JP4424934B2 - 光ファイバの切断装置及び切断方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバの切断装置及び切断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバの切断技術において、互いに予め定めた間隔を空けて設置される一対のクランプ部と、それらクランプ部の間に規定されるファイバ切断位置に刃先を配置可能な移動式の刃部と、刃部から独立してファイバ切断位置に押圧面を配置可能な移動式の押圧部とを、基部上に配設して備える切断装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この切断装置を用いた切断工程では、まず、光ファイバの末端の所望長さに渡り被覆を除去して素線を露出させ、この光ファイバ素線を、一対のクランプ部の間に架け渡して固定的に支持する。その状態で、刃部を基部上で光ファイバ素線に直交する方向へ直動させて、ファイバ切断位置に置かれた光ファイバ素線の目標部位のクラッド外表面に、刃先によってファイバ軸線に略直交する傷(すなわち切込)を付ける。次いで、刃部をファイバ切断位置から遠ざけた後、押圧部を基部上で揺動させて押圧面をファイバ切断位置に強制的に侵入させ、クランプ部間に支持したままの光ファイバ素線に対し、傷の反対側から押圧力を負荷する。それにより、光ファイバ素線に傷を中心とした引張応力が生じ、光ファイバ素線が所定部位で劈開して切断される。
【特許文献1】
米国特許第5395025号明細書
【0003】
上記した切断装置及び切断方法は、特に、コアがガラスからなる光ファイバに対し、傾斜、うねり、粗さ等の不完全性を許容範囲に低減した端面を、素線の切断面自体に容易かつ確実に形成できるものとして、従来広く利用されている。ここで、光ファイバ素線にそのような鏡面状の直交端面を安定して形成するためには、クランプ部間に支持した光ファイバ素線とファイバ切断位置を通って移動する刃部の刃先との、予め精確に定めた相対位置関係を高い精度で維持する必要がある。つまり、切断対象の光ファイバのクラッドに対し、必要十分な寸法(切込深さ等)の傷を高精度に、かつ再現性良く付与できることが、切断装置に要求される。したがって、この種の切断装置は一般に、特定の素線構造(コア及びクラッドの材質や径寸法等)を有する光ファイバに対し、クランプ部と刃部との相対位置関係を予め最適な状態に固定的に設定した構成を備えている。なお、このような特定光ファイバ専用の切断装置においても、基部上での刃部の刃先高さをμm単位で微調整できるものは周知である。
【0004】
上記種類の切断装置において、外径寸法の異なる複数種類の光ファイバ素線に対し、クラッドに傷を付けた後の押圧部の押圧作用による引張応力を、それぞれに最適化して生じさせることができる汎用性を具備した切断装置が提案されている(例えば特許文献2参照)。この切断装置では、基部上に設置された一対のクランプ部は、互いに接近及び離反する方向へ選択的に移動可能な構成を有する。また各クランプ部は、基部上で移動するクランプ台と、クランプ台に交換可能に取着される抑え板とから構成される。そして、切断対象の光ファイバ素線の外径寸法に応じて、一対のクランプ部の相互間隔を最適値に調整するとともに、抑え板を最適な幅寸法のものに交換することにより、異なる外径寸法の光ファイバ素線のそれぞれに対し、押圧劈開時の撓み曲率を最適化して高品質の切断面(素線端面)を形成できるようになっている。なお、特許文献2に記載の切断装置はさらに、光ファイバ素線のクラッド外表面に傷を付ける際に、刃部の刃先の反対側で光ファイバ素線を接触保持する保持板を備えている。
【特許文献2】
特開平6−294914号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、光ファイバにおいて、被覆を除去した素線のクラッド外表面を保護するための恒久的な(すなわち容易には除去されない)樹脂製の皮膜を備えたものが開発されている。この保護皮膜は、前述した光ファイバ切断工程の準備段階において、光ファイバの被覆を除去する際やその後の素線清掃の際にクラッド外表面を擦過傷等から保護する機能を有する。しかし、このような保護皮膜付きの光ファイバを、前述した従来の切断装置で切断しようとすると、保護皮膜の存在により、刃部の刃先が素線のクラッドに必要十分な寸法の傷を付与することが困難になる傾向がある。
【0006】
ここで、光ファイバの分野では今日、素線の外径に関する標準寸法が規定されており、保護皮膜付きの光ファイバも、保護皮膜を含む素線の外径が標準寸法を有するように作製されている。したがって、同じ標準寸法で比較すると、保護皮膜付きの光ファイバは保護皮膜を有さない光ファイバよりも、クラッドの外径が小さくなり、それに伴い剛性が若干低くなる。このような同一標準寸法の異種光ファイバに対し、例えば前述した特許文献1に開示されるような、クランプ部と刃部との相対位置関係が特定標準寸法の光ファイバ専用に事前設定された切断装置では、刃部による傷付け作用が自ずと異なるものになる。具体的には、保護皮膜を有さない光ファイバ用に設定された切断装置で保護皮膜付きの光ファイバを切断しようとすると、一対のクランプ部の間に架け渡して支持された後者の光ファイバ素線は、その表面に刃部の刃先を当接したときに、受傷し難い硬質の保護皮膜が刃先に押されて、素線自体が各クランプ部に対し僅かに摺動しつつ容易に撓んでしまう。その結果、クラッドと刃先との間の距離が保護皮膜の厚みの分だけ拡大されていることと相俟って、刃先をクラッドに必要十分な量だけ切り込ませることが困難になる。
【0007】
クランプ部間に架け渡した光ファイバ素線の硬質の保護皮膜を刃部の刃先が確実に貫通できるようにするためには、素線の固定支点となる一対のクランプ部の相互間隔を縮減して、刃先から保護皮膜に加わる切込荷重を効果的に増加させることが有効である(荷重は支点間距離の3乗に反比例する)。したがって、特定標準寸法の光ファイバ専用の切断装置においても、一対のクランプ部の間隔を、光ファイバの種類(例えば保護皮膜の有無)に対応して調整できるようにすることが考えられる。しかしこの場合には、刃部による傷付け作用時の光ファイバ素線の撓みを所定量に精確に調整することが要求されるので、例えば前述した特許文献2に開示されるような切断装置のクランプ間隔調整機構では、作業者の高度な調整技術を要するだけでなく、高精度のクランプ案内/位置決め機構が必要となり、作業熟練度による歩留まりの悪化、切断装置の構造の複雑化及び価格の高騰、メンテナンス作業の煩雑化等の問題の発現が予測される。特に、切断対象の光ファイバの種類が変わる都度、そのような高精度のクランプ間隔調整作業を実施しなければならず、結果としてファイバ切断作業に手間と時間が浪費されることになる。
【0008】
また、前述した特許文献2の切断装置では、異なる外径寸法の光ファイバ素線に対する押圧劈開時の撓み曲率を最適化する目的でクランプ間隔調整機構が設けられており、刃部による傷付け作用時の素線の撓みは、別に設置した保持板を素線の傷付け部位の反対側に当接することによって直接的かつ強制的に排除している。このような構成では、傷付け作業の都度、刃部の刃先に過剰な摩擦負荷が掛かり、刃先寿命が低下することが懸念される。
【0009】
ここで、刃部の刃先から光ファイバ素線の保護皮膜に加わる切込荷重を増加させる他の手法として、クランプ部に対する刃先高さを高くすることが考えられる(荷重は変位に正比例する)。しかし、従来の切断装置に装備された刃部の刃先高さ調整機構は、一般にμm単位の微調整を主目的とするものである。したがって、保護皮膜を有さない光ファイバ用に設定された切断装置で保護皮膜付きの光ファイバを切断する際に、高さ調整機構により刃先高さを最大値に設定したとしても、刃先が保護皮膜を貫通してクラッドに所要寸法の傷を付け得る程の効果は得難い。逆に、所要の切込荷重増加を達成するまで刃先高さを高くできるように構成した場合には、最大刃先高さでの傷付け作業中に、素線が過大に屈曲してコア及びクラッドに損傷を与えることが危惧される。また、刃先高さ調整機構自体、作業熟練度による歩留まりの悪化、切断装置の構造の複雑化及び価格の高騰、メンテナンス作業の煩雑化等の問題を内包するものである。
【0010】
なお、上記した諸課題は、保護皮膜の有無により素線構造が相違する光ファイバだけでなく、コア及びクラッドの材質が異なる素線構造(石英コア/石英クラッド、石英コア/樹脂クラッド、多成分ガラスコア/多成分ガラスクラッド等)の光ファイバを、1つの切断装置で切断しようとする際にも、顕現することが予測される。
【0011】
本発明の目的は、クランプ部間に架け渡した光ファイバ素線を、その表面に刃部の刃先で傷を付けた後に押圧して劈開させることにより切断する光ファイバ切断装置において、異なる素線構造を有する光ファイバのそれぞれに対し、クランプ部と刃部との相対位置関係を変更することなく、素線の切断面を鏡面状の直交端面形態に形成するに必要十分な寸法の傷を素線表面に容易かつ確実に付けることができ、しかも刃部の刃先寿命が低下する懸念を排除できる、汎用性を有した光ファイバ切断装置を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、クランプ部間に架け渡した光ファイバ素線を、その表面に傷を付けた後に押圧して劈開させることにより切断する光ファイバ切断方法において、異なる素線構造を有する光ファイバのそれぞれに対し、クランプ部の相互間隔を変更することなく、素線の切断面を鏡面状の直交端面形態に形成するに必要十分な寸法の傷を素線表面に容易かつ確実に付けることができる光ファイバ切断方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基部と、互いに予め定めた間隔を空けて基部に設置され、両者間に光ファイバ素線を架け渡して支持する一対のクランプ部と、基部に対し移動可能に設置され、一対のクランプ部材の間に規定されるファイバ切断位置に配置可能な刃先を有する刃部と、刃部から独立して基部に対し移動可能に設置され、ファイバ切断位置に配置可能な押圧面を有する押圧部とを具備する光ファイバ切断装置において、刃部及び押圧部から独立して基部に対し移動可能に設置され、一対のクランプ部と協働して光ファイバ素線を支持する作用位置に配置可能な補助支持部を具備し、補助支持部は、作用位置で、一対のクランプ部の間に局所的に延設されるファイバ支持面を有し、ファイバ支持面が、一対のクランプ部の間に延びる光ファイバ素線の、ファイバ切断位置から離れた局所長さ部分に接触するように配置されること、を特徴とする光ファイバ切断装置を提供する。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光ファイバ切断装置において、補助支持部は、ファイバ支持面と、ファイバ切断位置に置かれる光ファイバ素線の第2局所長さ部分との接触を回避するようにファイバ支持面に隣接して形成される逃げ領域と、光ファイバ素線とともに一対のクランプ部に支持されるようにファイバ支持面に隣接して形成される被支持領域とを有する薄板部材を具備する光ファイバ切断装置を提供する。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光ファイバ切断装置において、切断対象の光ファイバを保持して基部に着脱自在に搭載されるファイバ保持部材をさらに具備し、薄板部材かファイバ保持部材に取り付けられる光ファイバ切断装置を提供する。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の光ファイバ切断装置において、基部に開閉動作可能に連結される蓋部をさらに具備し、補助支持部は、ファイバ支持面を一端面に有して蓋部に移動可能に取り付けられる駒部材を具備する光ファイバ切断装置を提供する。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の光ファイバ切断装置において、基部に開閉動作可能に連結される蓋部をさらに具備し、補助支持部は、ファイバ支持面を外周面に有して蓋部に回動可能に取り付けられる円板部材を具備する光ファイバ切断装置を提供する。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の光ファイバ切断装置において、円板部材がその外周面に、回転軸線方向寸法の異なる複数のファイバ支持面と、それらファイバ支持面よりも回転中心側へ偏倚して配置される非作用面とを有する光ファイバ切断装置を提供する。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光ファイバ切断装置を用いて光ファイバを切断する方法であって、一対のクランプ部の間に光ファイバ素線を架け渡して支持し、補助支持部を一対のクランプ部に対して、それらクランプ部の間に延びる光ファイバ素線の第1局所長さ部分にファイバ支持面が接触するように固定的に配置し、一対のクランプ部の間で、光ファイバ素線の第1局所長さ部分に隣接する第2局所長さ部分の目標部位の表面に、光ファイバ素線の軸線に略直交する方向へ局部的に傷を付け、一対のクランプ部の間で、光ファイバ素線の第2局所長さ部分に径方向への押圧力を加えて、光ファイバ素線を目標部位で切断すること、を特徴とする方法を提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図1は、本発明の第1の実施形態による光ファイバ切断装置10を示す図、図2及び図3は、光ファイバ切断装置10の主要部の構成及び作用を示す図、図4は光ファイバ切断装置10を適用可能な光ファイバの構造を示す図、図5〜図9は、光ファイバ切断装置10に装備した補助支持部の構成及び作用を示す図である。
【0021】
図1〜図3に示すように、光ファイバ切断装置10は、基部12と、互いに予め定めた間隔を空けて基部12に固定的に設置される一対のクランプ部14と、基部12に移動可能に設置される刃部16と、刃部16から独立して基部12に移動可能に設置される押圧部18とを備える。基部12は、平面視略矩形の堅固なブロック体であって、ファイバ切断作業の基準となる水平面を規定するその表面(図で上面)12aに、互いに間隔を空けて固定的に配置される第1基台20及び第2基台22を有する。第1基台20は、その頂面の所定位置に水平方向へ延びる凹所20aを備え、凹所20aに、切断対象の光ファイバFを予め定めた位置に保持するためのファイバ保持部材24が、着脱自在に搭載される。第1基台20は、一方のクランプ部14の基部12上での位置を規定し、第2基台22は、他方のクランプ部14の基部12上での位置を規定する。それらクランプ部14は、基部12上で、第1基台20の凹所20aの延長方向に整列して、互いに同一高さに配置される。
【0022】
ファイバ保持部材24は、第1基台20の凹所20aに受容される矩形平板状の本体26と、本体26の長手方向へ延びる一縁に回動自在に連結される矩形平板状の挟持板28とを備える。本体26の表面には、所定径寸法の光ファイバFを位置決めして収容可能な保持溝(図示せず)が設けられ、挟持板28は、本体26に対し回動することにより保持溝を開閉する。ファイバ保持部材24は、挟持板28を本体26に重ね合わせた状態で、保持溝内に収容した光ファイバFを固定的に保持し、その状態で第1基台20の凹所20aに搭載されることにより、光ファイバFを基台12上で所定位置に位置決めする。なお、光ファイバFは後述するように、光ファイバ切断工程の準備段階で、末端の所望長さに渡り被覆が除去されて素線Uが露出され、素線Uを外方へ延出させた状態でファイバ保持部材24に保持される。
【0023】
光ファイバ切断装置10はさらに、基部12に開閉動作可能に連結される蓋部30をさらに備える。蓋部30は、平面視略矩形の堅固な板状体であり、その一縁に設けた蝶番部分32を介して、基部12の第1基台20に回動自在に支持される。一対のクランプ部14は、基部12に固定的に設置される一対の第1クランプ部材34と、蓋部30に固定的に設置される一対の第2クランプ部材36とを備える。一対の第1クランプ部材34は、基部12上で第1基台20と第2基台22とのそれぞれに固定されて、局所的な矩形突起を個々に構成する。他方、一対の第2クランプ部材36は、蓋部30上で、一対の第1クランプ部材34のそれぞれに衝合可能な対応位置に固定されて、同様に局所的な矩形突起を構成する。蓋部30には、一対の第2クランプ部材36の間に、板厚方向へ貫通するとともに蝶番部分32の反対側の縁に開口する切欠き38が形成される。
【0024】
各クランプ部14の第1クランプ部材34及び第2クランプ部材36は、略平坦なクランプ面34a及び36aをそれぞれの突出端に有する。それらクランプ面34a、36aは、蓋部30が基部12に対し基部12上方を覆う閉位置にあるときに、互いに密接状態で衝合可能な形状を有する。好ましくはそれらクランプ面34a、36aは、各クランプ部材34、36に固着されたゴム等の弾性片40によって形成される。一対の第1クランプ部材34のクランプ面34aは、基部12上で同一の仮想水平面内に配置される。また、一対の第2クランプ部材36のクランプ面36aは、蓋部30上で同一の仮想平面内に配置され、それにより、蓋部30の閉鎖動作に従って、対応の第1クランプ部材34のクランプ面34aにそれぞれの略全体で同時に面接触するようになっている。このようなクランプ部14の構成により、光ファイバFの素線Uは、光ファイバ切断工程に際して、一対のクランプ部14の間に、基部12上の所定高さ位置で水平方向へ正確に架け渡して支持される。
【0025】
刃部16は、中心軸線16aを有する円板状の形態を備え、その外周縁に沿って、例えば超鋼材料からなる鋭利な刃先42が円弧状に延長形成される。刃部16は、基部12上で第1及び第2基台20、22の間の空所に受容される移動台44に、刃先42を所定高さに露出させた状態で固定的に支持される。移動台44は、基部12上にリニアガイド46を介して、一対のクランプ部14の間に架け渡される光ファイバ素線Uに直交する水平方向Sへ直線往復移動自在に搭載される。刃部16は、その刃先42を移動台44の移動方向Sに平行に向けて配置され、それにより刃先42を、一対のクランプ部14の間(図では略中央)に規定されるファイバ切断位置Pに配置できるようになっている。つまりファイバ切断位置Pは、刃先42の直線移動経路内に規定される。
【0026】
光ファイバ切断工程に際して、刃部16は基部12上で、例えば手動操作により図2に示す初期位置から、クランプ部14に支持された光ファイバ素線Uに接近する水平方向へ連続移動させられる。そして刃部16の刃先42が、ファイバ切断位置Pを通過する瞬間に、素線Uのクラッド外表面に、素線Uの軸線に略直交する方向への傷(すなわち切込)を付ける(図3(a))。次いで刃部16は、素線Uに対し初期位置とは反対側に離隔配置され、その状態で押圧部18による素線押圧(切断)作業を行った後、初期位置に戻されて次の光ファイバ切断工程を待機する。なお刃部16は、刃先42を更新する等の目的で、軸線16aに関して回転可能な構成とすることができる。また、基部12上で各クランプ部14の第1クランプ部材34のクランプ面34aに対する刃先42の高さをμm単位で微調整するために、図示しない刃先高さ調整機構を装備することもできる。
【0027】
押圧部18は、回転軸線を有する揺動腕の形態を備え、その自由端に、回転方向に面する略平坦な押圧面48が形成される。押圧部18はその基端で、基部12の第1基台20に設けられる枢着台50に回転可能に支持される。枢着台50は、第1基台20上で蓋部30の蝶番部分32とは反対側の縁に沿って設置される取付腕52の先端に固定され、基部12上で移動台44の移動経路の上方に離間して配置される。押圧部18は、その回転軸線を刃部16の中心軸線16aに平行に向けて配置され、それにより押圧面48を、一対のクランプ部14の間に規定されるファイバ切断位置Pに配置できるようになっている。つまりファイバ切断位置Pは、押圧面48の円弧移動経路内に規定される。なお、押圧部18の揺動腕部分は、基部12上で閉位置にある蓋部30の切欠き38に非接触に受容されるように、予め寸法設定される。また、図示実施形態の構成に代えて、押圧部18を蓋部30に設置したり、押圧部18を刃部16や蓋部30と連動する構造としたりすることもできる。
【0028】
光ファイバ切断工程に際して、刃部16による素線傷付け作業の後に、押圧部18は基部12上で、例えば手動操作により図1に示す初期位置から、クランプ部14に支持されたままの光ファイバ素線Uに接近する方向へ揺動させられる。そして押圧部18の押圧面48が、ファイバ切断位置Pに到達して、刃部16による傷とは反対側の素線Uのクラッド外表面に対し、例えば人手による押圧力fを素線Uの軸線に略直交する方向へ負荷する。それにより光ファイバ素線Uに、傷を中心とした引張応力が生じ、素線Uが目標部位で劈開して切断されて、端面Eが形成される(図3(b))。この光ファイバ切断工程の完了後、押圧部18は初期位置に戻されて、次の光ファイバ切断工程を待機する。なお、押圧部18の押圧面48には、刃部16の刃先42との不注意による衝突を回避するとともに、切断直後の光ファイバ素線Uの端面Eを汚損しないようにするためのスロットを設けることができる。
【0029】
上記した光ファイバ切断装置10による切断工程を実施可能な光ファイバFは、図4(a)に示すように、コアC1及びクラッドC2のうち少なくともコアC1が石英又は多成分ガラスからなる素線Uを、樹脂製の被覆Sで覆ったものである。光ファイバ切断装置10では、このような光ファイバFに対し、素線Uの切断面に鏡面状の直交端面Eを形成できるように、クランプ部14と刃部16との相対位置関係が、素線Uの外径寸法(例えば国際標準寸法)に対応して予め設定されている。さらに光ファイバ切断装置10は、素線Uの外径寸法と同一の外径寸法を有する素線U´であって、被覆Sの除去時にクラッドC2の外表面を保護するための恒久的な(すなわち容易には除去されない)樹脂製の保護皮膜C3を有する素線U´を備えた光ファイバF´(図4(b))に対しても、クランプ部14と刃部16との相対位置関係の設定を変更することなく、鏡面状の直交端面Eを素線U´の切断面に形成できるように構成される。
【0030】
すなわち光ファイバ切断装置10は、本発明の特徴的構成として、刃部16及び押圧部18から独立して基部12に対し移動可能に設置される補助支持部54をさらに備える。補助支持部54は、基部12上で作用位置に配置でき、この作用位置で、保護皮膜C3を有する光ファイバ素線U´を一対のクランプ部14と協働して支持する。光ファイバ切断装置10は、互いに同一外径寸法の異種光ファイバ素線U、U´に対し、補助支持部54を作用位置と非作用位置との間で適宜移動させて切断工程を実施することにより、それら光ファイバ素線U、U´をいずれも高精度に切断することができる。
【0031】
補助支持部54は、図示実施形態では、シート、フィルム、箔等を含む薄板状の素材から所定輪郭に成形された薄板部材56から構成される。図5に示すように、薄板部材56は、補助支持部54の作用位置において一対のクランプ部14の間に局所的に延設されるようになっている一対のファイバ支持面58を、その一表面の所定領域に分散的に有する。それらファイバ支持面58は、薄板部材56が上記作用位置にあるときに、一対のクランプ部14の間に架け渡して支持される光ファイバ素線U´の、ファイバ切断位置Pから離れた一対の第1局所長さ部分L1(図7参照)に接触するように配置される。
【0032】
薄板部材56はまた、それらファイバ支持面58の間に隣接して形成される貫通穴からなる逃げ領域60と、両ファイバ支持面58の外側に隣接して形成される一対の被支持領域62とをさらに有する。逃げ領域60は、薄板部材56が作用位置にあるときに、ファイバ切断位置Pを通って延びる光ファイバ素線U´の第2局所長さ部分L2(図7参照)との接触を回避するように作用する。また、一対の被支持領域62は、薄板部材56が作用位置にあるときに、光ファイバ素線U´とともに一対のクランプ部14にそれぞれ支持されるように作用する。
【0033】
薄板部材56にはさらに、一方の被支持領域62の外側に延設される端部領域に、板厚方向へ貫通する取付孔64が形成される。取付孔64は、蓋部30の所望位置(図では一方の第2クランプ部材36の近傍)に突設した支柱66を摺動自在に受容するようになっており、それにより薄板部材56が、蓋部30に対し、支柱66を中心としてファイバ支持面58に平行な方向へ回転可能に取り付けられる。なお、蓋部30の支柱66には、蓋部30上で第2クランプ部材36のクランプ面36aと略同一高さの位置に、薄板部材56の取付孔64の縁を脱着可能に嵌着する周方向溝(図示せず)を形成することができる。また、薄板部材56を、蓋部30に取り付ける代わりに、基部12の例えば第2基台22に取り付けることもできる。
【0034】
上記した薄板部材56を有する補助支持部54の作用を、図7及び図8を参照して以下に説明する。
補助支持部54を構成する薄板部材56は、保護皮膜を有さない光ファイバFに対して前述した切断工程(図3)を実施する際には、蓋部30上で図1に示す非作用位置に置かれる。そして、薄板部材56が非作用位置にある状態で、保護皮膜付きの光ファイバF´に対し同様の切断工程を実施しようとすると、一対のクランプ部14の間に架け渡して支持した光ファイバ素線U´は、その表面に刃部16の刃先42を当接したときに、受傷し難い硬質の保護皮膜C3が刃先42に押されて、素線U´自体が各クランプ部14に対し僅かに摺動しつつ(矢印α)容易に撓んでしまう(図7(a))。その結果、クラッドC2と刃先42との間の距離が保護皮膜C3の厚みの分だけ拡大されている(図4)ことと相俟って、刃先42をクラッドC2に必要十分な量だけ切り込ませることが困難になる。
【0035】
そこで、光ファイバF´に対し切断工程を実施する際には、薄板部材56を、図1の非作用位置から蓋部30上で支柱66を中心に回転させて、一対の被支持領域62が、一対の第2クランプ部材36に重畳する位置に置く(図8)。この状態で、蓋部30を基部12に対し閉位置に動作させることにより、薄板部材56が作用位置に配置され、ファイバ保持部材24により基部12上で所定位置に位置決めされている光ファイバ素線U´が、それ自体と一対の第2クランプ部材36との間に薄板部材56を介在させて、両クランプ部14の間に架け渡して支持される(図7(b))。この作用位置で、薄板部材56の一対の被支持領域62は、光ファイバ素線U´と両第2クランプ部材36のクランプ面36aとの間に挟持され、一対のファイバ支持面58は、両クランプ部14に隣接する光ファイバ素線U´の一対の局所長さ部分L1にそれぞれ接触する。
【0036】
この状態で、刃部16を初期位置(図2)から移動させて刃先42を光ファイバ素線U´の表面に当接すると、薄板部材56の両ファイバ支持面58が、下方からの刃先42の当接力を上方で受け止める素線U´の一方向固定支点として作用するので、一対のクランプ部14の相互間隔が縮減されたと同等の効果を奏して、刃先42から保護皮膜C3に加わる切込荷重が効果的に増加する(荷重は支点間距離の3乗に反比例する)。それに伴い、光ファイバ素線U´の第2局所長さ部分L2の撓み量も低減する(図7(b))。その結果、刃部16の刃先42が、ファイバ切断位置Pにおいて、光ファイバ素線U´の保護皮膜C3を確実に貫通し、刃先42をクラッドC2に必要十分な量だけ切り込ませることができる。なお、この傷付け作業中、薄板部材56は逃げ領域60によって、光ファイバ素線U´の第2局所長さ部分L2との接触を回避しているから、傷付け作業を繰り返しても、刃部16の刃先42に過剰な摩擦負荷が掛かることは回避され、刃先寿命の低下が防止される。
【0037】
上記傷付け作業の後に、刃部16を素線Uに対し初期位置とは反対側に離隔配置した状態で、押圧部18を初期位置(図8)から、クランプ部14に支持されたままの光ファイバ素線U´に接近する方向へ揺動させる。ここで、押圧面48を有する押圧部先端の膨出部分は、光ファイバ素線U´と共に両クランプ部14に支持された薄板部材56の逃げ領域60を非接触に通り抜けるように、予め寸法設定される。それにより押圧面48は、ファイバ切断位置Pにおいて、刃部16による傷とは反対側の素線U´の表面に対し、例えば人手による押圧力fを素線U´の軸線に略直交する方向へ負荷することができる。その結果、光ファイバ素線U´に、傷を中心とした引張応力が生じ、素線U´が目標部位で劈開して切断されて、端面Eが形成される(図7(c))。
【0038】
補助支持部54を構成する薄板部材56は、上記した所要の支点間距離縮減作用を発揮できるように、予め選定した材質、形状、寸法を備えて作製される。この支点間距離縮減効果は、一対のクランプ部14の予め定めた相互間隔、切断対象となる光ファイバ素線U´のクラッドC2の外径及び保護皮膜C3の厚み、光ファイバ素線U´のヤング率等によって左右されるものである。薄板部材56の材料としては、金属、樹脂、ゴム、紙、布等の、所望厚みで所望外形に容易に成形可能な種々の材料を採用できる。また、薄板部材56のファイバ支持面58の寸法(特に光ファイバ素線U´の局所長さ部分L1に対応する寸法)は、薄板部材56の材料と素線U´に要求される撓み抑制量とを考慮して適宜設定できる。さらに、薄板部材56の望ましくない変形を排除するために、光ファイバ素線U´に当接されない部位で薄板部材56を局部的に折り曲げたりリブ状又はフレーム状の肉厚部分を局部的に形成したりして、薄板部材56の強度を増加させることもできる。なお、構成(素線の外径寸法等)の異なる多種類の光ファイバに対して、補助支持部54を用いた高精度の切断工程を実施できるようにするために、多様な材質、形状、寸法を備える多種類の薄板部材56を用意しておくことが有利である。
【0039】
さらに、薄板部材56の各被支持領域62は、薄板部材56が作用位置にあるときに、支持対象の光ファイバ素線U´の軸線に直交する方向において各クランプ部14の第1及び第2クランプ部材34、36に取着した弾性片40から食み出さない寸法を有することが望ましい(図9)。このような構成によれば、光ファイバ素線U´と薄板部材56の被支持領域62とが、第1及び第2クランプ部材34、36の弾性片40にそれぞれ食い込んで、両クランプ部材34、36のクランプ面34a、36aが互いに確実に密接し、結果として蓋部30を本体12に対し所定の閉位置に保持できるようになる。
【0040】
このように、上記構成を有する光ファイバ切断装置10によれば、保護皮膜を有さない一般的な光ファイバFに対し高精度の切断工程を実施できるようにクランプ部14と刃部16との相対位置関係が事前設定されている場合であっても、この事前設定を変更することなく、補助支持部54の薄板部材56を作用位置に置くだけで、素線Uと同一外径寸法の素線U´を有する保護皮膜付き光ファイバF´に対し、素線U´の切断面に鏡面状の直交端面Eを確実に形成することができる。補助支持部54は、単純構造で安価な薄板部材56から構成されるので、切断装置の構造の複雑化及び価格の高騰といった問題は生じない。特に薄板部材56は、その被支持領域62を両クランプ部14によって強固にクランプするだけで、基部12上でのファイバ支持面58の位置(高さ)を精密に規定できるので、従来構造の光ファイバ切断装置に高精度の補助支持部54を安価に追加することができる。また、ファイバ切断作業に際し、前述した所要の支点間距離縮減作用を発揮できるように予め選定した材質、形状、寸法を有する薄板部材56を、素線U´と共に両クランプ部14に挟持するだけで、通常の刃部操作により刃部16の刃先42を素線U´のクラッドC2に必要十分に切り込ませることができるので、作業者の熟練によらず高精度の切断作業を実施できる。さらに、薄板部材56の損耗に関し、蓋部30に装着される薄板部材56を容易に交換できる構成とすることにより、メンテナンス作業が煩雑化する懸念は無くなる。
【0041】
上記実施形態における薄板部材からなる補助支持部54は、様々な構成を有することができる。
例えば図10に示すように、薄板素材から対称形状に打ち抜いて形成された1枚の薄板部材68を、基部12及び蓋部30から独立した部材として取り扱うことができる。図示の薄板部材68は、一対のファイバ支持面70と、それらファイバ支持面70の間に隣接して中央に形成される貫通穴からなる逃げ領域72と、両ファイバ支持面70の外側に隣接して形成される一対の被支持領域74とを有する。薄板部材68は、保護皮膜付き光ファイバF´の切断工程に際し、前述した作用位置に置いて(すなわち素線U´と共に一対のクランプ部14に支持して)使用することができる。
【0042】
また、図11に示すように、中央の逃げ領域76に隣接してその両側に形成される一対のファイバ支持面78と、それらファイバ支持面78とは異なる位置で逃げ領域76に隣接してその両側に形成される一対の溝部分80とを有する薄板部材82を採用することもできる。この薄板部材82は、一対の溝部分80が、刃部16の移動方向に整列してその移動経路に対向配置されるように方向付けして、前述した作用位置に置かれる。したがってこれら溝部分80は、前述した刃部16による素線傷付け作業の間、作用位置にある薄板部材82とファイバ切断位置Pの近傍で移動する刃部16の刃先42との相互接触を回避するように作用する。それにより、刃部16の刃先42の高さが、第1クランプ部材34のクランプ面34a(図3)の高さ以上に設定されている場合であっても、薄板部材82と刃先42との相互接触を確実に回避でき、両者の損傷を未然に防止できる。
【0043】
さらに、図11に示すように、一対のファイバ支持面78を、それらの外側に設けた被支持領域84の表面に対して膨出するように形成することもできる。このような構成によれば、薄板部材82を作用位置に置いたときに、両ファイバ支持面78が両第1クランプ部材34のクランプ面34aよりも低く(すなわち刃部16に近接して)配置される。したがって、刃部16による素線傷付け作業に際し、両クランプ部14の間に架け渡される光ファイバ素線U´の局所長さ部分L1及びL2が、両ファイバ支持面78に沿って刃部16に接近する方向へ強制的に撓められる。その結果、光ファイバ素線U´のクラッドC2と刃部16の刃先42との距離が短縮され、刃先42をクラッドC2に一層確実に切り込ませることができる。また、クラッドC2と刃先42との距離を短縮した分、両ファイバ支持面78の寸法(特に素線U´の局所長さ部分L1に対応する寸法)を縮小でき、逃げ領域76の寸法(特に素線U´の局所長さ部分L2に対応する寸法)を拡大できる。
【0044】
上記した独立部材としての薄板部材68、82は、所望により両面粘着テープ等を用いて、両クランプ部14の第2クランプ部材36のクランプ面36aに適宜固定して使用することができる。その代わりに、或いはそれに加えて、図12に示すように、基部12及び蓋部30から独立した薄板部材86に、一対のクランプ部14の第2クランプ部材36を抱持可能な一対の弾性腕88を設けることもできる。この薄板部材86は、両弾性腕88を介して一対の第2クランプ部材36に着脱自在に取り付けることにより、前述した作用位置に配置できる(図13参照)。
【0045】
なお、薄板部材86は、膨出形状の一対のファイバ支持面90と、それらファイバ支持面90の間に隣接して中央に形成される貫通穴からなる逃げ領域92と、両ファイバ支持面90の外側に隣接して形成される一対の被支持領域94と、ファイバ支持面90とは異なる位置で逃げ領域92の両側に形成される一対の溝部分96とを有し、上記した薄板部材82と同等の作用効果を奏する。ここで、膨出形状のファイバ支持面78、90の形成方法として、図11に示すように、薄板部材82の厚みを局所的に増加させる方法や、図12に示すように、薄板部材86の一部分を折曲する方法を提案できる。
【0046】
独立した薄板部材のその他の変形例として、図14に示すように、それぞれに膨出形状のファイバ支持面98と平坦な被支持領域100とを有する2個の薄板部材102を、両者間に逃げ領域104が形成されるようにして作用位置に配置する構成(図14(a)及び(b))、全体として平板からなる薄板部材106の中央に薄肉部分を形成することにより、凹所からなる逃げ領域108を設けた構成(図14(c)及び(d))、全体として平板からなる薄板部材110の中央に設けた貫通穴からなる逃げ領域112の両側に薄肉部分を形成することにより、凹所としての一対の溝部分114を設けた構成(図14(e)及び(f))等を提案できる。
【0047】
これらのうちで、特に薄板部材106は、少なくとも逃げ領域108を形成する薄肉部分に十分な可撓性を有するように、樹脂フィルムやゴム板から作製されることが好ましい。この構成によれば、切断工程中の前述した押圧部18による素線押圧(切断)作業に際し、薄板部材106を作用位置から移動することなく、押圧面48による押圧力を、薄肉部分の変形により素線U´に確実に伝えることができる。しかし、素線押圧(切断)作業に際して、一旦蓋部30を基部12に対し開位置に移動させて、薄板部材を作用位置から離脱させる行為が許容される場合は、押圧部18の押圧面による押圧作用を妨げる構成の薄板部材であっても、本発明で採用できるものとする。
【0048】
薄板部材からなる補助支持部54は、例えば図15に示すように、ファイバ保持部材24に取り付けて使用する構成とすることもできる。図示の例では、図11に示す薄板部材82が、その一方の被支持領域84の端縁で、ファイバ保持部材24の挟持板28の、素線導出側の端縁に固定されている(図15(a))。この構成では、光ファイバF´を保持したファイバ保持部材24(図15(b))を基部12上に搭載して、素線U´を一対のクランプ部14に対し適正位置に位置決めすると同時に、薄板部材82が作用位置に自動的に配置される。
【0049】
上記した実施形態及び種々の変形例では、薄板部材からなる補助支持部54は、その作用位置で、一対のクランプ部14に支持される光ファイバ素線U´に対し、ファイバ切断位置Pを通る刃部16の刃先42とは反対側に配置されるように構成している。しかし本発明は、これとは反対に、薄板部材からなる補助支持部54を、その作用位置で、一対のクランプ部14に支持される光ファイバ素線Uに対し、ファイバ切断位置Pを通る刃部16の刃先42と同一側に配置する構成とすることもできる。後者の構成によれば、例えば光ファイバ切断装置10が、保護皮膜付きの光ファイバF´に対し高精度の切断工程を実施できるようにクランプ部14と刃部16との相対位置関係が事前設定されている場合に、補助支持部54の薄板部材を作用位置に置くことにより、両クランプ部14に支持される光ファイバ素線とファイバ切断位置Pにおける刃部16の刃先42との距離を容易に拡大することができる。したがって、そのような光ファイバF´用の事前設定を変更することなく、補助支持部54の薄板部材を作用位置に置くだけで、素線U´と同一外径寸法の素線Uを有する保護皮膜無しの光ファイバFに対し、素線Uに対する過剰な切込を回避して、その切断面に鏡面状の直交端面Eを確実に形成することができる。
【0050】
上記した種々の変形例の説明から類推されるように、本発明に係る光ファイバ切断方法は、刃部及び押圧部を集約的に備えた切断装置によって実施することを必須要件とするものではない。本発明に係る光ファイバ切断方法を、上記第1実施形態に則して説明すると、まず、光ファイバ素線U、U´をそれぞれに支持可能な一対のクランプ部14を用意して、それらクランプ部14を両者間に予め定めた間隔を空けて配置する。他方、両クランプ部14と協働して光ファイバ素線U´を支持可能な一対のファイバ支持面58を有する補助支持部材(すなわち薄板部材56)を用意する。次に、一対のクランプ部14の間に、光ファイバ素線U´を架け渡して支持する。そして、薄板部材56を両クランプ部14に対して、それらクランプ部14の間に延びる光ファイバ素線U´の一対の局所長さ部分L1のそれぞれにファイバ支持面58が接触するように、固定的に配置する。その状態で、両クランプ部14の間で、光ファイバ素線U´の局所長さ部分L1に隣接する第2局所長さ部分L2の目標部位の表面に、所望の刃により、素線U´の軸線に略直交する方向へ局部的に傷を付ける。最後に、両クランプ部14の間で、所望の押圧面により、光ファイバ素線U´の第2局所長さ部分L2に径方向への押圧力を加えて、素線U´を目標部位で劈開させて切断する。
【0051】
図16は、本発明の第2の実施形態による光ファイバ切断装置120を示す。光ファイバ切断装置120は、補助支持部の構成以外は、第1実施形態による光ファイバ切断装置10と実質的同一の構成を有する。したがって、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。なお、光ファイバ切断装置120では、保護皮膜を有さない光ファイバF(図4(a))に対し高精度の切断工程を実施できるように、クランプ部14と刃部16との相対位置関係が事前設定されている。
【0052】
光ファイバ切断装置120は、本発明の特徴的構成として、刃部16及び押圧部18から独立して基部12に対し移動可能に設置される補助支持部122を備える。補助支持部122は、基部12上で作用位置に配置でき、この作用位置で、保護皮膜C3を有する光ファイバ素線U´(図4(b))を一対のクランプ部14と協働して支持する。光ファイバ切断装置120は、互いに同一外径寸法の異種光ファイバ素線U、U´に対し、補助支持部122を作用位置と非作用位置との間で適宜移動させて切断工程を実施することにより、それら光ファイバ素線U、U´をいずれも高精度に切断することができる。
【0053】
補助支持部122は、所定形状に一体成形された駒部材124から構成される。図17に示すように、駒部材124は、摘み126aを有する基板部分126と、基板部分126から互いに略平行に延設される一対の脚部分128とを備え、それら脚部分128の先端面に、補助支持部122の作用位置において一対のクランプ部14の間に局所的に延設されるようになっているファイバ支持面130をそれぞれ有する。それらファイバ支持面130は、駒部材124が上記作用位置にあるときに、一対のクランプ部14の間に架け渡して支持される光ファイバ素線U´の、ファイバ切断位置Pから離れた一対の局所長さ部分L1(図19参照)に接触するように配置される。
【0054】
駒部材124は、一対の脚部分128の間に、両ファイバ支持面130に隣接して形成される逃げ領域132を有する。逃げ領域132は、駒部材124が作用位置にあるときに、ファイバ切断位置Pを通って延びる光ファイバ素線U´の第2局所長さ部分L2(図19参照)との接触を回避するように作用する。駒部材124は、基板部分126を蓋部30の外面(図16で上面)に接触可能に配置するとともに、両脚部分128を蓋部30の一対の第2クランプ部材36に隣接させて、蓋部30の切欠き38に嵌入され、摩擦等により切欠き38内に摺動可能に保持される。駒部材124を蓋部30に取り付けた状態で、両脚部分128の間の逃げ領域132は、蓋部30が基部12上で閉位置にあるときに、押圧部18の揺動腕部分を非接触に受容する。
【0055】
上記した駒部材124を有する補助支持部122の作用を、図18及び図19を参照して以下に説明する。
まず、保護皮膜を有さない光ファイバF(図4(a))に対して切断工程を実施する際には、図18(a)に示すように、補助支持部122を構成する駒部材124は、例えば摘み126aを手動操作することにより、蓋部30上で基板部分126が蓋部30から離隔する非作用位置に置かれる。この非作用位置では、蓋部30を基部12に対し閉位置に動作させたときに、駒部材124の両脚部分128は、各々の先端のファイバ支持面130を、一対のクランプ部14の間に架け渡された光ファイバ素線Uから離隔して、蓋部30上に配置される。この状態で、基部12上で刃部16を直動操作して、その刃先42により、ファイバ切断位置Pにある素線Uのクラッド外表面に、素線Uの軸線に略直交する方向への傷(すなわち切込)を付ける(図18(b))。次いで、押圧部18を揺動操作して、その押圧面48により、光ファイバ素線Uに押圧力を負荷し、目標部位で劈開させて切断する(図3(b)参照)。なお、刃部16及び押圧部18による作用は、前述した光ファイバ切断装置10による切断工程におけるものと同様である。
【0056】
他方、保護皮膜付きの光ファイバF´(図4(b))に対し切断工程を実施する際には、蓋部30を基部12上で閉位置に配置して一対のクランプ部14に光ファイバ素線U´を支持する前又は後に、駒部材124を、図18の非作用位置から蓋部30の切欠き38内で摺動させて、基板部分126が蓋部30の外面に接触する位置に置く(図19(a))。それにより、駒部材124は作用位置に配置され、その両脚部分128の先端のファイバ支持面130が、一対のクランプ部14の間に架け渡された光ファイバ素線U´の、両クランプ部14に隣接する一対の局所長さ部分L1にそれぞれ接触する。
【0057】
この状態で、刃部16を基部12上で直動操作して刃先42を光ファイバ素線U´の表面に当接すると、駒部材124の両ファイバ支持面130が、下方からの刃先42の当接力を上方で受け止める素線U´の一方向固定支点として作用して、刃先42から保護皮膜に加わる切込荷重を効果的に増加させるとともに、素線U´の第2局所長さ部分L2の撓み量を低減させる(図19(b))。その結果、刃部16の刃先42が、ファイバ切断位置Pにおいて、光ファイバ素線U´の保護皮膜を確実に貫通し、刃先42をクラッドに必要十分な量だけ切り込ませることができる。なお、この傷付け作業中、駒部材124は逃げ領域132によって、光ファイバ素線U´の第2局所長さ部分L2との接触を回避しているから、傷付け作業を繰り返しても、刃部16の刃先42に過剰な摩擦負荷が掛かることは回避され、刃先寿命の低下が防止される。
【0058】
次いで、押圧部18を揺動操作して、その押圧面48により、光ファイバ素線Uに押圧力を負荷し、目標部位で劈開させて切断する(図7(c)参照)。なお、刃部16及び押圧部18による作用は、前述した光ファイバ切断装置10による切断工程におけるものと同様である。
【0059】
補助支持部122を構成する駒部材124は、上記した所要の支点間距離縮減作用を発揮できるように、予め選定した材質、形状、寸法を備えて作製される。駒部材124の材料としては、金属、樹脂等の、切断工程中に少なくともファイバ支持面130の形状を維持可能な剛性を有する種々の材料を採用できる。また、駒部材124のファイバ支持面130の寸法(特に光ファイバ素線U´の局所長さ部分L1に対応する寸法)は、素線U´に要求される撓み抑制量を考慮して適宜設定できる。また、駒部材124のファイバ支持面130は、両クランプ部14から若干離れた位置で素線U´の所望の局所長さ部分を支持するようにも構成できる。なお、構成(素線の外径寸法等)の異なる多種類の光ファイバに対して、補助支持部122を用いた高精度の切断工程を実施できるようにするために、多様な材質、形状、寸法を備える多種類の駒部材124を用意しておくことが有利である。
【0060】
このように、上記構成を有する光ファイバ切断装置120によっても、前述した光ファイバ切断装置10と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。特に光ファイバ切断装置120によれば、それ自体に剛性を有する駒部材124から構成される補助支持部122を採用したから、前述した薄板部材56からなる補助支持部54に比べて、補助支持部122の保管、メンテナンス等の取り扱いが一層容易になる利点がある。なお、駒部材124は、図示の構成に代えて、蓋部30に対し回動式に移動可能な構成とすることもできる。
【0061】
図20は、本発明の第3の実施形態による光ファイバ切断装置140を示す。光ファイバ切断装置140は、補助支持部の構成以外は、第1実施形態による光ファイバ切断装置10と実質的同一の構成を有する。したがって、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。なお、光ファイバ切断装置140では、保護皮膜を有さない光ファイバF(図4(a))に対し高精度の切断工程を実施できるように、クランプ部14と刃部16との相対位置関係が事前設定されている。
【0062】
光ファイバ切断装置140は、本発明の特徴的構成として、刃部16及び押圧部18から独立して基部12に対し移動可能に設置される補助支持部142を備える。補助支持部142は、基部12上で作用位置に配置でき、この作用位置で、保護皮膜C3を有する光ファイバ素線U´(図4(b))を一対のクランプ部14と協働して支持する。光ファイバ切断装置140は、互いに同一外径寸法の異種光ファイバ素線U、U´に対し、補助支持部142を作用位置と非作用位置との間で適宜移動させて切断工程を実施することにより、それら光ファイバ素線U、U´をいずれも高精度に切断することができる。
【0063】
図21に示すように、補助支持部142は、それぞれに回転軸線144aを有する一対の円板部材144から構成される。それら円板部材144は、図示しない枢軸を介して、回転軸線144aを中心にそれぞれ独立して回転可能に蓋部30に装着される。両円板部材144は、蓋部30の切欠き38内で、一対の第2クランプ部材36に隣接して配置される。図22に示すように、各円板部材144は、回転軸線144aを中心として扇形に区画された複数の扇形領域146を有する。それら扇形領域146は、互いに異なる厚み(軸線方向寸法)を有し、それにより個々の扇形領域146の径方向外端面(すなわち円板部材144の外周面)に、互いに軸線方向寸法の異なる略平坦なファイバ支持面148がそれぞれ形成される。それらファイバ支持面148は、例えばそれぞれの周方向中央部位で、回転軸線144aから互いに同一距離の位置に配置される。さらに、所望の1つの扇形領域146(図では最も薄い扇形領域146)の径方向外端面には、ファイバ支持面148よりも回転中心(すなわち軸線144a)に近い位置に偏倚して配置される非作用面150が形成される。
【0064】
両円板部材144の個々のファイバ支持面130は、円板部材144が上記作用位置にあるときに、一対のクランプ部14の間に架け渡して支持される光ファイバ素線U´の、ファイバ切断位置Pから離れた一対の局所長さ部分L1(図23参照)にそれぞれ接触するように配置される。また、蓋部30に装着された両円板部材144の間の空間は、円板部材144が作用位置にあるときに、ファイバ切断位置Pを通って延びる光ファイバ素線U´の第2局所長さ部分L2(図23参照)との接触を回避する逃げ領域として作用する。各円板部材144は、蓋部30上で例えば切欠き38の輪郭面に対する摩擦により、所望のファイバ支持面148が第2クランプ部材36のクランプ面36aに同一平面状に隣接する回転位置に保持される。なお、両円板部材144の間の空間は、蓋部30が基部12上で閉位置にあるときに、押圧部18の揺動腕部分を非接触に受容する。
【0065】
上記した円板部材144を有する補助支持部122の作用を、図23を参照して以下に説明する。
まず、保護皮膜を有さない光ファイバF(図4(a))に対して切断工程を実施する際には、図23(a)に示すように、各円板部材144を例えば手動で回転させることにより、蓋部30上で非作用面150が第2クランプ部材36のクランプ面36aに隣接する非作用位置に置かれる。この非作用位置では、蓋部30を基部12に対し閉位置に動作させたときに、各円板部材144の非作用面150は、一対のクランプ部14の間に架け渡された光ファイバ素線Uから離隔して配置される。この状態で、基部12上で刃部16を直動操作して、その刃先42により、ファイバ切断位置Pにある素線Uのクラッド外表面に、素線Uの軸線に略直交する方向への傷(すなわち切込)を付ける。次いで、押圧部18を揺動操作して、その押圧面48により、光ファイバ素線Uに押圧力を負荷し、目標部位で劈開させて切断する(図3(b)参照)。なお、刃部16及び押圧部18による作用は、前述した光ファイバ切断装置10による切断工程におけるものと同様である。
【0066】
他方、保護皮膜付きの光ファイバF´(図4(b))に対し切断工程を実施する際には、蓋部30を基部12上で閉位置に配置して一対のクランプ部14に光ファイバ素線U´を支持する前又は後に、各円板部材144を、図23(a)の非作用位置から蓋部30の切欠き38内で回転させて、所望のファイバ支持面148が第2クランプ部材36のクランプ面36aに隣接する位置に置く(図23(b))。それにより、両円板部材144は作用位置に配置され、それぞれの所望のファイバ支持面148が、一対のクランプ部14の間に架け渡された光ファイバ素線U´の、両クランプ部14に隣接する一対の局所長さ部分L1にそれぞれ接触する。
【0067】
この状態で、刃部16を基部12上で直動操作して刃先42を光ファイバ素線U´の表面に当接すると、両円板部材144のファイバ支持面148が、下方からの刃先42の当接力を上方で受け止める素線U´の一方向固定支点として作用して、刃先42から保護皮膜に加わる切込荷重を効果的に増加させるとともに、素線U´の第2局所長さ部分L2の撓み量を低減させる(図23(b))。その結果、刃部16の刃先42が、ファイバ切断位置Pにおいて、光ファイバ素線U´の保護皮膜を確実に貫通し、刃先42をクラッドに必要十分な量だけ切り込ませることができる。なお、この傷付け作業中、両円板部材144の間の空間が逃げ領域として作用して、光ファイバ素線U´の第2局所長さ部分L2との接触を回避しているから、傷付け作業を繰り返しても、刃部16の刃先42に過剰な摩擦負荷が掛かることは回避され、刃先寿命の低下が防止される。
【0068】
次いで、押圧部18を揺動操作して、その押圧面48により、光ファイバ素線Uに押圧力を負荷し、目標部位で劈開させて切断する(図7(c)参照)。なお、刃部16及び押圧部18による作用は、前述した光ファイバ切断装置10による切断工程におけるものと同様である。
【0069】
補助支持部142を構成する各円板部材144は、上記した所要の支点間距離縮減作用を発揮できるように、予め選定した材質、形状、寸法を備えて作製される。円板部材144の材料としては、金属、樹脂等の、切断工程中に少なくともファイバ支持面148の形状を維持可能な剛性を有する種々の材料を採用できる。また、各円板部材144の個々のファイバ支持面148の寸法(特に光ファイバ素線U´の局所長さ部分L1に対応する寸法)は、構成(素線の外径寸法等)の異なる多種類の光ファイバの素線に要求される撓み抑制量を考慮して、多様な寸法に適宜設定できる。
【0070】
このように、上記構成を有する光ファイバ切断装置140によっても、前述した光ファイバ切断装置10と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。特に光ファイバ切断装置140によれば、それ自体に剛性を有する円板部材144から構成される補助支持部142を採用したから、前述した薄板部材56からなる補助支持部54に比べて、補助支持部142の保管、メンテナンス等の取り扱いが一層容易になる利点がある。さらに、1種類の円板部材144を用意するだけで、構成(素線の外径寸法等)の異なる多種類の光ファイバに対し、補助支持部142を用いた高精度の切断工程を実施できるようになる利点がある。
【0071】
以上、本発明の好適な実施形態を、保護皮膜の有無により素線構造が相違する光ファイバF、F´に関連して説明した。しかし本発明は、そのような適用に限定されるものではなく、コア及びクラッドの材質が異なる素線構造(石英コア/石英クラッド、石英コア/樹脂クラッド、多成分ガラスコア/多成分ガラスクラッド等)の光ファイバを、1つの切断装置で切断しようとする際にも適用できることは理解されよう。
【0072】
【実施例】
〔実験1〕
図1に示す光ファイバ切断装置10において、保護皮膜無しの光ファイバFの切断用に最適化された条件下で、厚み0.08mmの真鍮箔製の薄板部材56を補助支持部54に採用して、保護皮膜付きの光ファイバF´に対し切断工程を実施する実験を行った。薄板部材56は、逃げ領域60の寸法(図7でL2に対応する寸法)が5mm、4mm、3mm、2mm、1mmの異なる5種類のものを用意して、順次交換して切断工程を実施した。なお、これら薄板部材56の逃げ領域60は、押圧部18の押圧面48が通過できない寸法(特に1〜4mm)であるため、刃部16による傷付け作業の後、蓋部30を開位置に移動して薄板部材56を非作用位置に配置した。また、対象とした光ファイバF´は、石英クラッド径100μm、モードフィールド径9.2μmのシングルモード光ファイバ(3M社製)であり、クラッドC2の表面に厚み12.5μmの保護皮膜C3を形成して、素線U´の外径を国際標準値の125μmとしたものであった。被覆Sには紫外線硬化型樹脂を用いて、製品外径250μmとなっていた。
【0073】
上記実験では、1mm〜4mmの逃げ領域60を有する薄板部材56を作用位置に配置した場合に、保護皮膜付きの光ファイバF´の素線U´を高精度に切断することができた。他方、5mmの逃げ領域60を有する薄板部材56を作用位置に配置したとき、及び薄板部材56を作用位置に配置しなかったときには、保護皮膜付きの光ファイバF´の素線U´を切断することができなかった。
【0074】
〔実験2〕
図1に示す光ファイバ切断装置10において、保護皮膜無しの光ファイバFの切断用に最適化された条件下で、厚み0.08mmの真鍮箔製の薄板部材82(図11)を補助支持部54に採用して、保護皮膜付きの光ファイバF´に対し切断工程を実施する実験を行った。薄板部材82は、逃げ領域76の寸法(図7でL2に対応する寸法)が5mmのものを用意し、逃げ領域76の両側に厚み0.03mmの真鍮箔を貼り付けて膨出形状のファイバ支持面78を形成した。対象とした光ファイバF´は、実験1と同一であった。
【0075】
上記実験で、4本の保護皮膜付きの光ファイバF´に対して切断工程を実施したところ、いずれの切断工程でも、光ファイバ素線U´を高精度に切断することができた。素線U´に形成された端面Eの傾き(軸線に直交する平面に対して成す角度)は、平均0.8°、最大1.5°であった。
【0076】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、クランプ部間に架け渡した光ファイバ素線を、その表面に刃部の刃先で傷を付けた後に押圧して劈開させることにより切断する光ファイバ切断装置において、異なる素線構造を有する光ファイバのそれぞれに対し、クランプ部と刃部との相対位置関係を変更することなく、素線の切断面を鏡面状の直交端面形態に形成するに必要十分な寸法の傷を素線表面に容易かつ確実に付けることができ、しかも刃部の刃先寿命が低下する懸念を排除できる、汎用性を有した光ファイバ切断装置が提供される。
【0077】
さらに本発明によれば、クランプ部間に架け渡した光ファイバ素線を、その表面に傷を付けた後に押圧して劈開させることにより切断する光ファイバ切断方法において、異なる素線構造を有する光ファイバのそれぞれに対し、クランプ部の相互間隔を変更することなく、素線の切断面を鏡面状の直交端面形態に形成するに必要十分な寸法の傷を素線表面に容易かつ確実に付けることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による光ファイバ切断装置を、一使用形態で示す斜視図である。
【図2】図1の光ファイバ切断装置の主要部を模式図的に示す図である。
【図3】図1の光ファイバ切断装置の主要部を模式図的に示す図で、(a)刃部による傷付け作用、及び(b)押圧部による押圧作用のそれぞれを説明する図である。
【図4】図1の光ファイバ切断装置を使用できる光ファイバの断面図で、(a)保護皮膜無し、及び(b)保護皮膜付きのそれぞれの構造を示す。
【図5】図1の光ファイバ接続装置に装備される補助支持部の斜視図である。
【図6】図1の光ファイバ切断装置における補助支持部を示す拡大斜視図である。
【図7】図1の光ファイバ切断装置における補助支持部の作用を説明する図で、(a)補助支持部が非作用位置にあるときの刃部の傷付け作用、(b)補助支持部が作用位置に有るときの刃部の傷付け作用、及び(c)補助支持部が作用位置に有るときの押圧部の押圧作用をそれぞれ示す。
【図8】図1の光ファイバ切断装置を他の使用形態で示す斜視図である。
【図9】図1の光ファイバ切断装置におけるクランプ部の拡大図である。
【図10】補助支持部の変形例を示す斜視図である。
【図11】補助支持部の他の変形例を示す斜視図である。
【図12】補助支持部のさらに他の変形例を示す斜視図である。
【図13】図12の補助支持部による作用を説明する図である。
【図14】補助支持部の他の様々な変形例を示す図で、(a)平面図、(b)B−B断面図、(c)平面図、(d)D−D断面図、(e)平面図、及び(f)F−F断面図である。
【図15】補助支持部のさらに他の変形例を示す斜視図で、(a)ファイバ保持部材の開位置、及び(b)ファイバ保持部材の閉位置のそれぞれにおいて示す。
【図16】本発明の第2の実施形態による光ファイバ切断装置の斜視図である。
【図17】図16の光ファイバ接続装置に装備される補助支持部の斜視図である。
【図18】図16の光ファイバ切断装置における補助支持部の作用を説明する図で、(a)補助支持部が非作用位置にあるときの部分拡大斜視図、及び(b)補助支持部が非作用位置に有るときの刃部の傷付け作用を示す図である。
【図19】図16の光ファイバ切断装置における補助支持部の作用を説明する図で、(a)補助支持部が作用位置にあるときの部分拡大斜視図、及び(b)補助支持部が作用位置に有るときの刃部の傷付け作用を示す図である。
【図20】本発明の第3の実施形態による光ファイバ切断装置の斜視図である。
【図21】図20の光ファイバ接続装置における補助支持部を示す拡大斜視図である。
【図22】図20の光ファイバ接続装置に装備される補助支持部の斜視図である。
【図23】図20の光ファイバ切断装置における補助支持部の作用を説明する図で、(a)補助支持部が非作用位置にあるときの刃部の傷付け作用を示す図、及び(b)補助支持部が作用位置に有るときの刃部の傷付け作用を示す図である。
【符号の説明】
10、120、140…光ファイバ切断装置
12…基部
14…クランプ部
16…刃部
18…押圧部
24…ファイバ保持部材
30…蓋部
34…第1クランプ部材
36…第2クランプ部材
42…刃先
48…押圧面
54、122、142…補助支持部
56、68、82、86、102、106、110…薄板部材
58、70、78、90、98、130、148…ファイバ支持面
60、72、76、92、104、108、112、132…逃げ領域
62、74、84、94…被支持領域
80、96、114…溝部分
124…駒部材
128…脚部分
144…円板部材
146…扇形領域
150…非作用面
Claims (7)
- 基部と、互いに予め定めた間隔を空けて該基部に設置され、両者間に光ファイバ素線を架け渡して支持する一対のクランプ部と、該基部に対し移動可能に設置され、該一対のクランプ部材の間に規定されるファイバ切断位置に配置可能な刃先を有する刃部と、該刃部から独立して該基部に対し移動可能に設置され、該ファイバ切断位置に配置可能な押圧面を有する押圧部とを具備する光ファイバ切断装置において、
前記刃部及び前記押圧部から独立して前記基部に対し移動可能に設置され、前記一対のクランプ部と協働して光ファイバ素線を支持する作用位置に配置可能な補助支持部を具備し、
前記補助支持部は、前記作用位置で、前記一対のクランプ部の間に局所的に延設されるファイバ支持面を有し、該ファイバ支持面が、該一対のクランプ部の間に延びる光ファイバ素線の、前記ファイバ切断位置から離れた局所長さ部分に接触するように配置されること、
を特徴とする光ファイバ切断装置。 - 前記補助支持部は、前記ファイバ支持面と、前記ファイバ切断位置に置かれる前記光ファイバ素線の第2局所長さ部分との接触を回避するように該ファイバ支持面に隣接して形成される逃げ領域と、該光ファイバ素線とともに前記一対のクランプ部に支持されるように該ファイバ支持面に隣接して形成される被支持領域とを有する薄板部材を具備する請求項1に記載の光ファイバ切断装置。
- 切断対象の光ファイバを保持して前記基部に着脱自在に搭載されるファイバ保持部材をさらに具備し、前記薄板部材が該ファイバ保持部材に取り付けられる請求項2に記載の光ファイバ切断装置。
- 前記基部に開閉動作可能に連結される蓋部をさらに具備し、前記補助支持部は、前記ファイバ支持面を一端面に有して該蓋部に移動可能に取り付けられる駒部材を具備する請求項1に記載の光ファイバ切断装置。
- 前記基部に開閉動作可能に連結される蓋部をさらに具備し、前記補助支持部は、前記ファイバ支持面を外周面に有して該蓋部に回動可能に取り付けられる円板部材を具備する請求項1に記載の光ファイバ切断装置。
- 前記円板部材がその前記外周面に、回転軸線方向寸法の異なる複数の前記ファイバ支持面と、それらファイバ支持面よりも回転中心側へ偏倚して配置される非作用面とを有する請求項5に記載の光ファイバ切断装置。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の光ファイバ切断装置を用いて光ファイバを切断する方法であって、
前記一対のクランプ部の間に光ファイバ素線を架け渡して支持し、
前記補助支持部を前記一対のクランプ部に対して、それらクランプ部の間に延びる前記光ファイバ素線の第1局所長さ部分に前記ファイバ支持面が接触するように固定的に配置し、
前記一対のクランプ部の間で、前記光ファイバ素線の前記第1局所長さ部分に隣接する第2局所長さ部分の目標部位の表面に、該光ファイバ素線の軸線に略直交する方向へ局部的に傷を付け、
前記一対のクランプ部の間で、前記光ファイバ素線の前記第2局所長さ部分に径方向への押圧力を加えて、該光ファイバ素線を前記目標部位で切断すること、
を特徴とする方法。
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