JP4425683B2 - 表面被覆粉体及びそれを含有する化粧料 - Google Patents
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Description
従来より、汗や皮脂による化粧崩れを防止する技術として、粉体をシリコーンで表面処理することによって撥水性を付与することが一般的である。しかし、シリコーンは撥水性を有するが撥油性が低く、シリコーンで表面被覆した粉体を化粧料に配合しても、皮脂による化粧崩れを防止するには十分でなかった。
そこで、皮脂による化粧崩れを防止するために、フッ素系化合物で粉体を表面処理して、撥水撥油性を付与することが提案されている。例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩で表面処理する方法(例えば、特許文献1)、ポリフルオロアルキル基含有(メタ)アクルレートで表面処理する方法(例えば、特許文献2)、含フッ素ケイ素化合物で表面処理する方法(例えば、特許文献3)、フルオロアルキル燐酸エステル金属塩で表面処理する方法(例えば、特許文献4)などが挙げられる。
一方では、これらのフッ素系化合物表面被覆粉体は、その優れた撥水撥油性から粉体同士の凝集性が低いため、化粧料に配合する場合に高度な攪拌を必要とするものの、一旦分散すれば、良好な分散状態が得られることが知られている。しかし、化粧料の安定性等は得られるものの、化粧料の肌への付着性が悪く、十分な化粧効果は得られなかった。
そのため、通常、化粧料に配合される油剤とのなじみが良く、肌への付着性に優れ、更には、滑らかな感触を有すると共に、撥水性・撥油性に富んだ表面被覆粉体の開発が望まれていた。
すなわち本発明は、化粧料用粉体の表面が、次の成分(A)及び(B):
(A)下記一般式(1)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
R1 aHbSiO(4−a−b)/2 (1)
と、下記一般式(2)で示されるオルガノポリシロキサン
R1 cR2 dSiO(4−c−d)/2 (2)
を重合してなり、有機溶剤に不溶で、かつ自重と同質量以上のペンタ−3,3,3−トリフルオロプロピルペンタメチルシクロペンタシロキサンを含みうる三次元架橋構造を有するシリコーン重合物(但し、式中R1はそれぞれ同じか又は異なってもよく、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1〜20の一価炭化水素基であって、その11〜60モル%がフッ素置換一価炭化水素基である一価炭化水素基であり、R2は末端ビニル基を有する炭素数2〜10の一価炭化水素基であり、aは1.0〜2.3、bは0.001〜1.0、cは1.0〜2.3、dは0.001〜1.0であって、1.5≦a+b≦2.6、1.5≦c+d≦2.6を満たす。)
(B)直鎖状、分岐状又は環状のフルオロアルキル基含有オルガノポリシロキサン
の混合物で被覆された表面被覆粉体、またそれを含有する化粧料である。
R1 aHbSiO(4−a−b)/2 (1)
と、下記一般式(2)で示されるオルガノポリシロキサン
R1 cR2 dSiO(4−c−d)/2 (2)
を重合してなり、有機溶剤に不溶で、かつ自重と同質量以上のペンタ−3,3,3−トリフルオロプロピルペンタメチルシクロペンタシロキサンを含みうることを特徴とする三次元架橋構造を有するシリコーン重合物(但し、式中R1はそれぞれ同じか又は異なってもよく、脂肪族不飽和結合を有しない、置換又は非置換の、炭素数1〜20の一価炭化水素基であって、その11〜60モル%がフッ素置換一価炭化水素基である一価炭化水素基であり、R2は末端ビニル基を有する炭素数2〜10の一価炭化水素基であり、aは1.0から2.3、bは0.001〜1.0、cは1.0〜2.3、dは0.001〜1.0であって、1.5≦a+b≦2.6、1.5≦c+d≦2.6を満たす。)で、具体的には特開2001−342255号公報に記載されているものが挙げられる。
有機基R1のうち、11〜60モル%がフッ素置換一価炭化水素基であることが必須である。11モル%未満であると成分(B)のフルオロアルキル基含有オルガノポリシロキサンへの親和性が乏しくなり、60モル%を超えると一般式(1)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの製造が困難になる。好ましい範囲としては、20〜50モル%である。
R2としては具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等を挙げられるが、特にビニル基、アリル基が望ましい。
aは1.0〜2.3を示し、aが1.0より小さいと架橋度が高くなりすぎるため自重と同質量以上のペンタ−3,3,3−トリフルオロプロピルペンタメチルシクロペンタシロキサンを含み得ず、2.3より大きいと架橋度が低くなりすぎるため、三次元架橋構造の形成が困難になる。より好ましい範囲としては1.2〜2.1である。
bは0.001〜1.0を示し、bが0.001より小さいと架橋度が低くなりすぎるため、三次元架橋構造の形成が困難になり、1.0を超えると架橋度が高くなりすぎるため、自重と同質量以上のペンタ−3,3,3−トリフルオロプロピルペンタメチルシクロペンタシロキサンを含み得なくなる。より好ましい範囲としては0.005〜0.5である。
cは1.0〜2.3を示し、cが1.0より小さいと架橋度が高くなりすぎるため自重と同質量以上のペンタ−3,3,3−トリフルオロプロピルペンタメチルシクロペンタシロキサンを含み得ず、2.3より大きいと架橋度が低くなりすぎるため、三次元架橋構造の形成が困難になる。より好ましい範囲としては1.2〜2.1である。
dは0.001〜1.0を示し、dが0.001より小さいと架橋度が低くなりすぎるため、三次元架橋構造の形成が困難になり、1.0を超えると架橋度が高くなりすぎるため、自重と同質量以上のペンタ−3,3,3−トリフルオロプロピルペンタメチルシクロペンタシロキサンを含み得なくなる。より好ましい範囲としては0.005〜0.5である。
成分(B)のフルオロアルキル基含有オルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が200mm2/s以下のフルオロアルキル基含有オルガノポリシロキサンが好ましく、特に好ましいのは20〜180mm2/sである。この範囲であれば、成分(A)の特定のシリコーン重合物との親和性においてより良好なものを得ることができる。
成分(B)のフルオロアルキル基含有オルガノポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、環状のいずれであっても良いが、粘度や成分(A)の特定のシリコーン重合物との親和性から、下記一般式(3)で示されるフルオロアルキル基含有オルガノポリシロキサンが特に好ましい。
具体的には、直鎖状のものとして、FL−100、X−22−819、X−22−820、X−22−821、X−22−822(信越化学工業社製)、FS−1265(東レ・ダウコーニング社製)が挙げられる。環状のものとしては、特開平09−268110号公報に記載されているものが挙げられ、例えばINCI名(International Nomenclature Cosmetic Ingredient labeling names)でトリフルオロプロピルシクロテトラシロキサン/トリフルオロプロピルシクロペンタシロキサン(KF−5002:信越化学工業社製)が挙げられる。
前記ペースト状の組成物を得るには、通常の攪拌機で行っても構わないが、剪断力下の混練処理を行うことが好ましい。これは成分(A)の特定のシリコーン重合物が有機溶媒不溶の三次元架橋構造を有しているため、剪断力下で充分な分散性を与えることにより、ペースト状の組成物が得られるためである。混練処理としては、例えば3本ロール、2本ロール、サンドグラインダー、コロイドミル、高粘度ミキサー、ガウリンホモジナイザー、ディスパーズミル等で行うことができるが、好ましくは3本ロール、高粘度ミキサー、ディスパーズミルによる方法が好ましい。
ペースト状の組成物の成分(A)と成分(B)の質量比は5:95〜50:50が好ましく、更に好ましくは、10:90〜30:70であり、この範囲であると製造上の操作性が良好なものが得られる。
ここで用いられる揮発性溶剤としては、成分(A)のシリコーン重合物及び成分(B)のフルオロアルキル基含有オルガノポリシロキサンを均一に分散できるものであれば特に限定されない。
更に、被覆の際、本発明の効果を防げない範囲で、活性剤、油剤などを適宜使用することができる。
本発明の化粧料は、通常の化粧料を製造する方法にて製造されるものであり、その製法は限定されない。
反応器中に下記平均組成式(4)
反応器中に下記平均組成式(6)
合成例1のシリコーン重合物1を20質量部と、フルオロアルキル基含有オルガノポリシロキサンとして、テトラ−3,3,3−トリフルオロプロピルテトラメチルシクロテトラシロキサン/ペンタ−3,3,3−トリフルオロプロピルペンタメチルシクロペンタシロキサン混合物(1/1質量比、粘度60mm2/s)80質量部を混合し、3本ロールで充分混練することにより、チキソトロピー性を持つ、半透明なペースト状組成物1を得た。
合成例2のシリコーン重合物2を30質量部と、下記平均組成式(8)
表1に示す組成の表面被覆粉体を下記製造方法にて調製し、肌への付着性、滑らかな伸び拡がり、撥水性、撥油性を評価した。その結果も表1に示す。
それぞれの成分(1)〜(7)をイソプロパーノールと共にミキサーに入れ、均一に混合した後、成分(8)のマイカを加えて加熱しながらイソプロパノールを減圧留去し粉砕することにより表面被覆粉体A〜Kを得た(Eは未処理)。
本発明品A〜Dおよび比較品E〜Kの表面被覆粉体について、各試料を肌にのばした時の、滑らかな伸び拡がり、付着性について、女子パネル10名により官能検査を行った。下記(イ)評価基準に基づき評価を行い、サンプルごとに、パネルが出した評点の平均値により、下記(ロ)判定基準に基づき判定した。
(イ)評価基準
(評価) :(評点)
非常に良い : 3
良い : 2
普通 : 1
悪い : 0
(ロ)判定基準
(評点の平均値) :(判定)
2.5以上 : ◎
1.5以上、2.5未満 : ○
0.5以上、1.5未満 : △
0.5未満 : ×
精製水、あるいは流動パラフィンを入れたビーカーに、調製した表面処理粉体を入れたときに、これらの粉体が浮いてきるものを◎、浮いているものと沈むものが混在するものを○、沈むものを×として評価し、示した。
成分(1)〜(17)をミキサーにて均一に混合した後、粉砕し、金皿にプレス成型して完成品を得た。
実施例2で得られた各試料につき、滑らかな伸び拡がり、付着性、化粧持ちについて女子パネル20名により官能検査を行った。官能検査は、下記(イ)絶対評価基準に基づき7段階で評価を行い、サンプルごとの評点の平均値により、下記(ロ)判定基準に基づき判定した。
(イ)絶対評価基準
(評点): (評価)
6 : 非常に良い
5 : 良い
4 : やや良い
3 : 普通
2 : やや悪い
1 : 悪い
0 : 非常に悪い
(ロ)判定基準
(評点の平均値) :(判定)
5.0以上 : ◎ (非常に良好)
3.5以上、5.0未満 : ○ (良好)
1.0以上、3.5未満 : △ (やや不良)
1.0未満 : × (不良)
(成分) (%)
(1)本発明の被覆タルク
(実施例1のCのマイカをタルクに変え、同様に被覆したもの) 50
(2)カオリン 残量
(3)雲母チタン 20
(4)着色顔料 3.5
(5)流動パラフィン 7
(6)ジオクタン酸ネオペンチルグリコール 4.5
(7)香料 適量
(8)防腐剤 適量
A:成分(1)〜(4)をミキサーにて均一混合した後、成分(5)〜(8)を添加して均一にする。
B:Aを粉砕し、金皿にプレス成型してアイシャドウを得た。
実施例3のアイシャドウは、滑らかな伸び拡がり、良好な付着性で化粧持ちに優れるものであった。さらに、粉体同士の凝集性が低く良好な分散状態が得られ発色に優れるものであった。
(成分) (%)
(1)キャンデリラワックス 8
(2)カルナウバワックス 5
(3)ラノリン 25
(4)ヒマシ油 残量
(5)本発明の被覆酸化チタン
(実施例1のAのマイカを酸化チタンに変え、同様に被覆したもの) 13
(6)本発明の被覆雲母チタン
(実施例1のCのマイカを雲母チタンに変え、同様に被覆したもの) 10
(7)着色顔料 8
(8)香料 適量
(9)防腐剤 適量
A:成分(1)〜(4)を均一に加熱溶解する。
B:Aに成分(5)〜(9)を添加し、分散後加熱して金型に充填し、口紅を得た。
実施例4の口紅は、滑らかな伸び拡がり、良好な付着性で化粧持ちに優れるものであった。さらに、被覆粉体同士の凝集性が低く良好な分散状態が得られるため、良好な発色のものであった。
(成分) (%)
(1)ステアリン酸 2
(2)セタノール 1
(3)スクワラン 10
(4)メトキシ桂皮酸オクチル 5
(5)シクロペンタシロキサン 5
(6)本発明の被覆微粒子酸化亜鉛
(実施例1のCのマイカを微粒子酸化亜鉛に変え、同様に被覆したもの) 5
(7)プロピレングリコール 10
(8)水 残量
(9)トリエタノールアミン 1.5
(10)防腐剤 適量
A:成分(1)〜(4)を加熱溶解する。
B:Aに成分(5)、(6)を添加し加熱する。
C:成分(7)〜(10)を均一に加熱混合後、Bを添加して乳化する。
D:Cを冷却後、容器に充填して日焼け止め乳液を得た。
実施例5の日焼け止め乳液は、滑らかな伸び拡がりで、良好な付着性で日焼け止め効果が持続するものであった。
Claims (3)
- 化粧料用粉体の表面が、次の成分(A)及び(B):
(A)下記一般式(1)で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
R1 aHbSiO(4−a−b)/2 (1)
と、下記一般式(2)で示されるオルガノポリシロキサン
R1 cR2 dSiO(4−c−d)/2 (2)
を重合してなり、有機溶剤に不溶で、かつ自重と同質量以上のペンタ−3,3,3−トリフルオロプロピルペンタメチルシクロペンタシロキサンを含みうる三次元架橋構造を有するシリコーン重合物(但し、式中R1はそれぞれ同じか又は異なってもよく、脂肪族不飽和結合を有しない炭素数1〜20の一価炭化水素基であって、その11〜60モル%がフッ素置換一価炭化水素基である一価炭化水素基であり、R2は末端ビニル基を有する炭素数2〜10の一価炭化水素基であり、aは1.0〜2.3、bは0.001〜1.0、cは1.0〜2.3、dは0.001〜1.0であって、1.5≦a+b≦2.6、1.5≦c+d≦2.6を満たす。)
(B)直鎖状、分岐状又は環状のフルオロアルキル基含有オルガノポリシロキサン
の混合物で被覆された表面被覆粉体。 - 前記成分(B)が、下記一般式(3)で表されるフルオロアルキル基含有オルガノポリシロキサン
であることを特徴とする請求項1記載の表面被覆粉体。 - 請求項1又は2記載の表面被覆粉体を含有する化粧料。
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