本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本発明の実施形態に従う光電センサの上部カバーを開いた状態における外観斜視図である。
図1を参照して、本発明の実施の形態に従う光電センサ1は多連装型のプラスチック製筐体13を有する。筐体13の前部には、投光用ファイバ14と受光用ファイバ15とが挿入され、クランプレバー2の操作によって抜け止め固定される。筐体13の後部からは電気コード8が引き出されている。
図示の電気コード8は、アース(GND)用の芯線18と、電源(Vcc)用の芯線17と、検出出力用の芯線16とを有する。
筐体13は、制御盤などの取付面に対して図示しないDINレールを介して固定される。筐体13の上部には、透明な上部カバー7が開閉可能に取り付けられている。上部カバー7を開いた状態で露出する筐体13の上面には、表示領域3と、第1の操作ボタン(UP)4と、第2の操作ボタン(DOWN)5と、第1のスライド操作子(TEACH/RUN)12と、第2のスライド操作子(L/D)6と、第3のスライド素子(ON−D、OFF−D、TIMEROFF)11とが設けられている。表示領域3には、動作表示灯20と、表示器19とが一例として設けられる。
図2は、本発明の実施の形態に従う光電センサの操作・表示部の拡大図を説明する図である。
図1および図2を参照して、表示器19は、4桁の7セグメントデジタルディスプレイで構成されており、それぞれ4桁の数字、アルファベット、さらにはそれらの組み合わせを任意に表示可能となされている。
第1の操作ボタン4および第2の操作ボタン5は、いずれもモメンタリタイプの押しボタンスイッチを構成しており、図2に示されるように、第1の操作ボタン4は『UPキー』として、第2の操作ボタン5は『DOWNキー』としてそれぞれ機能するように構成されている。
第1のスライド操作子12、第2のスライド操作子6及び第3のスライド素子11はいずれもスライドスイッチを構成するものであり、図2に示されるように、第1のスライド操作子12は『TEACH/RUN切替スイッチ』として、第2のスライド操作子6は『L/D切替スイッチ』として、第3のスライドスイッチは『TIMER制御切替スイッチ』として機能するように構成されている。
図1を再び参照して、筐体13の内部には、図示しないが、物体検出用の発光素子と物体検出用の受光素子とが内蔵されている。投光用ファイバ14をファイバ挿入孔にしっかりと挿入すると、投光用ファイバ14の端面と検出用発光素子の発光部とがしっかりと光結合され、これにより検出用の発光素子から発生した光は、投光用ファイバ14を経由して、その先端の図示しないファイバヘッドから検出領域へと投光される。同様に、受光用ファイバ15をファイバ挿入孔にしっかりと挿入すると、受光用ファイバ15の端面と検出用受光素子とが光結合され、これにより図示しない受光用ファイバ15のファイバヘッドからファイバ内に導入された光は、受光用ファイバ15に案内されて、検出用の受光素子にたどり着くようになっている。以上述べた検出用の発光素子と検出用の受光素子との配置構成は従来のこの種のファイバ型光電スイッチに採用されたものと同様である。
次に、本発明の実施形態に従う光電センサの電気的ハードウェア構成について説明する。
図3は、本発明の実施の形態に従う光電センサの概略ブロック図である。
図3を参照して、この回路はマイクロプロセッサを主体として構成される信号処理部200を中心として構成されている。信号処理部200内には、マイクロプロセッサの他に、システムプログラムを格納したROMやプログラムの実行に必要なワーキングRAM、その他各種の設定データを格納するためのEEPROM等で構成される記憶部210が内蔵されている。このEEPROMには、工場出荷前においてメーカ側が設定したデータや、工場出荷後にユーザが設定した各種のデータが格納される。このような信号処理部200の構成については、各種の文献において種々公知であるから、その点についての詳細な説明は省略する。
図3の紙面左側においては、後に詳細に説明するが先に説明した発光素子を有する投光部202と受光素子を有する受光部203とが描かれている。投光部202は、検出用の発光素子である発光ダイオード(以下、LEDと称する)202aと、LED202aを駆動するためのLED駆動部202bとを含む。なお、一例としてLED202aから赤色光が射出されるものとする。
一方、受光部203は、検出用の受光素子であるフォトダイオード(以下、PDと称する)203aと、PD203aの出力を増幅するための増幅部203bと、受光ゲインを切り替える増幅切替部203cとを含む。
LED駆動部202bの作用により検出用発光素子であるLED202aから発生したパルス光は、投光用ファイバ2を介して検出領域へと導かれる。検出領域において透過または反射したことにより受光用ファイバ3に導入された光は、受光用ファイバ3を経由して検出用受光素子であるPD203aへとたどり着く。検出用受光素子PD203aは、光電変換する。
PD203aで光電変換されて生じた出力信号は、増幅部203bで増幅された後信号処理部200へとA/D変換器(図示せず)を介して取り込まれる。尚、これら投受光の基本的な構成についても、各種の文献において公知であるから、この点についての詳細な説明は省略する。なお、本実施の形態において、投光部および受光部は、検出対象物を透過あるいは反射した物理量である光量を検知する検知部を構成する。なお、増幅切替部203cは、後述するが受光部203の増幅部203bにおける受光ゲインを切り替える機能を有する。
表示部204は、信号処理部200における各種の演算により生成されたデータを表示させるための表示器で構成されており、この表示部204には、より具体的には、先に図1並びに図2を参照して説明した表示器19および動作表示灯20等が含まれている。表示器19は、7セグメントデジタルディスプレイを有し、各種の情報が、数値、アルファベット、それらの組み合わせなどによりデジタル表示される。
入力部205は、信号処理部200に対して各種の情報を入力するためのものである。この入力部205には、キー入力部205aと信号入力部205bとが含まれている。キー入力部205aは、オペレータが手動操作で各種のデータを入力するためのものであり、この入力部205aには先に図1並びに図2を参照して説明したように、第1の操作ボタン4、第2の操作ボタン5、第1のスライド操作子12、及び第2のスライド操作子6および第3のスライド操作子11とが含まれている。
これに対して、信号入力部205bは、図示しないが、例えば電気コード8の芯線等を用いてリモート入力信号を入力するためのものであり、この信号入力部205bを介して芯線等から到来する外部から入力される制御信号が信号処理部200へと取り込まれる。
出力部206は、信号処理部200で生成された各種の出力信号を電気コード8に含まれる芯線16へと出力するためのものである。この出力部206には、物体検出信号出力用の出力部206aが含まれている。すなわち、信号処理部200で生成された物体検出用の検出信号は、出力部206aを介して電気コード8内の芯線16へと送り出される。
電源部201は、図3に示される投光部202、受光部203、表示部204、入力部205、出力部206のそれぞれに対して電源を供給する電源安定化装置等で構成されており、この電源部201に対する給電は、電気コード8に含まれる芯線17及び18を介して行なわれる。この例では芯線18はGNDに接続され、芯線17はVccに接続される。
次に、以上述べた機械的構造並びに電気的なハードウェア構成を前提として、この光電センサに備えられた様々な機能並びにそれらを実現するために信号処理部200で実行されるシステムプログラムの構成について説明する。
一般的に光電センサには、選択的に実行(ON/OFF)可能な複数の機能が備えられている。それらの機能のそれぞれには、様々な選択肢が用意されている。それらの機能の選択(ON/OFF)並びに選択肢の選択は、この光電センサをTEACHモードに設定することで行なうことができる。特定の選択肢に従ってON設定された機能を実現させる動作は、この光電センサをRUNモードに設定することで行なうことができる。
動作モードをTEACHモードとするかRUNモードとするかの指定は、図2に示されるように、第1のスライド操作子12を『TEACH』側とするか、『RUN』側とするかにより決定することができる。また、第2のスライド操作子6は、この光電センサの検出出力信号の論理極性を設定するためのもので、第2のスライド操作子6が『L』側に設定されているといわゆるライトオンモードとなり、『D』側に設定されるとダークオンモードとなる。また、第3のスライド操作子11を『ON−D』側とするか、『OFF−D』側とするか、『TIMEROFF』側とするかによりいわゆるタイマー制御処理の機能を選択することが可能である。例えば、『ON−D』側とすることによりいわゆるオンディレイを選択することが可能である。また、『OFF−D』側とすることによりいわゆるオフディレイを選択することが可能である。『TIMEROFF』側とすることによりタイマ機能をオフにすることが可能である。
図4は、信号処理部200のCPUで実行されるシステムプログラムの全体を概略的に示すゼネラルフローチャートである。
図4を参照して、このシステムプログラムは電源投入によって実行を開始される。
同図において、処理が開始されると、まず初期設定処理(ステップ401)が実行される。この初期設定処理(ステップ401)においては、後述するルーチン処理を開始するに先立って必要な各種の初期設定処理が実行される。この初期設定処理には、各種メモリ、表示灯、制御出力の初期化の実行や、信号処理部200に含まれる記憶部210のEEPROMから必要項目の読出とデータチェックを行なう処理などが実行される。
初期設定処理(ステップ401)が実行を完了すると、ルーチン処理への移行が行なわれ、その最初においてまず第1のスライド操作子12の設定状態が参照される(ステップ402)。ここで、第1のスライド操作子12が『TEACH』側へ設定されていれば(ステップ402TEACH)、続いてTEACHモード初期設定処理(ステップ403)が実行される。このTEACHモード初期設定処理(ステップ403)では、TEACHモード用測定値の初期化等が行なわれる。
TEACHモード初期設定処理(ステップ403)が実行を完了すると、以後、第1のスライド操作子12が『TEACH』側へ設定された状態にある限り(ステップ405YES)、様々な機能に関するTEACHモード処理(ステップ404)が実行される。この状態において、ユーザは、第1の操作ボタン4および第2の操作ボタン5を適宜に操作することによって、当該光電センサに用意された様々な機能のON/OFF設定、さらには、各機能別の個別設定処理を実行することができる。
一方、第1のスライド操作子12の設定状態を参照した結果、『RUN』側へと設定されたと判定されると(ステップ402RUN)、続いて、RUNモード初期設定処理(ステップ406)が実行される。このRUNモード初期設定処理(ステップ406)においては、表示灯、制御出力の初期化、しきい値及び各種RUNモード用設定値の初期化等が行なわれる。
RUNモード初期設定処理(ステップ406)が完了すると、続いて第1のスライド操作子12が『RUN』側へ設定されている限り(ステップ408YES)、RUNモード処理(ステップ407)が実行される。このRUNモード処理(ステップ407)においては、光電センサとして必要な基本的な動作の他に、ユーザにより選択的に設定された各種の機能が実現される。
尚、本例においては、主にRUNモードにおける動作について説明し、TEACHモードについては、各種の文献において種々公知であるから、その点についての詳細な説明は省略する。
このように、信号処理部200で実行されるシステムプログラムは、いわゆる電源投入直後に行なわれるイニシャル処理である初期設定処理(ステップ401)と、ルーチン処理であるところの2つの処理すなわちTEACHモード処理(ステップ404)及びRUNモード処理(ステップ407)に大別される。
上述したようにRUNモードへの導入に先立ち、まずRUNモード初期設定処理が実行される(ステップ406)。このRUNモード初期設定処理(ステップ406)においては、RUNモードの実行に必要な各種のフラグ、カウンタ、レジスタ類等の初期設定処理が行なわれる。続いて、RUNモード初期設定処理(ステップ406)が完了すると、以後第1のスライド操作子12が『RUN』側に設定されている限り(ステップ408YES)、RUNモード処理(ステップ407)が繰り返し実行される。
このRUNモード処理の全体は、通常処理と割込処理とに大別される。
図5は、RUNモード処理の全体を示すフローチャート図である。
図5(a)は、このRUNモード処理における通常処理を説明するフローチャート図であり、図5(b)は、このRUNモード処理における割込処理を説明するフローチャート図である。
そして、割込処理(ステップ806〜808)は、時間Tsec毎(例えば、100μs毎)にタイマ割込で実行される。
まず、図5(a)を参照して、通常処理(ステップ801〜805)について説明する。
処理が開始されると、表示灯制御処理(ステップ801)が実行される。この表示灯制御処理(ステップ801)では、指定された表示内容に応じて、7セグメントデジタル表示器である表示器19および動作表示灯20の点灯制御を行なう。具体的には、後述する余裕度表示を実行する。
続いて、キー入力検知処理(ステップ803)が実行される。このキー入力検知処理(ステップ803)においては、一定期間毎に、キー入力の検知を行ない、入力を検知した場合は、該当処理の実行ができるように設定を行なう。続いて、入力キー対応処理(ステップ804)が実行されて、検知されたキー入力に対応する様々な処理が実行される(エンド)。
なお、後述する第1の操作ボタン4あるいは第2の操作ボタン5の操作入力に基く信号処理部200における演算処理等は、当該キー入力検知処理(ステップ803)により検知され、そして入力キー対応処理(ステップ804)として所定の動作が実行される。
次に、図5(b)を参照して、時刻Tsec(一例としてTsec=100μs)毎に実行される割込処理について説明する。
割込処理が開始されると、まず投受光処理(ステップ806)が実行される。この投受光処理(ステップ806)においては、図3に示されるLED202aを投光駆動部201bを介してパルス駆動することによって、赤色光を発生させ、これを投光用ファイバ2を通じて投光用ヘッド(図示せず)へと導き、投光用ヘッドから検出対象領域へと放出する。同時に、検出対象領域において反射又は透過した光を受光用ファイバ3の先端に設けられた受光ヘッドから受光用ファイバ3内へと導入し、これを受光用ファイバ3を経由してPD202bへと導き、PD202bにて光電変換により得られた信号を、増幅部203cにて増幅し、その後増幅出力を信号処理部200に取り込む。これにより、検出対象領域の状況に対応する特徴量を含んだ受光量が信号処理部200に取得される。
続いて、ON/OFF判定処理(ステップ807)が実行される。このON/OFF判定処理(ステップ807)においては、予め設定されたON/OFF点を基準として弁別二値化することにより、検出対象領域に物体の有無が判定される。すなわち、検出対象領域に目的とする物体が存在すれば、判定結果はONとなり、存在しなければ判定結果はOFFとされる。
図6は、受光量に対するON点およびOFF点を説明する図である。
図6に示されるようにON点は、しきい値に対してHys/2加算した受光量に設定される。また、OFF点は、しきい値に対してHys/2減算した受光量に設定される。しきい値はTEACHモード等で設定されるものとする。初期値はEEPROM等で予め設定されているものが用いられる。
なお、Hysは、本発明の実施の形態に従うON/OFF判定処理を実行する図示しない回路の回路特性上のノイズ量を指し示している。なお、このHysの値は、EEPROM等に予め設定されているものとする。
図7は、検出対象物に対して投光した光の反射光を受光する光電センサのON点およびOFF点となる検出対象物の距離を説明する図である。
図7(a)を参照して、まず、ライトオンモード(L/ONとも称する)について説明する。
図6で説明したON点の受光量以上が受光部(ファイバ)により検出されれば、入光状態であると判断してオン(ON)とされる。すなわち検出対象領域に検出対象物有りとなる。
一方、OFF点の受光量未満が受光部(ファイバ)により検出されれば、遮光状態であると判断してオフ(OFF)とされる。すなわち検出対象領域に検出対象物無しとなる。
図7(b)においては、ライトオンモード(L/ON)およびダークオンモード(D/ON)における入光状態および遮光状態のON/OFFの極性について説明する図が示されている。
なお、ここでは、ライトオンモード(L/ON)について説明したが、ダークオンモード(D/ON)についても極性が逆になるだけでその他の点については同様である。
こうしてON/OFF判定処理(ステップ807)が実行終了すると、続いて出力制御処理(ステップ808)が実行されて、信号処理部200で生成された検出出力信号は、出力部209を介して、電気コード8に含まれる物体検出信号出力用の芯線16へと送り出される。こうして芯線16へと出力された検出出力信号は、例えばPLCやPC等の上位装置などへと送られる。また、信号処理部200は、動作表示灯20の点灯制御を実行しON/OFF判定処理の判定結果に基いて点灯/消灯する。具体的には、ライトオンモードの場合には、動作表示灯20は入光状態の場合に点灯し、遮光状態の場合に消灯する。一方、ダークオンモードの場合には、動作表示灯20は、入光状態の場合に消灯し、遮光状態の場合に点灯する。 なお、この出力制御処理の際(ステップ808)において、上述した第3のスライド操作子11の機能選択により所定のタイマ制御機能が実行される。
以上において、本発明の実施の形態に従うRUNモードについて概略的に説明したが、以下、本発明の実施の形態に従うRUNモード時における余裕度の表示処理について説明する。
図8は、本発明の実施の形態に従う光電センサにおける余裕度表示を説明する図である。
図8に示されるように、RUNモード処理が開始された場合に表示灯制御処理(ステップ801)において余裕度が表示器19に表示される。
余裕度は、投受光処理(ステップ806)により検出対象物に光を投光し、その反射光または透過光を受光することによって得られた受光量値について、設定されたしきい値に対する割合(比)を示すものである。
具体的には、図5(b)において説明したように検出対象物に対して実行される投受光処理(ステップ806)により、受光量が検出されて、設定されたしきい値に対する得られた受光量の割合が表示器19の7セグメントデジタルディスプレイに表示される。
例えば、一例として受光量の値が「2000」、しきい値が「1000」の場合に余裕度は、2000/1000×100(%)=200Pとして算出される。ここでは、『200P』が示されている。
図9は、本発明の実施の形態に従う光電センサにおける第1の操作ボタンを操作した場合の動作について説明するフロー図である。
図9を参照して、ここでは、第1の操作ボタン4である『UPキー』を操作する場合について説明する。
まず、キー入力が有るか否かが判断される(ステップS0)。当該処理は、キー入力検知処理(ステップ803)に相当する。キー入力検知処理において、第1の操作ボタン4の入力を検知した場合には、次のステップに進む。
そして、図8で説明した余裕度の表示を一時的に保持する(余裕度表示ホールド)(ステップS1)。具体的には、一時的に現在表示されている余裕度の表示を記憶部210のレジスタ等に余裕度表示ホールド値として格納して保持して表示器19に出力する。
そして、次に、第1の操作ボタン4である『UPキー』を所定期間以上押下し続けたか否かを判定する(ステップS2)。所定期間としては、一例として2秒とする。
例えば、ステップS2において、2秒以上『UPキー』を押下し続けた場合には、ステップS4に進み、X=10に設定する。また、2秒未満『UPキー』を押下した場合には、ステップS3に進み、X=1に設定する。
そして、次に、キー入力により、目標とするあるいは希望する余裕度を算出する(目標余裕度算出)(ステップS5)。
具体的には、一時的に保持している余裕度の値(余裕度表示ホールド値)にX(X=1or10)を加算して目標とする余裕度とする。
そして、次に、目標とする余裕度(目標余裕度)が上限値および下限値の範囲内であるかを判断する(ステップS6)。具体的には、本例においては、加算した値に基いて目標余裕度の範囲の下限値0P、上限値999Pの範囲内であるかを判断する。この下限値0P〜上限値999Pの範囲内である場合には、算出された目標余裕度の値を維持して次のステップに進む。
一方、目標余裕度の範囲内ではない場合、例えば上限値999Pを越える場合には、目標とする余裕度を上限値999Pに設定する。一方0P未満の場合には、目標とする余裕度を下限値0Pに設定する。
そして、次に、受光量を取得する(ステップS7)。ここでは、一例として1024回受光量を取得してその加算値を算出するものとする。なお、ここで1024回受光量を取得して加算するのは、余裕度表示を±1P制御することが可能なように大きな値として演算処理するための計算上の処理である。
次に、しきい値を算出する(しきい値演算)(ステップS8)。具体的には、1024回加算した受光量に対して目標余裕度で除算する。すなわち、算出された目標余裕度の値となるように、受光量に対するしきい値の演算処理を実行する。なお、ここでは除算された結果として算出される値は、真のしきい値の1024倍の値が算出される。
そして、算出されたしきい値(真のしきい値の1024倍)が下限値以上であるか否かを判定する(ステップS9)。
ここでは、1024倍の真のしきい値が下限値以上であるか否かを判定する。
具体的には、本例においては、最大感度しきい値×1024を下限値として設定する。そして、真のしきい値の1024倍の値と、最大感度しきい値×1024とを比較して、真のしきい値の1024倍の値が最大感度しきい値×1024以上であるか否かを判定する。なお、最大感度しきい値は、受光信号に含まれるノイズに対して確実にON/OFFできる最も高いしきい値とする。
ステップS9において、1024倍の真のしきい値が下限値以上であると判定される場合には、ステップS10に進み、1024で除算して真のしきい値を設定する(ステップS10)。
そして、目標とするあるいは希望する余裕度に表示を更新する(ステップS11)。
一方、ステップS9において、算出されたしきい値が下限値未満である場合には、ステップS12に進む。
ステップS12において、受光部の増幅部203bにおける受光ゲインが「大」であるか否かを判定する(ステップS12)。そして、ステップS12において、受光ゲインが「大」でない場合、すなわち受光ゲインが「小」である場合には、受光ゲインを「大」に設定する(ステップS13)。そして、再び受光量を取得して(ステップS7)、しきい値演算を実行する(ステップS8)。
例えば、算出されたしきい値が下限値未満である場合においても受光ゲインが「小」の場合には、受光ゲインを「大」にすることにより受光量の値を大きくして、目標余裕度の値となるように、受光量に対するしきい値の値を大きくすることが可能である。すなわち、算出されたしきい値の値を下限値以上に設定することが可能である。
したがって、ステップS12において受光ゲインが判断されて受光ゲインが「小」の場合には、「大」に切り替えられることになる。
一方、ステップS12において、受光部の増幅部203bにおける受光ゲインが「大」で有る場合には、算出されたしきい値を下限値とする(ステップS14)。具体的には、算出されたしきい値を最大感度しきい値×1024とする。
この場合には、受光ゲインの切り替えにより、受光量の値を大きくすることはできないため算出されたしきい値は下限値とされる。
そして、ステップS10に進み、1024で除算して最大感度しきい値を真のしきい値に設定する(ステップS10)。
そして、表示部について、余裕度の表示を更新する(余裕度更新)(ステップS11)。なお、当該真のしきい値が最大感度しきい値に設定された場合には、受光量と最大感度しきい値に従って余裕度(受光量/最大感度しきい値×100%)が表示され当該余裕度に表示が固定されるものとする。すなわちそれ以上は『UPキー』を受け付けない状態に設定される。
図10は、余裕度表示ホールド値が200Pの場合に、『UPキー』あるいは『DOWNキー』を押下した場合の余裕度の表示の変化を説明する図である。
図10(a)には、例えば余裕度表示ホールド値が200Pの場合に、『UPキー』を押下した場合の余裕度の表示の変化が示されている。
具体的には、2秒(2sec)未満の押下(短押)の場合には、余裕度の値は200Pから増加の最小単位である「+1P」増加して、201Pになる場合が示されている。一方、2秒(2sec)以上の押下の場合には、余裕度の値は200Pから「+10P」増加して、210Pになる場合が示されている。
次に、『DOWNキー』を押下した場合について説明する。
図11は、本発明の実施の形態に従う光電センサにおける第2の操作ボタンを操作した場合の動作について説明するフロー図である。
図11を参照して、ここでは、第2の操作ボタン5である『DOWNキー』を操作する場合について説明する。
まず、キー入力が有るか否かが判断される(ステップS20)。当該処理は、キー入力検知処理(ステップ803)に相当する。キー入力検知処理において、第2の操作ボタン5の入力を検知した場合には、次のステップに進む。
そして、図8で説明した余裕度の表示を一時的に保持する(余裕度表示ホールド)(ステップS21)。具体的には、一時的に現在表示されている余裕度の表示を記憶部210のレジスタ等に余裕度表示ホールド値として格納して保持して表示器19に出力する。
そして、次に、第2の操作ボタン5である『DOWNキー』を所定期間以上押下し続けたか否かを判定する(ステップS22)。所定期間としては、一例として2秒とする。
例えば、ステップS22において、2秒以上『DOWNキー』を押下し続けた場合には、ステップS24に進み、X=10に設定する。また、2秒未満『DOWNキー』を押下した場合には、ステップS23に進み、X=1に設定する。
そして、次に、キー入力により、目標とするあるいは希望する余裕度を算出する(目標余裕度算出)(ステップS25)。具体的には、一時的に保持している余裕度の値(余裕度表示ホールド値)にX(X=1or10)を減算して目標とする余裕度とする。
そして、次に、目標とする余裕度(目標余裕度)が上限値および下限値の範囲内であるかを判断する(ステップS26)。具体的には、本例においては、減算した値に基いて目標余裕度の範囲の下限値0P、上限値999Pの範囲内であるかを判断する。この下限値0P〜上限値999Pの範囲内である場合には、算出された目標余裕度の値を維持して次のステップに進む。
一方、目標余裕度の範囲内ではない場合、例えば上限値999Pを越える場合には、目標とする余裕度を上限値999Pに設定する。一方0P未満の場合には、目標とする余裕度を下限値0Pに設定する。
そして、次に、受光量を取得する(ステップS27)。ここでは、一例として1024回受光量を取得してその加算値を算出するものとする。なお、ここで1024回受光量を取得して加算するのは、余裕度表示を±1P制御することが可能なように大きな値として演算処理するための計算上の処理である。
次に、しきい値を算出する(しきい値演算)(ステップS28)。具体的には、1024回加算した受光量に対して目標余裕度を1024倍した値で除算する。すなわち、算出された目標余裕度の値となるように、受光量に対するしきい値の演算処理を実行する。なお、ここでは除算された結果と算出される値は、真のしきい値の1024倍の値が算出される。
そして、算出されたしきい値(真のしきい値の1024倍)が上限値以下であるか否かを判定する(ステップS29)。
ここでは、1024倍の真のしきい値が上限値以下であるか否かを判定する。
ステップS29において、算出されたしきい値が上限値以下であると判定される場合には、ステップS30に進み、真のしきい値を設定する(ステップS30)。具体的には、本例においては、3000×1024を上限値として設定する。そして、1024倍の真のしきい値と上限値である3000×1024とを比較して、1024倍の真のしきい値が3000×1024以下であるか否かを判定する。
1024倍の真のしきい値が3000×1024以下であると判定される場合には、1024で除算して真のしきい値を設定する。
すなわち、本例においては算出されたしきい値の上限値を3000×1024に設定している。これは、受光量が0−4095の範囲の値として検知される場合において、受光量の最大値と真のしきい値との関係において120P以上の余裕度を確保するために設定されている。
そして、目標とするあるいは希望する余裕度に表示を更新する(ステップS31)。
一方、ステップS29において、算出されたしきい値が上限値よりも大きい場合には、ステップS32に進む。
ステップS32において、受光部の増幅部203bにおける受光ゲインが「小」であるか否かを判定する(ステップS32)。そして、ステップS32において、受光ゲインが「小」でない場合、すなわち受光ゲインが「大」である場合には、受光ゲインを「小」に設定する(ステップS33)。そして、再び受光量を取得して(ステップS27)、しきい値演算を実行する(ステップS28)。
例えば、しきい値が上限値よりも大きい場合においても受光ゲインが「大」の場合には、受光ゲインを「小」にすることにより受光量の値を小さくして、目標余裕度の値となるように、受光量に対するしきい値の値を小さくすることが可能である。すなわち、算出されたしきい値の値を上限値以下に設定することが可能である。
したがって、ステップS32において受光ゲインが判断されて受光ゲインが「大」の場合には、「小」に切り替えられることになる。
一方、ステップS32において、受光部の増幅部203bにおける受光ゲインが「小」で有る場合には、算出されたしきい値を上限値とする(ステップS34)。具体的には、算出されたしきい値を上限値である3000×1024とする。
この場合には、受光ゲインの切り替えにより、受光量の値を小さくすることはできないため算出されたしきい値は上限値とされる。
そして、ステップS30に進み、1024で除算して真のしきい値を設定する(ステップS30)。
そして、表示部について、余裕度の表示を更新する(余裕度更新)(ステップS31)。なお、一例として真のしきい値が3000に設定された場合には、受光量と上限値に従って余裕度(受光量/上限値×100%)が表示され当該余裕度に表示が固定されるものとする。すなわちそれ以下は『DOWNキー』を受け付けない状態に設定される。
図10(b)には、例えば余裕度表示ホールド値が200Pの場合に、『DOWNキー』を押下した場合の余裕度の表示の変化が示されている。
具体的には、2秒(2sec)未満の押下(短押)の場合には、余裕度の値は200Pから減少の最小単位である「−1P」減少して、199Pになる場合が示されている。一方、2秒(2sec)以上の押下の場合には、余裕度の値は200Pから「−10P」減少して、190Pになる場合が示されている。
従来においては、しきい値の表示を見ながらしきい値を調整することによりしきい値の変化に従って表示される余裕度を調整する方式であったが、本発明の実施の形態に従う余裕度調整方式により、しきい値を操作するのではなく、ユーザが『UPキー』あるいは『DOWNキー』を押下することにより直接余裕度の表示を操作して、目標となる余裕度となるようにしきい値を調整するため検出対象物の特徴量を検知する観点から余裕度を容易に判断することが可能でありユーザの利便性を向上させることが可能である。
なお、本例においては、1つの7セグメントデジタルディスプレイ19を光電センサに設けて余裕度を表示する方式であり、しきい値を表示するディスプレイを別に設けた構成ではないため簡易かつコスト面においても有利な光電センサである。
また、上記においては、余裕度を7セグメントデジタルディスプレイ19で表示する場合についてのみ説明したが、例えば、ユーザが所定の操作をすることにより受光量の値およびしきい値等の表示に切り替えるようにすることも可能である。例えば、新たに当該表示に切り替えるための切り替えボタンを設けて実現することも可能であるし、あるいは、第1および第2の操作ボタン4,5を用いて例えば両方ともに押下した場合に切り替えるように制御することも可能である。
本実施の形態においては、反射型の光電センサすなわち検出対象領域の検出対象物に反射した反射光を受光して検出対象物の特徴量を検出する光電センサについて説明したが、反射型の光電センサに限られず、透過型の光電センサすなわち検出対象力の検出対象物を透過した透過光を受光して検出対象物の特徴量を検出する光電センサについても同様に適用可能である。すなわち、この場合、受光用ファイバに導光される光が反射光ではなく透過光である点が異なりその他の方式については同様である。
なお、上記においては、受光量を検知して検出対象物の特徴量を検知する光電センサを例に挙げて説明したが、受光量ではなく他の物理媒体を検知して検出対象物の特徴量を検知するセンサについても同様に適用可能である。例えば、検出対象物との距離に従って変化する磁気作用等に基づいて検出対象物の位置を検知する近接センサや、センサヘッドから発信される超音波に対して反射してくる超音波を受信し、この音波の発信から受信までの時間を計測することで検出対象物の位置を検出する超音波センサ等においても同様に適用可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 光電センサ、2 クランプレバー、3 表示領域、4 第1の操作ボタン、5 第2の操作ボタン、6 第2のスライド操作子、7 透明カバー、8 電気コード、11 第3のスライド操作子、12 第1のスライド操作子、13 筐体、14 投光用ファイバ、15 受光用ファイバ、16 検出出力信号用の芯線、17,18 芯線、19 表示器、20 動作表示灯、200 信号処理部、201 電源部、202 投光部、202a LED、202b LED駆動部、203 受光部、203a PD、203b 増幅部、203c 増幅切替部、204 表示部、205 入力部、205a キー入力部、205b 信号入力部、206 出力部、206a 物体検出信号出力用の出力部、210 記憶部。