JP4427379B2 - 気密封止用材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体素子等を搭載する金属製やセラミック製のパッケージを封止するための気密封止用材およびその製造方法に関する。
一般に、水晶振動素子やSAWフィルター等の各種半導体素子は、空気中の酸素や湿気により特性が悪化してしまう。そこで、これら半導体素子はセラミックパケージ内に気密封入した状態でICチップとして電子機器に搭載されている。
そこで、半導体素子の気密封止法(ハーメチックシール)として、セラミックレイヤタイプ、サーディップタイプおよびCANタイプの3種類に分類されるが、本発明はそのセラミックレイヤタイプに属する。
セラミックレイヤタイプにおける従来のシール法として、半導体素子を搭載したパケージのベースとそのキャップとしての気密封止材であるコバール材や42アロイ材等の合金板とをはんだで接合する方法がある。
そのコバール材、42アロイ材は低膨張材であり、所定の形状片に加工後、Niめっきを施し、さらにAuめっき加工を施して気密封止材としている。
また、はんだ材料としては、Au−Sn合金材を用いている(例えば、特許文献1参照。)。
このような材料により、図4および図5に示す如く、メタライズされたパッケージ101のベース102と気密封止材103との間に上記はんだ104を置き、加熱溶融して封着している(例えば、特許文献1参照)。
また、Au系ろう材からなるろう材テープと、FeNi系材料からなる基材にNiめっき又はNiめっき及びAuめっきを施した基材テープを用いた技術がある(例えば、特許文献2参照。)
特開2001−176999号公報 特開2000−31313号公報
しかしながら、上述した従来の技術においては、パッケージと気密封止材との封着において、その気密封止材の封着面にめっき加工によりNi層やAu層を形成しているため、気密封止材とめっき層とは冶金的な結合がなく、剥がれ易いという問題がある。
また、めっき層は固く加工性が無く、厚さの厚いめっき層もできない。特に、長尺で厚いめっき層を作ることが困難であるという問題がある。
さらに、加熱溶融による封着加工において、はんだのAu−Snが充分な溶融をせずに濡れ拡がりが得られないことがあり、完全な封止状態にならず、製品不良が発生するおそれがあるという問題がある。
また、特許文献1に記載されているように一旦シール用キャップ上ではんだのAu−Snを溶融させると、溶融層の組織にAuリッチな相とSnリッチな相ができて凝固組織が不安定になり、脆くなって加工性が悪化するという問題がある。
さらに、はんだのAu−Snは280℃の共晶点で瞬時に溶融せず、そして、Auめっき層のAu成分を考慮し、Au−Snの組成を78〜79.5wt%に代えても溶融後の凝固組織が不安定になり、封着時に280℃の共晶点で瞬時に溶融せず、加熱溶融による封着加工において完全な封止状態が得られないという問題点もある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、封止状態においてばらつきが生じない手段を提供することを目的とする。
そこで本発明は、コバール材や42アロイ材等の低膨張係数を有する板材1に、当該板材の厚さ1に対し0.1〜0.2の比率となるNi層2を形成し、その板材1の未複合面にNi層4を形成し、その上にNi層4の厚さ1に対し0.08〜0.15の比率で、なおかつ板厚が0.1〜1.2μmとなるAu層を形成して複合材とし、さらにそのAu層の上に複合材の厚さ1に対し0.08〜0.15の比率となる75〜83wt%Au−Sn合金層を積層したことを特徴とする。ただし、Ni層2はコバール等の板材の防蝕用として用いるために必須のものではない。
なお、コバール材等の板材1の厚さと複合するNi板材の厚さの比が、板材1の厚さ1に対し0.1〜0.2の比率とした理由は、比率が0.1未満では、板材1に対するNiの耐食性効果が損なわれ、比率が0.2を超えると封着時の加熱により変形を生じやすくなり封止が困難となるからである。
また、Ni板材4の厚さ1に対しAu板材を0.08〜0.15の比率とし、尚且つ0.1〜1.2μmとした理由は、比率が0.08未満ではNi/コバール材等の板材/Ni/Auの4層複合においてAu層がNi層へ拡散し、Ni/コバール材等の板材/Ni/Au/Au−Snの5層複合時にAu−Sn層との接合が困難となり、比率が0.15を超えるとNi/コバール材等の板材/Ni/Au/Au−Snの5層複合材にそりを生じ易くなるからである。
また、Au−Sn合金層またはAuとSnの積層の組成を75〜83%とした理由は、75%未満ではAuリッチな相が晶出し易くなり、83%を超えるとSnリッチな金属間化合物相が晶出し易くなるからである。
また、複合材7の厚さ1に対しAu−Sn合金層を0.08〜0.15の比率とした理由は、0.08未満ではNi/コバール材等の板材/Ni/Au/Au−Snの5層複合時に充分な接合強度が得られず、0.15を超えると5層複合材にそりを生じ易くなるからである。
また、Ni/コバール材等の板材/Ni/Au/Au−Snの5層複合材とした理由は、低膨張率のコバール材等の板材を芯とし、Ni板材2をコバール材等の板材の防蝕用とし、Ni板材4をAu板材5のコバール材等の板材への拡散防止用として、コバール材等の板材の特性を維持しつつ、5層複合材としてそりが生じないように均等に接合したものであり、Au板材5は封着時にAu−Sn合金層の充分な濡れ拡がりを生じさせるためである。
なお、Ni/コバール材等の板材/Ni/Auの4層複合材の複合加工における加熱によりAu板材5がNi板材4へ熱拡散しないようにNi板材2とコバール材等の板材1の複合加工を行い、次にNi/コバール材等の板材の複合材とNi/Auの複合材との複合加工を行う。
また、Ni/コバール材等の板材/Ni/Auの4層複合材とAu−Sn合金層との接合では、200℃以上280℃未満の温度域で複合加工するためAu板材5のNi板材4への熱拡散は防止される。
これにより、本発明は、封着加工においてAu−Sn部の充分な溶融、拡がりが得られて完全な封止状態を得ることができることになる。即ち、本発明はめっき加工の欠点を解決するために、熱間圧延接合加工により封止用複合材を形成することにより、封止状態においてばらつきの生じない加工性の良い気密封止用材となる。
また、封着加工のアセンブリにおいて、Au−Sn合金片をはんだとして用いた場合に生じるワレ、カケ等の発生を防ぐことができる効果が得られる。
以下に、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
図1は本実施例を示す説明図である。
(1−1)板厚1mm、幅20mmのコバール板材1に、板厚0.13mm、幅20mmのNi板材2を800℃の非酸化性雰囲気中で連続的に熱間圧延接合し、板厚0.91mm、幅20mmの複合材3とした。
(1−2)板厚1mm、幅20mmのNi板材4に、板厚0.1mm、幅20mmのAu板材5を800℃の非酸化性雰囲気中で連続的に熱間圧延接合し、板厚0.11mm、幅20mmの複合材6とした。
(1−3)複合材3の未複合面に複合材6のNi面4を接合面とし、800℃の非酸化性雰囲気中で連続的に熱間圧延接合し、板厚0.12mm、幅20mmの複合材7とした。
(1−4)板厚0.012mm、幅20mmの80Au−Sn合金板材8を複合材7のAu面5上に、250℃の非酸化性雰囲気中で連続的に熱間圧延接合し、板厚0.1mm、幅20mmの複合材9とした。この複合材9をプレス抜き加工により板厚0.1mmで3mm角の気密封止用材10Aを得た。
また、上記(1−1)〜(1−4)の順と同様にして、基板となるコバール材1を42アロイ材に換え、板厚0.1mmで3mm角の気密封止用材10Bを得た。
つぎに、比較のための従来例を示す。
(1) 板厚0.07mm、幅20mmのコバール板材をプレス抜き加工により、3mm
角の基板片を得、その基板片に厚さ0.01mmのNi層をめっき加工により全面に設け、さらに、そのNiめっき層上に厚さ0.001mmのAu層をめっき加工により全面に設け、板厚0.09mmで3mm角のめっき複合片とした。
(2) 厚さ0.01mm、3mm角の80Au−Sn合金封着材料をめっき複合片上に
融着させ、板厚0.1mmで3mm角の気密封止用材21Aを得た。
また、上記(1)〜(2)の順と同様にして、基板となるコバール材を42アロイ材に換え、板厚0.1mmで3mm角の気密封止用材21Bを得た。
上記各気密封止用材10A、10Bおよび21A、21Bを図2、図3に示す如く、メタライズされたセラミックパッケージのベース17上に約300℃の炉により封着し、ヘリウムリーク試験により、封止状態を比較して結果を表1に示した。
また、上記気密封止用材10A、10Bの封着材部について、ワレ、カケの有無を外観評価項目として表1に併記した。
第1実施例を示す説明図 封着工程を示す説明図 封着状態を示す拡大断面説明図 従来例の封着工程を示す説明図 従来例の封着状態を示す拡大断面説明図
符号の説明
1 コバール板材
2 Ni板材
3 複合材
4 Ni板材
5 Au板材
6 複合材
7 複合材
8 80Au−Sn合金板材
9 複合材
10A、10B 気密封止用材
16A、16B 気密封止用材

Claims (2)

  1. コバール材や42アロイ材等の低膨張係数を有する板材1に、当該板材の厚さ1に対し0.1〜0.2の比率となるNi層2を形成し、その板材1の未複合面にNi層4を形成し、その上にNi層4の厚さ1に対し0.08〜0.15の比率で、なおかつ板厚が0.1〜1.2μmとなるAu層を形成した複合材とし、さらにそのAu層の上に複合材の厚さ1に対し0.08〜0.15の比率となる75〜83wt%Au−Sn合金層を積層したことを特徴とする気密封止用材。
  2. コバール材や42アロイ材等の低膨張係数を有する板材1に、当該板材の厚さ1に対し0.1〜0.2の比率となるNi板材を連続的に熱間圧延接合して複合材3とし、
    Ni板材に、当該Ni板材の厚さ1に対し0.08〜0.15の比率で、尚且つ板厚が0.1〜1.2μmとなるAu板材を連続的に熱間圧延接合して複合材6とし、
    さらに複合材6を複合材3の未複合面に連続的に熱間圧延接合して複合材7とし、
    複合材7の厚さ1に対し0.08〜0.15の比率となる75〜83wt%Au−Sn合金板材を複合材7のAu面上に、連続的に熱間圧延接合して複合材9とし、
    この複合材9をプレス抜き加工により所望の形状にすることを特徴とする気密封止用材の製造方法。
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