しかし、プリンタエンジンの直前でレジストレーション動作を行う前記従来の画像形成装置では、積層収納されている用紙から分離したときにおける用紙の先端位置のバラツキ、用紙の搬送速度の経時や環境による変動、レジストレーション動作を行う為の停止時間などが要因となって、連続的にプリンタエンジンに用紙を供給して行う複数枚の画像形成は、一般に数10mmの用紙間隔をもって行わなければならなかった。
前記特開平5−289453号公報に開示の技術は、このような用紙間隔を短縮することにより、電子写真プロセスの速度をアップすることなく、連続的な画像形成の生産性を向上しようとする技術であるが、増速搬送によって用紙間隔を短縮しようとするものであるため、増速する位置までの搬送経路が長い場合、この経路上に存在する用紙すべてを同様の速度に増速搬送する必要があり、装置の変速制御が大掛かりになって構成が煩雑になったり、騒音が増大したりするなどの不具合がある。
また、特開平8−259045号公報、特開平8−20106号公報および特開平5−97305号公報に開示の技術は、プリンタエンジンで用紙の片面の画像形成を行った後、その用紙を反転して再びプリンタエンジンに戻すためにスイッチバックするためのものであって、給紙カセット、給紙トレイなどの積層収納部に積層して収納されている用紙を、直接プリンタエンジンに搬送するに際して、用紙をスイッチバックしてプリンタエンジンに供給する従来技術は存在しない。
さらに、特開平8−259045号公報に開示の技術では、用紙反転装置の前後で搬送速度が同一となるように3つのコロを連接して進入と送出動作を行っているので、用紙間隔を大幅に短縮することは出来ないという不具合がある。また、レジストレーション動作が行われる位置が画像形成手段から大幅に離れており、この経路を搬送している期間に発生する搬送誤差により画像位置が大きくずれる可能性があり、単にスキュー補正機能に効果は限定されるという不具合もある。
特開平8−20106号公報および特開平5−97305号公報に開示の技術では、前記同様に3つのコロを連接して使用しているので、用紙間隔の短縮効果は得られないという不具合がある。
この発明の目的は、画像形成部に連続搬送する用紙の間隔を縮めて、画像形成の生産性を向上させることができる画像形成装置を提供することである。
この発明の別の目的は、用紙の搬送速度の安定した変換を行なうことができる画像形成装置を提供することである。
この発明の別の目的は、画像形成部に連続搬送する用紙の間隔をさらに縮めて、画像形成の生産性をさらに向上させることができる画像形成装置を提供することである。
この発明の別の目的は、用紙の安定した搬送を行なうことができる画像形成装置を提供することである。
この発明の別の目的は、画像形成装置の製造コストを低減することができるようにすることである。
この発明の別の目的は、用紙なしに電子写真方式の画像形成動作を行うことで生じる画像形成装置の磨耗劣化を低減することである。
この発明の別の目的は、前記の場合に、部品点数を少なくして、製造コストを低減することができる。
この発明の別の目的は、一時収納部で用紙をスイッチバックする際に発生する用紙間隔のばらつきを、速度制御手段による用紙の搬送速度の制御により補正して、用紙間隔をさらに縮小することである。
この発明の別の目的は、前記の場合に従来のレジストローラに相当する給紙用のローラを設け、これを連続的に駆動してレジストレーション動作を行わないようにしても、用紙間隔を精度よく保つことができるようにすることである。
この発明の別の目的は、前記の場合に、複雑な速度演算や変速実行時間を演算を不要として、簡易な制御とすることである。
この発明の別の目的は、デジタル光書込装置を備えたデジタル電子写真方式の画像形成装置においても、画像形成の生産性を向上させることである。
請求項1に記載の発明は、用紙上に画像形成を行う画像形成エンジンと、用紙が積層されて収納される積層収納部と、この積層されている用紙を1枚ずつ分離して前記画像形成エンジンに搬送する給紙装置と、前記搬送を行う搬送経路上に設けられ前記積層収納部から取り出された前記用紙が一時的に収納される一時収納部と、この一時収納部に前記積層収納部から搬送された前記用紙を先端から収納し、また、前記一時収納部に収納されている前記用紙の後端を先端とするように前記用紙をスイッチバックして前記画像形成エンジンに向けて送り出す用紙反転装置と、前記用紙反転装置によって前記搬送経路に送り出した前記用紙の先端を検出するレジストセンサと、前記レジストセンサによって検出した前記用紙の前記画像形成エンジンに対する搬送タイミングを前記画像形成の動作に同期させるレジストローラとを備え、前記給紙装置は、前記用紙反転装置によって前記搬送経路に送り出される用紙の前記レジストローラまでの搬送速度を、前記レジストローラによる該用紙の前記画像形成エンジンに対する搬送速度より大きくする画像形成装置である。
したがって、一時収納部に一時的に用紙を収納することができるので、積載収納されている状態から分離したときの用紙の先端位置のバラツキを吸収することができ、用紙の搬送速度を過渡的に加速することなく、画像形成エンジンに連続搬送する用紙の間隔を縮めて、画像形成の生産性を向上させることができる。また、用紙反転装置によって搬送経路に送り出される用紙のレジストローラまでの搬送速度をレジストローラによる用紙の画像形成エンジンに対する搬送速度より大きくすることで、搬送する用紙の間隔を小さくすることが可能になり、搬送する用紙間隔の拡大による画像形成エンジンの磨耗劣化の低減することができ、用紙搬送品質および画像形成の生産性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記給紙装置は、前記用紙反転装置によって前記搬送経路に送り出される用紙の前記レジストローラまでの搬送速度の大きさを変更する用紙間距離調節手段を備える。
したがって、画像形成エンジンへ搬送する用紙の搬送速度の大きさを変更することで、搬送する用紙の間隔を調節することが可能になり、搬送する用紙間隔の拡大による画像形成エンジンの磨耗劣化の低減することができ、用紙搬送品質および画像形成の生産性を向上させることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、前記給紙装置は、前記用紙反転装置によって前記搬送経路に送り出される用紙の前記レジストローラまでの搬送速度を前記レジストローラによる該用紙の前記画像形成エンジンに対する搬送速度より大きくする時間を変更する用紙間距離調節手段を備える。
したがって、用紙の搬送速度を画像形成エンジンで搬送する際の用紙の搬送速度より大きくする時間を変更することで、搬送する用紙の間隔を調節することが可能になり、搬送する用紙間隔の拡大による画像形成エンジンの磨耗劣化の低減することができ、用紙搬送品質および画像形成の生産性を向上させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記用紙反転装置によって前記搬送経路に送り出された用紙を検出する用紙検出センサと、前記用紙反転装置によって前記搬送経路に送り出される用紙の搬送を開始してから前記用紙検出センサによって該用紙を検出するまでの時間を計時する計時手段とを備え、前記用紙間距離調節手段は、前記計時手段によって計時した時間に基づいて前記用紙反転装置によって前記搬送経路に送り出される用紙の搬送速度の大きさを大きくする。
したがって、用紙反転装置で搬送経路に送り出した用紙の搬送を開始してから用紙検出センサによって用紙を検出するまでの時間に基づいて、用紙反転装置で搬送経路に送り出した用紙の搬送速度を大きくするので、搬送する用紙の間隔を小さくすることが可能になり、搬送する用紙間隔の拡大による画像形成エンジンの磨耗劣化を低減して、用紙搬送品質および画像形成の生産性を向上させることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項2記載の画像形成装置において、前記用紙反転装置によって前記搬送経路に送り出された用紙を検出する用紙検出センサと、前記用紙検出センサによって先行する用紙の後端を検出してから後行する用紙の先端を検出するまでの時間を計時する計時手段とを設け、前記用紙間距離調節手段は、前記計時手段によって計時した時間に基づいて先行する用紙の後端と後行する用紙の先端との搬送間隔が略一定に維持されるように、前記用紙反転装置によって前記搬送経路に送り出される後行する用紙の搬送速度を大きくする。
したがって、先行する用紙の後端を検出してから後行する用紙の先端を検出するまでの時間に基づいて、先行する用紙の後端と後行する用紙の先端との搬送間隔を略一定に維持するように後行する用紙の搬送速度を大きくするので、例えば、用紙の搬送方向の長さの誤差が大きい用紙を搬送する場合にも、搬送する用紙の間隔を小さくすることが可能になり、搬送する用紙間隔の拡大による画像形成エンジンの磨耗劣化の低減することができ、用紙搬送品質および画像形成の生産性を向上させることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかの一に記載の画像形成装置において、前記用紙反転装置によって前記搬送経路に送り出された用紙を検出する用紙検出センサと、前記用紙反転装置によって前記搬送経路に送り出される用紙の搬送を開始してから前記用紙検出センサによって該用紙を検出するまでの時間を計時する計時手段とを設け、前記給紙装置は、前記計時手段によって計時した時間に基づいて用紙の搬送を前記搬送経路中の所定の位置で一時停止する。
したがって、用紙反転装置で搬送経路に送り出した用紙の搬送を開始してから用紙検出センサによって用紙を検出するまでの時間に基づいて、用紙の搬送を搬送経路中の所定の位置で一時停止するので、部品点数を増加せずに、また、給紙装置による一時収納部への用紙搬送を妨げることなく、搬送する用紙の間隔を小さくすることが可能になり、搬送する用紙間隔の拡大による画像形成エンジンの磨耗劣化の低減することができ、用紙搬送品質および画像形成の生産性を向上させることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成装置において、前記所定の位置は、前記用紙反転装置によって前記搬送経路に送り出した前記用紙が前記レジストローラに突き当たる位置である。
したがって、用紙反転装置によって搬送経路に送り出した用紙がレジストローラに突き当たった状態で用紙の搬送を一時停止するので、用紙搬送を再開した場合に、画像形成エンジンへ迅速かつ高精度に用紙を搬送することが可能になり、用紙搬送品質および画像形成の生産性を向上させることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記レジストセンサは、前記用紙検出センサと兼用である。
したがって、部品点数を少なくして、製造コストを低減することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記搬送経路の前記一時収納部から前記画像形成エンジンまでの間で前記レジストセンサより前記一時収納部側で用紙を検出する用紙検出センサと、前記用紙検出センサによって用紙を検出するタイミングに応じて前記用紙反転装置による前記用紙の搬送速度を制御する速度制御手段と、を備えている。
したがって、一時収納部で用紙をスイッチバックする際に発生する用紙間隔のばらつきを、速度制御手段による用紙の搬送速度の制御により補正することが可能となり、用紙間隔をさらに縮小することが可能となる。
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記搬送経路の前記一時収納部から前記画像形成エンジンまでの間で前記レジストセンサより前記一時収納部側で用紙を検出する用紙検出センサと、前記用紙検出センサにより前記用紙の先端の検出後における前記用紙反転装置による前記用紙の搬送を停止する時間の大きさを制御する停止時間制御手段と、を備えている。
したがって、用紙の搬送速度の制御を用紙の搬送を停止する時間の大きさにより行うので、複雑な速度演算や変速実行時間を演算する必要がなくなり、簡易な制御で用紙間隔をさらに縮小することが可能となる。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれかの一に記載の画像形成装置において、前記画像形成エンジンは、前記画像形成を電子写真方式で行うことを特徴とする。
したがって、電子写真方式で画像形成を行う画像形成装置について、請求項1〜10のいずれかの一に記載の発明と同様の作用、効果を奏する。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の画像形成装置において、前記画像形成エンジンは、前記画像形成を感光体に対する静電潜像の光書込みにデジタル光書込装置を用いるデジタル電子写真方式で行なうことを特徴とする。
したがって、デジタル電子写真方式で画像形成を行う画像形成装置について、請求項1〜10のいずれかの一に記載の発明と同様の作用、効果を奏することができる。
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれかの一に記載の画像形成装置と、画像データの入力を受付ける入力端子と、前記画像形成装置を制御して前記画像データに基づく画像の形成を用紙上に行わせる制御部と、を備えているプリンタである。
したがって、プリンタについて請求項1〜12のいずれかの一に記載の発明と同様の作用、効果を奏することができる。
請求項14に記載の発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置と、請求項1〜12のいずれかの一に記載の画像形成装置と、前記画像読取装置および前記画像形成装置を制御して前記画像読取装置で読み取った原稿の画像データに基づく画像形成を前記画像形成装置で用紙上に行わせる制御部と、を備えている複写機である。
したがって、複写機について請求項1〜12のいずれかの一に記載の発明と同様の作用、効果を奏することができる。
請求項15に記載の発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置と、請求項1〜12のいずれかの一に記載の画像形成装置と、ネットワークを介して外部との間で画像データの送受信を行う送受信装置と、前記画像読取装置、前記画像形成装置および送受信装置を制御して、前記画像読取装置で読み取った原稿の画像データを前記送受信装置でネットワークを介して外部に送信し、前記送受信装置でネットワークを介して外部から受信した画像データ基づく画像形成を前記画像形成装置で用紙上に行わせる制御部と、を備えているファクシミリ装置である。
したがって、ファクシミリ装置について請求項1〜12のいずれかの一に記載の発明と同様の作用、効果を奏することができる。
請求項16に記載の発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置と、請求項1〜12のいずれかの一に記載の画像形成装置と、ネットワークを介して外部との間で画像データの送受信を行う送受信装置と、画像データの入力を受付ける入力端子と、画像データを出力する出力端子と、前記画像読取装置、前記画像形成装置および送受信装置を制御して、選択的に、前記入力端子で受付けた前記画像データに基づく画像の形成を前記画像形成装置で行い、前記画像読取装置で読み取った原稿の画像データを前記出力端子を介して外部に出力し、前記画像読取装置で読み取った原稿の画像データを前記送受信装置でネットワークを介して外部に送信し、または、前記送受信装置でネットワークを介して外部から受信した画像データ基づく画像形成を前記画像形成装置で用紙上に行なう制御部と、を備えている複合機である。
したがって、複合機について請求項1〜12のいずれかの一に記載の発明と同様の作用、効果を奏することができる。
本発明は、一時収納部に一時的に用紙を収納することができるので、積載収納されている状態から分離したときの用紙の先端位置のバラツキを吸収することができ、用紙の搬送速度を過渡的に加速することなく、画像形成エンジンに連続搬送する用紙の間隔を縮めて、画像形成の生産性を向上させることができる。また、搬送する用紙の間隔を小さくすることが可能になり、搬送する用紙間隔の拡大による画像形成エンジンの磨耗劣化の低減することができ、用紙搬送品質および画像形成の生産性を向上させることができる。
特に、請求項5に記載の発明は、例えば、用紙の搬送方向の長さの誤差が大きい用紙を搬送する場合にも、搬送する用紙の間隔を小さくすることが可能になり、搬送する用紙間隔の拡大による画像形成エンジンの磨耗劣化の低減することができ、用紙搬送品質および画像形成の生産性を向上させることができる。
また、請求項6に記載の発明は、部品点数を増加せずに、また、給紙装置による一時収納部への用紙搬送を妨げることなく、搬送する用紙の間隔を小さくすることが可能になり、搬送する用紙間隔の拡大による画像形成エンジンの磨耗劣化の低減することができ、用紙搬送品質および画像形成の生産性を向上させることができる。
また、請求項7に記載の発明は、用紙搬送を再開した場合に、画像形成エンジンへ迅速かつ高精度に用紙を搬送することが可能になり、用紙搬送品質および画像形成の生産性を向上させることができる。
また、請求項8に記載の発明は、部品点数を少なくして、製造コストを低減することができる。
また、請求項9に記載の発明は、一時収納部で用紙をスイッチバックする際に発生する用紙間隔のばらつきを、速度制御手段による用紙の搬送速度の制御により補正することが可能となり、用紙間隔をさらに縮小することが可能となる。
また、請求項10に記載の発明は、複雑な速度演算や変速実行時間を演算する必要がなくなり、簡易な制御で用紙間隔をさらに縮小することが可能となる。
[発明の実施の形態1]この発明の一実施の形態を、発明の実施の形態1として説明する。
図1は、この発明の実施の形態1である画像形成装置の概略構成を示す概念図である。図1に示すように、この画像形成装置1は、電子写真方式で画像形成を行うプリンタエンジン2と、プリンタエンジン2に供給するための用紙3を積層して収納する積層収納部である用紙カセット4と、この積層された用紙3を1枚ずつ分離してプリンタエンジン2に搬送する給紙装置5とを備えている。
プリンタエンジン2は、感光体6と、感光体6を帯電する帯電器7と、感光体6上に静電潜像を光書込みするデジタル光書込装置8と、感光体6上の静電潜像をトナーで現像する現像器9と、現像後のトナー画像を用紙3上に転写する転写器10と、感光体6上の残存トナーを除去するクリーニング装置11とを備えていて、デジタル電子写真プロセスで用紙3上に画像の形成を行うものである。定着装置12は用紙3上に転写されたトナー画像を定着し、この定着後の用紙3は排紙ローラ13によりプリンタエンジン2外に排紙される。
給紙装置5は、用紙カセット4内で積層された用紙3を取り出す給紙ローラ14と、この取り出した用紙3を一枚ずつ分離する分離ローラ15と、この取り出した用紙3をプリンタエンジン2まで搬送するための搬送経路16とを備えている。この搬送経路16の中間位置からは、最奥部が行き止まりになっていて、用紙3を一時的に収納する一時収納部となるスイッチバック経路17が分岐している。搬送経路16は、スイッチバック経路17により、搬送経路18と19に2分されている。搬送経路18は、用紙カセット4とスイッチバック経路17の出入口とを結ぶ経路で、モータ26(図12参照)で駆動されて用紙3を搬送する搬送ローラ20が設けられている。搬送経路19は、スイッチバック経路17の出入口とプリンタエンジン2とを結ぶ経路で、モータ28(図12参照)で駆動されて用紙3を搬送する搬送ローラ21が設けられている。用紙反転装置である搬送ローラ22はモータ30(図12参照)により駆動されて正逆回転可能なローラ対であり、スイッチバック経路17に設けられている。搬送ローラ22は用紙3をニップして正逆回転することにより、搬送経路18を用紙カセット4から搬送されてくる用紙3を先端からスイッチバック経路17内に収納し、また、スイッチバック経路17内に収納されている用紙3を、この用紙3の後端を先端とするようにスイッチバックして、プリンタエンジン2に向けて搬送経路19に送り出す、用紙反転装置として機能する。スイッチバック経路17には、用紙を検出する用紙検出センサ23が設けられている。
スイッチバック経路17への用紙3の進入は、分離ローラ15と搬送ローラ20が回転することで行い、用紙検出センサ23による用紙3の端部の検出タイミングから、スイッチバック経路17への進入完了のタイミングをマイコン25(図12参照)で算出することにより進入動作を完了する。
スイッチバック経路17からの用紙3の送出は、搬送ローラ22,21を回転することで行い、その後、搬送経路19のプリンタエンジン2近傍に設けられたレジストローラ24によるレジストレーション動作時には、搬送ローラ21は用紙3の搬送の一時停止など、レジストレーション動作に対する協動を行なった後、用紙検出センサ23の検出タイミングから用紙3の送出完了のタイミングをマイコン25(図12参照)で算出することにより送出動作を完了する。
また、搬送経路16の分岐部分には図示しないガイド部材により常にプリンタエンジン2側に用紙3の先端がガイドされる。これは、例えば可撓性のガイド部材によって用紙3の先端を上方にガイドしたり、ソレノイドなど駆動手段を備えたゲートによって強制的に搬送経路18から搬送経路19に切換えるようにしてもよい。
従来の技術では、スイッチバック経路17などを設けておらず、レジストレーション動作によって待機している用紙3の後端は搬送ローラ20,21、分離ローラ15などにより挟持された状態で停止していたので、次の用紙3の分離・給送を開始して用紙3の先端位置のバラツキを事前調整するなどの動作を行うことが出来なかった。また搬送ローラ20,21、分離ローラ15が用紙を挟持した状態で停止・給送開始可能に設計する必要があった。また用紙3の停止時や給送開始時にはレジストローラ24の搬送負荷変動が発生する場合があり、これが搬送速度の変化を招かぬようにレジストローラ24の駆動力を十分強く設計したり、用紙3の挟持力を高める必要があった。またこのような負荷変動はショックジッタと呼ばれる横線状の画像不良や搬送速度変動前後の濃度変化など画像不良を招き大きな問題となる場合も有った。
本発明の実施の形態の画像形成装置1では、スイッチバック経路17を、用紙3を一時貯蔵する部位として活用することにより、レジストレーション動作などにより画像形成動作の開始を待機している用紙3の後端が搬送ローラ20や分離ローラ15にとどまることがないので、次の用紙3の給送開始、バラツキの補正などの動作を行うことが可能となる。したがって、用紙3の搬送速度を従来のように過渡的に増速することなく、プリンタエンジン2に連続搬送する用紙3,3の間隔を縮めて、画像形成の生産性を向上させることができる。
また、分離ローラ15での分離負荷発生などが回避できるので、画像形成される用紙3の搬送速度の安定化が可能となり、搬送速度変動に伴う画像劣化を回避できる。
さらに、レジストローラ24などの搬送力を不用意に増大させる必要がないのでレジストローラ24の摩耗による装置寿命の低下を防止することも出来る。
ところで、分離ローラ15からプリンタエンジン2まで出来るだけ速やかに用紙3を搬送することにより画像形成完了までの時間を短くすることが望まれるが、従来技術のように用紙3の後端が分離ローラ15に挟持されていると、プリンタエンジン2で画像形成を行う際の用紙搬送速度以上に高速化する為にはすべての搬送経路が変速制御されなくてはならなかった。
一般に電子写真方式の画像形成装置の駆動源には安価で回転精度に優れたDCサーボモータやステッピングモータが活用されているが、DCサーボモータは変速制御時に用紙移動量のバラツキが発生し好ましくなく、ステッピングモータでは、万一、搬送負荷変動に対応できないと脱調して搬送が停止してしまう不具合があった。
本発明の実施の形態では、搬送ローラ22のみを正逆変速可能な制御が行えるように構成し、図2に示すように、分離ローラ15と搬送ローラ20は常に搬送速度Va、レジストローラ24、搬送ローラ21は常に搬送速度Vb(VaとVbは等しくない)で回転/停止制御を行うように構成したので、これらの変速制御が必要なく、給紙速度をプリンタエンジンで画像形成を行う際の用紙搬送速度よりも大きくすることが可能となる。搬送ローラ22だけは変速制御が必要となるが、スイッチバック経路17への進入時には搬送ローラ21の駆動援用があり、スイッチバック経路17からの送出時は殆ど負荷がないので、ステッピングモータを活用しても脱調する危険性は回避できる。このように、本発明の実施の形態では、用紙3の搬送速度の安定した変換を行なうことが可能となる。
図3、図4に用紙3の搬送の様子、図5に用紙3の搬送のダイヤグラムを示す。本ダイヤグラムでは用紙3の進行方向先端を用紙3の先端として記述しているので、スイッチバック経路17での用紙3のスイッチバックの前後では、用紙3の進行方向変換に伴い用紙3の全長だけ先端位置が見かけ上移動して表現されている。また、スイッチバック経路17での用紙3の停止位置(以下、反転停止位置という)の前後はスイッチバック経路17の長さだけ共用区間があるので、同一の用紙検出センサ23、搬送ローラ22が2回出現するように表現されている。
従来技術では、レジストレーション動作によって給紙バラツキの解消を行っていたが、本発明の実施の形態では、用紙3が反転停止位置に停止している時間で給紙バラツキの解消が行われる。反転停止位置以降では、搬送バラツキは小さくなるので、レジストレーション動作時間は非常に短時間で完了できる。
分離ローラ15における用紙3,3の間隔は、図5に示す用紙a(以下、用紙a,用紙b,用紙cは、給紙装置5によりプリンタエンジン2に連続的に搬送される用紙3のうち、先頭のものを用紙a、用紙aの後方のものを用紙b、さらにその後方のものを用紙cという)がそのままスイッチバックせずに搬送されると仮想した場合、非常に広い間隔となる。本発明の実施の形態では、搬送速度が変換されることにより連続的な用紙3の搬送時のプリンタエンジン2での用紙3,3の間隔は、必然的に非常に狭い間隔に変換することが可能となる。したがって、画像形成の生産性をさらに向上させることができる。
図5の例は、用紙aと用紙bが同時に搬送ローラ22に搬送されることがないように用紙3の間隔を広めに設定したものである。このような搬送を行う場合にはスイッチバック経路17に搬送ローラ22や用紙検出センサ23を配置するときに用紙3のすれ違いを考慮する必要がなく、図6以下を参照して後述するような搬送ローラ22を待避させる手段なども不要となり、簡単な構成で製造コストを低減できる。
図6〜図10は、用紙a、用紙b、用紙cをこの順でプリンタエンジン2に搬送するときの状態を図番の順に経時的に示している。ローラ対からなる搬送ローラ22は、圧接・開放装置であるソレノイド32(図12参照)の駆動により、互いに圧接して用紙3をニップすることも、その圧接を開放して開くことも自在である。そのため、図8に示すように、スイッチバック経路17から搬送経路19に送り出されつつある用紙aと、搬送経路18からスイッチバック経路17に収納されつつある用紙bとが、スイッチバック経路17で同時に存在することが可能である。これにより、用紙a,b間の間隔をさらに短く制御することが可能となり、画像生成の生産性がさらに向上する。
一般に用紙3,3が重なった状態で同一方向に搬送される場合、重なっている用紙3,3の端部位置を検出することは非常に困難となるが、本発明の実施の形態においては、用紙aと用紙bのすれ違いが発生する搬送ローラ22においても、搬送方向が互いに異なる方向となっているので、単一の用紙検出センサ23のみを使って用紙aと用紙bのそれぞれの用紙端部位置が検出可能であり、この点でも好適である。
図12は、給紙装置5の制御系の電気的な接続を示すブロック図である。この制御系は、給紙装置5の全体を集中的に制御するマイコン25に、搬送ローラ20を回転するモータ26を駆動するモータドライバ27と、搬送ローラ21を回転するモータ28を駆動するモータドライバ29と、搬送ローラ22を回転するモータ30を駆動するモータドライバ31と、搬送ローラ22を圧接し、また、開放するソレノイド32を駆動するソレノイドドライバ33と、用紙検出センサ23とが接続されている。
このように、搬送経路18の搬送ローラ20と、搬送経路19の搬送ローラ21とを別個のモータ26と28で別々に駆動するようにして、用紙3の搬送およびその停止のタイミングを、搬送経路18と搬送経路19とで別個独立としている。すなわち、前記のように、搬送ローラ20は速度Vaで搬送、または停止可能に構成されている。また搬送ローラ21は速度Vbで搬送、または停止可能に構成されている。
このような構成としたので、図5、図11に示すような運転を行う時に、レジストレーション動作に伴う搬送ローラ21の一時停止が行われる期間も、搬送ローラ20、分離ローラ15の一時停止が発生することがなくなり、分離ローラ15の一時停止機能を削除することが可能になり、製造コストの低減と用紙3の搬送の安定化を図ることが出来る。なお、搬送ローラ20および21を同一のモータで駆動し、クラッチによってレジストレーション動作における一時停止を行うように構成してもよい。
図1、図3、図4、図12に示すように、スイッチバック経路17にローラ対で形成された搬送ローラ22を設け、スイッチバック経路17への進入方向に搬送速度Va、スイッチバック経路17からの送出方向に搬送速度Vbで回転、停止可能としたので、用紙3の搬送速度の変更をスイッチバック経路17に用紙3が進入した後、搬送ローラ22のみが挟持している状態で搬送速度Vaから停止、速度Vbで反転搬送と切換えるだけで速度の変更を行なうことが出来、搬送速度の変更を低い製造コストで行うことが可能となる。
図8、図13に示すように、ローラ対で形成される搬送ローラ22の挟持位置で用紙a,bが重なり合った状態ですれ違う場合、どちらの方向に駆動または停止しても搬送ローラ22の摩擦により、用紙a,bの搬送が阻害される。本発明の実施の形態では、搬送ローラ22のローラ対を離間することにより摩擦力の発生を回避し、搬送ローラ20,21の搬送力のみですれ違い搬送を行う様に構成したので、図8に示したようなすれ違い搬送状態が発生する用紙a,bの間隔をさらに短くして画像形成の生産性をさらに向上することができる。なお、図13に示すように、搬送ローラ22は、常にはローラ対の一方を他方に圧接するようにばね34で付勢していて、ローラ対を開放するときはばね34で付勢されている方のローラをソレノイド32で牽引する構成である。
図8、図14に示すように、用紙検出センサ23は、スイッチバック経路17で用紙a,bが重畳し合わない領域で、用紙a,bがすれ違い搬送状態となる場合にスイッチバック経路17から送出する用紙aの後端が通過した後、スイッチバック経路17に進入する用紙bの先端が到着する状態となる位置で用紙bを検出する。スイッチバック経路17に進入する用紙bの先端が反転停止位置に達した時、ちょうど用紙bの先端が検出されるように配置してもよい。図14に用紙検出センサ23の配置可能な範囲を配置範囲として示す。このように配置すれば用紙a,bが重なり合ってそれぞれの端部が検出できなくなることがなく、スイッチバック経路17に進入する用紙bの先端位置の検出タイミングから確実に反転停止位置で用紙bを停止することが可能となる。また送出する用紙aの送出方向先端も検出できるので、用紙aの搬送の異常などの検出も行うことが可能となる。このように、単一の用紙検出センサ23でスイッチバック経路17に進入してくる用紙bの進入側先端部もスイッチバック経路17から送出される用紙aの送出側先端部も検出することができるので、製造コストを低減することができる。なお、用紙検出センサ23には、光透過型センサ、光反射型センサ、フィラー接触型センサなどの各種方式のセンサを用いることができる。
用紙3の全長はセットされている用紙サイズをユーザが画像形成装置1に入力することもできるが、用紙検出センサ23の用紙3の通過時間から算出することも可能である。図11では,用紙aの先端がレジストローラ24に到着後一定時間経過してから搬送を一時停止し、レジストレーション動作を行っている。
従来の画像形成装置では、用紙3がレジストローラ24に達するタイミングをみるために、用紙3を検出するセンサであるレジストセンサを設けていた。本発明の実施の形態では、このレジストセンサを削除し、レジストセンサによる検出タイミングよりもやや早い時期に用紙検出センサ23が用紙aの後端を検出する点に着目し、用紙検出センサ23にレジストセンサと同様の機能をもたせるように構成している。すなわち、図15のフローチャートに示すように、マイコン25の制御により、スイッチバック経路17から用紙aの送出を開始して(ステップS1)、用紙検出センサ23で用紙aの送出方向後端を検出した後(ステップS2)、搬送時間Tを、"T=((用紙検出センサ23からレジストローラ24までの長さ)−(用紙全長))/Vb"として割り出し(ステップS3)、用紙aの先端がレジストローラ24に到着したタイミングを把握して、レジストレーション動作を実行する(ステップS4)。このような構成にすれば、レジストセンサを不要とできる分、製造コストを削減することが可能となる。
ところで、インクジェットプリンタなどのラインプリンタでは用紙と用紙の間の用紙が存在しない領域に対する画像形成動作は容易に停止されるので、プリンタエンジンの劣化を招くことがないが、本画像形成装置1のような電子写真方式の画像形成装置、例えばレーザービームプリンタのようなページプリンタでは、用紙間の用紙のない領域で感光体に代表されるプリンタエンジンを一時停止することは出来ず、プリンタエンジンの空転期間となり、画像形成時同様に磨耗劣化が進んでしまう。
しかし、本画像形成装置1では、前記のように用紙3の間隔を大幅に短縮できるので、用紙3,3の間の空転期間を大幅に短縮することで寿命劣化が大幅に軽減される。
現在、高速のプリンタ技術はデジタル電子写真方式の画像形成装置によって構成されているが、例えば、レーザービームプリンタのように、静電潜像の光書込にデジタル光書込装置を備えた画像形成装置では、ポリゴンモータの回転数に代表される要因がプリンタエンジン2で画像形成を行う際の用紙搬送速度の上限となっており、用紙搬送速度の向上を図ることが困難である。
この発明の実施の形態では、デジタル光書込装置8を備えたデジタル電子写真方式の画像形成装置1において、前記のように用紙3,3の間隔を大幅に短縮できるように構成したので、用紙3,3の間の空転期間を大幅に短縮することで連続的なプリンタエンジン2で画像形成を行う際の用紙搬送速度を同じ搬送速度のまま向上することが可能となる。
[発明の実施の形態2]この発明の別の実施の形態を、発明の実施の形態2として説明する。
以下の説明で、発明の実施の形態2が発明の実施の形態1と共通する部材などには同一符号を用い、詳細な説明は省略する。以下では、発明の実施の形態2が発明の実施の形態1と相違する点を中心に説明する。
図16は、この発明の実施の形態2である画像形成装置の概略構成を示す概念図である。図17は、同画像形成装置の電気的な接続を示すブロック図である。図16、図17に示すように、ハードウエア構成上、発明の実施の形態2が発明の実施の形態1と相違するのは、搬送経路19のレジストローラ24より上流側にレジストセンサ41を設けている点である。すなわち、搬送ローラ22によって搬送経路19に送り出した用紙3の先端をレジストセンサ41で検出し、このレジストセンサ41によって検出した用紙3のプリンタエンジン2に対する搬送タイミングをレジストローラ24により画像形成の動作に同期させる。
ここで、図18は、この実施の形態2における用紙搬送動作を示すダイヤグラムである。図18に示すように、スイッチバック経路17からプリンタエンジン2へ搬送する用紙3の搬送速度Vaをプリンタエンジン2での画像形成の際の用紙搬送速度Vbより大きくしている。スイッチバック経路17からプリンタエンジン2へ搬送する用紙3の搬送速度Vaをプリンタエンジン2での画像形成の際の用紙搬送速度Vbより大きくするとは、具体的には、搬送ローラ22で搬送経路19に送り出した用紙3の搬送ローラ21によるレジストローラ24までの搬送の速度を速度Vaとし、レジストローラ24以降の用紙3の搬送速度を速度Vbとしている。そして、用紙3の搬送速度Vaは変更可能として、用紙間距離調節手段を実現している。
したがって、スイッチバック経路17からプリンタエンジン2に搬送する用紙3の搬送速度Vaをプリンタエンジン2での画像形成の際の用紙搬送速度Vbより大きくすることで、搬送する用紙3の間隔を小さくすることが可能になり、搬送する用紙間隔の拡大によるプリンタエンジン2の磨耗劣化の低減することができ、用紙搬送品質および画像形成の生産性を向上させることができる。
また、プリンタエンジン2へ搬送する用紙3の搬送速度Vaの程度を変更可能とすることで、搬送する用紙3の間隔を調節することが可能になり、搬送する用紙間隔の拡大によるプリンタエンジン2の磨耗劣化の低減することができ、用紙搬送品質および画像形成の生産性を向上させることができる。
[発明の実施の形態3]この発明の別の実施の形態を、発明の実施の形態3として説明する。
以下の説明で、発明の実施の形態3が発明の実施の形態2と共通する部材などには同一符号を用い、詳細な説明は省略する。以下では、発明の実施の形態3が発明の実施の形態2と相違する点を中心に説明する。
図19は、この発明の実施の形態3である画像形成装置の概略構成を示す概念図である。図20は、同画像形成装置の電気的な接続を示すブロック図である。図19、図20に示すように、ハードウエア構成上、発明の実施の形態3が発明の実施の形態2と相違するのは、用紙検出センサ23に代えて、搬送経路19の搬送ローラ21より下流側に用紙検出センサ42を設けていることである。用紙検出センサ42は、搬送ローラ22および搬送ローラ12によって搬送する用紙3の先端を検出する。
ところで、用紙3がスイッチバック経路17に完全に搬送されると、用紙3に対して搬送ローラ20、搬送ローラ21および搬送ローラ22のいずれの搬送力も作用しない状態が発生する。このため、それまで搬送されていた用紙3は慣性力により若干進行するので、用紙3によって反転停止位置が異なり、用紙3の反転停止位置にバラツキが生じて、搬送する用紙3の間隔が異なってしまう場合がある。
そこで、この発明の実施の形態3では、マイコン25が搬送ローラ22を逆回転することによる反転した用紙3の搬送開始から、用紙検出センサ42により搬送を開始した用紙3の先端を検出するまでの時間Tを計測し、この時間Tと予めマイコン25のROMに格納されている標準時間T0とを比較し、その比較結果に応じて搬送速度VaをVbに減速する位置を調整する。つまり、用紙検出センサ42での検出タイミングによって、標準時間T0と時間Tとに基づいて用紙搬送における遅れ量を算出し、遅れ量が多いほど搬送速度VaをVbに減速する位置を用紙搬送方向下流側にする。例えば、図21に点線で示すように、スイッチバック経路17中で通常の反転停止位置で停止した用紙3を搬送する場合と比較して実際の用紙3の反転停止位置がスイッチバック経路17の奥側であった場合、標準の減速位置よりも用紙搬送方向下流側で搬送速度VaをVbに減速する。
このような、この発明の実施の形態3における用紙搬送の制御の流れを、図22を参照して説明する。図22は、この発明の実施の形態3の用紙搬送における制御の流れを説明するフローチャートである。まず、モータ28を駆動して搬送ローラ21を回転させて、速度Vaで用紙3を搬送し(ステップS11)、モータ28の駆動開始からの時間を計測し(ステップS12)、用紙検出センサ42によって用紙の先端を検出するまで待機する(ステップS13のN)。
ステップS13で、用紙検出センサ42によって用紙の先端を検出したと判断すると(ステップS3のY)、ステップS12で計測した時間Tが予めマイコン25に格納されている標準時間T0より小さいか否かを判断する(ステップS14)。
ステップS14で、ステップS2で計測した時間Tが予めマイコン25に格納されている標準時間T0より小さいと判断した場合には(ステップS14のY)、予めマイコン25に格納されている標準の位置で用紙搬送速度をVaからVbに減速する(ステップS15)。
一方、ステップS14で、ステップS2で計測した時間Tが予めマイコン25に格納されている標準時間T0より小さくないと判断した場合には(ステップS14のN)、計測した時間Tと標準時間T0とに基づいて速度Vaで搬送する時間Taを算出し(ステップS16)、算出した時間Taだけモータ28を駆動したと判断するまで、用紙を速度Vaで搬送する(ステップS17)。
ステップS17で、算出した時間Taだけモータ28を駆動したと判断するとステップS15に戻り、用紙搬送速度をVaからVbに減速する(ステップS15)。ここに、ステップS14〜S17において、用紙間距離調節手段としての機能が実現される。
この発明の実施の形態によれば、用紙3の慣性力や用紙と搬送ローラ22とのスリップ等によって、スイッチバック経路17より搬送する用紙の間隔にバラツキが生じた場合にも、反転停止位置とレジストセンサ42との間で、速度Vbよりも大きい速度Vaで搬送する時間を調整することで、レジストセンサ42以降の用紙3の間隔を等しくすることができ、用紙搬送品質を向上させることができる。
[発明の実施の形態4]この発明の別の実施の形態を、発明の実施の形態4として説明する。
以下の説明で、発明の実施の形態4が発明の実施の形態3と共通する部材などには同一符号を用い、詳細な説明は省略する。以下では、発明の実施の形態4が発明の実施の形態3と相違する点を中心に説明する。
すなわち、搬送する用紙3が予め想定した長さより長い等の理由により、搬送する用紙3の間隔が不足すると、用紙3の先端および後端等の検出や、搬送経路18からスイッチバック経路17へ至る用紙3を搬送する経路の切り替え等を行う場合に誤動作が生じてしまうことがある。
そこで、この発明の実施の形態では、搬送ローラ22を逆回転することによる反転用紙の搬送開始から用紙検出センサ42によって先行する用紙aの後端を検出するまでの時間Tを検出し、この時間と予めマイコン25に格納されている標準時間T0とを比較し、比較結果に応じて搬送速度VaをVbに減速する位置を調整する。つまり、用紙検出センサ42での検出タイミングによって用紙の長さを算出し、標準時間T0からの遅れ量が多いほど長い用紙であると判断して、後行する用紙bの搬送速度を減速する位置を早めることで、先行する用紙aとの間隔を適正に維持する。例えば、図23に点線で示すように、予め想定した長さの用紙3を搬送する場合と比較して実際の用紙3の長さが長い用紙である場合、後行する用紙bの搬送速度の減速を標準の減速位置よりも手前で行う。これによって、予め想定された用紙3より長い用紙3を搬送する際にも、用紙間隔が不足することを防止することができ、搬送する用紙3の長さのバラツキによる画像形成時の誤動作を未然に防止することができ、用紙搬送品質を向上させることができる。
この場合の用紙搬送における制御の流れを、図24を参照して説明する。図24は、この発明の実施の形態の用紙搬送における制御の流れを説明するフローチャートである。まず、モータ28を駆動して搬送ローラ21を回転させて速度Vaで先行する用紙aを搬送し(ステップS21)、モータ28の駆動開始からの時間を計測し(ステップS22)、用紙検出センサ42により先行する用紙aの後端を検出するまで待機する(ステップS23のN)。
ステップS23で、用紙検出センサ42により先行する用紙aの後端を検出したと判断すると(ステップS23のY)、ステップS21で計測した時間Tが予めマイコン25に格納されている標準時間T0より大きいか否かを判断する(ステップS24)。
ステップS24で、ステップS22で計測した時間Tが予めマイコン25に格納されている標準時間T0より大きいと判断した場合には(ステップS24のY)、後行する用紙bの搬送速度をVaからVbに減速するまでの時間Taを算出し(ステップS25)、用紙検出センサ42によって後行する用紙bの先端を検出したと判断するまで待機する(ステップS26)。
ステップS26で、用紙検出センサ42によって後行する用紙bの先端を検出したと判断すると(ステップS26のY)、用紙検出センサ42によって後行する用紙bの先端を検出したと判断してからステップS25で算出した時間Taが経過したと判断するまで待機する(ステップS27)。
ステップS27で、用紙検出センサ42によって後行する用紙bの先端を検出したと判断してからステップS25で算出した時間Taが経過したと判断すると(ステップS27のY)、後行する用紙bの搬送速度をVaからVbへ減速する(ステップS28)。ここに、ステップS24〜S28において、用紙間距離調節手段が実現される。これによって、予め想定した長さより搬送する用紙3が長い場合にも、用紙3の間隔が不足することを防止して、誤動作を防止することができ、用紙搬送品質を向上させることができる。
そして、減速した用紙3の先端をレジストセンサ42によって検出してから所定時間後にモータ28の駆動を停止することで、用紙3の先端をレジストローラ24に突き当てた状態で画像形成動作を待機する。
[発明の実施の形態5]この発明の別の実施の形態を、発明の実施の形態5として説明する。
以下の説明で、発明の実施の形態5が発明の実施の形態3と共通する部材などには同一符号を用い、詳細な説明は省略する。以下では、発明の実施の形態5が発明の実施の形態3と相違する点を中心に説明する。
用紙3を搬送する際に、例えば、光書き込み装置8において書き込み信号を生成する時間が長くかかった場合、搬送する用紙3を一時停止させる動作が必要となる。
この発明の実施の形態では、プリンタエンジン2への搬送を一時停止する動作が必要になった場合に、用紙検出センサ42によって用紙3の先端を検出してから所定時間経過後に用紙3の搬送を一時停止する。これによって、用紙3の一時停止位置が常に同一位置となり、用紙3の一時停止位置にバラツキが生じないため、プリンタエンジン2に対する用紙3の搬送タイミングを補正する時間を余分に設けることなく、書き込み信号生成後迅速に画像形成動作を開始することができる。そして、図25に示すように、先行する用紙aは搬送ローラ21によって挟持されているため、搬送ローラ22により搬送力を付与する必要がなくなり、先行する用紙aの一部がスイッチバック経路17中にある状態でも後行する用紙bを反転停止位置まで搬送することができる。
なお、この発明の実施の形態では、搬送ローラ21によって搬送する用紙3の一時停止位置をVaからVbに減速する動作タイミングに略一致するような位置としたが、これに限るものではなく、ジャム処理等で用紙3を取り出し易い位置を用紙3の一時停止位置としてもよい。例えば、図26に示すように、用紙3の先端がレジストローラ24に当接する位置を用紙3の一時停止位置とした場合、書き込み信号生成後、レジストローラ24の起動により高精度かつ迅速に用紙3をプリンタエンジン2に搬送することができ、より信頼性の高い画像形成装置1を提供することができる。
また、用紙3の先端がレジストローラ24に当接する位置を用紙3の一時停止位置とした場合、レジストローラ24の搬送力のみによって搬送ローラ21を駆動せずに用紙3を搬送することが可能になり、用紙3にかかる負荷を最小限にして搬送することができる。さらに、レジストローラ24の駆動を制御するだけでよいので、制御を簡略化することができる。
[発明の実施の形態6]この発明の別の実施の形態を、発明の実施の形態6として説明する。
以下の説明で、発明の実施の形態6が発明の実施の形態5と共通する部材などには同一符号を用い、詳細な説明は省略する。以下では、発明の実施の形態6が発明の実施の形態5と相違する点を中心に説明する。
図27は、この発明の実施の形態の画像形成装置の構造を概略的に示す正面図である。搬送経路18のレジストローラ24と搬送ローラ21との間には、発明の実施の形態5におけるレジストセンサ41および用紙検出センサ23または42と同様の機能を果たす兼用センサ43が設けられている。この兼用センサ43は、搬送経路18中でレジストローラ24より用紙搬送方向のすぐ手前に設けられている。
この発明の実施の形態では、レジストセンサ41と用紙検出センサ23、42としての機能を一つの兼用センサ43で実行することで、用紙搬送速度の調整、用紙間隔の調整および用紙3のレジストレーション動作を1回の用紙検出作業により行うことができる。
ここで、図28は、この発明の実施の形態の用紙搬送動作を示すダイヤグラムである。兼用センサ43はレジストセンサ41としても機能するため、兼用センサ43によって用紙3の先端を検出すると所定時間後に搬送ローラ21を停止する。また、兼用センサ43によって用紙3の先端を検出した時間Tが、予め設定されている標準時間T0よりも大きい場合、後行する用紙bの搬送が遅れているあるいは用紙の間隔が所定より大きいと判断して、プリンタエンジン2で画像形成を行う際の用紙搬送速度に等しい搬送速度Vbよりも大きい搬送速度VaをVbに減速する位置を標準の減速位置より用紙搬送方向下流側にする。これによって、部品点数を増加することなく、連続搬送する用紙3の間隔を小さくすることが可能になり、画像形成の生産性を向上させることができる。
また、この発明の実施の形態では、兼用センサ43をレジストローラ24の手前に設けたので、より高精度に用紙端部を検出することができる。
[発明の実施の形態7]この発明の別の実施の形態を、発明の実施の形態7として説明する。
以下の説明で、発明の実施の形態6が発明の実施の形態3と共通する部材などには同一符号を用い、詳細な説明は省略する。以下では、発明の実施の形態7が発明の実施の形態3と相違する点を中心に説明する。図29は、この発明の実施の形態7である画像形成装置の概略構成を示す概念図であり、図30は、同画像形成装置の電気的な接続を示すブロック図である。
スイッチバック経路17から搬送ローラ22により排出された用紙3の位置は若干のバラツキを有している。また用紙反転位置からレジストローラ24へ搬送する途上でも若干のバラツキが生じる。
そこで、この発明の実施の形態では、スイッチバック経路17から搬送される用紙3の先端を用紙検出センサ42で検出し、その検出結果に応じて用紙3の搬送速度を制御して、速度制御手段を実現し、高精度の用紙搬送を行うように構成している。
用紙3の搬送速度を制御する手段としては、例えば、用紙検出センサ42の検出結果に応じて、用紙3の搬送速度を速度VbからVsに減速するタイミングを制御することや、用紙3の搬送速度Vbを最適な別の速度Vcに変更するなどの手段を適用できる。
特に、図31に示すように、用紙検出センサ42で検出後に用紙3の搬送を停止し(図31に「画像形成待ち」として示している)、この停止時間の長短により、用紙3の搬送速度を制御するようにしてもよい。これによって、搬送ローラ21の用紙搬送速度は、速度VbおよびVsで回転できる構成としておけば、それ以上の速度変更は必要がなく、用紙搬送速度を連続的に可変する煩雑な制御が不要である。また速度や速度変化のタイミングを演算する必要がなく、用紙検出センサ42で用紙3を検出後、用紙搬送を停止する制御と、用紙3の搬送後、一定の時間経過後に用紙搬送を再開する制御だけで、用紙搬送速度の制御が実現できるので、制御を簡易にし、製造コストを低減することができる。
[発明の実施の形態8]この発明の別の実施の形態を、発明の実施の形態8として説明する。
以下の説明で、発明の実施の形態8が発明の実施の形態7と共通する部材などには同一符号を用い、詳細な説明は省略する。以下では、発明の実施の形態8が発明の実施の形態7と相違する点を中心に説明する。図32は、この発明の実施の形態8である画像形成装置の概略構成を示す概念図であり、図33は、同画像形成装置の電気的な接続を示すブロック図である。
この発明の実施の形態8では、レジストセンサ41が設けられておらず、レジストローラ24はレジストレーション動作を行わず、常時回転している。
すなわち、従来は用紙3と画像の同期を正確に取る為に、例えば、画像データ生成を待っているような場合には、用紙3はレジストレーション動作実行状態で停止させていた。このためジャム発生や、運転中にも係らず使用者がメンテナンスなどの為に装置のカバーを開放した場合、その用紙位置で用紙3が停止している頻度が非常に高く、その用紙3は運転が継続できないので取り除く必要が発生していた。このようなときに用紙先端のみがレジストローラ24に突き当たって挟持され、しかも搬送ローラ21にも挟持されている状態では、作業時に用紙3の先端部のみが破れてしまう危険性が大きく、取り除く作業を慎重に行う必要があり操作性を損なっていた。
そこで、この発明の実施の形態では、図34に示すように、レジストローラ24はレジストレーション動作を行わず常時回転しているようにして、スイッチバック経路17以降の用紙3の搬送は、それ以前の搬送動作とは独立して行える特徴を生かし、用紙検出センサ42で用紙先端を検出後、用紙3の搬送を一旦停止して画像形成の完了を待つように構成したので、前記のような不具合が解消できる。一旦停止する時間は停止位置に用紙3が到着したときに画像形成が完了していれば0としても良い。
従来のレジストレーション動作を省略したことにより、レジストローラ24は用紙間隔に相当するタイミングで素早く停止、再起動する必要がなくなるので、ステッピングモータによる独立駆動や専用クラッチを設ける必要がなくなり、装置のコンパクト化や製造コストの低減が図れるだけでなく、用紙搬送の停止に伴なう用紙間隔の増大が一切ないので、用紙間隔を更に短縮でき、生産性向上にたいへん有効である。
また、一旦停止する位置を搬送ローラ21が用紙3を挟持した後としたので、用紙aが長時間に渡って画像形成待ちとなった場合でも、用紙bの搬送を反転停止位置まで搬送ローラ22による干渉を受けることなく独立して完了できるので、搬送制御が簡略化でき好適である。
[発明の実施の形態9]この発明の別の実施の形態を、発明の実施の形態9として説明する。
図35は、この発明の実施の形態9であるプリンタ51の概略構成を示すブロック図である。このプリンタ51は、発明の実施の形態1〜8のいずれかの一に記載の画像形成装置1と、画像データの入力を受付ける入力端子52と、画像形成装置1を制御して入力端子52から入力した画像データに基づく画像の形成を用紙上に行わせる制御部53とを備えている。
[発明の実施の形態10]この発明の別の実施の形態を、発明の実施の形態10として説明する。
図36は、この発明の実施の形態10である複写機61の概略構成を示すブロック図である。この複写機61は、原稿の画像を読み取る画像読取装置62と、発明の実施の形態1〜8のいずれかの一に記載の画像形成装置1と、画像読取装置62および画像形成装置1を制御して、画像読取装置62で読み取った原稿の画像データに基づく画像形成を画像形成装置1で用紙3上に行わせる制御部63とを備えている。
[発明の実施の形態11]この発明の別の実施の形態を、発明の実施の形態11として説明する。
図37は、この発明の実施の形態11であるファクシミリ装置71の概略構成を示すブロック図である。このファクシミリ装置71は、原稿の画像を読み取る画像読取装置72と、発明の実施の形態1〜8のいずれかの一に記載の画像形成装置1と、ネットワークを介して外部との間で画像データの送受信を行う送受信装置73と、画像読取装置72、画像形成装置1および送受信装置73を制御して、画像読取装置72で読み取った原稿の画像データを送受信装置73でネットワークを介して外部に送信し、送受信装置73でネットワークを介して外部から受信した画像データ基づく画像形成を画像形成装置1で用紙上に行わせる制御部74とを備えている。
[発明の実施の形態12]この発明の別の実施の形態を、発明の実施の形態12として説明する。
図38は、この発明の実施の形態12である複合機81の概略構成を示すブロック図である。この複合機81は、原稿の画像を読み取る画像読取装置82と、発明の実施の形態1〜8の一に記載の画像形成装置1と、ネットワークを介して外部との間で画像データの送受信を行う送受信装置83と、画像データの入力を受付ける入力端子84と、画像データを出力する出力端子85と、画像読取装置82、画像形成装置1および送受信装置83を制御して、選択的に、入力端子84で受付けた画像データに基づく画像の形成を画像形成装置1で行い、画像読取装置82で読み取った原稿の画像データを出力端子85を介して外部に出力し、画像読取装置82で読み取った原稿の画像データを送受信装置83でネットワークを介して外部に送信し、または、送受信装置83でネットワークを介して外部から受信した画像データ基づく画像形成を画像形成装置1で用紙3上に行なう制御部86とを備えている。
なお、前記発明の実施の形態1〜12では、プリンタエンジン2の印刷方式が電子写真方式である例により説明したが、この発明はこの点に限定されるものではなく、インクジェット方式等各種印刷方式のプリンタエンジンを用いることができる。