JP4423802B2 - 湿気・熱硬化性組成物 - Google Patents

湿気・熱硬化性組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿気・熱硬化性組成物に関し、より詳しくは、貯蔵安定性を保持しながら、且つ常温下での硬化が可能である一液型湿気・熱硬化性ウレタン樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、加熱硬化性ウレタン組成物として、イソシアネート基が室温のように低い温度であっても高い反応性を有するため、イソシアネート基を、例えば、βジケトン、オキシム、カプロラクタム等のブロック化剤によりブロックする手法や、逆に、イソシアネート基と反応活性があるアミン化合物等を、酸等のブロック化剤によりブロックする手法が知られている。
このような加熱硬化性ウレタン組成物は、使用時に加熱することによりブロック化剤を熱解離し、イソシアネート基またはアミノ基を再生させることにより硬化が開始される。このようなブロック化剤とイソシアネート基との解離温度、および、ブロック化剤とアミン化合物等との解離温度は、いずれも120℃以上と高温であり、ウレタン組成物を硬化するためには、このような温度まで昇温させることが必要であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題を解決し、ウレタン組成物の硬化時の温度を下げるべく、常温で固体である固体アミンであって、この表面がブロック化剤にて不活性化されているものを使用し、ウレタン組成物を加熱して、該固体アミンを溶融することでウレタンプレポリマーと反応させ、ウレタン組成物を硬化させるという手法がある。
【0004】
例えば、特開平5−32948号公報には、融点が50℃以上でかつ少なくとも2個のアミノ基を有するポリアミン化合物を、流動パラフィン等の該ポリアミン化合物とは非反応性である分散媒に分散させた分散液と、イソシアネート基含有化合物を含むことを特徴とする接着剤組成物が開示されており、また、WO95/26374号公報には、融点50℃以上および中心粒径20μm以下の固形アミンの表面に、中心粒径2μm以下の微粉体を、該固形アミンと微粉体の重量比が1/0.001〜0.5となるように固着させて、表面の活性アミノ基を被覆した微粉体コーティングアミンと、末端活性イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとから成ることを特徴とする加熱硬化性組成物が開示されており、また、特開平07−173243号公報には、末端活性イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー、および、固体アミン化合物にポリイソシアネート化合物および/またはモノイソシアネート化合物を、活性アミノ基と、イソシアネート基の当量比が1/0.5〜0.025となるように反応させて、表面の活性アミノ基を一部不活性化した不活性化固体アミン化合物から成ることを特徴とする加熱硬化性組成物が開示されている。
【0005】
上記の従来技術により、固体アミンの融点付近まで昇温すればウレタン組成物の硬化が可能となるため、ウレタン組成物の硬化温度を低下させることができる。しかし、上述のウレタン組成物は、使用する固体アミンの表面処理が不充分であると、固体アミン表面に残った活性アミンと、組成物中のイソシアネート基とが反応を起こしてしまい、ウレタン組成物の貯蔵安定性が悪化したり、部分的にゲルが生成して、その処理が非常に面倒となるなどの問題が生じるため、固体アミンの表面処理は非常に難しい。また、ウレタン組成物を、固体アミンの融点以下で湿気硬化させる場合は、硬化速度が非常に遅くなるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記課題を解決することにあり、常温下の湿気硬化が可能であり、また、比較的低温(70℃以上)にて短時間(5分以上)の条件下でも硬化可能である、貯蔵安定性に優れ、かつ、製造も比較的容易である湿気・熱硬化性ウレタン組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、末端活性イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、平均中心粒径20μm以下である固体アミン化合物の表面をスルホンアミド系誘導体によって不活性化した表面処理固体アミン化合物とを含有することを特徴とするに係る湿気・熱硬化性組成物を提供する。
【0008】
ここで、前記スルホンアミド系誘導体が、オルソギ酸メチルエステル、オルソギ酸エチルエステル、及びこれらの加水分解生成物、ならびにアルコールおよびアミンからなる群から選ばれる1つの化合物と、p−トルエンスルホニルイソシアネートとの反応物であることが好ましい。
【0009】
また、上記湿気・熱硬化性組成物は、更に、可塑剤、充填剤、潜在性硬化剤、触媒および老化防止剤からなる群から選ばれる1以上を含有することが好ましく、この場合、前記潜在性硬化剤が、オキサゾリジン化合物であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る湿気・熱硬化性組成物は、末端活性イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、平均中心粒径20μm以下である固体アミン化合物の表面をスルホンアミド系誘導体によって不活性化した表面処理固体アミン化合物とを含有するものである。
【0011】
本発明の湿気・熱硬化性組成物は、末端に活性イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有する。末端活性イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、水の存在によりイソシアネート基部分が尿素結合を形成しながら、架橋、硬化して高分子となる化合物である。
本発明に用いるウレタンプレポリマーは、一般に、ポリヒドロキシル化合物の一種であるポリオール化合物とポリイソシアネート化合物から生成されるウレタンプレポリマーであればよく、特に限定されない。
【0012】
ポリオール化合物とは、炭化水素の複数個の水素を水酸基で置換したアルコール類の総称であり、ポリエーテル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、その他のポリオール、及びこれらの混合ポリオール等を挙げることができる。
【0013】
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン等の2価アルコール;グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール;エチレンジアミン、芳香族ジアミンなどのジアミン類;ソルビトール等の糖類の1種または2種以上に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドの1種または2種以上を付加して得られるポリオール;ポリオキシテトラメチレンオキサイド等を挙げることができる。
【0014】
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、あるいはその他の低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、あるいはその他の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン等の開環重合体等を挙げることができる。
【0015】
その他のポリオールとしては、主鎖が炭素−炭素結合よりなるポリオール、例えば、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加されたポリブタジエンポリオール等や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の低分子ポリオールを好適に挙げることができる。
これらのポリオールは、単独でも2種以上併用してもよいが、重量平均分子量100〜10000程度のものが好ましく、500〜7000程度のものがさらに好ましい。
【0016】
ポリイソシアネート化合物としては、通常のポリウレタン樹脂の製造に用いられる種々のものがある。具体的には、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートおよびこれらの変性品、1,5−ナフタレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0017】
上述したポリオール化合物とポリイソシアネート化合物からウレタンプレポリマーを得る際のポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との混合割合は、通常、当量比で、NCO/OH比が1.2〜3.0であることが好ましく、1.5〜2.0であれば更に好ましい。また、このようなウレタンプレポリマーは、上述の量比でポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを混合し、触媒存在下、あるいは無触媒下で30℃〜120℃、好ましくは50℃〜100℃で加熱撹拌することによって製造される。
【0018】
また、本発明の湿気・熱硬化性組成物に用いられる表面処理固体アミンは、平均中心粒径20μm以下である固体アミン化合物の表面をスルホンアミド系誘導体によって不活性化したものである。
固体アミン化合物としては、常温で固体であるアミン化合物を使用することができ、通常、融点が60℃〜80℃である脂肪族または芳香族アミン化合物を挙げることができる。
【0019】
具体的には、脂肪族アミン化合物としては、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1, 12−ドデカンジアミン、1, 10−デカンジアミン、1, 8−オクタンジアミン、1, 14−テトラデカンジアミン、1, 16−ヘキサデカンジアミン等を挙げることができ、芳香族アミン化合物としては、4, 4’−ジアミノジフェニルメタン、2, 4’−ジアミノジフェニルメタン、3, 3’−ジアミノジフェニルメタン、3, 4’−ジアミノジフェニルメタン、2, 2’−ジアミノビフェニル、2, 4’−ジアミノビフェニル、3, 3’−ジアミノビフェニル、2, 4−ジアミノフェノール、2, 5−ジアミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2, 3−トリレンジアミン、2, 4−トリレンジアミン、2, 5−トリレンジアミン、2, 6−トリレンジアミン、3, 4−トリレンジアミン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用に供してよい。
【0020】
本発明において、固体アミン化合物は平均中心粒径が20μm以下である。この範囲であると、外観上つぶなどとして認められ得ないからである。
【0021】
本発明において、固体アミン化合物の表面を不活性化するブロック化剤として、スルホンアミド系誘導体を使用する。スルホンアミド系誘導体により固体アミン化合物の表面をほぼ完全に不活性化させることが可能となる。スルホンアミド系誘導体によって、固体アミン化合物の表面が不活性化する理由は現時点ではっきりと解明されているわけではないが、スルホンアミド系誘導体が、固体アミン表面の活性アミノ基を不活性化している、または、常温下においては、スルホンアミド系誘導体により、固体アミン化合物表面がほぼ完全にウレタン系プレポリマーと非接触状態になると発明者らは考えている。
【0022】
本発明において、スルホンアミド系誘導体として、好ましくは、オルソギ酸メチルエステル、オルソギ酸エチルエステル、およびこれらの加水分解生成物、ならびにアルコールおよびアミンからなる群から選択される1つの化合物と、p−トルエンスルホニルイソシアネートとの反応物を使用することができる。
【0023】
アルコールとしては、特に制限はないが、具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール等を挙げることができる。
【0024】
また、アミンとしては、特に制限はないが、具体的には、例えば、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、2,4−ジアミノフェノール、2,5−ジアミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,3−トリレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,5−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、3,4−トリレンジアミン等の芳香族ジアミン;
エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、1,14−テトラデカンジアミン、1,16−ヘキサデカンジアミン等の脂肪族ジアミン;
各種トリアミン等のポリアミン
メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、エチルアニリン、ジエチルアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、トリベンジルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン等のモノアミン;
を挙げることができ、中でも、1,12−ドデカンジアミンが微紛化への加工のし易さ、安全性、融点以上の温度での反応性等の点で好ましい。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
p−トルエンスルホニルイソシアネートと、アルコールまたはアミンとの反応は、好ましくは、常温下、より好ましくは溶媒中で、混合するだけで容易に得られる。また、溶媒としては、p−トルエンスルホニルイソシアネートを溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族または芳香族の有機溶媒を使用することができ、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、デカリン(デカヒドロナフタレン)、メタノール、エタノール、テトラリン(テトラヒドロナフタレン)、シクロヘキサン等を挙げることができる。
なお、このようにして得られる反応物は、イソシアネート基を実質的に有していなかった。
【0026】
本発明において、固体アミン化合物の表面をほぼ完全に不活性化する観点から、固体アミン化合物と、スルホンアミド系誘導体の混合比は、化学量論的な当量比ではなく、固体アミン化合物の平均粒径、又は表面積に応じて任意の割合で行うことになる。具体的には、固体アミン化合物の平均粒径が約20μmの場合は、固体アミン化合物10gに対しスルホンアミド系誘導体を1〜5g、より好ましくは2〜4gの割合で混合することが好ましい。
本発明において、本発明の組成物を固体アミン化合物の融点以上に昇温したときに、表面処理固体アミン化合物と、本発明の組成物に含有される末端活性イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基との割合は、ウレタンプレポリマー中のイソシアネート基100個に対して、上記平均粒径の固体アミン化合物が1〜10gであることが好ましく、さらに好ましくは2〜8gの割合である。
【0027】
本発明に係る湿気・熱硬化性組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、更に組成物の物性を向上させるために、上記の成分に加え、任意に、可塑剤、充填剤、潜在性硬化剤、触媒および老化防止剤からなる群から選ばれる1以上を含有することが好ましい。
この際、添加剤の配合量は、本発明の目的である貯蔵安定性及び比較的低温での硬化性を損なわない範囲内であることは当然のことである。
【0028】
任意成分として使用される可塑剤は、特に制限はなく、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジラウリルフタレート(DLP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジオクチルアジぺート(DOA)、ジイソノニルアジペート(DINA)、ジイソデシルアジぺート、トリオクチルフォスフェート、トリス(クロロエチル)フォスフェート、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート、トリブチルトリメリテート(TBTM)、トリオクチルトリメリテート(TOTM)、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、エポキシステアリン酸アルキル、エポキシ化大豆油を挙げることができる。
【0029】
また、任意成分として使用される充填剤としては、特に制限はなく、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、クレー、タルク、酸化チタン、生石灰、カオリン、ゼオライト、ケイソウ土、ガラスバルーンが挙げられる。
【0030】
また、任意成分として使用される潜在性硬化剤としては、特に制限はなく、例えば、加水分解により活性化する潜在性硬化剤を挙げることができ、具体的には、ポリアミンとカルボニル化合物との反応物であるケチミン類、エナミン類;アミノアルコールとカルボニル化合物との反応物であるオキサゾリジン類のアミン系潜在性硬化剤を挙げることができる。
【0031】
本発明において、固体アミン化合物表面を不活性化するスルホンアミド系誘導体は、オキサゾリジン化合物の開環促進剤としても作用するため、本発明の組成物の常温下での硬化時間短縮の観点から、潜在性硬化剤としてオキサゾリジン化合物を使用することが好ましい。
【0032】
オキサゾリジン化合物の合成に用いられるアミノアルコールとしては、特に限定はないが、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、2−ヒドロキシエチルアミン,1−アミノ−2−プロパノール、N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ビス−N−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、N−(2−アミノエチル)イソプロパノールアミン等を好ましく挙げることができ、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、ビス−N−2−ヒドロキシエチルアミン等が硬化速度および価格の面から好適である。
【0033】
また、カルボニル化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物を挙げることができる。
【化1】
Figure 0004423802
ここで、R1 およびR2 は、それぞれ、互いに独立し、同一または異なってもよい炭化水素基であり、
例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基等のアルキル基を挙げることができる。
【0034】
また、任意成分として使用される触媒としては、特に制限はなく、例えば、ジオクチル錫ジラウレート(DOTL)、ジブチル錫ジラウレート(DBTL)、オクチル酸亜鉛、有機ビスマス化合物等の金属系触媒、トリエチレンジアミン、モルフォリン系アミン等のアミン系触媒を挙げることができる。
また、任意成分として使用される老化防止剤としては、特に制限はなく、例えば、フェノール系誘導体、芳香族アミン系誘導体、ピペリジン誘導体等を挙げることができる。
【0035】
また、本発明の湿気・熱硬化性組成物は、上記任意成分の他に、必要に応じて、他の樹脂成分、シランカップリング剤、分散剤、溶剤、揺変剤、紫外線吸収剤、染料、有機顔料や無機顔料、難燃剤等を含有してもよい。例えば、他の樹脂成分を配合することで、本発明の湿気・熱硬化性組成物を目的に応じて使い分けることが可能となる。
【0036】
本発明の湿気・熱硬化性組成物の製造方法は、特に限定されないが、好ましくは上述の各成分を減圧下に混合ミキサー等の攪拌装置を用いて充分混練し、均一に分散させて組成物とするのがよい。
【0037】
本発明の湿気・熱硬化性組成物は、使用した固体アミン化合物の融点以上、例えば、50℃〜90℃の温度に昇温することにより、約1分〜5分で硬化させることができる。また、本発明の湿気・熱硬化性組成物は、常温下で湿気硬化が可能であり、潜在性硬化剤としてオキサゾリジン化合物を使用することにより、上記硬化時間を大幅に短縮することができる。
【0038】
以上、説明したように、本発明の湿気・熱硬化性組成物は、貯蔵安定性に優れ、かつ、常温下での湿気硬化が可能であり、また、比較的低温にて短時間で硬化できるため、弾性接着剤、シール剤、塗料、ポッティング材に好適に使用でき、例えば、浄化槽の嵌合部の弾性接着剤、制御盤、計器、機械類、パネルといった機器のパッキンとして好適に使用することができる。
なお、本発明に係る湿気・熱硬化性組成物は、1液性の熱硬化性ウレタン組成物を対象としているが、組成物の使用に際し、本発明の湿気・熱硬化性組成物を2液性ウレタン組成物として使用することも可能である。
【0039】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0040】
<湿気・熱硬化性組成物の調整>
(1)末端活性イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成
イソシアネート化合物として4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(ESOLVATE 1432I、ダウポリウレタン日本(株))500gと、ポリオールとしてポリプロピレングリコール(PPG)(エクセノール2020、旭硝子社製、平均分子量5000)200gを、NCO/OH当量比=1.80となる量で用いて、ウレタンプレポリマーを合成した。
【0041】
(2)スルホンアミド系誘導体の合成
トルエン10mlに、p−トルエンスルホニルイソシアネート9.84gを混合し、常温下、これにオルソギ酸メチルエステル3.0gを徐々に滴下していき、スルホンアミド系誘導体[1]を合成した。
トルエン8mlに、p−トルエンスルホニルイソシアネート5.2gを混合し、これに2メチル−1−プロパノール2.0gを徐々に滴下していき、スルホンアミド系誘導体[2]を合成した。
【0042】
(3)表面処理固体アミン化合物の合成
融点が71℃である1,12−ドデカンジアミンを平均粒径20μm以下となるように高速剪断混合機により粉砕した。
DINP100gに上記スルホンアミド系誘導体[1]を2.5g混合させた。この混合溶液に前記1,12−ドデカンジアミン20gを投入し、20分間混合し、表面処理固体アミン化合物[1]を得た。
スルホンアミド系誘導体[2]を2.8g用いる以外は、表面処理固体アミン化合物[1]と同様の操作を行い、表面処理固体アミン化合物[2]を得た。
【0043】
(4)実施例1および2の調整
上記ウレタンプレポリマー100gに、上記DINP/表面処理固体アミン化合物[1]50gを混合し、湿気・熱硬化性組成物を得、実施例1とした。
上記ウレタンプレポリマー100gに、上記DINP/表面処理固体アミン化合物[2]を50gを混合し、更に、潜在性硬化剤としてオキサゾリジン化合物(ハードナーOZ、住友バイエルウレタン社製)3gを添加混合して、湿気・熱硬化性組成物を得、実施例2とした。
【0044】
(5)比較例1および2の調整
平均粒径20μm以下に粉砕した1, 12−ドデカンジアミンを、表面処理せずに混合させた以外は実施例1と同様の操作を行い、得られた組成物を比較例1とした。
また、DINP中に、平均粒径20μm以下に粉砕した1.12ドデカンジアミン20gと、ポリイソシアネート化合物(スミジュール44V−20、バイエル社製)3gを投入し、10分混合させた以外は実施例1と同様の操作を行い、得られた組成物を比較例2とした。
【0045】
<貯蔵安定性試験>
このようにして調製した湿気・熱硬化性組成物の貯蔵安定性を調べるため、組成物を密封容器中で50℃の温度で7日間放置した。調製直後の組成物の粘度を1とした場合の7日後の増粘倍率を表1に示す。
【0046】
<低温硬化性試験>
次に、該湿気・熱硬化性組成物の低温硬化性を調べるため、上述のように調製した組成物をステンレス板上にそれぞれ塗布し、それぞれ20℃、相対湿度55%下で、および80℃下でのタックフリータイム(TFT)を調べた。その結果を表1に示す。
【0047】
Figure 0004423802
【0048】
表1からわかるように、表面処理固体アミン化合物を使用した実施例1および2は、表面処理をしていない固体アミン化合物を使用した比較例1と比較して、優れた貯蔵安定性を呈することがわかる。
また、表1からわかるように、固体アミン化合物を表面処理するブロック化剤として、スルホンアミド系誘導体を使用した実施例1および2は、ポリイソシアネート化合物を使用した比較例2に比べて、TFTが短く、低温硬化性に優れていることがわかる。
また、オキサゾリジン化合物を潜在性硬化剤として使用した実施例2は、使用していない実施例1に比べ、TFTが非常に短く、特に、常温下では、1/4に短縮していることがわかる。
【0049】
【発明の効果】
本発明に係る湿気・熱硬化性組成物は、優れた貯蔵安定性を有しながら、低温での迅速な硬化を可能とするものである。本発明によれば、潜在性硬化剤として、オキサゾリジン化合物を使用することにより、硬化時間を更に短縮することができる。
以上から、本発明の湿気・熱硬化性組成物は、各種接着剤、塗料、シーラント、ダイレクトグレージング材、シーラー、コーティング材、特に、大型装置の弾性接着剤、機械類のパッキン、ポッティング材として最適に使用することができる。

Claims (3)

  1. 末端活性イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーと、平均中心粒径20μm以下である固体アミン化合物の表面をオルソギ酸メチルエステル、オルソギ酸エチルエステル、およびこれらの加水分解生成物、ならびにアルコールおよびアミンからなる群から選ばれる1つの化合物と、p−トルエンスルホニルイソシアネートとの反応物によって不活性化した表面処理固体アミン化合物とを含有することを特徴とする湿気・熱硬化性組成物。
  2. 請求項1に記載の湿気・熱硬化性組成物であって、更に、可塑剤、充填剤、潜在性硬化剤、触媒および老化防止剤からなる群から選ばれる1以上を含有することを特徴とする湿気・熱硬化性組成物。
  3. 前記潜在性硬化剤が、オキサゾリジン化合物であることを特徴とする請求項に記載の湿気・熱硬化性組成物。
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