JP4424677B2 - 増粘剤 - Google Patents
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Carbopol Data Sheets and Applications Literature)。
このような架橋重合体の水分散液は非常に増粘効果が高く化粧品あるいは生活用品の増粘剤として汎用されている(例えばBarry, BW and Meyer MC Int. J. Pharm 2: 1 (1979) など)。
さらに、化粧料処方の中にはエタノール濃度が高いものもあるが、現状ではこのような処方をカルボキシビニルポリマーなどの従来の増粘剤により高率よく増粘することは極めて困難な課題である。
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、一般式(1)に示されるジアルキルアクリルアミドと、一般式(3)に示されるカチオン性アクリルアミド誘導体とであることを特徴とする増粘剤を提供するものである。
一般式(1)
一般式(3)
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、一般式(1)に示されるジアルキルアクリルアミドと、一般式(3)に示されるカチオン性アクリルアミド誘導体とであることを特徴とする増粘剤を提供するものである。
一般式(1)
一般式(3)
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、一般式(1)に示されるジアルキルアクリルアミドと一般式(3)に示されるカチオン性アクリルアミド誘導体と、一般式(4)に示される架橋性モノマーとであることを特徴とする増粘剤を提供するものである。
一般式(1)
一般式(3)
一般式(4)
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、一般式(1)に示されるジアルキルアクリルアミドと一般式(3)に示されるカチオン性アクリルアミド誘導体と、一般式(4)に示される架橋性モノマーとであることを特徴とする増粘剤を提供するものである。
一般式(1)
一般式(3)
一般式(4)
すなわち、一般に逆相乳化重合法と称される重合法により製造される高分子ミクロゲルを増粘剤の用途に使用するものであり、特開平2001−114641号公報に開示されているような均一重合系により得られる合成高分子からなる増粘剤とは、その重合方法及び力学物性が異なる。
特開平2001−114641号公報に開示されている均一重合系による合成高分子は本発明に用いるミクロゲルではなく、合成高分子を重合後、化粧料に配合するためには粉末状態に粉砕しなければならない。また、合成高分子のゲルが目立ち、外観上問題を生じる場合がある。
一方、本発明に用いるミクロゲルは不均一重合系で重合される。得られる合成高分子は微細な高分子ゲル、すなわちミクロゲルとなり、化粧料に配合する際に新たに粉砕して粉末状態にする必要がなく、優れた増粘効果と優れた使用感を発揮し、さらに化粧料の外観上も好ましい。
また、特開平9−12613号公報には、水吸収性樹脂のミクロゲル粒子をおむつあるいは生理用品に適するように一定以上の大きさに製造することが開示されているが、これは化粧料増粘剤に応用できる技術ではなく、本発明に用いるミクロゲルとは全く異なるものである。
特に適宜選択された親水疎水バランス(HLB)に調節された界面活性剤を使用することにより、逆相乳化重合における重合系が一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、ミクロゲルからなる増粘剤が製造されることが好ましい。
好ましい有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカンなどのアルカン類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、デカリン、ナフタレンなどの芳香族および環状炭化水素が挙げられる。
好ましい油分としてはパラフィン油などの非極性油分が挙げられる。
一般的に不均一重合法では重合中の攪拌条件により製造される高分子の物性が異なることが知られている。その理由は乳化系が熱力学的に安定な状態ではない為に攪拌条件による乳化粒子の形状、サイズに変化が生じる為である。本発明においては、熱力学的に安定な一相マイクロエマルション領域あるいは準安定的である一相領域の近傍に存在する微細W/Oエマルション領域で重合を行うことでこれらの問題を回避できることを見出した。具体的には、通常の熱重合あるいはレドックス重合用の重合開始剤の最適重合温度近傍に上記一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルション領域が出現するように重合系の組成(有機溶媒の種類、界面活性剤のHLB)を調節することで微細な水相(水滴)内で高分子を重合することで増粘効果が高いミクロゲルを得ることが可能になった。
相図による例を図1に示す。図1は、有機溶媒にヘキサンを使用した場合の、ヘキサン(Wで示す)/界面活性剤/水溶性エチレンモノマー水溶液(Oで示す)の3成分系の相図である。図中に示したA領域が一相マイクロエマルション領域〜微細W/Oエマルション領域であり、この領域で重合を行うことにより、好ましいミクロゲルの重合が可能である。
これに対して、従来の懸濁重合による高分子の増粘剤(例えば、特開平2001−1146641公報記載の方法)では重合時の水滴の粒子径コントロールが困難であり、良質なミクロゲルを得ることは困難である。
非イオン性モノマーは上記一般式(1)に示すジアルキルアクリルアミドが好ましい。
イオン性モノマーは、一般式(2)に示すアニオン性アクリルアミド誘導体または一般式(3)に示すカチオン性アクリルアミド誘導体が好ましい。
特に好ましいジアルキルアクリルアミドは、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドである。
特に好ましいイオン性アクリルアミド誘導体は、2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸およびその塩である。
特に好ましいカチオン性アクリルアミド誘導体はN,N,-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルクロライドである。
非イオン性モノマーとイオン性モノマーの重合系におけるモノマー組成比(重合系の仕込み比)は、目的とするミクロゲルのモノマー構成比に応じて適宜任意に決定される。ミクロゲルのモノマー構成比と重合系への仕込み比はほぼ同一となる。非イオン性モノマーとイオン性モノマーの重合系の仕込み比(モル比)は、通常、非イオン性モノマー:イオン性モノマー=0.5:9.5〜9.5:0.5、好ましくは1:9〜9:1、さらに好ましくは7:3〜9:1の範囲で共重合に供される。最適比率は、非イオン性モノマー:イオン性モノマー=8:2である。
上記の水溶性エチレン性不飽和モノマーを任意に選択して本発明の増粘剤が重合される。特に好ましい増粘剤は、水溶性エチレン性不飽和モノマーにジメチルアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を用い、これらのモノマーから共重合される2元共重合体のミクロゲルである。この場合に、架橋モノマーは必要がなく、自己架橋により優れた増粘効果と使用感が発揮される増粘剤が得られる。なお、架橋モノマーを用いることもでき、その場合には一般式(4)で示される架橋モノマーが好ましく、特にメチレンビスアクリルアミドが好ましい。
これらの界面活性剤を適宜組み合わせて所望のHLBに調整して重合系に添加することが出来る。
(1)ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の水分散液の見かけ粘度が、ずり速度1.0s-1において10000mPa・s以上である。
(2)ミクロゲルの0.5%(質量百分率)のエタノール分散液の見かけ粘度が、ずり速度1.0 s-1において5000mPa・s以上である。
(3)ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の水分散液若しくはエタノール分散液のおける動的弾性率が、歪み1%以下、周波数0.01〜10Hzの範囲でG'>G"である。
なお、ミクロゲルの水若しくはエタノール分散液の見かけ粘度とは、コーンプレート型レオメータ(Paar Rhysica製 MCR-300)を用い、測定温度25℃、ずり速度1s-1における粘度である。
また、動的弾性率は、同上の測定装置を用いて測定温度25℃、歪み1%以下で周波数範囲0.1〜10Hzで測定した貯蔵弾性率(G')および損失弾性率(G")の値を意味する。
また、ミクロゲルに共重合されるイオン性モノマーを、強酸性のモノマー(例えばスルホン酸残基を含むモノマー)を選択することで、従来のカルボキシビニルポリマーでは増粘が不可能であった酸性製剤の増粘も可能である。
さらに、本発明に用いるミクロゲルは、従来、増粘若しくはゲル化が困難とされたアルコールの増粘若しくはゲル化も可能である。本発明の増粘剤は増粘若しくはゲル化の用途に使用され、化粧料に増粘剤として配合すると、優れた増粘効果を発揮し、さらに従来の増粘剤の問題とされていた、化粧料使用時のぬるつき及び乾き際のべたつきが大幅に改善され、極めて優れた使用感を持つ化粧料の製造が可能になる。
さらに、化粧料の剤形に応じて、油性基剤、界面活性剤、粉体、保湿剤、紫外線吸収剤、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、薬剤、染料、顔料、香料、水等を発明の効果を損なわない範囲で適宜配合し常法により製造することが出来る。
本発明の化粧料は、安定した増粘効果が発揮され、また、従来の高分子ゲルからなる増粘剤により生じる外観上の問題がない。
ジメチルアクリルアミド(興人製)を40gと2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)9gを250gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン250gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.2gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)16.4gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gと2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)17.5gを260gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
ジメチルアクリルアミド(興人製)を30gと2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)26.7gを280gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン280gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)9.4gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)19gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gと2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)17.5gおよびメチレンビスアクリルアミド7mgを260gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびエポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gと2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)17.5gおよびメチレンビスアクリルアミド70mgを260gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gとN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルクロライド(興人製)17.5gを260gのイオン交換水に溶解する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gとN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルクロライド(興人製)17.5gおよびメチレンビスアクリルアミド7mgを260gのイオン交換水に溶解する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
アクリルアミド(和光純薬製)を30gとメタクリロキシエチルスルホン酸(日本乳化剤製)21.6gを260gのイオン交換水に溶解する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)26gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65〜70℃に加熱し、所望の温度に達したところで過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでポリマーが生成する。重合終了後ポリマー懸濁液にアセトンを加えポリマーを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、塊状のポリマー乾燥物を得る。これをビーズミルにより機械的に粉砕して白色粉末を得る。
アクリルアミド(和光純薬製)を30gとメタクリロキシエチルスルホン酸(日本乳化剤製)21.6gを260gのイオン交換水に溶解する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)26gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65〜70℃に加熱し、所望の温度に達したところで過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することで凝集物(ゲル)が生成する。重合終了後凝集物(ゲル)をアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。ゲルは濾過後減圧乾燥し、塊状のゲル乾燥物を得る。これをビーズミルにより機械的に粉砕して白色粉末を得る。
(1)ミクロゲル水分散液の粘度挙動
合成例および比較合成例で得られたミクロゲルの増粘効果を示す一つの指標として、ミクロゲル水分散液の粘度挙動を調べた。合成例1〜7のミクロゲル、比較例として比較合成例1〜2のポリマー及びカルボキシビニルポリマー(シンタレンL:3V sigma 製)を、イオン交換水に0.5重量%になるように分散させて水分散液を調製した。コーンプレート型レオメーター(Paar Physica製 MCR-300)を用いてこれらミクロゲル水分散液のずり速度1s-1での見掛けの粘度を測定した。なお、測定冶具は直径50mm角度2°のコーンタイプのものを用い測定温度は25℃で測定した。結果を表1に示す。
一方、比較合成例1及び2のポリマー粉末を配合した比較例1及び2の結果から以下のことが明らかになった。
a:界面活性剤のHLB値が低い場合、重合系の曇点温度が低下し、重合時のW/Oエマルションの粒子径が大きくなり、この状態で重合されたポリマーは最早本発明で言うミクロゲルの範疇から外れ、増粘効果は低い(比較例1)。
b:界面活性剤のHLB値が高い場合、重合系の曇点温度が上昇し、重合時に系がO/Wエマルションになってしまい、モノマーが溶解している水相が連続相となる。このような状態で重合が進行すると均一なゲルとなってしまう。このゲルは本発明に用いるミクロゲルの範疇から外れ、増粘剤としての応用は不可能である(比較例2)。
以上から、本発明に用いる合成例のミクロゲルは、従来の化粧料用増粘剤に比較して著しく高い増粘効果を示すことが明らかになった。
本発明に用いるミクロゲルの大きな特徴の一つであるアルコールの増粘効果について調べた。被検サンプルをエチルアルコールに0.5%(質量百分率)になるように分散させミクロゲルアルコール分散液を調製した。コーンプレート型レオメーター(Paar Physica製 MCR-300)を用いて、ミクロゲルアルコール分散液のずり速度1s-1での見掛けの粘度を測定した。なお、測定冶具は直径50mm角度2°のコーンタイプのものを用い測定温度は25℃で測定した。結果を表2に示す。
ゲルの特徴として、そのほとんどの構成成分が液体であるにも関わらずその力学物性が「固体的」に振る舞うことが挙げられる。一方、このようなゲルを微細に粉砕してもマクロに見た力学物性は保持される。例えば、本発明者らは寒天ゲルについてバルクのゲルとこれを粉砕したゲルの双方の力学物性測定を比較し、粉砕したミクロゲルも定性的にはバルクゲルを同様の性質を示すことを報告している(金田、梁木 日本レオロジー学会誌 vol.30 No.2 , 89-94 2002)。
すなわち、動的弾性率の測定によりその流体がミクロゲルの形状をとっていることを確認することが可能である。本発明のこのような物性を明らかにするため、水及びアルコール分散液の動的弾性率を測定した。動的弾性率の測定はコーンプレート型レオメータ(Paar Physica製 MCR-300)を用いて歪み1%周波数範囲0.03〜3Hzの範囲で25℃で測定した。水、エタノール、水−エタノール混合溶液(水:エタノール=20:80)に、合成例2で得られたミクロゲルを、0.5%(質量百分率)で分散し、それぞれの動的弾性率の結果を、図3(水)、図4(エタノール)及び図5(水―エタノール混合液)に示した。
グラフの縦軸は貯蔵弾性率G' (Pa)および損失弾性率G" (Pa)であり、横軸は角周波数である。G'の値は被験物質の「固体的性質」をG"は「液体的性質」を示す。すなわち、G'>G"であれば「固体的(ゲル)」でありG'<G"であれば「液体的(ゾル)」であることがこのグラフから半定量的に判定できる。
いずれの結果も、測定周波数範囲でG'(貯蔵弾性率)>G"(損失弾性率)という典型的なゲル的性質を示すことが分かる。この結果から、粘度測定の結果から示された高い増粘効果はゲル的即ち固体的性質を示す微細なミクロゲルの摩擦に起因するものであることが分かる。
なお、1 s-1での見掛け粘度の値が低値であるサンプルはこのようなゲル的な動的弾性率の挙動は見られなかった。
共重合モノマーとしてスルホン酸を含むミクロゲルは広いpH領域で安定した増粘効果をしめすことが期待できる。合成例2と、比較例としてシンタレンLの0.5%(質量百分率)水分散液の各pH領域での粘度挙動を調べた。測定は、前記(1)と同様の方法にて、ずり速度1s-1での見かけ粘度を25℃で測定した。結果を図5に示す。合成例2のミクロゲルはpH=2〜11の範囲で安定した増粘効果を示した。
本発明の増粘剤であるミクロゲルの化粧料処方へ配合した場合の使用感を調べた。典型的なクリーム処方に、被検サンプルを配合し、これを専門パネリスト3名で使用感触の官能評価を行った。評価は「塗布時の使用感触」「乾き際のべたつきのなさ」「総合評価」の3項目に対して、以下の基準で行った。
4点:非常に優れている
3点:すぐれている
2点:どちらともいえない
1点:劣る
◎:平均点が3.5以上4以下
○:平均点が3以上3.5未満
△:2以上3未満
×:2未満
結果を表3に示す。本発明によるミクロゲルを増粘剤として配合した化粧料は従来の増粘剤を配合した化粧料に比べ、使用感について極めて高い評価を得た。
使用感に関して、専門パネリスト3名で使用感触の官能評価を行った。評価に関して、以下の基準で判断を行った。
4点:非常に優れている、3点:優れている、2点:どちらともいえない、1点劣る
◎:平均点が3.5以上4以下、○平均点が3以上3.5未満、△:2以上3未満、×2未満
塗布時の使用感に優れ、粘度の安定性も良く、染色度合いにも優れており、総合評価が優れている。
使用感に関して、専門パネリスト3名で使用感触の官能評価を行った。評価に関して、以下の基準で判断を行った。
4点:非常に優れている、3点:優れている、2点:どちらともいえない、1点劣る
◎:平均点が3.5以上4以下、○平均点が3以上3.5未満、△:2以上3未満、×2未満
塗布時の使用感に優れ、粘度の安定性も良く、染色度合いにも優れており、総合評価が優れている。
使用感に関して、専門パネリスト3名で使用感触の官能評価を行った。評価に関して、以下の基準で判断を行った。
4点:非常に優れている、3点:優れている、2点:どちらともいえない、1点劣る
◎:平均点が3.5以上4以下、○平均点が3以上3.5未満、△:2以上3未満、×2未満
塗布時の使用感に優れ、粘度の安定性も良く、染色度合いにも優れており、総合評価が優れている。
使用感に関して、専門パネリスト3名で使用感触の官能評価を行った。評価に関して、以下の基準で判断を行った。
4点:非常に優れている、3点:優れている、2点:どちらともいえない、1点劣る
◎:平均点が3.5以上4以下、○平均点が3以上3.5未満、△:2以上3未満、×2未満
塗布時の使用感に優れ、系時の粘度の安定性も良く、総合評価が優れている。
使用感に関して、専門パネリスト3名で使用感触の官能評価を行った。評価に関して、以下の基準で判断を行った。
4点:非常に優れている、3点:優れている、2点:どちらともいえない、1点劣る
◎:平均点が3.5以上4以下、○平均点が3以上3.5未満、△:2以上3未満、×2未満
塗布時の使用感に優れ、べたつきがなく、総合評価が優れている。
使用感に関して、専門パネリスト3名で使用感触の官能評価を行った。評価に関して、以下の基準で判断を行った。
4点:非常に優れている、3点:優れている、2点:どちらともいえない、1点劣る
◎:平均点が3.5以上4以下、○平均点が3以上3.5未満、△:2以上3未満、×2未満
塗布時の使用感に優れ、べたつきがなく、総合評価が優れている。
なお、この実施例ではカチオン系ポリマーは配合できないため、合成例6、7のポリマーは配合していない。
合成例1〜5の増粘剤を配合するパックは、比較例に比べ、べたつきがなくさっぱりした使用感のものが得られる。
使用感に関して、専門パネリスト3名で使用感触の官能評価を行った。評価に関して、以下の基準で判断を行った。
4点:非常に優れている、3点:優れている、2点:どちらともいえない、1点劣る
◎:平均点が3.5以上4以下、○平均点が3以上3.5未満、△:2以上3未満、×2未満
塗布時の使用感に優れ、べたつきがなく、総合評価が優れている。
本発明の増粘剤の製造方法においては、重合されたミクロゲルを粉末状態で分離して増粘剤として使用することが可能である。したがって、従来の高分子ゲルのように粉砕する必要がない。粉末状に分離されたミクロゲルは、水、エタノール、水/エタノールの混合溶剤に容易に分散して速やかに膨潤し、優れた増粘剤として機能する。また、ミクロゲルに共重合される、水溶性エチレン製不飽和モノマーに、強酸性のイオン性モノマー(例えばスルホン酸残基を含むモノマー)を選択することにより、従来のカルボキシビニルポリマーでは増粘が不可能であった酸性製剤の増粘も可能となる。
さらに、本発明の増粘剤は、従来、増粘若しくはゲル化が困難であったアルコールの増粘若しくはゲル化が可能である。
Claims (4)
- 有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤において、
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、一般式(1)に示されるジアルキルアクリルアミドと、一般式(3)に示されるカチオン性アクリルアミド誘導体とであることを特徴とする増粘剤。
一般式(1)
一般式(3)
- 有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、前記組成物が界面活性剤を含有し一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤において、
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、一般式(1)に示されるジアルキルアクリルアミドと、一般式(3)に示されるカチオン性アクリルアミド誘導体とであることを特徴とする増粘剤。
一般式(1)
一般式(3)
- 有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤において、
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、一般式(1)に示されるジアルキルアクリルアミドと一般式(3)に示されるカチオン性アクリルアミド誘導体と、一般式(4)に示される架橋性モノマーとであることを特徴とする増粘剤。
一般式(1)
一般式(3)
一般式(4)
- 有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、前記組成物が界面活性剤を含有し一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤において、
前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、一般式(1)に示されるジアルキルアクリルアミドと一般式(3)に示されるカチオン性アクリルアミド誘導体と、一般式(4)に示される架橋性モノマーとであることを特徴とする増粘剤。
一般式(1)
一般式(3)
一般式(4)
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