JP4425514B2 - 5−クロロ−3−(4−メタンスルホニルフェニル)−6′−メチル−[2,3′]ビピリジニルの多形型、非晶質型および水和型 - Google Patents

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、下記に示した化学構造を有する標題化合物の多形型、非晶質型および水和型に関する。
【0002】
【化3】
Figure 0004425514
【0003】
この化合物は、主として炎症、疼痛および発熱ならびにPCT公開WO96/10012およびWO96/16934に記載のものなどの他のCOX−2介在疾患の治療において有用な強力かつ選択的なシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害薬である。化合物Aは、1999年1月19日に与えられた米国特許第5861419号(実施例23)に記載されており、その特許は引用によって全内容が本明細書に含まれるものとする。
【0004】
(背景技術)
ビピリジル化合物は通常、非常に結晶性が高く、水溶解度が低く、疎水性であるために、医薬組成物の製造が困難であり、生物学的利用能に関連する問題を生じる。従って、他の形の化合物Aを発見し、それの特性を検討する努力が行われてきた。3種類のさらに別の多形型、1種類の非晶質型および2種類の水和物が発見されている。
【0005】
(発明の開示)
本発明に関して、多形型の化合物Aは、I型(融解開始、融点:134〜136℃、ピーク融点138℃)、II型(融解開始、融点約131℃、ピーク融点133℃)、III型(融解開始、融点約133℃、ピーク融点135℃)およびIV型(融解開始、融点約134℃、ピーク融点136℃)として確認される。I型〜IV型は無水物である。1種類の非晶質型および2種類の水和物も確認されている。
【0006】
図面の簡単な説明
添付の図面を参照しながら本発明について説明する。
【0007】
図1は、I型のX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【0008】
図2は、II型のXRPDパターンである。
【0009】
図3は、III型のXRPDパターンである。
【0010】
図4は、IV型のXRPDパターンである。
【0011】
図5は、ヘミ水和物のXRPDパターンである。
【0012】
図6は、セスキ水和物のXRPDパターンである。
【0013】
図7は、ヘミ水和物の熱重量分析(TG)走査である。
【0014】
図8は、セスキ水和物のTG走査である。
【0015】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明に関して、多形型の化合物Aは、I型(融解開始、融点:134〜136℃、ピーク融点138℃)、II型(融解開始、融点約131℃、ピーク融点133℃)、III型(融解開始、融点約133℃、ピーク融点135℃)およびIV型(融解開始、融点約134℃、ピーク融点136℃)として確認される。I型〜IV型は無水物である。1種類の非晶質型および2種類の水和物も確認されている。
【0016】
本発明の多形体は、例示としての下記の実施例に従って合成される。
【0017】
製造実施例1
原料の化合物Aは、1999年1月19日に与えられた米国特許第5861419号の実施例23に従って製造される。
【0018】
実施例1
II型
II型は、製造実施例1に従って得られた化合物Aの酢酸エチルからの結晶化によって得られる。
【0019】
示差走査熱量測定で、131±1℃という外挿溶融開始点および132.5±0.1℃というピーク融点が示された。
【0020】
実施例2
I型
実施例1に記載の方法に従って製造されたII型をイソプロパノール/ヘキサンの混合溶媒から再結晶することで、I型を得た。
【0021】
実施例3
IV型
IV型は、製造実施例1の方法で製造した化合物Aのバッチにおいて自然に生じた。
【0022】
IV型は別法として、実施例2に記載のI型をトルエンおよびヘプタンなどの有機溶媒と接触させ、次に45℃未満の温度、例えば約15℃で再結晶することによって製造される。
【0023】
IV型は別法として、II型をトルエンおよびヘプタンなどの有機溶媒に溶解させ、次に45℃未満の温度、例えば約15℃で再結晶することによっても製造される。
【0024】
実施例4
III型
実施例3からのIV型を水中で1日間撹拌し、次にIII型が存在するようになるまで90℃で脱水することで、IIIを製造した。融点開始温度は約133℃であり、融解エンタルピーは約24kJ/molであった。ピーク融点は135℃であった。
【0025】
別法として、実施例5のヘミ水和物を用い、130℃でヘミ水和物の温度XRPDを行ったところ、III型が生成した。
【0026】
実施例5
ヘミ水和物
ヘミ水和物型の化合物Aは、実施例3に従って得られたIV型を水中で少なくとも1日間撹拌することで製造される。得られた固体のXRPD分析により、II型について得られた前述のヘミ水和物と同じディフラクトグラムが得られた。熱重量分析により、IV型がヘミ水和物型に変換されて、加熱により水/薬剤モル比0.50%に相当する2.45%の急峻な重量低下を示すことが確認された。
【0027】
実施例6
セスキ水和物
化合物Aのセスキ水和物は、実施例2によるI型と水(約1.5モル/化合物モル)を混合することで得られる。
【0028】
実施例7
非晶質体
非晶質型の化合物Aは、いずれかの多形体を窒素下にそれの融点より高い温度(例:145℃)まで加熱し、次に乾燥雰囲気下に室温まで急冷することで得られる。
【0029】
多形体の特性決定
多形型の化合物Aは、以下の手順を用いて特性決定される。
【0030】
X線粉末回折パターン分析
シンタグ(Scintag)XDS2000、45kVおよび40mAのCuKα光源を用いるSi(Li)ペルチエ冷却固体検出器ならびに発散ビームスリット(2mmおよび4mm)および受光ビームスリット(0.5mmおよび0.2mm)を用いるXRPDにより、多形体Iは結晶性である。ピーク位置は、標準シリコンディスク(純度97.5%)を用いて較正した。
【0031】
温度XRPD試験は、カバーにベリリウム窓を有する金メッキ銅ステージを用いて窒素下に行った。ミクリスター(Micristar)温度制御装置によって、温度のモニタリングおよび制御を行った。
【0032】
温度XRPD試験により、化合物は溶融前に遷移を受けず、溶融が140℃で完了し、異なる多形体への変換がないことが示された。II型についても同様の結果が得られた。材料は非晶質のままであり、再結晶しなかった。
【0033】
以下の表1に、I型、II型、III型およびIV型についてのXRPDピーク位置を挙げてある。
【0034】
【表2】
Figure 0004425514
【0035】
I〜IV型についてのXRPDパターンを図1〜4に示してある。
【0036】
2種類の水和物型についてのXRPDパターンを図5および6に示してある。
【0037】
示差走査熱量測定(DSC)
波形アルミニウム皿で窒素下に10℃/分にて、I型の外挿融点開始温度は134.0±0.6℃であり、融解エンタルピーは27.2±0.9kJ/molであった(図1)。ピーク融点は138℃であった。
【0038】
開放アルミニウム皿で窒素雰囲気下に10℃/分にてTAインスツルーメンツ(TA Instruments)DSC2910装置を用いて測定を行ったところ、融解開始温度は136℃であり、ピーク融点は前述の通りであった。ピーク温度における予想されたシフト以外、DSC走査速度によって有意な変化はなかった。2、10および20°/分で、セイコー(Seiko)ロボットDSC(RDC−220)を用いて、窒素下における波形サンプル皿でのI型のDSC熱挙動(60mL/分)を測定した。DSCに関して、ガリウム、インジウムおよびスズを用いて、温度および熱伝達についての較正を行った。
【0039】
I型の融点開始温度およびおよび融解エンタルピーは、II型について観察されたものより若干高かった。これらの多形体は、溶融物からの冷却では再結晶せず、再加熱で再結晶もしない。非晶質体のガラス転移温度(中点、10K/分、波形アルミニウム皿)は55℃である。
【0040】
表2には、I型、II型、III型およびIV型についての外挿融点開始温度Tおよび融解エンタルピーΔHの比較を示してある。
【0041】
【表3】
Figure 0004425514
【0042】
波形アルミニウム皿で窒素下に10℃/分の走査速度で得られたIV型に関するDSCサーモグラムは単一の対称な吸熱からなり、平均開始融点は134.0±0.1℃であり、融解熱は27.9kJ/molであった。2℃/分の走査速度により、観察された吸熱は、単一の吸熱転移によるものであることが確認された。異なる多形体の融解エンタルピーも同様である。
【0043】
I型とIV型は同様の溶解度を有している。IV型は若干溶解度が低く、45℃以下の温度での安定性が若干高い。I型とIV型は互変二形であり、有機溶媒と接触すると、45℃より高い温度でIV型がI型に変換される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 I型のX線粉末回折(XRPD)パターンである。
【図2】 II型のXRPDパターンである。
【図3】 III型のXRPDパターンである。
【図4】 IV型のXRPDパターンである。
【図5】 ヘミ水和物のXRPDパターンである。
【図6】 セスキ水和物のXRPDパターンである。
【図7】 ヘミ水和物の熱重量分析(TG)走査である。
【図8】 セスキ水和物のTG走査である。

Claims (2)

  1. 式A
    Figure 0004425514
    の化合物のIV型と称される結晶多形であって、8.7、15.2、17.1、19.5、21.7、23.5及び23.6°2θにおけるX−線粉末回折パターンピーク位置(Cu Kアルファ)を有することを特徴とする、前記結晶多形。
  2. さらに、134℃の示差走査熱量測定(DSC)外挿融点開始温度を有することを特徴とする請求項1に記載の結晶多形。
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