JP5357740B2 - 光ファイバ切断装置及び光ファイバ切断方法 - Google Patents

光ファイバ切断装置及び光ファイバ切断方法 Download PDF

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Description

本発明は、光ファイバをクランプした後に切断する光ファイバ切断装置及び光ファイバ切断方法に関する。
近年、例えば光ファイバを利用した家庭用の高速データ通信サービス(FTTH)が進められている。光ファイバの接続損失(光のロス)の低減や歩留まりの向上を図るためには、切断時に光ファイバの切断面に傷が付くことを極力防止しなければならない。
光ファイバを切断する切断装置としては、例えば特許文献1等が提案されている。図8には、従来の光ファイバ切断装置によって光ファイバを切断した時の状態が示されている。この光ファイバ切断装置では、刃台101の上面101aにロウ付けして接合したダイヤモンドからなる切断刃102に、光ファイバ103をマクラと称される光ファイバ押付部材104で押し付けることにより、該光ファイバ103に傷を付けて切断するようになっている。
特開2000−56140号公報
しかしながら、従来の光ファイバ切断装置では、切断刃102全体を刃台101の上面101aに剥き出しで固定しているため、切断された光ファイバ103の切断端部103a、103bが刃先部分102Aに接触して損傷する。これは、ダイヤモンドの硬度が光ファイバ103の硬度よりも高いためである。
また、従来の光ファイバ切断装置では、切断刃102を刃台101にロウ付けしているため、切断刃102を切断装置本体に装着するときに刃台101を落下させた場合、落下時の衝撃で切断刃102が刃台101から外れることがある。この他、従来の光ファイバ切断装置では、ロウ付け時の高温により、切断刃102であるダイヤモンドが劣化或いは酸化を起こし刃先寿命が短くなる。
そこで、本発明は、切断後の切断刃との接触を無くして光ファイバの切断面の損傷を回避することのできる光ファイバ切断装置及び光ファイバ切断方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、光ファイバの2箇所をクランプした後、両クランプ間に設けた切断刃に該光ファイバを光ファイバ押付部材で押し付けて切断する光ファイバ切断装置であって、前記切断刃を固定する刃台を有し、該切断刃を刃台に埋め込むように圧入して固定すると共に刃先部分のみを該刃台の上面から突出させ、該刃台に切断後の光ファイバの切断端部を受け止める部位を設けたことを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光ファイバ切断装置であって、前記刃台の硬度を、前記光ファイバの硬度よりも低くしたことを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の光ファイバ切断装置であって、前記刃台をステンレス又は樹脂としたことを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の光ファイバ切断装置であって、前記切断刃を前記刃台に接着固定したことを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、光ファイバの2箇所をクランプした後、両クランプ間に設けた切断刃に該光ファイバを光ファイバ押付部材で押し付けて切断する光ファイバ切断方法であって、前記切断刃の刃先部分のみを該切断刃を固定する刃台の上面から突出させ、前記光ファイバ押付部材で前記光ファイバを前記刃先部分に押し付けて切断した後、切断後の光ファイバの切断端部を刃先部分に接触させずに該刃台に形成した受け部で受け止めることを特徴としている。
本発明の光ファイバ切断装置によれば、切断後の光ファイバの切断端部を受け止める部位を刃台に設けているので、切断後の切断端部が切断刃の刃先部分に接触することなく受け部で受け止めることができ、光ファイバの切断面への傷付きを回避することができる。また、本発明の光ファイバ切断装置によれば、切断刃を刃台に埋め込むように圧入して固定しているので、落下等の衝撃により切断刃が刃台から外れることが無い。
図1は本発明を適用した光ファイバ切断方法で光ファイバを切断する工程を説明するための簡略化した工程図である。 図2は図1の切断工程で光ファイバを切断した様子を示す拡大図である。 図3は本実施形態の光ファイバ切断装置の全体を示す斜視図である。 図4は本実施形態の光ファイバ切断装置で光ファイバを切断する工程を示す斜視図であり、光ファイバを下クランプの上に載せた状態を示す。 図5は本実施形態の光ファイバ切断装置で光ファイバを切断する工程を示す斜視図であり、切断レバーを倒して光ファイバを切断した状態を示す。 図6は本実施形態装置と従来装置で光ファイバを切断した時の切断刃の耐久性を表す実験データを示す図である。 図7は本実施形態装置と従来装置で光ファイバを切断した時の切断面の欠け発生回数を表す実験データを示す図である。 図8は従来の光ファイバ切断装置で光ファイバを切断する模式図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
[光ファイバ切断方法]
先ず、光ファイバを切断する方法について図1を参照して説明する。本発明の光ファイバ切断方法は、光ファイバ1をホルダ2で固定した後、バネ3で支持された刃台4に取り付けられた切断刃5を挟んでその両側に配置された2つのクランプ6(6A、6B)、7(7A、7B)でクランプした後(図1(A)参照)、マクラと称される光ファイバ押付部材8を押し下げて前記光ファイバ1を切断刃5に押し付けることにより切断する(図1(B)参照)。なお、フォルダ2で把持する部位は、ベアファイバである光ファイバ1を被覆した外被部分1Gである。
特に本発明の方法では、切断後の光ファイバ1の切断端部1a、1bを切断刃5の刃先部分に接触させずに刃台4に形成した受け部で受け止めることで、切断面に傷が付かないようにする。具体的には、図2に示すように、切断刃5の刃先部分5Aのみを該切断刃5を固定する刃台4の上面4aから突出させ、光ファイバ押付部材8で光ファイバ1を刃先部分5Aに押し付けて切断した後、切断後の光ファイバ1の切断端部1a、1bを刃先部分5Aに接触させずに該刃台4に形成した受け部9で受け止める。
このようにすることで、切断された光ファイバ1の両切断端部1a、1bは、何れも切断刃5の刃先部分5Aに接触することなく刃台4に形成された受け部9で受け止められることになる。したがって、切断時に両切断端部1a、1bが刃先部分5Aに接触して切断面に傷が付くことが無くなる。その結果、光ファイバ1の接続損失の向上が図れると共に光ファイバ切断加工における歩留まりを向上させることができる。
[光ファイバ切断装置]
次に、光ファイバ切断装置の構成について説明する。本実施形態の光ファイバ切断装置10は、図3ないし図5に示すように、光ファイバ1を切断する光ファイバ切断機構部11を有している。
光ファイバ切断機構部11は、ベース13と、このベース13に所定間隔を置いて固定される2つの下クランプ6A、7Aと、これら下クランプ6A、7A間に設けられた刃台4に取り付けられた切断刃5と、ベース13に対して回動軸14を中心として回動自在に取り付けられた切断レバー15と、この切断レバー15に設けられ、該切断レバー15をベース13に接近する方向に倒すことで前記切断刃5に光ファイバ1を押し付ける光ファイバ押付部材(通称マクラ)8と、切断レバー15に取り付けられた2つの上クランプ6B、7Bとからなる。
2つの下クランプ6A、7Aは、光ファイバ1の長手方向に所定間隔を置いて固定されている。一方の下クランプ6Aは、光ファイバ1を固定したホルダ2を装着させるホルダ装着部16と近い側に設けられている。他方の下クランプ7Aは、前記ホルダ装着部16から離れる側に設けられている。
切断刃5は、2つの下クランプ6A、7A間に配置された刃台4に取り付けられている。かかる切断刃5は、図2に示すように、尖った刃先部分5Aのなす角度θを例えば90度としたダイヤモンドからなる。この切断刃5は、刃台4の上面4aに形成された切断刃取付溝17に埋め込むように圧入して固定されると共に刃先部分5Aのみを該刃台4の上面4aから突出させている。前記刃先部分5Aの前記刃台4の上面4aからの突出高さHと突出幅Wは、例えばそれぞれ0.1mm程度とされている。この刃台4の上面4aから突出した刃先部分5Aで、前記光ファイバ1に傷を付けるようになっている。また、前記切断刃5は、前記刃台4に対して前記切断刃取付溝17から抜け出さないように確実に固定するために、接着剤にて固定されている。
前記刃台4には、切断後の光ファイバ1の切断端部1a、1bを受け止める部位である受け部9が形成されている。この受け部9は、前記刃先部分5Aの尖った先端から両側に傾斜する刃先傾斜面5A1、5A2の裾野部分を覆うように張り出して形成されている。前記刃台4は、該刃台4に形成された受け部9を含めてその全体が光ファイバ1の硬度(外被を剥がしたベアファイバ部分の硬度)よりも低くされている。この刃台4は、切断端部1a、1bを受け部9で受け止めた時に該切断端部1a、1bが傷付かないようにするために、光ファイバ1の硬度よりも低いステンレス等の金属やPOM(ポリアセタール)等の樹脂で形成されている。なお、刃台4は、図3から図5では図示されていないバネ3(図1参照)によって支持されている。
切断レバー15は、ベース13の手前から奥側に設けられた回動軸14を中心として回動自在に取り付けられている。この切断レバー15は、前記回動軸14を中心として先端側部をベース13に対して接近離反する方向に開閉自在とされている。切断レバー15は、例えば作業者が手の平で押すことにより前記ベース13に接近させ、接近後に手を離すことで復帰バネ(図示は省略する)で元の開状態に戻る。
光ファイバ押付部材8は、切断レバー15に設けられている。この光ファイバ押付部材8は、前記切断レバー15をベース13に対して接近して倒した時に前記切断刃5と対向する位置に設けられている。
2つの上クランプ6B、7Bは、切断レバー15に設けられた各アーム(図示は省略する)に取り付けられている。各アームは、切断レバー15に対して基端部を回動自在に取り付けると共に、該切断レバー15に設けられたそれぞれのストッパーに接触して前記2つの上クランプ6B、7Bの高さ位置を異なるように支持している。ホルダ装着部16に近い側の上クランプ6Bは、他方の上クランプ7Bに先行して光ファイバ1を下クランプ6Aに押し付けてクランプするようになっている。
また、2つのアームの先端側部と切断レバー15との間には、弾性部材であるバネがそれぞれ設けられている。各バネは、切断レバー15を倒して上クランプ6B、7Bで光ファイバ1を下クランプ6A、7Aに押し付けた時に撓み、その付勢力で光ファイバ1を下クランプ6A、7Aと上クランプ6B、7Bとで挟持してクランプするようになっている。
以上のように構成された光ファイバ切断装置10により光ファイバ1を切断するには、図4に示すように、光ファイバ1を固定したホルダ2をベース13に設けられたホルダ装着部16にセットした後、該光ファイバ1を下クランプ6A、7Aの上に載せる。
次に、開状態にある切断レバー15を手の平で押して図5に示すように閉じる。切断レバー15が閉じることで、ホルダ装着部16に近い側の一方の上クランプ6Bが他方の上クランプ7Bに先行して下クランプ6Aに光ファイバ1を押し付けてクランプすると共に、これに遅れて他方の上クランプ7Bが光ファイバ1を下クランプ7Aに押し付けてクランプする。
この状態から切断レバー15を更に押すことで、光ファイバ押付部材8が光ファイバ1を切断刃5に押し付けて切断する。光ファイバ1は、光ファイバ押付部材8に押されて先端が尖った刃先部分5Aに接触して切り傷が付けられる。そして、この光ファイバ1は、更に光ファイバ押付部材8に押されることで前記切り傷から破断して切断される。切断された光ファイバ1の切断端部1a、1bは、刃先部分5Aに接触することなく刃台4に形成された受け部9で受け止められる(図2参照)。
[実験例]
本実施形態の光ファイバ切断装置で光ファイバを切断した場合と、図8の従来装置で光ファイバを切断した場合の切断刃の耐久性を調べた。図6(A)は本実施形態の光ファイバ切断装置で光ファイバを切断したときの切断回数と切断角度(光ファイバ1の切断端部1a、1bの切断面角度)を測定した結果を示し、図6(B)は従来装置で光ファイバを切断した場合の切断回数と切断角度を測定した結果を示す。なお、切断角度は1度以下を目標角度とし、1度を超えた場合を切断不可と判断する。
従来装置で光ファイバを切断した場合は、2000回までは目標の切断角度で光ファイバを切断することができるが、それ以上は切断することができなった(図6(B)参照)。これに対して、本実施形態の光ファイバ切断装置で光ファイバを切断した場合は、従来装置の倍である4000回まで目標の切断角度で光ファイバを切断することができた(図6(A)参照)。つまり、本実施形態の光ファイバ切断装置によれば、切断刃の寿命を大幅に伸ばすことができる。
また、本実施形態の光ファイバ切断装置で光ファイバを切断した場合と、従来装置で光ファイバを切断した場合の切断面の欠け発生回数を調べた。光ファイバのサンプル数を30本として、それぞれの装置で切断した時に切断面に発生した欠けの頻度を測定した実験データを図7に示す。従来装置では、30本の光ファイバのうち12本も欠けが発生した。これに対して、本実施形態の光ファイバ切断装置では、全く欠けが発生しなかった。欠けが発生していないため、図7には頻度(本)が表示されていない。
[本実施形態の効果]
本実施形態の光ファイバ切断装置によれば、切断後の光ファイバ1の切断端部1a、1bを受け止める部位である受け部9を刃台4に設けているので、切断後の切断端部1a、1bが切断刃5の刃先部分5Aに接触することなく受け部9で受け止めることができ、該光ファイバ1の切断面への傷付きを回避することができる。
また、本実施形態の光ファイバ切断装置によれば、刃台4の硬度を光ファイバ1の硬度よりも低くしているので、該刃台4に形成された受け部9で切断後の光ファイバ1の切断端部1a、1bを受け止めた時に該光ファイバ1に傷を付けることが無くなる。
また、本実施形態の光ファイバ切断装置によれば、光ファイバ1の硬度よりも低いステンレス又は樹脂を刃台4としたので、切断端部1a、1bを受け止める受け部9の加工がし易い。
また、本実施形態の光ファイバ切断装置によれば、切断刃5を刃台4に埋め込むように圧入して固定しているので、ロウ付けにて固定した時のような落下等の衝撃により切断刃5が刃台4から外れることが無い。また、本実施形態の光ファイバ切断装置によれば、ロウ付けを行う必要が無くなることで、ロウ付け時の加熱により切断刃5が劣化したり酸化することがなく、当該切断刃5の寿命を延ばすことができる。更に、本実施形態の光ファイバ切断装置によれば、ロウ付けする必要が無いため、製造コストを下げることができる。
また、本実施形態の光ファイバ切断装置によれば、刃台4に形成した切断刃取付溝17に圧入した切断刃5を接着固定したので、接着剤によって更に耐衝撃性が向上し、落下により切断刃5が刃台4から外れることが無くなる。
本実施形態の光ファイバ切断方法によれば、切断後の光ファイバ1の切断端部1a、1bを刃先部分5Aに接触させずに刃台5に形成した受け部9で受け止めるようにしたので、光ファイバ1の切断面に欠けを発生させることなく該光ファイバ1を切断することができる。
本発明は、光ファイバをクランプして切断するための装置に利用することができる。
1…光ファイバ
2…ホルダ
4…刃台
5…切断刃
5A…刃先部分
6A…一方の下クランプ
6B…一方の上クランプ
7A…他方の下クランプ
7B…他方の上クランプ
8…光ファイバ押付部材(マクラ)
9…受け部(光ファイバの切断端部を受け止める部位)
10…光ファイバ切断装置
11…光ファイバ切断機構部
13…ベース(光ファイバ切断機構部のベース)
15…切断レバー
17…切断刃取付溝

Claims (5)

  1. 光ファイバの2箇所をクランプした後、両クランプ間に設けた切断刃に該光ファイバを光ファイバ押付部材で押し付けて切断する光ファイバ切断装置であって、
    前記切断刃を固定する刃台を有し、該切断刃を刃台に埋め込むように圧入して固定すると共に刃先部分のみを該刃台の上面から突出させ、該刃台に切断後の光ファイバの切断端部を受け止める部位を設けた
    ことを特徴とする光ファイバ切断装置。
  2. 請求項1に記載の光ファイバ切断装置であって、
    前記刃台の硬度を、前記光ファイバの硬度よりも低くした
    ことを特徴とする光ファイバ切断装置。
  3. 請求項2に記載の光ファイバ切断装置であって、
    前記刃台をステンレス又は樹脂とした
    ことを特徴とする光ファイバ切断装置。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の光ファイバ切断装置であって、
    前記切断刃を前記刃台に接着固定した
    ことを特徴とする光ファイバ切断装置。
  5. 光ファイバの2箇所をクランプした後、両クランプ間に設けた切断刃に該光ファイバを光ファイバ押付部材で押し付けて切断する光ファイバ切断方法であって、
    前記切断刃の刃先部分のみを該切断刃を固定する刃台の上面から突出させ、前記光ファイバ押付部材で前記光ファイバを前記刃先部分に押し付けて切断した後、切断後の光ファイバの切断端部を刃先部分に接触させずに該刃台に形成した受け部で受け止める
    ことを特徴とする光ファイバ切断方法。
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