JP4423369B2 - 漢字仮名交じり入力装置、漢字仮名交じり入力方法、ならびに、情報記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少ないキー操作回数で漢字仮名交じり文を入力するのに好適な漢字仮名交じり入力装置、漢字仮名交じり入力方法、ならびに、これらを実現するためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な情報記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、各種の漢字仮名交じり文を入力する技術が提案されている。現在広く使われている技術には、アルファベット入力を用いて入力したい漢字仮名交じり文の読みをローマ字で入力し、これを漢字仮名交じり文に変換するものや、0〜9の数字キーを用いて仮名列を入力して、これを漢字仮名交じり文に変換するものがある。
【0003】
後者の技術としては、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)においてアドレス帳や電子メールで用いる文字列を入力したり、ページャ(「ポケットベル」ともいう。)への文字メッセージを入力したり、トーン式電話機において番号案内をする際に地名や人名を入力したりするものがあげられる。
【0004】
たとえば、「私も参加しません」の読み「わたしもさんかしません」を入力する際に、携帯電話などでは、1から9、ならびに0の数字キーにあ行〜ら行、ならびに「わ」「を」「ん」が割り当てられている。そこで、以下のように数字キーを押圧操作する。
0 4 33 77777 3 000 2 33 7 3333 000
【0005】
0を1回だけ押圧操作するのは、「わをん」の1番目の文字「わ」を入力する、の意であり、3を2回押圧操作するのは、「さしすせそ」の2番目の文字「し」を入力する、の意である。
【0006】
このほか、以下のような入力方法もある。
01 41 32 75 31 03 21 32 71 34 03
【0007】
01は、0キーに割り当てられた「わをん」のうち1番目の文字「わ」を入力する、の意であり、32は、3キーに割り当てられた「さしすせそ」のうち2番目の文字「し」を入力する、の意である。
【0008】
さらに、単語を1つだけ入力する際には、特開平10−124506号公報や特開昭57−185528号公報に開示されるように、子音のみを入力する手法がある。これらに開示された技術を数字キーに置き換えて説明する。この手法では、「私」の読み「わたし」を入力したい場合、以下のように入力する。
0 4 3
【0009】
「わをん」の中の1文字、「たちつてと」の中の1文字、「さしすせそ」の中の1文字からなる単語の候補をあげて、選択させる、というものである。この場合、日本語の単語として有意な組合せは「わたし(私、渡し)」「わたす(渡す)」であるから、ユーザはこれらから1つを選択すればよい。
【0010】
このような入力手法は、NTT西日本が提供する「あんないジョーズ」というサービスにおいて、固有名詞を入力する際にも用いられている(http://www.ntt-west.co.jp/anjozu/等)。
【0011】
「わたし」の入力について考えた場合、キーの押圧操作の回数については、子音のみを入力する手法が最も操作回数が少なくてすむ。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、たとえキー操作回数が少なくとも、コンピュータなどでの漢字仮名交じり入力に慣れたユーザにとっては、一単語ずつ入力しなければならないのでは繁雑である。
【0013】
したがって、数字キーのように限定されたキーでできるだけ少ない回数で連文節変換に相当する漢字仮名交じり入力ができる技術が強く望まれる。
【0014】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたもので、少ないキー操作回数で漢字仮名交じり文を入力するのに好適な漢字仮名交じり入力装置、漢字仮名交じり入力方法、ならびに、これらを実現するためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な情報記録媒体を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0016】
本発明の第1の観点に係る漢字仮名交じり入力装置は、キー入力受付部と、辞書部と、候補生成部と、選択入力受付部と、入力結果部と、を備えるように構成する。
【0017】
ここで、キー入力受付部は、複数の仮名に対応付けられたキーの入力を受け付ける。
【0018】
一方、辞書部は、語句の漢字仮名交じりの綴りと、当該語句の読み仮名のそれぞれに対応付けられたキーの列と、当該語句の品詞と、を対応付けて記憶する。
【0019】
さらに、候補生成部は、記憶された語句の列であって、以下の条件を満たすものを候補として生成する。
(1)当該列に隣り合わせて含まれる語句の対はいずれも、当該対の語句のそれぞれに対応付けられて記憶された品詞同士が連接可能であり、かつ、
(2)当該列に含まれる語句のそれぞれに対応付けられて記憶されたキーの列を並べたものが、入力を受け付けられたキーの列に一致すること。
【0020】
そして、選択入力受付部は、生成された候補からいずれかを選択する入力を受け付ける。
【0021】
一方、入力結果部は、入力を受け付けられて選択された候補の語句の列のそれぞれに対応付けられて記憶された綴りの列を、入力を受け付けられたキーの列に対する漢字仮名交じり語句の列の入力結果とする。
【0022】
また、本発明の漢字仮名交じり入力装置は、以下のように構成することができる。
【0023】
すなわち、キーは1から9まで、ならびに0の数字キーを含み、そのそれぞれに、順に、あ行、か行、さ行、た行、な行、は行、ま行、や行、ら行、わ行の仮名が対応付けられ、これらが押圧操作されることにより当該キーの入力が受け付けられる。
【0024】
一方、選択入力受付部は、生成された候補のそれぞれについて、当該侯補の語句の列のそれぞれに対応付けられて記憶された綴りの列を表示し、前候補ボタン、次候補ボタン、ならびに選択ボタンが押圧操作されることにより、生成された候補からいずれかを選択する入力が受け付けられる。
【0025】
また、本発明の漢字仮名交じり入力装置において、候補生成部による候補の生成、および、選択入力受付部による候補の綴りの列の表示は、キーの入力が受け付けられるたびに行われるように構成することができる。
【0026】
また、本発明の漢字仮名交じり入力装置において、候補生成部は、当該候補にかえて、もしくは、当該候補に加えて、記憶された語句の列であって、以下の条件を満たすものを候補として生成するように構成することができる。
(a)当該列に隣り合わせて含まれる語句の対はいずれも、当該対の語句のそれぞれに対応付けられて記憶された品詞同士が連接可能であり、かつ、
(b)当該列に含まれる語句のそれぞれに対応付けられて記憶されたキーの列を並べたものは、入力を受け付けられたキーの列に前方一致すること。
【0027】
また、本発明の漢字仮名交じり入力装置は、文例記憶部をさらに備え、以下のように構成することができる。
【0028】
すなわち、文例記憶部は、入力結果部により過去に入力結果とされた綴りの列に対応する語句の列を、文例として記憶する。
【0029】
一方、候補生成部は、当該候補に加えて、記憶された文例の語句の列であって、以下の条件を満たすものを候補として生成する。
(i)当該列に隣り合わせて含まれる語句の対はいずれも、当該対の語句のそれぞれに対応付けられて記憶された品詞同士が連接可能であり、かつ、
(ii)当該列に含まれる語句のそれぞれに対応付けられて記憶されたキーの列を並べたものは、入力を受け付けられたキーの列に前方一致すること。
【0030】
本発明の第2の観点に係る漢字仮名交じり入力方法は、キー入力受付工程と、候補生成工程と、選択入力受付工程と、入力結果工程と、を備えるように構成する。
【0031】
ここで、キー入力受付工程では、複数の仮名に対応付けられたキーの入力を受け付ける。
【0032】
一方、候補生成工程では、語句の漢字仮名交じりの綴りと、当該語句の読み仮名のそれぞれに対応付けられたキーの列と、当該語句の品詞と、を対応付けて、あらかじめ記憶された語句の列であって、以下の条件を満たすものを候補として生成する。
(1)当該列に隣り合わせて含まれる語句の対はいずれも、当該対の語句のそれぞれに対応付けられて記憶された品詞同士が連接可能であり、かつ、
(2)当該列に含まれる語句のそれぞれに対応付けられて記憶されたキーの列を並べたものが、入力を受け付けられたキーの列に一致すること。
【0033】
さらに、選択入力受付工程では、生成された候補からいずれかを選択する入力を受け付ける。
【0034】
そして、入力結果工程では、入力を受け付けられて選択された候補の語句の列のそれぞれに対応付けられて記憶された綴りの列を、入力を受け付けられたキーの列に対する漢字仮名交じり語句の列の入力結果とする。
【0035】
また、本発明の漢字仮名交じり入力方法は、以下のように構成することができる。
【0036】
すなわち、キー入力受付工程において、キーは1から9まで、ならびに0の数字キーを含み、そのそれぞれに、順に、あ行、か行、さ行、た行、な行、は行、ま行、や行、ら行、わ行の仮名が対応付けられ、これらが押圧操作されることにより当該キーの入力が受け付けられる。
【0037】
一方、選択入力受付工程では、生成された候補のそれぞれについて、当該侯補の語句の列のそれぞれに対応付けられて記憶された綴りの列を表示し、前候補ボタン、次候補ボタン、ならびに選択ボタンが押圧操作されることにより、生成された候補からいずれかを選択する入力が受け付けられる。
【0038】
また、本発明の漢字仮名交じり入力方法において、候補生成工程における候補の生成、および、選択入力受付工程における候補の綴りの列の表示は、キーの入力が受け付けられるたびに行われるように構成することができる。
【0039】
また、本発明の漢字仮名交じり入力方法において、候補生成工程では、当該候補にかえて、もしくは、当該候補に加えて、記憶された語句の列であって、以下の条件を満たすものを候補として生成するように構成することができる。
(a)当該列に隣り合わせて含まれる語句の対はいずれも、当該対の語句のそれぞれに対応付けられて記憶された品詞同士が連接可能であり、かつ、
(b)当該列に含まれる語句のそれぞれに対応付けられて記憶されたキーの列を並べたものは、入力を受け付けられたキーの列に前方一致すること。
【0040】
また、本発明の漢字仮名交じり入力方法において、候補生成工程では、当該候補に加えて、入力結果工程にて過去に入力結果とされた綴りの列に対応する語句の列であって、文例としてあらかじめ記憶されたものであり、以下の条件を満たすものを候補として生成するように構成することができる。
(i)当該列に隣り合わせて含まれる語句の対はいずれも、当該対の語句のそれぞれに対応付けられて記憶された品詞同士が連接可能であり、かつ、
(ii)当該列に含まれる語句のそれぞれに対応付けられて記憶されたキーの列を並べたものは、入力を受け付けられたキーの列に前方一致すること。
【0041】
本発明の第3の観点に係るコンピュータ読取可能な情報記録媒体は、コンピュータ(携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、ならびに、携帯端末を含む。)を、上記漢字仮名交じり入力装置として機能させ、もしくは、当該コンピュータに上記漢字仮名交じり入力方法を実行させることを特徴とするプログラムを記録するように構成する。
【0042】
当該プログラムは、コンパクトディスク、フロッピーディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリなどの情報記録媒体に記録することができる。
【0043】
本発明の情報記録媒体に記録されたプログラムを、入力装置、記憶装置、計算装置、出力装置などを備える携帯電話、PHS、移動端末、ゲーム装置、汎用コンピュータや並列計算機などの情報処理装置で実行することにより、上記の漢字仮名交じり入力装置、および、漢字仮名交じり入力方法を実現することができる。
【0044】
また、情報処理装置とは独立して、本発明のプログラムを記録した情報記録媒体を配布、販売したり、当該プログラムをコンピュータ通信網を介して配布、販売することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本願発明の範囲に含まれる。
【0046】
なお、理解を容易にするため、以下の説明では携帯電話における漢字仮名交じり入力を例として説明するが、アルファベット入力が可能なキーボードを有するコンピュータにおいて子音のみを入力して漢字仮名交じり入力を行う場合にも同様に適用することができ、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0047】
(発明の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る漢字仮名交じり入力装置の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0048】
本実施形態の漢字仮名交じり入力装置101は、キー入力受付部102と、辞書部103と、候補生成部104と、選択入力受付部105と、入力結果部106のほか、文例記憶部107を備える(なお、文例記憶部107の用途については後述する。)。
【0049】
ここで、キー入力受付部102は、複数の仮名に対応付けられたキーの入力を受け付ける。キーは1から9まで、ならびに0の数字キーを含み、そのそれぞれに、順に、あ行、か行、さ行、た行、な行、は行、ま行、や行、ら行、わ行の仮名が対応付けられ、これらが押圧操作されることにより当該キーの入力が受け付けられる。
【0050】
図2は、本実施形態の漢字仮名交じり入力装置として機能する典型的な携帯電話の外観を示す説明図である。図2に示すように、携帯電話201の0から9までの数字キー202には、上記のような行の仮名が割り当てられており、その仮名の代表がキートップに印刷されている(図中、2キー、5キー、8キーには、図を見やすくするため、符号の記載を省略)。また、*キー203には濁音・半濁音の記号が割り当てられている。#キー204は、種々の特別な指定をするのに用いることができる。
【0051】
一方、辞書部103は、語句の漢字仮名交じりの綴りと、当該語句の読み仮名のそれぞれに対応付けられたキーの列と、当該語句の品詞と、を対応付けて記憶する。
【0052】
図3は、辞書部103の概要構成を示す説明図である。図3に示すように辞書部103には、語句ごとのレコード301が複数記憶され、各レコード301には、漢字仮名交じりの綴り302と、読み仮名に対応するキーの列303と、語句の品詞304と、が記憶されている。また、各レコードには、重複しない語句ID(Identifier;識別子)305が付されている。
【0053】
なお、図3に示す辞書は、いわゆる表形式のデータ構造を採用しているが、これは、理解を容易にするためのものである。したがって、自然言語処理で広く用いられるトライ(trie)構造の辞書や木構造の辞書を用いてもよく、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。特に、順次入力される数字キーに応じて分枝するトライ構造の辞書は、最長一致型の日本語変換に適しているため、本実施形態における漢字仮名交じり入力に好適である。
【0054】
さらに、候補生成部104は、記憶された語句の列であって、以下の条件を満たすものを候補として生成する。
(1)当該列に隣り合わせて含まれる語句の対はいずれも、当該対の語句のそれぞれに対応付けられて記憶された品詞同士が連接可能であり、かつ、
(2)当該列に含まれる語句のそれぞれに対応付けられて記憶されたキーの列を並べたものが、入力を受け付けられたキーの列に一致すること。
【0055】
たとえば、「名詞」と「係助詞」とは連接可能であるから、「私」(名詞)と「も」(係助詞)とは連接可能である。
【0056】
また、図3に示すように、「私」(名詞)のキー列は「0 4 3」であり、「も」(係助詞)のキー列は「7」であるから、入力されたキー列が「0 4 3 7」である場合、語句の列「私 も」は、上記条件(1)(2)を満たすことになる。
【0057】
また、「係助詞」と「サ変動詞語幹」も連接可能であるから、「も」(係助詞)と「参加」(サ変動詞語幹)とは連接可能であり、「参加」(サ変動詞語幹)のキー列は「3 0 2」であるから、入力されたキー列が「0 4 3 7 3 0 2」である場合、語句の列「私 も 参加」は、上記条件(1)(2)を満たすことになる。
【0058】
同様に、
・「参加」(サ変動詞語幹)と「し」(サ変動詞活用語尾連用形)、
・「し」(サ変動詞活用語尾連用形)と「ませ」(丁寧助動詞未然形)、
・「ませ」(丁寧助動詞未然形)と「ん」(打消終助詞)
もそれぞれ連接可能であるから、キー入力0 4 3 7 3 0 2 3 7 3 0に対して、語句の列「私 も 参加 し ませ ん」は、上記条件(1)(2)を満たすことになる。
【0059】
候補生成部104では、このように条件(1)(2)を満たす候補の列を生成するが、その際には、最長一致法や出現頻度、学習情報などを利用した公知の技術を応用することができる。
【0060】
また、品詞の連接可否について確率を導入し、生成された候補の列のうち、品詞の連接確率が最も高いものを優先候補とし、連接確率が所定の閾値より低い候補は捨てる、などの手法も採用できる。品詞の連接の可否や連接確率は、文法規則として、辞書部103とは別に記憶しておく。
【0061】
そして、選択入力受付部105は、生成された候補からいずれかを選択する入力を受け付ける。
【0062】
選択入力受付部105は、生成された候補のそれぞれについて、当該侯補の語句の列のそれぞれに対応付けられて記憶された綴りの列を図2に示す携帯電話201の表示部205に表示する。この際には、出現頻度や学習、連接確率などに応じて、候補を優先順に表示することが望ましい。さらに、候補の数も画面に表示することが望ましい。
【0063】
また、図2に示す携帯電話201の前候補ボタン206、次候補ボタン207、ならびに選択ボタン208が押圧操作されることにより、生成された候補からいずれかを選択する入力が受け付けられる。
【0064】
なお、本実施形態では、数字キー202を押圧操作し続けている間は、候補生成部104による候補の生成は行わず、前候補ボタン206もしくは次候補ボタン207が押圧操作されることを契機として、候補生成部104による候補の生成が行われる。したがって、前候補ボタン206と次候補ボタン207とがいわゆる「変換キー」に相当することになる。
【0065】
一方、入力結果部106は、入力を受け付けられて選択された候補の語句の列のそれぞれに対応付けられて記憶された綴りの列を、入力を受け付けられたキーの列に対する漢字仮名交じり語句の列の入力結果とする。
【0066】
前候補ボタン206および次候補ボタン207を押圧操作して、所望の候補にカーソルを合わせた後、選択ボタン208を押圧操作することにより、当該候補の綴りの列が、入力結果となる。
【0067】
図4は、本実施形態の漢字仮名交じり入力装置101における処理(漢字仮名交じり入力方法の手順)の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
【0068】
まず、漢字仮名交じり入力装置101は、RAM(Random Access Memory)などに用意されたキー入力バッファをクリアしてから(ステップS401)、キー入力を待つ(ステップS402)。当該キー入力には、数字キー202の入力のほか、*キー203や#キー204、各種のボタン206、207、208などの入力が含まれる。
【0069】
次に、入力されたキーの種類を調べる(ステップS403)。数字キー202や*キー203である場合(ステップS403;数字等)、当該数字・記号をキー入力バッファに追加して(ステップS404)、ステップS402に戻る。
【0070】
一方、入力されたキーが前候補ボタン206もしくは次候補ボタン207である場合(ステップS403;候補)、キー入力バッファに記憶されたキー列を調べて、これと符合する語句列の候補を生成し(ステップS405)、当該候補を表示して(ステップS406)、前候補ボタン206、次候補ボタン207、選択ボタン208による操作を受け付けてユーザに候補を選択させる(ステップS407)。なお、この際に、表示される候補の前に、1画面では重複がないように1〜9ならびに0という数字をつけておき、当該数字キーが押圧操作されることにより、当該候補が選択されるようにしてもよい。
【0071】
そして、選択された候補を入力結果として採用して(ステップS408)、本処理を終了する。
【0072】
なお、文を複数入力したり、長い文を入力したりする場合は、これらの処理をさらに繰り返すことになる。
【0073】
また、これらの処理に、適宜入力された数字の編集・削除や変換のやり直しなどの処理を追加することは当業者であれば容易であり、これらの処理も本発明の範囲に含まれる(以下同様)。
【0074】
(第2の実施形態)
上記実施形態では、ユーザが明示的に「変換キー」を操作することにより語句列の候補の生成が開始されたが、本実施形態では、ユーザが何らかのキーを押圧操作する度に候補が生成されて、その候補が表示部205に表示される。本実施形態では、候補が適宜表示されるため、所望の綴りが発見された場合は、直ちにその候補を選択することができる。
【0075】
図5は、本実施形態の漢字仮名交じり入力装置101における処理(漢字仮名交じり入力方法の手順)の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
【0076】
まず、漢字仮名交じり入力装置101は、キー入力バッファをクリアしてから(ステップS501)、キー入力を待つ(ステップS502)。
【0077】
次に、入力されたキーの種類を調べる(ステップS503)。数字キー202や*キー203である場合(ステップS503;数字等)、当該数字・記号をキー入力バッファに追加してから(ステップS504)、キー入力バッファに記憶されたキー列を調べて、これと符合する語句列の候補を生成し(ステップS505)、当該候補を表示して(ステップS506)、ステップS502に戻る。なお、表示されている候補の前には、1画面内で重複しない数字を配置しておく。
【0078】
一方、前候補ボタン206もしくは次候補ボタン207である場合(ステップS503;候補)、表示されている候補を指しているカーソルを移動して(ステップS507)、ステップS502に戻る。
【0079】
一方、選択ボタン208である場合(ステップS503;選択)、現在カーソルが指している候補を入力結果として採用して(ステップS508)、本処理を終了する。
【0080】
一方、#キー204である場合(ステップS503;#)、数字キー202の入力を待つ(ステップS509)。そして、入力された数字キー202に対応する候補を入力結果として採用して(ステップS510)、本処理を終了する。これにより、いわゆるホームポジションからできるだけ指を離さないで入力を行うことができる。
【0081】
なお、本実施形態、ならびに、上記実施形態においては、補完機能、ならびに、学習機能を追加すると、さらに入力の効率を上げることができる。以下、説明する。
【0082】
(補完機能)
補完機能とは、これからユーザが入力するであろうキー入力をあらかじめ予想する機能である。本機能は、補完ボタン209を押圧操作することにより起動される。
【0083】
補完機能が有効となっている場合は、候補生成部104が生成する候補は、上記実施形態の候補にかえて、もしくは、上記実施形態の候補に加えて、以下の条件を満たすものを候補として生成する。
(a)当該列に隣り合わせて含まれる語句の対はいずれも、当該対の語句のそれぞれに対応付けられて記憶された品詞同士が連接可能であり、かつ、
(b)当該列に含まれる語句のそれぞれに対応付けられて記憶されたキーの列を並べたものは、入力を受け付けられたキーの列に前方一致すること。
【0084】
これにより、キー入力0 4 3 7 3 0(「わたしもさん」に相当)の後に、補完ボタン209を押圧操作すると、語句の列の補完候補として「私 も 参加」(わたしもさんか、0 4 3 7 3 0 2)、「私 も 賛成」(わたしもさんせい、0 4 3 7 3 0 3 1)、「私 も 申請」(わたしもしんせい、0 4 3 7 3 0 3 1)、「私 も 信用」(わたしもしんよう、0 4 3 7 3 0 8 1)、「私 も 損害」(わたしもそんがい、0 4 3 7 3 0 2 * 1)などが生成できる。いずれの補完候補も、0 4 3 7 3 0を先頭に有する(すなわち、0 4 3 7 3 0と前方一致する)からである。
【0085】
なお、生成される候補が莫大な数とならないように、以下に示す学習機能と組み合わせて、学習された候補(以前に入力したことがある語句の列)のみを補完候補としてあげる実施形態を採用することができる。
【0086】
(学習機能)
携帯電話での電子メール用メッセージの入力を考えてみればわかる通り、あるユーザが入力する語句には大きな類似性がある。また、ユーザの入力手法にはそれぞれ癖があるため、これを考慮した学習を行うと、より効率の良い漢字仮名交じり入力を行うことができる。
【0087】
本実施形態では、文例記憶部107に、入力結果部106により過去に入力結果とされた綴りの列に対応する語句の列を、文例として記憶する。
【0088】
ここで、文例として語句の列を登録する際には、以下のような登録の手法が考えられる。
・入力結果の語句列全体と、キー列全体。
・入力結果の語句列を文節単位に分割したものと、そのそれぞれのキー列。
・入力結果の語句列を所定の数の文節からなる文節単位に分割したものと、そのそれぞれのキー列。
・入力結果の語句列を文節単位に分割した場合に、そのそれぞれのキー列の長さが所定の範囲に含まれるように分割したもの。
【0089】
たとえば、上記の例でいえば、文節単位での登録は、以下のような組合せとなる。
・キー列「0 4 3 7」と「私も」。
・キー列「3 0 2 3 7 3 0」と「参加しません」。
【0090】
図6は、文例記憶部107の概要構成を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0091】
文例記憶部107には、文例がレコード601単位で記憶されており、各レコード601には、キー列602の情報と、これに対応する語句列603の情報と、が含まれる。本実施形態では、語句列603の情報として、各語句の語句ID
305を記録することとしている。
【0092】
候補生成部104における候補の生成の際に文例記憶部107に記憶された語句列を利用すれば、頻繁に使用する語句に対する漢字仮名交じり綴りが容易に候補として得られることになる。さらに、文例記憶部107に記憶された語句列を含む候補の優先度を高くすれば、ユーザが期待する変換ができる可能性が高くなる。
【0093】
また、補完の際には、文例記憶部107に記憶された語句列のみを補完することとすれば、候補の数が爆発することはない。
【0094】
文例記憶部107には、キー列602と語句列603との組合せを記憶するほか、これが用いられた頻度や、最後に使われた日時に相当する情報を記憶しておいてもよい(図示せず)。この場合、頻度が高いほど、あるいは、最近使ったものほど、候補の優先度を高くすることができる。また、文例記憶部107の空きが少なくなってきた場合は、頻度が少ないものや最近は使用されていないものを文例記憶部107から削除することとすればよい。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、少ないキー操作回数で漢字仮名交じり文を入力するのに好適な漢字仮名交じり入力装置、漢字仮名交じり入力方法、ならびに、これらを実現するためのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な情報記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る漢字仮名交じり入力装置の概要構成を示す模式図である。
【図2】 本発明の実施形態の漢字仮名交じり入力装置として機能する典型的な携帯電話の外観を示す説明図である。
【図3】 辞書部の概要構成を示す説明図である。
【図4】 本発明の実施形態の漢字仮名交じり入力装置における処理(漢字仮名交じり入力処理)の流れを示すフローチャートである。
【図5】 本発明の第2の実施形態の漢字仮名交じり入力装置における処理(漢字仮名交じり入力処理)の流れを示すフローチャートである。
【図6】 文例記憶部の概要構成を示す説明図である。
【符号の説明】
101 漢字仮名交じり入力装置
102 キー入力受付部
103 辞書部
104 候補生成部
105 選択入力受付部
106 入力結果部
107 文例記憶部
201 携帯電話
202 数字キー
203 *キー
204 #キー
205 表示部
206 前候補ボタン
207 次候補ボタン
208 選択ボタン
209 補完ボタン
301 語句のレコード
302 綴り
303 キー列
304 品詞
305 語句ID
Claims (7)
- 複数のキーを用いる漢字仮名交じり入力装置であって、仮名のそれぞれは、当該複数のキーのいずれか1つに対応付けられ、当該複数のキーのそれぞれに対応付けられる仮名の数は、複数であり、
前記キーの入力を受け付けるキー入力受付部と、
語句の語句IDと、当該語句の漢字仮名交じりの綴りと、当該語句の読み仮名のそれぞれに対応付けられたキーの列と、当該語句の品詞と、を対応付けて記憶する辞書部と、
前記辞書部に記憶された語句IDを並べて形成される列のうち、当該語句IDの列に隣り合わせて含まれる語句IDの対のいずれについても、当該対の語句IDのそれぞれに対応付けられて前記辞書部に記憶された品詞同士が連接可能であり、かつ、当該語句IDの列に含まれる語句IDのそれぞれに対応付けられて前記辞書部に記憶されたキーの列を並べたものが、前記入力を受け付けられたキーの列に完全一致する語句IDの列を求め、当該求められた当該語句IDの列に含まれる語句IDのそれぞれに対応付けられて前記辞書部に記憶された綴りを並べた文字列を求めることにより、当該完全一致するキーの列に対して求められた文字列を、候補として生成する候補生成部と、
前記生成された候補からいずれかを選択する入力を受け付ける選択入力受付部と、
前記入力を受け付けられて選択された候補を、前記入力を受け付けられたキーの列に対する漢字仮名交じり語句の列の入力結果とする入力結果部と、
前記選択入力部により前記完全一致するキーの列に対して求められた文字列からなる候補が選択されると、当該選択された候補をなす文字列に対する語句IDの列を1文節ごとに分割して、当該分割結果のそれぞれを文例とし、当該文例をなす語句IDの列と、当該語句IDの列に含まれる語句IDのそれぞれに対応付けられて前記辞書部に記憶されたキーの列を並べたキーの列と、を求め、当該文例をなす語句IDの列と、当該求められたキーの列と、を、対応付けて記憶する文例記憶部を備え、
前記候補生成部は、前記完全一致するキーの列に対して求められた文字列を候補とするほか、前記文例記憶部に記憶されたキーの列のうち、前記入力を受け付けられたキーの列に前方一致するキーの列を求め、当該求められたキーの列に対応付けられて前記文例記憶部に記憶された語句IDの列を求め、当該求められた語句IDの列に含まれる語句IDのそれぞれに対応付けられて前記辞書部に記憶された綴りを並べた文字列を求めることにより、当該前方一致するキーの列に対して求められた文字列を候補としてさらに生成する
ことを特徴とする漢字仮名交じり入力装置。 - 前記文例記憶部は、「当該選択された候補をなす文字列に対する語句IDの列を1文節ごとに分割」するのにかえて、「当該選択された候補をなす文字列に対する語句IDの列を所定の数の文節ごとに分割」する
ことを特徴とする請求項1に記載の漢字仮名交じり入力装置。 - 前記文例記憶部は、「当該選択された候補をなす文字列に対する語句IDの列を1文節ごとに分割」するのにかえて、「当該選択された候補をなす文字列に対する語句IDの列を文節同士の区切りで分割する際に、当該分割結果に含まれる語句IDの列のそれぞれに対応付けられて前記記憶されたキーの列の長さの総和が所定の範囲に含まれるように、分割」する
ことを特徴とする請求項1に記載の漢字仮名交じり入力装置。 - 前記キーは1から9まで、ならびに0の数字キーを含み、そのそれぞれに、順に、あ行、か行、さ行、た行、な行、は行、ま行、や行、ら行、わ行の仮名が対応付けられ、これらが押圧操作されることにより当該キーの入力が受け付けられ、
前候補ボタン、次候補ボタン、ならびに選択ボタンが押圧操作されることにより、前記生成された候補からいずれかを選択する入力が受け付けられ、
前記選択入力受付部は、前記生成された候補のうち、前記文例綴りからなる候補を優先してユーザに提示して、前記生成された候補からいずれかを選択する入力をさせる
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の漢字仮名交じり入力装置。 - 前記候補生成部による候補の生成、および、前記選択入力受付部による候補の表示は、前記キーの入力が受け付けられるたびに行われる
ことを特徴とする請求項4に記載の漢字仮名交じり入力装置。 - 複数のキーを用い、キー入力受付部、辞書部、候補生成部、選択入力受付部、入力結果部、文例記憶部を備えるコンピュータで実行される漢字仮名交じり入力方法であって、仮名のそれぞれは、当該複数のキーのいずれか1つに対応付けられ、当該複数のキーのそれぞれに対応付けられる仮名の数は、複数であり、前記辞書部には、語句の語句IDと、当該語句の漢字仮名交じりの綴りと、当該語句の読み仮名のそれぞれに対応付けられたキーの列と、当該語句の品詞と、が対応付けて、記憶され、
前記キー入力受付部が、前記キーの入力を受け付けるキー入力受付工程と、
前記候補生成部が、前記辞書部に記憶された語句IDを並べて形成される列のうち、当該語句IDの列に隣り合わせて含まれる語句IDの対のいずれについても、当該対の語句IDのそれぞれに対応付けられて前記辞書部に記憶された品詞同士が連接可能であり、かつ、当該語句IDの列に含まれる語句IDのそれぞれに対応付けられて前記辞書部に記憶されたキーの列を並べたものが、前記入力を受け付けられたキーの列に完全一致する語句IDの列を求め、当該求められた当該語句IDの列に含まれる語句IDのそれぞれに対応付けられて前記辞書部に記憶された綴りを並べた文字列を求めることにより、当該完全一致するキーの列に対して求められた文字列を、候補として生成する候補生成工程と、
前記選択入力受付部が、前記生成された候補からいずれかを選択する入力を受け付ける選択入力受付工程と、
前記入力結果部が、前記入力を受け付けられて選択された候補を、前記入力を受け付けられたキーの列に対する漢字仮名交じり語句の列の入力結果とする入力結果工程と、
前記選択入力工程にて選択入力部により前記完全一致するキーの列に対して求められた文字列からなる候補が選択されると、当該選択された候補をなす文字列に対する語句IDの列を1文節ごとに分割して、当該分割結果のそれぞれを文例とし、当該文例をなす語句IDの列と、当該語句IDの列に含まれる語句IDのそれぞれに対応付けられて前記辞書部に記憶されたキーの列を並べたキーの列と、を求め、当該文例をなす語句IDの列と、当該求められたキーの列と、を、対応付けて前記文例記憶部に記憶する文例記憶工程を備え、
前記候補生成工程では、前記完全一致するキーの列に対して求められた文字列を候補とするほか、前記文例記憶工程にて記憶された文例キー列のうち、前記入力を受け付けられたキーの列に前方一致するキーの列を求め、当該求められたキーの列に対応付けられて前記文例記憶部に記憶された語句IDの列を求め、当該求められた語句IDの列に含まれる語句IDのそれぞれに対応付けられて前記辞書部に記憶された綴りを並べた文字列を求めることにより、当該前方一致するキーの列に対して求められた文字列を候補としてさらに生成する
ことを特徴とする漢字仮名交じり入力方法。 - コンピュータを、請求項1から5のいずれか1項に記載の漢字仮名交じり入力装置の各部として機能させることを特徴とするプログラムを記録したコンピュータ読取可能な情報記録媒体。
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