JP4427272B2 - 信号処理装置、信号処理方法、信号処理プログラム、信号処理プログラムを記録した記録媒体および測定機 - Google Patents
信号処理装置、信号処理方法、信号処理プログラム、信号処理プログラムを記録した記録媒体および測定機 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号処理装置、信号処理方法、信号処理プログラム、信号処理プログラムを記録した記録媒体および測定機に関する。例えば、二次元的あるいは三次元的に取得された測定データに対してフィルタ処理を行う信号処理装置、信号処理方法、信号処理プログラム、信号処理プログラムを記録した記録媒体および測定機に関する。
【0002】
【背景技術】
被測定物の三次元形状を測定する三次元測定機、二次元の輪郭形状を測定する輪郭形状測定機や画像測定機、真円度を測定する真円度測定機、更に被測定物表面のうねりや粗さ等を測定する表面粗さ測定機など、被測定物表面の輪郭形状、粗さ、うねりなどを測定する表面性状測定機が知られている。これらは接触式あるいは非接触式のセンサーと被測定物とを相対的に移動させて被測定物表面の測定データを収集する。
【0003】
このようにして収集された測定データには、通常、ノイズなどの外乱成分が含まれている。
この外乱成分としては、高周波成分を含む電気・磁気的な誘導ノイズなどが多いが、例えば、被測定物表面の輪郭形状を求めたい場合には、表面粗さやうねりなどの成分は外乱成分となり得る。
このような外乱成分を必要に応じて除去するために、測定データをアナログ信号からディジタル信号に変換し、このディジタル信号に対して、コンピュータのフィルタ処理プログラムによってフィルタ処理を行う方法がある。このフィルタ処理により例えば高周波成分が除去される。
【0004】
このようなフィルタリングを行うフィルタとしては、ガウシアン回帰フィルタが知られている(例えば、非特許文献1)。これは、被測定物表面をx軸方向に沿って所定のサンプリングピッチΔxで測定したときの測定データyi(i=1,2,3・・・)に対してガウス分布関数型の重み付けを行うフィルタである。
ガウス分布関数をsikとすると、測定データyiに対するフィルタ出力gkは次のように表される。
【0005】
【数1】
【0006】
ただし、ガウス分布関数s'ikは規格化され、次の式で表される。
【0007】
【数2】
【0008】
ここで、Δxはx軸に沿ったサンプリングピッチであり、λcはカットオフ波長である。
【0009】
さらに、測定データyiとフィルタ処理後データgkとの残差dkの大きさに応じて各測定データの重みを調整することにより、ロバスト性を備えたロバストガウシアン回帰フィルタが知られている(例えば、非特許文献1、2、3)。
【0010】
【非特許文献1】
ISO/TR 16610-10:2000(E) Geometrical Product Specification (GPS)-Data extraction techniques by sampling and filtration-Part10: Robust Gaussian regression filter, 1999
【非特許文献2】
S. Brinkmann et al., Accessing roughness in three-dimensions using Gaussian regression filtering, International Journal of Machine Tools & Manufacture 41(2001)2153-2161
【非特許文献3】
S. Brinkmann et al., Development of a robust Gaussian regression filter for three -dimensional surface analysis, Xth International Colloquiun on Surface, 2000, pp122-132
【0011】
このようなガウシアン回帰フィルタおよびロバストガウシアン回帰フィルタによれば、測定データを削除したり、擬似データを加える処理などを行うことなく、総てのデータに対するフィルタ処理を行うことができる。特に、測定領域の両端部における歪の発生を抑えたフィルタ処理を行うことができる。
また、ロバストガウシアン回帰フィルタでは、異常データによる影響を抑えたフィルタ処理結果を得ることができる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のガウシアン回帰フィルタおよびロバストガウシアン回帰フィルタにおいては、一次元時系列データとして得られたデータにのみ適用可能であった。例えば、表面粗さ測定機などにおいて、測定子を一方向(x方向)に移動させた場合に、x方向の所定ピッチで粗さデータyを取得したような場合である。そのため、例えば、平面曲線データとして得られた測定データ(x、y)のように処理対象が2つある場合には、(ロバスト)ガウシアン回帰フィルタを適用することができなかった。また、空間曲線データとして得られた測定データ(x、y、z)で処理対象が三つである場合にも、同様に(ロバスト)ガウシアン回帰フィルタを適用することができなかった。
【0013】
ここで、平面曲線データである測定データとは、例えば、三次元測定機などにおいてz座標一定のもとで被測定物の輪郭曲面を所定ピッチで測定して取得された(x、y)座標値等を意味する。また、空間曲線データである測定データとは、例えば、三次元測定機などにおいて、被測定物表面を所定ピッチで測定して取得された(x、y、z)座標値等を意味する。
【0014】
表面加工技術の重要性の高まりと技術進歩により、高度に精密化された表面形状の評価は必要不可欠となってきており、平面的あるいは立体的に測定された被測定物表面の精密評価に対するニーズが高まっている。
【0015】
なお、非特許文献2において、処理対象としている3Dデータとは、被測定面上にx座標とy座標とで格子状に定められたサンプリング位置を設定し、このような格子状のサンプリング位置と、サンプリング位置で測定されたz座標値とから構成されるデータを意味しており、文献中で提案されている手法は、一次元の時系列データに対する処理をx軸方向およびy軸方向に適用しているにすぎない。よって、平面的に存在する平面曲線データあるいは三次元空間内に立体的に存在する空間曲線データにおいて処理の対象が二つあるいは三つある場合に適用できない。また、非特許文献2において処理対象が二つ以上ある場合の対応については記載も示唆もないため、平面曲線データあるいは空間曲線データに対する(ロバスト)ガウシアン回帰処理を行うことができなかった。
【0016】
本発明の目的は、従来の問題を解消し、平面曲線データあるいは空間曲線データに適用できる信号処理装置、信号処理方法、信号処理プログラム、信号処理プログラムを記録した記録媒体および測定機を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の信号処理装置は、直交座標系が定義された二次元平面内、または三次元空間内における所定の経路を示すディジタル信号値に対して所定の分布関数に関する積和演算により信号処理を行う信号処理フィルタを備え、前記分布関数は、前記所定の経路に沿ったサンプリングピッチおよび前記所定の経路に沿ったカットオフ波長によって規定され、前記信号処理フィルタは、前記ディジタル信号値に対して座標成分ごとに前記分布関数を乗算することによりフィルタ出力値を得るフィルタ演算実行部を有することを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、直交座標系が定義された二次元平面内、または三次元空間内における所定の経路を示すディジタル信号値、例えば二次元、三次元のディジタル信号値に対して座標成分ごとに信号処理が行われる。この信号処理において、フィルタ演算実行部は、入力されたディジタル信号値に分布関数を乗算して線形に足し合わせてフィルタ出力値を得る。ここで、分布関数が、ディジタル信号値を抽出する経路に沿ったサンプリングピッチおよびカットオフ波長で規定されている。つまり、分布関数がディジタル信号値の抽出経路に沿って移動しながらディジタル信号値の積和演算が行われる。その結果、信号を抽出する経路に従った忠実な信号処理が行われる。
このようにサンプリング経路に沿った分布関数でディジタル信号値の座標成分ごとに信号処理を行うことにより、二次元、三次元のディジタルデータについても適切に信号処理を行うことができる。その結果、例えば、被測定物表面の形状データについて信号処理を行う場合でも、測定経路に沿った形状解析を行うことができるので、形状の変化点をより正確に捉えるなど形状解析の精度を向上させることができる。
【0019】
本発明では、前記信号処理フィルタは、前記ディジタル信号値の各信号値に対する重み因子を算出する重み因子算出部を備え、前記フィルタ演算実行部は、前記ディジタル信号値に対して、座標成分ごとに前記分布関数と前記重み因子算出部にて算出された重み因子とに関する積和演算を実行することが好ましい。
【0020】
このような構成によれば、重み因子算出部により各ディジタル信号値に対して重み因子が設定される。この重み因子により各ディジタル信号値の重みを調整して、さらに、分布関数による積和演算が行われる。
ディジタル信号値の各信号値に対して重みを調整することにより、例えば、異常なデータの影響を排除することができる。
【0021】
本発明では、前記重み因子算出部は、前記ディジタル信号値とこのディジタル信号値に対する前記フィルタ出力値との座標成分ごとの自乗和に基づく離隔量と、前記離隔量に基づいて定められる変数とに応じて前記重み因子を決定することが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、重み因子算出部は、ディジタル信号値とフィルタ出力値との座標成分ごとの自乗和を計算するだけでよいので、演算負荷が軽減される。例えば、ディジタル信号とフィルタ処理によって得られる曲線との最短距離に基づいて重み因子を決定することも可能であるが、高次元のデータである場合には演算負荷が飛躍的に大きくなる。しかし、本発明によれば、演算量が少ないので、出力応答速度を向上させることができる。
【0023】
本発明では、前記重み因子算出部は、フィルタ演算実行部によるフィルタ出力値を用いて前記重み因子の再計算を行い、前記信号処理フィルタは、前記重み因子算出部で算出された重み因子と前回のステップにおいて算出された前記重み因子との変化量に基づいて前記重み因子の収束状態を判定する収束判定部を有し、前記フィルタ演算実行部は、前記収束判定部による判定により収束したと判定された重み因子を用いたフィルタ出力値を外部出力することが好ましい。
【0024】
このような構成によれば、収束判定部により、重み因子の変化量に基づいて信号処理の収束が判定される。重み因子が収束したと判定されたところで重み因子の計算が終了され、収束した重み因子によりフィルタ出力が得られる。したがって、重み因子の変化量に基づいて収束が判定されるので、総てのディジタル信号値に対して適切に収束した結果を得ることができる。
【0026】
本発明では、前記分布関数は、ガウス分布関数であることが好ましい。
このような構成によれば、ガウシアンフィルタあるいはロバストガウシアンフィルタを構成することができる。
なお、分布関数としては、移動平均フィルタを構成する箱型関数であってもよい。
【0027】
本発明の信号処理方法は、直交座標系が定義された二次元平面内、または三次元空間内における所定の経路を示すディジタル信号値に対して所定の分布関数に関する積和演算により信号処理を行う信号処理方法であって、前記分布関数は、前記所定の経路に沿ったサンプリングピッチおよび前記所定の経路に沿ったカットオフ波長によって規定され、前記ディジタル信号値の各信号値に対する重み因子を算出する重み因子算出工程と、前記ディジタル信号値に対して、座標成分ごとに前記重み因子算出工程にて算出された重み因子と前記分布関数とに関する積和演算を実行するフィルタ演算実行工程とを備えていることを特徴とする。
【0028】
このような構成によれば、前述した信号処理装置と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、ディジタル信号値の各信号値に対して重みを調整することにより、例えば、異常なデータの影響を排除することができる。
【0029】
本発明では、前記重み因子算出工程は、前記ディジタル信号値とこのディジタル信号値に対する前記フィルタ出力値との座標成分ごとの自乗和に基づく離隔量と、前記離隔量に基づいて定められる変数とに応じて前記重み因子を決定することが好ましい。
このような構成によれば、前述した信号処理装置と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、ディジタル信号値とフィルタ出力値との座標成分ごとの自乗和を計算するだけでよいので、演算負荷が軽減される。
【0030】
本発明では、前記重み因子算出工程は、フィルタ演算実行工程によるフィルタ出力値を用いて前記重み因子の再計算を行い、前記重み因子算出工程で算出された重み因子と前回のステップにおいて算出された前記重み因子との変化量に基づいて前記重み因子の収束状態を判定する収束判定工程を有し、前記フィルタ演算実行工程は、前記収束判定工程による判定により収束したと判定された重み因子を用いたフィルタ出力値を外部出力することが好ましい。
【0031】
このような構成によれば、前述した信号処理装置と同様の作用効果を奏することができる。すなわち、重み因子の収束が判定されるので、無駄に繰り返し計算を行う必要がなく、また、重み因子の変化量に基づいて収束が判定されるので、総てのディジタル信号値に対して適切に収束した結果を得ることができる。
【0032】
本発明の信号処理プログラムは、直交座標系が定義された二次元平面内、または三次元空間内における所定の経路を示すディジタル信号値に対して、前記所定の経路に沿ったサンプリングピッチおよび前記所定の経路に沿ったカットオフ波長によって規定された分布関数に関する積和演算により信号処理を行う信号処理装置にコンピュータを組み込んで、このコンピュータに、前記ディジタル信号値の各信号値に対する重み因子を算出する重み因子算出工程と、前記ディジタル信号値に対して、座標成分ごとに前記分布関数と前記重み因子算出工程にて算出された重み因子とに関する積和演算を実行するフィルタ演算実行工程と、を実行させることを特徴とする。
【0033】
本発明の記録媒体は、直交座標系が定義された二次元平面内、または三次元空間内における所定の経路を示すディジタル信号値に対して、前記所定の経路に沿ったサンプリングピッチおよび前記所定の経路に沿ったカットオフ波長によって規定された分布関数に関する積和演算により信号処理を行う信号処理装置にコンピュータを組み込んで、このコンピュータに、前記ディジタル信号値の各信号値に対する重み因子を算出する重み因子算出工程と、前記ディジタル信号値に対して、座標成分ごとに前記分布関数と前記重み因子算出工程にて算出された重み因子とに関する積和演算を実行するフィルタ演算実行工程と、を実行させる信号処理プログラムを記録したことを特徴とする。
【0034】
このような構成によれば、前述した信号処理装置と同様の作用効果を奏することができる。さらに、CPU(中央処理装置)やメモリ(記憶装置)を有するコンピュータを組み込んでこのコンピュータに各工程を実行させるようにプログラムを構成すれば、各工程におけるパラメータを容易に変更することができる。そして、このプログラムを記録した記録媒体をコンピュータに直接差し込んでプログラムをコンピュータにインストールしてもよく、記録媒体の情報を読み取る読取装置をコンピュータに外付けし、この読取装置からコンピュータにプログラムをインストールしてもよい。なお、プログラムは、インターネット、LANケーブル、電話回線等の通信回線や無線によってコンピュータに供給されてインストールされてもよい。
【0035】
本発明の測定機は、被測定物表面を接触ないし非接触で走査する測定子を先端に有するスタイラスと、測定子を二次元的あるいは三次元的に移動させる移動手段と、測定子の位置を検出して測定データとして出力する位置検出部と、測定子の移動を指令する移動制御部と、前述した信号処理装置と、前記信号処理装置でフィルタ処理された結果を出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
【0036】
このような構成によれば、被測定物表面を走査して被測定物の輪郭形状のデータを取得したのち、さらに、この測定データを信号処理することによって形状解析を行うことができる。この際、前述した信号処理装置と同様の効果を奏し、二次元あるいは三次元的に取得された測定データについて信号処理を行うことができる。
【0037】
ここで、出力部は、フィルタ処理された結果を表示する表示部や処理結果を印字する印字部、あるいは処理結果を外部出力する外部出力部とすることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態にかかる測定機としての三次元測定機を図1に示す。
この三次元測定機1は、被測定物10の表面を接触ないし非接触で走査する測定子21を先端に有するスタイラス2と、測定子21を三次元的にx方向、y方向およびz方向に移動させる移動手段3と、測定子21の位置を検出して測定データとして出力する位置検出部4と、測定子21の移動を指令しかつ得られた測定データを演算処理する制御部5と、演算処理された結果を表示する出力部としての表示部6とを備えて構成されている。
制御部5は、測定子21を被測定物10の表面に沿って移動させる制御信号を移動手段3に出力する移動制御部51と、測定データに関して演算処理を行う信号処理装置としての演算処理部52とを備えている。
【0039】
演算処理部52は信号処理フィルタとしてのガウシアン回帰フィルタ(フィルタ演算実行部)521で構成されている。位置検出部4により検出された測定子21の座標が測定データとして演算処理部52に入力され、演算処理部52は測定データに対してガウシアン回帰処理を行う。
【0040】
一般に測定データは、三次元空間内の任意の平面上に分布する平面曲線データや、三次元空間内に立体的に分布する空間曲線データとして測定あるいは定義されるが、ここでは説明の都合上、x、y、z軸の3軸の直交座標系によって測定あるいは定義されたデータのうち、z軸座標値が一定なxy平面上の平面曲線データを二次元データと称する。また、この直交座標系内において三次元的に立体的に存在する空間曲線データを三次元データと称する。
二次元データは、例えば三次元測定機のz軸をクランプしてx軸とy軸とのみを可動とし、測定子21を被測定物平面上に沿って移動させ、所定のピッチΔlでサンプリングして取得することができる。この場合、測定データのz座標値はすべて同一となるので、便宜的に測定データを(xi,yi)で表すことができる。
また、平面的に描かれた曲線をスキャナで読み込み、直交xy平面上で所定のピッチΔlごとの座標を読み取って測定データ(xi,yi)として取得したものでもよい。
【0041】
演算処理部52は、二次元データである測定データ(xi,yi)に対してガウシアン回帰処理を行う。演算処理部52によるフィルタ出力(gx,k,gy,k)は、ガウス分布関数s'ikを用いて次の式で表される。
【0042】
【数3】
【0043】
ここで、ガウシアン分布関数s'ikは、サンプリングピッチを測定経路に沿った長さΔlとし、また、カットオフ波長についても測定経路に沿った波長λ'cとして次の式で表される。
【0044】
【数4】
【0045】
すなわち、演算処理部52は、入力される二次元データに対して式(3)に従う演算を行うことにより、測定経路に沿って移動するガウス分布関数s'ikと測定データとの積和演算の結果を出力する。
【0046】
このような構成を備える三次元測定機1において測定データをガウシアン回帰処理する動作について説明する。
まず、z座標を一定として測定子21が被測定物表面に沿って走査される。このとき、位置検出部4により測定子21の座標が測定経路に沿った所定のピッチΔlでサンプリングされ、サンプリングされた測定データ(xi,yi)は演算処理部52に送られる。演算処理部52で測定データ(xi,yi)はガウシアン回帰フィルタ521によりフィルタ処理される。すなわち、式(3)による演算が実行されフィルタ出力(gx,k,gy,k)が得られる。得られたフィルタ出力は、表示部6にて表示される。
【0047】
図2、図3、図4および図5に、二次元データに対してガウシアンフィルタ処理を行った結果を示す。
図2は、半径10mmの円の上にカットオフ波長と同じ波長を有する振幅1mmの正弦波を重ね合わせた二次元データにガウシアンフィルタ処理を行った結果である。図2より、フィルタリングによって正弦波の振幅が0.5mmに減衰していることが確認できる。すなわち、50%に減衰されていることがわかる。
【0048】
図3は、対数螺旋に標準偏差0.1mmのガウスノイズを重ねた二次元データに対してガウシアンフィルタ処理を行った結果である。図3(A)は、カットオフ波長0.5mmの場合であり、図3(B)は、カットオフ波長1.0mmの場合である。
図4は、正葉線に標準偏差0.1mmのガウスノイズを重ねた二次元データに対してガウシアンフィルタ処理を行った結果である。図4(A)は、カットオフ波長0.5mmの場合であり、図4(B)は、カットオフ波長1.0mmの場合である。
図5は、エアフォイルの設計データに標準偏差0.1mmのガウスノイズを重ねた二次元データに対してガウシアンフィルタ処理を行った結果である。図5(A)は、カットオフ波長0.5mmの場合であり、図5(B)はカットオフ波長1.0mmの場合である。
図3〜図5の結果に示されるように、二次元データに対するガウシアンフィルタによって、スプラインフィルタに比べて同等に平滑化された結果を得ることができる。
【0049】
このような第1実施形態によれば、次の効果を奏することができる。
(1)測定データが二次元データである場合についてもガウシアン回帰処理を行うことができる。したがって、被測定物10を平面内で倣い測定して測定経路に沿った所定ピッチで得られた測定データについてフィルタ処理を行うことができる。すると、測定経路に沿った所定ピッチでの測定データに基づいて形状解析を行うことができるので、例えば、x軸方向に沿った所定ピッチで測定データを得る場合に比べて、形状変化点をより正確に捉えることができる。例えば、直線領域から円弧領域への変化点や、段差の境界点などをより正確に捉えることができ、形状解析の精度を向上させることができる。
【0050】
(2)二次元データに対してガウシアン回帰処理が可能となるので、測定領域の端部における歪の発生を抑えたフィルタ処理を行うことができる。
【0051】
(変形例1)
次に、本発明の変形例1について説明する。変形例1の基本的構成は第1実施形態と同様であるが、変形例1が特徴とする点は、演算処理部52が三次元的に測定された三次元データ(x、y、z)に対してフィルタ処理を行う点にある。このような三次元データに対するフィルタ処理を行う演算処理部52において、ガウシアン回帰フィルタ521からのフィルタ出力(gx,k,gy,k,gz,k)は次の式で表される。
【0052】
【数5】
【0053】
ガウス分布関数は、第1実施形態と同様に、測定経路に沿ったサンプリングピッチΔlおよび測定経路に沿ったカットオフ波長λ'cを用いて式(4)と同様に表される。
このような変形例1によれば、第1実施形態の効果と同様の効果を奏することができる。すなわち、測定データが三次元データである場合についてもガウシアン回帰処理によって適切なフィルタ処理を施すことができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
この第2実施形態が特徴とするところは、フィルタ処理において各測定データに対する重み因子を導入したロバスト推定法によるロバスト回帰処理を行う点にある。
第2実施形態の基本的構成は第1実施形態と同様であるが、演算処理部52の構成に異なる点を有する。図6に、演算処理部52の機能ブロック図を示す。
演算処理部52は、ロバストガウシアン回帰フィルタ(信号処理フィルタ)53で構成され、ロバストガウシアン回帰フィルタ53は、測定データに対して初期的に非ロバスト的なフィルタ処理を行う初期設定部54と、重み因子を算出する繰り返し計算を行ってロバスト的にフィルタ処理を行うロバスト回帰フィルタ処理部55とを備えている。
【0055】
初期設定部54は、ガウシアン回帰処理を初期的に行うものであり、第1実施形態のガウシアン回帰フィルタ521と同様に構成されている。これは、初期設定部54において総ての重み因子δが“1”に設定されることと同義である。
【0056】
ロバスト回帰フィルタ処理部55は、重み因子δを算出する重み因子算出部56と、演算処理を実行してフィルタ処理による出力値(gx,k,gy,k)を算出するフィルタ演算実行部57と、重み因子δの収束を判定する収束判定部58と、を備えて構成されている。
【0057】
重み因子算出部56は、各測定データに対する重み因子を算出する。
ここで、測定点(xi,yi)とこの測定点に対するフィルタ出力(gx,k,gy,k)との距離をdkとし、また、m回目の処理によるフィルタ演算実行部からのフィルタ出力(離散化点)を(gm x,k,gm y,k)とする。
【0058】
【数6】
【0059】
このとき、重み因子算出部56は、重み因子δm kを適合型バイウェイト(Biweight)法を用いて、標準偏差σで規格化された中間値データβと所定係数cとにより次の式で算出する。
【0060】
【数7】
【0061】
ここで、標準偏差で規格化された中間値データβは次の式で表される。
【0062】
【数8】
【0063】
ただし、σは、dm kの標準偏差である。
また、係数cは、次の式で決定される。
【0064】
【数9】
【0065】
重み因子算出部56は、式(7)に従って重み因子δを算出し、算出した重み因子δをフィルタ演算実行部57および収束判定部58に出力する。また、収束判定部58による判定により、重み因子δが収束していないと判断される場合、重み因子算出部56は重み因子δを更新する。すなわち、フィルタ演算実行部57での次段のステップ処理によるフィルタ出力(gm+1 x,k,gm+1 y,k)に基づいて重み因子δm+1 kを式(7)により算出することで重み因子を更新する。
【0066】
フィルタ演算実行部57は、重み因子算出部56で算出された重み因子δを用いてロバストガウシアン回帰処理を実行する。
すなわち、測定データ(xi,yi)に対して、重み因子δm-1 kを用いたロバストガウシアン回帰フィルタ55の出力(gm x,k,gm y,k)は、次の式で表される。
【0067】
【数10】
【0068】
なお、ガウス分布関数s'ikは、測定経路に沿ったサンプリングピッチΔlと測定経路に沿ったカットオフ波長λ'cとにより式(4)と同様に表される。ただし、次の式で規格化される。
【0069】
【数11】
【0070】
フィルタ演算実行部57は、収束判定部58での判定により重み因子δm kの収束が指令されると、収束した重み因子δm kによりフィルタ演算を式(10)に従って実行する。このときのフィルタ出力(gm+1 x,k,gm+1 y,k)はフィルタ演算実行部57から表示部6に出力される。
また、フィルタ演算実行部57は、収束判定部58での判定により重み因子δm kが収束していないことを指令された場合、重み因子δm kによりフィルタ演算を実行して、このフィルタ出力を重み因子算出部56に出力する。
【0071】
収束判定部58は、重み因子算出部56で更新された重み因子δmの収束を判定する。すなわち、(m−1)回目のステップ処理によるフィルタ出力(gm-1 k)から決定される重み因子δm-1 kと、m回目のステップ処理によるフィルタ出力(gm k)から決定される重み因子δm kと、を比較する。この比較において次の式で表される収束条件により重み因子δm kの収束を判定する。
【0072】
【数12】
【0073】
収束判定部58は、重み因子δm kの収束判定の結果をフィルタ演算実行部57に出力する。
【0074】
このような構成を備える第2実施形態において測定データをロバストガウシアン回帰処理する動作について説明する。図7に、ロバストガウシアン回帰処理の工程を示す。
まず、z座標を一定として測定子21が被測定物表面に沿って走査される。このとき、位置検出部4により測定子21の座標が測定経路に沿った所定のピッチΔlでサンプリングされ、サンプリングされた測定データ(xi,yi)は演算処理部52に送られる(ST1)。
演算処理部52において、まず、初期設定部54によりガウシアン回帰処理が実行され、この出力(g0 x,k,g0 y,k)は重み因子算出部56に送られる(ST2)。
重み因子算出部56は、式(10)により重み因子δ0 kを算出し(ST3)、算出結果をフィルタ演算実行部57および収束判定部58に出力する(重み因子算出工程)。
フィルタ演算実行部57は、重み因子δ0 kを用いて式(10)による演算を実行し、フィルタ出力(g1 x,g1 y)を得る(ST4、フィルタ演算実行工程)。
【0075】
一方、収束判定部58は、重み因子算出部56で算出された重み因子δ0 kを初期的に設定された重みである“1”と式(12)により比較して収束を判定する(ST5、収束判定工程)。
収束判定部58における判定において重み因子δ0 kが収束判定式(12)を満たさない場合(ST6:NO)、フィルタ演算実行部57で得られたフィルタ出力(g1 x,g1 y)は重み因子算出部56に出力される。
重み因子算出部56は、次のステップ処理(ST8)として重み因子δ1 kを算出する(ST3)。
以後、収束判定部58において重み因子δm kが収束するまでステップ処理(ST3〜ST6)が繰り返される。
【0076】
収束判定部58において、重み因子δm kが収束したと判定されると(ST6:YES)、フィルタ演算実行部57によるフィルタ演算の出力(gm+1 x,k,gm+1 y,k)が表示部6で表示される。
【0077】
図8に、二次元データに対してロバストガウシアンフィルタ処理を行った結果を示す。図8(A)に、正葉線にスパイクノイズを付加したデータについてカットオフ波長0.1mmとするロバストガウシアンフィルタ処理を行った結果を示す。図8(B)に、エアフォイルの設計データにスパイクノイズを付加したデータについてカットオフ波長0.5mmとするロバストガウシアンフィルタ処理を行った結果を示す。
図8(A)(B)の結果に示されるように、ロバストガウシアンフィルタ処理によれば、ガウシアンフィルタ処理に比べてスパイクノイズの影響を抑えて平滑化された結果を得ることができる。
【0078】
このような構成を備える第2実施形態によれば、上記実施形態の効果(1)(2)に加えて、次の効果を奏することができる。
(3)二次元データに対してロバストガウシアンフィルタ処理を行うことができる。従って、局所的に離隔するような特異点データに影響されることなく、被測定物10の形状解析を行うことができる。
【0079】
(4)重み因子δの算出において、測定データ(xi,yi)とこの測定データに対するフィルタ処理による出力値(gx,k,gy,k)との二点間距離dkに基づいて測定データとフィルタ処理による出力値との離隔量を評価する。このように二点間距離dkを用いることにより、演算量を少なくし、出力応答速度を向上させることができる。例えば、単純に、測定データとフィルタ処理により得られる曲線との最短距離に基づいて計算を行う場合に比べて演算負荷を軽減することができる。
【0080】
(5)収束判定において、式(12)を用いることにより、ステップ処理間における重み因子δの変化量から収束を判定する。ロバスト推定法における収束判定において、重み因子δの変化が所定量以下となったところでフィルタ出力の収束を判定することができるので、不必要な繰り返しループを行うことがなく、フィルタ処理時間を短縮することができる。
また、例えば、残差(二点間距離)dkの中間値(メディアン)の変化量に基づいて収束判定を行うこともできるが、中間値の収束がフィルタ出力全体の収束を反映しない場合もありうる。そこで、総ての重み因子δの変化量に基づく収束判定を行うことにより、総ての測定データに対して適切に収束したフィルタ出力値を得ることができる。その結果、形状解析の精度を向上させることができる。
【0081】
ここで、図9に、ISOに準拠してBeaton-Functionを用いたフィルタ処理と適合型biweight法を用いた本発明のロバストガウシアンフィルタ処理との比較を示す。なお、ISOに準拠するBeaton-Functionを用いた重み因子の算出およびフィルタ処理の収束判定については、一次元時系列データの場合について非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3に記載されている。
図9(A)(B)に示される結果からわかるように、ISO準拠型のBeaton-Functionを用いた場合ではスパイクノイズの影響を抑えきれていないのに対して、適合型Biweight法を用いた本実施形態によれば、スパイクノイズの影響を抑えてロバストな結果を得ることができる。
【0082】
(変形例2)
次に、本発明の変形例2について説明する。
変形例2の基本的構成は第2実施形態と同様であるが、変形例2が特徴とする点は、演算処理部52が三次元的に測定された三次元データ(xi,yi,zi)に対してフィルタ処理を行う点にある。
このような三次元データに対するフィルタ処理を行う演算処理部52において、ロバストガウシアン回帰フィルタからのフィルタ出力(gx,k,gy,k,gz,k)は次の式で表される。
【0083】
【数13】
【0084】
重み因子δm kは、第2実施形態に倣って式(7)によって算出される。ここで、測定点(xk,yk,zk)とこの測定点に対するフィルタ出力値(gm x,k,gm y,k,gm z,k)との距離dm kは次の式で表される。
【0085】
【数14】
【0086】
また、ガウス分布関数s'ikは、第1実施形態と同様に、測定経路に沿ったサンプリングピッチΔlおよび測定経路に沿ったカットオフ波長λ'cを用いて式(4)と同様に表される。
【0087】
このような変形例2によれば、第2実施形態と同様の効果を奏することができる。すなわち、測定データが三次元データである場合についてもロバストガウシアン回帰処理を行うことができる。したがって、被測定物の立体形状の形状解析を正確に行うことができる。
【0088】
(変形例3)
次に、本発明の変形例3について説明する。
この変形例3の基本的構成は第1実施形態、第2実施形態、変形例1および変形例2と同様であるが、ガウス分布関数sikに代えて他の分布関数を用いる点に特徴を有する。
すなわち、上記実施形態において、ガウス分布関数に代えて、図10に示される箱型関数を用いてもよい。この箱型関数は、区間[−W/2、W/2]においてf(l)=1/W、かつ、区間[−W/2、W/2]を除く領域においてf(l)=0である。
このような箱型関数を用いることにより、移動平均フィルタを構成することができる。
なお、分布関数は次の規格化の式を満たすものであればよい。
【0089】
【数15】
【0090】
なお、本発明の信号処理装置、信号処理方法および測定機は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることはもちろんである。
例えば、演算処理部52をCPU(中央処理装置)やメモリ(記憶装置)等を備えたコンピュータで構成して、フィルタ演算実行部57や重み因子算出部56、収束判定部58としての各機能を実現させてもよい。この際、このコンピュータにフィルタ演算実行部57や重み因子算出部56、収束判定部58として機能させるための信号処理プログラムをインターネット等の通信手段や、CD-ROM,メモリカード等の記録媒体を介してインストールしてもよい。あるいは、記録媒体を読み取る機器を外付けで接続してもよい。このように、演算処理部52をコンピュータで構成し、信号処理をソフト的に行う構成とすれば、所定のパラメータ、例えば、サンプリングピッチやカットオフ波長、収束条件などを適宜変更することが容易となる。
【0091】
例えば、第2実施形態において、重み因子は適合型Biweight法により算出され、係数cは式(9)に従って中間値データβにより決定されるとして説明したが、係数cは、所定値で固定されていてもよい。
また、重み因子は、適合型Biweight法によらず、例えば、Beaton関数を用いて決定されてもよい。
【0092】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の本発明の信号処理装置、信号処理方法、信号処理プログラム、信号処理プログラムを記録した記録媒体および測定機によれば、二次元あるいは三次元データの信号処理を行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる三次元測定機の構成を示す図である。
【図2】半径10mmの円に振幅1mmの正弦波を重ね合わせた二次元データにガウシアンフィルタ処理を行った結果である。
【図3】対数螺旋に標準偏差0.1mmのガウスノイズを重ねた二次元データに対してガウシアンフィルタ処理を行った結果である。(A)はカットオフ波長0.5mmの場合、(B)はカットオフ波長1.0mmの場合である。
【図4】正葉線に標準偏差0.1mmのガウスノイズを重ねた二次元データに対してガウシアンフィルタ処理を行った結果である。(A)はカットオフ波長0.5mmの場合、(B)は、カットオフ波長1.0mmの場合である。
【図5】エアフォイルの設計データに標準偏差0.1mmのガウスノイズを重ねた二次元データに対してガウシアンフィルタ処理を行った結果である。(A)はカットオフ波長0.5mmの場合、(B)はカットオフ波長1.0mmの場合である。
【図6】本発明の第2実施形態において、演算処理部の機能ブロック図である。
【図7】前記第2実施形態において測定データをロバストガウシアン回帰処理する工程を示すフローチャートである。
【図8】二次元データに対してロバストガウシアンフィルタ処理を行った結果である。(A)は正葉線にスパイクノイズを付加したデータについてカットオフ波長0.1mmとした場合、(B)はエアフォイルの設計データにスパイクノイズを付加したデータについてカットオフ波長0.5mmとした場合である。
【図9】ISOに準拠してBeaton-Functionを用いたフィルタ処理と適合型biweight法を用いた本発明のロバストガウシアンフィルタ処理との比較を示す図である。
【図10】分布関数の変形例としての箱型関数を示す図である。
【符号の説明】
1 三次元測定機(測定機)
2 スタイラス
3 移動手段
4 位置検出部
5 制御部
6 表示部(出力部)
10 被測定物
21 測定子
51 移動制御部
52 演算処理部(信号処理装置)
53 ロバストガウシアン回帰フィルタ(信号処理フィルタ)
54 初期設定部
55 ロバストガウシアン回帰フィルタ処理部
56 重み因子算出部
57 フィルタ演算実行部
58 収束判定部
521 ガウシアン回帰フィルタ(信号処理フィルタ、フィルタ演算実行部)
Claims (11)
- 直交座標系が定義された二次元平面内、または三次元空間内における所定の経路を示すディジタル信号値に対して所定の分布関数に関する積和演算により信号処理を行う信号処理フィルタを備え、
前記分布関数は、前記所定の経路に沿ったサンプリングピッチおよび前記所定の経路に沿ったカットオフ波長によって規定され、
前記信号処理フィルタは、前記ディジタル信号値に対して座標成分ごとに前記分布関数を乗算することによりフィルタ出力値を得るフィルタ演算実行部を有する
ことを特徴とする信号処理装置。 - 請求項1に記載の信号処理装置において、
前記信号処理フィルタは、前記ディジタル信号値の各信号値に対する重み因子を算出する重み因子算出部を備え、
前記フィルタ演算実行部は、前記ディジタル信号値に対して、座標成分ごとに前記分布関数と前記重み因子算出部にて算出された重み因子とに関する積和演算を実行する
ことを特徴とする信号処理装置。 - 請求項2に記載の信号処理装置において、
前記重み因子算出部は、前記ディジタル信号値とこのディジタル信号値に対する前記フィルタ出力値との座標成分ごとの自乗和に基づく離隔量と、前記離隔量に基づいて定められる変数とに応じて前記重み因子を決定する
ことを特徴とする信号処理装置。 - 請求項2または請求項3に記載の信号処理装置において、
前記重み因子算出部は、フィルタ演算実行部によるフィルタ出力値を用いて前記重み因子の再計算を行い、
前記信号処理フィルタは、前記重み因子算出部で算出された重み因子と前回のステップにおいて算出された前記重み因子との変化量に基づいて前記重み因子の収束状態を判定する収束判定部を有し、
前記フィルタ演算実行部は、前記収束判定部による判定により収束したと判定された重み因子を用いたフィルタ出力値を外部出力する
ことを特徴とする信号処理装置。 - 請求項1ないし請求項4に記載の信号処理装置において、
前記分布関数は、ガウス分布関数である
ことを特徴とする信号処理装置。 - 直交座標系が定義された二次元平面内、または三次元空間内における所定の経路を示すディジタル信号値に対して所定の分布関数に関する積和演算により信号処理を行う信号処理方法であって、
前記分布関数は、前記所定の経路に沿ったサンプリングピッチおよび前記所定の経路に沿ったカットオフ波長によって規定され、
前記ディジタル信号値の各信号値に対する重み因子を算出する重み因子算出工程と、
前記ディジタル信号値に対して、座標成分ごとに前記重み因子算出工程にて算出された重み因子と前記分布関数とに関する積和演算を実行するフィルタ演算実行工程とを備えている
ことを特徴とする信号処理方法。 - 請求項6に記載の信号処理方法において、
前記重み因子算出工程は、前記ディジタル信号値とこのディジタル信号値に対する前記フィルタ出力値との座標成分ごとの自乗和に基づく離隔量と、前記離隔量に基づいて定められる変数とに応じて前記重み因子を決定する
ことを特徴とする信号処理方法。 - 請求項6または請求項7に記載の信号処理方法において、
前記重み因子算出工程は、フィルタ演算実行工程によるフィルタ出力値を用いて前記重み因子の再計算を行い、
前記重み因子算出工程で算出された重み因子と前回のステップにおいて算出された前記重み因子との変化量に基づいて前記重み因子の収束状態を判定する収束判定工程を有し、
前記フィルタ演算実行工程は、前記収束判定工程による判定により収束したと判定された重み因子を用いたフィルタ出力値を外部出力する
ことを特徴とする信号処理方法。 - 直交座標系が定義された二次元平面内、または三次元空間内における所定の経路を示すディジタル信号値に対して、前記所定の経路に沿ったサンプリングピッチおよび前記所定の経路に沿ったカットオフ波長によって規定された分布関数に関する積和演算により信号処理を行う信号処理装置にコンピュータを組み込んで、このコンピュータに、
前記ディジタル信号値の各信号値に対する重み因子を算出する重み因子算出工程と、
前記ディジタル信号値に対して、座標成分ごとに前記分布関数と前記重み因子算出工程にて算出された重み因子とに関する積和演算を実行するフィルタ演算実行工程と、
を実行させることを特徴とした信号処理プログラム。 - 直交座標系が定義された二次元平面内、または三次元空間内における所定の経路を示すディジタル信号値に対して、前記所定の経路に沿ったサンプリングピッチおよび前記所定の経路に沿ったカットオフ波長によって規定された分布関数に関する積和演算により信号処理を行う信号処理装置にコンピュータを組み込んで、このコンピュータに、
前記ディジタル信号値の各信号値に対する重み因子を算出する重み因子算出工程と、
前記ディジタル信号値に対して、座標成分ごとに前記分布関数と前記重み因子算出工程にて算出された重み因子とに関する積和演算を実行するフィルタ演算実行工程と、
を実行させる信号処理プログラムを記録したコンピュータ読み出し可能な記録媒体。 - 被測定物表面を接触ないし非接触で走査する測定子を先端に有するスタイラスと、
測定子を二次元的あるいは三次元的に移動させる移動手段と、
測定子の位置を検出して測定データとして出力する位置検出部と、
測定子の移動を指令する移動制御部と、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の信号処理装置と、
前記信号処理装置でフィルタ処理された結果を出力する出力部と、
を備えることを特徴とする測定機。
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