JP4424900B2 - 5’−o−置換チミジンの精製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、5’−O−置換チミジンの精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゲノム創薬の進展に伴い、アンチセンスDNA医薬などが急速に開発されている。それに伴い、原料となるDNAオリゴマー、さらにオリゴマーの原料となる保護化デオキシヌクレオシド類の需要が増大している。一方で医薬品の用途には、含まれている不純物による副生成物の生成を極力抑制するため、非常に高純度の中間体製品を使用する必要がある。
【0003】
これまで、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンは、特開昭58−180500号公報、J.Am.Chem.Soc.,85,3821(1963)、蛋白質核酸酵素Vol.26,No.4,531(1981)などの例であきらかなとおり、ベンゼン或いはベンゼンとヘキサンなどの混合溶媒で再結晶法により精製されてきた。ベンゼンは特に有害であり将来の大量生産、大量供給においては非常に問題があるといわざるを得ない。また、実際に行った場合、ゲル化して溶媒と共に不純物を取り込むため実用的ではない。特表平11−511480号公報では、酢酸エチル/ヘキサンの混合溶媒で再結晶により精製しているが、酢酸エチルとヘキサンの量比を適切に調整することは工業的には困難で、量比を誤ると容易にオイル化したり、粘性のある沈殿を生じて精製を失敗しやすい。 Methods in Enzymology Vol.65 Nucleic Acids PartI(1980)などシリカゲルを用いたカラムクロマトグラフィーによる精製があるが、カラムクロマトグラフィーは、大量生産、大量供給には不向きである。また、溶離液に特に有害なクロロホルムを使用している。その他の精製方法として、懸濁法については、PCT出願WO200039138で、また、再沈殿法についてはPTC出願WO200075154で報告されているが、何れもが溶媒にジクロロメタンを使用している。また、混合溶媒で精製しているが、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンについて、可溶性溶媒と不溶性溶媒の混合であり、その量比を適切に調整することは工業的には困難で、量比を誤ると容易にオイル化したり、粘性のある沈殿を生じて精製を失敗しやすく、問題がある。
【0004】
そこで種々の溶媒を検討した結果、メチルイソブチルケトンや酢酸ブチルに代表されるカルボニル系溶媒を用いた場合、これまで報告例のなかった単一溶媒での再結晶が可能となり、しかも精製能が非常に高いことが判った。これら溶媒での精製法を用いれば、これまでには精製が困難だった5’位と3’位の両方にトリチル基が置換した不純物や3’位にトリチル基が置換した置換異性体の不純物が容易に除去できる。しかしながら、再結晶生成物は、メチルイソブチルケトンや酢酸ブチルなどの再結晶溶媒を抱接した結晶形で得られ、抱接溶媒の除去は通常の減圧乾燥などの方法では無理であった。
【0005】
【特許文献1】
特開昭58−180500号公報
【0006】
【特許文献2】
特表平11−511480号公報
【0007】
【特許文献3】
PCT出願WO200039138公報
【0008】
【特許文献4】
PTC出願WO200075154公報
【0009】
【非特許文献1】
J.Am.Chem.Soc.,85,3821(1963)
【0010】
【非特許文献2】
蛋白質核酸酵素Vol.26,No.4,531(1981)
【0011】
【非特許文献3】
Methods in Enzymology Vol.65Nucleic Acids PartI(1980)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の問題点を鑑み、効率的かつ特別な設備を必要としない、非常に高純度の5’−O−置換チミジンの製造法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンが、アセトニトリルを用いる再結晶による精製法により精製可能で、さらに溶媒を抱接しないことを見出し、本発明を完成した。
【0014】
まず、参考の態様を示す。
後述の一般式〔2〕で表される5’−O−置換チミジンを含む生成物を下記一般式〔1〕[化9]
【0015】
【化9】
【0016】
(一般式〔1〕中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表される溶媒を用いて再結晶することを特徴とする、一般式〔2〕[化10]
【0017】
【化10】
【0018】
(一般式〔2〕中、R2は置換されてもよいトリチル基を、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R4は水素原子、ハロゲン原子、もしくは置換されていてもよい水酸基を表す)で表される5’−O−置換チミジンの精製法。
次に、本発明の各態様を示す。
(1) 後述の一般式〔2〕で表される5’−O−置換チミジンを含む生成物を下記一般式〔3〕[化11]
【0019】
【化11】
【0020】
(一般式〔3〕中、R5は炭素数1〜4のアルキル基を、R6は炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す)で表されるカルボニル系溶媒で再結晶を行った後、一般式〔1〕[化12]
【0021】
【化12】
【0022】
(一般式〔1〕中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表される溶媒を用いて再結晶することを特徴とする、一般式〔2〕[化13]
【0023】
【化13】
【0024】
(一般式〔2〕中、R2は置換されてもよいトリチル基を、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R4は水素原子、ハロゲン原子、もしくは置換されていてもよい水酸基を表す。)で表される5’−O−置換チミジンの精製法。
(2) 一般式〔4〕[化14]
【0025】
【化14】
【0026】
(一般式〔4〕中、mおよびnはそれぞれ独立して任意の整数を、R2は置換されてもよいトリチル基を、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R4は水素原子、ハロゲン原子、もしくは置換されていてもよい水酸基を、R5は炭素数1〜4のアルキル基を、R6は炭素数1〜4のアルキル基もしくは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。)で表される化合物を一般式〔1〕[化15]
【0027】
【化15】
【0028】
(一般式〔1〕中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で表される溶媒を用いて再結晶することを特徴とする、一般式〔2〕[化16]
【0029】
【化16】
【0030】
(一般式〔2〕中、R2は置換されてもよいトリチル基を、R3は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を、R4は水素原子、ハロゲン原子、もしくは置換されていてもよい水酸基を表す。)で表される5’−O−置換チミジンの精製法。
【0031】
【発明実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
一般式〔1〕で表わされるニトリル系溶媒おいて、R1における炭素数1〜4の低級アルキル基とは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基等が挙げられる。
【0032】
一般式〔2〕で表わされる5’−保護化チミジン類において、R2におけるトリチル基上の置換基は、無置換でもよいしそれぞれのフェニル基上の2位、3位、4位のいずれかの位置に置換基があってもよい。また、複数の位置に置換基があってもよい。またトリフェニル基のいずれのフェニル基に置換基があってもよく、複数のフェニル基に同一あるいは別の置換基があってもよい。
【0033】
置換基としてはたとえば、メチル基、エチル基、イソプロピル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基などのアルキルオキシ基、ニトロ基、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などの置換もしくは無置換アミノ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基などのハロゲン基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基などのアシル基、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基、ホルムアミド基、アセトアミド基、ベンズアミド基などのアミド基等が挙げられる。
【0034】
置換されてもよいトリチル基の例としては例えば、トリチル基、4−メトキシトリチル基、4,4’−ジメトキシトリチル基、4,4’,4’’−トリメトキシトリチル基、4−メチルトリチル基、4,4’−ジメチルトリチル基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0035】
R3における炭素数1〜4のアルキル基とは、アルキル基が直鎖上でも分岐していてもよく、また環を形成していてもかまわない。またアルキル基上に別の置換基が置換していてもかまわない。具体的にはたとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。
【0036】
R4におけるハロゲン基とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表す。R4における置換された水酸基とは、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル、エーテル、ウレタン、シリル基などの一般的な水酸基の保護基となりうる置換基により置換された水酸基を表す。水酸基の保護基の例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ベンジル基、2−メトキシベンジル基、3−メトキシベンジル基、4−メトキシベンジル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ベンジルオキシメチル基、ベンジルオキシエチル基、アセトキシメチル基、アセトキシエチル基、ベンゾイルオキシメチル基、ベンゾイルオキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、プロパルギル基、アリル基等のアルキル基またはアルキル基の先にさらに置換されたアルキル基、フェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−フェニルフェニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基等のアリール基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、3−メトキシベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、3−メチルベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、2−ニトロベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル基、4−フェニルベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基などのアシル基、アミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基などのウレタン基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、2−メチルベンゼンスルホニル基、3−メチルベンゼンスルホニル基、4−メチルベンゼンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、トリクロロメタンスルホニル基等のスルホン酸エステル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基などのシリル基が挙げられる。
【0037】
R4の置換された水酸基の例としてはたとえば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、i−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基、ベンジルオキシ基、2−メトキシベンジルオキシ基、3−メトキシベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、2−メチルベンジルオキシ基、3−メチルベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、メトキシエチルオキシ基、エトキシエチルオキシ基、ベンジルオキシメトキシ基、ベンジルオキシエトキシ基、アセトキシメトキシ基、アセトキシエトキシ基、ベンゾイルオキシメトキシ基、ベンゾイルオキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、プロパルギルオキシ基、アリルオキシ基、フェニルオキシ基、2−メトキシフェニルオキシ基、3−メトキシフェニルオキシ基、4−メトキシフェニルオキシ基、4−フェニルフェニルオキシ基、2−ピリジニルオキシ基、3−ピリジニルオキシ基、4−ピリジニルオキシ基、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、2−メトキシベンゾイルオキシ基、3−メトキシベンゾイルオキシ基、4−メトキシベンゾイルオキシ基、2−メチルベンゾイルオキシ基、3−メチルベンゾイルオキシ基、4−メチルベンゾイルオキシ基、2−ニトロベンゾイルオキシ基、3−ニトロベンゾイルオキシ基、4−ニトロベンゾイルオキシ基、4−フェニルベンゾイルオキシ基、2−クロロベンゾイルオキシ基、3−クロロベンゾイルオキシ基、4−クロロベンゾイルオキシ基、アミノカルボニルオキシ基、ジメチルアミノカルボニルオキシ基、メチルアミノカルボニルオキシ基、エチルアミノカルボニルオキシ基、ジエチルアミノカルボニルオキシ基、フェニルアミノカルボニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、2−メチルベンゼンスルホニルオキシ基、3−メチルベンゼンスルホニルオキシ基、4−メチルベンゼンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、トリクロロメタンスルホニルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基などが挙げられる。
【0038】
一般式〔3〕で表わされるカルボニル化合物において、R5、R6における炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、2−メチルブチル基、アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、4−シクロヘキシル基、n−ヘプチル基などが挙げられ、R6における炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブトキシ基、i−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ基などがあげられる。
【0039】
カルボニル化合物の代表例としては、アセトン、2−ブタノン、3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、3−メチル−2−ブタノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸t−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸n−ペンチル、酢酸n−ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸n−プロピル、プロピオン酸イソプロピル等が挙げられる。
【0040】
一般式〔4〕で表わされる化合物の代表例としては、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン・0.5メチルイソブチルケトン複合体(m=2、n=1)、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン・0.5酢酸ブチル複合体(m=2、n=1)などが挙げられる。
【0041】
一般式〔1〕で示されるニトリル系溶媒は、通常単独で用いるが、混和可能な比率で組み合わせて用いることもできる。また、あらかじめ複数のニトリル系溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いることもできる。
【0042】
さらに、これらの溶媒は単独のニトリル系溶媒または、混合溶媒に対して混和可能な比率で他の溶媒と混和して使用してもよい。混和の際に用いることのできる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、酢酸エチル,酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン、THFなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、クメン、キシレン、メシチレン、ジイソプロピルベンゼン、トリイソプロピルベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン、ルチジン、キノリンなどのピリジン類、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の3級アミン、DMF、DMI、DMSOなどの極性溶媒、水などが挙げられる。混和の際の比率はニトリル系溶媒に対し100重量%以下であるが、好ましくは20重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以下である。
【0043】
再結晶の際の溶媒量は、その溶液に対する一般式〔2〕又は一般式〔4〕で表される化合物の飽和溶解度以下であれば特に規定されないが、重量換算で該化合物1に対して3倍以上150倍以下が望ましく、さらに望ましくは5倍以上50倍以下である。
【0044】
再結晶は化合物を溶媒に加え、必要により反応液中の化合物を完全に加熱溶解しそのまま冷却することにより達成される。再結晶の際の温度は特に規定されないが、−10℃から溶媒の沸点の範囲が望ましい。また、通常は1回の再結晶で十分精製可能であるが、さらに繰り返し再結晶を行うことでより高純度にすることもできる。
【0045】
以上本発明により、5’−O− (4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンの効率的な精製ができるようになった。
【0046】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0047】
参考例1
5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンの製造
チミジン40.0g(0.165mol)をピリジン500mlに溶解した。4,4’−ジメトキシトリチルクロリド56.0g(0.165mol)を室温で添加した後、室温で3時間攪拌した。この反応液を逆相用オクタデシルシリカゲルカラムを用いてアセトニトリル/水(75/25)混合溶媒で溶離させ、UV検出器(254nm)で検出する高速液体クロマトグラフィーで分析した。次に、炭酸水素ナトリウム13.9gを加え、室温で30分間攪拌した後、約180gまで減圧下濃縮した。残留物に酢酸エチル1500ml及び水1500mlを加え、激しく攪拌した後、分液した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水1500mlで2回洗浄し、次に飽和NaCl水1500mlで洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥した後、減圧濃縮乾固し粗精製固体を得た。粗精製固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した。粗精製固体をアセトニトリル800mlに加え加熱溶解した後、室温まで冷却して再結晶を行った。析出した固体を濾取し、55℃で恒量になるまで減圧乾燥した。この精製固体を高速液体クロマトグラフィーで分析した。5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンの収率は85%であった。
【0048】
NMR:δ(CDCl3) 8.7(S,1H)、7.6(S,1H),7.2−7.4(m,9H),6.8(m ,4H),6.4(t,1H),4.6(m,1H)、4.1(m,1H)、3.8(S,6H),3.4(m,2H)、2.4(m,2H)、1.5(S,3H)
【0049】
【表1】
【0050】
実施例1
(1)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン・0.5メチルイソブチルケトン複合体の製造
チミジン40.0g(0.165mol)をピリジン500mlに溶解撹拌しつつ、ジメトキシトリチルクロリド56.0g(0.165mol)を添加し、室温で3時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム16.7gを加え、室温で30分間撹拌後、溶媒を減圧で留去した。残留物にメチルイソブチルケトン500mlを加え撹拌しつつ、水500mlを加えて10分間撹拌した。次いで有機層を採り、水500mlで洗った。有機層を採り、溶媒を減圧で留去した。残留物をメチルイソブチルケトン900mlに加え加熱溶解後室温まで冷却して再結晶し、得られた結晶生成物を濾取した。次いで結晶生成物を50℃で真空乾燥したところ、その重量は67.3gであった。逆相用オクタデシルシリカゲルカラムを用いて、アセトニトリル/水(75/25)混合溶媒で溶離させ、UV検出器(254nm)で検出する高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、純度は99.5%(面積%)、最大不純物は、3’,5’−O−ビス(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンの0.3%(面積%)であった。5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン・0.5メチルイソブチルケトンの収率は67%であった。
【0051】
NMR:δ(CDCl3) 8.7(S,1H)、7.6(S,1H),7.2−7.4(m,9H),6.8(m ,4H),6.4(t,1H),4.6(m,1H)、4.1(m,1H)、3.8(S,6H),3.4(m,2H)、2.4(m,3H,MIBKのCH2COの1H分を含む)、2.1(m,2H,MIBKのCH3CO,CH)、1.5(S,3H)、0.9(d,3H,MIBKのCH3).(MIBK:メチルイソブチルケトンの略)
IR:cm-1(KBrTablet) 3163、1698、1608、1509、1259、1177、1098、1033、830.
【0052】
(2)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンの製造
上記(1)で得られた5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン・0.5メチルイソブチルケトン10.0gをアセトニトリル100mlに加え、加熱溶解後室温まで冷却して再結晶を行った。析出した固体を濾取し、55℃で恒量になるまで減圧乾燥し、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン8.28gを得た(収率90.4%)。逆相用オクタデシルシリカゲルカラムを用いて、アセトニトリル/水(75/25)混合溶媒で溶離させ、UV検出器(254nm)で検出する高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、純度は99.7%(面積%)であった。メチルイソブチルケトンをガスクロマトグラフィー分析したところ、0.3重量%以下であった。
【0053】
NMR:δ(CDCl3) 8.7(S,1H)、7.6(S,1H),7.2−7.4(m,9H),6.8(m ,4H),6.4(t,1H),4.6(m,1H)、4.1(m,1H)、3.8(S,6H),3.4(m,2H)、2.4(m,2H)、1.5(S,3H)
【0054】
実施例2
(1)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン・0.5酢酸n−ブチル複合体の製造
チミジン40.0g(0.165mol)をピリジン500mlに溶解撹拌しつつ、ジメトキシトリチルクロリド56.0g(0.165mol)を添加し、室温で3時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム16.7gを加え、室温で30分間撹拌後、溶媒を減圧で留去した。残留物に酢酸n−ブチル500mlを加え撹拌しつつ、水500mlを加えて10分間撹拌した。次いで有機層を採り、水500mlで洗った。有機層を採り、溶媒を減圧で留去した。残留物を酢酸n−ブチル900mlに加え加熱溶解後室温まで冷却して再結晶し、得られた結晶生成物を濾取した。次いで結晶生成物を50℃で恒量となるまで真空乾燥したところ、その重量は74.6gであった。逆相用オクタデシルシリカゲルカラムを用いて、アセトニトリル/水(75/25)混合溶媒で溶離させ、UV検出器(254nm)で検出する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析したところ、純度は99.6%であった。最大不純物は、3’,5’−O−ビス(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンの0.3%(HPLCピーク面積%)であった。5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン・0.5酢酸n−ブチルの収率は75%であった。
【0055】
NMR:δ(CDCl3) 0.9(t,1.5H,酢酸n−ブチルのCH3)、1.4(m,1H,酢酸n−ブチルのCH2),1.5(s,3H)、1.6(m,1H,酢酸n−ブチルのCH2),2.0(s ,1.5H,酢酸n−ブチルのCH3),2.3(m,1H),2.4(m,1H)、2.6(m,1H,酢酸n−ブチルのOCH2)、3.3(dd,1H),3.4(dd,1H)、3.8(s,6H)、4.1(m,1H)、4.6(m,1H)、6.4(m,1H)、6.8(m,4H)、7.3(m,7H)、7.4(m,2H)、7.6(s、1H)、8.9(s,1H).
【0056】
(2)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンの製造
上記(1)で得られた5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン・0.5酢酸n−ブチル10.0gをアセトニトリル100mlに加え、加熱溶解した後室温まで冷却して再結晶した。析出した固体を濾取し、55℃で恒量になるまで減圧乾燥し、5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジン8.3gを得た(収率90%)。逆相用オクタデシルシリカゲルカラムを用いて、アセトニトリル/水(75/25)混合溶媒で溶離させ、UV検出器(254nm)で検出する高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、純度は99.7%(面積%)であった。酢酸n−ブチルをガスクロマトグラフィー分析したところ、0.3重量%以下であった。
【0057】
NMR:δ(CDCl3) 8.7(S,1H)、7.6(S,1H),7.2−7.4(m,9H),6.8(m ,4H),6.4(t,1H),4.6(m,1H)、4.1(m,1H)、3.8(S,6H),3.4(m,2H)、2.4(m,2H)、1.5(S,3H)
【0058】
【発明の効果】
本発明により、大量製造可能な方法を用いて、従来の方法に比べ効率的に高純度の5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)チミジンを製造することができるようになった。
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