JP4424427B2 - 車両の制御装置および制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、車両の制御に関し、特に、蓄電装置の電力を昇圧して出力するコンバータと、コンバータから出力される電力を変換して車両駆動用モータに出力するインバータとを備えた車両の制御に関する。
最近、環境に配慮した自動車として、ハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)および電気自動車(Electric Vehicle)が実用化されている。このようなハイブリッド自動車または電気自動車においては、車両を適切に走行させつつエネルギ効率を向上させるために、モータに対する負荷に応じた電力をモータに供給することが求められる。たとえば特開2007−89262号公報(特許文献1)には、車両の走行性能を低下させることなく、燃費の向上が可能な制御装置が開示されている。
特開2007−89262号公報に開示された制御装置は、直流電源からの電圧を昇圧して出力する昇圧コンバータと、昇圧コンバータから出力された直流電力を交流電力に変換して車両駆動用モータに出力するインバータとを備えた車両を制御する。制御装置は、運転者の要求する走行モードに応じて昇圧コンバータの出力電圧の目標値を適宜切換える。制御装置は、応答性重視モードの選択時には、モータの要求出力に応じた電圧よりも高い一定の電圧値を目標値に設定して昇圧コンバータを制御する。一方、燃費重視モードの選択時には、制御装置は、モータの駆動要求トルクに基づいて目標値を設定して昇圧コンバータを制御する。そのため、車両の走行性能を低下させることなく、燃費の向上が可能となる。
特開2007−89262号公報に開示された制御装置によると、運転者が燃費重視モードを選択した時には、昇圧コンバータの出力電圧がモータの駆動要求トルクに基づいて設定された値に制御される。このときの昇圧コンバータの出力電圧は、応答性重視モード選択時よりも低い。そのため、昇圧コンバータでの損失を軽減できる。これにより、車両の走行性能を重視した走行モードを可能とするとともに、燃費を向上させることができる。
特開2007−89262号公報
国際公開第2003/015254号パンフレット
ところで、特開2007−89262号公報に開示された制御装置のように、燃費重視モード選択時に昇圧コンバータの出力電圧(以下、システム電圧とも記載する)を応答性重視モード選択時よりも低い値に制限すると、追い越し等で瞬間的に大きなトルクが必要になった場合、トルク不足となる可能性がある。このトルク不足を解消するためにシステム電圧を増加させる場合、インバータの矩形波電圧制御中であると、モータの出力トルクをトルク指令値どおりに制御できなくなる場合がある。
すなわち、インバータの矩形波電圧制御時は、電気1周期に1回のスイッチングしか行なわれず、1回のスイッチング期間がPWM(Pulse Width Modulation)制御時に比べて長くなる。そのため、矩形波電圧制御中にシステム電圧を増加させると、PWM制御のようにシステム電圧の変動をスイッチング期間に反映させることが難しく、インバータからモータに出力される電圧が矩形波電圧制御による指令電圧値どおりの値とならない場合がある。このような状態で、トルク指令値を増加させると、モータの出力トルクをトルク指令値どおりに制御できなくなる場合がある。
本発明は、前述の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、蓄電装置の電力を昇圧して出力するコンバータと、コンバータから出力される電力を変換して車両駆動用モータに出力するインバータとを備えた車両において、コンバータの出力電圧を増加させる際に、指令値どおりのトルクをモータに出力させることができる制御装置および制御方法を提供することである。
第1の発明に係る制御装置は、蓄電装置と、蓄電装置の電圧を可変に昇圧して出力するコンバータと、コンバータから出力される電力を変換して出力するインバータと、インバータから出力される電力によって作動するモータとを備えた車両を制御する。この制御装置は、電圧指令値に基づいてコンバータの出力電圧を制御するための手段と、モータの出力トルクを指示するトルク指令値と電圧指令値とに基づく矩形波電圧をモータに供給するように、インバータを制御するための矩形波電圧制御手段と、電圧指令値を増加させる際、トルク指令値とモータの実際の出力トルクとの差が予め定められた値より小さくなるように、電圧指令値とトルク指令値とを制御するための制御手段とを含む。
第2の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、制御手段は、トルク指令値と出力トルクとの差を予め定められた値より小さくすることが可能な程度に小さな第1の増加率で電圧指令値を増加させるとともに、電圧指令値の増加中に第1の増加率に応じた第2の増加率でトルク指令値を増加させる。
第3の発明に係る制御装置においては、第2の発明の構成に加えて、第2の増加率は、電圧指令値がコンバータの昇圧上限値に達するタイミングと、トルク指令値が昇圧上限値に応じたトルク上限値に達するタイミングとを一致させる、トルク指令値の増加率である。
第4の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、制御手段は、電圧指令値をコンバータの昇圧上限値まで増加させた後に、トルク指令値を増加させる。
第5の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、制御手段は、電圧指令値の増加とトルク指令値の増加とを段階的に交互に行なう。
第6の発明に係る制御装置においては、第4または5の発明の構成に加えて、制御手段は、電圧指令値の増加およびトルク指令値の増加を、それぞれの最大増加率で増加させる。
第7の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、矩形波電圧制御手段は、モータの回転位置に基づいて定まる電気角の1周期内に1回、矩形波電圧をモータに供給する。制御装置は、モータの単位時間あたりの回転数を検出するための回転数検出手段をさらに含む。制御手段は、1回の矩形波電圧の供給の開始時から終了時までの出力電圧の増加量が回転数に関わらず一定値となるように、回転数に応じて電圧指令値の増加率を変更する。
第8の発明に係る制御装置においては、第7の発明の構成に加えて、矩形波電圧制御手段は、出力電圧の増加量に基づいて、1回の矩形波電圧の供給時間を補正する。
第9の発明に係る制御装置においては、第1〜8のいずれかの発明の構成に加えて、制御装置は、出力電圧を検出するための電圧検出手段をさらに含む。Nを自然数とするとき、矩形波電圧制御手段は、N回目の矩形波電圧の供給時間を、トルク指令値とN−1回目の矩形波電圧の供給の開始時に電圧検出手段によって検出された出力電圧とに基づいて設定する。
第10の発明に係る制御装置は、第1の発明の構成に加えて、車両の運転者による加速の要求度合いを検出するための加速要求検出手段と、電圧指令値をコンバータの昇圧上限値よりも低い制限値に制限するための制限手段と、制限手段によって電圧指令値が制限されている場合に、加速要求検出手段によって検出された要求度合いが予め定められた度合いよりも大きいと、制限手段による電圧指令値の制限を解除するための解除手段とをさらに含む。制御手段は、解除手段によって制限を解除した場合に、電圧指令値とトルク指令値とを増加させる。
第11の発明に係る制御装置は、第1の発明の構成に加えて、車両の運転者による加速の要求度合いを検出するための加速要求検出手段と、モータに入力される電流を検出するための電流検出手段と、モータの回転位置を検出するための回転位置検出手段と、モータの単位時間あたりの回転数を検出するための回転数検出手段と、電流検出手段によって検出された電流および回転位置検出手段によって検出された回転位置に基づいて、モータの出力トルクを推定するための推定手段と、電圧指令値をコンバータの昇圧上限値よりも低い制限値に制限するための制限手段と、制限手段によって電圧指令値が制限されている場合に、加速要求検出手段によって検出された要求度合いが予め定められた度合いよりも大きく、かつ推定手段によって推定された出力トルクが回転数検出手段によって検出された回転数と制限値とに基づいて定まるトルク上限値に達したときに、制限手段による電圧指令値の制限を解除するための解除手段とをさらに含む。制御手段は、解除手段によって制限を解除した場合に、電圧指令値とトルク指令値とを増加させる。
第12の発明に係る制御装置は、第10または11の発明の構成に加えて、通常モードおよび節約モードのいずれの運転モードが車両の運転者により選択されているかを検出するためのモード検出手段をさらに含む。制限手段は、モード検出手段によって節約モードが選択されていることが検出された場合に、電圧指令値を制限値に制限する。
第13〜24の発明に係る制御方法は、それぞれ、第1〜12の発明に係る制御装置と同様の要件を備える。
本発明によれば、コンバータの出力電圧を指示する電圧指令値を増加させる際、インバータが矩形波電圧制御で制御されていることを考慮して、モータの出力トルクを指示するトルク指令値とモータの実際の出力トルクとの差が予め定められた値より小さくなるように、電圧指令値とトルク指令値とを制御する。これにより、矩形波電圧制御における電圧指令値とインバータの出力電圧とのずれが最小限に抑えられるのでトルク外れを抑制することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
<第1の実施の形態>
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御装置を備えた車両のモータ駆動システム100について説明する。なお、本発明が適用できる車両は、モータ駆動システム100に用いられるモータで駆動する電気自動車、あるいは、モータ駆動システム100に用いられるモータに加えて、エンジンを駆動源として備えるハイブリッド自動車などである。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御装置を備えた車両のモータ駆動システム100について説明する。なお、本発明が適用できる車両は、モータ駆動システム100に用いられるモータで駆動する電気自動車、あるいは、モータ駆動システム100に用いられるモータに加えて、エンジンを駆動源として備えるハイブリッド自動車などである。
このモータ駆動システム100は、直流電圧発生部10♯と、平滑コンデンサC0と、インバータ14と、交流モータM1と、制御装置3000とを備える。
交流モータM1は、車両の駆動輪を駆動するためのトルクを発生する駆動用電動機である。あるいは、この交流モータM1は、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つように構成されてもよく、電動機および発電機の機能を併せ持つように構成されてもよい。さらに、交流モータM1は、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。
直流電圧発生部10♯は、充電可能に構成された直流電源Bと、システムリレーSR1,SR2と、平滑コンデンサC1と、コンバータ12とを含む。
直流電源Bは、たとえばニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池を含んで構成される。あるいは、電気二重層キャパシタ等の蓄電装置により直流電源Bを構成してもよい。直流電源Bが出力する直流電圧Vbは、電圧センサ10によって検出される。電圧センサ10は、検出した直流電圧Vbを制御装置3000へ出力する。
システムリレーSR1は、直流電源Bの正極端子および正極線6の間に接続され、システムリレーSR2は、直流電源Bの負極端子および負極線5の間に接続される。システムリレーSR1,SR2は、制御装置3000からの信号SEによりオン/オフされる。より具体的には、システムリレーSR1,SR2は、制御装置3000からのH(論理ハイ)レベルの信号SEによりオンされ、制御装置3000からのL(論理ロー)レベルの信号SEによりオフされる。平滑コンデンサC1は、正極線6および負極線5の間に接続される。
コンバータ12は、リアクトルL1と、電力用半導体スイッチング素子Q1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。
電力用半導体スイッチング素子Q1およびQ2は、正極線7および負極線5の間に直列に接続される。電力用半導体スイッチング素子Q1およびQ2のオン/オフは、制御装置3000からのスイッチング制御信号S1およびS2によって制御される。
この発明の実施の形態において、電力用半導体スイッチング素子(以下、単に「スイッチング素子」と称する)としては、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、
電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラ
トランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2がそれぞれ配置されている。
電力用MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタあるいは、電力用バイポーラ
トランジスタ等を用いることができる。スイッチング素子Q1,Q2に対しては、逆並列ダイオードD1,D2がそれぞれ配置されている。
リアクトルL1は、スイッチング素子Q1およびQ2の接続ノードと正極線6の間に接続される。また、平滑コンデンサC0は、正極線7および負極線5の間に接続される。
インバータ14は、正極線7および負極線5の間に並列に設けられ、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とを含む。各相アームは、正極線7および負極線5の間に直列接続されたスイッチング素子を含む。たとえば、U相アーム15は、スイッチング素子Q3,Q4を含む。V相アーム16は、スイッチング素子Q5,Q6を含む。W相アーム17は、スイッチング素子Q7,Q8を含む。また、スイッチング素子Q3〜Q8に対して、逆並列ダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。スイッチング素子Q3〜Q8のオン/オフは、制御装置3000からのスイッチング制御信号S3〜S8によって制御される。
各相アームの中間点は、交流モータM1の各相コイルの各相端に接続されている。代表的には、交流モータM1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中性点に共通接続されて構成される。さらに、各相コイルの他端は、各相アーム15〜17のスイッチング素子の中間点と接続されている。
コンバータ12は、昇圧動作時には、直流電源Bから供給された直流電圧Vbを昇圧した直流電圧(インバータ14への入力電圧に相当するこの直流電圧を、以下「システム電圧」とも称する)VHをインバータ14へ供給する。より具体的には、制御装置3000からのスイッチング制御信号S1,S2に応答して、スイッチング素子Q1のオン期間およびQ2のオン期間が交互に設けられ、昇圧比は、これらのオン期間の比に応じたものとなる。
また、コンバータ12は、降圧動作時には、平滑コンデンサC0を経由してインバータ14から供給された直流電圧(システム電圧)VHを降圧して直流電源Bを充電する。より具体的には、制御装置3000からのスイッチング制御信号S1,S2に応答して、スイッチング素子Q1のみがオンする期間と、スイッチング素子Q1,Q2の両方がオフする期間とが交互に設けられ、降圧比は上記オン期間のデューティ比に応じたものとなる。なお、スイッチング素子Q1,Q2の両方がオフする期間の代わりに、逆並列ダイオードD2のオン期間に合わせてスイッチング素子Q2のみをオンさせる期間を設けても良い。この場合には、原則としてスイッチング素子Q1,Q2は相補的にオン/オフを繰返す。
平滑コンデンサC0は、コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。電圧センサ13は、平滑コンデンサC0の両端の電圧、すなわち、システム電圧を検出し、その検出値VHを制御装置3000へ出力する。
インバータ14は、制御装置3000からのスイッチング制御信号S3〜S8に応答して、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作を行なう。インバータ14には平滑コンデンサC0から直流電圧VHが供給される。
インバータ14は、交流モータM1のトルク指令値が正(Trqcom>0)の場合には、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により直流電圧を交流電圧に変換して正のトルクを出力するように交流モータM1を駆動する。
また、インバータ14は、交流モータM1のトルク指令値が零の場合(Trqcom=0)には、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により、直流電圧を交流電圧に変換してトルクが零になるように交流モータM1を駆動する。
このような制御により、交流モータM1は、トルク指令値Trqcomによって指定された零または正のトルクを発生するように駆動される。
さらに、モータ駆動システム100が搭載された車両の回生制動時には、交流モータM1のトルク指令値Trqcomは負に設定される(Trqcom<0)。この場合には、インバータ14は、スイッチング素子Q3〜Q8のスイッチング動作により、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧VHに変換し、その変換した直流電圧(システム電圧)VHを平滑コンデンサC0を経由してコンバータ12へ供給する。
なお、ここで言う回生制動とは、車両を運転する運転者によるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
電流センサ24は、交流モータM1に流れるモータ電流を検出し、その検出したモータ電流を制御装置3000へ出力する。なお、三相電流iu,iv,iwの瞬時値の和は零であるので、図1に示すように電流センサ24は2相分のモータ電流(たとえば、V相電流ivおよびW相電流iw)を検出するように配置すれば足りる。
回転角センサ(レゾルバ)25は、交流モータM1のロータの回転角θおよび交流モータM1の単位時間あたりの回転数(モータ回転数)Nを検出し、検出結果を表わす信号を制御装置3000へ出力する。
アクセル開度センサ26は、アクセルペダル(図示せず)の操作量を示すアクセル開度ACCを検出し、その検出したアクセル開度ACCを制御装置3000へ出力する。
エコスイッチ27は、運転者によって通常モードおよび節約モードのいずれの運転モードが選択されているかを検出し、その検出結果を表わす信号を制御装置3000へ出力する。なお、通常モードとは、エネルギ効率の向上よりも車両の操縦応答性を重視したモードである。節約モードとは、車両の操縦応答性よりもエネルギ効率の向上を重視したモードである。運転者がこれらの運転モードをエコスイッチ27によって切り換えることにより、車両の走行性能を低下させることなく、エネルギ効率の向上を図ることが可能となる。
制御装置3000は、アクセル開度ACCに基づいてトルク指令値Trqcomを算出する。制御装置3000は、電圧センサ10からのバッテリ電圧Vb、電圧センサ13からのシステム電圧VH、電流センサ24からのモータ電流iv,iw、レゾルバ25からの回転角θ、エコスイッチ27の検出結果に基づいて、交流モータM1がトルク指令値Trqcomに従ったトルクを出力するように、コンバータ12およびインバータ14の動作を制御する。
制御装置3000は、コンバータ12およびインバータ14を上記のように制御するためのスイッチング制御信号S1〜S8を生成して、コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
制御装置3000は、コンバータ12の昇圧動作時には、平滑コンデンサC0の出力電圧(システム電圧)VHをフィードバック制御し、システム電圧VHがシステム電圧指令値VHcomとなるようにスイッチング制御信号S1,S2を生成する。
制御装置3000は、このシステム電圧指令値VHcomを、エコスイッチ27の検出結果(通常モードか、それとも節約モードか)に応じて切り換える。
通常モードが選択されている場合、制御装置3000は、システム電圧指令値VHcomを、コンバータ12の昇圧上限値VH(MAX)(たとえば650ボルト程度)に設定する。これにより、システム電圧VHがVH(MAX)となる。
一方、節約モードが選択されている場合、制御装置3000は、システム電圧VHを制限する。具体的には、制御装置3000は、システム電圧指令値VHcomを、VH(MAX)よりも低い電圧値VH(1)(たとえば500ボルト程度)に設定する。これにより、システム電圧VHがVH(1)となり、節約モード時のコンバータ12における電力損失が通常モード時よりも低減される。
図2を参照して、モータ回転数N、システム電圧VH、および交流モータM1のトルク上限値(出力可能な最大トルク)の関係について説明する。
交流モータM1では、回転数や出力トルクが増加すると誘起電圧が高くなり、その必要電圧が高くなる。このモータ必要電圧(誘起電圧)の最大値はシステム電圧VHで決まる。したがって、システム電圧VHが低いほど、またモータ回転数Nが高いほど、交流モータM1のトルク上限値は小さくなる。
節約モード時(システム電圧VH=VH(1))の交流モータM1のトルク上限値は、図2の実線に示すように、N<N(1)の範囲では最大値で一定であるが、N>N(1)の範囲ではモータ回転数Nが大きくなるほど低下する。
通常モード時(システム電圧VH=VH(MAX))の交流モータM1のトルク上限値は、図2の一点鎖線に示すように、N<N(2)(N(2)>N(1))の範囲では節約モード時と同じ最大値となり、N>N(2)の範囲でモータ回転数Nが大きくなるほど低下する。
そして、システム電圧VHをVH(1)からVH(MAX)に昇圧すると、交流モータM1のトルク上限値が、図2の実線に示す値から図2の点線に示す値に増加する。システム電圧VHをVH(MAX)からVH(1)に降圧すると、交流モータM1のトルク上限値が、図2の点線に示す値から図2の実線に示す値に低下する。
図3〜図5を参照して、制御装置3000によって制御される、インバータ14における電力変換について説明する。
図3は、モータ駆動システム100で用いられるインバータ14の制御方式を説明する図である。なお、図3で説明する変調率の数値は一例であって、これに限定されるものではない。
図3に示すように、モータ駆動システム100では、インバータ14における電圧変換について3つの制御モードを切換えて使用する。具体的には、3つの制御モードは、正弦波PWM制御、過変調PWM制御および矩形波電圧制御の各制御モードである。
正弦波PWM制御は、一般的なPWM制御方式として用いられるものであり、各相アームにおけるスイッチング素子のオン/オフを、正弦波状の電圧指令値と搬送波(代表的には三角波)との電圧比較に従って制御する。この結果、上アーム素子のオン期間に対応するハイレベル期間と、下アーム素子のオン期間に対応するローレベル期間との集合について、一定期間内でその基本波成分が正弦波となるようにデューティ比が制御される。周知のように、正弦波PWM制御では、この基本波成分振幅をインバータ入力電圧の0.61倍までしか高めることができない。
一方、矩形波電圧制御では、上記一定期間内で、PWMデューティを最大値に維持した場合に相当する、ハイレベル期間およびローレベル期間の比が1:1の矩形波1パルス分を交流モータ印加する。これにより、変調率は0.78まで高められる。
過変調PWM制御は、搬送波の振幅を縮小するようにを歪ませた上で上記正弦波PWM制御と同様のPWM制御を行なうものである。この結果、基本波成分を歪ませることによって、変調率を0.61〜0.78の範囲まで高めることができる。本実施の形態では、通常のPWM制御方式である正弦波PWM制御および、過変調PWM制御の両者をPWM制御方式に分類する。
図4は、インバータ14の制御方式の選択手法を説明するフローチャートである。図4のフローチャートに示されるように、制御装置3000は、アクセル開度ACCに基づいて交流モータM1のトルク指令値Trqcomを算出し(ステップ10、以下、ステップをSと略す)、モータ回転数Nを検出し(S12)、トルク指令値Trqcomおよびモータ回転数Nに基づいて、矩形波電圧制御方式およびPWM制御方式(正弦波PWM制御方式/過変調PWM制御方式)のいずれを適用してモータ制御を行なうかを選択する(S14)。
具体的には、制御装置3000は、図5に示すマップ上でのトルク指令値Trqcomとモータ回転数Nとの交点(以下、指令動作点ともいう)が、低回転数域A1、中回転数域A2、高回転数域A3のいずれの領域に属するかを判断する。制御装置3000は、指令動作点が低回転数域A1に属する場合はトルク変動を小さくするために正弦波PWM制御を選択し、指令動作点が中回転数域A2に属する場合は過変調PWM制御を選択し、指令動作点が高回転数域A3に属する場合は矩形波電圧制御を選択する。
特に、過変調PWM制御および矩形波電圧制御を選択することにより、交流モータM1の出力向上が実現される。このように、図2に示した制御モードのいずれを用いるかについては、実現可能な変調率の範囲内で決定される。
図5から明らかなように、システム電圧VHをVH(1)からVH(MAX)に昇圧する場合は、指令動作点が高回転数域A3に属するため、インバータ14の制御方式としては、矩形波電圧制御が選択される。
なお、前述した指令動作点に代えて、図5に示すマップ上での交流モータM1のトルク推定値Trqとモータ回転数Nとの交点(以下、実動作点ともいう)に基づいて、インバータ14の制御方式の選択を行なうようにしてもよい。トルク推定値Trqについては後に詳述する。
以上のような構成を有するモータ駆動システム100において、制御装置3000は、節約モードが選択されている場合であっても、アクセル開度ACCおよび実動作点に基づいて節約モード時におけるシステム電圧VHの制限を解除する。
さらに、制御装置3000は、システム電圧VHの制限を解除してシステム電圧指令値VHcomを昇圧する際、システム電圧指令値VHcomとトルク指令値Trqcomとを、互いに協調させて増加するように制御(協調制御)する。
図6に、節約モード時に矩形電圧制御方式でインバータ14を制御しつつコンバータ12を制御する場合の制御装置3000の機能ブロック図を示す。
制御装置3000は、座標変換部3100と、トルク推定部3200と、矩形電圧制御部3300と、システム電圧制御部3400と、協調制御部3500とを含む。
座標変換部3100は、レゾルバ25によって検出される回転角θを用いた座標変換(3相→2相)により、電流センサ24によって検出されたV相電流ivおよびW相電流iwを基に、d軸電流Idおよびq軸電流Iqを算出する。
トルク推定部3200は、座標変換部3100によって求められたd軸電流Idおよびq軸Iqを用いて、交流モータM1の実際の出力トルクを、トルク推定値Trqとして推定する。トルク推定部3200は、たとえば、d軸電流Idおよびq軸電流Iqを引数としてトルク推定値Trqを出力するトルク算出マップにより構成される。なお、トルク推定値Trqは、レゾルバ25および電流センサ24の検出値に基づいて算出される値であり、交流モータM1の実際の出力トルクに極めて近い値である。
矩形電圧制御部3300は、トルク指令値算出部3310と、矩形波発生部3320と、信号発生部3330とを含む。
トルク指令値算出部3310は、通常はアクセル開度ACCに応じてトルク指令値Trqcomを算出するが、協調制御部3500からの信号が入力される場合には、アクセル開度ACCに加えて協調制御部3500からの信号に応じてトルク指令値Trqcomを算出する。
矩形波発生部3320は、トルク指令値Trqcomと、トルク推定値Trqと、回転角θ(モータ回転数N)と、システム電圧指令値VHcom(システム電圧VH)とに基づいて、各相電圧指令値(矩形波パルス)Vu,Vv,Vwを発生する。矩形波発生部3320は、トルク推定値Trqを用いてトルク指令値Trqcomをフィードバック制御することによりトルク外れ現象(交流モータM1の実際の出力トルクとトルク指令値Trqcomとの差が大きく異なってしまう現象)を抑制する。具体的には、矩形波発生部3320は、トルク指令値Trqcomに対するトルク推定値Trqの偏差ΔTrq(ΔTrq=Trqcom−Trq)に基づいて制御偏差を求め、求められた制御偏差、回転角θおよびシステム電圧指令値VHcom(システム電圧VH)とに応じて矩形波パルスを設定する。
信号発生部3330は、各相電圧指令値Vu,Vv,Vwに従ってスイッチング制御信号S3〜S8を発生する。インバータ14がスイッチング制御信号S3〜S8に従ったスイッチング動作を行なうことにより、矩形波パルスで指令された電圧がモータの各相電圧として印加される。これにより、交流モータM1の出力トルクが、トルク指令値Trqcomに応じた値となる。
図7に、U相アーム15のスイッチング素子Q3に対する矩形波パルスの波形の一例を示す。スイッチング素子Q3をN回目(Nは自然数)にオンする場合の電圧指令値VON(N)は、(N−1)回目にスイッチング素子Q3をオンした時点(すなわち(N−1)回目の矩形波パルスの立ち上がり時点)のシステム電圧指令値VHcom(あるいはシステム電圧VH)に応じた値に設定される。また、スイッチング素子Q3をN回目にオンする場合のオン期間TON(N)は、(N−1)回目にスイッチング素子Q3をオンした時点のシステム電圧指令値VHcom(あるいはシステム電圧VH)とトルク指令値Trqcomとに応じた長さに設定される。
なお、図7の横軸は、時間の変化に対応する電気角であり、電気角は、ロータの回転角θに基づいて定まる。また、矩形波電圧制御では電気1周期に1回のスイッチングしか行なわれない。したがって、スイッチング周期T(矩形波パルスの立ち上がりから次の立ち上がりまでの時間)およびオン期間TONは、ロータの回転角θの変化速度(モータ回転数N)が低いほどを長くなる。
再び図6を参照して、システム電圧制御部3400は、システム電圧指令値算出部3410と、信号発生部3420とを含む。
システム電圧指令値算出部3410は、節約モード時において、通常はシステム電圧指令値VHcomをVH(1)に制限するが、アクセル開度ACCと、トルク推定値Trqおよびモータ回転数Nから求まる実動作点とに基づいて、システム電圧VHの制限を解除して、システム電圧指令値VHcomをVH(1)からVH(MAX)に増加させる。
信号発生部3420は、システム電圧指令値VHcomに従ってスイッチング制御信号S1,S2を発生する。コンバータ12がスイッチング制御信号S1,S2に従ったスイッチング動作を行なうことにより、システム電圧VHが、システム電圧指令値VHcomで指令された電圧となる。
協調制御部3500は、システム電圧指令値算出部3410にてシステム電圧指令値VHcomをVH(1)からVH(MAX)に増加させる際、インバータ14の制御方式が矩形波電圧制御である場合には、システム電圧指令値VHcomとトルク指令値Trqcomとを協調させて増加させるように制御する。
なお、本実施の形態においては、システム電圧指令値VHcomをVH(1)からVH(MAX)に増加させる場合、前述したようにインバータ14の制御方式が必ず矩形波電圧制御となるため、協調制御部3500による制御が必ず実行されることになる。
図8を参照して、制御装置3000が実行するプログラムの制御構造について説明する。このプログラムは、節約モード時においてシステム電圧VHがVH(1)に制限されている場合に、予め定められたサイクルタイムで繰り返し実行される。
S100にて、制御装置3000は、アクセル開度ACCを検出する。S102にて、制御装置3000は、アクセル開度ACCがしきい値より大きいか否かを判断する。このしきい値は、運転者が車両の加速(トルク増加)を緊急に要求しているか否かを判断するための値であって、たとえば、アクセル全開時を100%とすると85%程度の値である。しきい値より大きいと(S102にてYES)、処理はS104に移される。そうでないと(S102にてNO)、処理はS114に移される。
S104にて、制御装置3000は、電流センサ24からのV相電流ivおよびW相電流iwを検出する。S106にて、制御装置3000は、交流モータM1のロータの回転角θを検出する。
S108にて、制御装置3000は、V相電流iv、W相電流iw、および回転角θに基づいて、トルク推定値Trqを算出する。この処理は、前述した機能ブロック図におけるトルク推定部3200に相当する。S110にて、制御装置3000は、モータ回転数Nを検出する。
S112にて、制御装置3000は、図2に示すマップ上で、トルク推定値Trqとモータ回転数Nとの交点である実動作点が、節約モード時のトルク上限値(図2の実線)に達したか否かを判断する。言い換えれば、制御装置3000は、トルク推定値Trqがモータ回転数Nのときの節約モード時のトルク上限値に達したか否かを判断する。なお、トルク推定値Trqは、前述したように、交流モータM1の実際の出力トルクに極めて近い値である。実動作点が節約モード時のトルク上限値に達すると(S112にてYES)、処理はS200に移される。そうでないと(S112にてNO)、処理はS114に移される。
S200にて、制御装置3000は、システム電圧VHの制限を解除して、システム電圧VHをVH(1)からVH(MAX)まで上昇させるように、システム電圧指令値VHcomの増加処理を行なう。なお、この処理については、図9にて詳細に説明する。
S114にて、制御装置3000は、システム電圧VHの制限を維持するように、システム電圧指令値VHcomをVH(1)に維持する。
図9を参照して、制御装置3000が図8のS200にてシステム電圧指令値VHcomの増加処理を行なう場合に実行するプログラムの制御構造について説明する。なお、制御装置3000は、この増加処理において、システム電圧指令値VHcomとトルク指令値Trqcomとの協調制御を行なう。
S202にて、制御装置3000は、トルク指令値Trqcomをシステム電圧指令値VHcomと同時に増加させた場合においてもトルク外れを抑制可能な十分小さな一定の増加レート(単位時間あたりの増加量)で、システム電圧指令値VHcomを増加させる。
S204にて、制御装置3000は、システム電圧指令値VHcomがVH(MAX)に達するタイミングでトルク指令値Trqcomが通常モード時のトルク上限値(図2の点線)に達する一定の増加レートで、トルク指令値Trqcomを増加させる。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置3000の動作について、図10〜図12を参照しつつ説明する。
以下の説明では、節約モード時にシステム電圧VHがVH(1)に制限されている状態で運転者が車両を走行させている場合を想定する。
図10に示すように、時刻t(1)にて、運転者がアクセルペダルを強く踏み込んでアクセル開度ACCがしきい値に達すると(S102にてYES)、V相電流iv、W相電流iw、およびロータの回転角θに基づいて、トルク推定値Trqが算出される(S104〜S108)。
そして、図2に示すマップ上で、トルク推定値Trqとモータ回転数Nとで求まる実動作点が節約モード時のトルク上限値に達したか否かが判断される(S112)。
このとき、図11に示すように、時刻t(1)の指令動作点は、アクセル開度ACCの増加に応じてトルク指令値Trqcomも増加される結果、節約モード時のトルク上限値を超える領域に含まれる。
しかし、時刻t(1)の実動作点は、節約モード時のトルク上限値を超えない領域に含まれ、その後の時刻t(2)で節約モード時のトルク上限値に達する。すなわち、トルク推定値Trqは交流モータM1の実際の出力トルクに極めて近い値であり、トルク指令値Trqcomに対して遅れて上昇するため、時刻t(1)ではなく、その後の時刻t(2)において節約モード時のトルク上限値に達する。したがって、時刻t(2)までは、システム電圧VHをVH(1)に制限したままであっても実際の出力トルクの上昇が制限されることはない。
そこで、図10に示すように、指令動作点ではなく実動作点が節約モード時のトルク上限値に達するまでは(S112にてNO)、システム電圧VHの制限が維持される(S114)。これにより、時刻t(1)でシステム電圧VHの制限を解除する場合(図10の一点鎖線参照)に比べて、運転者が要求する駆動力を発生させつつ、コンバータ12における電力損失を低減することができる。
そして、時刻t(2)で実動作点が節約モード時のトルク上限値に達すると(S112にてYES)、システム電圧VHの制限が解除される(S200)。
時刻t(2)でシステム電圧VHの制限が解除された後、システム電圧指令値VHcomをVH(1)からVH(MAX)に増加させる場合、前述したようにインバータ14の制御方式が必ず矩形波電圧制御となる。
矩形波電圧制御では、前述したように、電気1周期に1回のスイッチングしか行なわれず、1回のオン期間TONがPWM制御よりも長くなる。
このような矩形波電圧制御中にシステム電圧VHを昇圧させると、1回のオン期間TON中は、システム電圧VH(平滑コンデンサC0の出力電圧)の増加量が平滑コンデンサC0を経由してそのままインバータ14に入力される。そのため、図12に示すように、インバータ14の出力電圧(インバータ14から交流モータM1に出力される電圧)と矩形波パルスにおける電圧指令値VONとにずれが生じる。このずれ量は、システム電圧指令値VHcomの増加レートが大きいほど、また矩形波パルスのオン期間TONが長いほど大きくなる。
このような状態で、トルク指令値Trqcomとシステム電圧指令値VHcomとを同時に大きな変化量(たとえば最大レート)で増加させた場合には、フィードバック制御によってトルク推定値Trqをトルク指令値Trqcomに追従させることができなくなって、トルク外れ現象が生じるおそれがある。
そこで、図10に示すように、システム電圧指令値VHcomが、トルク外れを抑制可能な十分小さな一定の増加レートで増加される(S202)。これにより、インバータ14の出力電圧と矩形波パルスにおける電圧指令値VONとのずれ量が小さくなる。
さらに、トルク指令値Trqcomが、システム電圧指令値VHcomがVH(MAX)に達するタイミングでトルク指令値Trqcomが通常モード時のトルク上限値(図2の点線)に達する一定の増加レートで増加される(S204)。
これにより、矩形波パルスにおける電圧指令値VONとインバータ14の出力電圧とのずれが最小限に抑えられ、トルク外れを抑制することができる。また、トルクの急激な増加によって運転者に違和感を与えることもない。
以上のように、本実施の形態に係る制御装置によれば、節約モード時のシステム電圧の制限を解除してシステム電圧を増加させる際、インバータが矩形波電圧制御で制御されていることを考慮して、トルク外れを抑制可能な十分小さな一定の増加レートでシステム電圧指令値VHcomを増加するとともに、トルク指令値Trqcomを、システム電圧指令値VHcomの増加レートに応じた一定の増加レートで増加する。そのため、矩形波パルスにおける電圧指令値とインバータの出力電圧とのずれが最小限に抑えられる。その結果、トルク外れを抑制することができる。
なお、本実施の形態においては、システム電圧の制限解除(S200)の条件として、アクセル開度ACCがしきい値より大きく(S102にてYES)、かつ実動作点が節約モード時のトルク上限値に達した(S112にてYES)という条件について説明したが、システム電圧の制限解除の条件はこれに限定されない。たとえば、実動作点が節約モード時のトルク上限値に達したか否かに関わらず、アクセル開度ACCがしきい値より大きくなった時点で、システム電圧VHの制限を解除するようにしてもよい。これにより、運転者がトルク増加を緊急に要求している場合に、コンバータにおける電力損失の低減よりもトルク増加を優先して、システム電圧の制限解除およびシステム電圧の増加を早期に開始することができる。
<第2の実施の形態>
以下、本発明の第2の実施の形態に係る制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る制御装置は、システム電圧指令値VHcomの増加処理(システム電圧指令値VHcomとトルク指令値Trqcomとの協調制御)を、前述の第1の実施の形態に係る制御装置が行なう処理(図8のS200および図9の処理)とは別の方法で行なうものである。それ以外の処理は、前述の第1の実施の形態と同じである。したがって、前述の第1の実施の形態の制御装置と同じ制御ブロック図およびフローチャートについてのここでの詳細な説明は繰返さない。
以下、本発明の第2の実施の形態に係る制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る制御装置は、システム電圧指令値VHcomの増加処理(システム電圧指令値VHcomとトルク指令値Trqcomとの協調制御)を、前述の第1の実施の形態に係る制御装置が行なう処理(図8のS200および図9の処理)とは別の方法で行なうものである。それ以外の処理は、前述の第1の実施の形態と同じである。したがって、前述の第1の実施の形態の制御装置と同じ制御ブロック図およびフローチャートについてのここでの詳細な説明は繰返さない。
図13を参照して、本実施の形態に係る制御装置3000がシステム電圧指令値VHcomの増加処理(システム電圧指令値VHcomとトルク指令値Trqcomとの協調制御)を行なう場合に実行するプログラムの制御構造について説明する。
S1202にて、制御装置3000は、トルク指令値Trqcomを固定する。S1204にて、制御装置3000は、システム電圧指令値VHcomを最大レートで増加させる。
S1206にて、制御装置3000は、システム電圧指令値VHcomがVH(MAX)に達したか否かを判断する。VH(MAX)に達すると(S1206にてYES)、処理はS1208に移される。そうでないと(S1206にてNO)、処理はS1204に戻される。
S1208にて、制御装置3000は、システム電圧指令値VHcomをVH(MAX)に固定する。
S1210にて、制御装置3000は、トルク指令値Trqcomを最大レートで増加させる。なお、ここでいう最大レートとは、あくまでトルク指令値Trqcomを増加させるための最大レートであって、システム電圧指令値VHcomの最大レートとは異なる値である。
S1212にて、制御装置3000は、トルク指令値Trqcomが通常モード時のトルク上限値(図2の点線)に達したか否かを判断する。通常モード時のトルク上限値に達すると(S1212にてYES)、処理はS1214に移される。そうでないと(S1212にてNO)、処理はS1210に戻される。
S1214にて、制御装置3000は、トルク指令値Trqcomを通常モード時のトルク上限値に固定する。
以上のような構造フローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置3000で制御されるシステム電圧指令値VHcomおよびトルク指令値Trqcomの時間変化について、図14を参照しつつ説明する。
前述の第1の実施の形態でも述べたように、節約モード時のシステム電圧の制限を解除する際、インバータが矩形波電圧制御で制御されているため、トルク指令値Trqcomとシステム電圧指令値VHcomとを同時に最大レートで増加させた場合にはトルク外れ現象が生じるおそれがある。
そこで、図14に示すように、時刻t(4)で、実動作点が節約モード時のトルク上限値に達すると(S112にてYES)、トルク指令値Trqcomが固定され(S1202)、システム電圧指令値VHcomが最大レートで増加される(S1204)。
時刻t(5)で、システム電圧指令値VHcomがVH(MAX)に達すると(S1206にてYES)、システム電圧指令値VHcomがVH(MAX)に固定され(S1208)、トルク指令値Trqcomが最大レートで増加される(S1210)。
時刻t(6)で、トルク指令値Trqcomが通常モード時のトルク上限値に達すると(S1212にてYES)、トルク指令値Trqcomが通常モード時のトルク上限値に固定される(S1214)。
以上のようにして、本実施の形態に係る制御装置によると、節約モード時のシステム電圧の制限を解除してシステム電圧を増加させる際、インバータが矩形波電圧制御で制御されていることを考慮して、まずトルク指令値Trqcomを固定した状態でシステム電圧指令値VHcomを最大レートで増加させる。そのため、システム電圧VHを早期にVH(MAX)に増加させることができるとともに、システム電圧VHの増加中におけるトルク外れを抑制することができる。システム電圧指令値VHcomがVH(MAX)に達すると、システム電圧指令値VHcomをVH(MAX)に固定した状態でトルク指令値Trqcomを最大レートで増加させる。そのため、モータの出力トルクを早期に通常モード時のトルク上限値にまで増加させることができるとともに、モータの出力トルクの増加中のトルク外れを抑制することができる。
<第3の実施の形態>
以下、本発明の第3の実施の形態に係る制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る制御装置は、システム電圧指令値VHcomの増加処理(システム電圧指令値VHcomとトルク指令値Trqcomとの協調制御)を、前述の第1の実施の形態に係る制御装置が行なう処理(図8のS200および図9の処理)とは別の方法で行なうものである。それ以外の処理は、前述の第1の実施の形態と同じである。したがって、前述の第1の実施の形態の制御装置と同じ制御ブロック図およびフローチャートについてのここでの詳細な説明は繰返さない。
以下、本発明の第3の実施の形態に係る制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る制御装置は、システム電圧指令値VHcomの増加処理(システム電圧指令値VHcomとトルク指令値Trqcomとの協調制御)を、前述の第1の実施の形態に係る制御装置が行なう処理(図8のS200および図9の処理)とは別の方法で行なうものである。それ以外の処理は、前述の第1の実施の形態と同じである。したがって、前述の第1の実施の形態の制御装置と同じ制御ブロック図およびフローチャートについてのここでの詳細な説明は繰返さない。
図15を参照して、本実施の形態に係る制御装置3000がシステム電圧指令値VHcomの増加処理(システム電圧指令値VHcomとトルク指令値Trqcomとの協調制御)を行なう場合に実行するプログラムの制御構造について説明する。
S2202にて、制御装置3000は、トルク指令値Trqcomを固定する。S2204にて、制御装置3000は、システム電圧指令値VHcomを最大レートで予め定められた電圧値VH(A)まで増加させる。このVH(A)は、VH(1)よりも高く、かつVH(MAX)よりも低い値である。S2206にて、制御装置3000は、システム電圧指令値VHcomをVH(A)に固定する。
S2208にて、制御装置3000は、トルク指令値Trqcomを最大レートでTrq(A)まで増加させる。このTrq(A)は、節約モード時のトルク上限値より大きく、かつ通常モード時のトルク上限値より小さい値である。S2210にて、制御装置3000は、トルク指令値TrqcomをTrq(A)に固定する。
S2212にて、制御装置3000は、システム電圧指令値VHcomを最大レートで予め定められた電圧値VH(B)まで増加させる。このVH(B)は、VH(A)よりも高く、かつVH(MAX)よりも低い値である。S2214にて、制御装置3000は、システム電圧指令値VHcomをVH(B)に固定する。
S2216にて、制御装置3000は、トルク指令値Trqcomを最大レートでTrq(B)まで増加させる。このTrq(B)は、Trq(A)よりも大きく、かつ通常モード時のトルク上限値よりも小さい値である。S2218にて、制御装置3000は、トルク指令値TrqcomをTrq(B)に固定する。
S2220にて、制御装置3000は、システム電圧指令値VHcomを最大レートでVH(MAX)まで増加させる。S2222にて、制御装置3000は、システム電圧指令値VHcomをVH(MAX)に固定する。
S2224にて、制御装置3000は、トルク指令値Trqcomを最大レートで通常モード時のトルク上限値まで増加させる。S2226にて、制御装置3000は、トルク指令値Trqcomを通常モード時のトルク上限値に固定する。
以上のような構造フローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置3000で制御されるシステム電圧指令値VHcomおよびトルク指令値Trqcomの時間変化について、図16を参照しつつ説明する。
図16に示すように、時刻t(7)で、実動作点が節約モード時のトルク上限値に達すると(S112にてYES)、トルク指令値Trqcomが固定され(S2202)、システム電圧指令値VHcomが最大レートでVH(A)まで増加される(S2204)。
システム電圧指令値VHcomがVH(A)に達する時刻t(8)以降は、システム電圧指令値VHcomがVH(A)に固定され(S2206)、トルク指令値Trqcomが最大レートでTrq(A)まで増加される(S2208)。
このように、システム電圧指令値VHcomがVH(MAX)より小さいVH(A)に達した時点で、システム電圧指令値VHcomを一旦VH(A)に固定しつつ、トルク指令値Trqcomを増加される。そのため、たとえば、システム電圧指令値VHcomをVH(MAX)まで増加させた後にトルク指令値Trqcomを増加させる場合に比べて、交流モータM1の出力トルクが増加し始めるまでの時間を短縮することができる。そのため、トルク外れを抑制しつつ、運転者に違和感(もたつき感)を与えることを抑制することができる。
トルク指令値TrqcomがTrq(A)に達する時刻t(9)以降は、トルク指令値TrqcomがTrq(A)に固定され(S1210)、システム電圧指令値VHcomが最大レートでVH(B)まで増加される(S2212)。
システム電圧指令値VHcomがVH(B)に達する時刻t(10)以降は、システム電圧指令値VHcomがVH(B)に固定され(S2214)、トルク指令値Trqcomが最大レートでTrq(B)まで増加される(S2216)。
トルク指令値TrqcomがTrq(B)に達する時刻t(11)以降は、トルク指令値TrqcomがTrq(B)に固定され(S1218)、システム電圧指令値VHcomが最大レートでVH(MAX)まで増加される(S2220)。
システム電圧指令値VHcomがVH(MAX)に達する時刻t(12)以降は、システム電圧指令値VHcomがVH(MAX)に固定され(S2222)、トルク指令値Trqcomが最大レートで増加される(S22224)。トルク指令値Trqcomが通常モード時のトルク上限値に達した時刻t(13)で、トルク指令値Trqcomが固定される(S2226)。
以上のようにして、本実施の形態に係る制御装置によると、節約モード時のシステム電圧の制限を解除してシステム電圧を増加させる際、インバータが矩形波電圧制御で制御されていることを考慮して、システム電圧指令値VHcomとトルク指令値Trqcomとを、段階的に交互に、それぞれの最大レートで増加させる。そのため、トルク外れを抑制しつつ、モータの出力トルクが増加し始めるまでの時間を短縮して運転者に違和感(もたつき感)を与えることを抑制することができる。
<第4の実施の形態>
以下、本発明の第4の実施の形態に係る制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る制御装置は、システム電圧指令値VHcomの増加処理(システム電圧指令値VHcomとトルク指令値Trqcomとの協調制御)を、前述の第1の実施の形態に係る制御装置が行なう処理(図8のS200および図9の処理)とは別の方法で行なうものである。それ以外の処理は、前述の第1の実施の形態と同じである。したがって、前述の第1の実施の形態の制御装置と同じ制御ブロック図およびフローチャートについてのここでの詳細な説明は繰返さない。
以下、本発明の第4の実施の形態に係る制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る制御装置は、システム電圧指令値VHcomの増加処理(システム電圧指令値VHcomとトルク指令値Trqcomとの協調制御)を、前述の第1の実施の形態に係る制御装置が行なう処理(図8のS200および図9の処理)とは別の方法で行なうものである。それ以外の処理は、前述の第1の実施の形態と同じである。したがって、前述の第1の実施の形態の制御装置と同じ制御ブロック図およびフローチャートについてのここでの詳細な説明は繰返さない。
前述の第1の実施の形態で述べたように、矩形波電圧制御では電気1周期に1回のスイッチングしか行なわれない。したがって、モータ回転数Nによって矩形波パルスのオン期間TONが異なる。すなわち、図17に示すように、モータ回転数Nの低回転時(図17(B)参照)は、高回転時(図17(A)参照)に比べて、オン期間TONが長くなってしまう。そのため、システム電圧指令値VHcomの増加レートが同じである場合には、高回転時よりも低回転時の方が、矩形波パルスにおける電圧指令値VONとインバータ14の実際の出力電圧との差が大きくなってしまう。
そこで、本実施の形態においては、矩形波パルスの電圧指令値VONとインバータ14の実際の出力電圧との差(1回の矩形波パルスのオン期間TONにおける立ち上げ開始時から終了時までのシステム電圧VHの増加量)がモータ回転数Nに関わらず一定値となるように、モータ回転数Nに応じてシステム電圧指令値VHcomの増加レートを変更する。
図18を参照して、本実施の形態に係る制御装置3000がシステム電圧指令値VHcomの増加処理(システム電圧指令値VHcomとトルク指令値Trqcomとの協調制御)を行なう場合に実行するプログラムの制御構造について説明する。
S3202にて、制御装置3000は、モータ回転数Nを検出する。S3204にて、制御装置3000は、所定値をモータ回転数Nで除算した値を、システム電圧指令値VHcomの増加レートとして算出する。なお、この所定値は、1回の矩形波パルスのオン期間TONにおけるシステム電圧VHの増加量に相当する値であって、フィードバック制御によってトルク外れを抑制可能な値に設定される。すなわち、制御装置3000は、1回の矩形波パルスのオン期間TONにおけるシステム電圧VHの増加量がトルク外れを抑制可能な増加量(すなわち所定値)になるように、モータ回転数Nに応じてシステム電圧指令値VHcomの増加レートを算出する。
S3206にて、制御装置3000は、算出された増加レートでシステム電圧指令値VHcomを増加させる。
S3208にて、制御装置3000は、矩形波パルスのオン期間TONの補正処理を行なう。具体的には、制御装置3000は、N回目の矩形波パルスのオン期間TON(N)を、所定値/2(すなわち1回の矩形波パルスのオン期間TONにおけるシステム電圧VHの増加量の平均値)で補正する。
S3210にて、制御装置3000は、システム電圧指令値VHcomがVH(MAX)に達したか否かを判断する。VH(MAX)に達すると(S3210にてYES)、処理はS3212に移される。そうでないと(S3210にてNO)、処理はS3202に戻される。
S3212にて、制御装置3000は、トルク指令値Trqcomを通常モード時のトルク上限値に最大レートで増加する。
以上のような構造フローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置3000で制御されるシステム電圧指令値VHcomおよびトルク指令値Trqcomの時間変化について説明する。
本実施の形態に係る制御装置によると、節約モード時のシステム電圧の制限を解除してシステム電圧を増加させる際、インバータが矩形波電圧制御で制御されていることを考慮して、1回の矩形波パルスのオン期間TONにおけるシステム電圧VHの増加量がモータ回転数Nに関わらず一定(所定値)となる増加レートで、システム電圧指令値VHcomが増加される(S3202〜S3206)。そして、この所定値は、フィードバック制御によってトルク外れを抑制可能な値に設定される。そのため、モータ回転数が低い場合であっても、トルク外れを抑制することができる。
さらに、矩形波パルスのオン期間TON(N)が、1回の矩形波パルスのオン期間TONにおけるシステム電圧VHの増加量の平均値で補正される(S3208)。これにより、トルク外れをより適切に抑制することができる。
<第5の実施の形態>
以下、本発明の第5の実施の形態に係る制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る制御装置は、前述の第1の実施の形態に係る制御装置に加えて、以下に説明する図19のフローチャートに示す制御構造をさらに備える。それ以外の処理は、前述の第1の実施の形態と同じである。したがって、前述の第1の実施の形態の制御装置と同じ制御ブロック図およびフローチャートについてのここでの詳細な説明は繰返さない。
以下、本発明の第5の実施の形態に係る制御装置について説明する。なお、本実施の形態に係る制御装置は、前述の第1の実施の形態に係る制御装置に加えて、以下に説明する図19のフローチャートに示す制御構造をさらに備える。それ以外の処理は、前述の第1の実施の形態と同じである。したがって、前述の第1の実施の形態の制御装置と同じ制御ブロック図およびフローチャートについてのここでの詳細な説明は繰返さない。
図19を参照して、本実施の形態に係る制御装置3000が実行するプログラムの制御構造について説明する。このプログラムは、節約モード時においてシステム電圧VHの制限が解除されてVH(MAX)に維持されている場合に、予め定められたサイクルタイムで繰り返し実行される。なお、図19に示したフローチャートの中で、前述の図8に示したフローチャートと同じ処理については同じステップ番号を付してある。それらについて処理も同じである。したがって、それらについての詳細な説明はここでは繰返さない。
S1100にて、制御装置3000は、図2に示すマップ上で、トルク推定値Trqとモータ回転数Nとの交点である実動作点が、節約モード時のトルク上限値(図2の実線)より低い領域に含まれるか否かを判断する。節約モード時のトルク上限値より低い領域に含まれると(S1100にてYES)、処理はS1102に移される。そうでないと(S1100にてNO)、処理はS1104に移される。
S1102にて、制御装置3000は、システム電圧VHをVH(1)に制限するように、システム電圧指令値VHcomをVH(MAX)からVH(1)に降圧させる。
S1104にて、制御装置3000は、システム電圧VHをVH(MAX)に維持する。
本実施の形態に係る制御装置によると、節約モード時においてシステム電圧VHの制限が解除されてシステム電圧VHがVH(MAX)に維持されている場合に、アクセル開度ACCに関係なく、実動作点が節約モード時のトルク上限値より低い領域に含まれるか否か(S1100)に基づいて、システム電圧VHをVH(MAX)に維持する(S1104)か、それともVH(1)に降圧するか(S1102)が判断される。
すなわち、アクセル開度ACCがしきい値より大きい場合であっても、実動作点が節約モード時のトルク上限値より低い領域に含まれるようになった時点(S1100にてYES)で、システム電圧VHがVH(1)に降圧される。そのため、アクセル開度ACCがしきい値より大きい場合にシステム電圧VHをVH(MAX)に維持する場合に比べて、コンバータ12における電力損失を低減することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
5 負極線、6,7 正極線、10,13 電圧センサ、12 コンバータ、14 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、24 電流センサ、25 レゾルバ、26 アクセル開度センサ、27 エコスイッチ、100 モータ駆動システム、3000 制御装置、3100 座標変換部、3200 トルク推定部、3300 矩形電圧制御部、3310 トルク指令値算出部、3320 矩形波発生部、3330 信号発生部、3400 システム電圧制御部、3410 システム電圧指令値算出部、3420 信号発生部、3500 協調制御部、B 直流電源、C0,C1 平滑コンデンサ、D1,D2,D3 逆並列ダイオード、L1 リアクトル、M1 交流モータ、Q1,Q2,Q3,Q4,Q5,Q6,Q7,Q8 スイッチング素子、SR1,SR2 システムリレー。
Claims (14)
- 蓄電装置と、前記蓄電装置の電圧を可変に昇圧して出力するコンバータと、前記コンバータから出力される電力を変換して出力するインバータと、前記インバータから出力される電力によって作動するモータとを備えた車両の制御装置であって、
電圧指令値に基づいて前記コンバータの出力電圧を制御するための手段と、
前記モータの出力トルクを指示するトルク指令値と前記電圧指令値とに基づく矩形波電圧を前記モータに供給するように、前記インバータを制御するための矩形波電圧制御手段と、
前記電圧指令値を増加させる際、前記トルク指令値と前記モータの実際の出力トルクとの差が予め定められた値より小さくなるように、前記電圧指令値と前記トルク指令値とを制御するための制御手段とを含み、
前記制御手段は、前記電圧指令値の増加と前記トルク指令値の増加とを段階的に交互に行なう、制御装置。 - 前記制御手段は、前記電圧指令値の増加および前記トルク指令値の増加を、それぞれの最大増加率で増加させる、請求項1に記載の制御装置。
- 蓄電装置と、前記蓄電装置の電圧を可変に昇圧して出力するコンバータと、前記コンバータから出力される電力を変換して出力するインバータと、前記インバータから出力される電力によって作動するモータとを備えた車両の制御装置であって、
電圧指令値に基づいて前記コンバータの出力電圧を制御するための手段と、
前記モータの出力トルクを指示するトルク指令値と前記電圧指令値とに基づく矩形波電圧を前記モータに供給するように、前記インバータを制御するための矩形波電圧制御手段と、
前記電圧指令値を増加させる際、前記トルク指令値と前記モータの実際の出力トルクとの差が予め定められた値より小さくなるように、前記電圧指令値と前記トルク指令値とを制御するための制御手段とを含み、
前記矩形波電圧制御手段は、前記モータの回転位置に基づいて定まる電気角の1周期内に1回、前記矩形波電圧を前記モータに供給し、
前記制御装置は、前記モータの単位時間あたりの回転数を検出するための回転数検出手段をさらに含み、
前記制御手段は、1回の前記矩形波電圧の供給の開始時から終了時までの前記出力電圧の増加量が前記回転数に関わらず一定値となるように、前記回転数に応じて前記電圧指令値の増加率を変更する、制御装置。 - 前記矩形波電圧制御手段は、前記出力電圧の増加量に基づいて、1回の前記矩形波電圧の供給時間を補正する、請求項3に記載の制御装置。
- 前記制御装置は、前記出力電圧を検出するための電圧検出手段をさらに含み、
Nを自然数とするとき、前記矩形波電圧制御手段は、N回目の前記矩形波電圧の供給時間を、前記トルク指令値とN−1回目の前記矩形波電圧の供給の開始時に前記電圧検出手段によって検出された前記出力電圧とに基づいて設定する、請求項1〜4のいずれかに記載の制御装置。 - 蓄電装置と、前記蓄電装置の電圧を可変に昇圧して出力するコンバータと、前記コンバータから出力される電力を変換して出力するインバータと、前記インバータから出力される電力によって作動するモータとを備えた車両の制御装置であって、
電圧指令値に基づいて前記コンバータの出力電圧を制御するための手段と、
前記モータの出力トルクを指示するトルク指令値と前記電圧指令値とに基づく矩形波電圧を前記モータに供給するように、前記インバータを制御するための矩形波電圧制御手段と、
前記電圧指令値を増加させる際、前記トルク指令値と前記モータの実際の出力トルクとの差が予め定められた値より小さくなるように、前記電圧指令値と前記トルク指令値とを制御するための制御手段と、
前記車両の運転者による加速の要求度合いを検出するための加速要求検出手段と、
前記モータに入力される電流を検出するための電流検出手段と、
前記モータの回転位置を検出するための回転位置検出手段と、
前記モータの単位時間あたりの回転数を検出するための回転数検出手段と、
前記電流検出手段によって検出された電流および前記回転位置検出手段によって検出された回転位置に基づいて、前記モータの出力トルクを推定するための推定手段と、
前記電圧指令値を前記コンバータの昇圧上限値よりも低い制限値に制限するための制限手段と、
前記制限手段によって前記電圧指令値が制限されている場合に、前記加速要求検出手段によって検出された前記要求度合いが予め定められた度合いよりも大きく、かつ前記推定手段によって推定された前記出力トルクが前記回転数検出手段によって検出された前記回転数と前記制限値とに基づいて定まるトルク上限値に達したときに、前記制限手段による前記電圧指令値の制限を解除するための解除手段とを含み、
前記制御手段は、前記解除手段によって前記制限を解除した場合に、前記電圧指令値と前記トルク指令値とを増加させる、制御装置。 - 前記制御装置は、通常モードおよび節約モードのいずれの運転モードが前記車両の運転者により選択されているかを検出するためのモード検出手段をさらに含み、
前記制限手段は、前記モード検出手段によって前記節約モードが選択されていることが検出された場合に、前記電圧指令値を前記制限値に制限する、請求項6に記載の制御装置。 - 蓄電装置と、前記蓄電装置の電圧を可変に昇圧して出力するコンバータと、前記コンバータから出力される電力を変換して出力するインバータと、前記インバータから出力される電力によって作動するモータとを備えた車両を制御する制御装置が行なう制御方法であって、
電圧指令値に基づいて前記コンバータの出力電圧を制御するステップと、
前記モータの出力トルクを指示するトルク指令値と前記電圧指令値とに基づく矩形波電圧を前記モータに供給するように、前記インバータを制御する矩形波電圧制御ステップと、
前記電圧指令値を増加させる際、前記トルク指令値と前記モータの実際の出力トルクとの差が予め定められた値より小さくなるように、前記電圧指令値と前記トルク指令値とを制御する制御ステップとを含み、
前記制御ステップは、前記電圧指令値の増加と前記トルク指令値の増加とを段階的に交互に行なう、制御方法。 - 前記制御ステップは、前記電圧指令値の増加および前記トルク指令値の増加を、それぞれの最大増加率で増加させる、請求項8に記載の制御方法。
- 蓄電装置と、前記蓄電装置の電圧を可変に昇圧して出力するコンバータと、前記コンバータから出力される電力を変換して出力するインバータと、前記インバータから出力される電力によって作動するモータとを備えた車両を制御する制御装置が行なう制御方法であって、
電圧指令値に基づいて前記コンバータの出力電圧を制御するステップと、
前記モータの出力トルクを指示するトルク指令値と前記電圧指令値とに基づく矩形波電圧を前記モータに供給するように、前記インバータを制御する矩形波電圧制御ステップと、
前記電圧指令値を増加させる際、前記トルク指令値と前記モータの実際の出力トルクとの差が予め定められた値より小さくなるように、前記電圧指令値と前記トルク指令値とを制御する制御ステップとを含み、
前記矩形波電圧制御ステップは、前記モータの回転位置に基づいて定まる電気角の1周期内に1回、前記矩形波電圧を前記モータに供給し、
前記制御方法は、前記モータの単位時間あたりの回転数を検出する回転数検出ステップをさらに含み、
前記制御ステップは、1回の前記矩形波電圧の供給の開始時から終了時までの前記出力電圧の増加量が前記回転数に関わらず一定値となるように、前記回転数に応じて前記電圧指令値の増加率を変更する、制御方法。 - 前記矩形波電圧制御ステップは、前記出力電圧の増加量に基づいて、1回の前記矩形波電圧の供給時間を補正する、請求項10に記載の制御方法。
- 前記制御方法は、前記出力電圧を検出する電圧検出ステップをさらに含み、
Nを自然数とするとき、前記矩形波電圧制御ステップは、N回目の前記矩形波電圧の供給時間を、前記トルク指令値とN−1回目の前記矩形波電圧の供給の開始時に前記電圧検出ステップで検出された前記出力電圧とに基づいて設定する、請求項8〜11のいずれかに記載の制御方法。 - 蓄電装置と、前記蓄電装置の電圧を可変に昇圧して出力するコンバータと、前記コンバータから出力される電力を変換して出力するインバータと、前記インバータから出力される電力によって作動するモータとを備えた車両を制御する制御装置が行なう制御方法であって、
電圧指令値に基づいて前記コンバータの出力電圧を制御するステップと、
前記モータの出力トルクを指示するトルク指令値と前記電圧指令値とに基づく矩形波電圧を前記モータに供給するように、前記インバータを制御する矩形波電圧制御ステップと、
前記電圧指令値を増加させる際、前記トルク指令値と前記モータの実際の出力トルクとの差が予め定められた値より小さくなるように、前記電圧指令値と前記トルク指令値とを制御する制御ステップと、
前記車両の運転者による加速の要求度合いを検出する加速要求検出ステップと、
前記モータに入力される電流を検出する電流検出ステップと、
前記モータの回転位置を検出する回転位置検出ステップと、
前記モータの単位時間あたりの回転数を検出する回転数検出ステップと、
前記電流検出ステップで検出された電流および前記回転位置検出ステップで検出された回転位置に基づいて、前記モータの出力トルクを推定する推定ステップと、
前記電圧指令値を前記コンバータの昇圧上限値よりも低い制限値に制限する制限ステップと、
前記制限ステップで前記電圧指令値が制限されている場合に、前記加速要求検出ステップで検出された前記要求度合いが予め定められた度合いよりも大きく、かつ前記推定ステップで推定された前記出力トルクが前記回転数検出ステップで検出された前記回転数と前記制限値とに基づいて定まるトルク上限値に達したときに、前記制限ステップでの前記電圧指令値の制限を解除する解除ステップとを含み、
前記制御ステップは、前記解除ステップで前記制限を解除した場合に、前記電圧指令値と前記トルク指令値とを増加させる、制御方法。 - 前記制御方法は、通常モードおよび節約モードのいずれの運転モードが前記車両の運転者により選択されているかを検出するモード検出ステップをさらに含み、
前記制限ステップは、前記モード検出ステップで前記節約モードが選択されていることが検出された場合に、前記電圧指令値を前記制限値に制限する、請求項13に記載の制御方法。
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