JP4427955B2 - 軸受装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軸受又は軸受装置に係り、より詳細には、振動又は騒音を低減する制振部材を備えた上記の如き装置に係る。なお、本明細書において、「軸受装置」とは、回転体と、回転体を支持する軸受と、軸受を支持する手段又は部分、即ち、「軸受支持体」とを組み合わせてなる装置であるが、かかる装置の構造を備えた任意の機械をも意味しており、「軸受支持体」が、例えば、機械本体から取り外し可能な筐体等からなっているもの、又は、機械の本体又は枠に一体的に構成されているものを含む。同様に、「軸受支持装置」は、軸受を支持又は保持する装置であり、任意の機械の本体又は枠に一体に構成されているものも含まれると理解されるべきである。
【0002】
【従来の技術】
回転体を有する種々の機械においては、その回転体を回転可能に支持する軸受と、その軸受を保持する機械本体に構成された軸受支持体又は機械に備えられたケース(軸受支持装置)との間に、振動を伝達しにくい材料からなる制振部材が設けられる場合がある(制振部材は、軸受と回転体との間に設けられる場合もある。)。かかる制振部材が設けられることにより、回転体の機械的な振動又は雑音や、軸受と回転体との接触部(又は面)又はころがり軸受内に備えられる転動体に発生する機械的な振動が機械全体に伝播することが回避され、機械全体の振動又は騒音の発生が抑えられる。そのような制振部材としては、一般的には、ゴム又は樹脂等などの弾性を有する高分子材料が広く利用されている(例えば、下記の特許文献1−5参照)。
【0003】
自動車等の変速機又はトランスアクスルなど、やや大型の機械の軸受においては、ゴム又は樹脂等の高分子材料からなる制振部材は、ほとんど利用されていない。上記の如き大型の機械においては、軸受の支持すべき回転体の重量が大きく、軸受に高い荷重が作用するため、ゴムや樹脂からなる制振部材では、軸受にかかる高い荷重に耐えられず潰れてしまい、その結果、回転体の偏心量が大きくなり、回転精度が悪化しまうためである(回転体の回転精度が悪くなると、回転体は無理な力がかかった状態で回転されることとなり、その無理な力(振動強制力)によってかえって大きな振動又は騒音が発生してしまう。)。このような理由から、現在のところ、自動車等の上記の如き機械又は装置の軸受においては、制振部材として、金属製(ステンレス製)のものを用いることが提案されてはいるが(下記の特許文献6参照)、実際上、制振部材自体が備えられていない場合が多い。
【0004】
【特許文献1】
実開昭55−109134号公報
【特許文献2】
実開昭64−720号公報
【特許文献3】
特開平7−91443号公報
【特許文献4】
特開平8−201715号公報
【特許文献5】
特開2000−192979号公報
【特許文献6】
実開平4−90718号公報
【特許文献7】
特許第2849698号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、現在までに、所謂ゴム弾性体と異なり、高い弾性率を有し(即ち、高荷重を受けても変位が小さい)且つ振動減衰効果の大きい金属材料がいくつか見出されている(上記の特許文献7参照)。そのような金属材料としては、例えば、強磁性型高振動減衰金属として、K1X1(Mg−Zr合金)、サイレンタロイ(登録商標)(Fe−Cr系合金)、ジェンタロイ(登録商標)(Fe−Cr系合金)、或いは双晶型高振動減衰金属として、M2052(Mn−Cu合金)、ソノストン(Mn−Cu合金)、インクラミュート(Mn−Cu合金)などが知られている。これらの高弾性率・高振動減衰金属は、回転体の荷重を受けても、ゴム弾性体の如く大きく潰れることはなく、従って、軸受用の制振部材として用いれば、回転体の偏心量が大きくなるなどの問題を生じず、良好な制振効果が得られるものと期待される。
【0006】
しかしながら、現在までに見出されている上記の如き高振動減衰金属は、そのままでは、軸受の制振部材として利用することができない。それは、上記の如き高振動減衰金属は、或る温度以上になると、それらの振動減衰効果が大幅に低減してしまうという特性を有しているためである。例えば、強磁性型高振動減衰金属は、キュリー温度以上になると、また、双晶型高振動減衰金属は、マルテンサイト変態温度以上になると、振動減衰率が低下する。本発明者の計測によれば、図7に例示されている如く、例えば、Mg−Zr合金及びMn−Cu合金の振動減衰率は、50℃から140℃付近で、常温時(50℃未満)の2/3程度まで低下することが見出された。一方、自動車の変速機やトランスアクスルなどの動力伝達装置の場合、軸受内で転動体(例えば、ころ)が転動することによる摩擦熱、或いは、回転体上のギヤの噛合いによる摩擦熱(回転体自体の温度が上昇する)により、軸受の温度は、100℃付近まで上昇する場合がある。従って、上記の高振動減衰金属は、その振動減衰率が軸受の通常の作動温度で低下してしまうということになり、制振部材として用いられても十分な振動低減作用を発揮することができないのである。
【0007】
もし振動減衰率を低下させずに上記の高振動減衰金属を制振部材として用いることができれば、(従来は、殆ど制振対策が施されていなかった)自動車等の動力伝達装置の軸受構造においても、回転体及び軸受の振動の伝播が低減され、該装置全体の振動・騒音を抑えることができることとなろう。
【0008】
かくして、本発明の解決しようとする一つの課題は、振動・騒音を低減する制振部材を組みこんだ新規な軸受装置又はその構成部材を提供することである。
【0009】
本発明のもう一つの課題は、自動車等の大型の機械の回転体を支持する軸受装置であって、回転体又は軸受内に発生する振動・騒音を有効に低減する制振部材を備えた上記の如き軸受装置を提供することである。
【0010】
本発明のもう一つの課題は、上記の如き装置であって、軸受のための好ましい振動減衰能を有しているはずの材料であるが装置の作動中の温度下ではかかる振動減衰能が低下してしまうものから構成される制振部材でも利用可能にすることのできる新規な構造を有する軸受装置を提供することである。
【0011】
本発明の更にもう一つの課題は、上記の如き装置であって、高温条件下で振動減衰能が低下する制振部材を装置内で発生する熱から保護し、制振部材が好ましい性能を発揮できるようにした新規な構造を有する軸受装置を提供することである。
【0012】
本発明の更にもう一つの課題は、上記の如き装置であって、制振部材として、高弾性率・高振動減衰金属材料を採用し且つ通常の軸受の作動温度において振動・騒音を低減することのできる軸受装置を提供することである。
【0013】
本発明の更にもう一つの課題は、上記の如き装置であって、制振部材として、高振動減衰金属材料を用い、その振動減衰効果を十分に発揮できるようにした軸受装置を提供することである。
【0014】
本発明の更なる課題は、上記の如き装置であって、高振動減衰金属材料からなる制振部材の振動減衰能を低下させないよう構成された軸受装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成する本発明は、軸受と、軸受を支持する軸受支持体と、軸受に装着される回転体とを含む軸受装置に適用される。本発明の第一の局面によれば、本発明の軸受装置は、軸受支持体及び回転体のうちの少なくとも一方と軸受との間に制振部材が設けられ、更に、軸受の制振部材に対向する部分を構成する材料の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料からなる低熱伝導部材が、制振部材と軸受との間に介在させられていることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る軸受装置の作動中、即ち、軸受に装着された回転体の回転中に問題となる振動又は騒音は、回転体又は軸受において発生する振動が、軸受を介して軸受支持体又は機械全体に伝播することにより、機械全体に於いて増幅することにより生じていた。上記の本発明においては、かかる回転体又は軸受から軸受支持体への振動の伝播が、軸受支持体及び回転体のうちの少なくとも一方と軸受との間に設けられる制振部材により阻止又は低減される。その際、単に制振部材だけを設けただけでは、軸受又は回転体で発生する熱が制振部材に伝導し、これにより制振部材の温度が上昇して振動減衰能が低下してしまうところ、本発明においては、制振部材と軸受との間に介在させた低熱伝導部材によって、軸受から制振部材への熱伝導が阻止又は低減される。かくして、高弾性率・高振動減衰金属に限らず、温度が上昇することで振動減衰能が低下してしまう制振部材であっても、その性能を低下させずに、良好に振動又は雑音の伝播を抑えられることとなる。
【0017】
また、上記の課題を達成する本発明の第二の局面によれば、本発明の軸受装置は、軸受支持体及び回転体のうちの少なくとも一方と軸受との間に制振部材が設けられ、回転体の制振部材に対向する部分を構成する材料の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料からなる低熱伝導部材が制振部材と回転体との間に介在させられていることを特徴とする。
【0018】
軸受装置の作動中に発生する熱のうち、特に、回転体において発生する熱、例えば、自動車等の動力伝達装置の回転体に備えられる歯車の噛合いに於ける摩擦熱に着目して、本発明の上記の構成によれば、制振部材と回転体との間の任意の部位に設けられた低熱伝導部材により、回転体から制振部材へ向う(熱伝導による)熱の流れが妨げられる。かくして、制振部材の温度上昇が抑えられ、温度上昇により振動減衰能が低下する制振部材であっても、その性能の低下が抑えられることとなる。
【0019】
更に、本発明の第三の局面によれば、本発明の軸受装置は、軸受及び回転体が潤滑又は冷却用のオイルに曝されている場合において、軸受支持体及び回転体のうちの少なくとも一方と軸受との間に制振部材が設けられ、かかる制振部材の少なくとも一部を囲繞し制振部材をオイルから隔離する隔離用部材が設けられていることを特徴とする。
【0020】
軸受装置における可動部や摺動部に於いては、典型的には、それらの部位を潤滑又は冷却する目的でオイル又はフルード等の流体が供給(又は循環)される。オイルの温度は、軸受や回転体の熱を吸収するため、相当に上昇しており、そのような高温のオイルが制振部材に接触すると、制振部材の温度が上昇してしまう。上記の本発明の第三の局面の構成では、制振部材を隔離用部材により囲繞することにより、高温のオイルの制振部材への接触が避けられ、かくして、制振部材の温度上昇が抑えられる。
【0021】
上記の隔離用部材は、本発明の第一又は第二の局面の構成の低熱伝導部材とともに設けられてよく、その場合、制振部材の温度上昇は更に効果的に抑えられることとなる。隔離用部材は、例えば、上記の低熱伝導部材を延長して低熱伝導部材と一体的に構成されてよい。また、隔離用部材は、制振部材が軸受支持体と軸受との間に介在する場合には軸受支持体へ、或いは、制振部材が回転体と軸受との間に介在する場合には回転体へ取り付けられる別体のプレート(又は軸受支持体又は回転体の一部を延長して構成されるプレート)であってよい。更にまた、隔離用部材として、軸受に鍔を設け、かかる鍔により、制振部材を囲繞するよう構成されてよい。更に、隔離用部材と制振部材との間には空隙が設られることが好ましく、この場合、空気の熱伝導率は相当に低いため、隔離用部材と制振部材が直に接触している場合よりも効果的に制振部材への熱伝導が阻止され、制振部材の温度上昇を抑えることができる。
【0022】
更に又、本発明の第四の局面によれば、本発明の軸受装置は、制振部材が、軸受装置の外部の大気(又は軸受装置内に大気が引き込まれている場合にはその大気)に接触した部分へ向って延在する放熱部材を有していることを特徴とする。放熱部材は、制振部材とは別体として設けられてもよく、また、制振部材の一部を延長することにより一体的に形成されてもよい。
【0023】
既に述べた如く、制振部材の振動減衰能の低下の原因は、部材の温度の上昇であるところ、上記の第四の局面の構成によれば、放熱部材を介して、制振部材に溜まった熱の放出を促進し、振動減衰能の低下が抑えられることとなる。特に、この局面の構成によれば、制振部材の内部で発生する熱による温度上昇を抑えるのにも効果があることは理解されるべきである。制振部材は、回転体又は軸受からの振動の更なる伝播を抑えるべく、振動を減衰するが、その際、振動エネルギーは最終的には熱になると考えられ、部材の温度上昇の原因となり得る。上記の第四の局面の構成によれば、制振部材内の熱を外部に放出し易い構造を採用することにより、制振部材の外から、即ち、軸受やオイルから流入してくる熱だけでなく、制振部材の内部で発生する熱に起因する温度上昇も抑えることができる。
【0024】
上記の第四の局面の構成は、第一乃至第三の局面の構成と組み合わせて設けられてよく、その場合、より効果的に制振部材の温度上昇を抑えられることになる。また、軸受装置の任意の構造において可能であれば、制振部材に備えられた放熱部材が、大気に直に接触するように構成されてよく、より効果的に、制振部材の放熱が行われることとなる。
【0025】
上記の第一から第四までの局面において述べた本発明の特徴的な効果を相する構成要素の各々は、制振部材とともに、軸受、軸受支持装置又は回転体の各々に個別に設けられてよく、これにより、本発明の特徴を有する軸受、軸受支持装置又は回転体を汎用の軸受、軸受支持装置又は回転体と組み合わせて用いることができることは理解されるであろう。また、軸受用に構成された制振部材に上記の如き低熱伝導部材を組み合わせることにより、部材が任意の軸受に装着された際に、上記の第一の局面において説明した場合と同様の作用効果が得られることは理解されるであろう。
【0026】
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
【0028】
なお、以下において、本発明は、自動車等の動力伝達装置に典型的に見られるころがり軸受、より詳細には、ころ軸受に適用される態様により説明されるが、本発明が、その概念及び範囲から逸脱することなく、その他の任意のころがり軸受やすべり軸受を含む軸受構造にも、また、軸受構造を有する任意の機械又は装置においても同様に適用可能であることは理解されるであろう。
【0029】
図1及び図2(A)−(C)には、本発明が適用されている自動車等のトランスアクスルに於ける軸受周辺の構造の断面の模式図が示されている。これらの図を参照すると、符号10にて示された軸受は、円錐ころ軸受であり、線CLを中心とする環状の軸受外輪12と軸受内輪14との間にて、複数のころ又は転動体16が挾持され転動できるようになっている(図では、簡単のため、一つの転動体のみが示されている。)。軸受外輪12は、機械本体(図の例ではトランスアクスル)の枠に形成された軸受支持体又はケース20に固定的に保持される。他方、軸受内輪14は、機械の回転体22上に対し固定的に保持される。回転体22には、軸受が設けられている部位とは、別の部位にギヤ24が形成されており、図示していない別の回転体のギヤに作動的に係合している。かくして、周知の如く、回転体22が回転すると、軸受内輪14は、回転体22と伴に回転し、これにより、転動体16が軸受内輪14と軸受外輪12との間で転動する。軸受の各要素は、当業者にとって周知の任意の軸受鋼、例えば、高炭素クロム鋼で形成されてよい(機械の種類又は採用される軸受に要求される条件を満たす任意の材料が選択されてよい。)。
【0030】
図示されている如き軸受構造が備えられた機械において問題となっている振動又は騒音は、回転体のギヤが別の回転体のギヤとの噛合いによる衝撃振動或いは軸受の転動体の回転振動に起因する。それらの振動が軸受を介して軸受支持体に伝達されることを防ぐべく、図1及び2の本発明の実施形態では、軸受支持体20と軸受外輪12との間(図1及び図2(B))又は軸受内輪14と回転体22との間(図2(A)及び(C))に制振部材Sが設けられる。制振部材Sは、回転体又は軸受において発生する振動を吸収し、かくして、軸受支持体20へ伝わる振動が低減される。図2(A)又は(C)においては、軸受10内で発生する振動は、軸受支持体20に伝達されてしまうが、トランスアクスルなどの回転体がギヤを有している機械において振動又は騒音のもととなる振動は、主として回転体のギヤが噛合うことにより発生するので、制振部材を図2(A)及び(C)の如く配置する場合でも、回転体の振動及びその振動による軸受の共振が抑えられ、機械全体の振動・騒音が大幅に低減されることとなる。
【0031】
制振部材Sは、既に述べた如く、高弾性率・高振動減衰金属から形成されてよい。例えば、強磁性型高振動減衰金属であるK1X1(Mg−Zr合金)、双晶型高振動減衰金属であるM2052(Mn−Cu合金)等が採用される。制振部材Sは、好ましくは、軸受の外周面又は内周面に沿って設けられ、従って、その場合には、完全には図示されていないが、環状スリーブ形状を有していることは理解されるべきである。
【0032】
上記の制振部材Sに採用される金属材料は、既に述べた如く(図7参照)、50℃から150℃の温度範囲において、温度が高くなるにつれて、その振動減衰率(又は振動減衰能)が低下してしまう。かかる金属材料は、その振動減衰能が低下する温度が自動車のトランスアクスル等の機械の作動温度(100℃前後)に近く、従って今までのところ、制振部材として実際上利用されていない。
【0033】
軸受及び回転体の温度を上昇させる熱は、上記の如き軸受構造においては、主として、転動体16と軸受内外輪12、14とが接触する部位(例えば、図中、符号26にて示された領域)又は回転体のギヤ24が噛合う部位(例えば、図中、符号28にて示された領域)の摩擦により発生する摩擦熱である。従って、本発明の図1及び2の実施形態においては、低熱伝導部材Pを軸受外輪12と制振部材Sとの間(図1)、軸受内輪14と制振部材Sとの間(図2(A))、軸受内輪14と回転体22との間(図2(B))又は制振部材Sと回転体22との間(図2(C))に設け、制振部材への前記の摩擦熱の流入を低減して、これにより、制振部材Sの温度の上昇が抑えられる。低熱伝導部材Pは、図1及び図2(A)では、熱伝導率が軸受鋼の熱伝導率よりも低い材料、図2(B)及び図2(C)では、熱伝導率が回転体の(制振部材に対向する部分の)構成材料よりも低い材料が用いられる。低熱伝導部材として利用可能の材料は、例えば、軸受鋼よりも熱伝導率が小さく、しかも高強度なTi合金であってよい(トランスアクスルの軸受の軸受鋼(高炭素クロム鋼)の熱伝導率は、例えば、40kcal/m・h・℃であり、Ti合金の熱伝導率は、15kcal/m・h・℃である。)。なお、軸受鋼と低熱伝導部材の熱伝導率は、本発明の概念を逸脱することなく、適宜選択可能であることは理解されるであろう。また、低熱伝導部材も、好ましくは、制振部材と同様に軸受の内周面又は外周面に沿って設けられ、従って、環状のスリーブ形状を有していることは理解されるであろう。
【0034】
制振部材と低熱伝導部材とをいずれの部位に設けるかは、本発明の適用される回転体の状態又は構成或いは軸受の形式により適宜選択されてよい。例えば、図1の例では、回転体及び軸受で発生する全振動の伝播を抑えつつ、軸受内の領域26及び回転体の領域28で発生した摩擦熱が制振部材Sへ流入することが妨げられることとなる。従って、抑えられるべき振動が回転体と軸受の双方で発生し、しかも、相当量の摩擦熱が領域26及び28で発生する場合に採用されることとなろう。図2(A)の例は、例えば、回転体の振動が大きく、その振動が軸受に伝わると軸受が共振してしまう可能性があるが、回転体の領域28の摩擦熱が比較的小さい場合(摩擦熱源28が軸受から離れている場合など)又は軸受の領域26の摩擦熱が大きい場合に有用であり、この場合、回転体の振動の伝播が軸受に進行する前に抑えられ、且、軸受の領域26からの熱が制振部材Sに流入することが妨げられることとなる。図2(B)の例は、軸受の領域26の摩擦熱が比較的小さいが、回転体の領域28の摩擦熱が相当に大きい場合に有用である。図2(C)の例は、回転体の振動による影響が大きく、しかも回転体の領域28の摩擦熱が大きく、回転体の振動と熱さえ抑えれば、軸受の振動や熱はあまり問題にならない場合に有用である(図2(A)及び2(C)の場合に、制振部材の両側に低熱伝導部材が設けられてもよい。)。
【0035】
上記の制振部材S及び低熱伝導部材Pは、典型的には、圧入により、適宜選択された部位に配置されてよい。また、当業者にとって知られている任意のその他の方法が用いられてよい。
【0036】
かくして、上記の本発明の実施の形態によれば、回転体又は軸受で発生する熱が制振部材へ流入することが妨げられるため、制振部材の温度上昇が抑えられ、従って、温度上昇により振動減衰能が低下する高弾性率・高振動減衰金属材料を制振部材として採用することが可能となる。このことは、従来のゴムなどの高分子材料からなる制振部材が利用できなかった軸受構造にも制振部材を設けることが可能となったということを意味する。
【0037】
図3には、図1と同様の軸受構造の模式図であり、本発明の別の実施形態が例示されている。図1において既に説明した構成については、上記の説明を参照されたい。
【0038】
図3に示されている軸受構造は、図1の軸受構造に於いて軸受支持体20と低熱伝導部材Pとの間又は軸受10と軸受支持体20との間に配置された制振部材Sの開放されている部分、即ち、軸受支持体20と低熱伝導部材Pとに覆われていない部分が隔離用部材Kにより囲繞されるよう構成されている。このことにより、軸受周辺に循環又は飛散している潤滑又は冷却用のオイル等の流体から、制振部材Sが隔離されることとなる。
【0039】
自動車等のトランスアクスルの軸受構造に制振部材を設けた場合、既に述べた如く、その軸受周辺内に存在する上記の如きオイルも制振部材の温度上昇の熱源となり得る。これらのオイルは、軸受や回転体の摩擦領域を潤滑又は冷却するものであり、従って、かかる領域を通過又は経由する際にその場所で熱を吸収しており、温度が相当に高くなっている。その高温の状態のオイルが制振部材へ直接飛散し接触したとすると、オイルの接触による温度上昇の影響は、摩擦領域から熱伝導よりも大きい場合も有り得る。本発明によれば、図示の如く、制振部材の開放されていた部分を隔離用部材Kにより囲繞して、オイルの制振部材へのルートを遮断し、これにより、制振部材に熱が運ばれないように構成される。
【0040】
隔離用部材は、種々の要素により形成されてよく、機械の構成又は状態により適宜選択されてよい。
【0041】
図3(A)の例では、低熱伝導部材Pを延長して、軸受外輪12と制振部材Sとの間だけではなく、軸受支持体20と伴に制振部材S全体を囲繞するよう構成し、これにより、オイルの制振部材Sへの侵入可能な経路を遮断する隔離用部材Kとして機能する。図3(B)は、図3(A)の例を改良したものであり、隔離用部材Kを構成する部分の低熱伝導部材と制振部材Sとの間に空隙Gが設けられている。ここで用いられる金属材料の熱伝導率は、数十kcal/m・h・℃であるのに対し、空気の熱伝導率は、80℃で0.026kcal/m・h・℃であり、従って、空隙Gを設けることにより、非常に良好な熱遮蔽効果が得られることが理解されるであろう。
【0042】
図3(C)は、軸受、より詳細には、軸受外輪12の一部が延長されて鍔30を構成しており、その鍔が制振部材Sの開放された部分を囲繞する隔離用部材Kとなっている。鍔は、軸受外輪と一体成形されてよく、また、軸受外輪と同じ材料で形成されてよい。図3(A)又は(B)の例では、隔離用部材Kとして低熱伝導部材Pが延長されていたが、低熱伝導部材に用いられるTi合金の如き、高強度で且熱伝導率の低い材料は、高価であり、その使用量が多くなればなるほど、製造コストが増大してしまう。しかしながら、軸受外輪と同一の材料、即ち、軸受鋼ならば、上記の低熱伝導部材に使用される如き材料に比して廉価であるので製造コストの増大が抑えられる。なお、図3(C)から理解される如く、鍔30と制振部材Sの間にも空隙Gを設け、鍔30に高温のオイルが付着しても、その熱が制振部材Sに伝導されにくくなっていることが望ましい。
【0043】
図3(D)は、隔離用部材Kとして、好ましくは別体のプレート32を軸受支持体20に取り付け、制振部材Sの開放された面を囲繞した例を示している。別体のプレート32は、軸受鋼又は軸受支持体と同一の材料から構成されてよい。又、図3(C)の例と同様に、プレート32と制振部材Sとの間には、空隙Gが設けられ、プレートから制振部材へ容易に熱が伝導されないようになっていることが好ましい。図3(C)の例では、軸受外輪12に鍔を設ける改造が施されなければならないが、図3(D)の場合、汎用の軸受を用いることが可能となり、製造コストの増大が抑えられる。勿論、プレート32と同等の構成が、軸受支持体20に一体に形成されていてもよい。
【0044】
図3(C)−(D)に示されている構成は、図1の軸受構造に隔離用部材Kを追加した態様にて示されているが、必ずしも低熱伝導部材Pが備えられていなくとも、高温のオイルから制振部材Sへの熱伝達を抑える又は低減する効果が得られることは理解されるであろう。又、図2に示されている軸受構造においても、同様に隔離用部材が設けられることは、当業者にとって理解されるべきである。特に、制振部材が回転体22と軸受内輪14との間に設けられる場合には、軸受の鍔は、軸受内輪へ設けられ、或いは、プレートは、回転体に設けられることとなる。
【0045】
図1−3に例示された本発明の実施形態は、制振部材Sへ、その外部から熱が流入することを防ぐことを目的とした構成である。しかしながら、軸受装置の運転時間が長くなれば、徐々に制振部材Sへ熱が流入し、制振部材の温度が上昇することも有り得る。又、既に述べた如く、制振部材Sが回転体又は軸受からの振動を減衰又は吸収して振動の伝播を抑えるところ、制振部材に進入した振動エネルギーは、最終的には熱に変換され、このことによっても、制振部材Sの温度が上昇し得る。そこで、図4に例示されている実施の形態においては、制振部材Sに一旦流入した熱又は制振部材内部で発生した熱を放熱する放熱構造が設けられ、これにより、制振部材Sの温度上昇を抑えられるよう構成される。
【0046】
図4(A)は、図1と概ね同様の軸受構造に、制振部材Sの放熱構造が備えられている例である。同図から明らかな如く、軸受支持体20は、外部において、大気(通常、軸受構造内部よりも低温である。)に接触した部分又は表面を有し、そこから熱が大気へ向って放出されやすくなっている。軸受支持体20の内部には、制振部材Sを保持する部位から大気に接触する表面へ向って、通路34が設けられ、その通路34には、制振部材Sより延在する放熱部材Hが装着される。放熱部材Hは、制振部材Sと同一の材料若しくは熱伝導率が制振部材よりも大きい任意の材料により制振部材と一体形成されるか、別体として形成され通路34に装着された際に制振部材Sと接触するようになっていてよい。また、好ましくは、図4(B)に示されている如く、装置の構造上で可能であれば(例えば、軸受構造が機械の比較的外部に位置する場合など)、制振部材に取り付けられる放熱部材Hが直接に大気に接触するよう構成し、これにより、放熱効果を各段に高められるようになっていてよい。その場合、図示の如く、軸受10が放熱部材Hにより保持されるよう構成されてもよい。
【0047】
かくして、図4に例示された本発明の実施形態によれば、制振部材Sからの放熱が促進され、これにより、同部材の温度上昇、即ち、振動減衰能の低下が抑制される。なお、図4の軸受構造には、低熱伝導部材P又は隔離用部材Kが設けられていないが、これらの部材が、装置の構造上で可能であれば、放熱部材Hと併用されてよいことは、理解されるであろう。
【0048】
図示していないが、当業者にとって理解されるように、軸受、軸受支持体又は回転体において、個別に本発明の教示するところの(図1乃至図4に例示されている)改良を施し、汎用の機械又は装置に装着できるようになっていてよい。軸受については、その外輪又は内輪(或いは外周面若しくは内周面)に制振部材Sと低熱伝導部材Pを取り付け、任意の汎用の軸受支持体と回転体との間に装着されてよい。また、制振部材Sと低熱伝導部材Pとからなる組立体を構成し、汎用の軸受の内周面又は外周面に取り付けられるようにされてよい。
【0049】
任意の機械における軸受支持体又は軸受支持装置に於いては、本発明によれば、図1−4に例示されている如き、制振部材S、低熱伝導部材P、隔離用部材K若しくはプレート32又は放熱部材Hが設けられ、汎用の軸受及び回転体を受け入れられるよう改良がなされてよい。同様に、任意の機械の回転体に於いては、本発明によれば、制振部材S、低熱伝導部材P、隔離用部材K若しくはプレート32又は放熱部材Hが設けられ、汎用の軸受に受け入れられるよう構成されてよい。
【0050】
実験例
本発明をFF乗用車用トランスアクスルの軸受構造に適用し、振動低減の効果を以下の如く検証した。
【0051】
図5は、図1に例示されている如き本発明による軸受構造が採用されたトランスアクスルの模式的な平面断面図である(本発明の構成に直接に関連していない構成は省略されている。)。図示の如きトランスアクスルは、その減速機構部にヘリカルギヤ(ハス歯歯車)を多く含み、かかるヘリカルギヤの噛合いの回転変動による振動が、ギヤから、シャフト(回転体)、軸受、ケース40(軸受支持体)へと伝達する。典型的にはアルミニウム合金等の軽合金にて構成されるケースの固有振動数は、1−2kHzとなる場合が多く、一方、自動車等の車両が、その常用使用域である時速60−100kmにて走行する場合、トランスアクスルのギヤの噛合い1次周波数(ギヤを回転する強制力が最も大きい)も1−2kHzとなる場合が多い。従って、自動車等の常用使用域において、噛合い周波数がケースの共振周波数と重なるため、ギヤ噛合いにより生ずる振動又は音がケースを共振し、これにより、振動又は騒音が増幅されてしまう。
【0052】
実験では、トランスアクスルのカウンタドライブ軸42、カウンタドリブン軸44及びファイナル軸46の両端にて、軸受48とケース40との間に、制振部材及び低熱伝導部材50を図1に示された形態で装着し、トランスアクスルを運転した際の放射音を測定した。制振部材及び低熱伝導部材は、各々、双晶型高振動減衰金属であるMn−Cu合金及び軸受鋼よりも熱伝導率の低いTi合金(熱伝導率 15kcal/m・h・℃)から円環スリーブの形態で形成され、圧入により軸受とケースとの間に嵌挿した。軸受鋼は、高炭素クロム鋼(熱伝導率 40kcal/m・h・℃)である。放射音の測定においては、試験されるトランスアクスルをベンチに取り付け、モータにより駆動力及び吸収負荷を与えて、所定の回転数とトルクにて運転し、その際にトランスアクスルから放射される音をトランスアクスルの上下、(車両の進行方向に対する)前後及び左の5箇所にて音圧測定用マイクにより収集した。
【0053】
図6のグラフは、トランスアクスルの作動状態が安定した後に、トルク一定の下、車速70−160km/hに相当する範囲で回転数を上下させながら連続的に測定された放射音の音圧の周波数分布である。縦軸は、音圧値dBであり、横軸は、放射音の周波数(Hz)を示している(測定された放射音は、FFTアナライザを用いて解析した。)。図中、A(実線)は、本発明により制振部材と低熱伝導部材を装着した場合、B(破線)は、制振部材のみを装着した場合、C(一点鎖線)は、制振部材及び低熱伝導部材を装着していない場合の結果をそれぞれ示している。なお、放射音の周波数は、歯車で生ずる振動、即ち、歯の噛合い周波数に対応すると考えて良い。
【0054】
図6のグラフのA、B及びCを比較して理解されるように、C(制振部材が設けられていない場合)に比較して、制振部材を装着するだけでも(B)、ある程度の放射音圧の低減が見られ、制振部材に加えて更に低熱伝導部材を装着することにより(A)、より一層、放射音が低減されたことが理解されるであろう。制振部材に更に低熱伝導部材を組み合わせた場合の放射音の低減効果は、噛合い周波数がケースの共振周波数に重なる範囲、即ち、制振部材が設けられていなければ音圧の増大が生ずる範囲(1200−1500Hz)において顕著であった。トランスアクスルが安定的に作動している状態では、軸受及びその近傍の温度は、90−100℃まで上昇し、かかる温度の近傍では、既に述べた如く(図7参照)、制振部材の振動減衰率が(約50℃に於ける値の2/3程度)低減するはずであるが、低熱伝導部材を設けた場合(A)に於いては、それを設けない場合(B)によりも放射音が低く抑えられた。上記の結果は、本発明の教示に従い、制振部材に加えて、低熱伝導部材を装着することにより、制振部材の温度上昇が抑えられ、これにより、制振部材が、(その振動減衰能が低下せずに)振動の伝播を抑えることができるようになったことを示している。
【0055】
【発明の効果】
既に述べた如く、従来の技術において、重量の大きい機械又は装置には、ゴム弾性体等の高分子材料を制振部材として用いることができず、実際上、制振部材自体が、殆どの場合、用いられていなかった。本発明の新規な構造によれば、高弾性率・高振動減衰金属の如き、大きな重量には耐えられるが高温環境下ではその振動減衰能を十分に発揮できない制振材料が、軸受装置の制振部材として利用できるようなり、かくして、従来では制振部材による制振処理を施すことができなかった中型又は大型の機械又は装置において、振動又は騒音を低減する措置を取ることが可能となった。
【0056】
上記に述べた本発明の特徴的な構成は、自動車等の変速機や動力伝達装置だけでなく、種々の重量の大きい機械又は軸受装置に適用されてよい。また、小型で、軸受にそれほど荷重がかからない機械又は装置であっても、例えば、高い回転精度が要求され、ゴムなどの剛性の小さい(荷重に対する歪みの大きい)制振部材を用いることができなかった精密な装置にも適用できることは理解されるであろう。
【0057】
本発明では、軸受装置に制振部材を設けた場合の、その温度上昇の原因となる(a)回転体及び軸受からの(摩擦熱の)熱伝導により伝わってくる熱、(b)軸受及び回転体の可動部又は摺動部からの高温オイルとの接触により伝わる熱、又は(c)制振部材内で発生する熱による制振部材の温度上昇を抑制するべく、(i)軸受の材料よりも熱伝導率の低い材料からなる低熱伝導部材、(ii)オイルと制振部材とを隔離する隔離用部材或いは(iii)制振部材内の熱を外部へ放出する放熱部材とが設けられる。これらの部材は、軸受装置の構造上可能であれば、同時に併用されて良く、又、その方が好ましいが、いずれか一つのみで用いられても、制振部材の温度上昇の抑制に効果があり、従って、軸受に制振部材が単独で装着される場合よりも、高い振動減衰効果が得られ、軸受装置又は機械の振動又は騒音は低減される。
【0058】
本発明の実施の形態では、制振部材の材料として高弾性率・高振動減衰金属が採用されているが、本発明の教示するところは、熱により振動減衰能が低下してしまう任意の制振材料を採用する軸受装置に有用であることは、理解されるであろう。
【0059】
ところで、本発明は、上記の如く、種々の実施の形態にて、軸受装置に適用可能である。それらの実施の形態は、本発明が適用される個々の軸受装置の寸法、構成又は構造に適合するべく選択されてよい。選択において重要なことの一つは、制振部材が、伝播が防がれるべき振動の発生源と機械本体又は軸受支持体との間の任意の部位に設けられ、低熱伝導部材又は隔離用部材が、熱源と制振部材との間の任意の部位に設けられるということである。また、放熱部材は、制振部材よりも低温の領域へ向って延在するよう構成されるべきである。
【0060】
以上の説明は、本発明の実施の態様に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易になされることは、理解されるべきであり、本発明は、上記に例示された実施態様のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による軸受構造の模式図。制振部材と低熱伝導部材とが軸受支持体と軸受の間に嵌挿されている。
【図2】本発明による図1と同様の軸受構造の模式図。(A)低熱伝導部材と制振部材とが軸受と回転体との間に嵌挿されている。(B)制振部材が軸受と軸受支持体との間に、低熱伝導部材が軸受と回転体との間に、それぞれ嵌挿されている。(C)制振部材と低熱伝導部材とが軸受と回転体との間に嵌挿されている。
【図3】本発明による隔離用部材を備えた図1と同様の軸受構造の模式図。(A)隔離用部材が低熱伝導部材の延長部分により形成されている。(B)隔離用部材が低熱伝導部材の延長部分により形成され、制振部材と隔離用部材との間に空隙が設けられている。(C)隔離用部材が軸受に設けられた鍔により形成されている。(D)隔離用部材が軸受支持体に設けられたプレートにより形成されている。
【図4】本発明による放熱部材を備えた図1と同様の軸受構造の模式図。(A)放熱部材が軸受支持体内部に延在している。(B)放熱部材により軸受支持体の一部が構成されている。
【図5】軸受構造に本発明が適用されているトランスアクスルの模式的な平面断面図。
【図6】図5のトランスアクスルの作動時に測定された放射音の音圧の周波数分布図。
【図7】高弾性率・高振動減衰金属の振動減衰率の温度依存性を示す図。
【符号の説明】
10…軸受
12…軸受外輪
14…軸受内輪
16…転動体(ころ)
20…軸受支持体
22…回転体
24…歯車
26、28…摩擦熱発生領域
30…鍔
32…プレート
S…制振部材
P…低熱伝導部材
K…隔離用部材
G…空隙
H…放熱部材

Claims (39)

  1. 軸受と、前記軸受を支持する軸受支持体と、前記軸受に装着される回転体とを含む軸受装置であって、前記軸受支持体及び前記回転体のうちの少なくとも一方と前記軸受との間に高弾性率高振動減衰金属からなる制振部材が設けられ、前記軸受の前記制振部材に対向する部分を構成する材料の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料からなる低熱伝導部材が前記制振部材と前記軸受との間に介在させられていることを特徴とする軸受装置。
  2. 請求項1の軸受装置であって、前記軸受の前記制振部材に対向する部分を構成する材料が軸受鋼である軸受装置。
  3. 軸受と、前記軸受を支持する軸受支持体と、別のギヤとの噛合いを有するギヤを備え前記軸受に装着される回転体とを含む軸受装置であって、前記軸受支持体及び前記回転体のうちの少なくとも一方と前記軸受との間に高弾性率高振動減衰金属からなる制振部材が設けられ、前記回転体の前記制振部材に対向する部分を構成する材料の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料からなる低熱伝導部材が前記制振部材と前記回転体との間に介在させられていることを特徴とする軸受装置。
  4. 請求項1乃至3の軸受装置であって、前記低熱伝導部材の材料がTi合金である軸受装置。
  5. 請求項1乃至4の軸受装置であって、前記軸受及び前記回転体がオイルに曝されており、更に前記制振部材の開放されている部分を囲繞し前記制振部材を前記オイルから隔離する隔離用部材が設けられていることを特徴とする軸受装置。
  6. 請求項5の軸受装置であって、前記隔離用部材が前記低熱伝導部材の延長された部分であることを特徴とする軸受装置。
  7. 軸受と、前記軸受を支持する軸受支持体と、前記軸受に装着される回転体とを含む軸受装置であって、前記軸受及び前記回転体がオイルに曝されており、前記軸受支持体及び前記回転体のうちの少なくとも一方と前記軸受との間に制振部材が設けられ、前記制振部材の開放されている部分を囲繞し前記制振部材を前記オイルから隔離する隔離用部材が設けられていることを特徴とする軸受装置。
  8. 軸受と、前記軸受を支持する軸受支持体と、前記軸受に装着される回転体とを含む軸受装置であって、前記軸受及び前記回転体がオイルに曝されており、前記軸受支持体及び前記回転体のうちの少なくとも一方と前記軸受との間に制振部材が設けられ、前記制振部材の開放されている部分を囲繞し前記制振部材を前記オイルから隔離する隔離用部材が設けられ、前記隔離用部材が前記軸受に設けられた鍔であることを特徴とする軸受装置。
  9. 請求項5又は7の軸受装置であって、前記制振部材が前記軸受支持体と前記軸受との間に介在し、前記隔離用部材が前記軸受支持体に取り付けられたプレートであることを特徴とする軸受装置。
  10. 請求項5又は7の軸受装置であって、前記制振部材が前記回転体と前記軸受との間に介在し、前記隔離用部材が前記回転体に取り付けられたプレートであることを特徴とする軸受装置。
  11. 請求項5乃至10の軸受装置であって、前記隔離用部材と前記制振部材との間に空隙が設けられていることを特徴とする軸受装置。
  12. 軸受と、前記軸受を支持する軸受支持体と、前記軸受に装着される回転体とを含み、前記軸受支持体及び前記回転体のうちの少なくとも一方と前記軸受との間に制振部材が設けられている軸受装置であって、前記軸受装置の外部の大気に接触した部分を有し、前記制振部材が前記外部の大気に接触した部分へ向って延在する放熱部材を有していることを特徴とする軸受装置。
  13. 請求項12の軸受装置であって、前記放熱部材が前記外部の大気に接触していることを特徴とする軸受装置。
  14. 請求項1乃至13の軸受装置であって、前記軸受がころがり軸受である軸受装置。
  15. 軸受を支持するための軸受支持装置であって、前記軸受が装着された際の該軸受に対向する部位に高弾性率高振動減衰金属からなる制振部材が設けられ、前記軸受が配置される位置と前記制振部材との間に前記軸受の前記制振部材に対向する部分を構成する材料の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料からなる低熱伝導部材が設けられていることを特徴とする軸受支持装置。
  16. 請求項15の軸受支持装置であって、前記軸受の前記制振部材に対向する部分を構成する材料が軸受鋼であり、前記低熱伝導部材の材料がTi合金である軸受支持装置。
  17. 請求項15又は16の軸受支持装置であって、前記制振部材の開放されている部分を囲繞し前記軸受が装着され該軸受支持装置が作動される際に該軸受に供給されるオイルから前記制振部材を隔離する隔離用部材が設けられることを特徴とする軸受支持装置。
  18. 請求項17の軸受支持装置であって、前記隔離用部材が前記低熱伝導部材の延長された部分である軸受支持装置。
  19. 軸受を支持するための軸受支持装置であって、前記軸受が装着された際の該軸受に対向する部位に制振部材が設けられ、前記制振部材の開放されている部分を囲繞し前記軸受が装着される際に該軸受に供給されるオイルから前記制振部材を隔離する隔離用部材が設けられていることを特徴とする軸受支持装置。
  20. 請求項17又は19の軸受支持装置であって、前記隔離用部材が前記軸受支持体に取り付けられたプレートであることを特徴とする軸受支持装置。
  21. 請求項17乃至20の軸受支持装置であって、前記隔離用部材と前記制振部材との間に空隙が設けられていることを特徴とする軸受支持装置。
  22. 軸受を支持するための軸受支持装置であって、該軸受支持装置の外部の大気に接触した部分と、前記軸受が装着された際の該軸受に対向する部位に制振部材とが設けられ、前記制振部材が前記外部の大気に接触した部分へ向って延在する放熱部材を有していることを特徴とする軸受支持装置。
  23. 請求項22の軸受支持装置であって、前記放熱部材が前記外部の大気に接触していることを特徴とする軸受支持装置。
  24. 軸受に装着される回転体であって、前記軸受に装着された際に前記軸受に対向する部位に高弾性率高振動減衰金属である制振部材が設けられ、前記軸受が配置される位置と前記制振部材との間に前記軸受の前記制振部材に対向する部分を構成する材料の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料からなる低熱伝導部材が設けられていることを特徴とする回転体。
  25. 請求項24の回転体であって、前記軸受の前記制振部材に対向する部材を構成する材料が軸受鋼である回転体。
  26. 軸受に装着される回転体であって、前記軸受に装着された際に前記軸受に対向する部位に高弾性率高振動減衰金属である制振部材が設けられ、該制振部材と前記軸受に対向する部位との間に前記回転体の前記制振部材に対向する部分を構成する材料の熱伝導率よりも低い熱伝導率を有する材料からなる低熱伝導部材設けられていることを特徴とする回転体。
  27. 請求項24乃至26の回転体であって、前記低熱伝導部材の材料がTi合金である回転体。
  28. 請求項24乃至27の回転体であって、前記制振部材の開放されている部分を囲繞し前記軸受に装着され作動される際に該軸受に供給されるオイルから前記制振部材を隔離する隔離用部材が設けられていることを特徴とする回転体。
  29. 請求項28の回転体であって、前記隔離用部材が前記低熱伝導部材の延長された部分である回転体。
  30. 軸受に装着される回転体であって、前記軸受に装着された際の該軸受に対向する部位に制振部材が設けられ、前記制振部材の開放されている部分を囲繞し前記軸受に装着された際に該軸受及び前記回転体に供給されるオイルから前記制振部材を隔離する隔離用部材が設けられていることを特徴とする回転体。
  31. 請求項28又は30の回転体であって、前記隔離用部材が前記回転体に取り付けられたプレートであることを特徴とする回転体。
  32. 請求項28乃至31の回転体であって、前記隔離用部材と前記制振部材との間の少なくとも一部に空隙が設けられていることを特徴とする回転体。
  33. 軸受に装着される回転体であって、外部の大気に接触した部分と、前記軸受に装着された際の該軸受に対向する部位に制振部材とが設けられ、前記制振部材が前記外部の大気に接触した部分へ向って延在する放熱部材を有していることを特徴とする回転体。
  34. 請求項33の回転体であって、前記放熱部材が前記外部の大気に接触していることを特徴とする回転体。
  35. 外周面と内周面とを有し前記外周面及び内周面のうち少なくとも一方に高弾性率高振動減衰金属からなる制振部材が設けられた軸受であって、前記外周面又は前記内周面のうちの前記制振部材が設けられた面と前記制振部材との間に前記面を構成する材料よりも熱伝導率が低い材料からなる低熱伝導部材が介在させられていることを特徴とする軸受。
  36. 請求項35の軸受であって、前記制振部材の設けられた面を構成する材料が軸受鋼であり、前記低熱伝導部材の材料がTi合金である軸受。
  37. 請求項35又は36の軸受であって、ころがり軸受である軸受。
  38. 軸受の外周又は内周に装着される高弾性率高振動減衰金属からなる制振部材であって、前記軸受に装着される際に前記軸受に対向する部位に熱伝導率が該軸受の前記制振部材に対向する部分を構成する材料の熱伝導率よりも低い材料からなる低熱伝導部材が設けられている制振部材。
  39. 請求項38の制振部材であって、前記軸受の前記制振部材に対向する部分を構成する材料が軸受鋼であり、前記低熱伝導部材の材料がTi合金である制振部材。
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