図2は本発明の第1の形態が適用される信号伝送システム(バスシステム)の原理構成を示すブロック図である。図2において、参照符号1はドライバ回路、2は信号伝送路、3および4は終端抵抗(RT )、51〜53はスタブ抵抗(Rs)、61はプロセッサ(コントローラ)、62および63はDRAMモジュール、そして、7はダンピング抵抗(RD )を示している。また、参照符号VTTは、電源電圧Vccと接地電圧Vssとの中間電位(電源線)を示している。
図2に示されるように、本発明の第1の形態のバスシステムでは、例えば、伝送線路の両端(終端)には、それぞれ終端抵抗3および4が設けられ、中間電位の電源線VTTに接続されている。ここで、終端抵抗3および4の抵抗値RT は、伝送線路2の特性インピーダンスZ0 よりも大きく設定され(RT >Z0 )ている。さらに、ドライバ回路1の出力インピーダンスは大きく設定され、すなわち、該ドライバ回路1を構成するトランジスタは、小さいサイズのトランジスタにより構成されている。
また、プロセッサ61およびDRAMモジュール62,63は、それぞれ伝送線路2の途中に設けられたスタブ抵抗61および62,63を介して伝送線路2に接続されている。さらに、伝送線路2には、複数のダンピング抵抗7が挿入されている。
すなわち、本発明の第1の形態に係るバスシステム(信号伝送システム)は、(1) 終端抵抗RT を伝送線路の特性インピーダンスZ0 よりも大きくし、(2) ドライバ回路の出力インピーダンスを増加させ、および/または、(3) 必要に応じて伝送線路に直列に1個または複数のダンピング抵抗RD を挿入することにより、低消費電力化(低電力化)するように構成されている。ここで、終端抵抗RT を大きくすると、同じ信号振幅では終端で消費される電力が小さくなり、また、ドライバ回路の出力インピーダンスを増加させると、信号電流が小さくなると共に、ドライバ回路を駆動するための電力も削減できることになる。なお、伝送線路に直列にダンピング抵抗RD を挿入する代わりに、該伝送線路自身を抵抗を有する物質により構成することもできる。
ただし、上述したような低電力化を行うと、伝送線路の周波数特性が劣化し、該伝送線路上の電圧信号が応答する固有の応答時間が長くなってしまう。そのため、符号の長さTの間に信号電圧が本来のフル振幅に達しない上、大きな符号間干渉の項を生じて、通常の方法では信号を検出できなくなる恐れが生じる。
そこで、本発明の第2の形態では、レシーバ(信号伝送システムのレシーバ回路)に対して符号間干渉を過去の信号から予測する手段を用い、該予測された符号間干渉を現在受信された信号電圧から差し引くことにより、信号を部分的な応答(Partial Response)の検出を行うように構成する。
図3は従来の一般的な信号伝送システムにおける符号の長さと応答時間との関係を示す図である。
図3に示されるように、従来の一般的なバスシステム(信号伝送システム)においては、例えば、伝送線路(バス)における信号の多重反射等により、信号が本来のフル振幅になるまでには所定の時間を要する。ここで、応答時間τは、例えば、信号電圧がフル振幅の90%になるまでの時間として定義され、従来の一般的なバスシステムにおいては、伝送線路上の信号の伝送(伝達)を確実に行うために、応答時間τを伝送される符号(Simbol)の長さ(データの1周期)Tよりも十分短く、すなわち、符号長Tを該応答時間τよりも十分長く設定(T>>τ)するようになっている。具体的に、従来の一般的なバスシステムにおいて、例えば、符号長Tは応答時間τの2〜3倍程度(T≒2〜3τ)とされており、応答時間τが長いと、信号の伝送を高速化することはできない。
これに対して、本発明の第2の形態では、応答時間τを伝送される符号の長さ(データの1周期)Tと同程度或いはより長く、すなわち、符号長Tを信号伝送路の応答時間τと同程度或いはより短く設定(T≦τ:例えば、T≒0.3τ)し、そして、伝送される信号が符号長Tの間に示す部分的な応答を検出するようになっている。従って、本発明の第2の形態では、信号の伝送を高速に行うことが可能となる。
図4は本発明の信号伝送システムにおける符号の長さと応答時間との関係を示す図である。
図4に示されるように、例えば、伝送される符号のデータが期間Pn-2,Pn-1,Pn+1 でデータ”0”で、期間Pn,Pn+2 でデータ”1”と変化する場合、本発明では、例えば、伝送される符号長Tを応答時間τよりも短く設定するようになっている。従って、例えば、期間Pn におけるデータ”1”の信号は、応答時間τ後の信号電圧が十分に上昇した状態で検出されるのではなく、信号電圧が変化(上昇)している途中の時間Tの範囲内において検出されるようになっている。ここで、図4から明らかなように、データ”0”が連続した後にデータ”1”となった場合の信号電圧の変化(期間Pn )と、データが”1”→”0”→”1”となった場合の信号電圧の変化(期間Pn+2 )とは異なっているが、本発明では、様々なデータの連続的な変化に対しても、前回までのデータ変化の影響を除いて、実際に伝送線路(バス)における信号電圧の変化(データ信号)を捉えるようになっている。
このように、本発明の第2の形態では、伝送される符号長Tを信号伝送路の応答時間τと同程度或いはより短く(T≦τ)設定し、そして、伝送される信号が符号長Tの間に示す部分的な応答を検出することにより、信号伝送の高速化を図るようになっている。
なお、符号間干渉の予測(過去のデータ変化の影響の取り除き;部分応答検出回路:Partial Response Detector(PRD))は、後述するように、回路の応答が線型の場合には、過去の受信信号の”1”または”0”の判定結果を重み付の加算(線型 Decision Feedback;Decision Feedback Equalizer(DFE))等により実現することができ( 図12および図13参照)、また、非線型の符号間干渉がある場合には、メモリに予め干渉の大きさを記録しておき、過去の受信信号列をアドレスとして該メモリを読み出すことにより干渉項の予測を行うことができる(図14および図15参照)。
上記符号間干渉の予測は、1クロック前に受信した信号電圧のアナログ値を使用して行うこともできる。この手法は、信号電圧の応答が一次遅れ系で現されるときに最も良い予測を与えるものである。
すなわち、一次遅れ系において、信号電圧V(nT)は、n=0,±1,±2,…として、
V(nT)=xVTT+(1−x)V((n-1)T)+x(Vinf −VTT)…… (1)
と表される。
ただし、x=1−exp(−T/τ)となることを利用する。
ここで、τは回路の時定数(応答時間)、Vinf はデータ”1”または”0”が十分な長さ送られた場合の信号電圧(フル振幅)、そして、VTTは基準電圧を示している。なお、基準電圧VTTは、対称なCMOSドライバを使用した場合には、Vcc/2である。
上記の (1)式において、第1項および第2項が符号間干渉を示す項であり、第3項が正味の信号の項である。すなわち、 (1)式から、符号間干渉は1クロック前の信号電圧を記憶しておき、該1クロック前の信号電圧と固定の基準電圧との線形和を取ることにより得られることがわかる。そして、このアナログ電圧の記憶と固定電圧との線形和は、以下に述べるキャパシタを用いた回路により容易に発生させることができる。
図5は本発明に係る信号伝送システムにおけるレシーバ回路の一構成例を示す図であり、図6は図5のレシーバ回路の動作を説明するための図である。ここで、図5(a)は部分応答検出回路(レシーバ回路)のブロック回路図であり、図5(b)は図5(a)の部分応答検出回路におけるオートゼロ・コンパレータの一例を示す回路図である。また、図6(a)は部分応答検出回路に使用される各信号のタイミングを示す図であり、図6(b)はデータの変化に伴う伝送線路上の電圧(信号電圧)の変化の一例を示す図である。
図5(a)に示されるように、部分応答検出回路8は、オートゼロ・コンパレータ81,82、DLL(Delay Locked Loop) 回路83、および、選択回路(MUX)84を備えている。オートゼロ・コンパレータ81および82には、それぞれ基準電圧VTT(Vcc/2)、入力電圧(信号電圧)Vin、および、DLL回路83の出力である制御信号φ1,φ2が供給されている。そして、選択回路84は、所定のタイミングでオートゼロ・コンパレータ81または82の出力信号を選択して出力(データ出力)するようになっている。
図5(b)に示されるように、オートゼロ・コンパレータ81(82)は、2つのキャパシタ815,816、CMOSインバータ818、および、スイッチ811〜814,817を備えて構成されている。そして、制御信号φ1およびφ2によりスイッチ811〜814を制御し、キャパシタ815および816に対する印加電圧の制御(基準電圧VTTまたは信号電圧Vin)並びに該キャパシタ815および816の接続を制御するようになっている。なお、スイッチ817は、インバータ818と並列に設けられ、制御信号φ1によりオン・オフ制御されるようになっている。ここで、図6(a)から明らかなように、制御信号φ1およびφ2は、クロックCLKの立ち下がりおよび立ち上がりタイミングに同期して一瞬高レベルとなる信号である。また、スイッチ811〜814および817は、2つのトランジスタより成るトランスファーゲートまたは1つのスイッチング用トランジスタ等を使用して構成することができる。
すなわち、まず、オートゼロ・コンパレータ81(82)は、制御信号φ1(信号φ1が高レベルとなるタイミング)により信号電圧V((n-1)T)とVTTをキャパシタ815,816に蓄積し、このとき、インバータ818の入出力を接続してオートゼロ(auto-zero) の操作を行うようになっている。このオートゼロの操作により、インバータ818の入力ノードはVon(インバータの入出力をショートした時に得られる電圧で、インバータの出力が”0”から”1”に切り替わるしきい値電圧)となる。これにより、キャパシタ815および816に蓄えられる電荷Q1およびQ2は、キャパシタ815および816の容量をC1およびC2とすると、
Q1=(V((n-1)T)−Von)C1
Q2=(VTT−Von)C2
となる。
次に、制御信号φ1が低レベルになった後、制御信号φ2(信号φ2が高レベルとなるタイミング)により、キャパシタ815および816を並列に繋いで入力V(nT)をインバータ818の入力ノードに導く。このとき、インバータ818の入力ノードの電圧Vは、電荷保存の法則により、
V=V(nT)−(Q1+Q2)/(C1+C2)
=V(nT)−(1−x)V((n-1)T)−xVTT+Von)
=x(Vinf −VTT)+Von …… (2)
となる。
この (2)式の右辺は、前述した (1)式から符号間干渉の項を引いたもの(つまり、正味の信号)に電圧Vonを加えたものになっている。従って、正味の信号が正か負かによりインバータ818の出力が反転するため、正しく正味の信号のみを判定することができることになる。すなわち、図6(b)に示されるように、データが変化した場合でも、1クロック前に受信した信号電圧のアナログ値を使用し、過去のデータ変化の影響の取り除いて、データ信号の検出を正確に行うことができる。
ここで、図5(a)の部分応答検出回路8において、2つのオートゼロ・コンパレータ81および82の出力(OUTc)を選択回路84により選択するようになっているのは、上記の入力信号(Vin) の判定処理が2Tごとに行われることになるため、2つのオートゼロ・コンパレータをインターリーブ動作させて1Tごとに判定処理を行うようになっている。なお、上述した制御信号φ1およびφ2による動作(処理)は、一方のオートゼロ・コンパレータ81と他方のオートゼロ・コンパレータ82とでは逆になる。
図7は本発明が適用される信号伝送システムの一構成例を示すブロック回路図であり、図8は図7の信号伝送システムにおける各メモリブロックにおける信号波形のシミュレーション結果を示す図である。
図7において、参照符号201はドライバ回路、202(221〜226)は信号伝送路、250〜254はスタブ抵抗(Rs)、261〜264はメモリ(DRAMモジュール)、そして、207はダンピング抵抗(RD )を示している。ここで、伝送線路221および226は特性インピーダンスが70Ωで長さが10mm、そして、伝送線路222〜225は特性インピーダンスが70Ωで長さが12.5mmとして構成されている。さらに、スタブ抵抗250〜254の抵抗値はそれぞれ25Ωとされ、また、ダンピング抵抗207の抵抗値はそれぞれ7Ωとされている。ここで、伝送線路222〜225(215)の特性インピーダンスは70Ωに設定されているが、これは伝送線路に対して様々な回路(メモリ261〜264等)が接続され、また、該伝送線路の寄生容量等の影響によって、実効的に50Ω程度の特性インピーダンスとなるからである。
ドライバ回路201は、Pチャネル型MOSトランジスタ211、Nチャネル型MOSトランジスタ212、キャパシタ213、インダクタ214、および、伝送線路215で構成されている。ここで、キャパシタ213の容量は4pF、インダクタ214のインダクタンスは2.5nH、さらに、伝送線路215は特性インピーダンスが70Ωで長さが15mmとして構成されている。そして、トランジスタ211および212のゲート幅は数十μmと小さく設定(例えば、トランジスタ211のゲート幅を60μm、且つ、トランジスタ212のゲート幅を30μmと設定)することにより、回路の応答はほとんど一次遅れ系で近似できるようになり、その結果、前述した (1)式を使って符号間干渉を除くことが可能となる。なお、伝送線路に直列に抵抗(ダンピング抵抗207)を入れることによって、信号電圧の振動的挙動が無くなり、より正確な符号間干渉除去(符号間干渉成分の推定)を行うことができるようになる。
すなわち、図8に示されるように、上記の条件によりシミュレーションを行った結果、メモリ”2”(262)およびメモリ”4”(264)における信号電圧(データ”1”)の変化は、式V=p0exp(−td)により十分に近似されることがわかる。
なお、図7中の括弧で示すように、信号伝送路202の両端に終端抵抗203および204(RT )を設けるようにしてもよい。ここで、例えば、伝送線路のインピーダンスを70Ωに設定し、終端抵抗RT を∞≧RT ≧200Ωの範囲に設定し、ダンピング抵抗RD を7Ω≧RD >0Ωの範囲に設定し、且つ、スタブ抵抗Rs を25Ω程度に設定するのが好ましい。
上述したように、本発明の第1の形態に係る信号伝送システムによれば、終端抵抗を信号伝送路の特性インピーダンスより大きくし、ドライバ回路の出力抵抗を大きくし、或いは、信号伝送路に直列にダンピング抵抗を設けることによって、信号電力を大幅に減少することができる。具体的に、例えば、回路シミュレーションによると、消費電力をSSTLの約1/4に減少させることができる。さらに、本発明の第2の形態に係る信号伝送システムのレシーバ回路によれば、上記の信号伝送システムにおいて生じる符号間干渉を、過去の信号から予測して除去することにより、高速動作においても正確なデータの受信(伝送)が可能となる。
図9は本発明の第1の形態に係る信号伝送システムの第1実施例を示すブロック図である。図9において、参照符号301はドライバ回路、302(321〜325)は信号伝送路、303および304は終端抵抗(RT )、351〜354はスタブ抵抗(Rs)、361〜364はメモリモジュール(DRAMモジュール)、そして、310はプロセッサ或いはコントローラ(DRAMコントローラ)を示している。
伝送線路302の両端を電源線VTTに接続(終端)する終端抵抗303および304の抵抗値は、例えば、200Ωとされ、伝送線路302の特性インピーダンス(約50Ω)よりも十分に大きくなるように設定されている。さらに、各メモリモジュール361〜364は、それぞれスタブ抵抗351〜354を介して伝送線路302に接続されている。ここで、電源線VTTの電位は、例えば、電源電圧Vccと接地電圧Vssとの中間電位(Vcc/2)に設定されている。
ドライバ回路301は、Pチャネル型MOSトランジスタ311およびNチャネル型MOSトランジスタ312より成るCMOSインバータとして構成されている。ここで、トランジスタ311のゲート幅は、例えば、60μmとして構成され、また、トランジスタ312のゲート幅は、例えば、30μmとして構成されている。すなわち、本第1の形態の第1実施例におけるドライバ用トランジスタのゲート幅は、例えば、従来の低出力インピーダンス型のドライバ回路におけるトランジスタのゲート幅の約1/7〜1/8程度とされている。これにより、ドライバ回路の出力インピーダンスを大きく設定するようになっている。
本第1の形態の第1実施例の具体的なシミュレート結果によれば、例えば、533MHzという高速の転送レートでも、1ビット当たりの消費電力が12mW程度となり、SSTLでの1ビット当たりの消費電力50mW以上に比べて、1/4以下の電力で済むことになる。
図10は本発明の第1の形態に係る信号伝送システムの第2実施例を示すブロック図である。
図10に示す信号伝送システムの第2実施例は、図9の第1実施例における終端抵抗303および304を取り除き、各伝送線路321〜325(302)の間にダンピング抵抗307(RD )を直列に設けるように構成したものである。ここで、伝送線路302に直列に挿入されるダンピング抵抗307は、全体で70Ω程度の値とされている。そして、このダンピング抵抗307により信号伝送系の応答は一次遅れ系でよく近似できるようになり、容量結合を用いた受信回路により符号間干渉を除去して正確な信号の受信が可能となる。
この第1の形態の第2実施例の固有の効果としては、終端抵抗が設けられていないため(解放なため)直流電力の消費が無くなり、殆どの時間においてデータ”1”あるいは”0”の一方の値しか取らない信号の消費電力を実質的に零とすることができる点にある。
図11は本発明の第1の形態に係る信号伝送システムの第3実施例を示すブロック図である。
図11に示す信号伝送システムの第3実施例は、図9の第1実施例にいて、各伝送線路321〜325(302)の間にダンピング抵抗307(RD )を直列に設けるように構成したものである。ここで、伝送線路302に直列に挿入されるダンピング抵抗307は、全体で30Ω程度の値とされ、また、終端抵抗303および304は、約300Ωに設定されている。
すなわち、本第1の形態の第3実施例は、約300Ωの終端抵抗とトータルで約30Ωのダンピング抵抗の両方を設けるようにしたものである。これにより、線路上を伝わる信号の減衰を抑えながら波形の振動的挙動をほぼ完全に抑えることができ、信号伝送の安定性を向上させることができる。
図12は本発明の第2の形態に係る信号伝送システムのレシーバ回路の第1実施例を示すブロック回路図である。図12において、参照符号41は差動増幅器、42は判定回路、43はシフトレジスタ、44は抵抗、そして、45は抵抗ラダー回路を示している。
図12に示すレシーバ回路の第1実施例は、符号間干渉を予測するための予測器を設け、予測器の出力(参照電圧:Vref)を差動増幅器41の参照電圧側(−)に供給し、信号電圧Vinを信号入力側に入れたものである。予測器としてはいわゆるデシジョンフィードバック方式(Decision Feedback: Decision Feedback Equalizer (DFE))を用いて、過去の4ビット分のディジタル信号(d4〜d1)をシフトレジスタ43に保持し、抵抗ラダー45(非直線重みADコンバータ)を介して符号間干渉の項を発生させるようになっている。
すなわち、シフトレジスタ43には、4ビットだけ前のデータd4,3ビットだけ前のデータd3、2ビットだけ前のデータd2、および、直前(1ビット前)のデータd1を保持し、前のビット(4ビット前のデータ〜直前のデータ)による影響に対応する抵抗値を有する抵抗454〜451を介して差動増幅器41の参照電圧側に供給するようになっている。ここで、抵抗454は、4ビット前のデータによる影響は小さいため、その抵抗値は大きく設定されており、また、抵抗451は、直前のデータによる影響は大きいため、その抵抗値は小さく設定されている。
そして、差動増幅器41において、信号電圧Vinを参照電圧Vref により差動増幅し、該差動増幅器41の出力を判定回路42で判定することにより、伝送されたデータ(信号電圧Vin)の判定を行うようになっている。
この図12に示すレシーバ回路の第1実施例によれば、過去の受信信号の十分長い系列を記憶することで一次遅れ系だけでなく、様々な応答に対して正しい符号間干渉の予測(過去のデータ変化の影響の取り除き)を行って、正確なデータを出力することができる。
図13は本発明の第2の形態に係る信号伝送システムのレシーバ回路の第2実施例を示すブロック回路図である。
図13に示すレシーバ回路の第2実施例では、上述した第2の形態の第1実施例における抵抗44および抵抗ラダー回路45をキャパシタ44’および45’による容量結合に置き換えたものである。すなわち、本第2の形態の第2実施例では、非直線重みのA/Dコンバータが容量結合により実現されており、上述した抵抗ラダーを用いる第2の形態の第1実施例に比べて消費電力を小さくできる利点がある。なお、キャパシタ451’〜454’には、スイッチ461〜464が接続されていて、シフトレジスタ43に保持された4ビット前のデータ〜直前のデータと、グランド電位(Vss)とを選択するようになっている。さらに、差動増幅器41の参照電圧側(−)にはスイッチ47が接続されている。
図13のレシーバ回路において、まず、イニシャライズ時においては、スイッチ461〜464をグランド電位側に接続すると共に、スイッチ47をオン状態とする。次いで、スイッチ47をオフ状態とした後、スイッチ461〜464をシフトレジスタ43の出力側に切り換えて、該シフトレジスタ43に保持されている直前のデータ〜4ビット前のデータ(d1〜d4)をそれぞれ対応するキャパシタ451’〜454’の一端に印加する。ここで、キャパシタ451’〜454’の他端は、差動増幅器41の参照電圧側に共通接続されている。なお、4ビット前のデータに対応するキャパシタ454’は、該4ビット前のデータの影響は小さいため、その容量値は小さく設定されており、また、キャパシタ451’は、直前のデータによる影響は大きいため、その容量値は大きく設定されている。
図14は本発明の第2の形態に係る信号伝送システムのレシーバ回路の第3実施例を示すブロック回路図である。図14において、参照符号48はメモリ、また、49はD/Aコンバータを示している。
図14に示すレシーバ回路の第3実施例では、前述した第2の形態の第1実施例と同様に、過去の4ビット分のディジタル信号(d4〜d1)をシフトレジスタ43に保持し、該過去の受信信号のディジタル信号列をアドレスとしてメモリ48の内容を読み出すようになっている。すなわち、シフトレジスタ43に保持された信号に応じた出力をメモリ48から読み出すようになっている。そして、メモリ48の出力は、D/Aコンバータ49を介して差動増幅器41の参照電圧側へ参照電圧Vref として供給され、差動増幅器41の信号入力側(+)に供給された信号電圧のVinとの差動増幅を行い、さらに、該差動増幅器41の出力を判定回路42で判定することにより、伝送されたデータ(信号電圧Vin)の判定を行うようになっている。
このように、図14に示す本第3実施例によれば、例えば、トランジスタやダイオード等の影響により符号間干渉が非線型になった場合でも、この非線型要素を含めた値をメモリ48に格納しておくことにより、正しい予測値が出せる(正しい伝送データの判定が行える)という利点がある。
図15は本発明の第2の形態に係る信号伝送システムのレシーバ回路の第4実施例を示すブロック回路図である。
図15に示すレシーバ回路の第4実施例は、基本的には、図5に示すキャパシタおよびスイッチを組み合わせて1クロック前に受信した信号電圧のアナログ値を使用して過去のデータ変化の影響の取り除く構成と、図13のキャパシタを使用したデシジョンフィードバック方式の予測器の構成とを備えたものであり、キャパシタとスイッチを組み合わせた回路により前述した (1)式で示される符号間干渉を入力信号から差し引き、さらに、デシジョンフィードバック方式の予測器により残った誤差を差動増幅器の参照側入力を用いて消去するようになっている。この第2の形態の第4実施例は、通常のデシジョンフィードバック方式の予測器に比べて少ない記憶段数で高い精度の符号間干渉除去ができる利点がある。
すなわち、図15のレシーバ回路において、まず、スイッチ511をオフ状態とし、且つ、スイッチ512および513をオン状態として、キャパシタ514に対して電圧Vbと信号電圧(Vin)との差電圧を印加(蓄積)し、キャパシタ515に対して電圧Vbと電圧VTTとの差電圧を印加する。このとき、スイッチ561〜564は接地電位Vssに接続される。ここで、電圧Vbは、差動増幅器541の動作を確実に行わせるためのバイアス電圧である。また、スイッチ545をオン状態とすることにより、差動増幅器541のオートゼロ操作も行われる。
次に、スイッチ512,513,545をオフ状態とし、スイッチ511をオン状態として、キャパシタ514および515を並列に繋いで差動増幅器541の信号入力側(+)のノードに導く。このとき、スイッチ561〜564は、シフトレジスタ543に保持されている過去のビット情報(4ビット前のデータ〜直前のビットデータ)を選択するように制御され、これにより該過去のビット情報に対応して、差動増幅器541の参照電圧側(−)のノードの電位(Vref)が変化する。ここで、差動増幅器541の参照電圧側と電圧(電源線)VTTとの間には直列にキャパシタ544が設けられている。これにより、前述した図13と同様に、例えば、過去の4ビット分のデータによる符号間干渉の予測値が参照電圧Vref として差動増幅器541に印加され、該参照電圧Vref により信号入力側の信号の差動増幅が行われる。そして、差動増幅器541の出力は、判定回路542で判定され、伝送されたデータ(信号電圧Vin)の判定が行われることになる。
ここで、4ビット前のデータに対応するキャパシタ554は、その容量値が小さく設定され、また、直前のビットデータに対応するキャパシタ551は、その容量値が大きく設定されているのは、前述したのと同様である。なお、符号間干渉を予測するための予測器として、上記のキャパシタおよびスイッチにより構成したものに限定されず、図12の抵抗ラダーを使用したもの、或いは、図14のメモリを使用したもの等を使用することができるのはもちろんである。
図16は図5のレシーバ回路におけるオートゼロ・コンパレータの一例を示す回路図であり、図17は図5のレシーバ回路におけるオートゼロ・コンパレータの他の例を示す回路図である。
すなわち、図16に示すオートゼロ・コンパレータは、図5(b)の回路において、スイッチ811〜814および817をNチャネル型MOSトランジスタで構成したものである。
また、図17に示すオートゼロ・コンパレータは、図5(b)の回路において、スイッチ811〜814および817をNチャネル型およびPチャネル型MOSトランジスタより成るトランスファーゲートで構成したものである。ここで、図17において、インバータ810および820は、それぞれ制御信号φ2およびφ1の反転信号を生成するためのものであり、これにより各トランスファーゲートをの相補信号により駆動が可能となる。
図18は図5のレシーバ回路におけるオートゼロ・コンパレータのさらに他の例を示す回路図である。
図18に示すオートゼロ・コンパレータは、 図17の回路において、インバータ818を差動増幅器8181およびインバータ8182により構成(818’)したものである。図18に示されるように、スイッチ(トランスファーゲート)817は、差動増幅器8181の信号入力側とインバータ8182の出力との間に設けられ、オートゼロの処理を行うようになっている。また、差動増幅器8181の参照電圧側には参照電圧Vrが印加されている。さらに、差動増幅器8181は、イネーブル信号CMeにより動作状態が制御され、該イネーブル信号CMeが高レベルの時に活性化されて動作するようになっている。
図19〜図24は、それぞれ本発明の信号伝送システムが適用される例を示すブロック図である。
図19において、参照符号601はコントローラ(メモリコントローラまたはプロセッサ)、602はメモリ(DRAM)を示している。コントローラ601は、位相の異なる複数の制御信号(クロック信号:クロック)を出力することのできるマルチフェーズDLL(Multi-phase Delay Locked Line: MP-DLL)611、部分応答検出回路(Partial Response Detector:PRD)613、および、ドライバ回路612,614を備えている。また、メモリ602は、MP−DLL621、PRD622,623、および、ドライバ回路624を備えている。
コントローラ601とメモリ602とは、コントローラ側からメモリ側へのniビットの単方向性アドレス信号線(信号伝送路;アドレスバス)615と、njビットの双方向性データ信号線(信号伝送路;データバス)616により繋がれている。また、ドライバ回路612,614,624は、前述したように、高出力インピーダンスとされ、これらドライバ回路612,614,624の出力は、それぞれ対応するPRD622,623,613により部分応答検出が行われるようになっている。ここで、PRD622,623,613の構成およびその動作は、例えば、図5,図6および図12〜図15等で説明した通りであり、また、信号伝送路615および616の構成は、図2および図7〜図11等で説明した通りである。なお、以下の図20〜図24においても、各信号伝送路(アドレスバスおよびデータバス)、ドライバ回路、および、レシーバ回路(PRD)等の構成は、上記各図を参照して説明したものを適用することができる。
なお、図19から明らかなように、コントローラ601においては、同期制御されたMP−DLL611からの制御信号(クロック)が各PRD613およびドライバ回路612,614に供給され、また、メモリ602においては、同期制御されたMP−DLL621からの制御信号が各PRD622,623およびドライバ回路624に供給されている。また、クロックCLKは、本適用例においては、通常の信号線(例えば、SSTL:Series-Stub Terminal Logic)により各回路ブロック(コントローラおよびメモリ)へ供給されるようになっている。
図20において、参照符号603はコントローラ(或いは、プロセッサまたはロジックチップセットの1つ)、604a〜604dはメモリ、そして、651および652はロジックチップを示している。コントローラ603は、MP−DLL631、PRD632,633、および、ドライバ回路634,635,636を備えている。また、メモリ604a〜604dは同様の構成とされ、例えば、メモリ604aは、MP−DLL641、PRD642,643、および、ドライバ回路644を備えている。さらに、ロジックチップ651はDLL6511およびドライバ回路6512を備え、また、ロジックチップ652はDLL6521およびPRD6522を備えている。
コントローラ603とメモリ604a〜604dとは、コントローラ側からメモリ側へのniビットの単方向性アドレスバス637と、njビットの双方向性データバス638により繋がれている。これらのバス637および638は、1:4のバスとして構成されているが、メモリの数は4つに限定されず様々に変形することができるのはいうまでもない。
コントローラ603とロジックチップ651とは、ロジックチップ651側からコントローラ603側へのnpビットの単方向性データ信号線(データバスA)653と、コントローラ603側からロジックチップ652側へのnqビットの単方向性データ信号線(データバスB)654により繋がれている。すなわち、本発明の信号伝送システムにおける信号伝送路(本発明の信号伝送路)は、単方向の信号伝送路637,653,654、および、双方向の信号伝送路638に適用されている。
また、ドライバ回路634,635,636,644,6512は、高出力インピーダンスとされ、これらドライバ回路634,635,636,644,6512の出力は、それぞれ対応するPRD6522,642,643,633,632により部分応答検出が行われるようになっている。すなわち、本発明の信号伝送システムにおけるレシーバ回路(本発明のレシーバ回路)は、PRD6522,642,643,633,632に適用されている。なお、本発明の信号伝送システムにおけるドライバ回路(本発明のドライバ回路)は、ドライバ回路634,635,636,644,6512に適用されている。
なお、図20から明らかなように、コントローラ603においては、同期制御されたMP−DLL631からの制御信号が各PRD632,633およびドライバ回路634〜636に供給され、また、メモリ604a(604a〜604d)においては、MP−DLL641からの制御信号が各PRD642,643およびドライバ回路644に供給されている。さらに、ロジックチップ651においては、DLL6511からの制御信号がドライバ回路6512に供給され、また、ロジックチップ652においては、DLL6521からの制御信号がPRD6522に供給されている。
図21に示す信号伝送システムは、図20の信号伝送システムの変形例であり、図20におけるロジックチップ651および652の代わりにプロセッサ(或いはグラフィックエンジン)605を設けたものである。なお、参照符号603’は、コントローラ(或いは、ロジックチップの1つ)を示している。
プロセッサ605は、MP−DLL6051、PRD6052およびドライバ回路6053,6054を備えている。図20と図21との比較から明らかなように、本適用例においては、図20における単方向性データ信号線654が、双方向のデータ信号線654’として構成され、それに対応して、コントローラ603’にPRD632’が設けられるようになっている。すなわち、本発明の信号伝送路は、単方向の信号伝送路637,653、および、双方向の信号伝送路638,654’に適用され、また、本発明のレシーバ回路は、PRD6052,642,643,633,632,632’に適用され、そして、本発明のドライバ回路は、ドライバ回路634,635,636,644,6053,6054に適用されている。
図22に示す信号伝送システムは、図21の信号伝送システムのさらなる変形例であり、プロセッサ605としてロジックチップ605’を設けたものであり、図21の信号伝送システムにおいて、本発明が適用される信号伝送路654’を通常のSSTLの信号線で構成したものである。
すなわち、ロジックチップ605’とコントローラ603”を繋ぐnqビットの双方向信号線をSSTLの信号線とし、ドライバ回路6054’および634”とレシーバ6052’および632”をSSTL用のものとして構成するようになっている。従って、本発明の信号伝送路は、単方向の信号伝送路637,653、および、双方向の信号伝送路638に適用され、また、本発明のレシーバ回路は、PRD642,643,633,632に適用され、そして、本発明のドライバ回路は、ドライバ回路635,636,644,6053に適用されている。
図23において、参照符号606はコントローラ(或いは、プロセッサ)、607はメモリ、そして、664,674は差動増幅器を示している。図23に示す信号伝送システムは、クロックCLKの供給を相補信号CLK,/CLKを差動増幅器664,674を介してDLL661,671へ供給するようにしたものである。
すなわち、相補のクロックCLK,/CLKは、コントローラ606およびメモリ607へ供給され、それぞれ差動増幅器664および674で差動増幅された後、DLL661および671へ供給される。そして、DLL661の出力(制御信号)はドライバ回路662およびPRD663へ供給され、また、DLL671の出力はドライバ回路672およびPRD673へ供給されるようになっている。これにより、本適用例では、クロックの伝送を高速、且つ、低電力で行うようになっている。なお、本発明の信号伝送路は、双方向の信号伝送路665に適用され、また、本発明のレシーバ回路は、PRD663,673に適用され、そして、本発明のドライバ回路は、ドライバ回路662,672に適用されている。
図24において、参照符号608はコントローラ(或いは、プロセッサ)、609はメモリ、そして、684,694は差動増幅器、685,686,695,696はドライバ回路を示している。図24に示す信号伝送システムは、クロックCLKは通常の信号線により供給し、代わりに、データの出力タイミングに合わせてDLL681および691から相補のストローブ信号ST−B,/ST−BおよびST−A,/ST−Aを出力するようになっている。これら相補のストローブ信号ST−B,/ST−BおよびST−A,/ST−Aは、信号を受ける側の差動増幅器694および684で受け取り、DLL691および681を介してPRD692および682を制御するようになっている。
これにより、本適用例では、信号伝送路による遅延と同様の遅延をストローブ信号ST−B,/ST−BおよびST−A,/ST−Aにおける遅延で相殺し、信号の同期を厳密に行うことが可能となる。なお、本発明の信号伝送路は、双方向の信号伝送路687に適用され、また、本発明のレシーバ回路は、PRD683,693に適用され、そして、本発明のドライバ回路は、ドライバ回路682,692に適用されている。
以下、本発明の第3の形態としての信号伝送システムを説明するが、その前に、図25を参照して従来の信号伝送システムおよびその課題を説明する。
図25は従来の信号伝送システムの他の例(Rambusチャネル)を概略的に示すブロック図である。図25において、参照符号901および902は終端抵抗、903は信号伝送路(バス)、904はクロック線用の終端抵抗、905はクロック発生源、そして、906はクロック線を示している。また、参照符号9−0はコントローラ(DRAMコントローラ)を示し、また、9−1〜9−nはデバイス(DRAMチップ)を示している。なお、DRAMチップ9−1〜9−nは、1つのチップ内に設けられた様々な構成回路、或いは、複数のDRAMチップを搭載したDIMM(Dual Inline Memory Module)等のDRAMモジュールの場合もある。
図25に示されるように、Rambusチャネルでは、DRAMコントローラ9−0と複数のDRAMチップ9−1,9−2,…9−nとの間は共通の信号伝送路(バス)で接続されている。
ところで、高速の信号を送受信するには、信号の送り手および受け手のタイミングを正確に合わせることが必要になる。そのため、Rambusチャネルでは、折り返したクロック線906にクロックCLK(CLKs,CLKr)を送り、DRAMコントローラ9−0は、折り返し地点の付近(P902)からクロックを取り出す。そして、DRAMコントローラ9−0は、このクロックに合わせて信号の取り込みや送信のタイミングを決定する。
また、各DRAMチップ(DRAMモジュール)9−1〜9−nは、DRAMコントローラ9−0へ信号を送る場合、折り返しクロック線906のうちDRAMコントローラへ向かって進んでいるクロック(CLKs)を取り出して、これに合わせて信号送出タイミングを生成する。さらに、各DRAMモジュール(DRAM)9−1〜9−nは、DRAMコントローラ9−0から信号を受信する場合、DRAMコントローラからやってくる向きのクロック(CLKr)を取り出して受信タイミングを生成する。
すなわち、DRAMチップからデータを読み出してその信号をDRAMコントローラ9−0へ伝送する場合、具体的に、DRAMチップ9−1は、クロック発生源905から出力されクロック線906を介して供給されたクロックCLKs をクロック線906上のポイントP912で受け取り、読み出しデータを信号伝送路903上のポイントP911およびP901を介してDRAMコントローラ9−0へ伝送する。また、DRAMチップ9−2は、クロックCLKs をクロック線906上のポイントP922で受け取り、読み出しデータを信号伝送路903上のポイントP921およびP901を介してDRAMコントローラ9−0へ伝送する。さらに、DRAMチップ9−nは、クロックCLKs をクロック線906上のポイントP9n2で受け取り、読み出しデータを信号伝送路903上のポイントP9n1およびP901を介してDRAMコントローラ9−0へ伝送する。
ここで、クロックCLKs は、DRAMチップ9−1とDRAMコントローラ9−0との間では、クロック線906上のポイントP912とポイントP902との距離に相当する時間のずれ(遅れ)が生じるが、このずれは、DRAMチップ9−1からDRAMコントローラ9−0へ信号(読み出しデータ)を伝送するときの信号伝送路903上のポイントP911とポイントP901との距離に相当する時間のずれ(遅れ)により相殺されるため、DRAMコントローラ9−0では正確な(同期のとれた)信号の取り込みを行うことが可能となる。
同様に、DRAMチップ9−2では、クロック線906上のポイントP922とポイントP902との距離に相当する時間のずれは、信号伝送路903上のポイントP921とポイントP901との距離に相当する時間のずれにより相殺され、また、DRAMチップ9−nでは、クロック線906上のポイントP9n2とポイントP902との距離に相当する時間のずれは、信号伝送路903上のポイントP9n1とポイントP901との距離に相当する時間のずれにより相殺され、DRAMコントローラ9−0では正確な信号の取り込みを行うことが可能となる。
一方、DRAMコントローラ9−0からの信号をDRAMチップへ伝送する場合、DRAMコントローラ9−0は、クロックCLKr(CLKs)をクロック線906上のポイントP902で受け取り、信号を信号伝送路903上のポイントP901を介して伝送する。具体的に、DRAMチップ9−1へ信号(書き込みデータ)を伝送する場合、該書き込みデータは、信号伝送路903上のポイントP901とポイントP911との距離に相当する時間だけずれる(遅れる)。しかしながら、DRAMチップ9−1に伝送されるクロックCLKr も、クロック線906上のポイントP902とポイントP913との距離に相当する時間だけずれるため、信号(書き込みデータ)のずれを相殺してDRAMチップ9−1では、正確な(同期のとれた)書き込みデータの取り込みを行って書き込み処理をすることが可能となる。
同様に、DRAMチップ9−2では、信号伝送路903上のポイントP901とポイントP921との距離に相当する書き込みデータの時間のずれがクロック線906上のポイントP902とポイントP923との距離に相当するクロックCLKr の時間のずれにより相殺され、また、DRAMチップ9−nでは、信号伝送路903上のポイントP901とポイントP9n1との距離に相当する書き込みデータの時間のずれがクロック線906上のポイントP902とポイントP9n3との距離に相当するクロックCLKr の時間のずれにより相殺され、各DRAMチップでは、正確な書き込み処理をすることが可能となる。
このように、図25に示す信号伝送システム(Rambusチャネル)は、クロック線906と信号伝送路903とが全く同じルートを通り、且つ、電気的特性も全く同じ場合には、送受信とも正しいタイミングを与えることができる。すなわち、図25に示す信号伝送システムは、クロック線906と信号伝送路903とが同一の電気的特性で同じルートを通っていることを要求する。
しかしながら、クロック線906と信号伝送路(バス)903とでは負荷の特性が異なることが避けられない。なぜなら、信号伝送路903は受信タイミングに合わせて動作するラッチ回路で高感度な受信が行えるのに対して、クロック線906はラッチが使えないため差動増幅器等を用いる必要があるからである。すなわち、ラッチ回路と差動増幅器等とでは負荷の性質が異なるため、クロックと信号とでは線路の電気的性質(例えば、単位距離あたりの遅延)等が異なってしまう。また、たとえ負荷特性を完全に合わせたとしても、現実のボード上の配線引き回しではクロックと信号線とで完全に同じルートを辿ることは不可能である。そのため、より高い周波数では、図25に示す信号伝送システムにより正しいタイミング生成を行うのはますます困難になってしまう。
さらに、図25に示す信号伝送システムに限らず、現在の信号伝送方式では、バス(信号伝送路)上で信号を送信するデバイスが次々に変化する場合には、信号と信号の間にギャップ(時間的な余裕)を設ける必要があった。すなわち、信号同士が重なってしまうと誤って受信されるため、このような信号同士の重なりを防ぐためである。そして、このギャップを無くすか最小限にするためには、極めて厳密に送受信のタイミングを規定する必要があるが、これも周波数が高くなるとより一層困難になる。
そこで、クロック線と信号線(信号伝送路:バス)との対称性を要求せずにタイミング信号を生成することができ、しかも、送信デバイスが切り替わったときのギャップを最小限にすることができる信号伝送システムの提供が要望されている。
次に、本発明の第3の形態としての信号伝送システムを詳述するが、まず、本発明の第3の形態の特徴を概略する。
本発明の第3の形態では、信号伝送路を信号が走る最大の時間より十分短い精度(例えば、10パーセント程度)で共通タイミングを生成し、この共通タイミングに全ての素子(デバイス,LSIチップ等)が合わせて動作するように構成する。ここで、共通タイミングは、クロック線をそれぞれ反対方向に進むクロックから合成する。さらに、受信側に符号間干渉を除去する機能を持たせ(PRD等:図4、および、図12,図13並びに図14,図15参照)、全ての素子を共通タイミングで動作するように構成する。
各素子から受信素子(例えば、コントローラ)へ信号が到達する時間は信号の走行時間に対応して変化する。送信素子を切り替えると、この時間差の下で共通タイミングで受信するため、符号間の干渉が増加してしまう。しかしながら、受信側で符号間干渉を除去する手段を用いることにより、全ての送信素子(デバイス,LSIチップ等)に対して共通タイミングで受信させることができ、さらに、素子に応じて受信や送信のタイミングを調整する場合でも、符号間干渉除去(符号間干渉成分推定)手段(PRD)を用いることにより、厳密なタイミング調整を行う必要がないためコストの低い回路を使用することが可能となる。
すなわち、本発明の第3の形態では、信号伝送路(バス)に繋がる全てのデバイス(チップの構成回路、DRAMチップ、或いは、DRAMモジュール等)が共通の時間基準としての共通基準時間(以下、GMT:Global Mean Timeとも称する) を使用し、受信には符号間干渉を除去する前述したような受信方式(本発明の第2の形態に係る信号伝送システムのレシーバ回路)を用い、さらに、ドライバ回路(駆動回路)としてはプッシュ・プルのドライバ(定電流または出力抵抗の大きなプッシュ・プル・ドライバ)を使用することが各構成の特徴となっている。その結果として、異なるデバイスへの読出/書込動作におけるギャップレス転送が可能になり、しかも、前述したデータ線(伝送信号線路)に沿って走るデータクロック(クロック線)の伝送特性をデータ線と同一にしたり、送信用クロック(CLKs)および受信用クロック(CLKr)の制御(RambusチャネルやVernier等)を不要にすることができる。
図26は本発明の第3の形態としての信号伝送システムの原理構成を示すブロック図である。図26において、参照符号701および702は終端抵抗、703は信号伝送路(バス)、704はクロック線用の終端抵抗、705はクロック発生源、そして、706はクロック線を示している。また、参照符号7−0はコントローラ(DRAMコントローラ)を示し、また、7−1〜7−nはデバイス(DRAMチップ)を示している。なお、DRAMチップ7−1〜7−nは、1つのチップ内に設けられた様々な構成回路、或いは、複数のDRAMチップを搭載したDIMM等のDRAMモジュール等であってもよく、さらに、DRAMはEPROM(Erasable and Programmable Read Only Memory) やフラッシュEEPRM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等であってもよい。また、コントローラ(7−0)は、ASIC(Application Specified Integrated Circuit) 、グラフィックコントローラ、或いは、マイクロプロセッサ等であってもよい。
図27は図26の信号伝送システムの動作を説明するための図(その1)である。
図26および図27に示されるように、信号伝送路703に繋がる全てのDRAMコントローラ7−0およびDRAMチップ7−1〜7−nの共通基準時間(共通タイミング)GMTは、折り返したクロック線706を使用して生成する。すなわち、本発明の第3の形態では、送信用クロックCLKs および受信用クロックCLKr を使用するのではなく、折り返したクロック線706の往路側のクロックと復路側のクロックの中間のタイミングとして共通タイミングGMTを生成する。
具体的に、DRAMチップ7−1では、往路側のクロックCLKをクロック線706上のポイントP712から取り込み、復路側のクロックCLKをクロック線706上のポイントP713から取り込み、そして、これら2つのクロックの中間(中間位相)のタイミングを共通タイミングとする共通基準時間GMTを生成する。同様に、DRAMチップ7−2では、クロック線706上のポイントP722およびP723から往路および復路側のクロックCLKを取り込んで、その中間のタイミングを共通タイミングとする共通基準時間GMTを生成し、また、DRAMチップ7−nでは、クロック線706上のポイントP7n2およびP7n3から往路および復路側のクロックCLKを取り込んで、その中間のタイミングを共通タイミングとする共通基準時間GMTを生成する。これにより、クロック線706におけるDRAMチップの位置に関わらず、正確に周期TT毎の共通タイミング(共通基準時間GMT)が得られることになる。
このとき、クロック線706の往き(往路)と復り(復路)が正確に同じ道(経路)を通っている必要はあるが、クロック線706自体の伝送特性は信号伝送路(データ線)703の伝送特性と大きく異なっていてもかまわない。また、折り返しクロック線706の通る道もデータ線703とは別で良い。要するに、往きのクロックと復りのクロックの中間の位相を選べば、これが共通タイミングGMTとなる。なお、共通基準時間GMTが一意に決まるにはクロック線706の長さに制限が付くが、実際のクロックCLKをn分周(例えば、4分周)して4倍の周期(1/4の周波数)としたクロックを使うことによりクロック線706の長さの限界をn倍(例えば、4倍)に拡大することができるので、実用上問題のない距離にわたって共通タイミングGMTを分配することができる。この場合、DRAMコントローラ7−0および各DRAMチップ7−1〜7−nには、周期がn倍(例えば、4倍)にされたクロックを元に戻すためのn逓倍(例えば、4逓倍:周波数を4倍にする)を行うPLL回路またはDLL回路がそれぞれ設けられることになる。
上述のように、折り返しクロック線706を用い、往路および復路側クロックの中間位相の信号を作ることで共通タイミングが生成できるが、必要なのはクロックのルートを両方向に進む信号であって、必ずしもクロック線が折り返されていなくとも良い。例えば、後述するように、一本のクロック線上に往きと復りのクロックを同時に走行させることもできる(クロック線に定在波を立たせたことに相当する)。クロック線の長さが波長の半分の場合の定在波上では、どこの位置で見ても同じ位相のクロックが得られる。つまり、定在波によっても共通タイミングを分配できる。
次に、信号を受信する回路としては、前述した部分応答検出回路(PRD:Partial Response Detector)に代表される受信回路(図4、および、図12,図13並びに図14,図15参照)を用いるが、PRDを使うためにデータ線(バス)703の長さLに制限を付ける。ここでは、波が往復するのに要する時間(往復時間:Round Trip Time)を信号のビットタイムT以下とするという条件にする。この条件は、実際には、もう少し緩くすることができる。
図28は図26の信号伝送システムの動作を説明するための図(その2)であり、図28(a)はDRAMチップ7−1〜7−nで送信するユニットパルス信号を示し、図28(b)はDRAMチップ7−1〜7−nから送信された信号をDRAMコントローラ7−0で受信したときの波形を示している。
図28(b)に示されるように、受信側(DRAMコントローラ7−0)で符号間干渉の除去を行い、共通タイミングで受信(t=TTで受信)し、何れの素子(DRAMチップ)でも十分な信号強度となるように各素子からの遅延の上限が定められていれば、すべての素子が共通タイミングで送信・受信を行なうことができる。ここで、各素子はビットタイム(bit time) の始めの位置に同期して新たな信号を送出し、ビットタイムの終りに同期して受信を行うようになっている。また、送信タイミングおよび受信タイミングは、信号強度を最適化するために若干前後させてもよいが、時間の基準はあくまでも共通タイミングTTとする。
ドライバ回路(駆動回路)は、プッシュ・プルのドライバ(定電流または出力抵抗の大きなプッシュ・プル・ドライバ)として構成する。なお、出力抵抗の大きなドライバとは、定電流のドライバまでいかなくとも、該ドライバの出力インピーダンスが信号ラインの特性インピーダンスよりも大きな値のものであり、具体的に、例えば、CMOSドライバの出力トランジスタのサイズを適当に小さくすることにより構成される。
これによって、どのドライバ回路(DRAMコントローラ7−0またはDRAMチップ7−1〜7−n)がバス703を駆動しようとも(また、どのドライバ回路もバスを駆動していなかったとしても)バスの時定数(より厳密には、応答関数)は時間に依存せず一定となる。つまり、系は「線型時不変系」となり、従って、受信される信号はユニットパルス応答h(t)の重ね合せで得られることになる。
ここで、最悪条件、つまり往復時間がちょうど信号のビットタイムTの場合に対してh(t)を求めると、ステップ応答の最終値で正規化したh(nT)は、n=0,1,2…に対して0,1−s**2,(1−s**2)S**2,(1−s**)S**4…となる。
なお、Sは線路端での電圧反射係数で、線路の両端は同じ抵抗で終端されていると仮定している。これは、Exp(−T/τ)=s**2とすると、まさしく指数関数的な応答である。
ここで、S**2を0.5程度にしておけば、PRDで問題なく受信できることがわかる。なお、この反射係数は、終端抵抗RT (701,702)の値に換算して特性インピーダンスの5.8倍となる。これは50オーム系で290オームの終端抵抗に相当し、もう少し小さな終端抵抗とすれば符号間干渉が小さくなるので受信が容易に行えることになる。
次に、ドライバ回路の電流値を、例えば、io =3.5mAとすると、ステップ応答の最終値はio ×RT /2でほぼ500mVとなり、従って、ネットの信号の大きさはこれに1−s**2を乗じて250mVとなる。これにより、最悪条件でもPRDの受信が可能であることがわかる。従って、チップ(7−1〜7−n)が切り替わっても、バス703上に乗っている過渡電圧の波の振幅はTごとにs**2倍に減衰していくから、PRDで号間干渉を除去することができ、問題なく受信が可能である。つまりギャップレス伝送が可能となる。
最悪条件で受信が可能であるから、後は、共通基準時間GMTのタイミングですべてのデバイス(チップ)が信号を送ったり受信したりすれば良い。従って、Vernierを使ったり、Rambusチャネルのように送信用クロックおよび受信用クロックに合わせたPLL(Phase Locked Loop)やDLLは必要が無いことになる。
このように、本発明の第3の形態に係る信号伝送システムでは、受信回路で符号間干渉を除去することにより、一定の精度で共通のタイミング信号を全ての素子が共通に使うことが可能になる。ここで言う一定の精度は、符号間干渉の除去ができる程度のタイミング誤差を許すということから導かれ、信号線上を信号が伝送(伝達)するのに要する時間より十分小さい(例えば10パーセント程度)時間精度があれば良い。また、共通のタイミング信号を形成するにはクロックのルートの両方(往路および復路)の方向に走るクロックさえあれば良く、クロック線と信号線の電気的特性およびルートを一致させる必要が全く無いため、クロック線の配置や形式に対する制約が生じないという利点がある。
以下、本発明の第3の形態に係る信号伝送システムの各実施例を図面を参照して詳述する。
図29は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムの第1実施例を示すブロック図である。図29において、参照符号701および702は終端抵抗、703は信号伝送路(バス)、704はクロック線用の終端抵抗、705はクロック発生源、706はクロック線、そして、770〜774はスタブ抵抗を示している。また、参照符号7−0はコントローラ(DRAMコントローラ)を示し、また、7−1〜7−4はデバイス(DRAMチップ)を示している。
図26および図27を参照して説明したように、DRAMコントローラ7−0およびDRAMチップ7−1〜7−4は、折り返されたクロック線706から往復のクロックをそれぞれ取り出し、中間位相の信号を生成することでこれを共通タイミング信号(共通基準時間GMT)とするようになっている。DRAMコントローラ7−0および各DRAMチップ7−1〜7−4は、それぞれ共通タイミング信号(GMT)に合わせて信号の送信と受信を行うようになっている。なお、終端抵抗701および702としては、例えば、250オームの抵抗を使用し、スタブ抵抗770〜774としては、例えば、それぞれ25オームの抵抗を使用するようになっている。
このように、本発明の第3の形態に係る信号伝送システムの第1実施例によれば、共通タイミング信号(GMT)は、折り返したクロック線706の往路側のクロックと復路側のクロックの中間のタイミングとして得ることができる。すなわち、クロック線706におけるDRAMチップの位置に関わらず、正確な共通タイミングを有する共通タイミング信号を得ることができる。
図30は図29の信号伝送システムの変形例を示すブロック図であり、マルチプロセッサシステムを示すものである。図30において、参照符号7−1〜7−4は、プロセッサエレメントを示している。
図30に示されるように、本発明の第3の形態は、図29に示すようなバス(信号伝送路)703を使用した信号伝送システムに限らず、相互に一対一接続を行うようなマルチプロセッサシステムに対しても適用することができる。
図31は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムにおける各デバイスの要部構成の一例を示すブロック図である。図31において、参照符号781はドライバ回路(駆動回路)を示し、また、782はPRD(部分応答検出回路)を示している。
図31に示されるように、DRAMチップ7−1(各DRAMチップ7−2〜7−4、または、DRAMコントローラ7−0)には、符号間干渉の影響を取り除くためのPRD782が搭載され、前述した図28(b)に示されるような受信波形から符号間干渉の影響を低減して、共通タイミングTTでデータの受信を行うようになっている。このように、受信回路としてオートゼロ・コンパレータ(図5および図16〜図18等参照)を用いたPRD782を使用することにより、大きな符号間干渉も簡単な回路で除去することができる。
図32は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムにおける各デバイスの要部構成の他の例を示すブロック図である。図32において、参照符号781はドライバ回路を示し、また、783はイコライザを示している。
図32に示されるように、DRAMチップ7−1(各DRAMチップ7−2〜7−4、または、DRAMコントローラ7−0)には、符号間干渉の影響を最少にするためのイコライザ回路783が搭載されている。すなわち、本構成では、受信回路として、図31のPRD782の代わりにイコライザ回路783を使用し、前述した図28(b)に示されるような受信波形から符号間干渉の影響を低減して、共通タイミングTTでデータの受信を行うようになっている。
図33は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムの第2実施例を示すブロック図である。
図33に示されるように、本第3の形態の第2実施例では、信号伝送路(信号線)703の長さを、ビットタイムTの時間で信号線上を信号が一往復以上できる大きさに制限するようになっている。すなわち、v0 を信号線703上の波の伝搬速度、Lを信号線703の長さ、そして、Tを1ビットタイム(1ビットの長さ)として、2L/v0 ≦Tの制限を設ける。これにより、符号間干渉を小さく保ちやすくなり、しかも、全ての素子(DRAMコントローラおよびDRAMチップ)が往復のクロックの位相の中間位相の信号を作ることで、共通タイミング信号(GMT)を生成できることになる。
図34は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムの第3実施例を示すブロック図である。図34において、参照符号701,701’および702は終端抵抗、703および703’は信号伝送路(バス)、706はクロック線、7−0はコントローラ(DRAMコントローラ)、7−1〜7−nおよび7−1’,…はデバイス(DRAMチップ)、そして、708はバッファを示している。
図34に示されるように、本第3の形態の第3実施例では、信号伝送路(信号線)703および703’の間にバッファ708を設けるようになっている。すなわち、例えば、信号線の長さが上記の2L/v0 ≦Tを越える場合には、適宜、バッファ708を設けるようになっている。
ここで、バッファ708は、信号(信号線703上で伝送される信号)を1ビットタイムTの整数倍だけ遅延を与えて再送信する機能を有している。そして、バッファの遅延がTの整数倍であるため、バッファおよびこれにつながる素子(DRAMチップ等)は、全てそれまでの共通タイミング信号で動作させることが可能となる。当然、バッファ708の信号送受信も共通タイミングにもとづいて行われることになる。
図35は図34の信号伝送システムの変形例を示すブロック図である。
図35に示されるように、本変形例は、図34の第3実施例において、バッファ708が信号線703上で伝送される信号だけでなく、クロック線706(706’)上で伝送されるクロックに対しても設けられている。すなわち、バッファ708が当該バッファ708に繋がれる他のデバイス(DRAMチップ7−1’,…)のためのクロックを供給する手段を備えている。
これは、バッファにより信号を伝送する距離を延ばすことが可能になるが、クロック分配用配線の距離が長くなると、単純に往復のクロックの中央の位相をもつ信号を生成するだけでは、共通クロックを一意に決定できなくなるためである。そこで、バッファ708がDLLやPLLを用いて共通クロックより一定位相進んだ波形と同じ位相だけ遅れた波形を作って送ってやれば、このクロックを受信したデバイス(DRAMチップ7−1’,…)は、バッファ708と同じ共通タイミングを持つことができる。
図36は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムの第4実施例を示すブロック図である。図36において、参照符号780〜78mはバッファを示し、703はバス(信号線)を示し、また、7−1〜7−nはデバイス(DRAMチップ)を示している。
図36に示されるように、本第3の形態の第4実施例は、各バッファ780〜78mがそれぞれ複数セットのバス線群703に接続されるようになっている。このようなバッファ780〜78mを用いることにより、でツリー状に多数のデバイス(DRAMチップ)7−1〜7−nと信号を送受信することができ、大規模なシステムを容易に構成することができる。バッファ780〜78mを用いた信号線703のトポロジーとしてはツリー状、スター状、および、リング状等の様々なものが可能なのはいうまでもない。
図37は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムにおけるドライバ回路の一例を示す回路図であり、例えば、図31および図32におけるドライバ回路(駆動回路)781を示すものである。
図37に示されるように、信号線(信号伝送路703)を駆動するドライバ回路は、Pチャネル型MOSトランジスタ7811,7812、Nチャネル型MOSトランジスタ7815,7816、電流源7813,7817、および、CMOSインバータ7814,7818を備えて構成されている。ここで、トランジスタ7812はトランジスタ7811とカレントミラー接続され、また、トランジスタ7816はトランジスタ7815とカレントミラー接続されている。そして、ドライバ回路は、対称的なカレントミラー型の定電流駆動回路のトランジスタ7812および7816ソース側をそれぞれCMOSインバータ7814および7818で駆動することにより、定電流をスイッチさせる回路方式となっている。すなわち、図37に示すドライバ回路781は、対称性を有する定電流駆動のプッシュ・プル・ドライバとして構成されている。
これにより、ドライバ回路の出力インピーダンスが高くなり、各回路ブロック(DRAMチップ等)の任意のドライバ回路がスイッチしても信号線系の応答関数が一定となり、符号間干渉の除去率を高くしてより一層正確な信号の伝送を行うことができる。さらに、たとえ、各ブロック回路で生成される共通タイミング信号同士に誤差が生じて、複数のドライバ回路が同時に信号線を駆動する期間が生じた場合ても、定電流駆動ならば貫通電流が流れたりする問題が生じないという利点がある。
図38は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムの第5実施例を示すブロック図である。図38において、参照符号711は共通タイミング信号生成回路、712は可変遅延回路、713は位相比較回路、714はNANDゲート、715はドライバ回路(リアルドライバ)、そして、716はダミーのドライバ回路(ダミードライバ)を示している。ここで、可変遅延回路712および位相比較回路713は、DLL(Delay Locked Loop)回路を構成している。また、ダミードライバ716は、リアルドライバ715と同様の構成(同じ遅延時間を有する)とされ、該ダミードライバ716の出力を位相比較回路713へフィードバックすることにより、リアルドライバ715における遅延を取り除くようになっている。なお、NANDゲート714の一方の入力には、出力データが供給され、可変遅延回路712の出力(タイミング信号)に応じて該出力データをリアルドライバ715へ供給するようになっている。
すなわち、本第3の形態の第5実施例では、図27を参照して説明したような往きと復りを折り返したクロック線に伝わるクロックを取り込み、これらの往きと復りのクロックの立ち上がりタイミングの中間時点のタイミングを共通タイミングとして生成する共通タイミング信号生成回路711に対して、さらに、ドライバ回路(リアルドライバ)715における遅延を除くための位相比較回路713,可変遅延回路712およびダミードライバ716を設けるようになっている。そして、可変遅延回路712の遅延量を制御することによって、リアルドライバ715での遅延および遅延バラツキを補償してより精度の高い信号送信を行うようになっている。なお、例えば、DLLを使用した同様の調整は、入力タイミングに対して行うことも可能である。
図39は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムの第6実施例を示すブロック図である。
図39(a)に示されるように、本第3の形態の第6実施例において、クロック線706は、往復のクロック線ではなく、一本のクロック線として構成されている。そして、1本のクロック線706の一端を直接接地することにより、すなわち、図26におけるクロック用終端抵抗704を取り除いて短絡することにより、該クロック線706に定在波を立て(図39(b)参照)、該定在波を共通タイミング(GMT)として使用するようになっている。
従って、本第3の形態の第6実施例では、クロック線706に定在波が立っている場合、波長の半分の長さの領域で同じ位相の電圧振動が得られることを利用している。この方法では、クロック線706が往復の場合の半分の本数で済むこと、および、一本の線の中でクロックを往復させていることになるので往復の特性が完全に一致して共通タイミングの精度が高くなるという利点がある。
図40は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムの第7実施例を示すブロック図である。図40(a)において、参照符号761および762は、能動ターミネータを示し、また、図40(b)において、参照符号7611は遅延部、7612は制御電源部を示している。
図39に示す第6実施例では、クロック線706の端部は短絡されているが、本第3の形態の第7実施例では、クロック線706の両端部に対して能動ターミネータ(能動終端回路)761および762を設けて終端するようになっている。ここで、能動ターミネータ761および762は、例えば、終端部で発生する反射波がちょうど終端部より波長の1/16だけ進んだ位置で線路が短絡されている場合と同じになるように制御している。この能動ターミネータ761(762)は、例えば、図40(b)に示されるように、遅延部7611および制御電源部7612を備えて構成され、終端部での電圧をモニターし、遅延部7611により該電圧と一定の位相関係の電流信号を発生させて終端部に帰還する(制御電源部7612)ことで実現され、公知のPLL回路やDLL回路と定電流駆動回路等を使用して容易に実現することができる。なお、本第3の形態の第7実施例により、クロック線706の長さを正確にクロック周波数に対して合わせなくとも該クロック線に定在波を立てることができ、クロック線706上でのクロックの振幅も一様になる利点がある。
図41は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムにおける共通タイミング信号生成回路(711)の一例を示す回路図である。図41において、参照符号7111および7112はキャパシタ、7113および7114はPチャネル型MOSトランジスタ、7115および7116はNチャネル型MOSトランジスタ、7117は抵抗、7118および7119は電圧源、そして、7120は電流源を示している。なお、クロック線706を伝わるクロックCLKとしては、正弦波が使用される。
図41に示す共通タイミング信号生成回路711は、共通タイミング信号生成回路711は、クロックCLKとして正弦波を用いると、第一の正弦波(往きのクロック)s1と第二の正弦波(復りのクロック)s2との和をとることでちょうど真ん中の位相を持つ正弦波(共通タイミング信号)s3が生成できることを利用している。すなわち、2つのキャパシタ7111および7112を容量結合することで二つのクロック(s1,s2)を差動増幅型のコンパレータに供給し、共通タイミング信号(s3)を生成するようになっている。この方式は、共通テイミング信号を生成するための回路量が少なくてすむ利点がある。
図42は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムにおける共通タイミング信号生成回路の他の例を示す回路図である。なお、本回路においても、クロック線706を伝わるクロックCLKとしては、正弦波が用いられる。
図42に示す共通タイミング信号生成回路711は、2つのコンパレータ720および730および2つのインバータ740および750により構成されている。ここで、各コンパレータ720(730)に供給するクロックとしては、例えば、往路側(往き)のクロックs1と復路側(復り)のクロックを反転した信号/s2を使用し、往復のクロックの中間の位相を持つ共通タイミング信号s3および/s3を生成するようになっている。
図43は図42の共通タイミング信号生成回路におけるコンパレータの一例を示す回路図である。図43に示されるように、コンパレータ720(730)は、複数のPチャネル型MOSトランジスタ721,722,726および複数のNチャネル型MOSトランジスタ723,724,725,727を備えて構成されている。
図44は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムにおける共通タイミング信号生成回路のさらに他の例を示す回路図である。
図44に示す共通タイミング信号生成回路は、従来より知られているフェーズ・インターポレータであり、該フェーズ・インターポレータを使用して、折り返したクロック線上の往きと復りのクロックを取り込み、該往復のクロックの中間位相のクロックを生成する共通タイミング信号生成回路711を構成することができる。
図44に示されるように、フェーズ・インターポレータ(共通タイミング信号生成回路)711は、複数のPチャネル型MOSトランジスタ771〜784、複数のNチャネル型MOSトランジスタ785〜791、キャパシタ792,793、および、コンパレータ794を備えて構成されている。
この図44に示すようなフェーズ・インターポレータを使用して共通タイミング信号生成回路711を構成することにより、クロックとして通常のCMOSドライバで駆動される矩型波を使用することができ、通常のDLLやPLLより少ない回路量で共通タイミング信号生成回路を構成するこができるという利点がある。なお、フェーズ・インターポレータとしては、図44に示すものの他に様々なものが使用できるのはいうまでもない。
図45は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムの第8実施例を示すブロック図である。図45において、参照符号790〜793はDLL回路を示している。
図45に示されるように、本第3の形態の第8実施例では、クロック線706に供給するクロックCLK’を通常のクロックCLKのn倍(例えば、4倍)の周期を有するものとしている。
すなわち、本第3の形態の第8実施例では、クロックの周期を長く(例えば、4倍)して往復のクロックの真ん中の位相信号を作ることにより、共通タイミング信号を生成することのできるクロック線706の長さの上限を長くするようになっている。ここで、往復のクロック線を用いる方法(および、定在波クロックを用いる方法)では、往復の遅延がクロックの周期より長くなると共通タイミングに位相にして180度の不確定性が生ることになるが、本第3の形態の第8実施例のように、クロック周期を長くすることにより、不確定性の生ずる長さを長くすることができる。
図45に示されるように、DRAMコントローラ7−0および各DRAMチップ7−1〜7−3には、周期がn倍(例えば、4倍)にされたクロックを元の周期に戻す(周期を1/nとする、すなわち、周波数をn倍とする)ためのn逓倍(例えば、4逓倍)を行うDLL回路790〜793がそれぞれ設けられることになる。なお、DLL回路790〜793としてPLL回路を使用してもよい。
図46は本発明の第3の形態に係る信号伝送システムにおけるクロック分配用の伝送路の一例を示す図である。図46において、参照符号7061はシールドを示し、また、7062はクロックペア線(ツイスト線)を示している。
図46に示されるように、クロックCLKを分配する伝送路(クロック線706)は、一定距離ごとに交差させた差動ペア(ツイスト線7062)で伝送され、両側をグランドレベルのガードパターンでシールド(7061)されている。このようなクロック線706は、明らかに信号線とは伝送特性が異なるが、本方式では信号線703とクロック線706の伝送特性が異なっていてもよいため問題が生じることはない。このため、常に電圧の変動しているクロック線に対して十分なシールドを施すことができ、クロック起因の雑音を減らすことができるという利点がある。なお、クロック系と信号系の伝送特性が大きく異なっても良いため、クロック系のみ同軸ケーブルや光ファイバ等を使うように構成することができるのはもちろんである。
このように、本発明の第3の形態に係る信号伝送システムによれば、クロック系と信号系の配置の自由度が高く、素子が切り替わったときのギャップを最小限にすることが容易で、消費電力も小さな信号伝送系を構成することができる。
次に、本発明の第4の形態に係る信号伝送システムを詳述するが、まず、本発明の第4の形態の原理構成を図47および図48を参照して説明する。上述した第3の形態では、折り返しクロック線(706)を使用して往きおよび復りのクロックを各DRAMチップ等へ供給するようになっているが、本第4の形態では、往きおよび復りクロック用のクロック配線(往きおよび復りクロック線1001,1002)と、往きおよび復り用のクロック生成回路(往きおよび復りクロック生成回路1100,1200)を使用するようになっている。
図47は本発明の第4の形態に係る信号伝送システムの原理構成を示すブロック図であり、また、図48は図47の信号伝送システムの動作を説明するためのタイミング図である。図47において、参照符号10−1〜10−nはデバイスを示し、例えば、DRAMチップ(DRAMモジュール)或いはDRAMコントローラ等であり、1100は往きクロック生成回路、そして、1200は復りクロック生成回路を示している。なお、図48は、前述した本発明の第3の形態における図27に相当するものである。
図47に示されるように本発明の信号伝送システムは、一組の信号線(クロック線)1001,1002に対して往復のクロックを生成するための(一組以上の)往きクロック生成回路1100および復りクロック生成回路1200が設けられている。信号を送受信するデバイス10−1〜10−nは、往きクロック生成回路1100からの往きクロックφ1と復りクロック生成回路1200からの復りクロックφ2を受け、これらのクロックφ1,φ2の立ち上がりと立ち下がりの中間時点のタイミングを抽出することで中間位相の信号(共通タイミング信号GMT:Global Mean Time)を生成するようになっている。
すなわち、図48に示されるように、デバイス10−1では、クロック線1001を介して伝えられる往きクロックφ1−1とクロック線1002を介して伝えられる復りクロックφ2−1の中間の位相を有する信号として共通タイミング信号GMTを生成し、また、デバイス10−nでは、クロック線1001を介して伝えられる往きクロックφ1−nとクロック線1002を介して伝えられる復りクロックφ2−nの中間の位相を有する信号として共通タイミング信号GMTを生成する。
ここで、復りクロック生成回路1200は、各デバイス10−1〜10−nにおいて、往きクロックφ1と復りクロックφ2の中間時点(中間位相)のタイミングの抽出が一意に行われるようなクロック(φ2)を生成する必要がある。すなわち、信号線(クロック線)1001,1002の上における往復のクロックの位相差(厳密には、タイミング情報を運んでいる往きおよび復りクロックφ1,φ2のエッジ同士の位相の差)が、所定の範囲内(最大で±180度以内)に収まるように選ばれる。また、後述するように、復りクロック生成回路1200は、中間時点のタイミング抽出ができるだけ簡単な回路で行われるように復りクロックφ2を生成するのが望ましい。
そして、本発明の信号伝送システム(信号伝送方式)によれば、各受信回路(デバイス10−1〜10−n)で符号間干渉を除去することにより、一定の精度で共通タイミング信号(GMT)を全ての素子が共通に使うことが可能になる。なお、上記の一定の精度とは、符号間干渉の除去ができる程度のタイミング誤差を許すということから導かれるもので、信号線上を信号が伝達するのに要する時間よりも十分小さい(例えば、10%程度)時間精度があればよい。また、共通タイミング信号を生成GMTするには、クロックの配線ルートの両方向に走るクロック信号(1001,1002)さえあれば良く、前述した図25に示すような従来の信号伝送システムのように、クロック線とデータ線(信号伝送路)との電気的特性およびルートを一致させる必要が無いため、クロック線の配置や形式に対する制約が生じないことになる。
以下、図面を参照して本発明の第4の形態に係る信号伝送システムの実施例を説明する。
図49は本発明の信号伝送システムの第1実施例を示すブロック図である。図49において、参照符号10−0はDRAMコントローラ等のチップ,10−1〜10−4はDRAM等のチップ,1100は往きクロック生成回路、そして、1200は復りクロック生成回路を示している。また、参照符号1001は往きクロックφ1用のクロック線,1002は復りクロックφ2用のクロック線,1003は信号伝送路(平行に走る複数本の信号線:例えば、16本のデータ線),そして,1004は基準クロックclk用のクロック線を示している。
図49に示されるように、DRAMコントローラ10−0,往きクロック生成回路1100および復りクロック生成回路1200は、それぞれ基準クロック用のクロック線1004の端子P1010,P1100およびP1200から基準クロック(Free Running Clok:フリーランニング・クロック)clkを受信するようになっており、各DRAMチップ10−1〜10−4は、それぞれ往きおよび復り用のクロック線1001,1002を介して往きおよび復りクロックφ1,φ2を受け取り、中間位相の信号を生成することでこれを共通タイミング信号GMT(Global Mean Time)とするようになっている。なお、図49では、DRAMコントローラ10−0には、基準クロック用のクロック線1004の端子P1010を介して基準クロックclkが供給されているが、DRAMチップ10−1〜10−4と同様に、往きクロックφ1および復りクロックφ2を受け取って中間位相の信号を生成するこにより該DRAMコントローラ10−0において共通タイミング信号GMTを生成するように構成してもよい。
図50は図49の信号伝送システムに適用される共通タイミング信号生成回路1300の一例を示すブロック図である。なお、この共通タイミング信号生成回路1300は、例えば、各DRAMチップ10−1〜10−4にそれぞれ設けられている。また、参照符号Tはクロック周期を示し、τは遅延時間(遅延量)を示している。
図50に示されるように、共通タイミング信号生成回路1300は、往きクロックφ1を受け取り+τの遅延を与える第1の可変遅延回路1301、復りクロックφ2を受け取り−τの遅延を与える第2の可変遅延回路1302、第1および第2の可変遅延回路1301,1302の出力信号の位相を比較する位相比較回路1303、および、該位相比較回路1303の比較結果に応じて(第1および第2の可変遅延回路1301,1302の出力信号の位相差が零になるように)第1および第2の可変遅延回路1301,1302の遅延量(+τ,−τ)を制御する制御回路1304を備えて構成されている。ここで、後述するように、第1および第2の可変遅延回路1301,1302は、縦列接続された複数の遅延段(遅延ユニット)により構成され、制御回路1304により所定の遅延段までの遅延量が与えられるようになっている。なお、制御回路1304により制御される遅延量τは、第1可変遅延回路1301ではクロック周期Tに加算され(T+τ)、逆に、第2可変遅延回路1302ではクロック周期Tから減算され(T−τ)るようになっている。そして、第1の可変遅延回路1302の出力信号(T+τ)が共通タイミング信号GMTとして使用されることになる。
上述のように、制御回路1304は、第1および第2の可変遅延回路1301,1302の出力信号の位相差が零になるように遅延量τを制御(|τ|<T/2)する。ここで、第1の可変遅延回路1301の出力信号(GMT)をt1とし、第2の可変遅延回路1302の出力信号をt2とすると、
t1+(T+τ)=t2+(T−τ)
から、
τ=(t2−t1)/2
よって、
t1+(T+τ)=(t2+t1)/2+T
となって、中間タイミングが得られることになる。
図51は図49の信号伝送システムに適用される往きクロック生成回路1100の一例を示すブロック図である。
図51に示されるように、往きクロックφ1を生成する往きクロック生成回路1100は、端子P1100を介して供給される基準クロック(フリーランニング・クロック)clkを入力とするドライバ1101により構成することができる。
図52および図53は図49の信号伝送システムに適用される共通タイミング信号生成回路の他の例を示すブロック図であり、図52は共通タイミング信号生成回路1300のメインDLL(Digital Locked Loop)部分1300aを示し、また、図53は共通タイミング信号生成回路1300のサブDLL部分1300bを示している。
まず、図52に示されるように、メインDLL部分1300aは、往きクロックφ1(または、復りクロックφ2)を受け取り、該往きクロックφ1そのものと可変遅延回路1305を介して遅延されたものとを位相比較回路1306により位相比較し、両信号の位相差が無くなるように(すなわち、1周期Tだけ遅延するように)制御回路1307を介して制御するようになっている。これにより、クロック(φ1,φ2)の1周期分の遅延Tを得ることができる。
さらに、上述した図52のメインDLL部分1300aにより得られた1周期分の遅延T(1周期Tに対応する遅延段の数)を利用し、サブDLL部分1300bによりそれぞれ時間τを加算および減算して往きクロックφ1および復りクロックφ2の位相合わせを行う。
すなわち、図53に示されるように、往きクロックφ1に対しては、第1の可変遅延回路1301により1周期分の遅延Tに対してτの遅延を加算(T+τ)し、また、復りクロックφ2に対しては、第2の可変遅延回路1302により1周期分の遅延Tからτの遅延を減算(T−τ)する。すなわち、前述した図50の共通タイミング信号生成回路1300と同様に、位相比較回路1303は、第1の可変遅延回路1301の出力信号(T+τ)と第2の可変遅延回路1302の出力信号(T−τ)との位相比較を行い、これらの信号(T−τ,T+τ)の位相差が零になるように制御回路1304を介して遅延段の選択が行われる。
図54は図49の信号伝送システムに適用される復りクロック生成回路1200の一例を示すブロック図である。
図54に示されるように、復りクロックφ2を生成する復りクロック生成回路1200は、端子P1200を介して供給される基準クロック(フリーランニング・クロック)clkを入力とし、所定の遅延量を与える遅延回路1201により構成することができる。ここで、遅延回路1201により与えられる遅延量(遅延時間)を適切な値とすることにより、例えば、クロック線(1001,1002)上の往復のクロック(φ1,φ2)の位相差を±90度以内(好ましくは、±45度)に設定することができる。
図55は図49の信号伝送システムの共通タイミング信号生成回路に適用される位相比較回路(図50および図48の位相比較回路1303(図52の位相比較回路1306))の一例を示す回路図である。
図55に示されるように、位相比較回路1303は、例えば、第1および第2の入力信号(T+τ,T−τ)の周波数をそれぞれ半分にする2つの2分周器,複数のPチャネル型MOSトランジスタ,複数のNチャネル型MOSトランジスタ,複数のインバータ,複数のナンドゲート,および,複数のノアゲートを備えて構成されている。そして、第1の入力信号φ1:T+τと第2の入力信号φ2:T−τとの位相差に応じて出力信号(/DOWN,/UP)を出力して、後述するように、制御回路1304を介して第1および第2の可変遅延回路1301,1302における遅延時間τを制御し、第1および第2の入力信号の位相差を無くすようになっている。
図56は図49の信号伝送システムの共通タイミング信号生成回路に適用される制御回路(図50および図53の制御回路1304(図52の制御回路1307))の一例を示すブロック図である。
図56に示されるように、制御回路1304は、例えば、位相比較回路1303からの制御信号(/DOWN,/UP)を受け取るアップダウンカウンタ(U/Dカウンタ)1341,および,該U/Dカウンタ1341の出力信号を受け取るデコーダ1342を備えて構成され、位相比較回路1303からの制御信号(/DOWN,/UP)に応じて、デコーダ1342が後述の図57の可変遅延回路における所定の遅延段を選択するようになっている。
図57は図49の信号伝送システムの共通タイミング信号生成回路に適用される可変遅延回路(図50および図53の第1および第2の可変遅延回路1301,1302(図52の可変遅延回路1305))の一例を示す回路図である。
図57に示されるように、第1の可変遅延回路1301(第2の可変遅延回路1302)は、複数の遅延段(遅延ユニット)DUを備えて構成されている。各遅延ユニットDUは、インバータ,および,2つのナンドゲートにより構成され、それぞれ遅延線1310に共通に接続されている。そして、デコーダ1342により選択される任意の1つの遅延ユニットDUにより規定される遅延量が可変遅延回路の遅延量として与えられるようになっている。なお、これらの構成は、知られている様々なDLL回路の技術を適用することができるのはもちろんである。
図58は本発明の第4の形態に係る信号伝送システムの第2実施例を示すブロック図である。
本発明の第4の形態において、共通タイミング信号GMTは、往復のクロック信号(φ1,φ2)の中間タイミングを取ることにより生成されるが、この共通タイミング信号GMTを一意に生成するためには、往復のクロック信号の位相差が或る限界内に入っている必要がある。しかしながら、往復のクロック信号の位相差は、クロック線(1001,1002)が長くなると、クロック線の全長に渡って位相差を或る限界内に収めることが困難になる。そこで、本第2実施例においては、往復のクロック線(1011,1021;1012,1022)を共通タイミング信号GMTの一意の配達が可能な長さに分割し、信号線の全長が長い場合にも共通タイミング信号GMTを生成可能なように構成されている。
すなわち、図58に示す本第2実施例は、図49に示す第1実施例において、一定の距離ごとにクロック生成回路およびデータバッファ1120,1121,1122を設けて、各往きおよび復りクロック用の信号線1011,1021;1012,1022に対してそれぞれ往きおよび復りクロックφ11,φ21;φ12,φ22を伝達すると共に、データ線1031,1032に対して十分な振幅のデータを伝達するようになっている。
ここで、各クロック生成回路およびデータバッファ1120,1121,1122は、前のブロックから送られてきたクロックを基に共通タイミング信号GMTを生成すると共に、この共通タイミング信号GMTから次のブロックに対する往きクロック(および、前のブロックに対する復りクロック)を生成するようになっている。
図59は本発明の第4の形態に係る信号伝送システムの第3実施例を示すブロック図である。
図59に示す第3実施例では、図58におけるバス接続されたデータ線を、全て一対一(point-to-point)接続するようになっている。この場合、複数のデバイス毎(DRAMチップ10−11,10−21,10−31)に往きおよび復り用のクロックを生成するためのクロック生成回路1211,1212,1213を設け、その他のデバイス(10−1m,10−2m等)では、対応するクロック生成回路からの往きおよび復りクロックφ11,φ21;φ12,φ22から共通タイミング信号GMTを生成して信号の送受信を行うようになっている。本第3実施例は、信号伝送がバス形式ではないため、信号分岐による反射がなく、高速の信号伝送に好適なものである。
図60は本発明の第4の形態に係る第4実施例としての信号伝送システムに適用される往きクロック生成回路の一例を示すブロック図である。図60において、参照符号1102はドライバ,1103は共通タイミング信号生成回路,1104は位相比較回路,1105は制御回路,そして,1106は可変遅延回路を示している。
図60に示されるように、本第4実施例においては、往きクロック生成回路1100を図51に示すような単なるドライバ1101で構成するのではなく、基準クロックclkを受けて所定の遅延を与える可変遅延回路1106の出力信号をドライバ1102を介して往きクロックφ1として出力するようになっており、共通タイミング信号生成回路1103により該ドライバ1102の出力信号(φ1)と復りクロックφ2から共通タイミング信号(中間位相信号)GMTを生成し、この共通タイミング信号と基準クロックclkとを位相比較回路1104で位相比較して制御回路1105を介して可変遅延回路1106における遅延量(遅延段数)を制御するようになっている。
すなわち、本第4実施例では、共通タイミング信号GMTが基準クロックclkの立ち上がりと一致するようにフィードバックを行うようになっており、これにより、クロックドライバ1102や可変遅延回路1106の特性が製造バラツキ或いは環境温度の変化等により変動した場合でも、安定した位相の復りクロック信号φ2が得られるようにすると共に、信号線上のデバイス(例えば、DRAMチップ)が生成する共通タイミング信号GMTが基準クロックclkと同一のタイミングとなるように構成されている。なお、基準クロックclkは、特定のチップ(例えば、DRAMコントローラ10−0)に供給されるクロック信号である。
図61は本発明の第4の形態に係る第5実施例としての信号伝送システムに適用される復りクロック生成回路の一例を示すブロック図である。図61において、参照符号1231は可変遅延回路,1232は演算増幅器,1233および1234は抵抗およびキャパシタ,1235は入力信号を反転して出力する反転ドライバ,1236は位相比較回路,そして,1237は制御回路を示している。
図61に示されるように、本第5実施例においては、復りクロック生成回路1200を図54に示すような単なる遅延回路1201で構成するのではなく、復りクロックφ2を基準クロックclkを受けて所定の遅延を与える可変遅延回路1231の出力信号として取り出し、該可変遅延回路1231の出力信号(φ2)を演算増幅器1232および反転ドライバ1235を介して、位相比較回路1236により往きクロックφ1と位相比較するようになっている。そして、この位相比較結果に基づき、制御回路1237を介して可変遅延回路1231における遅延量(遅延段の数)を制御するようになっている。これにより、復りクロックφ2は、往きクロックφ1の位相から90度だけずれた(進んでいる)位相の信号として出力される。
このように、本第5実施例の復りクロック生成回路1200によれば、受信された往きクロックφ1と復りクロックφ2の位相差が一定(往きクロックφ1よりも復りクロックφ2の方が90度進んでいる)になるようにフィードバック制御することにより、クロックドライバ(反転ドライバ1235)や可変遅延回路(1231)等の特性が製造バラツキや環境温度の変化等により変動した場合でも安定した位相の復りクロックφ2を得ることができる。ここで、図61に示すようなアナログ回路を用いて構成した復りクロック生成回路1200は、クロック(φ2)の可変範囲が狭い場合には、回路規模を小さくすることができて好ましい。
図62は本発明の第4の形態に係る第6実施例としての信号伝送システムに適用される復りクロック生成回路の他の例を示すブロック図である。図62において、参照符号1241〜1244は可変遅延回路,1245は位相比較回路,そして,1246は制御回路を示している。ここで、4つの可変遅延回路1241〜1244は、制御回路1246により同じ遅延量が与えられるようになっている。
図62に示されるように、本第6実施例においては、位相比較回路1245により、往きクロックφ1と該往きクロックφ1を4つの可変遅延回路1241〜1244により遅延した信号との位相比較を行い、制御回路1246により4つの可変遅延回路1241〜1244に対して同じ遅延量を与えるようになっているため、3段目の可変遅延回路1243の出力信号を復りクロックφ2として取り出すことにより、往きクロックφ1に対して270度(−90度)の位相差を有する、すなわち、往きクロックφ1よりも位相が90度進んでいる復りクロックφ2を生成するようになっている。これにより、各回路の製造バラツキや温度変化等に依存しない位相の復りクロックφ2を得ることができる。ここで、図62に示すようなDLL回路を用いて構成した復りクロック生成回路1200は、クロック(φ2)の可変範囲が広い場合でも対応することが可能である。
図63は本発明の第4の形態に係る第7実施例としての信号伝送システムに適用される復りクロック生成回路1200の動作(機能)を説明するための図である。ここで、縦軸θは位相差を示し、また、横軸xはクロック線(1001,1002)上の位置を示している。なお、参照符号Lは、クロック線の全長を示している。
図63に示されるように、本第7実施例においては、往きクロックをφ1と復りクロック/φ2(クロックφ2の反転信号)の位相差がクロックを受信するいずれのデバイス(DRAMチップ10−1〜10−n)においても±90度以下になっている。すなわち、本実施例において、復りクロックφ2は、受信した往きクロックφ1をクロック線(1002)での位相遅れを保障するだけの位相進みを与えた上で反転したものになっている。この機能は、例えば、図61に示す復りクロック生成回路においてフィードバックループの出力を反転することにより実現される。
このように、本第7実施例によれば、往復のクロック信号φ1,φ2の位相差が一定範囲内に入っていることが保障されるため、共通タイミング信号GMTの生成を高精度で行うことが可能となり、さらに、差動の受信回路で往復のクロック信号φ1,φ2を受信することにより同相ノイズの影響を低減することができる。
図64は本発明の第4の形態に係る第8実施例としての信号伝送システムに適用される復りクロック生成回路のさらに他の例を示すブロック図である。
図64に示されるように、本第8実施例において、復りクロック生成回路1200は、入力信号(往きクロックφ1)を反転して出力する反転ドライバ1205により構成されている。
すなわち、例えば、クロックの受信回路、ドライバ、クロック線等におけるクロック信号(φ1,φ2)の位相遅れが問題にならないような短い信号線の場合には、復りクロック生成回路1200を反転ドライバ1205により構成することができ、復りクロック生成回路1200の回路構成を簡略化することが可能となる。
図65は本発明の第4の形態に係る第9実施例としての信号伝送システムに適用される正弦波発生回路の一例を示すブロック回路図である。本第9実施例はクロックとして正弦波(疑似正弦波)を使用するもので、正弦波生成回路1400によりパルス状(矩形波)のクロック(基準クロック)clkから正弦波クロックを生成するようになっている。
図65に示されるように、正弦波生成回路1400は、Pチャネル型MOSトランジスタ1401,1402およびNチャネル型MOSトランジスタ1403,1404で構成したフル振幅CMOS回路により矩形波クロックclkから三角波クロックを生成し、さらに、非線形増幅器1405により正弦波クロック(疑似正弦波クロック)を生成するようになっている。
なお、正弦波以外でも、三角波や台形波等の立ち上がり・立ち下がり時間がクロック周期の無視できない割合を占める波形のクロックを使用してもよい。このようなクロック波形(正弦波クロック波形)は、矩型波クロック波形に比べて高調波成分が少ないため、他の信号線に対する相互干渉を少なくすることができるという利点がある。さらに、図67に示すように、各デバイス(DRAMチップ等)に設ける共通タイミング信号生成回路1300を差動コンパレータにより構成することができるという利点もある。
図66は図65の正弦波発生回路における非線形増幅器1405の一例を示す回路図である。
図66に示されるように、非線形増幅器1405は、Pチャネル型MOSトランジスタ1451〜1453およびNチャネル型MOSトランジスタ1454〜146で構成することができる。ここで、各トランジスタのサイズは適切な大きさに設定され、例えば、トランジスタ1451および1452のゲート長は、それぞれトランジスタ1454および1455のゲート長の約2程度とし、また、トランジスタ1452および1455のゲート長は、それぞれトランジスタ1451および1454のゲート長よりも大きく形成するのが好ましい。なお、トランジスタ1453および1456は、駆動する負荷に応じて規定され、通常、大きなサイズのトランジスタにより構成する。
図67は本発明の第4の形態に係る第10実施例としての信号伝送システムに適用される共通タイミング信号生成回路1300の一例を示すブロック図である。
上述したように、例えば、正弦波等のクロックを使用した場合、各デバイス(DRAMチップ等)10に設けられる共通タイミング信号生成回路1300を、往きおよび復りのクロックφ1,φ2(/φ2)を入力とする差動コンパレータ1308により構成することができる。
すなわち、差動コンパレータ1308により共通タイミング信号(中間タイミング)GMTを生成することができる理由は、往きクロックφ1および復りクロックの反転/φ2をそれぞれ、φ1=A・sinθ1,/φ2=A・sinθ2とすると、
φ1−/φ2=2A・cos((θ1−θ2)/2)・sin((θ1+θ2)/2)
となり、
(θ1−θ2)/2の値が±90度以内ならば、この信号をコンパレートすることで共通タイミング信号GMT(中間位相(θ1+θ2)/2に相当する信号)を取り出すことが可能なことがわかる。
図68は図67の共通タイミング信号生成回路における差動コンパレータ1308の一例を示す回路図である。
図68に示されるように、差動コンパレータ1308は、Pチャネル型MOSトランジスタ1380,1381およびNチャネル型MOSトランジスタ1385〜1387で構成されN型トランジスタ1385,1386を入力とする第1の差動増幅部、Pチャネル型MOSトランジスタ1382〜1384およびNチャネル型MOSトランジスタ1388,1389で構成されP型トランジスタ1383,1384を入力とするた第2の差動増幅部、並びに、バッファ部1390を備えている。ここで、バッファ部1390は、縦列接続されたインバータ1391〜1393により構成されている。
このように、回路規模の大きいDLL回路等を使用することなく、簡単な回路構成を有する差動コンパレータ1308により、共通タイミング信号生成回路1300を構成することができる。
図69は本発明の第4の形態に係る第11実施例としての信号伝送システムにおける終端抵抗の一例を示すブロック図である。
本第11実施例においては、往きおよび復りクロックφ1,φ2の波形として正弦波を使った上で、往きクロックφ1を伝達するクロック線1001の終端を、該クロック線の特性インピーダンス(例えば、50オーム、或いは、75オーム)よりも大きな抵抗値(例えば、200オーム)を有する終端抵抗1501により終端し、同様に、復りクロックφ2を伝達するクロック線1002の終端を、該クロック線の特性インピーダンス(例えば、50オーム、或いは、75オーム)よりも大きな抵抗値(例えば、200オーム)を有する終端抵抗1502により終端するようになっている。
ところで、本第11実施例では、終端抵抗1501,1502の抵抗値を各クロック線1001,1002の特性インピーダンスよりも大きくするが、往きおよび復りクロックφ1,φ2は正弦波のクロックであるため、終端抵抗1501,1502が特性インピーダンスから大きくずれていてもクロック波形は正弦波のままである。また、線路の反射の影響で波(往きおよび復りクロックφ1,φ2)の伝搬特性は、信号線(クロック線1001,1002)の特性とは変わってしまうが、往復のクロックの中間タイミング(共通タイミング信号GMT)を抽出する場合には、問題を生じることはない。そして、終端抵抗1501,1502の抵抗値をクロック線1001,1002の特性インピーダンスよりも大きくすることにより、該終端抵抗1501,1502により消費される電力(クロック系での消費電力)を低減することができる。
図70は本発明の第4の形態に係る第12実施例としての信号伝送システムにおける往きクロックの供給方式を説明するためのブロック図である。
本第12実施例は、往きクロック線を差動伝送(1001a,1001b)とし、相補の往きクロックφ1,/φ1を伝達するようになっているため、復り信号生成回路1200において、往きクロックに混入する同相ノイズの影響を低減させて復りクロックφ2を生成することができるようになっている。すなわち、復り信号生成回路1200は、相補の往きクロックφ1,/φ1が入力された差動コンパレータ1261および復りクロック生成部1262(および、バッファ1263)により構成されている。
ここで、各デバイス(DRAMチップ等)に設けられる共通タイミング信号生成回路1300は、図67で説明した共通タイミング信号GMTを生成するための差動コンパレータ1308として構成することができる。このとき、差動コンパレータ1308には、相補の往きクロックφ1,/φ1の一方(真信号φ1)および復りクロックφ2が入力されるが、この場合にも、同相ノイズの影響を低減させることが可能となる。
図71は本発明の第4の形態に係る第13実施例としての信号伝送システムをプリント基板に適用した場合の要部を示すブロック図である。
図71に示されるように、本第13実施例は、プリント基板上に複数の信号生成回路(往きクロック生成回路1100および復りクロック生成回路1200)1270を設け、これら各信号生成回路1270において、プリント基板上を走る基準クロック(フリーランニング・クロック)clkを使用して往きクロックφ1および復りクロックφ2を生成するようになっている。すなわち、各信号生成回路1270は、往きクロック用の可変遅延回路1273,復りクロック用の可変遅延回路1272,および,制御回路1270を備えて構成され、基準クロックclkを可変遅延回路1273および1272により制御回路1270に応じて遅延させることで、それぞれ往きクロックφ1および復りクロックφ2を生成するようになっている。
すなわち、前述した図58に示す第2実施例のように、前段のクロック(φ1,φ2)から後段のクロックを順次生成すると、段数を重ねるごとに遅延段でのジッタが増加することになるが、例えば、プリント基板上における多数の信号生成回路1270に対しては、図71に示す第13実施例のように構成することで、ジッタの集積を無くすことができる。
図72は本発明の第4の形態に係る第14実施例としての信号伝送システムを半導体集積回路に適用した場合の要部を示すブロック図である。
図72に示されるように、本第14実施例では、例えば、半導体集積回路(半導体チップ)において、共通タイミング信号GMTを生成する共通タイミング信号生成回路1300に供給する信号(往きクロックφ1および復りクロックφ2)を、往きクロック生成回路(クロックドライバ)1100の出力をそのまま使用するのではなく、パッド1281を介して出力される往きクロックφ1をパッド1282を介して共通タイミング信号生成回路1300に取り込んで、パッド1283を介して供給される復りクロックφ2と比較することにより、クロックドライバおよびパッド等で生じるクロック(φ1)の位相差を補償して共通タイミング信号GMTを生成するようになっている。ここで、パッド1281を介して出力される往きクロックφ1をパッド1282を介して取り込む位置(IP0)としては、パッド1281および所定の外部端子(パッケージの端子)を介してクロック線(1001)に出されたクロック信号(φ1)を再び他の外部端子およびパッド1282を介してチップ(回路)内に取り込んでもよいが、専用の外部端子が余分に必要となるため、外部端子を増加させずにワイヤボンディング等だけを行ってクロック信号を取り込むように構成してもよい。
以上のように、本発明の第4の形態に係る信号伝送システムによれば、クロック系と信号系の配置の自由度を向上させ、素子が切り替わったときのギャップを最小限にすることが容易で、しかも、消費電力の少ない信号伝送系を構成することが可能となる。
次に、本発明の第5の形態を詳述するが、まず、本発明の第5の形態に対応する従来の技術および従来技術における課題を図面を参照して説明する。
図73は本発明の第5の形態に対応する従来の半導体記憶装置の一例を模式的に示すブロック図である。図73において、参照符号2001はメモリセルアレイ,2002はワードデコーダ(ワードデコーダ列),2003はセンスアンプ(センスアンプ列),2004はローカルデータバス,2005はグローバルデータバス,2006はデータバスアンプ,2007はローカルデータバス・プリチャージ回路,2008はグローバルデータバス・プリチャージ回路,2009はローカルバススイッチ,そして,2010はライトアンプを示している。
図73に示されるように、従来の半導体記憶装置(DRAMのメモリセルアレイ部)は、複数のメモリアレイ2001、ワードデコーダ(ワードデコーダ列)2002、センスアンプ(センスアンプ列)2003、ローカルデータバス2004、および、グローバルデータバス2005を備えている。さらに、従来の半導体記憶装置は、データ読み出し時にグローバルデータバス2005のデータを増幅するデータバスアンプ2006、ローカルデータバス2004をプリチャージするローカルデータバス・プリチャージ回路2007、グローバルデータバス2005をプリチャージするグローバルデータバス・プリチャージ回路2008、グローバルデータバス2005とローカルデータバス2004との接続を制御するローカルバススイッチ2009、および、メモリセルへデータを書き込むためのライトアンプ2010を備えている。
図74は図73の半導体記憶装置におけるセンスアンプ2003の一例を示す回路図である。
図74に示されるように、センスアンプ2003は、ラッチ型のセンスアンプ(ラッチ型センスアンプ部)2031、カラムトランスファーゲート2032、カラム線ショートプリチャージ回路2033、および、ビット線トランスファーゲート2034を備えて構成されている。ここで、参照符号BL,/BLはビット線を示し、また、CLはカラム選択線を示している。
図75は図73の半導体記憶装置におけるデータバスアンプ2006の一例を示す回路図であり、また、図76は図73の半導体記憶装置におけるデータバスショートプリチャージ回路(グローバルデータバス・プリチャージ回路2008(ローカルデータバス・プリチャージ回路2007))の一例を示す回路図である。
図75および図76に示されるように、データバスアンプ2006およびグローバルデータバス・プリチャージ回路2008(ローカルデータバス・プリチャージ回路2007)は、それぞれ複数のPチャネル型MOSトランジスタおよびNチャネル型MOSトランジスタにより構成されている。ここで、参照符号DB,/DBはデータバス、PRE,/PREはプリチャージ制御信号、Vprはプリチャージ用基準電圧、そして、ESはイネーブル信号を示している。
図77は図73の半導体記憶装置におけるデータの読み出し(バースト読み出し)シーケンスの一例を説明するためのタイミング図である。ここで、図77では、データバスアンプ2006がディスエーブルのときには、出力が高レベル“H”になる場合を示している。なお、バースト読み出しとは、一つのワード線につながっているメモリセルのデータを続けて読み出す、例えば、シンクロナスDRAM(SDRAM)で採用されている方式である。
図77に示されるように、従来の半導体記憶装置におけるデータのバースト読み出し処理において、例えば、相補のデータバスDB,/DB、相補のビット線BL,/BL(BL0,/BL0〜BL3,/BL3)の場合、まず、ビット線BL,/BLおよびデータバスDB,/DBを所定のレベル(プリチャージ用基準電圧Vpr)にプリチャージしておき、特に、相補のビット線或いは相補のデータバスは、対をなす相手と等しい電位にプリチャージする。
さらに、図74および図77に示されるように、データを読み出す時には、データがビット線対BL,/BL(BL0,/BL0〜BL3,/BL3)に現れると、それによって等しい電位であったビット線対BL,/BLに差電位が生じ、この差電位をセンスアンプ2003(ラッチ型センスアンプ部2031)で或る程度増幅した後、選択されたカラムアドレスに対応するカラムトランスファーゲート2032をあける。すなわち、カラム選択信号CL0〜CL3を順次与えることにより、各ビット線対BL0,/BL0〜BL3,/BL3の電位は、プリチャージされて初めは同電位であったローカルデータバス対DB,/DB(2004)に伝えられる。この差電位は、ローカルデータバススイッチ2009を経由して、プリチャージされて初めは同電位であったグローバルデータバス対DB,/DB(2005)に転送され、グローバルデータバスアンプ(データバスアンプ2006)により増幅されて、さらに、バッファ等や他のアンプ等を通って外部に読み出しデータ(リードデータ)として出力される。
そして、次ぎのデータを読み出すときには、センスアンプ2003は活性化したまま、ローカルデータバス(対)2004、グローバルデータバス(対)2005をプリチャージすることによって、系をイニシャライズした後、カラムトランスファーゲート2032をあけ、この差電位をローカルデータバス2004およびグローバルデータバス2005に伝え、グローバルデータバスアンプ2006で増幅し、以下同様にして外部にリードデータを出力する。
ここで、図77に示されるように、メモリ(半導体記憶装置)の動作におけるバスのプリチャージ、すなわち、イニシャライズ動作は、読み出しデータごとに毎回行わなくてはならない。しかしながら、クロックに同期してデータを出力する場合、これらのバスは通常容量が重くプリチャージに時間がかかり、例えば、クロック周期の約半分の時間がバスのプリチャージ時間となっている。
本発明の第5の形態では、上記のプリチャージ時間を無くしてデータ転送レートを2倍以上にせんとするものである。すなわち、デバイス・プロセス・テクノロジの開発による高速化では、クロックを倍にするだけでも何年もかかってしまうが、従来の方式では本質的に欠くことのできなかったプリチャージ時間を除去することによりデータ転送レートを増大させることを目的とする。
そこで、本発明の第5の形態では、例えば、半導体記憶装置における信号伝送システム(データバスの駆動法やグローバルデータバスアンプの方式等)を改良することで、根本から半導体記憶装置の読み出しシーケンスを変え、バスのプリチャージ時間を読み出しサイクルから除去することでデータ転送レートの増大をはかるものである。さらに、従来の技術では、各カラムトランスファーゲートの選択は必ず時間的に完全に分離していなければならなかったが、本発明の第5の形態によれば、時間的な各カラム選択ゲートの選択のオーバーラップが可能になる。これらにより、プリチャージ時間を零とし且つカラム選択ゲートのオーバーラップにより、メモリから読み出されるデータレートを飛躍的に増大させることができる。
そのために、データバスのデータ転送には、前述したPRD(Partial Response Detection)方式を採用することになる。なお、PRDに関しては、チップ間のデータ伝送の高速化のためのインターフェース方式を示した H.Tamura et al., “Partial Response Detection Technique for Driver Power Reduction in High-Speed Memory-to-Processor Comunications", 1997 IEEE International Solid-State Conference, ISSC97/SESSION 20/CLOCKING AND I/O/PAPER SA 20.7, pp342-343が参照される。
ここで、PRD方式とは、前述したように、帯域制限された伝送路に帯域以上の信号を伝送しようとすると信号の符号間干渉成分により信号が乱れてしまうのを、この符号間干渉成分を除去することにより、乱れた信号を再生する方式である。このPRD方式は、符号間干渉成分を除去すると同時に、符号間干渉成分の除去過程で自分自身で参照レベルを作りだすために、隠れた特性として伝送路のプリチャージをしないでデータを伝送することも可能になる。そこで、このプリチャージ無しでデータが転送できる特性を、データバスのプリチャージ時間をデータリードサイクルから除去することに適用する。
また、PRD方式を用いると、前のサイクルのデータが伝送路上に残っていても、その前のデータが受信側に到達した後に、次ぎのデータが到達しさえすれば、データのある程度のオーバーラップも許される。すなわち、この特性を用いればメモリのバスに適用した場合、ある程度のカラム選択ゲートの選択のオーバーラップも許されることになる。また、PRD方式はバスの振幅が小さくなり、且つ、プリチャージも原理的には無くす(無くさなくてもよいが)ことができるので、バスの充放電による消費電力を低減することも可能になる。さらに、PRD方式によりデータレートの増大が回路上の工夫で可能になり、しかも、従来のメモリのコア部(センスアンプ、メモリセルアレイ、ワードデコーダ等)に大きな変更を行う必要もない。
図78は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第1の原理構成を示すブロック図であり、図79は図78の信号伝送システムの動作を説明するための波形図である。なお、図78は、PRDを用いたプリチャージのいらない信号伝送方式を示すものである。
図78において、参照符号2100はドライバ、2200はフローティングのバス(信号伝送路)、そして、2300はPRD方式バスアンプ(PRD方式データバスアンプ)を示している。ここで、PRD方式では、バス2200をフルスイングさせる必要が無いので、ドライバ2100は充分に小さい駆動力でかまわず、本第1原理(第5の形態の第1原理)の場合には、各信号の波形は、図79のようになる。なお、図79において、参照符号Aはドライバ2100の出力信号の波形、BはPRD方式バスアンプ2300の入力信号の波形、そして、CはPRD方式バスアンプ2300の出力信号の波形を示している。
図79に示されるように、ドライバ2100は駆動力が小さくされているので、PRD方式バスアンプ2300の入力波形(B)は乱れているが、このPRD方式バスアンプ2300はPRD方式であるため、再生された出力波形(C)は、ドライバ2100の出力波形(A)に対応したものとなっている。
すなわち、本第1原理によれば、ドライバ2100から出力されるデータをフルスイングすることなく、また、受け側(PRD方式バスアンプ2300)での信号も必ずしも或るしきい値レベルを挟んで、高い(High)または低い(Low)というようにレベルが遷移しなくても、PRD方式バスアンプ2300によりデータを正確に再生できることがわかる。なお、本第1原理では、プリチャージ回路は設けられていないので、データの伝送(信号伝送)開始前は、前回のデータの伝送終了時の状態となっており、データの伝送後では、バス2200のレベルはこのデータの伝送終了時の状態を保持することになる。
図80は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第2の原理構成を示すブロック図であり、図81は図80の信号伝送システムの動作を説明するための波形図である。図80に示す本第2原理では、図78の第1原理の信号伝送システムに対して、プリチャージ回路2400を付加したものである。
上述のように、PRD方式では、プリチャージを行う必要はないが、例えば、バス2200が動いていないときに、中途半端なレベルで置いておくよりは、或るレベルに固定しておいた方が好ましい場合もある。そこで、本第2原理では、図81に示されるように、バス2200が動いてないとき、動き始める前、或いは、動いた後に、バス2200を或るレベル(プリチャージレベル)にするために、プリチャージ回路2400を付加したものである。
図82は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第3の原理構成を示すブロック図であり、図83および図84は図82の信号伝送システムの動作を説明するための波形図である。図82に示す本第3原理では、図80の第2原理の信号伝送システムに対して、さらに、ロード2500を付加したものである。
この本第3原理は、例えば、ドライバ2100出力の高レベル“H”と低レベル“L”への駆動力が非対称の場合や、何等かの理由でバス2200のレベルが動作中に徐々に低レベル“L”側または高レベル“H”側へシフトしてしまう場合等において、そのシフトを抑える目的でロード2500を設けたものである。
図83は、ロード2500が設けられていない場合でバス2200のレベル(PRD方式バスアンプ2300の入力信号のレベルB)が低レベル“L”側へシフトしている状態の波形、また、図84は、本第3原理によりロード2500を設けた場合のシフトが抑えられた波形を示している。
実際に、PRD方式を用いた場合には、信号があるレベルに向かってシフトしてそのレベルに張り付いてしまうような場合でも、データの読み出しは問題無いが、本第3原理のように、ロード2500を付加することにより、バス2200のレベルがあるレベルに張り付いてしまった場合の、PRD方式バスアンプ2300の動作マージンを大きくすることが可能になる。
図85は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した半導体記憶装置の一例を模式的に示すブロック図である。図85において、参照符号2001はメモリセルアレイ,2002はワードデコーダ(ワードデコーダ列),2100はセンスアンプ(センスアンプ列),2201はローカルデータバス,2202はグローバルデータバス,2300はPRD方式データバスアンプ,2401はローカルデータバス・プリチャージ回路,2402はグローバルデータバス・プリチャージ回路,2009はローカルバススイッチ,2010はライトアンプ,そして,2500はロードを示している。
図85に示されるように、本発明の第5の形態を適用した半導体記憶装置(DRAMのメモリセルアレイ部)は、複数のメモリアレイ2001、ワードデコーダ(ワードデコーダ列)2002、センスアンプ(センスアンプ列)2100、ローカルデータバス2201、および、グローバルデータバス2202を備えている。さらに、半導体記憶装置は、データ読み出し時にグローバルデータバス2202のデータを増幅するPRD方式データバスアンプ2300、ローカルデータバス2201をプリチャージするローカルデータバス・プリチャージ回路2401、グローバルデータバス2202をプリチャージするグローバルデータバス・プリチャージ回路2402、グローバルデータバス2202とローカルデータバス2201との接続を制御するローカルバススイッチ2009、メモリセルへデータを書き込むためのライトアンプ2010、および、ロード2500を備えている。
ここで、図85におけるローカルデータバス2201およびグローバルデータバス2202は、前述した図73におけるローカルデータバス2004およびグローバルデータバス2005に対応し、また、図85におけるローカルデータバス・プリチャージ回路2401およびグローバルデータバス・プリチャージ回路2402は、前述した図73におけるローカルデータバス・プリチャージ回路2007およびグローバルデータバス・プリチャージ回路2008に対応している。また、図85の半導体記憶装置では、図73におけるデータバスアンプ2006がPRD方式のデータバスアンプ2300として構成され、さらに、図85の半導体記憶装置では、グローバルデータバス2202にロード2500が設けられている。
図85および前述した第5の形態の原理(図78,図80,図82)において、センスアンプ2100がドライバとしての役割をし、ローカルデータバス2201およびグローバルデータバス2202がバスであり、グローバルデータバスアンプ(PRD方式データバスアンプ)2300がPRD方式バスアンプに対応する。ここで、本明細書(図85等)では、バスをローカルデータバスおよびグローバルデータバスというように分けているが、バスがこのように別名称で識別されることは本質的なことではない。なお、図85では、図82の第3原理に対応させて、プリチャージ回路(ローカルデータバス・プリチャージ回路2401およびグローバルデータバス・プリチャージ回路2402)およびロード2500が設けられている。このような構成を有する半導体記憶装置により、前述したリードサイクル中にプリチャージが入らないデータリードが行うことが可能になる。
図86は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第1実施例の要部を模式的に示すブロック図であり、前述した図78の第1原理構成(プリチャージ回路およびロードを設けないもの)に対応している。
図86において、参照符号2100はドライバ(図85のセンスアンプに対応)、2200はシンブルエンドのバス(信号伝送路)、そして、2300はPRD方式バスアンプ(図85のPRD方式データバスアンプに対応)を示している。なお、図86において、参照符号Aはドライバ2100の出力信号の波形、BはPRD方式バスアンプ2300の入力信号の波形、そして、CはPRD方式バスアンプ2300の出力信号の波形を示している。
図87は図86の信号伝送システムにおけるドライバおよびバスアンプの構成例を示す回路図であり、図87(a)および図87(b)はドライバ2100の回路例を示し、また、図87(c)はPRD方式バスアンプ2300の回路例を示している。
図87(a)に示されるように、ドライバ2100は、単に、入力するデータ(Din)を反転増幅するインバータにより構成することもできるが、また、図87(b)に示されるように、イネーブル信号(/EN)を用いた高インピーダンス状態(High−Z状態)を備えた回路として構成することもできる。
図87(c)に示されるように、PRD方式バスアンプ2300は、制御信号(φ1,/φ1;φ2,/φ2;φ1’,/φ1’;φ1”,/φ1”;φ2’,/φ2’;φ2”,/φ2”)によりスイッチング制御される複数のトランスファーゲート、インバータ、および、キャパシタ(C1a,C2a;C1b,C2b)を備えて構成されている。すなわち、図87(c)のPRD方式バスアンプ2300は、2個一組でインターリーブを行う方式のもので、PRDブロック2300aおよび2300bを備えて構成されている。
図88は図87のバスアンプを動作させるための信号波形の一例を示す図であり、図89は図86の信号伝送システムにおけるバスの動作波形の一例を示す図である。
図87(c)のPRD方式バスアンプ2300は、図88に示されるような信号により駆動される。ここで、制御信号φ1’,φ1”およびφ2’,φ2”は、制御信号φ1およびφ2とほぼ同様(ややタイミングが異なる)の波形とされ、PRDブロック2300aおよび2300bをインターリーブ駆動するためにクロックに同期した交互のタイミング(クロックCLKの立ち上がりおよび立ち下がりタイミング)で出力されるようになっている。すなわち、一方のPRDブロック(例えば、2300a)が次のクロックでのデータに対しての符号間干渉成分を除去(推定)するための計算を行っている間に、他方のPRDブロック(例えば、2300b)がデータを受け取って出力信号を出力するようになっており、これを交互に行って高速にデータを再生するようになっている。
図89に示す本第1実施例(第5の形態の第1実施例)の動作波形では、ドライバ2100からの出力信号(A)、PRD方式バスアンプ2300が受信する信号(B)、および、PRD方式バスアンプ2300が出力する信号(C)が示され、具体的に、500Mbpsのデータ転送の例を示している。このように、本第1実施例によれば、ドライバ2100から出力されるデータをフルスイングすることなく、PRD方式バスアンプ2300によりデータを正確に再生できることがわかる。なお、本第1実施例では、データバス(2200)のプリチャージは行わないため、データ転送をしないときには不特定のレベルにあることになるが、それにもかかわらず高速のデータ転送が可能である。また、信号伝送は、1ビット当たりのデータによるバスのレベル変化量を少なくしてデータを送ることができるため、実質的に小振幅バスとなるため、バスの消費電力も低減することができる。
図90は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第2実施例の要部を模式的に示すブロック図であり、図86に示す第1実施例に対してさらにプリチャージ回路2400を設けたものであり、前述した図80の第2原理構成(プリチャージ回路を設けたもの)に対応している。
図90に示す第2実施例は、データの転送を行っていない場合には、プリチャージ回路2400によりプリチャージを行うようになっている。ここで、本第2実施例では、データ転送中にはプリチャージを行わないが、プリチャージ時間を行う時間的な余裕があれば、データ転送を一時止めてプリチャージ回路2400によりプリチャージを行うように構成することもできる。ただし、従来技術のように1ビットごとにプリチャージするのはデータ転送の効率から好ましいものとはいえない。
本第2実施例では、データ転送はプリチャージレベルから始まり、転送が終わった後もプリチャージレベルに戻ることになるため、バス2200の初期レベルがわかり、他の部分で設計上の問題があったときにおいても、問題の解析を容易に行うことができる。また、バス2200の全体のレベルが或るレベルへと徐々に動いてしまうような場合でも、データ転送時でないときにプリチャージレベルに戻すため、そのレベルに張り付いてしまうようなことは少ない。ここで、少ないという意味は、非常に長くデータの読み出しが続けば張り付いてしまうようなことも生じ得るということであり、通常の読み出し動作では問題となることは殆ど無い。また、たとえバス2200が或るレベルに張り付いてしまったとしても、前記の第1実施例と同様にデータの転送を行うことは可能である。
図91は図90の信号伝送システムにおけるプリチャージ回路の一例を示す回路図である。なお、ドライバ2100およびPRD方式バスアンプ2300は第1実施例と同様のものを使用することができる。
図91に示されるように、プリチャージ回路2500はトランスファーゲートにより構成され、プリチャージ制御信号pre,/preによりバス2200に対してプリチャージレベル(Vpr)を印加してプリチャージするようになっている。
図92は図90の信号伝送システムにおけるバスおよびバスアンプを動作させるための信号波形の一例を示す図である。ここで、図92の信号波形図において、参照符号(I)はデータを伝送しないときはバス2200をプリチャージする方式を示し、また、(II)はデータ伝送の前後のみバス2200をプリチャージする方式を示している。すなわち、図92(I)はデータ転送しないときはプリチャージを続けるシーケンスを示し、また、図92(II)はデータ転送の前後のみプリチャージを行い、データ転送およびプリチャージ期間以外はバス2200をフローティング状態とするシーケンスを示している。
図93は図90の信号伝送システムにおけるバスの動作波形の一例を示す図である。図93に示されるように、本第2実施例によれば、例えば、データ転送の前後においてバス2200のレベルがプリチャージレベル(Vpr)に戻されることになる。
図94は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第3実施例の要部を模式的に示すブロック図である。
図94と図86との比較から明らかなように、本第3実施例は、図86に示す第1実施例におけるシングルエンドバス2200を相補型バス2200’(bus,/bus)として構成したものであり、この相補型バス2200’に対応したドライバ2100’およびPRD方式バスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ)2300’により信号伝送システムを構成するようになっている。
図95は図94の信号伝送システムにおけるドライバおよびバスアンプの構成例を示す図であり、図95(a)および図95(b)はドライバ2100’の回路例を示し、また、図95(c)はPRD方式バスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ)2300’の回路例を示している。
図95(a)に示されるように、ドライバ2100’は、単に、入力する相補のデータ(Din, /Din)をそれぞれ反転増幅する一対のインバータにより構成することもできるが、また、図95(b)に示されるように、入力信号(正論理の入力信号)Dinから相補の出力信号A,/Aを生成する回路として構成することもできる。
図95(c)に示されるように、PRD方式相補型差動バスアンプ2300’は、第1および第2のPRDアンプ2310および2320、並びに、ラッチ型アンプ2330を備えて構成されている。第1のPRDアンプ2310は、正論理の入力信号Bを受け取って出力信号Dをラッチ型アンプ2330に供給し、また、第2のPRDアンプ2320は、負論理の入力信号/Bを受け取って出力信号Eをラッチ型アンプ2330に供給する。
図96は図95(c)のバスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ)におけるPRDアンプおよびラッチ型アンプの一例を示す回路図であり、図96(a)はPRDアンプ(第1および第2のPRDアンプ2310,2320)の回路例を示し、また、図96(b)はラッチ型アンプ2330の回路例を示している。
図96(a)と図87(c)との比較から明らかなように、第1のPRDアンプ2310(第2のPRDアンプ2320)は、図87(c)のシングルエンドバス用のPRD方式バスアンプ2300と同様の構成とされている。また、図96(b)に示されるように、ラッチ型アンプ2330は、第1および第2のPRDアンプ2310および2320の出力信号DおよびEを受け取り、相補の出力信号C,/Cを出力するようになっている。このように、データ伝送システムを相補型にすることにより、同相ノイズの影響を低減してより小さい信号変化を検出することが可能になる。ただし、PRD方式相補型差動バスアンプ2300’等の回路規模は大きくなる。
なお、上述したドライバ2100’およびPRD方式相補型差動バスアンプ2300’の回路はあくまで一例であり、相補の信号が出せるものであれば他に様々な回路を適用することができるのはいうまでもない。
図97は図95のバスアンプを動作させるための信号波形の一例を示す図であり、図98は図94の信号伝送システムにおけるバスおよびバスアンプの動作波形の一例を示す図である。
図97に示されるように、制御信号φ1,φ2(φ1’,φ2’;φ1”,φ2”)は、前述した図88と同様に、PRDブロック2300aおよび2300bをインターリーブ駆動するためにクロックCLKに同期した交互のタイミングで出力されるようになっている。
そして、図98に示されるように、本第3実施例では、図89に示す第1実施例における波形を相補信号にしたのに対応するドライバ2100’の出力信号(A,/A)、PRD方式相補型差動バスアンプ2300’が受信する信号(B,/B)、および、PRD方式相補型差動バスアンプ2300’が出力する信号(C,/C)が得られる。このように、本第3実施例によれば、ドライバ2100’から出力されるデータをフルスイングすることなく、PRD方式相補型差動バスアンプ2300’によりデータを正確に再生できることがわかる。
図99は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第4実施例の要部を模式的に示すブロック図である。
図99に示す第4実施例は、上述した図94の第3実施例において、プリチャージ回路2400’を付加したものであり、また、PRD方式相補型差動バスアンプ2300”は正論理の出力信号(C)のみを出力するようになっている。
図100は図99の信号伝送システムにおけるプリチャージ回路およびバスアンプの構成例を示す図であり、図100(a)はプリチャージ回路2400’の回路例を示し、また、図100(b)はPRD方式相補型差動バスアンプ2300”の回路例を示している。
図100(a)に示されるように、プリチャージ回路2500’は、複数のトランジスタにより構成され、プリチャージ制御信号PRE,/PREにより相補のバスbus,/bus(2200’)を短絡すると共に、プリチャージレベル(Vpr)を印加するようになっている。
図100(b)に示されるように、PRD方式相補型差動バスアンプ2300”は、第1および第2のPRDアンプ2310および2320、並びに、カレントミラー型アンプ2340を備えて構成されている。第1のPRDアンプ2310は、正論理の入力信号Bを受け取って出力信号Dをカレントミラー型アンプ2340に供給し、また、第2のPRDアンプ2320は、負論理の入力信号/Bを受け取って出力信号Eをカレントミラー型アンプ2340に供給する。
図101は図100のバスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ)におけるPRDアンプおよびカレントミラー型アンプの一例を示す回路図であり、図101(a)はPRDアンプ(第1および第2のPRDアンプ2310,2320)の回路例を示し、また、図101(b)はカレントミラー型アンプ2340の回路例を示している。
図101(a)と図87(c)との比較から明らかなように、第1のPRDアンプ2310(第2のPRDアンプ2320)は、図87(c)のシングルエンドバス用のPRD方式バスアンプ2300と同様の構成とされている。また、図101(b)に示されるように、カレントミラー型アンプ2340は、第1および第2のPRDアンプ2310および2320の出力信号DおよびEを受け取り、出力信号(正論理の信号)Cを出力するようになっている。なお、カレントミラー型アンプ2340の各制御トランジスタにはイネーブル信号en(/en)が供給されている。
このように、相補型のカレントミラー型アンプ2340を使用することにより、同相ノイズの影響を低減してより小さい信号変化を検出することが可能になる。ただし、カレントミラー型アンプ2340の回路規模は大きくなる。
図102は図100のバスアンプを動作させるための信号波形の一例を示す図である。
図102に示されるように、制御信号φ1,φ2(φ1’,φ2’;φ1”,φ2”)は、前述した図88と同様に、PRDブロック2300aおよび2300bをインターリーブ駆動するためにクロックCLKに同期した交互のタイミングで出力されるようになっている。また、プリチャージ制御信号PREは、バス2200’が動いている(データが転送されている)以外の期間で高レベル“H”(/PREは低レベル“L”)となって、バス2200’をプリチャージするようになっている。また、カレントミラー型アンプ2340に供給されるイネーブル信号enはデータ転送時に高レベル“H”(/enは低レベル“L”)となって、カレントミラー型アンプ2340を活性化させてデータ(C)を出力するようになっている。
図103は図99の信号伝送システムにおけるバスおよびバスアンプの動作波形の一例を示す図である。
図103に示されるように、本第4実施例によれば、ドライバ2100’が出力するの相補の信号(A,/A)が相補のバス2200’を介して伝えられ、該PRD方式相補型差動バスアンプ2300’は相補の信号(B,/B)を受信して信号(正論理の信号C)を出力する様子がわかる。なお、本第4実施例では、プリチャージ回路2400’が設けられているために、データ転送の前後において、PRD方式相補型差動バスアンプ2300’の入力信号(B,/B)は、或るレベル(プリチャージレベルVpr)に保持されることになる。
ここで、本第4実施例(第5の形態の第4実施例)は、上述した第3実施例に比べて消費電力は多くなるが、より一層の高速動作が可能になる。また、第3および第4実施例では、一度シングルエンドタイプのPRD方式のバッファにより符号間干渉成分が取り除かれると共に、或る程度の増幅も行われるので、相補型のアンプ欠点である入力オフセットは問題にならなくなる。なお、相補入力の差動型のカレントミラー型アンプも図101(b)に示すもの限定するものではなく、差動入力が増幅できるものであれば様々なものを使用することができる。
図104は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第5実施例の要部を模式的に示すブロック図であり、基本的な構成は上述した第4実施例に対応するものである。すなわち、本第5実施例では、PRD方式相補型差動バスアンプ2300”が特徴となっている。
図105は図104の信号伝送システムにおけるバスアンプの一例の要部を示すブロック回路図であり、PRD方式相補型差動バスアンプ2300”の回路例を示すものである。
上述した第3および第4実施例におけるPRD方式相補型差動バスアンプ2300’は、シングルエンド用のPRD方式バスアンプの後で相補のアンプに入力しているが、本第5実施例において、PRD方式相補型差動バスアンプ2300”は、キャパシタ(容量C10a,C20a;C10b,C20b)で構成されるPRD機能部分2301の後段に差動アンプ2303および該差動アンプ2303の入力ノードに対するアンプ用プリチャージ回路2302を備えて構成されている。このPRD方式相補型差動バスアンプ2300”も2系統のアンプ(主要部を2つもつという意味)を交互に切り替えて、高速にデータの再生および増幅を行う。
ここで、キャパシタC10aおよびC10bの値をC10とし、キャパシタC20aおよびC20bの値をC20とすると、これらのキャパシタの値C10,C20を、次の式:C10/(C10+C20)=(1+exp(−T/τ))/2を満たすように決めれば符号間干渉は理論的には完全に除去することができる。ただし、理想状態ではこの式を満たすようにすればよいが、実際には寄生容量等が入るので、この式を満たすのに近い値の容量比に設定することになる。ここで、tはバス2200’の時定数を示し、Tは1ビット分のデータがバスに現れる時間または1ビット分の周期を示している。
図106はバスの時定数と1ビット分の周期との関係を示す波形図であり、図106(a)は元の波形(データ1−1−0)を示す図、図106(b)は1ビット分のデータがバス2200’に現れる時間Tを説明するための図、そして、図106(c)は1ビット分の周期(T)を示す図である。
図106(a)に示すような元の波形(データ1−1−0)を伝送する場合、図106(b)に示されるように、各1ビット分のデータがバス2200’に現れた後に高インピーダンス状態(High−Z状態)となる期間を設けてもよいし、また、図106(c)に示されるように、1ビット分の周期T全体でデータを伝送するようにしてもよい。すなわち、図106(b)および図106(c)のどちらの波形でも、図106(a)に示す元のデータをPRD方式のバスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300”)により正確に検出することができる。
図107は図105のバスアンプの動作を説明するための図である。
図105に示すPRD方式相補型差動バスアンプ2300”は、制御信号φ1およびφ2を制御することにより、図107(a)および図107(b)に示す動作を交互に行う。
すなわち、制御信号φ1が高レベル“H”(/φ1が低レベル“L”)で制御信号φ2が低レベル“L”(/φ2が高レベル“H”)のとき、図107(a)に示されるように、符号間干渉成分推定動作が行われ、また、制御信号φ1が低レベル“L”で制御信号φ2が高レベル“H”のとき、図107(b)に示されるように、信号判定動作が行われる。なお、アンプ用プリチャージ回路2302は、符号間干渉成分推定動作が行われる期間に差動アンプ2303の入力ノードをプリチャージするようになっている。
ここで、前述した第3および第4実施例の場合のバスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300’)では、相補の微小信号を相補で受けるというよりは、相補のバス2200’の信号をPRD方式でデータをそれぞれ受けて、その後の差電圧を増幅しているので、単なるシングルエンドの場合よりはある程度感度が向上しているということにはなるが、相補信号の場合の符号間干渉成分をだいたい取り除いているというにすぎない。この場合には信号の大きさによっては誤動作してしまう可能性もある。
これに対して、本第5実施例では、PRD方式相補型差動バスアンプ2300”は、本来の相補信号用のPRD方式のバスアンプであり、理想的には完全に相補信号の場合の符号間干渉成分を推定することが可能であり、第3および第4実施例の場合に比べて格段に感度を向上することができ、換言すると、動作マージンを格段に広くすることができる。
図108は図104の信号伝送システムにおけるバスアンプ(信号受信システム)の他の例を示す図、図109は図108のバスアンプにおけるPRDアンプの構成単位の一例を示す回路図、そして、図110は図108のバスアンプにおけるマルチプレクサの一例を示す回路図である。
図108に示すバスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300a)は、図105のバスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300”)と同様の構成を有する第1および第2のPRDアンプ2310a,2320aおよびマルチプレクサ(MUX)2330aを備えて構成したものである。この図108に示すバスアンプは、一方のPRDアンプ(第1のPRDアンプ2310a)で符号間干渉成分の推定を行うと共に、他方のPRDアンプ(第2のPRDアンプ2320a)でデータの判定を行い、そして、次のタイミングでは一方のPRDアンプ(第1のPRDアンプ2310a)でデータの判定を行うと共に、他方のPRDアンプ(第2のPRDアンプ2320a)で符号間干渉成分の推定を行うといったインターリーブ動作により高速なデータ転送を可能としている。
ここで、符号間干渉成分推定動作している方のPRDアンプでは、当該PRDアンプのプリチャージも同時に行っている。このプリチャージ時間は、インターリーブのデータ読み出しの裏の時間で行っており、データ転送サイクルには影響を与えることはない。また、バス2200’とバスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300a:アンプ)本体の入力ノードには、PRD用のキャパシタが入っており、バスとアンプ本体の入力ノードが分離され、さらに、バスとアンプの入力ノードの電位差は、PRD方式では特に制限がないため、プリチャージによりアンプが動作を開始するときのこれらの入力ノードのレベルを、相補型アンプの感度の一番いいところに設定することができる。これにより、たとえ同じ相補型アンプを本体部に使ったとしても、はるかに感度を大きくすることが可能になる。
以上の回路においては、スイッチとして相補のトランスファーゲートを用いているが、スイッチ機能をもつ素子であれば他のものでも構わず、例えば、NMOSトランジスタ(NMOSトランスファーゲート)のみ、或いは、PMOSトランスファーゲートのみでもよい。また、本第5実施例における差動アンプ2303は、NMOSゲート受けとして構成してあるが、NMOS受けにするか或いはPMOS受けにするかは、テクノロジ等に依存することであり、最適なものを選択することができる。さらに、本第5実施例では、差動アンプ2303にゲート受けラッチを採用したが、差動アンプとしてはこれらに限られるものではない。なお、本第5実施例で使用している差動アンプ2303は、イネーブル信号en,/enにより、データ転送をしないときは動作を止めることができるようになっている。
図109に示されるように、第1のPRDアンプ2310a(第2のPRDアンプ2320a)は、図105に示すPRD方式相補型差動バスアンプ2300”と同様の構成とされ、PRD機能部分2301、アンプ用プリチャージ回路2302、および、差動アンプ2303を備えて構成されている。ここで、差動アンプ2303は、ゲート受けのラッチ型差動アンプとして構成されている。さらに、アンプ用プリチャージ回路2302は制御信号φ1(/φ1)によりプリチャージ制御され、また、差動アンプ2303はイネーブル信号en(/en)により動作が制御されるようになっている。
図110に示されるように、MUX(マルチプレクサ)2330aは、制御信号φ1’(/φ1’)およびφ2’(/φ2’)により、第1のPRDアンプ2310aの出力信号(D)または第2のPRDアンプ2320aの出力信号(E)のいずれか一方を選択して、バスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300a)の出力信号Cとして出力するようになっている。ここで、制御信号φ1’(/φ1’)およびφ2’(/φ2’)は、制御信号φ1(/φ1)およびφ2(/φ2)と同様の(ややタイミングが異なる)信号となっている。
図111は図108のバスアンプを動作させるための信号波形の一例を示す図であり、図112は図104の信号伝送システムにおけるバスおよびバスアンプの動作波形の一例を示す図である。
図111に示されるように、制御信号φ1,φ2により、一方のPRDアンプ(第1のPRDアンプ2310a)で符号間干渉成分の推定を行うと共に、他方のPRDアンプ(第2のPRDアンプ2320a)でデータの判定を行い、そして、次のタイミングでは一方のPRDアンプでデータの判定を行うと共に、他方のPRDアンプで符号間干渉成分の除去を行うといったインターリーブ動作を行うようになっている。なお、符号間干渉成分推定動作している方のPRDアンプでは、プリチャージも同時に行っている。
図112に示されるように、本第5実施例によれば、ドライバ2100’が出力するの相補の信号(A,/A)が相補のバス2200’を介して伝えられ、PRD方式相補型差動バスアンプ2300”(2300a)は相補の信号(B,/B)を受信して信号(正論理の信号C)を出力するようになっている。
図113は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第6実施例としての信号伝送システムにおけるバスアンプの一例を示す図である。本第6実施例も相補型バスの例であり、ブロック図としては上述した図108と同様である。
すなわち、図113に示されるように、バスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300b)は、第1および第2のPRDアンプ2310b,2320bおよびマルチプレクサ(MUX)2330bを備えて構成されている。
図114は図113のバスアンプにおけるPRDアンプ(第1および第2のPRDアンプ2310b,2320b)の構成単位の一例を示す回路図である。
図114と図109との比較から明らかなように、本第6実施例におけるPRDアンプ(2310b,2320b)は、図109に示す第5実施例におけるPRDアンプ(2310a,2320a)に対して、差動アンプ2303aの構成が異なっている。
図114に示されるように、本第6実施例の差動アンプ2303aは、図109の差動アンプ2303に対してANDゲート2331および2332を設けたものである。すなわち、図109の差動アンプ2303は、制御用のトランジスタのゲートに直接イネーブル信号en(/en)を供給していたのに対して、図114に示す本第6実施例の差動アンプ2303aでは、イネーブル信号enと制御信号φ1との論理をANDゲート2331および2332で取って、これらのゲート2331および2332の出力信号により制御用トランジスタのスイッチングを制御する。これにより、必要最小限の期間だけ差動アンプ2303aをスイッチオン状態(活性化状態)として、消費電力の低減を図るようになっている。
本第6実施例においても、差動アンプ2303aは、前述の第5実施例と同様に、ゲート受けラッチ方式として構成されている。ここで、本第6実施例における差動アンプ2303aは、NMOSゲート受けとして構成してあるが、NMOS受けにするか或いはPMOS受けにするかは、テクノロジ等に依存することであり、最適なものを選択することができる。なお、動作シーケンスは図111に示す第5実施例のものと同様である。
図114において、バスアンプのプリチャージを行う場合、差動アンプ2303aのノードN1aおよびN1bを高レベル“H”にするプリチャージを行うことになるため、本第6実施例のように、NMOSゲート受けの構成を採ることにより、アンプの動作スピードを向上させることができる。なお、本第6実施例も、図108と同様に、制御信号φ1,φ2により、一方のPRDアンプ(第1のPRDアンプ2310b)で符号間干渉成分の推定を行うと共に、他方のPRDアンプ(第2のPRDアンプ2320b)でデータの判定を行い、そして、次のタイミングでは一方のPRDアンプでデータの判定を行うと共に、他方のPRDアンプで符号間干渉成分の推定を行うといったインターリーブ動作を行って、高速なデータ転送を可能としている。
図115は図113のバスアンプにおけるPRDアンプの構成単位の他の例を示す回路図である。
図115に示す差動アンプ2303bは、後述する図119に示す差動アンプ(2303c)に対して、ANDゲート2331および2332を設けたものである。すなわち、図115の差動アンプ2303bは、図114の差動アンプ2303aと同様に、イネーブル信号enと制御信号φ1との論理をANDゲート2331および2332で取って、これらのゲート2331および2332の出力信号により制御用トランジスタのスイッチングを制御する。これにより、必要最小限の期間だけ差動アンプ2303bを活性化状態として、消費電力の低減を図るようになっている。
図116は図113のバスアンプにおけるマルチプレクサの一例を示す回路図である。
図116に示されるように、MUX(マルチプレクサ)2330bは、制御信号φ1’(/φ1’)およびφ2’(/φ2’)により、第1のPRDアンプ2310bの出力信号(D)または第2のPRDアンプ2320bの出力信号(E)のいずれか一方を選択すると共に、論理を合わせるためにインバータにより反転して、バスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300b)の出力信号Cとして出力するようになっている。ここで、図116に示すMUX2330bは、図114に示すPRDアンプ(差動アンプ2303a)を使用した場合に対応するものであり、図115に示すPRDアンプ(差動アンプ2303b)を使用した場合には、図110に示すMUX2330aを使用すればよい。なお、信号の論理は、必要に応じて様々に変化させて使用することができるのはいうまでもない。
図117は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第6実施例におけるバスおよびバスアンプの動作波形の一例を示す図である。
図117に示されるように、本第6実施例によれば、ドライバ2100’が出力するの相補の信号(A,/A)が相補のバス2200’を介して伝えられ、PRD方式相補型差動バスアンプ2300bは相補の信号(B,/B)を受信して信号(正論理の信号C)を出力するようになっている。なお、図117では、第1のPRDアンプ2310bの出力信号Dおよび第2のPRDアンプ2320bの出力信号Eも合わせて示している。
図118は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第7実施例としての信号伝送システムにおけるバスアンプの一例を示す図である。本第7実施例も相補型バスの例であり、ブロック図としては上述した図108および図113と同様である。
すなわち、図118に示されるように、バスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300c)は、第1および第2のPRDアンプ2310c,2320cおよびマルチプレクサ(MUX)2330cを備えて構成されている。
図119は図118のバスアンプにおけるPRDアンプの構成単位の一例を示す回路図である。
前述したように、図119のPRDアンプ2310c(2320c)における差動アンプ2303cは、図115に示す差動アンプ2303bからANDゲート2331および2332を除いたものに対応している。
図119に示されるように、本第7実施例では、差動アンプ2303cがカレントミラーアンプとして構成され、例えば、ラッチ型差動アンプよりも、感度が高く、また、高速動作が可能である。ただし、カレントミラー型アンプはダイナミックレンジが小さいことが多いため、入力レベルを最適化してカレントミラー型の差動アンプ2303cの特性を最大限利用するのが好ましい。そのため、相補型アンプではあるが、例えば、第5実施例に比べては感度を遙に大きくすることができる。なお、インターリーブ動作により高速なデータ転送の実現等に関しては前述した各実施例と同様である。
図120は図118のバスアンプにおけるマルチプレクサの一例を示す回路図である。
図120に示されるように、MUX(マルチプレクサ)2330cは、図116に示すMUX2330bと同様の構成とされている。すなわち、MUX2330cは、制御信号φ1’(/φ1’)およびφ2’(/φ2’)により、第1のPRDアンプ2310cの出力信号(D)または第2のPRDアンプ2320cの出力信号(E)のいずれか一方を選択すると共に、論理を合わせるためにインバータにより反転して、バスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300c)の出力信号Cとして出力するようになっている。
図121は図118のバスアンプの動作させるための信号波形の一例を示す図であり、図122は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第7実施例におけるバスおよびバスアンプの動作波形の一例を示す図である。
図121および図122と図111および図112との比較から明らかなように、本第7実施例におけるバスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300c)および信号伝送システムは、前述した第5実施例と同様の動作が行われることになる。
図123は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第8実施例としての信号伝送システムにおけるバスアンプの一例を示す図である。本第8実施例も相補型バスの例であり、ブロック図としては上述した図118等と同様である。
本第8実施例は、例えば、第5実施例〜第7実施例において問題となり得る差動アンプ部の入力オフセットを補償するためのものである。すなわち、本第8実施例の差動アンプの入力オフセットを補償するためのものである。すなわち、本第8実施例の差動アンプ2303dは、入力オフセットを補償する機能を備えている。
図124は図123のバスアンプにおけるPRDアンプの構成単位の一例を示す回路図である。
図124と図119との比較から明らかなように、本第9実施例では、カレントミラー型の差動アンプ2303dの一方の入力だけにプリチャージ回路2302dを設け、他方の入力と出力とを制御信号φ1(/φ1)によりスイッチング制御されるトランスファーゲートで接続するようになっている。
図125は図124のバスアンプの動作を説明するための図であり、図125(a)は符号間干渉成分推定準備動作兼オートゼロ動作を示し、図125(b)は信号判定動作を示している。
まず、図125(a)に示されるように、タイミング1において、符号間干渉成分の推定動作と共に、差動アンプ2303dの一方の入力と出力とを電気的に短絡することにより、差動アンプ自身の入力オフセットを取り除く動作を行う。このとき、差動アンプ2303dの他方の入力は、同時に、プリチャージ回路2302dにより、この差動アンプが高感度になるレベル(Vpr)にプリチャージされる。
次に、図125(b)に示されるように、タイミング2において、データの判定動作が行われる。このときには、差動アンプ2303dの入出力間の短絡は切られ、また、プリチャージ回路2302dによるプリチャージも止められている。
このように、本第8実施例では、相補型の差動アンプの欠点である入力オフセットの除去機能(オートゼロ機能)が付加されている。なお、PRD機能部分は、第7実施例と同様の構成とされており、第3および第4実施例とは異なり、符号間干渉成分を理想的には完全に除去することが可能となっている。すなわち、本第8実施例は、相補アンプ用のオートゼロ機能による入力オフセットの除去ができるようになっており、この入力オフセットの除去により、さらに微小な信号を検出し、再生および増幅することが可能になる。
ところで、通常、オートゼロ機能付きの相補アンプは、入力オフセット補償用の容量を新たに設けなければならないが、本第8実施例では、符号間干渉成分除去(符号間干渉成分推定)に用いている容量にオフセット分も蓄えられるので、新たにオフセット補償用の容量を設ける必要がなく、面積の増大を招くことなくオートゼロ機能を付加することができる。
本第8実施例では、図124に示す2つのPRDアンプ(バスアンプ)2310d,2320dをインターリーブさせて、交互に信号の再生および増幅を行い、高速に信号伝送を行うようになっている。
図126は図123のバスアンプにおけるマルチプレクサ(MUX)2330dの一例を示す回路図であり、図120に示す第7実施例におけるMUX2330cと同様の構成となっている。
図127は図123のバスアンプの動作させるための信号波形の一例を示す図であり、また、図128は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第8実施例におけるバスおよびバスアンプの動作波形の一例を示す図である。
図127に示されるように、本第8実施例も、制御信号φ1,φ2により、一方のPRDアンプ(第1のPRDアンプ2310d)で符号間干渉成分の推定を行うと共に、他方のPRDアンプ(第2のPRDアンプ2320d)でデータの判定を行い、そして、次のタイミングでは一方のPRDアンプでデータの判定を行うと共に、他方のPRDアンプで符号間干渉成分の推定を行うといったインターリーブ動作を行って、高速なデータ転送を可能としている。また、符号間干渉成分推定動作している方のアンプでは、前述のように入力オフセットの除去(オートゼロ動作)とアンププリチャージも同時に行っている(図128における矢印位置を参照)。このように、本第8実施例では、バスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300d)に対してオートゼロ機能を持たせているため、さらに微小な電位変化も検出することが可能になる。
ここで、オートゼロ動作およびプリチャージ動作は、インターリーブのデータ読み出しの裏の時間で行っているため、データ転送サイクルには影響を与えない(余分に時間がかかることはない)ようになっている。なお、図127に示されるように、第1のPRDアンプ2310dに供給されるイネーブル信号en1(/en1)よりも、第2のPRDアンプ2320dに供給されるイネーブル信号en2(/en2)の方が1ビット分遅いタイミングで出力され、MUX2330dから不要な信号が出力されるのを防ぐようになっている。
また、本第8実施例においても、他の構成に関しては、前述した各実施例と同様である。すなわち、バスとバスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300d)本体の入力ノードには、PRD用のキャパシタが入っており、バスとアンプ本体の入力ノードが分離され、さらに、バスとアンプの入力ノードの電位差は、PRD方式では特に制限がないため、プリチャージによりアンプが動作を開始するときのこれらの入力ノードのレベルを、相補型アンプの感度の一番いいところに設定することができる。これにより、たとえ同じ相補型アンプを本体部に使ったとしても、はるかに感度を大きくすることが可能になる。
さらに、以上の回路においては、スイッチとして相補のトランスファーゲートを用いているが、スイッチ機能をもつ素子であれば他のものでも構わず、例えば、NMOSトランジスタ(NMOSトランスファーゲート)のみ、或いは、PMOSトランスファーゲートのみでもよい。また、本第8実施例における差動アンプ2303dは、NMOSゲート受けとして構成してあるが、NMOS受けにするか或いはPMOS受けにするかは、テクノロジ等に依存することであり、最適なものを選択することができる。なお、本第8実施例で使用している差動アンプ2303dは、イネーブル信号en1,en2(/en1,/en2)により、データ転送をしないときは動作を止めることができるようになっている。
図129は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第9実施例としての信号伝送システムにおけるバスアンプ2300eの一例を示す図であり、図130は図129のバスアンプにおけるPRDアンプ2310eの構成単位の一例を示す回路図である。本第9実施例も相補型バスの例であるが、例えば、図123の第8実施例とは異なり、PRD方式相補型差動バスアンプ2300eを1つのPRDアンプ2310eおよびラッチ2340eにより構成したものである。ここで、図130に示すPRDアンプ2310eは、前述した図124に示すPRDアンプ2310d(2320d)と同様の構成とされている。
すなわち、本第9実施例では、2つのPRDアンプをインターリーブして使用せずに、1つのPRDアンプ2310eを使用して、データの転送レート(転送速度)は低下するが、バスアンプの占有面積を低減(半分程度)するようにしたものである。この場合でも、バスのプリチャージは不要なため、1ビットごとにバスをプリチャージするよりは高速にデータを転送することができる。なぜなら、バスのCRに比べてアンプの符号間干渉を取り除くために充電する部分のCRははるかに小さいため、バスのプリチャージ時間よりは符号間干渉を取り除くための準備時間の方が短くて済むからである。
図131は図129のバスアンプ2300eにおけるラッチ2340eの一例を示す回路図である。
図131に示されるように、ラッチ2340eは、制御信号φ1,/φ1によりデータの取り込みが制御される第1のラッチ部および制御信号φ2,/φ2によりデータの取り込みが制御される第2のラッチ部を備えて構成されているが、どちらか一方のラッチ部のみで構成してもよい。
図132は図129のバスアンプの動作させるための信号波形の一例を示す図であり、図133は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第9実施例におけるバスおよびバスアンプの動作波形の一例を示す図である。
本第9実施例は、2つのPRDアンプを用いてインターリーブするほどの転送レートが必要ではなく、バスアンプの面積を小さくするのが好ましい場合に好適なものである。また、本第9実施例においても、従来の1ビットごとにバスをプリチャージする方式に比べて高速動作が可能であり、しかも、相補型のオートゼロ機能がついているので通常使われる相補型バスアンプよりはるかに感度が向上している。また、バスと相補型アンプ本体の入力ノードにPRD用のキャパシタが入っており、バスと相補型アンプ本体の入力ノードが分離しており、また、バスとアンプの入力ノードの電位差はこの方式では特に制限がないため、アンプが動作を開始するときのこれらの入力ノードのレベルを、相補型アンプの感度の一番いいところに設定することができる。したがって、たとえ同じ相補型アンプを本体部に使ったとしても、はるかに感度を大きくすることができる。
すなわち、本第9実施例では、第8実施例のバスアンプにおけるインターリーブをやめる(PRDアンプを1つにする)ことにより、バスアンプの面積を低減しているが、1つのPRDアンプの使用によるバスアンプの面積低減の効果は、他の様々なバスアンプに対しても幅広く適用することができる。さらに、本第9実施例においても、スイッチとして相補のトランスファーゲートを用いているが、スイッチ機能をもつ素子であれば他のものでも構わず、例えば、NMOSトランジスタ(NMOSトランスファーゲート)のみ、或いは、PMOSトランスファーゲートのみでもよい。また、本第9実施例における差動アンプ2303eは、NMOSゲート受けとして構成してあるが、NMOS受けにするか或いはPMOS受けにするかは、テクノロジ等に依存することであり、最適なものを選択することができる。なお、本第9実施例で使用している差動アンプ2303eは、イネーブル信号en(/en)により、データ転送をしないときは動作を止めることができるようになっている。
図134は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第10実施例としての信号伝送システムにおけるバスアンプの一例を示す図であり、疑似的なPRD方式のバスアンプである。ただし、図134のブロック図は、図123の第8実施例のブロック図と同様のものとなっている。
すなわち、図134に示されるように、バスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300f)は、第1および第2のPRDアンプ2310f,2320fおよびマルチプレクサ(MUX)2330fを備えて構成されている。
図135は図134のバスアンプにおけるPRDアンプの構成単位の一例(a)および他の例(b)を示す回路図であり、図136は図134のバスアンプにおけるPRDアンプの構成単位のさらに他の例を示す回路図である。
本第10実施例のPRDアンプ2310f(2320f)は、図135(a)におけるPRD機能部分2301fに示されるように、図124に示す第8実施例のPRDアンプ2310dのPRD機能部分2301において、アンプのプリチャージ時に反対側のバスとを接続するときに、つなぎ変える容量を削除したものである。なお、プリチャージ回路2302fおよび差動アンプ2303fは、図124の第8実施例と同様である。
図135(b)に示すPRDアンプ2310f’(2320f’)は、図135(a)におけるPRD機能部分2301fを、制御信号φ1,φ2(/φ1,/φ2)が供給された論理ゲート(オアゲートおよびアンドゲート)を用いてスイッチングを行うPRD機能部分2301f’として構成したものである。
図136に示すPRDアンプ2310f”(2320f”)は、図136におけるPRD機能部分2301f”に示されるように、図135(a)のPRDアンプから容量(C30a,C30b)とバス(B,/B)との接続を制御するトランスファーゲートを取り除いたものである。ここで、バスの時定数が小さいか、或いは、バスにデータが出力される時間が1ビット当たりの周期より小さい場合には、バスの変化は、前述した図106(b)のようになることがあるが、このように、データバスが安定したレベルを有するような場合には、図136のように、容量(C30a,C30b)とバス(B,/B)との接続を制御するトランスファーゲートを取り除くことが可能になる。
なお、上記のPRDアンプは、イネーブル信号en(/en)により、データ転送時以外にはアンプを止めることができるようになっている。
この本第10実施例におけるPRD方式(疑似的なPRD方式)では、本来のPRD方式とは異なり、1ビット前の値に対して、現在のビットが“0”であるか“1”であるかを判定するものである。従って、第8実施例に比べれば動作マージンは小さくなる。しかしながら、その代わりバスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300f)の占有面積を削減することが可能になる。なお、本第10実施例も、例えば、第5実施例と同様に、相補バスを使用するものであり、また、2つのPRDアンプ2310f,2320fをインターリーブすることにより高速化するようになっている。
図137は図134のバスアンプにおけるマルチプレクサ2330fの一例を示す回路図である。
図137に示されるように、マルチプレクサ(MUX)2330fは、例えば、図116に示す第6実施例のMUX2330bと同様の構成とされ、制御信号φ1’,φ2’(/φ1’,/φ2’)により、PRDアンプ2310fおよび2320fの出力を交互に選択して出力するようになっている。
ここで、PRD方式の場合は、符号間干渉を削除するために、その符号間干渉成分をサンプルするサイクルが本データサンプルと交互に必要となるために、2つのPRDアンプを組みにしてインターリーブをすることにより、データ伝送を切れ目なく行うことができる。また、前述した本発明の第5の形態に係る第1〜第4実施例および第8〜第9実施例の場合には、符号間干渉成分を推定するサイクルに、同時にアンプのオートゼロも行うことにより感度を向上させている。さらに、本第10実施例でも、2つのPRDアンプを組みにして擬符号間干渉成分(1ビット前のデータに相当)をサンプリングし、且つ、アンプをオートゼロにするサイクルと本データサンプルとを交互に行っている。
図138は図134のバスアンプの動作させるための信号波形の一例を示す図であり、図139は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムの第10実施例におけるバスおよびバスアンプの動作波形の一例を示す図である。
本第10実施例においても、2つのPRD2310f,により擬符号間干渉成分(1ビット前のデータに相当)をサンプリングおよびアンプのプリチャージサイクルと本データサンプルとを交互に行っている。このプリチャージ時間は、インターリーブのデータ読み出しの裏の時間で行っており、データ転送サイクルには影響を与えることはない。ここで、本第10実施例では、2つのPRDアンプを組みにしてインターリーブをかけ、高速データ転送を行っているが、第9実施例のように1つのPRDアンプを使用してインターリーブをしないように構成することもできるのはいうまでもない。その場合、転送レートは低下するが、バスアンプの占有する面積はさらに削減することができる。
なお、図138に示されるように、第1のPRDアンプ2310fに供給されるイネーブル信号en1(/en1)よりも、第2のPRDアンプ2320fに供給されるイネーブル信号en2(/en2)の方が1ビット分遅いタイミングで出力され、MUX2330fから不要な信号が出力されるのを防ぐようになっている。
図140は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した第11実施例としての半導体記憶装置の一例を模式的に示すブロック図である。図140において、参照符号2001はメモリセルアレイ,2002はワードデコーダ(ワードデコーダ列),2100はセンスアンプ(センスアンプ列),2201はローカルデータバス,2202はグローバルデータバス,2300gはPRD方式データバスアンプ(PRD方式の相補型グローバルデータバスアンプ),2401はローカルデータバス・プリチャージ回路,2402はグローバルデータバス・プリチャージ回路,2009はローカルデータバススイッチ,2010はライトアンプ,2011はセンスアンプドライバ,そして,2012はカラムデコーダ(カラムデコーダ列)を示している。
図140に示されるように、本第11実施例としての半導体記憶装置(DRAMのメモリセルアレイ部)は、複数のメモリアレイ2001、ワードデコーダ2002、センスアンプ2100、ローカルデータバス2201、および、グローバルデータバス2202を備えている。また、本第11実施例の半導体記憶装置は、データ読み出し時にグローバルデータバス2202のデータを増幅するPRD方式データバスアンプ2300g、ローカルデータバス2201をプリチャージするローカルデータバス・プリチャージ回路2401、グローバルデータバス2202をプリチャージするグローバルデータバス・プリチャージ回路2402、グローバルデータバス2202とローカルデータバス2201との接続を制御するローカルデータバススイッチ2009、および、メモリセルへデータを書き込むためのライトアンプ2010を備えている。さらに、本第11実施例の半導体記憶装置は、後述するように、カラムトランスファーゲートを選択するカラムデコーダ2012、およびセンスアンプ2100を駆動するセンスアンプドライバ2011を備えて構成されている。ここで、ローカルデータバススイッチ2009は、例えば、NMOSおよびPMOSの相補のトランスファーゲートとして構成されている。
図141は図140の半導体記憶装置におけるバスアンプの一例を示す図である。ここで、図140におけるローカルデータバス2201およびグローバルデータバス2202は、図141における相補バス2200’(B,/B)に対応している。
図141に示されるように、本第11実施例のバスアンプ(PRD方式データバスアンプ2300g)は、相補型の差動バスアンプとして構成され、第1および第2のPRDアンプ2310g,2320gおよびマルチプレクサ(MUX)2330gを備えて構成されている。
図142は図141のバスアンプにおけるPRDアンプの構成単位の一例を示す回路図であり、図143は図141のバスアンプにおけるマルチプレクサの一例を示す回路図である。
図142と前述した第8実施例の図124との比較から明らかなように、本第11実施例におけるPRDアンプ(第1および第2のPRDアンプ2310g,2320g)は、基本的には、第8実施例のPRDアンプと同様の構成とされているが、イネーブル信号enにより制御されるPMOS(Pチャネル型MOSトランジスタ)のソース電位が、高電位の電源電圧Vcc(Vii)ではなく、所定の電位Vpr’とされている。
また、図143と前述した第8実施例の図126との比較から明らかなように、本第11実施例におけるMUX2330gは、第8実施例のMUX2330dと同様の構成とされており、制御信号φ1’(/φ1’)およびφ2’(/φ2’)により、第1のPRDアンプ2310gの出力信号Dまたは第2のPRDアンプ2320gの出力信号Eのいずれか一方を選択して、バスアンプ(PRD方式相補型差動バスアンプ2300g)の出力信号Cとして出力するようになっている。ここで、制御信号φ1’(/φ1’)およびφ2’(/φ2’)は、制御信号φ1(/φ1)およびφ2(/φ2)と同様の(ややタイミングが異なる)信号となっている。
図144は図140の半導体記憶装置におけるセンスアンプの一例を示す回路図である。
本第11実施例の半導体記憶装置(メモリ)で用いられているセンスアンプ2100は、例えば、図74に示す従来の半導体記憶装置(DRAM)におけるセンスアンプ2003と同様のものであり、ラッチ型のセンスアンプ(PMOSおよびNMOSの相補のラッチ型センスアンプ部)2101、センスアンプで増幅されたデータをローカルデータバスに転送するためのNMOSで構成されたカラムトランスファーゲート2102、ビット線ショートおよびプリチャージ用のビット線ショートプリチャージ回路2103、および、シェアードセンスアンプ方式に対応するためのNMOSで構成されたビット線トランスファーゲート2104を備えて構成されている。ここで、参照符号BL,/BLはビット線を示し、また、CLはカラム選択線を示している。
なお、カラムトランスファーゲート2102は、図140におけるカラムデコーダ2012で選択され、その選択されたセンスアンプ2100のデータがデータバス(2201,2202:2200’)に出てくる。すなわち、PRD方式データバスアンプ2300gを除いては、基本的な構成は通常のDRAMと同様であり、ここで特に示さないが類似のDRAMに対して本方式を適用することができるのは明らかである。例えば、データバス(2200’)がローカルデータバス2201とグローバルデータバス2202に分かれていない場合もその一つである。
図145は図140の半導体記憶装置におけるバスおよびバスアンプの動作波形の一例を示す図であり、バースト長8(8ビット単位:CL0〜CL7)の読み出し動作を示している。
図145に示されるように、カラム選択信号CL0〜CL7を順次出力することにより、制御信号φ1,φ2(φ1’,φ2’)によりPRDアンプ2310gおよび2320gをインターリーブ駆動したMUX2330gの出力(データバスアンプの出力C)として読み出しデータが得られることになる。
本第11実施例では、データバスbus,/bus(2201,2202:2200’)上にデータが無い場合にはデータバスのプリチャージを行っているが、例えば、第1実施例のように、全くバスのプリチャージをしないように構成することももちろん可能であり、その場合には、ローカルデータバスショートプリチャージスイッチ(2009)やグローバルデータバスのショートプリチャージスイッチ等が不要になる。さらに、プリチャージを選択的に行うことも可能であり、すぐに次のリード(読み出し動作)が始まることがわかっている場合には、プリチャージをしないとか、バスのプリチャージコマンドを外部から供給してプリチャージを行うとか、或いは、プリチャージはライト(書き込み動作)の前だけに行ってライトアンプ2100の動作を円滑に行わせるといった選択的な動作の仕様も可能である。
さらに、本第11実施例におけるバスアンプ2300g(PRDアンプ2310g,2320g)はオートゼロ機能を有しているので、データ線に現れる電圧変化が微小な場合でもデータの検出および増幅が可能である。また、バスアンプ2300gは、バスとバスアンプ内のカレントミラーアンプ(2303g)の入力との間に容量を挿入しているため、アンプの入力をこのカレントミラーアンプのセンシティビティのもっとも大きいところに設定することができる。その結果、さらに微小な電位変化を増幅することが可能になる。なお、直接バスと入力がつながっていると、バスの電位が入力電圧となるため、必ずしもカレントミラーアンプのセンシティビティの大きいところで、アンプを使うことができない。なお、本第11実施例では、データバスアンプ(2300g)として第8実施例に対応したバスアンプを用いているが、上述した各実施例で示したバスとバスアンプ方式の全て(シングルエンドバスの場合も含む)に対して置き換えが可能である。
図146は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した第12実施例としての半導体記憶装置の一例を模式的に示すブロック図である。
図146に示す第12実施例の半導体記憶装置は、前述した図140に示す第11実施例の半導体記憶装置と同様の構成となっているが、カラムデコーダ(カラムデコーダ列)2120の構成が異なっている。前述した半導体記憶装置のカラムデコーダ2012は、通常のDRAMと同様に、カラムトランスファーゲートが重なって選択されないようになっている。
すなわち、或る一系統のバスにおいては、任意の1つのカラムトランスファーゲートがオンし、データがセンスアンプ2100からローカルデータバス2201およびグローバルデータバス2202に転送され、そして、データバスアンプ2300gで増幅される。その後、バスのプリチャージが行われるが、このときより前の時間には全てのカラムトランスファーゲートが閉じていなければならない。これは、バス(2202)のプリチャージは所定の時間を要するため、プリチャージ時間中にカラムトランスファーゲートを閉じていないとセンスアンプ2100のデータが壊れてしまうからである。
しかしながら、PRD方式を採用した場合には、このプリチャージ期間そのものが無くなるため、カラムトランスファーゲートの全てを閉じる時間を設ける必要が無い。また、PRD方式では、元々、前のデータと次のデータが重なり合うことが可能なため、前のサイクルのカラムトランスファーゲートが閉じてしまう前に次のトランスファーゲートを開けて、次のデータをデータバスに出してしまうことが可能であり、従って、1ビット前のカラムトランスファーゲートが必ず閉じているようにする必要はないのである。本第12実施例では、上記のことを積極的に採用してカラムデコーダ2120を構成したものである。
図147は図146の半導体記憶装置におけるカラムデコーダ系の構成例を示すブロック図であり、図148は図146の半導体記憶装置におけるバスおよびバスアンプの動作波形の一例を示す図である。
図147において、参照符号2120aおよび2120bは2つの系統(偶数および奇数用)のカラムデコーダ(A,B)を示し、2121aおよび2121bは2つの系統のカラム系プリデコーダ(A,B)を示し、そして、2122aおよび2122bは2つの系統のカラム選択線制御パルス生成回路(CLパルス生成回路A,B)を示している。なお、参照符号2123はクロック生成回路(成形回路)を示している。
図147に示されるように、本第12実施例におけるカラムデコーダ系(カラムデコーダ2120)は、2系等のクロック信号(CLK,/CLK)により駆動され、例えば、正論理のクロックCLKにより駆動される第1の複数のカラムデコーダA(2120a)と反転論理のクロック/CLKにより駆動される第2の複数のカラムデコーダB(2120b)とをカラム系プリデコーダ2121a,2121bによりインターリーブし、カラムトランスファーゲートを高速で且つ前後のカラムトランスファーゲートを或る程度オーバーラップさせるようにして駆動するように構成されている。ここで、カラム系プリデコーダ2121aには偶数段用のカラムアドレス信号およびクロックCLKが供給され、また、カラム系プリデコーダ2121bには奇数段用のカラムアドレス信号およびクロック/CLKが供給されている。また、図147図に示す例では、外部から相補のクロックCLK,/CLKを直接供給するようになっているが、例えば、破線で示すようなPLL等を使ったクロック生成回路2123を設けることにより、クロックCLK’からチップ内部でよりリジッドなクロックCLK,/CLKを生成することにより、より一層の高速動作が可能となる。
このように、前後のカラムトランスファーゲートの選択をオーバーラップさせると、これらのカラムトランスファーゲートを切り替える密度を高くすることができ、その結果、プリチャージ時間を除いただけの時間よりも一層高速なデータ転送が可能になる。また、カラムトランスファーゲートの選択をオーバーラップさせるように設計しない場合でも、PRD方式は、本質的にオーバーラップが問題にならない方式であるため、カラムトランスファー選択信号(CL)のタイミングマージンに余裕を持たせる設計が可能になる。
図148に示されるように、カラム選択信号CL0〜CL7を順次出力することにより、制御信号φ1,φ2(φ1’,φ2’)によりPRDアンプ2310gおよび2320gをインターリーブ駆動したMUX2330gの出力(データバスアンプの出力C)として読み出しデータが得られることになる。
ここで、本第12実施例では、カラムトランスファーゲートを開ける時間を長くすることにより、データバス(2201、2202)に出てくる電位を大きくし、動作マージンを増大させることができる。なお、カラムトランスファーゲートを開ける時間を上述した第11実施例と同じ程度にした場合にはさらなる高速化が可能になる。
図149は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した第13実施例としての半導体記憶装置の一例を模式的に示すブロック図である。
図149に示す第13実施例の半導体記憶装置は、前述した図146に示す第12実施例の半導体記憶装置とほぼ同様の構成となっているが、本第13実施例では、さらに、グローバルデータバス(2202)に対してPMOS(Pチャネル型MOSトランジスタ)のロード2413を設けるようになっている。すなわち、相補のバスbus,/bus(グローバルデータバス2202)に対して、高電位電源(Vcc)側につったPMOSをそれぞれ設けるようになっている。なお、各PMOSのゲートには、所定のロード制御信号V1Lを供給して、例えば、データバスを使っているときのみロードをオン状態とするようになっている。
本第13実施例は、例えば、カラムトランスファーゲートのNMOSの特性とセンスアンプ2100内の高レベル側への駆動能力が低い等の理由によって、何もしなければリード中にバスの電位が全体的に(相補のバスの両方とも)低レベル側へ下がってきてしまう場合を示すものである。すなわち、通常のバス方式では、1ビットごとにプリチャージを行うので、バスの電位が全体的に低レベル側へ下がってもまたすぐにプリチャージレベル(中間レベル)に戻されるが、PRD方式では、1ビットごとのバスプリチャージを行わないために、例えば、バスの電位が全体的に低レベル側へ下がってしまうことになるのである。もちろん、PRD方式においては、例えば、バスが低レベルに張り付いてしまった場合でもデータを再生することができるが、若干ではあるが動作マージンが狭くなる。
図150は図149の半導体記憶装置におけるロードの有無によるデータバスの波形の違いを説明するための図であり、図150(a)はロードを設けない場合のデータバス(2202)の波形図を示し、図150(b)はロード2413を設けた場合のデータバスの波形図を示している。
図150(a)と図150(b)との比較から明らかなように、ロードを設けない場合(図150(a))には、バス(グローバルデータバス2202)の電位が全体的に低レベル側へ下がってしまうのが、ロード2413を設けた場合(図150(b))には、バス(グローバルデータバス2202)の全体的なレベルは中間レベルを維持することになるのがわかる。
ここで、ロード2413の大きさは、例えば、センスアンプ2100(図144参照)内のラッチ(2101)で使われているPMOS(Pチャネル型MOSトランジスタ)とほぼ同程度の大きさであり、面積増はとても小さい。このように、ロード2413を設けることにより、バスアンプ2300g(2300)の動作マージンを大きくすることができる。
図151は図149の半導体記憶装置におけるロードの例を示す図である。すなわち、ロード2413は、図149に示すようなPMOS以外にも、図151(a)〜図151(i)に示すような様々な構成のものを適用することができる。
図151(a)は、ロード2413として相補のバスbus,/bus(グローバルデータバス2202)に対して、高電位電源(Vcc)側につったNMOSをそれぞれ設けたものであり、各NMOSのゲートには、所定のロード電圧(高レベルの電圧)V2Lが印加されている。図151(b)は、ロード2413としてバスbus,/busに対して、高電位電源に接続した抵抗をそれぞれ設けたものであり、図151(c)は図151(b)の各抵抗と高電位電源との間に対して、ゲートにイネーブル信号/enが供給されたPMOSを設けるようにしたものである。
図151(a)は、ロード2413として相補のバスbus,/bus(グローバルデータバス2202)に対して、高電位電源(Vcc)側につったNMOSをそれぞれ設けたものであり、各NMOSのゲートには、所定のロード制御信号(イネーブル信号)V2Lが供給され、データバスを使っているときのみロードをオン状態(接続状態)とするようになっている。図151(b)は、ロード2413としてバスbus,/busに対して、高電位電源に接続した抵抗をそれぞれ設けたものであり、図151(c)は図151(b)の各抵抗と高電位電源との間に対して、ゲートにイネーブル信号/enが供給されたPMOSを設けるようにしたものである。すなわち、ロード2413としてPMOS或いはNMOSを使うときには、データバスを使っているときのみロードをオン状態とすることができるが、抵抗を使った場合には、図151(c)のようにスイッチング制御するトランジスタ(図では、PMOS)を設ければよい。
図151(d)〜図151(f)は、何もしなければリード中にバスの電位が全体的に(相補のバスの両方とも)高レベル側へ上がってしまう場合を示すものである。図151(d)では、ロード2413として相補のバスbus,/busに対して、低電位電源(Vss)側につったNMOSをそれぞれ設けたものであり、各NMOSのゲートには、所定のロード制御信号(イネーブル信号)V3Lが供給され、データバスを使っているときのみロードをオン状態とするようになっている。図151(e)は、ロード2413としてバスbus,/busに対して、低電位電源に接続した抵抗をそれぞれ設けたものであり、図151(f)は図151(d)において、NMOSをPMOSに置き替えたものである。なお、各PMOSのゲートには、所定のロード制御信号(イネーブル信号)V4Lが供給されている。
図151(g)〜図151(i)は、高電位電源Vccおよび低電位電源Vss以外の他の電位(Vtt)につる場合を示すものであり、図151(g)は、ロード2413として相補のバスbus,/busに対して、所定の電位(Vtt)につったPMOSをそれぞれ設けたものであり、図151(h)は、NMOSをそれぞれ設けたものであり、そして、図151(i)は、PMOSおよびNMOSより成るトランスファーゲートをそれぞれ設けたものである。なお、V5L〜V7L(/V7L)は、それぞれ制御信号(イネーブル信号)を示しており、データバスを使っているときのみロードをオン状態(接続状態)とするようになっている。
図152〜図154は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した第13実施例の半導体記憶装置におけるロードの取り付け位置の例を示す図である。
すなわち、上述したようなロード(2413)は、図149に示すように、グローバルデータバス2202に1つだけ設ける以外に、グローバルデータバス2202中に分散して配置したり(図152参照)、ローカルデータバス2201側に設けたり(図153参照)、或いは、グローバルデータバス2202およびローカルデータバス2201の両方に設ける(図154参照)ように構成してもよい。
図155は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した第14実施例としての半導体記憶装置の一例を模式的に示すブロック図である。本第14実施例は、基本的には上述の第13実施例と同様であるが、ロード2413がバスに対してPMOSのクロスカップルになっている。
図155に示すように、ロード2413を相補のバスbus,/busに対するPMOSのクロスカップルとして構成した場合、該相補のバスのうち高レベル方向への移動量は、前述した第13実施例のような単純なロードを使用した場合より大きくなる。また、第13実施例(図149)の場合には、高レベルおよび低レベルに関わらず、同じ速度で高電位(高レベル)の方向へバスの電位が高くなるが、本第14実施例では、低電位(低レベル)の方向へ動くデータバスの高レベル方向への移動はより少なくなる。すなわち、本第14実施例では、データバス(2202)がある電位に張り付くのを防ぐだけでなく、センスアンプ(2100)によるバスのドライブを補う増幅作用もある。したがって、動作マージンをより一層増大させることができる。
図156は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した第13実施例および第14実施例によるロードを設けた場合のデータバスの波形を比較して示す図である。
図156(a)に示す第13実施例の波形と、図156(b)に示す本第14実施例の波形との比較から明らかなように、本第14実施例によれば、バスアンプ(PRD方式データバスアンプ2300)の動作マージンをより一層増大可能なことがわかる。
なお、図155に示す例において、ロード2413は、データバスを使用しないときにオフ状態とするために、イネーブル信号/enがゲートに供給されたもう1つのPMOSが設けられている。
図157は図155の半導体記憶装置に適用されるロードの変形例を示す図である。
図157に示されるように、本第14実施例において、例えば、データバスが高電位(高レベル)側にシフトしていってしまうような場合には、図155に示すロードのPMOSクロスカップルをNMOSクロスカップルとし、且つ、低電位(低レベル)側に引っ張るように構成すればよい。なお、図157の変形例では、イネーブル信号enがゲートに供給されたもう1つのNMOSを設けて、データバスを使用しないときにロード2413をオフ状態(遮断状態)とするようになっている。
以上の第14実施例においても、ロード2413の設ける位置としては、図152〜図154を参照して説明したように、グローバルデータバス2202に1つだけ或いは複数個を分散して設けたり、ローカルデータバス2201側に設けたり、若しくは、グローバルデータバス2202およびローカルデータバス2201の両方に設けるように構成することができる。
図158は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した第15実施例としての半導体記憶装置の一例を模式的に示すブロック図である。本第15実施例の半導体記憶装置は、基本的には、図149の第13実施例、或いは、図153の第14実施例と同様のものであるが、センスアンプ2100の構成が異なっている。すなわち、本第15実施例では、センスアンプ2100として、ビット線のレベルをそのまま増幅してリードデータバス(RDB,/RDB)に出力するダイレクトセンスアンプ(ゲート受けセンスアンプ)を適用したものである。
図159は図158の半導体記憶装置に適用されるセンスアンプの一例を示す回路図である。図159において、参照符号2103ビット線プリチャージ回路、2104はビット線トランスファーゲート、2105は読み出し制御回路(センスアンプ部)、2106は書き込み制御回路、そして、2107はラッチ回路を示している。また、参照符号BTEはビット線トランスファーイネーブル信号、RDB,/RDBはリードデータバス、WDB,/WDBはライトデータバス、WEはライトイネーブル信号、PLEおよびNLEはPMOSおよびNMOSラッチイネーブル信号、Vprはビット線プリチャージレベル、PREはビット線プリチャージ信号を示している。
図159に示すセンスアンプは、通常のラッチ型のもの(例えば、図144参照)とは異なり、読み出し制御回路2105によりリードデータをゲート受けで直接リードデータバスRDB,/RDBに出力するようになっている。この方式を採用することにより、データのアクセスタイムをより一層高速化することが可能になる。ここで、データのアクセスタイムを早くするという意味では、通常のゲート受けセンス方式と差はないが、通常のラッチ型センスアンプ(例えば、図144のラッチ型センスアンプ部)ではなく、ゲート受けセンス方式のセンスアンプ部(読み出し制御回路2105)をPRD方式のバスと併用することで、より一層アクセスタイムを向上させることができる。
また、PRD方式を採用したバスにおいて、ワーストケースとして、相補バスの電位が完全に高レベル“H”と低レベル“L”になっており、このとき、センスアンプのデータとバスのデータが逆である場合には、カラムトランスファーゲートの開いている時間が或る時間より長いとき、センスアンプのデータが反転してしまう(データが壊れる)危険がある。従って、通常のラッチ型センスアンプを使用した場合、カラムトランスファーゲートを開けていられる時間に制限が生じてしまうことになる。もっとも、設計を最適化すればラッチ型でも回避することは可能ではある。そこで、本第15実施例のように、ゲート受けセンス型のセンスアンプ(ダイレクトセンスアンプ)にするとデータバス(RDB,/RDB)の電位に対して、センスアンプのデータはあまり影響されないため、高速化ばかりでなく、動作および設計のマージンを飛躍的に増大させることが可能になる。なお、ダイレクトセンスアンプの例としては、例えば、G. Kitsukawa et al., "A 23-ns 1-Mb BiCMOS DRAM", IEEE Journal of Solid-State Circuits, Vol. 25, No. 5, October 1990 が参照される。
図160は図158の半導体記憶装置の動作の一例を説明するための波形図である。
図160に示す波形図は、バースト長8(8ビット単位:CL0〜CL7)の読み出し動作で、データ転送前後のバス(RDB,/RDB)のプリチャージレベル(Vpr)を高レベル“H”(Vcc)とした場合を示している。すなわち、バスのプリチャージレベルに関しては、レベルが高い方がNMOSのゲート受けのセンスアンプのバスに対する駆動力を大きくすることができる。なお、この場合には、ロードを小さめにすると好ましい。
図161は図158の半導体記憶装置の動作の他の例を説明するための波形図である。
図161に示す波形図は、バースト長16(16ビット単位:CL0〜CL15)の読み出し動作で、バスのプリチャージレベルを高レベル“H”と低レベル“L”との間で、高レベル側寄りにした場合を示している。この場合は、図160の場合よりもロードの能力を高めている。
なお、本第15実施例では、NMOSゲート受けセンスを採用しているが、PMOSゲート受けにしても構わないのはいうまでもない。
図162は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した第16実施例としての半導体記憶装置における要部構成を示す回路図である。
図162に示されるように、本第16実施例は、図159に示す第15実施例におけるNMOSゲート受けのセンスアンプ部(読み出し制御回路2105)を、CMOSのゲート受けのセンスアンプ部(読み出し制御回路2105’)として構成したものであり、他の構成は第15実施例と同様である。なお、PRD方式と組み合わせる場合には、回路の占有面積は大きくなるものの、読み出し制御回路2105’をCMOSで構成した方が動作的には好ましい。
図163は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した第17実施例としての半導体記憶装置の一例を模式的に示すブロック図である。
本第17実施例は、前述した図155の第14実施例と基本的には同様の構成となっているが、バスが第14実施例のように、ローカルデータバス2201およびグローバルデータバス2202に分かれておらず、各データバス2200に対して、それぞれライトアンプ2010およびバスアンプ(PRD方式データバスアンプ)2300を設けるようになっている。また、ロード2413およびデータバスプリチャージ回路2402も各データバス2002ごとに設けられている。
すなわち、各PRD方式データバスアンプ2300は、カラムのトランスファーゲートから転送されるデータを直接受け取って増幅するようになっている。なお、PRD方式データバスアンプ2300は、第14実施例と同様のものを使用するようになっている。
図164は図163の半導体記憶装置におけるバスおよびバスアンプの動作波形の一例を示す図であり、図165は図163の半導体記憶装置におけるバスおよびバスアンプの動作波形の他の例を示す図である。
図164に示されるように、本17実施例では、データバス2200がローカルおよびグローバルデータバス(2201,2202)というように長く形成されていないため、すなわち、データバス2200の長さが短くされているため、バスの振幅を大きくすることができ、動作マージンを増大することができる。このことは、図165に示されるように、カラムの選択サイクルを短くして、バスの振幅レベルを第14実施例と同程度にすれば、さらなる高速転送が可能になることに対応している。
ここで、上記の本第17実施例の効果は、ローカルデータバス(2202)およびグローバルデータバス(2202)というようにバスを分けていたのを1つのデータバス2200にまとめたからではなく、たとえば階層化されたデータバスでも全長を短くしてバスの時定数を小さくすれば同様の効果が得られるのは言うまでもない。
ところで、半導体記憶装置においては、PRD方式に限らずセンスアンプからローカルデータバス(ローカルデータバスがない場合もあるが)およびグローバルデータバスにデータが出て、このデータがメモリアレイ(メモリセルアレイ)の端にあるデータバスアンプに到達して増幅される。もし、このメモリアレイの単位が大きい場合には、センスアンプからバスアンプまでの距離に違いが出て来るため、カラムトランスファーゲートが開いてからバスアンプにデータが到達するまでの時間に、センスアンプまでの位置に応じて差が生じることになる。特に、データ転送レートに対してデータのデータバスへの到着時間の差が大きくなってくるような高速動作において、PRD方式の場合は、バスアンプをクロックで動かしているため誤動作が生じる危険がある。そのため、センスアンプの位置によるデータのスキューずれを解消することができれば、PRD方式による高速化がさらに高周波側まで可能になる。そこで、次の第18実施例は、スキューずれを補償するメモリアレイ(半導体記憶装置)の構成および動作に関するものである。
図166は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した第18実施例としての半導体記憶装置の要部構成を模式的に示すブロック図である。図166において、参照符号2002aはメインワードデコーダ、2002bはサブワードデコーダ、2100はセンスアンプ列、2201はローカルデータバス対、2202はグローバルデータバス対、そして、2300はデータバスアンプ(PRD方式データバスアンプ)を示している。
図166に示す半導体記憶装置は、32Mビットのメモリセルアレイの一部(半分の16Mビットのブロック:16Mブロック)を示すものであり、この16Mブロックは、ロウ方向(X方向:縦方向)において、大きく8つのブロック(2Mブロック)に分かれている。ここで、各2Mブロックは、メモリセルアレイ2001、サブワードデコーダ列2002b、センスアンプ列2100、ローカルデータバス2201、および、グローバルデータバス2202等を備え、各グローバルデータバス2202に対してバスアンプ2300が設けられている。ここで、各データバス(2201,2202)はPRD方式のバスであり、データバスアンプ2300もPRD方式のバスアンプである。
図167は図166の半導体記憶装置におけるバスアンプの一例を示す図、図168は図167のバスアンプにおけるPRDアンプの構成単位の一例を示す回路図、そして、図169は図167のバスアンプにおけるマルチプレクサの一例を示す回路図である。ここで、図167〜図169は前述した第11実施例の図141〜図143に対応するものである。
図170は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した第18実施例の半導体記憶装置におけるカラムデコーダ系の一構成例を示すブロック図である。
図170において、参照符号2120aおよび2120bは2つの系統(偶数および奇数アドレス用)のカラムデコーダ(A,B)を示し、2121aおよび2121bは2つの系統のカラム系プリデコーダ(A,B)を示し、そして、2122a’および2122b’は2つの系統のディレイ調整機能付きカラム選択線制御パルス生成回路(ディレイ調整機能付きCLパルス生成回路A,B)を示している。なお、参照符号2123はクロック生成回路(成形回路)を示している。
図170に示されるように、本第18実施例におけるカラムデコーダ系(カラムデコーダ2120)は、2系等のクロック信号(CLK,/CLK)により駆動され、例えば、正論理のクロックCLKにより駆動される第1の複数のカラムデコーダA(2120a)と反転論理のクロック/CLKにより駆動される第2の複数のカラムデコーダB(2120b)とをカラム系プリデコーダ2121a,2121bによりインターリーブし、カラムトランスファーゲートを高速で且つ前後のカラムトランスファーゲートを或る程度オーバーラップさせるようにして駆動するように構成されている。ここで、カラム系プリデコーダ2121aには偶数段用のカラムアドレス信号およびクロックCLKが供給され、また、カラム系プリデコーダ2121bには奇数段用のカラムアドレス信号およびクロック/CLKが供給されている。
すなわち、カラムデコーダ2120a,2120bには、カラムアドレスデコード信号およびカラムパルス信号が供給され、アドレスが確定した後にカラムパルス(カラム選択線制御パルスCL)が供給され、このカラムパルスに同期してカラムトランスファーゲートが動作する。ディレイ調整機能付きCLパルス生成回路2122a’,2122b’には、クロック(CLK)とRAS系のロウアドレス(プリデコードアドレス信号)が入力する。すなわち、このプリデコードアドレス信号は、ロウアドレスのうちで8つのブロックのどれかを特定するためのアドレス(3ビット分)の信号である。なお、この例では、3ビット分のプリデコード信号が入力されているが、それの限定されるものではなく、要するにRAS系のブロックを選択できるアドレス信号が入ればよいのである。
なお、図170図に示す例では、外部から相補のクロックCLK,/CLKを直接供給するようになっているが、例えば、破線で示すようなPLL等を使ったクロック生成回路2123を設けることにより、クロックCLK’からチップ内部でよりリジッドなクロックCLK,/CLKを生成することにより、より一層の高速動作が可能となる。
図171は図170におけるCLパルス発生回路(ディレイ調整機能付きCLパルス生成回路2122a’,2122b’)の一例を示す図である。
図171に示されるように、本第18実施例におけるディレイ調整機能付きCLパルス生成回路2122a’(2122b’)は、各NMOSのソース側に設けた容量の大きさをRASプリデコードアドレスに応じて変化させ(C0>C1>…>C7)、データバスアンプ(2300)からの距離が遠くなるにつれて立ち上がりが早くなるようなカラムパルス(カラム選択線制御パルスCL)を生成するように構成されている。すなわち、CLパルス生成回路2122a’は、カラムトランスファーゲートがデータバスアンプから遠いほど早く立ち上がるように、換言すると、データバスアンプ2300から遠いアレイ2001ほど、センスアンプ2100からデータバス2200(2201,2202)上にデータが転送されるタイミングが早くなるように、カラムパルスCLを生成するようになっている。
図172は図171の66のCLパルス発生回路(ディレイ調整機能付きCLパルス生成回路)の動作を説明するための図である。
データ(読み出しデータ)は、ローカルデータバス2201およびグローバルデータバス2202を通って、データバスアンプ2300(2300g)に到達するが、これに要する時間はデータバスアンプ2300から遠いアレイ(メモリセルアレイ2001)から出たデータほど大きくなる。
そこで、図172に示されるように、CLパルス生成回路2122a’(2122b’)により、データバスアンプ2300から遠いほど早く立ち上がるようなカラムパルスCLを生成することによって、どこのアレイから出たデータもデータバスアンプ2300に同じ時間に到達するように構成する。すなわち、ディレイ調整機能付きCLパルス生成回路2122a’,2122b’でのパルスの立ち上がり時間を、該データバスでの遅延+カラムトランスファーゲートを駆動する信号線の遅延を相殺するように制御することで、データバスアンプ2300でのデータの到着時間をいつも同じタイミングにすることができ、データ確定をいつも一定にすることが可能となる。なお、PRD方式のバスアンプはクロック動作するので、データがいつも同じタイミングで来るようにすることにより、高速動作でのアンプの誤動作を防ぐことができる。すなわち、この方式により、PRD方式のメモリバスのより高いレベルでの高速動作が可能となる。
もちろん、この例では32Mブロックをロウ方向に8ブロックに分けているが、このブロック数に限るものではなく、またメモリ容量もこれに限るものではない。さらに、ロウブロックのデータバスアンプからの距離によりカラムパルス信号(CL)の立ち上がりを前倒しする、或いは、データバスアンプに近いブロックほどカラムパルス信号の立ち上がりを遅くする方式であれば構わない。また、上記の例ではローカルデータバス上でスキューずれが生じないよう長さのローカルデータバス長にしている。
図173は図166の半導体記憶装置におけるバスアンプの他の例を示す図、図174は図173のバスアンプにおけるPRDアンプの構成単位の一例を示す回路図、そして、図175は図173のバスアンプにおけるラッチの一例を示す回路図である。ここで、図173〜図175は前述した第9実施例の図129〜図131に対応するものである。
このように、前述した第9実施例を適用した場合でも、上述した図167〜図169に示すバスアンプよりは転送レートは低下するものの、従来の半導体記憶装置よりは高速なデータ転送が可能である。なお、図173〜図175に示すバスアンプ(PRD方式データバスアンプ2300e)を適用した場合には、図167〜図169に示すバスアンプ(2300g)よりも回路の占有面積を低減することができるというメリットがある。
図176は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した第18実施例の半導体記憶装置におけるカラムデコーダ系の他の構成例を示すブロック図である。
図176と図170との比較から明らかなように、図176に示すカラムデコーダ系の構成例は、インターリーブをしないようになっており、クロック(正論理のクロックCLK)によりカラムデコーダ2120を駆動するようになっている。なお、図170の説明においても述べたように、図176図の破線で示すようなPLL等を使ったクロック生成回路2123を設け、クロックCLK’からチップ内部でよりリジッドなクロックCLKを生成することもできる。
図177は本発明の第5の形態に係る信号伝送システムを適用した第19実施例としての半導体記憶装置の要部構成を模式的に示すブロック図であり、図178は図177の半導体記憶装置に適用されるCLパルス発生回路の一例を示す図である。ここで、図177および図178は、前述した第18実施例を示す図166および図171に対応するものである。
すなわち、図177に示されるように、本第19実施例では、メモリセルアレイ(アレイ)の16Mブロックをロウ方向(X方向:縦方向)において、大きく4つのブロック(4Mブロック)に分けたものであり、他の構成は第18実施例と同様である。
ただし、図178に示されるように、CLパルス発生回路(ディレイ調整機能付きCLパルス生成回路2122a’,2122b’)におけるディレイ値の制御は、NMOSのソースに設けた容量の大きさを変化させるのではなく、縦列接続した遅延段(ナンドゲートおよびインバータによる遅延ユニット)の数により、データバスアンプ(2300)からの距離が遠くなるにつれて立ち上がりが早くなるようなカラムパルス(カラム選択線制御パルスCL)を生成するように構成されている。なお、この遅延段の構成は、様々に変化させることができるのはいうまでもない。
上述したように、本発明の第5の形態の各実施例においては、半導体記憶装置(DRAM)に適用した場合を主に説明したが、本発明の信号伝送システムは、その適用がDRAMに限定されるものではないのはもちろんである。
以上において、本発明に係る信号伝送システムは、複数の半導体チップ(LSI)間を繋ぐバスシステムに限定されず、様々な回路ブロック間の信号線に適用することができる。