JP2003073395A - N−アシル化プリンヌクレオシド誘導体の単離精製法 - Google Patents

N−アシル化プリンヌクレオシド誘導体の単離精製法

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JP2003073395A
JP2003073395A JP2001267102A JP2001267102A JP2003073395A JP 2003073395 A JP2003073395 A JP 2003073395A JP 2001267102 A JP2001267102 A JP 2001267102A JP 2001267102 A JP2001267102 A JP 2001267102A JP 2003073395 A JP2003073395 A JP 2003073395A
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Katsutoshi Tsuchiya
土屋  克敏
Hironori Komatsu
小松  弘典
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】効率的なN−アシルプリンヌクレオシド誘導体
の単離精製法を提供する。 【解決手段】N−アシル化プリンヌクレオシド誘導体の
高濃度塩基性溶液中に酸の水溶液を加え、反応液のpH
を弱酸性にまで傾けることでN−アシル化プリンヌクレ
オシド誘導体を結晶で単離する。 【効果】これまで、単離精製においては中性あるいは塩
基性条件で濃縮しなければならなかったが、濃縮操作を
することなくN−アシル化プリンヌクレオシド誘導体を
結晶として高収率に単離可能になった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はN−アシル化プリン
ヌクレオシド誘導体の効率的かつ選択的な単離精製法に
関する。尚、本発明においてN−アシル化プリンヌクレ
オシド誘導体をN−アシル−プリンヌクレオシド誘導体
ということがある。
【0002】
【従来の技術】近年、ゲノム創薬の進展に伴いアンチセ
ンスDNA医薬などが急速に開発されつつある。それに
伴い、原料となるDNAオリゴマー、さらにオリゴマー
の原料となる保護化デオキシヌクレオシドの需要が増大
している。
【0003】N−アシループリンヌクレオシド誘導体
は、N−アシル−プリンヌクレオシド誘導体は、制癌
剤、抗ウイルス剤をはじめとする医薬品や農薬として有
用であるとともに、近年開発されつつあるアンチセンス
DNAなどの原料としても有用な化合物であり、保護化
ヌクレオシド類の原料となる化合物である。これらの化
合物は、一般的には1)プリンヌクレオシド誘導体のア
ミノ基および水酸基をアシル化(パーアシル化)したの
ちに、水酸基についたアシル基を選択的に脱保護する方
法、2)プリンヌクレオシド誘導体のアミノ基および水
酸基をすべてシリル化したのちに選択的にN−アシル化
を行い、さらにシリル基の脱保護を行う方法、が知られ
ている。
【0004】1)の方法で反応させた場合の例として
は、たとえば特開昭58−180500号公報やシンセ
シス 965頁(1984年)(Synthesis,
965−8,1984.)、蛋白質・核酸・酵素、26
巻、531頁(1981年)などが知られている。これ
らの方法によれば、加水分解後の生成物を含む希薄な塩
基性溶液をピリジニウム型のイオン交換樹脂を通して、
酸性に片寄らないように中和を行い、さらに樹脂に付着
した化合物を回収するために大量の溶媒で洗浄したのち
に、集めた溶媒を濃縮または濃縮乾固するため、大量に
製造する上では容積効率や操作の面で非常に問題が多
い。また、ヘルベチカ キミカ アクタ、65巻、23
72頁(1982).(Helvetica Chim
ica Acta,65,2372(1982).)に
おいては、アルカリ加水分解後、生成物を含む塩基性溶
液を中和したのちに濃縮乾固を行い、さらにアルコール
で目的物を溶解抽出し、その溶媒を留去して得られた固
体を水より再結晶を行い目的物を得ている。このよう
に、加水分解後に濃縮乾固を行っているため、大量製造
には向いていない。
【0005】2)の方法で反応させた例としては、ジャ
ーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティ、1
04巻、1316頁(1982年)(J. Am. C
hem. Soc.,104,1316(198
2).)や特表平6−507883号公報においては、
反応後、アンモニア水存在下の生成物の塩基性反応液を
いったん濃縮したのちに、シリル基由来の不純物を分液
で除去してから結晶化あるいは再度濃縮を行っており、
またPCT出願WO2000/75154号公報では加
水分解後、生成物を含む溶液をpHを8から9にコント
ロールしたのちに濃縮し、やはりシリル基に由来する不
純物を有機溶媒に溶解することで除去している。またシ
ンセシス 540頁(1983年)(Synthesi
s,540(1983).)においては、やはりピリジ
ン過剰存在下、濃縮操作を行ったのち、大量のエーテル
/ヘキサン混合溶媒中で再沈殿を行った後に、さらに再
結晶を行っている。
【0006】このように、これまで知られた方法では濃
縮操作を避けることができず、さらに濃縮の際に塩基性
条件あるいは中性条件が必要であった。これは、ピリジ
ンや水などの高沸点溶媒を濃縮するためには、高い温度
をかける必要があるからである。高温度での酸性溶液中
では、一般的にヌクレオシド類のグリコシド結合が切断
される可能性が高くなる。また、温度を下げて濃縮操作
を行うためには、高減圧下で行う必要があり、大量に製
造する際には現実的ではない。一方で、アルカリ性溶液
中で濃縮する際には、アルカリ溶液中での高温での安定
性が確保される必要がある。しかし、アルカリ溶液中で
はN−アミド結合が切断され、もとのヌクレオシド誘導
体に戻ってしまう事も知られているため、反応処理時の
pHのコントロールが非常に難しく問題があると考えら
れていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は濃縮な
どの煩雑な操作をせずに、N−アシル化プリンヌクレオ
シド誘導体を単離精製する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】我々は鋭意検討を重ねた
結果、N−アシル化プリンヌクレオシド誘導体の塩基性
溶液に、酸を加えて中和し、さらに酸性にまで溶液のp
Hを傾けることで、濃縮操作をすることなくN−アシル
化プリンヌクレオシド誘導体を結晶として高収率に単離
可能であることを見出し,本発明を完成した。即ち、本
発明は、以下のとおりである。 [1] 一般式〔1〕[化2]
【0009】
【化2】
【0010】(式中、R1は炭素数1〜15のアシル基
を、R2は水素原子、ハロゲン原子又は置換されている
アルコキシを表す)で表されるプリンヌクレオシド誘導
体の塩基性溶液に、酸性の水溶液を添加することにより
該プリンヌクレオシド誘導体を結晶化することを特徴と
する、N−アシル化プリンヌクレオシド誘導体の単離精
製法。 [2] 酸性の水溶液を加添加した後の処理液のpHが
2.0以上6.5以下である[1]に記載のN−アシル
化プリンヌクレオシド誘導体の単離精製法。 [3] 酸性の水溶液を加えた後のpHが5.0以上
6.5以下である[2]に記載のN−アシル化プリンヌ
クレオシド誘導体の単離精製法。 [4] 酸性の水溶液が鉱酸の水溶液である、[1]か
ら[3]のいずれか一項に記載のN−アシル化プリンヌ
クレオシド誘導体の単離精製法。 [5] 鉱酸が塩酸である、[4]に記載のN−アシル
化プリンヌクレオシド誘導体の単離精製法。 [6] 塩基性溶液中の溶媒が水と、炭素数1〜5のア
ルコール、THF、ジオキサン、ピリジン、トリエチル
アミン、ジメトキシエタン、アセトニトリル、DMF、
DMI、トルエンよりなる群から選ばれる一種以上の溶
媒との混合物である[1]から[5]のいずれか一項に
記載のN−アシル化プリンヌクレオシド誘導体の単離精
製法。 [7]アルコールがメタノール、エタノール、イソプロ
ピルアルコールの少なくとも一種である[6]に記載の
N−アシル化プリンヌクレオシド誘導体の単離精製法。 [8] 全有機溶媒量がプリンヌクレオシド誘導体の1
0重量倍以下であり、炭素数1から3のアルコール以外
の有機溶媒量が一般式〔1〕で表されるプリンヌクレオ
シド誘導体の2重量倍以下である、[6]または[7]
に記載のN−アシル化プリンヌクレオシド誘導体の単離
精製法。 [9] 塩基が水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのい
ずれかである[1]から[8]のいずれか一項に記載の
N−アシル化プリンヌクレオシド誘導体の単離精製法。 [10] 塩基性溶液中に酸の水溶液を添加する際の塩
基性溶液の温度が10℃以下である、[1]から[9]
のいずれか一項に記載のN−アシル化プリンヌクレオシ
ド誘導体の単離精製法。 [11] 一般式〔1〕においてR1はイソブチリル
基、R2は水素原子を表すことを特徴とする[1]から
[10]のいずれか一項に記載のN−アシル化プリンヌ
クレオシド誘導体の単離精製法。
【0011】
【発明実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。一
般式〔1〕で表されるN−アシル化プリンヌクレオシド
誘導体において、R1における炭素数1から15のアシ
ル基とは、直鎖状、あるいは分岐して、さらにその先が
置換されてもよいアルキルアシル基またはシクロアルキ
ルアシル基、置換されてもよいベンゾイル基等を表す。
たとえばアルキルアシル基の例としては、ホルミル基、
アセチル基、プロピオニル基、n−ブチリル基、イソブ
チリル基、2−メチルブチリル基、3−メチルブチリル
基、ピバロイル基、バレリル基、2−メチルバレリル
基、カプロイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、
デカノイル基等が挙げられる。シクロアルキルカルボニ
ル基の例としては、シクロプロパンカルボニル基、シク
ロヘキサンカルボニル基、シクロペンタンカルボニル基
等が挙げられる。
【0012】置換されてもよいベンゾイル基におけるフ
ェニル基上の置換基は、無置換でもよいしフェニル基上
の2位、3位、4位のいずれかの位置に置換基があって
もよい。また、複数の位置に置換基があってもよい。複
数の置換基がある場合はその置換基は同一であってもそ
れぞれ異なるものであってもよい。
【0013】フェニル基上の置換基の例としてはたとえ
ば、メチル基、エチル基、イソプロピル基などのアルキ
ル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ
基、i−プロピルオキシ基などのアルキルオキシ基、ニ
トロ基、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、
n−プロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、ジメチ
ルアミノ基、ジエチルアミノ基などの置換もしくは無置
換アミノ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基などのハ
ロゲン基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、
ベンゾイル基などのアシル基、ホルミルオキシ基、アセ
チルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキ
シ基などのアシルオキシ基、ホルムアミド基、アセトア
ミド基、ベンズアミド基などのアミド基、フェニル基や
2−ピリジニル,3−ピリジニル、4−ピリジニルなど
の芳香環等が挙げられる。
【0014】置換されてもよいベンゾイル基の具体例と
してはたとえば、ベンゾイル基、2−メトキシベンゾイ
ル基、3−メトキシベンゾイル基、4−メトキシベンゾ
イル基、2−メチルベンゾイル基、3−メチルベンゾイ
ル基、4−メチルベンゾイル基、2−ニトロベンゾイル
基、3−ニトロベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル
基、3,5−ジニトロベンゾイル基、2−アミノベンゾ
イル基、3−アミノベンゾイル基、4−アミノベンゾイ
ル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、2−クロロベ
ンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、4−クロロベン
ゾイル基、2−ブロモベンゾイル基、3−ブロモベンゾ
イル基、4−ブロモベンゾイル基、3,5−ジクロロベ
ンゾイル基、2,4−ジクロロベンゾイル基、パークロ
ロベンゾイル基、4−フェニルベンゾイル基等が挙げら
れる。
【0015】R2におけるハロゲン基とは、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表す。R2にお
ける置換された水酸基とは、カルボン酸エステル、スル
ホン酸エステル、エーテル、ウレタン、シリル基などの
一般的な水酸基の保護基となりうる置換基により置換さ
れた水酸基を表す。水酸基の保護基の例としては、メチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル
基、ベンジル基、2−メトキシベンジル基、3−メトキ
シベンジル基、4−メトキシベンジル基、2−メチルベ
ンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル
基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ベンジルオ
キシメチル基、ベンジルオキシエチル基、アセトキシメ
チル基、アセトキシエチル基、ベンゾイルオキシメチル
基、ベンゾイルオキシエチル基、メトキシエトキシエチ
ル基、プロパルギル基、アリル基等のアルキル基または
アルキル基の先にさらに置換されたアルキル基、フェニ
ル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル
基、4−メトキシフェニル基、4−フェニルフェニル
基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジ
ニル基等のアリール基、ホルミル基、アセチル基、プロ
ピオニル基、ベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル
基、3−メトキシベンゾイル基、4−メトキシベンゾイ
ル基、2−メチルベンゾイル基、3−メチルベンゾイル
基、4−メチルベンゾイル基、2−ニトロベンゾイル
基、3−ニトロベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル
基、4−フェニルベンゾイル基、2−クロロベンゾイル
基、3−クロロベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基
などのアシル基、アミノカルボニル基、ジメチルアミノ
カルボニル基、メチルアミノカルボニル基、エチルアミ
ノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、フェニ
ルアミノカルボニル基などのウレタン基、メタンスルホ
ニル基、エタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、
2−メチルベンゼンスルホニル基、3−メチルベンゼン
スルホニル基、4−メチルベンゼンスルホニル基、トリ
フルオロメタンスルホニル基、トリクロロメタンスルホ
ニル基等のスルホン酸エステル基、トリメチルシリル
基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル
基、t−ブチルジフェニルシリル基などのシリル基が挙
げられる。
【0016】R2の置換された水酸基の例としてはたと
えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ
基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、i−
ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、ペンチルオキシ
基、ベンジルオキシ基、2−メトキシベンジルオキシ
基、3−メトキシベンジルオキシ基、4−メトキシベン
ジルオキシ基、2−メチルベンジルオキシ基、3−メチ
ルベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、メ
トキシエチルオキシ基、エトキシエチルオキシ基、ベン
ジルオキシメトキシ基、ベンジルオキシエトキシ基、ア
セトキシメトキシ基、アセトキシエトキシ基、ベンゾイ
ルオキシメトキシ基、ベンゾイルオキシエトキシ基、メ
トキシエトキシエトキシ基、プロパルギルオキシ基、ア
リルオキシ基、フェニルオキシ基、2−メトキシフェニ
ルオキシ基、3−メトキシフェニルオキシ基、4−メト
キシフェニルオキシ基、4−フェニルフェニルオキシ
基、2−ピリジニルオキシ基、3−ピリジニルオキシ
基、4−ピリジニルオキシ基、ホルミルオキシ基、アセ
チルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ベンゾイルオキ
シ基、2−メトキシベンゾイルオキシ基、3−メトキシ
ベンゾイルオキシ基、4−メトキシベンゾイルオキシ
基、2−メチルベンゾイルオキシ基、3−メチルベンゾ
イルオキシ基、4−メチルベンゾイルオキシ基、2−ニ
トロベンゾイルオキシ基、3−ニトロベンゾイルオキシ
基、4−ニトロベンゾイルオキシ基、4−フェニルベン
ゾイルオキシ基、2−クロロベンゾイルオキシ基、3−
クロロベンゾイルオキシ基、4−クロロベンゾイルオキ
シ基、アミノカルボニルオキシ基、ジメチルアミノカル
ボニルオキシ基、メチルアミノカルボニルオキシ基、エ
チルアミノカルボニルオキシ基、ジエチルアミノカルボ
ニルオキシ基、フェニルアミノカルボニルオキシ基、メ
タンスルホニルオキシ基、エタンスルホニルオキシ基、
ベンゼンスルホニルオキシ基、2−メチルベンゼンスル
ホニルオキシ基、3−メチルベンゼンスルホニルオキシ
基、4−メチルベンゼンスルホニルオキシ基、トリフル
オロメタンスルホニルオキシ基、トリクロロメタンスル
ホニルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、トリエチ
ルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ
基、t−ブチルジフェニルシリルオキシ基などが挙げら
れる。
【0017】塩基性溶液とは、塩基性物質を溶解させた
溶液のことを表す。塩基としては水酸化リチウム、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸
リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウ
ム、アンモニア、トリエチルアミン,トリブチルアミ
ン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルピロ
リジン、N−メチルモルホリンなどが挙げられる。中で
も水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。溶媒
としては、水および水と有機溶媒の混合溶媒が挙げられ
る。混合溶媒中の有機溶媒としては、たとえばメタノー
ル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノー
ル、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルな
どのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなど
のケトン類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどの
ニトリル類、THF、ジオキサン、ジメトキシエタン,
ジエトキシエタンなどのエーテル類、DMF、DMIな
どのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシ
ド類、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基類、ジクロ
ロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類、
トルエン、ベンゼンなどの芳香族化合物などが挙げられ
るが、なかでもたとえばメタノール、エタノール、n−
プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エ
チレングリコール、アセトン、アセトニトリル、TH
F、ジオキサン、ジメトキシエタン、DMF、DMI、
ピリジン、トリエチルアミンおよびそれらの混合溶媒が
好ましく、さらに好ましくはメタノール、エタノール、
n−プロパノ−ル、イソプロパノール、ピリジン、アセ
トトニトリルおよびそれらの混合溶媒である。
【0018】塩基の濃度については、塩基が溶解可能な
範囲であれば特に問題はないが、0.1モル/L以上の
溶液であることが望ましく、さらに望ましくは1モル/
L以上の溶液である。塩基の量は、N−アシル化プリン
ヌクレオシド誘導体に対して0.5倍以上10倍以下が
望ましい。
【0019】塩基性溶液中の有機溶媒の量は、N−アシ
ル化デオキシプリンヌクレオシド誘導体が溶解できれば
特に規定されないが、一般式〔1〕で表されるプリンヌ
クレオシド誘導体の1重量倍以上、20重量倍以下が望
ましく、さらに望ましくは1重量倍以上、10重量倍以
下である。さらにそのうちアルコール以外の有機溶媒量
は1重量倍以上、5重量倍以下が望ましく、さらに望ま
しくは3重量倍以下である。
【0020】酸の溶液を添加する操作の際の温度につい
ては、混合溶媒の凝固点以上室温までの範囲で設定可能
であるが、温度の上昇により加水分解やグリコシド結合
の切断が起こりやすくなることをふまえ、望ましくは混
合溶媒の凝固点以上、10℃以下であり、さらに望まし
くは混合溶媒の凝固点以上5℃以下である。
【0021】中和に用いる酸としては、無機および有機
の酸が挙げられる。具体的には、塩酸、臭化水素酸、硫
酸、硝酸、リン酸、ほう酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、
クエン酸、蓚酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン
酸などが挙げられるが,好ましくは塩酸、臭化水素酸、
硫酸であり、さらに好ましくは塩酸である。
【0022】酸の濃度については、酸が溶解可能な範囲
であれば特に問題はないが、0.1モル/L以上の溶液
であることが望ましく、さらに望ましくは1モル/L以
上の溶液である。酸の添加量については、結晶が析出す
れば特に制限されないが、塩基性条件ではアミドの加水
分解が進行し、酸性が強いとグリコシド結合が徐々に分
解して行くため、pH2以上7未満になるように加える
ことが望ましく、さらに望ましくはpH5以上6.5以
下になるように加えることが望ましい。
【0023】結晶の析出の際には、熟成時間を置くこと
もできる。熟成時間は結晶が十分析出するのに要する時
間あればよいが、10分から24時間が望ましく、さら
に好ましくは30分から12時間である。
【0024】原料となるN−アシル化プリンヌクレオシ
ド誘導体は、対応するプリンヌクレオシド誘導体をたと
えば特開昭58−180500号公報やシンセシス 9
65項(1984年)(Synthesis,965,
1984.)、蛋白質・核酸・酵素 26巻 531項
(1981年)、ヘルベチカ キミカ アクタ 65巻
2372項(1982)(Helvetica Ch
imica Acta,65,2372(198
2).)などの方法、参考例1に例示した方法などによ
り合成可能である。このようにして合成したN−アシル
化プリンヌクレオシド誘導体は粗生成物のままでも、一
旦精製を行ったうえでも利用できる。
【0025】以上の発明により、N−アシル化プリンヌ
クレオシド誘導体を濃縮などの操作を経ることなく効率
的に単離精製することができるようになった。
【0026】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。
【0027】参考例1 2’−デオキシグアノシン1水和物 140gをピリジ
ン280mlで2回共沸脱水した後、ピリジン890m
lに縣濁させた。氷冷下イソブチリルクロリド263g
を滴下した後、氷冷下2時間攪拌した。反応マスを氷水
2000g中に空けた後、ジクロロメタンで抽出した。
有機層を10%塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後乾
燥、溶媒留去して363gまで濃縮した。この粗反応物
をエタノール1100gに溶解し、−5℃まで冷却した
後、水酸化ナトリウム118gの水1355g溶液を5
℃以下を保ちながら滴下してさらに2時間攪拌した。反
応マスをHPLCでモニターすることによりN−イソブ
チリル−2’―デオキシグアノシンが生成していること
を確認した。
【0028】実施例1 参考例1に基づき調整したN−イソブチリル−2’−デ
オキシグアノシン溶液中に6%塩酸水溶液1170gを
氷冷下滴下したのち、30分間攪拌した。析出した結晶
をろ過した後に結晶を水200gで2回洗浄し、減圧下
50℃で乾燥することにより、N2−イソブチリル−
2’−デオキシグアノシン144g(2’−デオキシグ
アノシンよりの収率87%)を白色固体として得た。標
品とNMRスペクトルが一致することにより構造を確認
した。この際、濾液中のpHは6.2であった。
【0029】参考例2 2’−デオキシグアノシン1水和物 9.0gをピリジ
ン22mLで2回共沸脱水した。ピリジン60mLに縣
濁させた後、−2℃まで冷却し、イソブチリルクロリド
16.7mLを滴下した。氷冷下で1時間、さらに室温
で1時間攪拌した後、氷水180g中に滴下した。ジク
ロロメタンで抽出した後有機層を飽和食塩水で洗浄,乾
燥、溶媒留去して得た粗生成物26.3gをイソプロピ
ルアルコール100mLに溶解した。冷却した後水酸化
ナトリウム7.1gの水88g溶液を滴下したのち2時
間氷冷下で攪拌した。反応液のサンプルをHPLCで分
析することによりN−イソブチリル−2’―デオキシグ
アノシンが生成していることを確認した。
【0030】実施例2 参考例2により調整した塩基性溶液中に、6%塩酸水溶
液を5℃以下を保ちながら滴下していったところ、約4
0g滴下したところで結晶が析出してきた。この時のp
Hは6.5であった。そのまま30分攪拌した後ろ過
し、結晶を水20mLで2回洗浄したのち減圧下50℃
で10時間乾燥することにより、N2−イソブチリル−
2’−デオキシグアノシン8.79g(2’−デオキシ
グアノシンよりの収率82.6%)を白色固体として得
た。
【0031】参考例3 2‘−デオキシグアノシン1水和物 11gをピリジン
27mLで2回共沸したのち、ピリジン70mLに縣濁
させた。氷冷下イソブチリルクロリド20.3mLを加
えた後、氷冷で1時間、室温で2時間攪拌した。氷水2
20g中に空けた後、ジクロロメタンで抽出した。有機
層を飽和食塩水で洗浄後、乾燥、溶媒留去して25.5
gまで濃縮した。イソプロピルアルコール100mLに
溶解したのち、氷冷下水酸化ナトリウム9.6gの水9
6g溶液を滴下した後、2時間氷冷下で攪拌した。6%
塩酸水溶液53gを氷冷下滴下した後氷冷下で1時間攪
拌した。析出した結晶をろ過したのち、得られた結晶を
水20mLで2回洗浄した。結晶を50℃減圧下加熱乾
燥することにより、N2−イソブチリル−2’−デオキ
シグアノシン6.00g(収率46%)を白色固体とし
て得た。この際の濾液のpHは9.7であった。
【0032】比較例1 2‘−デオキシグアノシン1水和物1.72gをピリジ
ン11mLと2回共沸したのち、ピリジン2.5gとジ
クロロメタン17gを加えた。この縣濁液に氷冷下イソ
ブチリルクロリド3.44gのジクロロメタン13mL
溶液を加えた後、室温で2時間攪拌した。氷水130g
中に滴下した後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を
乾燥,溶媒留去したのち、トルエンおよびヘキサンで共
沸し4.1gにまで濃縮した。このうち0.95gにエ
タノール20mLを加えて溶解した。この溶液を4℃〜
5℃に保ちながら2N水酸化ナトリウム水溶液15mL
を20分間かけて滴下したのち、氷冷下で15分間攪拌
した。反応液を0℃まで冷やした後、2N塩酸水溶液で
pH7.0になるまで加えた。この時点では結晶は析出
しなかった。このまま20℃以下を保ちながら溶媒を減
圧濃縮し、さらにエタノールを加えて共沸脱水して固体
化した。得られた固形物にエタノール20mLを加え、
5分間縣濁させた後さらに40℃で5分間攪拌した。不
溶物をろ過で除いた後、さらに固体に20mLのエタノ
ールを加え5分間縣濁させた後40℃で5分間攪拌し、
ろ過した。濾液を濃縮乾固したのちに50℃の水60m
Lに溶解し、活性炭30mgを加え、10分間攪拌し
た。活性炭をろ過した後に、この溶液を徐々に冷却し、
析出した結晶を濾取し、40℃で減圧乾燥した。白色固
体を0.34g(収率約72%)得た。
【0033】
【発明の効果】これまで、単離精製においては中性ある
いは塩基性条件で濃縮しなければならなかったが、濃縮
操作をすることなくN−アシル化プリンヌクレオシド誘
導体を結晶として高収率に単離可能になった。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式〔1〕[化1] 【化1】 (式中、R1は炭素数1〜15のアシル基を、R2は水
    素原子、ハロゲン原子又は置換されているアルコキシを
    表す)で表されるプリンヌクレオシド誘導体の塩基性溶
    液に、酸性の水溶液を添加することにより該プリンヌク
    レオシド誘導体を結晶化することを特徴とする、N−ア
    シル化プリンヌクレオシド誘導体の単離精製法。
  2. 【請求項2】 酸性の水溶液を加添加した後の処理液の
    pHが2.0以上6.5以下である請求項1に記載のN
    −アシル化プリンヌクレオシド誘導体の単離精製法。
  3. 【請求項3】 酸性の水溶液を加えた後のpHが5.0
    以上6.5以下である請求項2に記載のN−アシル化プ
    リンヌクレオシド誘導体の単離精製法。
  4. 【請求項4】 酸性の水溶液が鉱酸の水溶液である、請
    求項1から3のいずれか一項に記載のN−アシル化プリ
    ンヌクレオシド誘導体の単離精製法。
  5. 【請求項5】 鉱酸が塩酸である、請求項4に記載のN
    −アシル化プリンヌクレオシド誘導体の単離精製法。
  6. 【請求項6】 塩基性溶液中の溶媒が水と、炭素数1〜
    5のアルコール、THF、ジオキサン、ピリジン、トリ
    エチルアミン、ジメトキシエタン、アセトニトリル、D
    MF、DMI、トルエンよりなる群から選ばれる一種以
    上の溶媒との混合物である請求項1から5のいずれか一
    項に記載のN−アシル化プリンヌクレオシド誘導体の単
    離精製法。
  7. 【請求項7】 アルコールがメタノール、エタノール、
    イソプロピルアルコールの少なくとも一種である請求項
    6に記載のN−アシル化プリンヌクレオシド誘導体の単
    離精製法。
  8. 【請求項8】 全有機溶媒量がプリンヌクレオシド誘導
    体の10重量倍以下であり、炭素数1から3のアルコー
    ル以外の有機溶媒量が一般式〔1〕で表されるプリンヌ
    クレオシド誘導体の2重量倍以下である、請求項6また
    は7に記載のN−アシル化プリンヌクレオシド誘導体の
    単離精製法。
  9. 【請求項9】 塩基が水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
    ムのいずれかである請求項1から8のいずれか一項に記
    載のN−アシル化プリンヌクレオシド誘導体の単離精製
    法。
  10. 【請求項10】 塩基性溶液中に酸の水溶液を添加する
    際の塩基性溶液の温度が10℃以下である、請求項1か
    ら9のいずれか一項に記載のN−アシル化プリンヌクレ
    オシド誘導体の単離精製法。
  11. 【請求項11】 一般式〔1〕においてR1はイソブチ
    リル基、R2は水素原子を表すことを特徴とする請求項
    1から10のいずれか一項に記載のN−アシル化プリン
    ヌクレオシド誘導体の単離精製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005051286A2 (en) * 2003-11-28 2005-06-09 Halex Istar Indústria Farmacêutica Ltda. Stable ready-for-use injectable solution of 9-((1,3-dihydroxypropan-2-yloxy) methyl)-2-amine-1h-purin-6(9h)-one.

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WO2005051286A2 (en) * 2003-11-28 2005-06-09 Halex Istar Indústria Farmacêutica Ltda. Stable ready-for-use injectable solution of 9-((1,3-dihydroxypropan-2-yloxy) methyl)-2-amine-1h-purin-6(9h)-one.
WO2005051286A3 (en) * 2003-11-28 2005-09-09 Halex Istar Ind Farmaceutica L Stable ready-for-use injectable solution of 9-((1,3-dihydroxypropan-2-yloxy) methyl)-2-amine-1h-purin-6(9h)-one.

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