長と、前記第2のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第3の偏光の第3の波長とが互いに一致していてもよい。
またさらに、前記固体レーザファイバーは、複屈折率を有し、前記第1のグレーティングファイバーの偏光方向と前記固体レーザファイバーの偏光方向とが互いに一致していてもよい。
また、前記固体レーザファイバーは、複屈折率を有するものであってもよい。この場合、前記固体レーザファイバーの2つの偏光のうち、いずれか一つの偏光と、前記第1のグレーティングファイバーの第1の偏光と、前記第2のグレーティングファイバーの第4の偏光とが、偏光方向及び波長が互いに一致していてもよい。
さらに、前記第1のグレーティングファイバーの光軸方向の両端のうち、前記固体レーザファイバーに接する端部と反対側の端部に設けられた第3のグレーティングファイバーと、前記第1の反射要素の光軸方向の両端のうち、前記固体レーザファイバーに接する端部と反対側の端部に設けられた第2の反射要素とをさらに備えてもよい。この場合、前記第1のグレーティングファイバーと前記第1の反射要素とは、前記固体レーザファイバーについて共振器構造を構成する。また、前記第3のグレーティングファイバーと前記第2の反射要素とは、前記固体レーザファイバーについて共振器構造を構成する。さらに、前記第3のグレーティングファイバーは、第5の波長を有する第5の偏光と、前記第5の波長と異なる第6の波長を有し前記第5の偏光と偏光方向が互いに直交する第6の偏光との2つの偏光のみをブラッグ反射する。またさらに、前記第2の反射要素で反射する光の少なくとも一つの反射波長と、前記第3のグレーティングファイバーでブラッグ反射する2つの偏光のうちいずれか一つの偏光の波長とが互いに一致していてもよい。
また、前記第2の反射要素は、誘電体多層膜であってもよい。
またさらに、前記第2の反射要素は、第7の波長を有する第7の偏光と、前記第7の波長と異なる第8の波長を有し前記第7の偏光と偏光方向が互いに直交する第8の偏光とのみをブラッグ反射する第4のグレーティングファイバーであってもよい。また、前記第3のグレーティングファイバーと、前記第4のグレーティングファイバーとは、ブラッグ反射するそれぞれ2つの偏光のうち、一つの偏光の偏光方向及びブラッグ反射波長が互いに一致していてもよい。
また、前記第3及び第4のグレーティングファイバーは、それぞれ互いに直交する2つの偏光を有するものであってもよい。この場合、前記第3のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第5の偏光の波長λ5と第6の偏光の波長λ6はλ5>λ6の関係を満足し、前記第4のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第7の偏光の波長λ7と第8の偏光の波長λ8はλ7>λ8の関係を満足し、前記波長がλ5=λ8またはλ6=λ7の何れかの関係を満足していてもよい。
さらに、前記第3のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第5の偏光の第5の波長と、前記第4のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第8の偏光の第8の波長とが互いに一致していてもよい。あるいは、前記第3のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第6の偏光の第6の波長と、前記第4のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第7の偏光の第7の波長とが互いに一致していてもよい。
さらに、前記固体レーザファイバーは、Yb、Er、Nd、Pr、Cr、Ti、V、Hoからなる群から少なくとも一つ含んでいてもよい。
またさらに、前記第1の反射要素で反射する光の反射波長は、1060nm近傍であってもよい。また、前記第2の反射要素で反射する光の反射波長は、1550nm近傍であってもよい。
さらに、前記ファイバーレーザからの出力を高調波に変換する波長変換素子をさらに備えてもよい。またさらに、前記ファイバーレーザからの出力を複数の異なる波長の高調波に変換する複数の波長変換素子を備えてもよい。
また、前記波長変換素子は、周期状の分極反転構造を有するMgドープLiNbO3、MgドープLiTaO3、KTiOPO4、化学量論組成のMgドープLiNbO3、化学量論組成のMgドープLiTaO3の群から選ばれる少なくとも一つを含むものであってもよい。
さらに、前記固体レーザファイバーの前記両端のいずれか一方の端部から励起光を入力するポンプ光源をさらに備えてもよい。
本発明のファイバーレーザは、グレーティングファイバーの特性を利用して、一方の偏光のみを共振状態にすることでレーザ発振の偏光を制御する方法を提案する。さらに、青色、緑色、同時発生、高出力化、および、ディスプレイ装置への応用等について提案する。
本発明によれば、ファイバーレーザを用いた簡単な構成で偏光制御を可能とし、単一偏光化を可能とする。さらに波長変換素子を用いることにより、単一偏光化された光を高効率で波長変換することで、可視光の発生を可能とする。
1 ポンプ光源
2、2a 固体レーザファイバー
3 第1のグレーティングファイバー
4、4a 第2のグレーティングファイバー
5 レーザ光
6 第1の偏光
7 第2の偏光
8 基板
10、10a、10b、10c、10d、10e ファイバーレーザ
20 ファイバーレーザ
31 ファーストモード
32 スローモード
33 スローモード
34 ファーストモード
41、41a 第4のグレーティングファイバー
42 第3のグレーティングファイバー
61 波長変換素子
62 高調波
71、72 波長変換素子
73、74 高調波
100、100a レーザディスプレイ装置
600 固体レーザファイバー
601 基本波
602 ポンプ光源
604 SFG素子
605 SFG光
606 SHG光
607 SHG素子
608 SHG光
609 SHG素子
612 基本波
613 SFG光
614 SFG素子
801 ファーバーレーザ
802 コリメート光学系
803 インテグレータ光学系
804 拡散板
805 液晶パネル
806 スクリーン
807 投影レンズ
901 ファーバーレーザ
902、903 ミラー
904 レーザ光
905 スクリーン
2、2a 固体レーザファイバー
3 第1のグレーティングファイバー
4、4a 第2のグレーティングファイバー
5 レーザ光
6 第1の偏光
7 第2の偏光
8 基板
10、10a、10b、10c、10d、10e ファイバーレーザ
20 ファイバーレーザ
31 ファーストモード
32 スローモード
33 スローモード
34 ファーストモード
41、41a 第4のグレーティングファイバー
42 第3のグレーティングファイバー
61 波長変換素子
62 高調波
71、72 波長変換素子
73、74 高調波
100、100a レーザディスプレイ装置
600 固体レーザファイバー
601 基本波
602 ポンプ光源
604 SFG素子
605 SFG光
606 SHG光
607 SHG素子
608 SHG光
609 SHG素子
612 基本波
613 SFG光
614 SFG素子
801 ファーバーレーザ
802 コリメート光学系
803 インテグレータ光学系
804 拡散板
805 液晶パネル
806 スクリーン
807 投影レンズ
901 ファーバーレーザ
902、903 ミラー
904 レーザ光
905 スクリーン
以下に、本発明の実施の形態に係るファイバーレーザについて添付図面を用いて説明する。なお、図面において実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図1の(a)は、本発明の実施の形態1に係るファイバーレーザ10の構成を示す概略図である。図1の(b)は、ファイバーレーザ10の光軸方向に沿った両端の反射要素3、4で反射する光の波長とその反射スペクトルとの関係を示す概略図である。このファイバーレーザ10は、希土類がドープされた固体レーザファイバー2と、固体レーザファイバー2の光軸方向の両端に設けられた第1及び第2のグレーティングファイバー3、4とを含む。第1及び第2のグレーティングファイバー3、4は、固体レーザファイバー2について共振器構造を構成する。第1のグレーティングファイバー3では、波長λ1fの第1の偏光6と、波長λ1sの第2の偏光7とをブラッグ反射する。なお、第1の偏光6と第2の偏光7とは、図1に示すようにその偏光方向が互いに直交している。また、第2のグレーティングファイバー4では、波長λ2の光をブラッグ反射する。ここでは、λ2とλ1fとが一致するように設定している。このファイバーレーザ10では、両端の反射要素である第1及び第2のグレーティングファイバー3、4での反射波長が一致する波長λ2の単一偏光5を出力することができる。
図1の(a)は、本発明の実施の形態1に係るファイバーレーザ10の構成を示す概略図である。図1の(b)は、ファイバーレーザ10の光軸方向に沿った両端の反射要素3、4で反射する光の波長とその反射スペクトルとの関係を示す概略図である。このファイバーレーザ10は、希土類がドープされた固体レーザファイバー2と、固体レーザファイバー2の光軸方向の両端に設けられた第1及び第2のグレーティングファイバー3、4とを含む。第1及び第2のグレーティングファイバー3、4は、固体レーザファイバー2について共振器構造を構成する。第1のグレーティングファイバー3では、波長λ1fの第1の偏光6と、波長λ1sの第2の偏光7とをブラッグ反射する。なお、第1の偏光6と第2の偏光7とは、図1に示すようにその偏光方向が互いに直交している。また、第2のグレーティングファイバー4では、波長λ2の光をブラッグ反射する。ここでは、λ2とλ1fとが一致するように設定している。このファイバーレーザ10では、両端の反射要素である第1及び第2のグレーティングファイバー3、4での反射波長が一致する波長λ2の単一偏光5を出力することができる。
次に、本発明のファイバーレーザ10の動作原理について説明する。ポンプ光源1から出射された所定の波長λpのポンプ光は、第2のグレーティングファイバー4を透過して固体レーザファイバー2に入射する。固体レーザファイバー2内でポンプ光λpが吸収され、希土類イオンを励起することで、固体レーザファイバー2は励起状態となる。さらに、励起状態となった固体レーザファイバー2は、第1及び第2のグレーティングファイバー3、4により共振器構造を構成することでレーザ発振が可能となる。このとき、図1の(b)に示すように、第2のグレーティングファイバー4の反射波長λ2を第1のグレーティングファイバー3の反射波長λ1s、λ1fのいずれか一方とのみ一致するように設定する。本実施の形態1ではλ2とλ1fとが一致(λ2=λ1f)するように設定する。固体レーザファイバー2で、発生した励起光は、第2のグレーティングファイバー4で反射されたλ2の波長の光と、第1のグレーティングファイバー3でブラッグ反射される2つの偏光のうち、第1の偏光6の反射波長λ1fとが一致するため、この一対の反射要素3、4による反射によって共振条件が満足されレーザ発振する。レーザ発振状態となるのは第1のグレーティングファイバー3における第1の偏光なので、第1のグレーティングファイバー3から外部に出射されるレーザ光5は波長λ2の単一偏光の光となる。そこで、このファイバーレーザ10では、両端の反射要素である第1及び第2のグレーティングファイバー3、4での反射波長が一致する波長λ2の単一偏光5を出力することができる。
さらに、このファイバーレーザ10の各構成部材について説明する。
まず、固体レーザファイバー2は、希土類をドープされている。さらに、例えば、Yb、Er、Nd、Pr、Cr、Ti、V、Hoからなる群から少なくとも一つをドープされていてもよい。また、固体レーザファイバー2としては、ダブルクラッドファイバーが好ましい。ダブルクラッドファイバーを用いることによって高出力の励起が可能となり、高出力のレーザ発振が可能となる。また、固体レーザファイバー2の長さは、固体レーザファイバー2におけるポンプ光源1からのポンプ光の吸収係数によって決まり、およそポンプ光の80%以上、好ましくは略100%を吸収する長さに設定する。例えば、Ybドープの固体レーザファイバーを用い、915nmの波長のポンプ光を用いる場合には、約10m程度の長さとなる。
まず、固体レーザファイバー2は、希土類をドープされている。さらに、例えば、Yb、Er、Nd、Pr、Cr、Ti、V、Hoからなる群から少なくとも一つをドープされていてもよい。また、固体レーザファイバー2としては、ダブルクラッドファイバーが好ましい。ダブルクラッドファイバーを用いることによって高出力の励起が可能となり、高出力のレーザ発振が可能となる。また、固体レーザファイバー2の長さは、固体レーザファイバー2におけるポンプ光源1からのポンプ光の吸収係数によって決まり、およそポンプ光の80%以上、好ましくは略100%を吸収する長さに設定する。例えば、Ybドープの固体レーザファイバーを用い、915nmの波長のポンプ光を用いる場合には、約10m程度の長さとなる。
なお、固体レーザファイバー2としては複屈折率を有する偏波保存ファイバーを用いてもよい。複屈折率ファイバーを用いることで、出力の安定化が図れる。例えば、外乱が生じた場合、ファイバー内の偏光が変化し、レーザ光5の出力が変動する場合がある。このような外乱による出力変動を防止して出力の安定化を図るには、固体レーザファイバー2に偏波保存ファイバーを用いることが好ましい。なお、固体レーザファイバー2として偏波保存ファイバーを用いる場合、その偏光軸は、第1のグレーティングファイバー3の偏光軸と一致させる必要がある。
また、第1のグレーティングファイバー3は、複屈折率をもつ偏波保存ファイバーを用いる。この偏波保存ファイバーは、ファイバーの複屈折率により偏光軸によってそれぞれ屈折率が異なり、互いに直交する2つの偏光軸についてファーストモードとスローモードの偏光を有する。図では、第1の偏光6をファーストモード、第2の偏光7をスローモードとする。それぞれの偏光によって屈折率が異なるため伝播定数が異なり、グレーティングによるブラッグ反射の波長に差が生じる。第1の偏光のファーストモードのブラッグ反射波長をλ1fとし、第2の偏光のスローモードのブラッグ反射波長をλ1sとすると、λ1s>λ1fの関係となる。通常の偏波保存ファイバーの場合、λ1sとλ1fの差は0.4nm程度であるが、複屈折率の差を調整することでブラッグ波長の差を制御することができる。第1のグレーティングファイバー3の反射率は10%程度である。
また、第2のグレーティングファイバー4は、通常の単一モードファイバーを用いる。この単一モードファイバーは、複屈折率は有しないのでブラッグ反射波長はλ2である。第2のグレーティングファイバー4の反射率は99%以上である。なお、第2のグレーティングファイバー4もまた、ダブルクラッドファイバーが好ましい。ダブルクラッドファイバーを用いることでワイドストライプのポンプ光源1からのポンプ光を効率よく固体レーザファイバー2に導入できる。
なお、ここでは第1の反射要素として第2のグレーティングファイバー4を用いたが、グレーティングファイバーの代わりに、誘電体多層膜を利用してもよい。この誘電体多層膜は、例えば、固体レーザファイバー2の端面に多層膜ミラーを接着またはファイバー端面に直接多層膜を体積することで実現できる。誘電体多層膜を利用した反射要素として、図2に示すようにいくつかの構成が利用できる。第1の構成は、図2(a)に示すように特定波長を中心に長波長側を透過、短波長側を反射するシャープカットフィルターである。λ1s>λ1fのブラッグ反射波長の大小関係により、λ1sを透過、λ1fを反射する構成にすれば、λ1fの波長でのみ共振条件を満足し、単一偏光でのレーザ発振が可能となる。第2の構成は、図2(b)に示すように、ブラッグ反射のような狭帯域の反射特性を有する誘電体多層膜である。この場合は特定の波長のみを反射するので、λ1sまたはλ1fのいずれか一方と反射波長を一致させることで、単一偏光でのレーザ発振が可能となる。第3の構成は、図2(c)に示すように、狭帯域の透過特性を有するバンドパスフィルターである。この場合、狭帯域の透過波長をλ1sまたはλ1fのいずれかの波長と一致させることで、一致しない方の波長でのみレーザ発振が起こるので、単一偏光のレーザ発振が可能となる。
さらに、第1の反射要素として、外部の反射光学系として実現してもよい。この場合に、誘電体多層膜をバルクの光学系として用いてもよい。外部の反射光学系は、固体レーザファイバー2の端面から外部に光を取りだし、レンズによりコリメートした後、例えば、誘電体多層膜フィルターで反射させ、特定波長の反射光を固体レーザファイバー2の内部に帰還させる光学系として実現することができる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係るファイバーレーザ10aの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ10aの光学系の構成は図1の(a)のファイバーレーザ10と同一である。このファイバーレーザ10aでは、第1のグレーティングファイバー3と第2のグレーティングファイバー4とを同一の基板8上に配置していることを特徴とする。第1及び第2のグレーティングファイバー3、4を同一の基板8上に配置することによって、それぞれのグレーティングファイバー3、4を同一の温度条件にすることができる。グレーティングファイバーは温度条件によってそのブラッグ反射波長が変化するため、上記のように2つのグレーティングファイバー3、4を同一の基板8上に配置することで両端での反射波長がずれることを防ぐことができる。また、基板8は、例えば、アルミニウム、銅、銀等の熱伝導性が良好なものが好ましい。
図3は、本発明の実施の形態2に係るファイバーレーザ10aの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ10aの光学系の構成は図1の(a)のファイバーレーザ10と同一である。このファイバーレーザ10aでは、第1のグレーティングファイバー3と第2のグレーティングファイバー4とを同一の基板8上に配置していることを特徴とする。第1及び第2のグレーティングファイバー3、4を同一の基板8上に配置することによって、それぞれのグレーティングファイバー3、4を同一の温度条件にすることができる。グレーティングファイバーは温度条件によってそのブラッグ反射波長が変化するため、上記のように2つのグレーティングファイバー3、4を同一の基板8上に配置することで両端での反射波長がずれることを防ぐことができる。また、基板8は、例えば、アルミニウム、銅、銀等の熱伝導性が良好なものが好ましい。
(実施の形態3)
図4の(a)は、本発明の実施の形態3に係るファイバーレーザ10bの構成を示す概略図である。図4の(b)は、このファイバーレーザ10bの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10bでは、第2のグレーティングファイバー4aとして偏波保存ファイバーを用いている。偏波保存ファイバーは、異なる偏光で異なるブラッグ反射波長λ2fとλ2sを有する。図4(b)に示すように、第1のグレーティングファイバー3のファーストモードのブラッグ波長λ1fと第2のグレーティングファイバー4aのスローモードのブラッグ反射波長λ2sとが一致するように設定する。これによって、ブラッグ反射波長が等しい条件で共振条件が成立し、レーザ発振が起こる。その後、第1のグレーティングファイバー3から外部に第1の偏光6の波長λ1fの単一偏光のレーザ光5を出力することができる。このファイバーレーザ10bでは、両端の反射要素として偏波保存ファイバーからなるグレーティングファイバー3,4aを用い、それぞれの偏光間のブラッグ反射波長の差を利用して、異なるモードでのブラッグ反射波長を一致させることで、レーザ光の単一偏光化が可能となる。
図4の(a)は、本発明の実施の形態3に係るファイバーレーザ10bの構成を示す概略図である。図4の(b)は、このファイバーレーザ10bの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10bでは、第2のグレーティングファイバー4aとして偏波保存ファイバーを用いている。偏波保存ファイバーは、異なる偏光で異なるブラッグ反射波長λ2fとλ2sを有する。図4(b)に示すように、第1のグレーティングファイバー3のファーストモードのブラッグ波長λ1fと第2のグレーティングファイバー4aのスローモードのブラッグ反射波長λ2sとが一致するように設定する。これによって、ブラッグ反射波長が等しい条件で共振条件が成立し、レーザ発振が起こる。その後、第1のグレーティングファイバー3から外部に第1の偏光6の波長λ1fの単一偏光のレーザ光5を出力することができる。このファイバーレーザ10bでは、両端の反射要素として偏波保存ファイバーからなるグレーティングファイバー3,4aを用い、それぞれの偏光間のブラッグ反射波長の差を利用して、異なるモードでのブラッグ反射波長を一致させることで、レーザ光の単一偏光化が可能となる。
(実施の形態4)
図5の(a)は、本発明の実施の形態4に係るファイバーレーザ10cの構成を示す概略図である。図5の(b)は、このファイバーレーザ10cの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10cでは、固体レーザファイバー2aとして複屈折率を有する偏波保存ファイバーを用いている。複屈折率ファイバーを用いることで、外乱による出力変動を抑えて出力の安定化が図れる。例えば、外乱が生じるとファイバー内の偏光が変化し、レーザ光5の出力が変動する場合がある。外乱による出力変動を防止して出力安定化を図るには、固体レーザファイバー2aに偏波保存ファイバーを用いることが好ましい。
図5の(a)は、本発明の実施の形態4に係るファイバーレーザ10cの構成を示す概略図である。図5の(b)は、このファイバーレーザ10cの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10cでは、固体レーザファイバー2aとして複屈折率を有する偏波保存ファイバーを用いている。複屈折率ファイバーを用いることで、外乱による出力変動を抑えて出力の安定化が図れる。例えば、外乱が生じるとファイバー内の偏光が変化し、レーザ光5の出力が変動する場合がある。外乱による出力変動を防止して出力安定化を図るには、固体レーザファイバー2aに偏波保存ファイバーを用いることが好ましい。
なお、固体レーザファイバー2aとして偏波保存ファイバーを用いる場合、図5(a)に示すように、その偏光軸は、第1のグレーティングファイバー3の偏光軸と一致させる必要がある。さらに、第1のグレーティングファイバー3のファーストモードと第2のグレーティングファイバー4aのスローモードが固体レーザファイバー2aの同一の偏光軸と一致するように、それぞれのグレーティングファイバー3,4aを固体レーザファイバー2aに融着する必要がある。
また、第2のグレーティングファイバー4aとしては、ダブルクラッドファイバーが好ましい。ダブルクラッドファイバーを用いることでポンプ光源1との高い結合効率が実現でき、かつ、固体レーザファイバー2aに高出力のポンプ光を注入できる。
なお、偏光制御が可能な偏波保存ファイバーは、ファイバーレーザ10cの出射部に設けることが好ましい。出射部に偏波ホゾンファイバーを設けることで、出力される光が単一偏光化させることができる。
(実施の形態5)
図6の(a)は、本発明の実施の形態5に係るファイバーレーザ10dの構成を示す概略図である。図6の(b)は、このファイバーレーザ10dの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10dによれば、複数の波長についてそれぞれ単一偏光のレーザ光を発生させることができる。このような、多波長の単一偏光を同時に発生可能なファイバーレーザ10dの構成について、図6(a)を用いて説明する。このファイバーレーザ10dは、図1(a)の実施の形態1に係るファイバーレーザ10の構成に加えて、さらに光軸方向の両端に第3のグレーティングファイバー42と第4のグレーティングファイバー41とを備える点で相違する。第3のグレーティングファイバー42は、第1のグレーティングファイバー3の光軸方向の両端のうち、固体レーザファイバー2と反対側の端部に設けられている。また、第4のグレーティングファイバー41は、第2のグレーティングファイバー4の光軸方向の両端のうち、固体レーザファイバー2と反対側の端部に設けられている。この第3のグレーティングファイバー42と第4のグレーティングファイバー41とによって共振器構造を構成している。第3のグレーティングファイバー42では、波長λ3fの第1の偏光6と、波長λ3sの第2の偏光7とをブラッグ反射する。第4のグレーティングファイバー41では、波長λ4の光をブラッグ反射する。ここでは、λ4とλ3fとが一致するように設定している。このファイバーレーザ10dでは、両端の反射要素である第1及び第2のグレーティングファイバー3、4での反射波長が一致する波長λ2の第1の偏光6と、第3及び第4のグレーティングファイバー42、41での反射波長が一致する波長λ4の第1の偏光6との2つの波長についての単一偏光を出力することができる。
図6の(a)は、本発明の実施の形態5に係るファイバーレーザ10dの構成を示す概略図である。図6の(b)は、このファイバーレーザ10dの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10dによれば、複数の波長についてそれぞれ単一偏光のレーザ光を発生させることができる。このような、多波長の単一偏光を同時に発生可能なファイバーレーザ10dの構成について、図6(a)を用いて説明する。このファイバーレーザ10dは、図1(a)の実施の形態1に係るファイバーレーザ10の構成に加えて、さらに光軸方向の両端に第3のグレーティングファイバー42と第4のグレーティングファイバー41とを備える点で相違する。第3のグレーティングファイバー42は、第1のグレーティングファイバー3の光軸方向の両端のうち、固体レーザファイバー2と反対側の端部に設けられている。また、第4のグレーティングファイバー41は、第2のグレーティングファイバー4の光軸方向の両端のうち、固体レーザファイバー2と反対側の端部に設けられている。この第3のグレーティングファイバー42と第4のグレーティングファイバー41とによって共振器構造を構成している。第3のグレーティングファイバー42では、波長λ3fの第1の偏光6と、波長λ3sの第2の偏光7とをブラッグ反射する。第4のグレーティングファイバー41では、波長λ4の光をブラッグ反射する。ここでは、λ4とλ3fとが一致するように設定している。このファイバーレーザ10dでは、両端の反射要素である第1及び第2のグレーティングファイバー3、4での反射波長が一致する波長λ2の第1の偏光6と、第3及び第4のグレーティングファイバー42、41での反射波長が一致する波長λ4の第1の偏光6との2つの波長についての単一偏光を出力することができる。
次に、このファイバーレーザ10dの動作原理について説明する。
まず、第3のグレーティングファイバー42と第4のグレーティングファイバー41は、第1及び第2のグレーティングファイバー3、4とは異なるブラッグ反射波長を有している。第3のグレーティングファイバー42でブラッグ反射する2つの異なる偏光のブラッグ反射波長λ3fとλ3sとは互いに異なる波長である。一方、第4のグレーティングファイバー41でブラッグ反射する波長λ4と、第3のグレーティングファイバー42でブラッグ反射する第1の偏光6の波長λ3fとのみが一致している。このため、このファイバーレーザ10dでは、λ2、λ4の異なる波長の単一偏光を有するレーザ光を同時に出力させることができる。例えば、固体レーザファイバー2としてYbドープファイバーレーザーを用いた場合、1030〜1100nmまでの広い波長範囲で励起光を発生可能なため、同時に複数の波長でのレーザ発振を発生させることができる。また、固体レーザファイバー2として、複数の希土類をドープした場合、例えばErとYbを同時にドープした場合には、Ybによる波長1060nm近傍(1030−1100nm)の光とErによる波長1550nm近傍(1480−1600nm)の光を同時に発生することが可能となる。
まず、第3のグレーティングファイバー42と第4のグレーティングファイバー41は、第1及び第2のグレーティングファイバー3、4とは異なるブラッグ反射波長を有している。第3のグレーティングファイバー42でブラッグ反射する2つの異なる偏光のブラッグ反射波長λ3fとλ3sとは互いに異なる波長である。一方、第4のグレーティングファイバー41でブラッグ反射する波長λ4と、第3のグレーティングファイバー42でブラッグ反射する第1の偏光6の波長λ3fとのみが一致している。このため、このファイバーレーザ10dでは、λ2、λ4の異なる波長の単一偏光を有するレーザ光を同時に出力させることができる。例えば、固体レーザファイバー2としてYbドープファイバーレーザーを用いた場合、1030〜1100nmまでの広い波長範囲で励起光を発生可能なため、同時に複数の波長でのレーザ発振を発生させることができる。また、固体レーザファイバー2として、複数の希土類をドープした場合、例えばErとYbを同時にドープした場合には、Ybによる波長1060nm近傍(1030−1100nm)の光とErによる波長1550nm近傍(1480−1600nm)の光を同時に発生することが可能となる。
なお、ここでは第2の反射要素として第4のグレーティングファイバー41を用いたが、その他、誘電体多層膜を用いたフィルターも利用できる。
(実施の形態6)
図7の(a)は、本発明の実施の形態6に係るファイバーレーザ10eの構成を示す概略図である。図7の(b)は、このファイバーレーザ10eの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10eでは、第2のグレーティングファイバー4aに偏波保存ファイバーを用いると共に、第3のグレーティングファイバー41aとして偏波保存ファイバーを用いている。第3のグレーティングファイバー41aの偏波によるブラッグ反射波長の差を利用して単一偏光化が容易に行える。図7(b)に示したように、第3のグレーティングファイバー41aのファーストモードのブラッグ反射波長λ3fと第4のグレーティングファイバー42のスローモードのブラッグ反射波長λ4sとを一致させることで、一方の偏光でのみ共振条件が満足され単一偏光での発生が可能となる。
図7の(a)は、本発明の実施の形態6に係るファイバーレーザ10eの構成を示す概略図である。図7の(b)は、このファイバーレーザ10eの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10eでは、第2のグレーティングファイバー4aに偏波保存ファイバーを用いると共に、第3のグレーティングファイバー41aとして偏波保存ファイバーを用いている。第3のグレーティングファイバー41aの偏波によるブラッグ反射波長の差を利用して単一偏光化が容易に行える。図7(b)に示したように、第3のグレーティングファイバー41aのファーストモードのブラッグ反射波長λ3fと第4のグレーティングファイバー42のスローモードのブラッグ反射波長λ4sとを一致させることで、一方の偏光でのみ共振条件が満足され単一偏光での発生が可能となる。
さらに、2波長を同時にレーザ発振させる場合、2つの発振のゲインの奪い合いによるモード競合が起こり、出力が不安定になる場合がある。これを抑制するには、発振する2つの波長が異なる偏光で発振するように設計することで、モード間の結合を低減し、出力の安定化が図れる。この状態を実現するには、レーザ発振が起こるモードの偏光が互いに直交するように、固体レーザファイバー2の偏光と第1及び第4のグレーティングファイバー3、42の偏光とを一致させる構成が望ましい。すなわち、固体レーザファイバー2には偏波保存ファイバーを用いることが好ましい。さらに、固体レーザファイバー2の偏光軸と、第1及び第4のグレーティングファイバー3、42の偏光軸と、第2及び第3のグレーティングファイバー4a、41aの偏光軸とをそれぞれ一致させることが好ましい。以上の構成によって、一方の偏光とλ1f、λ2sの偏光方向とが一致し、他方の偏光とλ4sとλ3fの偏光方向とが一致するように設計することで、安定条件が満足できる。
(実施の形態7)
図8の(a)は、本発明の実施の形態7に係るファイバーレーザ20の構成を示す概略図である。図8の(b)は、このファイバーレーザ20の固体レーザファイバー2の両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ20では、実施の形態1に係るファイバーレーザ10と比較すると、入力されたレーザ光5から短波長光62を発生させる波長変換素子61をさらに備える点で相違する。このファーバーレーザ20では、簡単な構成で単一偏光発生が可能なため、波長変換素子61による高効率な波長変換が可能となる。ファイバーレーザ10の出射部に、波長変換素子61を設置し、この波長変換素子61によりファイバーレーザ10から出たレーザ光5を高調波62に変換している。
図8の(a)は、本発明の実施の形態7に係るファイバーレーザ20の構成を示す概略図である。図8の(b)は、このファイバーレーザ20の固体レーザファイバー2の両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ20では、実施の形態1に係るファイバーレーザ10と比較すると、入力されたレーザ光5から短波長光62を発生させる波長変換素子61をさらに備える点で相違する。このファーバーレーザ20では、簡単な構成で単一偏光発生が可能なため、波長変換素子61による高効率な波長変換が可能となる。ファイバーレーザ10の出射部に、波長変換素子61を設置し、この波長変換素子61によりファイバーレーザ10から出たレーザ光5を高調波62に変換している。
この波長変換素子61として、PPMgLN(周期状の分極反転構造を有するMgドープのLiNbO3)を用いている。PPMgLNは、高い非線形定数を有する高非線形材料であり、高効率変換が可能である。しかし、高効率変換のためには入力する基本波に高いビーム品質が要求される。すなわち、PPMgLNを用いた変換素子61を利用するためには、ビーム品質M2として1.2以下、波長スペクトルとして0.2nm以下、単一偏光等の特性が要求される。これらの特性を満足しながら、高出力特性を実現するために、本発明のファイバーレーザ20の構成は非常に有効である。2つのグレーティングファイバーのブラッグ反射波長の許容幅を狭くすることで、レーザ光のスペクトル幅を0.1nm以下に制御できる。また本発明のファイバーレーザの構造で単一偏光の偏光比は15dB以上となる。このため、波長変換素子61での変換効率は理論値に近い値が得られ、30%以上の変換効率が容易に得られる。
(実施の形態8)
図9の(a)は、本発明の実施の形態8に係るファイバーレーザ20aの構成を示す概略図である。図9の(b)は、このファイバーレーザ20の固体レーザファイバー2の両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ20aでは、図7(a)に示すファイバーレーザ10eの構成と、さらに、波長変換素子71、72を組み合わせている。このように、両端に設ける反射要素として第1及び第2のグレーティングファイバー3及び4aと、第3及び第4のグレーティングファイバー42、4a及び41aとの2対の反射要素を用いることにより、多波長の単一偏光の発生が可能となる。ファイバーレーザ10eから出射された2波長のレーザ光5は、波長変換素子71と波長変換素子72によりそれぞれ波長変換され高調波73、74となる。このファイバーレーザ20aでは、同時に異なる高調波を発生することができる。
図9の(a)は、本発明の実施の形態8に係るファイバーレーザ20aの構成を示す概略図である。図9の(b)は、このファイバーレーザ20の固体レーザファイバー2の両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ20aでは、図7(a)に示すファイバーレーザ10eの構成と、さらに、波長変換素子71、72を組み合わせている。このように、両端に設ける反射要素として第1及び第2のグレーティングファイバー3及び4aと、第3及び第4のグレーティングファイバー42、4a及び41aとの2対の反射要素を用いることにより、多波長の単一偏光の発生が可能となる。ファイバーレーザ10eから出射された2波長のレーザ光5は、波長変換素子71と波長変換素子72によりそれぞれ波長変換され高調波73、74となる。このファイバーレーザ20aでは、同時に異なる高調波を発生することができる。
上述のようにファイバーレーザ20aから複数の単一偏光の光が発生することができれば、応用分野が広がる。例えば、2つの波長λ1とλ2の光が出力された場合、波長変換素子により高調波に変換すると、λ1/2、λ2/2、λ1λ2/(λ1+λ2)の3つの光に分かれる。もとの基本波と合わせると5つの波長の光を出力することが可能となり、多波長光源として用とが広がる。さらに、表示光源として利用する場合に、波長の数が増えることでスペックルノイズの低減が可能となるため、スペックルノイズの少ない高画質な表示が可能となるといった利点も有する。
(実施の形態9)
図10は、本発明の実施の形態9に係るファイバーレーザ20bの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20bでは、ファイバーレーザ10dに、さらに、複数の波長変換素子と組み合わせることで、赤、青、緑のRGB光を同時発生することができる。このファイバーレーザ20bは、固体レーザファイバーとしてErとYbが同時にドープされた固体レーザファイバー2を用いる。ポンプ光源1として915〜980nm近傍の光を用いると、本発明の図6(a)または図7(a)の構成で2波長でのレーザ発振が可能となる。ここでは、波長1084nmと1554nmの光を同時に発生させた場合について説明する。SHG1を通った波長1084nmの光の一部は波長542nmの高調波に変換され緑色光を発生する。さらに、変換されなかった波長1084nmの光と波長1554nmの光の一部はSFG1により和周波(sum-frequency mixing)に変換され波長639nmの赤色を発生する。さらに、SHG2により波長1554nmの光は波長777nmの高調波に変換され、波長777nmの光と波長1084nmの光はSFG2により和周波に変換され453nmの青色光を発生する。この構成をとることで、RGBの3色を同時発生することが可能となる。
図10は、本発明の実施の形態9に係るファイバーレーザ20bの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20bでは、ファイバーレーザ10dに、さらに、複数の波長変換素子と組み合わせることで、赤、青、緑のRGB光を同時発生することができる。このファイバーレーザ20bは、固体レーザファイバーとしてErとYbが同時にドープされた固体レーザファイバー2を用いる。ポンプ光源1として915〜980nm近傍の光を用いると、本発明の図6(a)または図7(a)の構成で2波長でのレーザ発振が可能となる。ここでは、波長1084nmと1554nmの光を同時に発生させた場合について説明する。SHG1を通った波長1084nmの光の一部は波長542nmの高調波に変換され緑色光を発生する。さらに、変換されなかった波長1084nmの光と波長1554nmの光の一部はSFG1により和周波(sum-frequency mixing)に変換され波長639nmの赤色を発生する。さらに、SHG2により波長1554nmの光は波長777nmの高調波に変換され、波長777nmの光と波長1084nmの光はSFG2により和周波に変換され453nmの青色光を発生する。この構成をとることで、RGBの3色を同時発生することが可能となる。
(実施の形態10)
図11は、本発明の実施の形態10に係るファイバーレーザ20cの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20cは、実施の形態9に係るファイバーレーザと比較すると、SHG素子、SFG素子等の波長変換素子を並べ替えている点で相違するが、実施の形態9と同様にRGBの同時発生が可能となる。本実施の形態10の構成をとることで、さらに簡単な構成で単一偏光の複数の光を発生することが可能となるので、RGB光、多波長光の発生が容易に行える。
図11は、本発明の実施の形態10に係るファイバーレーザ20cの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20cは、実施の形態9に係るファイバーレーザと比較すると、SHG素子、SFG素子等の波長変換素子を並べ替えている点で相違するが、実施の形態9と同様にRGBの同時発生が可能となる。本実施の形態10の構成をとることで、さらに簡単な構成で単一偏光の複数の光を発生することが可能となるので、RGB光、多波長光の発生が容易に行える。
(実施の形態11)
図12(a)は、本発明の実施の形態11に係るファイバーレーザ20dの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20dは、SHG素子、SFG素子を一体化した構成である。図12の(a)の場合は、基本波は、単一偏光の波長1084nmの基本波601と波長1554nmの基本波612である。波長1554nmの基本波612は、SHG素子609によって波長777nmの高調波に変換される。波長777nmの光と波長1084nmの基本波601は、SFG素子604によって波長453nmの青色光605に変換される。さらに波長1084nmの基本波は、SHG素子607によって波長542nmの緑色光605に変換される。このファイバーレーザ20dでは、波長変換素子を複数のグレーティング構造によって構成することで、青色と緑色の光を同時に発生することが実現できた。図12(b)は、別例のファイバーレーザ20eの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20eでは、図12の(a)の構成に加えて、さらにSFG素子614を備え、基本波601、612の和周波(sum-frequency mixing)により642nmの赤色光613を発生しており、同時にRGB光発生が可能となる。
図12(a)は、本発明の実施の形態11に係るファイバーレーザ20dの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20dは、SHG素子、SFG素子を一体化した構成である。図12の(a)の場合は、基本波は、単一偏光の波長1084nmの基本波601と波長1554nmの基本波612である。波長1554nmの基本波612は、SHG素子609によって波長777nmの高調波に変換される。波長777nmの光と波長1084nmの基本波601は、SFG素子604によって波長453nmの青色光605に変換される。さらに波長1084nmの基本波は、SHG素子607によって波長542nmの緑色光605に変換される。このファイバーレーザ20dでは、波長変換素子を複数のグレーティング構造によって構成することで、青色と緑色の光を同時に発生することが実現できた。図12(b)は、別例のファイバーレーザ20eの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20eでは、図12の(a)の構成に加えて、さらにSFG素子614を備え、基本波601、612の和周波(sum-frequency mixing)により642nmの赤色光613を発生しており、同時にRGB光発生が可能となる。
波長変換素子は、分極反転周期を設計することで、SHG、SFG素子が実現できる、これらを一体化した構成をとることで、光源全体が小型化になる。さらに途中の光学系での損失も低減できるため、高効率化にも有効である。
また、SHGまたはSFG波長変換素子としては、周期状の分極反転構造を有する非線形光学結晶からなる波長変換素子が好ましい。分極反転構造を有する波長変換素子としては、KTiOP4、LiNbO3、LiTaO3またはMgをドープしたLiNbO3、LiTaO3または化学量論組成のLiNbO3、LiTaO3等を用いることができる。これらの結晶は高い非線形定数を有するため高効率の波長変換が可能である。また周期構造を変えることで位相整合波長を自由に設計できるという利点がある。この特徴を利用した単一の光学結晶により青色光発生が可能となる。
なお、固体レーザファイバーとしては上記以外にも、Nd、Pr、Cr、Ti、V、Hoイオンのいずれかの元素を含む構成でも実現できる。Ndドープファイバーを用いれば1060nm近傍の発光が容易になる。その他のイオンを用いた場合にも、異なる波長の光源が実現できる。
(実施の形態12)
図13は、本発明の実施の形態12に係るレーザディスプレイ装置100の構成を示す概略図である。ここでは、本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザを用いた光学装置としてのレーザディスプレイ装置100について説明する。本発明の上記ファイバーレーザによって実現できるRGBレーザを用いることによって、色再現性の高いレーザディスプレイ装置が実現できる。なお、レーザ光源としては、赤色半導体レーザは高出力のものが開発されているが、青色に関しては高出力化が実現しておらず、緑色に関しては半導体レーザの形成が難しい。そこで波長変換を利用した緑色光源および青色光源が必要となる。本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザによれば、高出力化が容易であるため、大画面のレーザディスプレイ装置が実現できる。このファイバーレーザを用いた光源として、緑、青、または緑と青を同時発生する光源が利用できる。
図13は、本発明の実施の形態12に係るレーザディスプレイ装置100の構成を示す概略図である。ここでは、本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザを用いた光学装置としてのレーザディスプレイ装置100について説明する。本発明の上記ファイバーレーザによって実現できるRGBレーザを用いることによって、色再現性の高いレーザディスプレイ装置が実現できる。なお、レーザ光源としては、赤色半導体レーザは高出力のものが開発されているが、青色に関しては高出力化が実現しておらず、緑色に関しては半導体レーザの形成が難しい。そこで波長変換を利用した緑色光源および青色光源が必要となる。本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザによれば、高出力化が容易であるため、大画面のレーザディスプレイ装置が実現できる。このファイバーレーザを用いた光源として、緑、青、または緑と青を同時発生する光源が利用できる。
このレーザディスプレイ装置100は、図13に示すように、ファイバーレーザ801を光源とし、レーザ光を2次元スイッチである液晶パネル805により画像変換して、スクリーン806上に映像を投影する。さらに詳細に説明すれば、ファイバーレーザ801から出射された光は、コリメート光学系802、インテグレータ光学系803を通って、拡散板804を通過した後、液晶パネル805により画像変換され、投影レンズ807によりスクリーン806に投影される。拡散板804は揺動機構により位置変動しており、スクリーン806上で発生するスペックルノイズを低減している。本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザは外部の温度変化に対しても安定した出力が得られるため、高出力で安定な映像が実現できる。また、高いビーム品質のため、光学系の設計を容易にし、小型化、簡素化が可能となる。
なお、2次元スイッチとしては、液晶パネル以外にも、反射型液晶スイッチ、DMDミラー等も利用できる。
(実施の形態13)
図14は、本発明の実施の形態13に係るレーザディスプレイ装置100aの構成を示す概略図である。このレーザディスプレイ装置100aでは、レーザ光はミラー902,903で走査することによりスクリーン上に2次元的な画像を描く。この場合にはレーザ光源に高速なスイッチ機能が必要である。本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザによれば、高出力化が可能であり、出力安定化に優れる。また、温度制御素子を用いないか、または簡易な温度制御によっても、安定した出力が得られる。また、ビーム品質が高いため、走査光学系の小型化、簡素化が可能である。またビーム走査光学系としてはMEMSを利用した小型走査装置も利用できる。高いビーム品質は集光特性、コリメート特性に優れ、MEMS等の小型ミラーも利用可能となる。これによって、走査型のレーザディスプレイが実現できた。
図14は、本発明の実施の形態13に係るレーザディスプレイ装置100aの構成を示す概略図である。このレーザディスプレイ装置100aでは、レーザ光はミラー902,903で走査することによりスクリーン上に2次元的な画像を描く。この場合にはレーザ光源に高速なスイッチ機能が必要である。本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザによれば、高出力化が可能であり、出力安定化に優れる。また、温度制御素子を用いないか、または簡易な温度制御によっても、安定した出力が得られる。また、ビーム品質が高いため、走査光学系の小型化、簡素化が可能である。またビーム走査光学系としてはMEMSを利用した小型走査装置も利用できる。高いビーム品質は集光特性、コリメート特性に優れ、MEMS等の小型ミラーも利用可能となる。これによって、走査型のレーザディスプレイが実現できた。
また、この実施の形態ではファイバーレーザを用いた光学装置として、レーザディスプレイについて説明したが、その他、本発明に係るファイバーレーザを光ディスク装置や、計測装置に用いても有効である。光ディスク装置では、書き込み速度の高速化によりレーザ出力の向上が求められている。さらに、レーザ光には回折限界の集光特性が求められるため、シングルモード化は必須である。本発明のファイバーレーザを用いた光源は高出力かつ、高いコヒーレンスを有するため、光ディスク装置等への応用にも有効である。
そのほか、本発明のファイバーレーザを用いた可視光源を用いれば、液晶のバックライトへの応用も可能となる。液晶のバックライト用の光源としてファイバーレーザを用いれば、高い変換効率により高効率、高輝度の液晶が実現できる。さらにレーザ光により広い色範囲が表現できるため、色再現性に優れたディスプレイが実現できる。また、本発明のファイバーレーザを用いたRGB光源を用いれば、単一の光源からRGBが同時発生できるため、構成の簡素化が実現できるといった利点もある。
また、本発明のファイバーレーザは、照明光源としても利用できる。ファイバーレーザは変換効率が高いため、電気−光の高効率変換が可能となる。また、ファイバーを用いることで、低損失で離れた場所に光を伝送することができる。光発生を特定の場所で行い、離れた場所に光を送ることで、光のセントラル発生により室内の照明が可能になる。ファイバーレーザは、ファイバーとの結合が低損失で行えるため、光の配送には有効である。
本発明のファイバーレーザは、簡単な構成で、単一偏光のレーザ光発生が可能となる。また、複数の波長の単一偏光の発生が可能となる。さらに、波長変換素子と組み合わせることで、可視光やRBG光の発生が可能となる。
またさらに、本発明のファイバーレーザを用いれば、高出力の小型RGB光源が実現できるためレーザディスプレイをはじめ、光ディスク装置等各種の光学装置への応用が可能となる。
本発明は、単一偏光のレーザ光を出力するファイバーレーザに関する。
高出力のレーザ光源として、固体レーザ媒質のコアを有するファイバーレーザが開発されている。このファイバーレーザは、光学的に活性なNd、Yb、Erと言った希土類イオンがドープされたコア部を有する固体レーザファイバーと、固体レーザファイバーの光軸方向に沿った両端に所定間隔で離間して設置された光学的反射要素とからなる。上記固体レーザファイバーに所定の波長のポンプ光(励起光)を入射すると、希土類イオンが励起され、利得媒質となり、上記反射要素によって共振器を構成することでレーザ発振が可能となる。反射要素としては、ポンプ光を透過し、利得媒質で励起される励起光を反射する特性が必要であり、ファイバー内に周期的な屈折率変化を形成し、ブラッグ反射により特定波長を反射するグレーティングファイバーを反射要素として使用する。
さらに、ファイバーレーザを単一偏光の光源として利用する方法が提案されている。特許文献1に示すように、レーザ媒質を偏波保存ファイバーとし、レーザ媒質に偏光依存性を設け、かつ一方の偏光に対する損失を大きくすることで、単一偏光のみが伝播する構成である(例えば、特許文献1参照。)。
ファイバー増幅器を用いたレーザ発振は、高効率、高出力のレーザ発振が可能である。しかし、偏光を制御し、単一偏光の光を出射するのに複雑な構成が必要となるという問題があった。
従来のファイバーレーザにおける偏光制御では、異なる2つの偏光成分のうち一方の偏光の損失を増大させ、共振器内でロスの少ないモードでのみのレーザ発振を行う構成である。従来の方法としては、背景技術で紹介したファイバー内に一方の偏光に対して損失を増大させる周期構造を形成する方法や、一方の変更のみを透過する偏光子を挿入する方法等がある。しかしながら、いずれの方法も構成が複雑になる、部品点数が増える、調整が複雑になる等の問題があり、簡素化、低コスト化に問題があった。
本発明の目的は、偏光を制御し、単一偏光化させたファイバーレーザを提供することである。さらに、ファイバーレーザを用いた光源を提供することである。また、単一偏光化されたファイバーレーザと波長変換素子により可視光を発生するファイバーレーザ光源を実現することである。
前記の課題を解決するために、本発明に係るファイバーレーザは、希土類元素をドープされた固体レーザファイバーと、
前記固体レーザファイバーの光軸方向に沿った両端のうち、一方の端部に設けられた第1のグレーティングファイバーと、
前記固体レーザファイバーの他方の端部に設けられた第1の反射要素と
を備え
前記第1及び第2の反射要素は、前記固体レーザファイバーについて共振器構造を構成し、
前記第1のグレーティングファイバーは、第1の波長を有する第1の偏光と、前記第1の波長と異なる第2の波長を有し前記第1の偏光と偏光方向が互いに直交する第2の偏光との2つの偏光のみをブラッグ反射し、
前記第1の反射要素で反射する光の少なくとも一つの反射波長と、前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する2つの偏光のうちいずれか一方の波長とが互いに一致していることを特徴とする。
前記固体レーザファイバーの光軸方向に沿った両端のうち、一方の端部に設けられた第1のグレーティングファイバーと、
前記固体レーザファイバーの他方の端部に設けられた第1の反射要素と
を備え
前記第1及び第2の反射要素は、前記固体レーザファイバーについて共振器構造を構成し、
前記第1のグレーティングファイバーは、第1の波長を有する第1の偏光と、前記第1の波長と異なる第2の波長を有し前記第1の偏光と偏光方向が互いに直交する第2の偏光との2つの偏光のみをブラッグ反射し、
前記第1の反射要素で反射する光の少なくとも一つの反射波長と、前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する2つの偏光のうちいずれか一方の波長とが互いに一致していることを特徴とする。
また、前記第1の反射要素は、誘電体多層膜であってもよい。さらに、前記第1の反射要素は、前記第1の反射要素は、前記固体レーザファイバーの他方の端部から光を外部に取り出して反射させた光を前記他方の端部から前記固体レーザファイバーの内部へ戻す反射光学系であってもよい。またさらに、前記第1の反射要素は、前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する2つの偏光のうち、いずれか一方の偏光と同じ波長の光をブラッグ反射する第2のグレーティングファイバーであってもよい。
また、前記第1の反射要素は、第3の波長を有する第3の偏光と、前記第3の波長と異なる第4の波長を有し前記第3の偏光と偏光方向が互いに直交する第4の偏光のみをブラッグ反射する第2のグレーティングファイバーであってもよい。この場合、前記第1のグレーティングファイバーと、前記第2のグレーティングファイバーとは、ブラッグ反射するそれぞれ2つの偏光のうち、一つの偏光の偏光方向及びブラッグ反射波長が互いに一致していてもよい。
さらに、前記第1及び第2のグレーティングファイバーは、それぞれ互いに直交する2つの偏光を有し、
前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第1の偏光の波長λ1と第2の偏光の波長λ2はλ1>λ2の関係を満足し、前記第2のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第3の偏光の波長λ3と第4の偏光の波長λ4はλ3>λ4の関係を満足し、前記波長がλ1=λ4またはλ2=λ3の何れかの関係を満足していてもよい。
前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第1の偏光の波長λ1と第2の偏光の波長λ2はλ1>λ2の関係を満足し、前記第2のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第3の偏光の波長λ3と第4の偏光の波長λ4はλ3>λ4の関係を満足し、前記波長がλ1=λ4またはλ2=λ3の何れかの関係を満足していてもよい。
またさらに、前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第1の偏光の第1の波長と、前記第2のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第4の偏光の第4の波長とが互いに一致していてもよい。あるいは、前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第2の偏光の第2の波長と、前記第2のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第3の偏光の第3の波長とが互いに一致していてもよい。
またさらに、前記固体レーザファイバーは、複屈折率を有し、前記第1のグレーティングファイバーの偏光方向と前記固体レーザファイバーの偏光方向とが互いに一致していてもよい。
また、前記固体レーザファイバーは、複屈折率を有するものであってもよい。この場合、前記固体レーザファイバーの2つの偏光のうち、いずれか一つの偏光と、前記第1のグレーティングファイバーの第1の偏光と、前記第2のグレーティングファイバーの第4の偏光とが、偏光方向及び波長が互いに一致していてもよい。
さらに、前記第1のグレーティングファイバーの光軸方向の両端のうち、前記固体レーザファイバーに接する端部と反対側の端部に設けられた第3のグレーティングファイバーと、前記第1の反射要素の光軸方向の両端のうち、前記固体レーザファイバーに接する端部と反対側の端部に設けられた第2の反射要素とをさらに備えてもよい。この場合、前記第1のグレーティングファイバーと前記第1の反射要素とは、前記固体レーザファイバーについて共振器構造を構成する。また、前記第3のグレーティングファイバーと前記第2の反射要素とは、前記固体レーザファイバーについて共振器構造を構成する。さらに、前記第3のグレーティングファイバーは、第5の波長を有する第5の偏光と、前記第5の波長と異なる第6の波長を有し前記第5の偏光と偏光方向が互いに直交する第6の偏光との2つの偏光のみをブラッグ反射する。またさらに、前記第2の反射要素で反射する光の少なくとも一つの反射波長と、前記第3のグレーティングファイバーでブラッグ反射する2つの偏光のうちいずれか一つの偏光の波長とが互いに一致していてもよい。
また、前記第2の反射要素は、誘電体多層膜であってもよい。
またさらに、前記第2の反射要素は、第7の波長を有する第7の偏光と、前記第7の波長と異なる第8の波長を有し前記第7の偏光と偏光方向が互いに直交する第8の偏光とのみをブラッグ反射する第4のグレーティングファイバーであってもよい。また、前記第3のグレーティングファイバーと、前記第4のグレーティングファイバーとは、ブラッグ反射するそれぞれ2つの偏光のうち、一つの偏光の偏光方向及びブラッグ反射波長が互いに一致していてもよい。
また、前記第3及び第4のグレーティングファイバーは、それぞれ互いに直交する2つの偏光を有するものであってもよい。この場合、前記第3のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第5の偏光の波長λ5と第6の偏光の波長λ6はλ5>λ6の関係を満足し、前記第4のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第7の偏光の波長λ7と第8の偏光の波長λ8はλ7>λ8の関係を満足し、前記波長がλ5=λ8またはλ6=λ7の何れかの関係を満足していてもよい。
さらに、前記第3のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第5の偏光の第5の波長と、前記第4のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第8の偏光の第8の波長とが互いに一致していてもよい。あるいは、前記第3のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第6の偏光の第6の波長と、前記第4のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第7の偏光の第7の波長とが互いに一致していてもよい。
さらに、前記固体レーザファイバーは、Yb、Er、Nd、Pr、Cr、Ti、V、Hoからなる群から少なくとも一つ含んでいてもよい。
またさらに、前記第1の反射要素で反射する光の反射波長は、1060nm近傍であってもよい。また、前記第2の反射要素で反射する光の反射波長は、1550nm近傍であってもよい。
さらに、前記ファイバーレーザからの出力を高調波に変換する波長変換素子をさらに備えてもよい。またさらに、前記ファイバーレーザからの出力を複数の異なる波長の高調波に変換する複数の波長変換素子を備えてもよい。
また、前記波長変換素子は、周期状の分極反転構造を有するMgドープLiNbO3、MgドープLiTaO3、KTiOPO4、化学量論組成のMgドープLiNbO3、化学量論組成のMgドープLiTaO3の群から選ばれる少なくとも一つを含むものであってもよい。
さらに、前記固体レーザファイバーの前記両端のいずれか一方の端部から励起光を入力するポンプ光源をさらに備えてもよい。
本発明のファイバーレーザは、グレーティングファイバーの特性を利用して、一方の偏光のみを共振状態にすることでレーザ発振の偏光を制御する方法を提案する。さらに、青色、緑色、同時発生、高出力化、および、ディスプレイ装置への応用等について提案する。
本発明によれば、ファイバーレーザを用いた簡単な構成で偏光制御を可能とし、単一偏光化を可能とする。さらに波長変換素子を用いることにより、単一偏光化された光を高効率で波長変換することで、可視光の発生を可能とする。
以下に、本発明の実施の形態に係るファイバーレーザについて添付図面を用いて説明する。なお、図面において実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図1の(a)は、本発明の実施の形態1に係るファイバーレーザ10の構成を示す概略図である。図1の(b)は、ファイバーレーザ10の光軸方向に沿った両端の反射要素3、4で反射する光の波長とその反射スペクトルとの関係を示す概略図である。このファイバーレーザ10は、希土類がドープされた固体レーザファイバー2と、固体レーザファイバー2の光軸方向の両端に設けられた第1及び第2のグレーティングファイバー3、4とを含む。第1及び第2のグレーティングファイバー3、4は、固体レーザファイバー2について共振器構造を構成する。第1のグレーティングファイバー3では、波長λ1fの第1の偏光6と、波長λ1sの第2の偏光7とをブラッグ反射する。なお、第1の偏光6と第2の偏光7とは、図1に示すようにその偏光方向が互いに直交している。また、第2のグレーティングファイバー4では、波長λ2の光をブラッグ反射する。ここでは、λ2とλ1fとが一致するように設定している。このファイバーレーザ10では、両端の反射要素である第1及び第2のグレーティングファイバー3、4での反射波長が一致する波長λ2の単一偏光5を出力することができる。
図1の(a)は、本発明の実施の形態1に係るファイバーレーザ10の構成を示す概略図である。図1の(b)は、ファイバーレーザ10の光軸方向に沿った両端の反射要素3、4で反射する光の波長とその反射スペクトルとの関係を示す概略図である。このファイバーレーザ10は、希土類がドープされた固体レーザファイバー2と、固体レーザファイバー2の光軸方向の両端に設けられた第1及び第2のグレーティングファイバー3、4とを含む。第1及び第2のグレーティングファイバー3、4は、固体レーザファイバー2について共振器構造を構成する。第1のグレーティングファイバー3では、波長λ1fの第1の偏光6と、波長λ1sの第2の偏光7とをブラッグ反射する。なお、第1の偏光6と第2の偏光7とは、図1に示すようにその偏光方向が互いに直交している。また、第2のグレーティングファイバー4では、波長λ2の光をブラッグ反射する。ここでは、λ2とλ1fとが一致するように設定している。このファイバーレーザ10では、両端の反射要素である第1及び第2のグレーティングファイバー3、4での反射波長が一致する波長λ2の単一偏光5を出力することができる。
次に、本発明のファイバーレーザ10の動作原理について説明する。ポンプ光源1から出射された所定の波長λpのポンプ光は、第2のグレーティングファイバー4を透過して固体レーザファイバー2に入射する。固体レーザファイバー2内でポンプ光λpが吸収され、希土類イオンを励起することで、固体レーザファイバー2は励起状態となる。さらに、励起状態となった固体レーザファイバー2は、第1及び第2のグレーティングファイバー3、4により共振器構造を構成することでレーザ発振が可能となる。このとき、図1の(b)に示すように、第2のグレーティングファイバー4の反射波長λ2を第1のグレーティングファイバー3の反射波長λ1s、λ1fのいずれか一方とのみ一致するように設定する。本実施の形態1ではλ2とλ1fとが一致(λ2=λ1f)するように設定する。固体レーザファイバー2で、発生した励起光は、第2のグレーティングファイバー4で反射されたλ2の波長の光と、第1のグレーティングファイバー3でブラッグ反射される2つの偏光のうち、第1の偏光6の反射波長λ1fとが一致するため、この一対の反射要素3、4による反射によって共振条件が満足されレーザ発振する。レーザ発振状態となるのは第1のグレーティングファイバー3における第1の偏光なので、第1のグレーティングファイバー3から外部に出射されるレーザ光5は波長λ2の単一偏光の光となる。そこで、このファイバーレーザ10では、両端の反射要素である第1及び第2のグレーティングファイバー3、4での反射波長が一致する波長λ2の単一偏光5を出力することができる。
さらに、このファイバーレーザ10の各構成部材について説明する。
まず、固体レーザファイバー2は、希土類をドープされている。さらに、例えば、Yb、Er、Nd、Pr、Cr、Ti、V、Hoからなる群から少なくとも一つをドープされていてもよい。また、固体レーザファイバー2としては、ダブルクラッドファイバーが好ましい。ダブルクラッドファイバーを用いることによって高出力の励起が可能となり、高出力のレーザ発振が可能となる。また、固体レーザファイバー2の長さは、固体レーザファイバー2におけるポンプ光源1からのポンプ光の吸収係数によって決まり、およそポンプ光の80%以上、好ましくは略100%を吸収する長さに設定する。例えば、Ybドープの固体レーザファイバーを用い、915nmの波長のポンプ光を用いる場合には、約10m程度の長さとなる。
まず、固体レーザファイバー2は、希土類をドープされている。さらに、例えば、Yb、Er、Nd、Pr、Cr、Ti、V、Hoからなる群から少なくとも一つをドープされていてもよい。また、固体レーザファイバー2としては、ダブルクラッドファイバーが好ましい。ダブルクラッドファイバーを用いることによって高出力の励起が可能となり、高出力のレーザ発振が可能となる。また、固体レーザファイバー2の長さは、固体レーザファイバー2におけるポンプ光源1からのポンプ光の吸収係数によって決まり、およそポンプ光の80%以上、好ましくは略100%を吸収する長さに設定する。例えば、Ybドープの固体レーザファイバーを用い、915nmの波長のポンプ光を用いる場合には、約10m程度の長さとなる。
なお、固体レーザファイバー2としては複屈折率を有する偏波保存ファイバーを用いてもよい。複屈折率ファイバーを用いることで、出力の安定化が図れる。例えば、外乱が生じた場合、ファイバー内の偏光が変化し、レーザ光5の出力が変動する場合がある。このような外乱による出力変動を防止して出力の安定化を図るには、固体レーザファイバー2に偏波保存ファイバーを用いることが好ましい。なお、固体レーザファイバー2として偏波保存ファイバーを用いる場合、その偏光軸は、第1のグレーティングファイバー3の偏光軸と一致させる必要がある。
また、第1のグレーティングファイバー3は、複屈折率をもつ偏波保存ファイバーを用いる。この偏波保存ファイバーは、ファイバーの複屈折率により偏光軸によってそれぞれ屈折率が異なり、互いに直交する2つの偏光軸についてファーストモードとスローモードの偏光を有する。図では、第1の偏光6をファーストモード、第2の偏光7をスローモードとする。それぞれの偏光によって屈折率が異なるため伝播定数が異なり、グレーティングによるブラッグ反射の波長に差が生じる。第1の偏光のファーストモードのブラッグ反射波長をλ1fとし、第2の偏光のスローモードのブラッグ反射波長をλ1sとすると、λ1s>λ1fの関係となる。通常の偏波保存ファイバーの場合、λ1sとλ1fの差は0.4nm程度であるが、複屈折率の差を調整することでブラッグ波長の差を制御することができる。第1のグレーティングファイバー3の反射率は10%程度である。
また、第2のグレーティングファイバー4は、通常の単一モードファイバーを用いる。この単一モードファイバーは、複屈折率は有しないのでブラッグ反射波長はλ2である。第2のグレーティングファイバー4の反射率は99%以上である。なお、第2のグレーティングファイバー4もまた、ダブルクラッドファイバーが好ましい。ダブルクラッドファイバーを用いることでワイドストライプのポンプ光源1からのポンプ光を効率よく固体レーザファイバー2に導入できる。
なお、ここでは第1の反射要素として第2のグレーティングファイバー4を用いたが、グレーティングファイバーの代わりに、誘電体多層膜を利用してもよい。この誘電体多層膜は、例えば、固体レーザファイバー2の端面に多層膜ミラーを接着またはファイバー端面に直接多層膜を体積することで実現できる。誘電体多層膜を利用した反射要素として、図2に示すようにいくつかの構成が利用できる。第1の構成は、図2(a)に示すように特定波長を中心に長波長側を透過、短波長側を反射するシャープカットフィルターである。λ1s>λ1fのブラッグ反射波長の大小関係により、λ1sを透過、λ1fを反射する構成にすれば、λ1fの波長でのみ共振条件を満足し、単一偏光でのレーザ発振が可能となる。第2の構成は、図2(b)に示すように、ブラッグ反射のような狭帯域の反射特性を有する誘電体多層膜である。この場合は特定の波長のみを反射するので、λ1sまたはλ1fのいずれか一方と反射波長を一致させることで、単一偏光でのレーザ発振が可能となる。第3の構成は、図2(c)に示すように、狭帯域の透過特性を有するバンドパスフィルターである。この場合、狭帯域の透過波長をλ1sまたはλ1fのいずれかの波長と一致させることで、一致しない方の波長でのみレーザ発振が起こるので、単一偏光のレーザ発振が可能となる。
さらに、第1の反射要素として、外部の反射光学系として実現してもよい。この場合に、誘電体多層膜をバルクの光学系として用いてもよい。外部の反射光学系は、固体レーザファイバー2の端面から外部に光を取りだし、レンズによりコリメートした後、例えば、誘電体多層膜フィルターで反射させ、特定波長の反射光を固体レーザファイバー2の内部に帰還させる光学系として実現することができる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係るファイバーレーザ10aの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ10aの光学系の構成は図1の(a)のファイバーレーザ10と同一である。このファイバーレーザ10aでは、第1のグレーティングファイバー3と第2のグレーティングファイバー4とを同一の基板8上に配置していることを特徴とする。第1及び第2のグレーティングファイバー3、4を同一の基板8上に配置することによって、それぞれのグレーティングファイバー3、4を同一の温度条件にすることができる。グレーティングファイバーは温度条件によってそのブラッグ反射波長が変化するため、上記のように2つのグレーティングファイバー3、4を同一の基板8上に配置することで両端での反射波長がずれることを防ぐことができる。また、基板8は、例えば、アルミニウム、銅、銀等の熱伝導性が良好なものが好ましい。
図3は、本発明の実施の形態2に係るファイバーレーザ10aの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ10aの光学系の構成は図1の(a)のファイバーレーザ10と同一である。このファイバーレーザ10aでは、第1のグレーティングファイバー3と第2のグレーティングファイバー4とを同一の基板8上に配置していることを特徴とする。第1及び第2のグレーティングファイバー3、4を同一の基板8上に配置することによって、それぞれのグレーティングファイバー3、4を同一の温度条件にすることができる。グレーティングファイバーは温度条件によってそのブラッグ反射波長が変化するため、上記のように2つのグレーティングファイバー3、4を同一の基板8上に配置することで両端での反射波長がずれることを防ぐことができる。また、基板8は、例えば、アルミニウム、銅、銀等の熱伝導性が良好なものが好ましい。
(実施の形態3)
図4の(a)は、本発明の実施の形態3に係るファイバーレーザ10bの構成を示す概略図である。図4の(b)は、このファイバーレーザ10bの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10bでは、第2のグレーティングファイバー4aとして偏波保存ファイバーを用いている。偏波保存ファイバーは、異なる偏光で異なるブラッグ反射波長λ2fとλ2sを有する。図4(b)に示すように、第1のグレーティングファイバー3のファーストモードのブラッグ波長λ1fと第2のグレーティングファイバー4aのスローモードのブラッグ反射波長λ2sとが一致するように設定する。これによって、ブラッグ反射波長が等しい条件で共振条件が成立し、レーザ発振が起こる。その後、第1のグレーティングファイバー3から外部に第1の偏光6の波長λ1fの単一偏光のレーザ光5を出力することができる。このファイバーレーザ10bでは、両端の反射要素として偏波保存ファイバーからなるグレーティングファイバー3,4aを用い、それぞれの偏光間のブラッグ反射波長の差を利用して、異なるモードでのブラッグ反射波長を一致させることで、レーザ光の単一偏光化が可能となる。
図4の(a)は、本発明の実施の形態3に係るファイバーレーザ10bの構成を示す概略図である。図4の(b)は、このファイバーレーザ10bの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10bでは、第2のグレーティングファイバー4aとして偏波保存ファイバーを用いている。偏波保存ファイバーは、異なる偏光で異なるブラッグ反射波長λ2fとλ2sを有する。図4(b)に示すように、第1のグレーティングファイバー3のファーストモードのブラッグ波長λ1fと第2のグレーティングファイバー4aのスローモードのブラッグ反射波長λ2sとが一致するように設定する。これによって、ブラッグ反射波長が等しい条件で共振条件が成立し、レーザ発振が起こる。その後、第1のグレーティングファイバー3から外部に第1の偏光6の波長λ1fの単一偏光のレーザ光5を出力することができる。このファイバーレーザ10bでは、両端の反射要素として偏波保存ファイバーからなるグレーティングファイバー3,4aを用い、それぞれの偏光間のブラッグ反射波長の差を利用して、異なるモードでのブラッグ反射波長を一致させることで、レーザ光の単一偏光化が可能となる。
(実施の形態4)
図5の(a)は、本発明の実施の形態4に係るファイバーレーザ10cの構成を示す概略図である。図5の(b)は、このファイバーレーザ10cの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10cでは、固体レーザファイバー2aとして複屈折率を有する偏波保存ファイバーを用いている。複屈折率ファイバーを用いることで、外乱による出力変動を抑えて出力の安定化が図れる。例えば、外乱が生じるとファイバー内の偏光が変化し、レーザ光5の出力が変動する場合がある。外乱による出力変動を防止して出力安定化を図るには、固体レーザファイバー2aに偏波保存ファイバーを用いることが好ましい。
図5の(a)は、本発明の実施の形態4に係るファイバーレーザ10cの構成を示す概略図である。図5の(b)は、このファイバーレーザ10cの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10cでは、固体レーザファイバー2aとして複屈折率を有する偏波保存ファイバーを用いている。複屈折率ファイバーを用いることで、外乱による出力変動を抑えて出力の安定化が図れる。例えば、外乱が生じるとファイバー内の偏光が変化し、レーザ光5の出力が変動する場合がある。外乱による出力変動を防止して出力安定化を図るには、固体レーザファイバー2aに偏波保存ファイバーを用いることが好ましい。
なお、固体レーザファイバー2aとして偏波保存ファイバーを用いる場合、図5(a)に示すように、その偏光軸は、第1のグレーティングファイバー3の偏光軸と一致させる必要がある。さらに、第1のグレーティングファイバー3のファーストモードと第2のグレーティングファイバー4aのスローモードが固体レーザファイバー2aの同一の偏光軸と一致するように、それぞれのグレーティングファイバー3,4aを固体レーザファイバー2aに融着する必要がある。
また、第2のグレーティングファイバー4aとしては、ダブルクラッドファイバーが好ましい。ダブルクラッドファイバーを用いることでポンプ光源1との高い結合効率が実現でき、かつ、固体レーザファイバー2aに高出力のポンプ光を注入できる。
なお、偏光制御が可能な偏波保存ファイバーは、ファイバーレーザ10cの出射部に設けることが好ましい。出射部に偏波ホゾンファイバーを設けることで、出力される光が単一偏光化させることができる。
(実施の形態5)
図6の(a)は、本発明の実施の形態5に係るファイバーレーザ10dの構成を示す概略図である。図6の(b)は、このファイバーレーザ10dの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10dによれば、複数の波長についてそれぞれ単一偏光のレーザ光を発生させることができる。このような、多波長の単一偏光を同時に発生可能なファイバーレーザ10dの構成について、図6(a)を用いて説明する。このファイバーレーザ10dは、図1(a)の実施の形態1に係るファイバーレーザ10の構成に加えて、さらに光軸方向の両端に第3のグレーティングファイバー42と第4のグレーティングファイバー41とを備える点で相違する。第3のグレーティングファイバー42は、第1のグレーティングファイバー3の光軸方向の両端のうち、固体レーザファイバー2と反対側の端部に設けられている。また、第4のグレーティングファイバー41は、第2のグレーティングファイバー4の光軸方向の両端のうち、固体レーザファイバー2と反対側の端部に設けられている。この第3のグレーティングファイバー42と第4のグレーティングファイバー41とによって共振器構造を構成している。第3のグレーティングファイバー42では、波長λ3fの第1の偏光6と、波長λ3sの第2の偏光7とをブラッグ反射する。第4のグレーティングファイバー41では、波長λ4の光をブラッグ反射する。ここでは、λ4とλ3fとが一致するように設定している。このファイバーレーザ10dでは、両端の反射要素である第1及び第2のグレーティングファイバー3、4での反射波長が一致する波長λ2の第1の偏光6と、第3及び第4のグレーティングファイバー42、41での反射波長が一致する波長λ4の第1の偏光6との2つの波長についての単一偏光を出力することができる。
図6の(a)は、本発明の実施の形態5に係るファイバーレーザ10dの構成を示す概略図である。図6の(b)は、このファイバーレーザ10dの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10dによれば、複数の波長についてそれぞれ単一偏光のレーザ光を発生させることができる。このような、多波長の単一偏光を同時に発生可能なファイバーレーザ10dの構成について、図6(a)を用いて説明する。このファイバーレーザ10dは、図1(a)の実施の形態1に係るファイバーレーザ10の構成に加えて、さらに光軸方向の両端に第3のグレーティングファイバー42と第4のグレーティングファイバー41とを備える点で相違する。第3のグレーティングファイバー42は、第1のグレーティングファイバー3の光軸方向の両端のうち、固体レーザファイバー2と反対側の端部に設けられている。また、第4のグレーティングファイバー41は、第2のグレーティングファイバー4の光軸方向の両端のうち、固体レーザファイバー2と反対側の端部に設けられている。この第3のグレーティングファイバー42と第4のグレーティングファイバー41とによって共振器構造を構成している。第3のグレーティングファイバー42では、波長λ3fの第1の偏光6と、波長λ3sの第2の偏光7とをブラッグ反射する。第4のグレーティングファイバー41では、波長λ4の光をブラッグ反射する。ここでは、λ4とλ3fとが一致するように設定している。このファイバーレーザ10dでは、両端の反射要素である第1及び第2のグレーティングファイバー3、4での反射波長が一致する波長λ2の第1の偏光6と、第3及び第4のグレーティングファイバー42、41での反射波長が一致する波長λ4の第1の偏光6との2つの波長についての単一偏光を出力することができる。
次に、このファイバーレーザ10dの動作原理について説明する。
まず、第3のグレーティングファイバー42と第4のグレーティングファイバー41は、第1及び第2のグレーティングファイバー3、4とは異なるブラッグ反射波長を有している。第3のグレーティングファイバー42でブラッグ反射する2つの異なる偏光のブラッグ反射波長λ3fとλ3sとは互いに異なる波長である。一方、第4のグレーティングファイバー41でブラッグ反射する波長λ4と、第3のグレーティングファイバー42でブラッグ反射する第1の偏光6の波長λ3fとのみが一致している。このため、このファイバーレーザ10dでは、λ2、λ4の異なる波長の単一偏光を有するレーザ光を同時に出力させることができる。例えば、固体レーザファイバー2としてYbドープファイバーレーザーを用いた場合、1030〜1100nmまでの広い波長範囲で励起光を発生可能なため、同時に複数の波長でのレーザ発振を発生させることができる。また、固体レーザファイバー2として、複数の希土類をドープした場合、例えばErとYbを同時にドープした場合には、Ybによる波長1060nm近傍(1030−1100nm)の光とErによる波長1550nm近傍(1480−1600nm)の光を同時に発生することが可能となる。
まず、第3のグレーティングファイバー42と第4のグレーティングファイバー41は、第1及び第2のグレーティングファイバー3、4とは異なるブラッグ反射波長を有している。第3のグレーティングファイバー42でブラッグ反射する2つの異なる偏光のブラッグ反射波長λ3fとλ3sとは互いに異なる波長である。一方、第4のグレーティングファイバー41でブラッグ反射する波長λ4と、第3のグレーティングファイバー42でブラッグ反射する第1の偏光6の波長λ3fとのみが一致している。このため、このファイバーレーザ10dでは、λ2、λ4の異なる波長の単一偏光を有するレーザ光を同時に出力させることができる。例えば、固体レーザファイバー2としてYbドープファイバーレーザーを用いた場合、1030〜1100nmまでの広い波長範囲で励起光を発生可能なため、同時に複数の波長でのレーザ発振を発生させることができる。また、固体レーザファイバー2として、複数の希土類をドープした場合、例えばErとYbを同時にドープした場合には、Ybによる波長1060nm近傍(1030−1100nm)の光とErによる波長1550nm近傍(1480−1600nm)の光を同時に発生することが可能となる。
なお、ここでは第2の反射要素として第4のグレーティングファイバー41を用いたが、その他、誘電体多層膜を用いたフィルターも利用できる。
(実施の形態6)
図7の(a)は、本発明の実施の形態6に係るファイバーレーザ10eの構成を示す概略図である。図7の(b)は、このファイバーレーザ10eの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10eでは、第2のグレーティングファイバー4aに偏波保存ファイバーを用いると共に、第3のグレーティングファイバー41aとして偏波保存ファイバーを用いている。第3のグレーティングファイバー41aの偏波によるブラッグ反射波長の差を利用して単一偏光化が容易に行える。図7(b)に示したように、第3のグレーティングファイバー41aのファーストモードのブラッグ反射波長λ3fと第4のグレーティングファイバー42のスローモードのブラッグ反射波長λ4sとを一致させることで、一方の偏光でのみ共振条件が満足され単一偏光での発生が可能となる。
図7の(a)は、本発明の実施の形態6に係るファイバーレーザ10eの構成を示す概略図である。図7の(b)は、このファイバーレーザ10eの両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ10eでは、第2のグレーティングファイバー4aに偏波保存ファイバーを用いると共に、第3のグレーティングファイバー41aとして偏波保存ファイバーを用いている。第3のグレーティングファイバー41aの偏波によるブラッグ反射波長の差を利用して単一偏光化が容易に行える。図7(b)に示したように、第3のグレーティングファイバー41aのファーストモードのブラッグ反射波長λ3fと第4のグレーティングファイバー42のスローモードのブラッグ反射波長λ4sとを一致させることで、一方の偏光でのみ共振条件が満足され単一偏光での発生が可能となる。
さらに、2波長を同時にレーザ発振させる場合、2つの発振のゲインの奪い合いによるモード競合が起こり、出力が不安定になる場合がある。これを抑制するには、発振する2つの波長が異なる偏光で発振するように設計することで、モード間の結合を低減し、出力の安定化が図れる。この状態を実現するには、レーザ発振が起こるモードの偏光が互いに直交するように、固体レーザファイバー2の偏光と第1及び第4のグレーティングファイバー3、42の偏光とを一致させる構成が望ましい。すなわち、固体レーザファイバー2には偏波保存ファイバーを用いることが好ましい。さらに、固体レーザファイバー2の偏光軸と、第1及び第4のグレーティングファイバー3、42の偏光軸と、第2及び第3のグレーティングファイバー4a、41aの偏光軸とをそれぞれ一致させることが好ましい。以上の構成によって、一方の偏光とλ1f、λ2sの偏光方向とが一致し、他方の偏光とλ4sとλ3fの偏光方向とが一致するように設計することで、安定条件が満足できる。
(実施の形態7)
図8の(a)は、本発明の実施の形態7に係るファイバーレーザ20の構成を示す概略図である。図8の(b)は、このファイバーレーザ20の固体レーザファイバー2の両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ20では、実施の形態1に係るファイバーレーザ10と比較すると、入力されたレーザ光5から短波長光62を発生させる波長変換素子61をさらに備える点で相違する。このファーバーレーザ20では、簡単な構成で単一偏光発生が可能なため、波長変換素子61による高効率な波長変換が可能となる。ファイバーレーザ10の出射部に、波長変換素子61を設置し、この波長変換素子61によりファイバーレーザ10から出たレーザ光5を高調波62に変換している。
図8の(a)は、本発明の実施の形態7に係るファイバーレーザ20の構成を示す概略図である。図8の(b)は、このファイバーレーザ20の固体レーザファイバー2の両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ20では、実施の形態1に係るファイバーレーザ10と比較すると、入力されたレーザ光5から短波長光62を発生させる波長変換素子61をさらに備える点で相違する。このファーバーレーザ20では、簡単な構成で単一偏光発生が可能なため、波長変換素子61による高効率な波長変換が可能となる。ファイバーレーザ10の出射部に、波長変換素子61を設置し、この波長変換素子61によりファイバーレーザ10から出たレーザ光5を高調波62に変換している。
この波長変換素子61として、PPMgLN(周期状の分極反転構造を有するMgドープのLiNbO3)を用いている。PPMgLNは、高い非線形定数を有する高非線形材料であり、高効率変換が可能である。しかし、高効率変換のためには入力する基本波に高いビーム品質が要求される。すなわち、PPMgLNを用いた変換素子61を利用するためには、ビーム品質M2として1.2以下、波長スペクトルとして0.2nm以下、単一偏光等の特性が要求される。これらの特性を満足しながら、高出力特性を実現するために、本発明のファイバーレーザ20の構成は非常に有効である。2つのグレーティングファイバーのブラッグ反射波長の許容幅を狭くすることで、レーザ光のスペクトル幅を0.1nm以下に制御できる。また本発明のファイバーレーザの構造で単一偏光の偏光比は15dB以上となる。このため、波長変換素子61での変換効率は理論値に近い値が得られ、30%以上の変換効率が容易に得られる。
(実施の形態8)
図9の(a)は、本発明の実施の形態8に係るファイバーレーザ20aの構成を示す概略図である。図9の(b)は、このファイバーレーザ20の固体レーザファイバー2の両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ20aでは、図7(a)に示すファイバーレーザ10eの構成と、さらに、波長変換素子71、72を組み合わせている。このように、両端に設ける反射要素として第1及び第2のグレーティングファイバー3及び4aと、第3及び第4のグレーティングファイバー42、4a及び41aとの2対の反射要素を用いることにより、多波長の単一偏光の発生が可能となる。ファイバーレーザ10eから出射された2波長のレーザ光5は、波長変換素子71と波長変換素子72によりそれぞれ波長変換され高調波73、74となる。このファイバーレーザ20aでは、同時に異なる高調波を発生することができる。
図9の(a)は、本発明の実施の形態8に係るファイバーレーザ20aの構成を示す概略図である。図9の(b)は、このファイバーレーザ20の固体レーザファイバー2の両端の反射要素による反射スペクトル特性を示す概略図である。このファイバーレーザ20aでは、図7(a)に示すファイバーレーザ10eの構成と、さらに、波長変換素子71、72を組み合わせている。このように、両端に設ける反射要素として第1及び第2のグレーティングファイバー3及び4aと、第3及び第4のグレーティングファイバー42、4a及び41aとの2対の反射要素を用いることにより、多波長の単一偏光の発生が可能となる。ファイバーレーザ10eから出射された2波長のレーザ光5は、波長変換素子71と波長変換素子72によりそれぞれ波長変換され高調波73、74となる。このファイバーレーザ20aでは、同時に異なる高調波を発生することができる。
上述のようにファイバーレーザ20aから複数の単一偏光の光が発生することができれば、応用分野が広がる。例えば、2つの波長λ1とλ2の光が出力された場合、波長変換素子により高調波に変換すると、λ1/2、λ2/2、λ1λ2/(λ1+λ2)の3つの光に分かれる。もとの基本波と合わせると5つの波長の光を出力することが可能となり、多波長光源として用とが広がる。さらに、表示光源として利用する場合に、波長の数が増えることでスペックルノイズの低減が可能となるため、スペックルノイズの少ない高画質な表示が可能となるといった利点も有する。
(実施の形態9)
図10は、本発明の実施の形態9に係るファイバーレーザ20bの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20bでは、ファイバーレーザ10dに、さらに、複数の波長変換素子と組み合わせることで、赤、青、緑のRGB光を同時発生することができる。このファイバーレーザ20bは、固体レーザファイバーとしてErとYbが同時にドープされた固体レーザファイバー2を用いる。ポンプ光源1として915〜980nm近傍の光を用いると、本発明の図6(a)または図7(a)の構成で2波長でのレーザ発振が可能となる。ここでは、波長1084nmと1554nmの光を同時に発生させた場合について説明する。SHG1を通った波長1084nmの光の一部は波長542nmの高調波に変換され緑色光を発生する。さらに、変換されなかった波長1084nmの光と波長1554nmの光の一部はSFG1により和周波(sum-frequency mixing)に変換され波長639nmの赤色を発生する。さらに、SHG2により波長1554nmの光は波長777nmの高調波に変換され、波長777nmの光と波長1084nmの光はSFG2により和周波に変換され453nmの青色光を発生する。この構成をとることで、RGBの3色を同時発生することが可能となる。
図10は、本発明の実施の形態9に係るファイバーレーザ20bの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20bでは、ファイバーレーザ10dに、さらに、複数の波長変換素子と組み合わせることで、赤、青、緑のRGB光を同時発生することができる。このファイバーレーザ20bは、固体レーザファイバーとしてErとYbが同時にドープされた固体レーザファイバー2を用いる。ポンプ光源1として915〜980nm近傍の光を用いると、本発明の図6(a)または図7(a)の構成で2波長でのレーザ発振が可能となる。ここでは、波長1084nmと1554nmの光を同時に発生させた場合について説明する。SHG1を通った波長1084nmの光の一部は波長542nmの高調波に変換され緑色光を発生する。さらに、変換されなかった波長1084nmの光と波長1554nmの光の一部はSFG1により和周波(sum-frequency mixing)に変換され波長639nmの赤色を発生する。さらに、SHG2により波長1554nmの光は波長777nmの高調波に変換され、波長777nmの光と波長1084nmの光はSFG2により和周波に変換され453nmの青色光を発生する。この構成をとることで、RGBの3色を同時発生することが可能となる。
(実施の形態10)
図11は、本発明の実施の形態10に係るファイバーレーザ20cの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20cは、実施の形態9に係るファイバーレーザと比較すると、SHG素子、SFG素子等の波長変換素子を並べ替えている点で相違するが、実施の形態9と同様にRGBの同時発生が可能となる。本実施の形態10の構成をとることで、さらに簡単な構成で単一偏光の複数の光を発生することが可能となるので、RGB光、多波長光の発生が容易に行える。
図11は、本発明の実施の形態10に係るファイバーレーザ20cの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20cは、実施の形態9に係るファイバーレーザと比較すると、SHG素子、SFG素子等の波長変換素子を並べ替えている点で相違するが、実施の形態9と同様にRGBの同時発生が可能となる。本実施の形態10の構成をとることで、さらに簡単な構成で単一偏光の複数の光を発生することが可能となるので、RGB光、多波長光の発生が容易に行える。
(実施の形態11)
図12(a)は、本発明の実施の形態11に係るファイバーレーザ20dの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20dは、SHG素子、SFG素子を一体化した構成である。図12の(a)の場合は、基本波は、単一偏光の波長1084nmの基本波601と波長1554nmの基本波612である。波長1554nmの基本波612は、SHG素子609によって波長777nmの高調波に変換される。波長777nmの光と波長1084nmの基本波601は、SFG素子604によって波長453nmの青色光605に変換される。さらに波長1084nmの基本波は、SHG素子607によって波長542nmの緑色光605に変換される。このファイバーレーザ20dでは、波長変換素子を複数のグレーティング構造によって構成することで、青色と緑色の光を同時に発生することが実現できた。図12(b)は、別例のファイバーレーザ20eの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20eでは、図12の(a)の構成に加えて、さらにSFG素子614を備え、基本波601、612の和周波(sum-frequency mixing)により642nmの赤色光613を発生しており、同時にRGB光発生が可能となる。
図12(a)は、本発明の実施の形態11に係るファイバーレーザ20dの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20dは、SHG素子、SFG素子を一体化した構成である。図12の(a)の場合は、基本波は、単一偏光の波長1084nmの基本波601と波長1554nmの基本波612である。波長1554nmの基本波612は、SHG素子609によって波長777nmの高調波に変換される。波長777nmの光と波長1084nmの基本波601は、SFG素子604によって波長453nmの青色光605に変換される。さらに波長1084nmの基本波は、SHG素子607によって波長542nmの緑色光605に変換される。このファイバーレーザ20dでは、波長変換素子を複数のグレーティング構造によって構成することで、青色と緑色の光を同時に発生することが実現できた。図12(b)は、別例のファイバーレーザ20eの構成を示す概略図である。このファイバーレーザ20eでは、図12の(a)の構成に加えて、さらにSFG素子614を備え、基本波601、612の和周波(sum-frequency mixing)により642nmの赤色光613を発生しており、同時にRGB光発生が可能となる。
波長変換素子は、分極反転周期を設計することで、SHG、SFG素子が実現できる、これらを一体化した構成をとることで、光源全体が小型化になる。さらに途中の光学系での損失も低減できるため、高効率化にも有効である。
また、SHGまたはSFG波長変換素子としては、周期状の分極反転構造を有する非線形光学結晶からなる波長変換素子が好ましい。分極反転構造を有する波長変換素子としては、KTiOP4、LiNbO3、LiTaO3またはMgをドープしたLiNbO3、LiTaO3または化学量論組成のLiNbO3、LiTaO3等を用いることができる。これらの結晶は高い非線形定数を有するため高効率の波長変換が可能である。また周期構造を変えることで位相整合波長を自由に設計できるという利点がある。この特徴を利用した単一の光学結晶により青色光発生が可能となる。
なお、固体レーザファイバーとしては上記以外にも、Nd、Pr、Cr、Ti、V、Hoイオンのいずれかの元素を含む構成でも実現できる。Ndドープファイバーを用いれば1060nm近傍の発光が容易になる。その他のイオンを用いた場合にも、異なる波長の光源が実現できる。
(実施の形態12)
図13は、本発明の実施の形態12に係るレーザディスプレイ装置100の構成を示す概略図である。ここでは、本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザを用いた光学装置としてのレーザディスプレイ装置100について説明する。本発明の上記ファイバーレーザによって実現できるRGBレーザを用いることによって、色再現性の高いレーザディスプレイ装置が実現できる。なお、レーザ光源としては、赤色半導体レーザは高出力のものが開発されているが、青色に関しては高出力化が実現しておらず、緑色に関しては半導体レーザの形成が難しい。そこで波長変換を利用した緑色光源および青色光源が必要となる。本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザによれば、高出力化が容易であるため、大画面のレーザディスプレイ装置が実現できる。このファイバーレーザを用いた光源として、緑、青、または緑と青を同時発生する光源が利用できる。
図13は、本発明の実施の形態12に係るレーザディスプレイ装置100の構成を示す概略図である。ここでは、本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザを用いた光学装置としてのレーザディスプレイ装置100について説明する。本発明の上記ファイバーレーザによって実現できるRGBレーザを用いることによって、色再現性の高いレーザディスプレイ装置が実現できる。なお、レーザ光源としては、赤色半導体レーザは高出力のものが開発されているが、青色に関しては高出力化が実現しておらず、緑色に関しては半導体レーザの形成が難しい。そこで波長変換を利用した緑色光源および青色光源が必要となる。本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザによれば、高出力化が容易であるため、大画面のレーザディスプレイ装置が実現できる。このファイバーレーザを用いた光源として、緑、青、または緑と青を同時発生する光源が利用できる。
このレーザディスプレイ装置100は、図13に示すように、ファイバーレーザ801を光源とし、レーザ光を2次元スイッチである液晶パネル805により画像変換して、スクリーン806上に映像を投影する。さらに詳細に説明すれば、ファイバーレーザ801から出射された光は、コリメート光学系802、インテグレータ光学系803を通って、拡散板804を通過した後、液晶パネル805により画像変換され、投影レンズ807によりスクリーン806に投影される。拡散板804は揺動機構により位置変動しており、スクリーン806上で発生するスペックルノイズを低減している。本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザは外部の温度変化に対しても安定した出力が得られるため、高出力で安定な映像が実現できる。また、高いビーム品質のため、光学系の設計を容易にし、小型化、簡素化が可能となる。
なお、2次元スイッチとしては、液晶パネル以外にも、反射型液晶スイッチ、DMDミラー等も利用できる。
(実施の形態13)
図14は、本発明の実施の形態13に係るレーザディスプレイ装置100aの構成を示す概略図である。このレーザディスプレイ装置100aでは、レーザ光はミラー902,903で走査することによりスクリーン上に2次元的な画像を描く。この場合にはレーザ光源に高速なスイッチ機能が必要である。本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザによれば、高出力化が可能であり、出力安定化に優れる。また、温度制御素子を用いないか、または簡易な温度制御によっても、安定した出力が得られる。また、ビーム品質が高いため、走査光学系の小型化、簡素化が可能である。またビーム走査光学系としてはMEMSを利用した小型走査装置も利用できる。高いビーム品質は集光特性、コリメート特性に優れ、MEMS等の小型ミラーも利用可能となる。これによって、走査型のレーザディスプレイが実現できた。
図14は、本発明の実施の形態13に係るレーザディスプレイ装置100aの構成を示す概略図である。このレーザディスプレイ装置100aでは、レーザ光はミラー902,903で走査することによりスクリーン上に2次元的な画像を描く。この場合にはレーザ光源に高速なスイッチ機能が必要である。本発明のコヒーレント光源であるファイバーレーザによれば、高出力化が可能であり、出力安定化に優れる。また、温度制御素子を用いないか、または簡易な温度制御によっても、安定した出力が得られる。また、ビーム品質が高いため、走査光学系の小型化、簡素化が可能である。またビーム走査光学系としてはMEMSを利用した小型走査装置も利用できる。高いビーム品質は集光特性、コリメート特性に優れ、MEMS等の小型ミラーも利用可能となる。これによって、走査型のレーザディスプレイが実現できた。
また、この実施の形態ではファイバーレーザを用いた光学装置として、レーザディスプレイについて説明したが、その他、本発明に係るファイバーレーザを光ディスク装置や、計測装置に用いても有効である。光ディスク装置では、書き込み速度の高速化によりレーザ出力の向上が求められている。さらに、レーザ光には回折限界の集光特性が求められるため、シングルモード化は必須である。本発明のファイバーレーザを用いた光源は高出力かつ、高いコヒーレンスを有するため、光ディスク装置等への応用にも有効である。
そのほか、本発明のファイバーレーザを用いた可視光源を用いれば、液晶のバックライトへの応用も可能となる。液晶のバックライト用の光源としてファイバーレーザを用いれば、高い変換効率により高効率、高輝度の液晶が実現できる。さらにレーザ光により広い色範囲が表現できるため、色再現性に優れたディスプレイが実現できる。また、本発明のファイバーレーザを用いたRGB光源を用いれば、単一の光源からRGBが同時発生できるため、構成の簡素化が実現できるといった利点もある。
また、本発明のファイバーレーザは、照明光源としても利用できる。ファイバーレーザは変換効率が高いため、電気−光の高効率変換が可能となる。また、ファイバーを用いることで、低損失で離れた場所に光を伝送することができる。光発生を特定の場所で行い、離れた場所に光を送ることで、光のセントラル発生により室内の照明が可能になる。ファイバーレーザは、ファイバーとの結合が低損失で行えるため、光の配送には有効である。
本発明のファイバーレーザは、簡単な構成で、単一偏光のレーザ光発生が可能となる。また、複数の波長の単一偏光の発生が可能となる。さらに、波長変換素子と組み合わせることで、可視光やRBG光の発生が可能となる。
またさらに、本発明のファイバーレーザを用いれば、高出力の小型RGB光源が実現できるためレーザディスプレイをはじめ、光ディスク装置等各種の光学装置への応用が可能となる。
1 ポンプ光源
2、2a 固体レーザファイバー
3 第1のグレーティングファイバー
4、4a 第2のグレーティングファイバー
5 レーザ光
6 第1の偏光
7 第2の偏光
8 基板
10、10a、10b、10c、10d、10e ファイバーレーザ
20 ファイバーレーザ
31 ファーストモード
32 スローモード
33 スローモード
34 ファーストモード
41、41a 第4のグレーティングファイバー
42 第3のグレーティングファイバー
61 波長変換素子
62 高調波
71、72 波長変換素子
73、74 高調波
100、100a レーザディスプレイ装置
600 固体レーザファイバー
601 基本波
602 ポンプ光源
604 SFG素子
605 SFG光
606 SHG光
607 SHG素子
608 SHG光
609 SHG素子
612 基本波
613 SFG光
614 SFG素子
801 ファーバーレーザ
802 コリメート光学系
803 インテグレータ光学系
804 拡散板
805 液晶パネル
806 スクリーン
807 投影レンズ
901 ファーバーレーザ
902、903 ミラー
904 レーザ光
905 スクリーン
2、2a 固体レーザファイバー
3 第1のグレーティングファイバー
4、4a 第2のグレーティングファイバー
5 レーザ光
6 第1の偏光
7 第2の偏光
8 基板
10、10a、10b、10c、10d、10e ファイバーレーザ
20 ファイバーレーザ
31 ファーストモード
32 スローモード
33 スローモード
34 ファーストモード
41、41a 第4のグレーティングファイバー
42 第3のグレーティングファイバー
61 波長変換素子
62 高調波
71、72 波長変換素子
73、74 高調波
100、100a レーザディスプレイ装置
600 固体レーザファイバー
601 基本波
602 ポンプ光源
604 SFG素子
605 SFG光
606 SHG光
607 SHG素子
608 SHG光
609 SHG素子
612 基本波
613 SFG光
614 SFG素子
801 ファーバーレーザ
802 コリメート光学系
803 インテグレータ光学系
804 拡散板
805 液晶パネル
806 スクリーン
807 投影レンズ
901 ファーバーレーザ
902、903 ミラー
904 レーザ光
905 スクリーン
Claims (23)
- 希土類元素をドープされた固体レーザファイバーと、
前記固体レーザファイバーの光軸方向に沿った両端のうち、一方の端部に設けられた第1のグレーティングファイバーと、
前記固体レーザファイバーの他方の端部に設けられた第1の反射要素と
を備え
前記第1及び第2の反射要素は、前記固体レーザファイバーについて共振器構造を構成し、
前記第1のグレーティングファイバーは、第1の波長を有する第1の偏光と、前記第1の波長と異なる第2の波長を有し前記第1の偏光と偏光方向が互いに直交する第2の偏光との2つの偏光のみをブラッグ反射し、
前記第1の反射要素で反射する光の少なくとも一つの反射波長と、前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する2つの偏光のうちいずれか一方の波長とが互いに一致していることを特徴とするファイバーレーザ。 - 前記第1の反射要素は、誘電体多層膜である請求項1に記載のファイバーレーザ。
- 前記第1の反射要素は、前記固体レーザファイバーの他方の端部から光を外部に取り出して反射させた光を前記他方の端部から前記固体レーザファイバーの内部へ戻す反射光学系であることを特徴とする請求項1に記載のファイバーレーザ。
- 前記第1の反射要素は、前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する2つの偏光のうち、いずれか一方の偏光と同じ波長の光をブラッグ反射する第2のグレーティングファイバーであることを特徴とする請求項1に記載のファイバーレーザ。
- 前記第1の反射要素は、第3の波長を有する第3の偏光と、前記第3の波長と異なる第4の波長を有し前記第3の偏光と偏光方向が互いに直交する第4の偏光のみをブラッグ反射する第2のグレーティングファイバーであって、
前記第1のグレーティングファイバーと、前記第2のグレーティングファイバーとは、ブラッグ反射するそれぞれ2つの偏光のうち、一つの偏光の偏光方向及びブラッグ反射波長が互いに一致している請求項1に記載のファイバーレーザ。 - 前記第1及び第2のグレーティングファイバーは、それぞれ互いに直交する2つの偏光を有し、
前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第1の偏光の波長λ1と第2の偏光の波長λ2はλ1>λ2の関係を満足し、前記第2のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第3の偏光の波長λ3と第4の偏光の波長λ4はλ3>λ4の関係を満足し、前記波長がλ1=λ4またはλ2=λ3の何れかの関係を満足していることを特徴とする請求項5に記載のファイバーレーザ。 - 前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第1の偏光の第1の波長と、前記第2のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第4の偏光の第4の波長とが互いに一致していることを特徴とする請求項5に記載のファイバーレーザ。
- 前記第1のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第2の偏光の第2の波長と、前記第2のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第3の偏光の第3の波長とが互いに一致していることを特徴とする請求項5に記載のファイバーレーザ。
- 前記固体レーザファイバーは、複屈折率を有し、前記第1のグレーティングファイバーの偏光方向と前記固体レーザファイバーの偏光方向とが互いに一致していることを特徴とする請求項1に記載のファイバーレーザ。
- 前記固体レーザファイバーは、複屈折率を有し、
前記固体レーザファイバーの2つの偏光のうち、いずれか一つの偏光と、前記第1のグレーティングファイバーの第1の偏光と、前記第2のグレーティングファイバーの第4の偏光とが一致していることを特徴とする請求項5に記載のファイバーレーザ。 - 前記第1のグレーティングファイバーの光軸方向の両端のうち、前記固体レーザファイバーに接する端部と反対側の端部に設けられた第3のグレーティングファイバーと、
前記第1の反射要素の光軸方向の両端のうち、前記固体レーザファイバーに接する端部と反対側の端部に設けられた第2の反射要素と
をさらに備え、
前記第1のグレーティングファイバーと前記第1の反射要素とは、前記固体レーザファイバーについて共振器構造を構成し、
前記第3のグレーティングファイバーと前記第2の反射要素とは、前記固体レーザファイバーについて共振器構造を構成し、
前記第3のグレーティングファイバーは、第5の波長を有する第5の偏光と、前記第5の波長と異なる第6の波長を有し前記第5の偏光と偏光方向が互いに直交する第6の偏光との2つの偏光のみをブラッグ反射し、
前記第2の反射要素で反射する光の少なくとも一つの反射波長と、前記第3のグレーティングファイバーでブラッグ反射する2つの偏光のうちいずれか一つの偏光の波長とが互いに一致していることを特徴とする請求項1に記載のファイバーレーザ。 - 前記第2の反射要素は、誘電体多層膜である請求項11に記載のファイバーレーザ。
- 前記第2の反射要素は、第7の波長を有する第7の偏光と、前記第7の波長と異なる第8の波長を有し前記第7の偏光と偏光方向が互いに直交する第8の偏光とのみをブラッグ反射する第4のグレーティングファイバーであって、
前記第3のグレーティングファイバーと、前記第4のグレーティングファイバーとは、ブラッグ反射するそれぞれ2つの偏光のうち、一つの偏光の偏光方向及びブラッグ反射波長が互いに一致していることを特徴とする請求項11に記載のファイバーレーザ。 - 前記第3及び第4のグレーティングファイバーは、それぞれ互いに直交する2つの偏光を有し、
前記第3のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第5の偏光の波長λ5と第6の偏光の波長λ6はλ5>λ6の関係を満足し、前記第4のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第7の偏光の波長λ7と第8の偏光の波長λ8はλ7>λ8の関係を満足し、前記波長がλ5=λ8またはλ6=λ7の何れかの関係を満足していることを特徴とする請求項13に記載のファイバーレーザ。 - 前記第3のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第5の偏光の第5の波長と、前記第4のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第8の偏光の第8の波長とが互いに一致していることを特徴とする請求項13に記載のファイバーレーザ。
- 前記第3のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第6の偏光の第6の波長と、前記第4のグレーティングファイバーでブラッグ反射する第7の偏光の第7の波長とが互いに一致していることを特徴とする請求項13に記載のファイバーレーザ。
- 前記固体レーザファイバーは、Yb、Er、Nd、Pr、Cr、Ti、V、Hoからなる群から少なくとも一つ含むことを特徴とする請求項1に記載のファイバーレーザ。
- 前記第1の反射要素で反射する光の反射波長は、1060nm近傍である請求項1に記載のファイバーレーザ。
- 前記第2の反射要素で反射する光の反射波長は、1550nm近傍である請求項11に記載のファイバーレーザ。
- 前記ファイバーレーザからの出力を高調波に変換する波長変換素子をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のファイバーレーザ。
- 前記ファイバーレーザからの出力を複数の異なる波長の高調波に変換する複数の波長変換素子を備えたことを特徴とする請求項1に記載のファイバーレーザ。
- 前記波長変換素子は、周期状の分極反転構造を有するMgドープLiNbO3、MgドープLiTaO3、KTiOPO4、化学量論組成のMgドープLiNbO3、化学量論組成のMgドープLiTaO3の群から選ばれる少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項20または21に記載のファイバーレーザ。
- 前記固体レーザファイバーの前記両端のいずれか一方の端部から励起光を入力するポンプ光源をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のファーバーレーザ。
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