JP4428868B2 - 画像処理装置及びその方法並びに記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、注目領域を含む画像に対して画像処理を行う画像処理装置及びその方法並びに記憶媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のデジタル技術の進歩により放射線画像をデジタル画像信号に変換し、該デジタル画像信号に対して周波数処理などの画像処理を施し、CRT等に表示、あるいはプリント出力することが行われている。ところで、このような周波数処理は複数の周波数帯の画像成分に分離し、周波数帯毎の画像成分を増加又は減弱することで行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の方法では、画像全体に同一の周波数分離処理を行っているため、領域ごとの周波数特性が異なる場合でも一律な周波数分解処理をおこなっていた。そのため、領域毎に適する周波数処理を効率よく行えない問題があった。
【0004】
また、画像の領域に毎に含有される周波数成分はことなるが、全領域に同一のフィルタをかけると圧縮効率がよくない問題があった。
【0005】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、領域毎に効果的に周波数帯毎の画像成分を変換することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的を達成するために、例えば本発明の画像処理装置は以下の構成を備える。
【0007】
即ち、注目領域を含む画像に対して画像処理を行う画像処理装置であって、
画像を予め定められたサイズのタイルに分割する分割手段と、
注目タイルに含まれる前記注目領域の割合を計算し、該割合が閾値よりも大きい場合には、前記注目タイル内の高周波成分を細かく分離する機能を有する第1の周波数変換部を用いて前記注目タイルに対する周波数変換を行い、前記割合が前記閾値以下である場合には、周波数帯の分離幅が広く、同一次元の分解処理で前記第1の周波数変換部よりも低周波までの分解処理が可能な機能を有する第2の周波数変換部を用いて前記注目タイルに対する周波数変換を行う周波数変換手段と、
前記周波数変換手段で周波数変換された前記注目タイルに含まれる変換係数に対して成分変換を行う成分変換手段と、
前記成分変換手段により成分変換された前記注目タイルに対して前記周波数変換手段とは逆の変換を行う逆周波数変換手段と
を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の画像処理方法は以下の構成を備える。
【0011】
即ち、注目領域を含む画像に対して画像処理を行う画像処理装置が行う画像処理方法であって、
画像を予め定められたサイズのタイルに分割する分割工程と、
注目タイルに含まれる前記注目領域の割合を計算し、該割合が閾値よりも大きい場合には、前記注目タイル内の高周波成分を細かく分離する機能を有する第1の周波数変換部を用いて前記注目タイルに対する周波数変換を行い、前記割合が前記閾値以下である場合には、周波数帯の分離幅が広く、同一次元の分解処理で前記第1の周波数変換部よりも低周波までの分解処理が可能な機能を有する第2の周波数変換部を用いて前記注目タイルに対する周波数変換を行う周波数変換工程と、
前記周波数変換工程で周波数変換された前記注目タイルに含まれる変換係数に対して成分変換を行う成分変換工程と、
前記成分変換工程で成分変換された前記注目タイルに対して前記周波数変換工程とは逆の変換を行う逆周波数変換工程と
を備えることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して、本発明を好適な実施形態に従って詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態の画像処理装置としてのX線撮影装置100の構成を示す図である。すなわちX線撮影装置100は、撮影された画像に対して周波数帯毎に処理を行う機能を有するX線の撮影装置であり、前処理回路106、CPU108、メインメモリ109、操作パネル110、画像表示器111、画像処理回路112を備えており、CPUバス107を介して互いにデータ授受されるようになされている。
【0015】
またX線撮影装置100は、前処理回路106に接続されたデータ収集回路105と、データ収集回路105に接続された2次元X線センサ104及びX線発生回路101とを備えており、これらの各回路はCPUバス107にも接続されている。
【0016】
上述の構成を備えるX線撮影装置100の各部について説明する。まずメインメモリ109は、CPU108での処理に必要な各種のデータなどが記憶されるものであると共に、CPU108の作業用としてのワークメモリを含む。
【0017】
CPU108は、メインメモリ109を用いて、操作パネル110からの操作に従った装置全体の動作制御等を行う。これによりX線撮影装置100は、以下のように動作する。
【0018】
先ず、X線発生回路101は、被写体(被検査体)103に対してX線ビーム102を放射する。X線発生回路101から放射されたX線ビーム102は、被検査体103を減衰しながら透過して、2次元X線センサ104に到達し、2次元X線センサ104によりX線画像として出力される。ここでは、2次元X線センサ104から出力されるX線画像を、例えば人体画像等とする。
【0019】
データ収集回路105は、2次元X線センサ104から出力されたX線画像を電気信号に変換して前処理回路106に供給する。前処理回路106は、データ収集回路105からの信号(X線画像信号)に対して、オフセット補正処理やゲイン補正処理等の前処理を行う。この前処理回路106で前処理が行われたX線画像信号は原画像として、CPU108の制御により、CPUバス107を介して、メインメモリ109、画像処理回路112に転送される。
【0020】
同回路112において、113は画像を小領域に分割し、小領域(以後タイル)毎に後述の離散ウェーブレット変換回路114によるウェーブレット変換方式を決定する領域分割回路、114は複数のウェーブレット変換方式を有する離散ウェーブレット変換回路であり、原画像に対して離散ウェーブレット変換を施し、各周波数帯の画像成分(ウェーブレット変換係数)を得る。
【0021】
118は離散ウェーブレット変換回路114で得られた各周波数帯の画像成分を変換する画像成分変換回路であり、115は画像成分変換回路118で変換した画像成分を逆変換して複数の逆DWT変換方式で画像を合成する逆DWT変換回路である。
【0022】
以上の構成を備える本実施形態におけるX線撮影装置100が行う処理を、図2,3,4に示す同処理のフローチャートを用いて以下説明する。
【0023】
前処理回路106で前処理された原画像はCPUバス107を介して画像処理回路112に転送される(ステップS200)。ここで原画像を例えば図5(a)に示した胸部正面画像とする。画像処理回路112では、はじめに領域分割回路113が原画像をタイルに分割し、分割した領域毎にウェーブレット変換方式(フィルタ)を決定する(ステップS201)。この処理の詳細を図3に示すフローチャートに従って説明する。
【0024】
まず、領域分割回路113は図5(b)に例示するように、予め決まるサイズの小四角に原画像を分割する(ステップS301)。次に目的領域として、例えば図5(b)に例示するように、肺部などの解剖学的に特徴のある領域を目的領域501として抽出する(ステップS302)。このような目的領域501を抽出する方法としては公知の方法を用いるが、この方法は特に限定されたものではない。
【0025】
次に、領域分割回路113は目的領域とタイルの重なりの割合をタイル毎に計算する(ステップS303)。そして、タイル中に含まれる目的領域の面積の割合を重なり度として計算する(ステップS303)。具体的には、タイル中の画素数に対する、目的領域を構成する画素数の割合を計算する。この重なり度の値が予め設定された一定閾値Thより大きければ(ステップS304)、そのタイルに対して第一のDWT変換回路を用いて周波数分解を行なう(この処理を第一のDWT変換と呼ぶ)こととし(ステップS306)、Th以下ならば(ステップS304)、第二のDWT変換回路を用いて周波数分解(この処理を第二のDWT変換と呼ぶ)を行なうこととする(ステップS305)。
【0026】
ここで、各DWT変換回路の特性の違いは用いるフィルタ形の相違であり、それぞれ周波数帯の分解特性に特徴がある。例えば第一のDWT変換回路では高周波成分を細かく分離する特徴がある(例えば9−7型フィルタ:詳細は公知なので省略する。)を使用し、第二のDWT変換回路では周波数帯の分離幅が広く、同一次元の分解処理で第一のDWT変換回路よりもより低周波までの分解処理が可能なフィルタ(例えばHarr型フィルタ:詳細は公知なので省略する。)を用いる。このような周波数帯の分解特性に特徴のあるDWT変換回路を複数用意しておき、領域や部位に応じて使い分ける。
【0027】
そして、DWT変換回路114では領域分割回路113で決められたタイルとウェーブレット変換方式に従い、タイルごとに周波数分解処理を行なう(ステップS202)。
【0028】
次にステップS202の処理の詳細を、図4に示すフローチャートに従って説明する。DWT変換回路114はタイル毎に領域分割回路113で決められたDWT変換回路を選択し、タイル内の画像信号に対して2次元の離散ウェーブレット変換処理を行い、画像成分(変換係数)を計算して出力するものである。なお、タイル毎の変換係数が求まった際には、どのDWT変換回路を用いたかを示すフラグ(DWT変換回路選択フラグ)を、各タイルに添付しておく。
【0029】
本実施形態におけるDWT変換回路114の構成を図6(a)に示す。同図の構成を有する回路において、入力された画像信号は遅延素子およびダウンサンプラの組み合わせにより、偶数アドレスおよび奇数アドレスの信号に分離され、2つのフィルタpおよびuによりフィルタ処理が施される。sおよびdは、各々1次元の画像信号に対して1レベルの分解を行った際のローパス係数およびハイパス係数を表しており、次式により計算されるものとする。
【0030】
d(n)=x(2n+1)−
floor((x(2n)+x(2n+2))/2) (式1)
s(n)=x(2n)+
floor((d(n−1)+d(n))/4) (式2)
ただし、x(n)は変換対象となる画像信号である。以上の処理により、画像信号に対する1次元の離散ウェーブレット変換処理が行われる。尚、上述の様に各DWT変換回路では用いるフィルタが異なるものである。
【0031】
2次元の離散ウェーブレット変換は、1次元の変換を画像の水平・垂直方向に対して順次行うものであり、その詳細は公知であるのでここでは説明を省略する。図6(b)は2次元の変換処理により得られる2レベルの変換係数群の構成例であり、画像信号は異なる周波数帯域の画像成分HH1,HL1,LH1,...,LLに分解される(ステップS401)。図6(b)においてHH1,HL1,LH1,...,LL等(以下サブバンドと呼ぶ)が周波数帯毎の画像成分を示す。
【0032】
次に、画像成分変換回路118は例えば図7に示す変換曲線を周波数帯毎に作成し(ステップS402)、画像成分を変換する(ステップS403)。つまり値がTh1以上の変換係数(同図では入力系数)に対しては、曲線702に従ったスケーリングを行っている。
【0033】
図7は画像成分変換回路118で作成された変換曲線の一例であり、横軸が入力係数(入力画像成分)、縦軸が出力係数(出力画像成分)を示す。
【0034】
ここで図7に示す変換曲線において、変換曲線702の傾き、閾値701は、小領域毎、サブバンド毎にステップS402において作成されるものを用いる。例えば同一のDWT変換回路を用いた場合であってもタイル毎に異なる周波数毎の変換曲線形を用いるものである。この変換曲線の曲線形としては、例えば解剖学的領域と原画像の画素値に応じて変更するものである。これにより、タイル毎にきめ細かく周波数処理を行なうことができるものである。
【0035】
逆DWT変換回路115は、タイルに添付された前述のDWT変換回路選択フラグを参照して、2次元の離散ウェーブレット変換処理の際に用いたフィルタを特定し、特定したフィルタに応じた逆DWT変換に用いるフィルタを特定し、以下のようにタイル毎に逆DWT変換を行う(ステップS404)。逆DWT変換回路115の構成は図6(c)に示すものとする。入力された画像成分はuおよびpの2つのフィルタ処理を施され、アップサンプリングされた後に重ね合わされて画像信号x’が出力される。これらの処理は次式により行われる。
【0036】
x’(2n)=s’(n)−
floor((d’(n−1)+d’(n))/4) (式3)
x’(2n+1)=d’(n)+
floor((x’(2n)+x’(2n+2))/2) (式4)
以上の処理により、変換係数に対する1次元の逆離散ウェーブレット変換処理が行われる。2次元の逆離散ウェーブレット変換は、1次元の逆変換を画像の水平・垂直方向に対して順次行うものであり、その詳細は公知であるのでここでは説明を省略する。また、各DWT変換回路毎にフィルタ形が異なるものであり、例えば第一の逆DWT変換回路では9−7型フィルタに対応するフィルタを用い、例えば第二の逆DWT変換回路ではHarr型フィルタに対応するフィルタを用いるものである。
【0037】
また、画像を保存する場合には、逆変換する前の画像データを保存するものであるが、この場合には画像成分毎の変換処理をする前のものを保存してもよいし、成分変換処理後の画像データを保存してもよい。成分変換前の画像を保存する場合には、逆変換処理を行なう前に成分変換処理を行なう。これにより、成分変換前の画像を保存する場合には原画像に復元が可能であるが、復元処理において成分変換処理を行なう必要がある。
【0038】
一方、成分変換後に画像データを保存する場合には、原画像への復元はできないが、高周波成分を遮断することで圧縮効率が上がる効果がある。また、復元処理中に画像変換処理をおこなわなくてもよい。さらに、高周波成分を多く含む領域(例えば肺部)に高周波の分離性のよいフィルタを用いることで、画像データとフィルタの相関度が上がり、画像を表現するためのデータ数は減じ、結果として圧縮率が上がる効果がある。同様に、低周波成分を多く含む領域(例えば腹部)には低周波高周波の分離性のよいフィルタを用いることで、画像データとフィルタの相関度が上がり、画像を表現するためのデータ数は減じ、結果として圧縮率が上がる効果がある。したがって、全体として一律なフィルタをかけるよりも領域毎にことなるフィルタを用いることで全体のデータの圧縮率が上がる効果がある。特に人体の場合は胸部や腹部などの解剖学的領域が異なるとその周波数成分もことなり、解剖学的領域毎に異なるフィルタを用いることでデータ圧縮率などの効率がよくなる効果がる。
【0039】
ところで、肺部では、血管や細かい骨梁は高周波成分で構成されており、これら部分を強調するためには高周波成分を変換する必要が生じる。しかし、本実施形態では、肺部には高周波成分を細かく分離できるDWT変換回路を用いることで、的確に目的とする高周波成分を強調することができる。
【0040】
一方腹部などの臓器部は中低周波数で構成されており、臓器部を強調するためには低中周波の広範囲にわたり強調する必要がある。しかし、本実施形態では腹部には分離周波数帯の幅が広く、低次数の分離回数で低周波まで分離できるフィルタ形を用いるため、的確に低中周波数の画像成分を強調することができる。このように領域ごとの特性に応じてDWT回路を使い分けることで、的確に目的とする領域の強調処理を効率よく行なうことができる効果がある。
【0041】
以上の様に本実施形態では、領域毎に異なる分解特性を有するDWT変換回路を用いることで、効率よく目的とする周波数分解を行なうことができる効果がある。また、目的とする周波数帯幅で領域毎に周波数数分解を行なうことで、目的とする周波数成分をきめ細かく強調することができる効果がある。さらに、解剖学的領域毎に用いるDWT変換回路を使い分けることで、解剖学的領域毎にきめ細かく周波数処理を行なうことが可能であり、画像全体の周波数処理を的確に行なえる効果あがる。また、小領域毎に周波数強調する方法、強さを変更するので、画像細部にわたってきめ細かく周波数処理を行なうことが可能であり、さらに画像全体で最適な周波数処理を行なうことが可能である。
【0042】
[第2の実施形態]
本実施形態の画像処理装置としてのX線撮影装置は、第1の実施形態におけるX線撮影装置に、DWT変換回路、逆DWT変換回路をもう一つ加えた構成を備え、第1の実施形態と同様に、各タイルに占める目的領域の割合に応じてDWTの変換計画を選択し、選択した変換計画に従って第1の実施形態と同様に各タイルに2次元の離散ウェーブレット変換を施す機能を備える。また、離散ウェーブレット変換を施した後は第1の実施形態と同様に成分変換を施し、各タイルに施した離散ウェーブレット変換の逆変換を施す。
【0043】
以下、本実施形態におけるX線撮影装置について説明する。図8に本実施形態におけるX線撮影装置の構成を示す。なお図1示した装置と同じ部分は同じ番号で示している。図1に示した装置と異なる点は、DWT変換回路、逆DWT変換回路をもう一つ加えた点と、記憶回路117付け加えた点である。
【0044】
以下本装置における処理を、図9,10に示す同処理のフローチャートを参照して以下説明する。
【0045】
前処理回路106で前処理された原画像はCPUバス107を介して画像処理回路112に転送される(ステップS900)。ここで原画像を例えば図5(a)に示した胸部正面画像とする。画像処理回路112では、はじめに領域分割回路113が原画像をタイルに分割し、分割した領域(タイル)毎にDWT変換計画を決定する(ステップS901)。この処理の詳細を図10に示すフローチャートに従って説明する。
【0046】
まず、領域分割回路113は図5(b)に例示するように、予め決まるサイズのタイルに原画像を分割する(ステップS1001)。次に目的領域として、例えば図5(b)に例示するように、肺部などの解剖学的に特徴のある領域を目的領域501として抽出する(ステップS1002)。このような目的領域501を抽出する方法としては公知の方法を用いるが、この方法は特に限定されたものではない。
【0047】
次に、領域分割回路113は目的領域とタイルの重なりの割合をタイル毎に計算する(ステップS1003)。そして、タイルに含まれる目的領域の面積の割合を重なり度として計算する(ステップS1003)。具体的には、タイル中の画素数に対する、目的領域を構成する画素数の割合を計算する。この重なり度の値が予め設定された一定閾値Thより大きければ(ステップS1004)、そのタイルを第一のDWT変換計画を選択して周波数分解を行うこととし(ステップS1006)、Th以下ならば(ステップS1004)、第二のDWT変換計画を選択して周波数分解を行うこととする(ステップS1005)。
【0048】
ここで第一のDWT変換計画としては例えばDWT変換の第1,2の分解レベルでは第一のDWT変換回路(9−7型)を用い、第3,4の分解レベルでは第二のDWT変換回路(5−3型)を用い、第5,6の分解レベルでは第三のDWT変換回路(Harr型)を用いるものである。ここで第三のDWT変換回路は、第1の実施形態におけるX線撮影装置に新たに設けたDWT変換回路であって、周波数帯の分離幅が広く、同一次元の分解処理で第二のDWT変換回路よりもより低周波までの分解処理が可能なフィルタである。本実施形態ではこの第三のDWT変換回路としてHarr型を用いているがこれに限定されるものではない。
【0049】
一方、第二のDWT変換計画としては例えばDWT変換の第1,2の分解レベルでは第二のDWT変換回路(5−3型)を用い、第3,4の分解レベルでは第三のDWT変換回路(Harr型)を用いるものである。以上の第一、第二のDWT変換計画の内容はメインメモリ109に格納されているものとする。
【0050】
ここで分解レベルとはDWT変換処理を行う回数であって、例えば2回目のDWT変換処理を第二の分解レベルと呼ぶ。
【0051】
これにより、胸部には第1のDWT変換計画が選択され、腹部には第二のDWT変換計画が選択されることになる。胸部には細かい血管、細かい器官、中位の血管、中位の器官、肋骨などが存在する。胸部において、細かい血管、細かい器官などは高周波数を主の成分とし、中位の血管、中位の器官、肋骨などは高中周波数を主の成分とする。また、肋骨は中低周波数を主の成分とする。従って、胸部画像の画像全体の鮮鋭度を調節するために、周波数帯毎に適するフィルタを用いることが効率的である。例えば、高周波を強調するには9−7型のような高周波成分の分離特性に優れるフィルタを用いるのがよく、高中周波数帯をまたぐ画像成分を強調するには、9−7型より周波数帯域が広く、かつ高中周波数の分離特性に優れる5−3型を用いるのがよい。そして肋骨みたいに中低周波数を主とする画像を強調するにはより周波数帯域が広く、低周波成分の分離特性に優れるHarr型を用いるのが効率がよい。
【0052】
例えば、9−7型のフィルタ一つで周波数分解を低周波数まで分離するには、高次の分解レベルを要し、効率が悪くなるためである。更に、例えば周波数帯域の狭い9−7型で低周波数帯域の画像成分を強調するためには、複数の分解レベルに渡る画像成分を調整する必要もあり、効率が悪くなるためでもある。
【0053】
一方、腹部は主に中低周波数成分で構成されているため、5−3型、Harr型のフィルタ順で分解する方が効率がよい。高周波成分を含まない領域に9−7型のフィルタをかけても上述の理由でよくないからである。さらに、第二のDWT変換計画では周波数帯域の広いフィルタを用いるため、分解レベルを低回数に押さえられる効果もあるためである。さらに、各分解レベル毎に適するフィルタを用いることで画像の圧縮効率もよくなる効果があるためである。
【0054】
そして、領域分割回路113で決定されたタイル毎のDWT変換計画とこの計画に用いたフィルタを記憶回路117に保存する(ステップS902)。そしてDWT変換回路114では記憶回路117に保存されたDWT変換計画とフィルタに従って、タイル毎に周波数分解処理を行う(ステップS903)。この際、DWT変換計画の内容もメインメモリ109から読み込む。周波数分解処理は第1の実施形態と同じ2次元の離散ウェーブレット変換処理を用いる。なお本実施形態では周波数分解処理の際に、例えば第一のDWT変換計画を例に取ると、例えば第1の分解レベルでは9−7型のフィルタを周波数分解処理に用い、HH1,HL1,LH1,LL1の4つのサブバンドに分解する。そして第二の分解レベルではLL1に対して9−7型のフィルタを用いて更に周波数分解処理を行い、HH2,HL2,LH2,LL2の4つのサブバンドに分解する。そして第三の分解レベルではLL2に対して5−3型のフィルタを用いて更に周波数分解処理を行い、HH3,HL3,LH3,LL3の4つのサブバンドに分解する。以下同様の処理を繰り返す。
【0055】
そしてタイル毎に画像成分を変換する(ステップS904)が、この処理は第1の実施形態におけるステップS403の処理と同じである。
【0056】
逆DWT変換回路115は、ステップS902で記憶回路117に保存したタイル毎のDWT変換計画に用いたフィルタを読み込んで、2次元の離散ウェーブレット変換処理の際に用いたフィルタを特定し、特定したフィルタに応じた逆DWT変換に用いるフィルタを特定し、タイル毎に逆DWT変換を行う(ステップS905)。逆DWT変換の方法は第1の実施形態で説明した方法と同じである。
【0057】
[他の実施形態]
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0058】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0059】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0060】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した(図2,及び/又は図3、及び/又は図4、及び/又は図9、及び/又は図10に示す)フローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0061】
【発明の効果】
以上の説明により、本発明によれば、領域毎に効果的に周波数帯毎の画像成分を変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるX線撮影装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態におけるX線撮影装置が行う処理のフローチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態による領域分割の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態による領域分割の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】領域分割の説明図である。
【図6】DWT変換回路を示す図である。
【図7】変換曲線と閾値を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態におけるX線撮影装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態におけるX線撮影装置が行う処理のフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態におけるX線撮影装置が行う処理において、ステップS901の処理を詳細に説明するフローチャートである。
Claims (5)
- 注目領域を含む画像に対して画像処理を行う画像処理装置であって、
画像を予め定められたサイズのタイルに分割する分割手段と、
注目タイルに含まれる前記注目領域の割合を計算し、該割合が閾値よりも大きい場合には、前記注目タイル内の高周波成分を細かく分離する機能を有する第1の周波数変換部を用いて前記注目タイルに対する周波数変換を行い、前記割合が前記閾値以下である場合には、周波数帯の分離幅が広く、同一次元の分解処理で前記第1の周波数変換部よりも低周波までの分解処理が可能な機能を有する第2の周波数変換部を用いて前記注目タイルに対する周波数変換を行う周波数変換手段と、
前記周波数変換手段で周波数変換された前記注目タイルに含まれる変換係数に対して成分変換を行う成分変換手段と、
前記成分変換手段により成分変換された前記注目タイルに対して前記周波数変換手段とは逆の変換を行う逆周波数変換手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。 - 更に画像を撮像する撮像手段を備え、
前記注目領域を含む画像は前記撮像手段により撮像されたものであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記撮像手段は、X線により被写体の画像を撮像することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
- 注目領域を含む画像に対して画像処理を行う画像処理装置が行う画像処理方法であって、
画像を予め定められたサイズのタイルに分割する分割工程と、
注目タイルに含まれる前記注目領域の割合を計算し、該割合が閾値よりも大きい場合には、前記注目タイル内の高周波成分を細かく分離する機能を有する第1の周波数変換部を用いて前記注目タイルに対する周波数変換を行い、前記割合が前記閾値以下である場合には、周波数帯の分離幅が広く、同一次元の分解処理で前記第1の周波数変換部よりも低周波までの分解処理が可能な機能を有する第2の周波数変換部を用いて前記注目タイルに対する周波数変換を行う周波数変換工程と、
前記周波数変換工程で周波数変換された前記注目タイルに含まれる変換係数に対して成分変換を行う成分変換工程と、
前記成分変換工程で成分変換された前記注目タイルに対して前記周波数変換工程とは逆の変換を行う逆周波数変換工程と
を備えることを特徴とする画像処理方法。 - コンピュータに請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像処理装置が有する各手段として機能させるためのコンピュータプログラムを格納した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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